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No.1034の一覧
[0] エンゲージを君と[nubewo](2011/06/16 00:02)
[1] 第一話[nubewo](2011/06/16 00:01)
[2] 第二話[nubewo](2011/06/16 00:01)
[3] 第三話[nubewo](2011/06/16 00:02)
[4] 第四話[nubewo](2006/07/09 18:18)
[5] 第五話[nubewo](2006/07/17 18:55)
[6] 第六話[nubewo](2006/11/01 00:03)
[7] 第七話[nubewo](2006/11/01 00:06)
[8] 第八話[nubewo](2006/11/01 00:09)
[9] 第九話[nubewo](2006/11/28 18:10)
[10] 第十話[nubewo](2006/11/28 18:11)
[11] 第十一話[nubewo](2006/11/28 18:12)
[12] 第十二話[nubewo](2011/06/16 00:03)
[13] 第十三話[nubewo](2007/03/06 09:57)
[14] 挿話[nubewo](2007/03/06 10:26)
[15] 第十四話[nubewo](2007/03/25 22:50)
[16] 第十五話[nubewo](2007/03/31 13:16)
[17] 第十六話[nubewo](2008/04/26 01:12)
[18] 第十七話[nubewo](2008/10/23 12:32)
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[1034] 第七話
Name: nubewo 前を表示する / 次を表示する
Date: 2006/11/01 00:06
 衛宮のうちに行った次の日の、授業が終わり昼休みが始まってすぐだった。

「何の用だよ、衛宮。」
「いや、ちょっと氷室に用事があって。」
 蒔の字と、衛宮が口論していた。
「……何の用かは知らないけど、氷室は今から尋問しなきゃなんないんだ。さっさと済ませて氷室を返せよ。」
「う、とりあえず昼休み半分くらいは付き合ってもらおうと思ってたんだが。」
「却下だ。」

 朝から蒔寺は不機嫌だった。原因はわかりきっている。彼女らに告げず、部活を休んだからだ。
 部活を休むこと自体は咎めることではないが、正当な理由にせよサボタージュにせよ、友人たる彼女達に報告しておくのは筋だったろう。
 友達づきあいの悪い日が続いて、それに加えて、昨日は私は彼女らを友人扱いしなかったのだ。怒られるのは仕方がない。
「蒔。」
「何だよ氷室。」
 それでも、衛宮と話もせずに帰すのは失礼極まりない。
「すまないが、少し待ってくれ。衛宮の用件を聞きたい。衛宮。」
「ああ、えっと。昨日のことでさ、話す時間つくるのにいいかと思って、弁当作ってきた。一緒に食わないか、と誘うつもりだったんだけど。」
 手にはおそらく二人分の弁当。蒔の字をなだめるのは容易ではないし、信頼を失うのは避けたい。かといって私に気を使って作ってきてくれた弁当を無碍にするのも申し訳なかった。
「そうか。ありがとう。 ……提案なんだが、三人の食事に衛宮を誘ってもいいだろうか。」
 不穏な空気に竦みつつも、隣に来てくれた由紀香に問う。
「え、えっと、私はぜんぜん気にしないけど……。」
「それも却下だ。氷室に話を聞こうとしてるのに、部外者連れ込むのは余計だ。」
「いや、昨日の展開に彼は関係がある。それに、衛宮の作ってきてくれた弁当を受け取らないのは失礼だ。よければ、彼の同席を了承してくれないだろうか。」
「衛宮に関係がある? 衛宮。氷室にまたなんかしたのか?」
「前回もそうだが、彼が何かしたんじゃない。むしろ私だ。」
「……わかった。じゃ連れてってもいいけど、ちゃんと話せよ。」
「善処しよう。」

 何事かと注目を集めながら、私達は屋上へ向かった。
 先頭を蒔寺がとり、私と衛宮をはさんで由紀香が後ろからついてくる。蒔の足取りは内心の義憤を隠したもので、その布陣は罪人二人を連れる官吏に似ていた。

「さて、じゃあ話してくれ。」
 屋上への扉を開けて、開口一番がそれだった。まだ場所を決めて落ち着いてさえいないうちだった。
「他言無用、約束してくれるか?」
「まあ、別に喋ったりはしないと思うけど。なあ由紀っち。」
「うん、鐘ちゃんがそういうんだったら、誰にも言わないよ。」
「ありがとう。私以外の人間に関わる話なのでね。……昨日、藤村雷画氏と私の父が会談した。」
「は? え、ちょっとそれって問題なんじゃないのか?」
「個人的に会う分には、後ろ指を指される筋合いはないさ。もちろん、筋など関係なしに責められるがね。」
「で、それが衛宮とどう繋がるんだ?」
「雷画氏をうちに呼ぶのも、我々があちらの屋敷に赴くのも見つかれば大事だ。逃げ場として、衛宮邸を使わせてもらった。」
「へぇ。冬木の顔役同士、会うのも一苦労だな。」
「そうだな。それで昨日は衛宮に世話になった。」
「で?」
 話はそれだけで終わりと暗に示したのだが、それをまったく無視して蒔の字は突っ込んできた。まあ、納得しないのも当然か。
「で、とは?」
「それだけじゃ、氷室と衛宮の態度がおかしいことの説明にならないだろ。それに今までの話だけならべつにあたし達に黙って部活サボる理由なんてないじゃん。」
「……ここからは、衛宮のプライバシーにも関わるんだ。彼に迷惑となるから、できればここまでで納得してはくれないだろうか。」
「ちぇ。別に氷室はあたし達のことないがしろにしてるわけじゃないんだろうけどさ。」
 蒔は情に厚い。信じてくれているのはそれ故にだし、同時に苛立っているのもそのためだった。
 だが、やはり私はためらわずにはおれなかった。
 私が追いかけた士郎という名の人は、もしかすれば彼なのかもしれない。だが、仮に同一人物だったとしても、それは生物的に同一、あるいは時間的に連続だというだけで、今そこにいる『衛宮士郎』の人となりが変わるわけではない。
 士郎という婚約者の話をするのは、衛宮という人をないがしろにするようで、どこか後ろめたかった。


「なあ氷室。俺は別に構わないぞ。」
「衛宮。」
 ことを大きくして、彼には迷惑をかけた。だから、できるなら君にはそっと暮らして欲しい。最初にその平穏を乱した私の身勝手な願いだった。
 しかし、いつも彼はこうなのだろう。損な役回りを苦にせず引き受ける、だから便利屋といわれるのだ。便利にされるだけの献身と技術を持っていながら、小ばかにしたあだ名がつくのはそのせいだ。
「別に話されたからって俺は困ることはないし、広まって氷室が困るようなことは蒔寺や三枝さんは喋らないだろ?」
「……すまない。そんなふうに迷惑をかけないつもりで立ち回ってきたんだが、衛宮には謝らなければならないな。」
 衛宮に腰から曲げてなるべくきちんと頭を下げ、皆を振り向いた。
「食事をしながらでもいいだろうか。長くなると思う。」
「わかった。氷室は、衛宮の弁当食べる気か?」
「当然だ。作ってもらったものを受け取らないような薄情は許されざる行いだろう。」
 衛宮が弁当箱を手渡してくれた。大きめのハンカチに包まれたそれは、慣れない女学生の手によるような不手際はない。蓋を開け、箸を受け取った後も彼に対する評価は上がる一方だった。
「で、話続けてくれよ。」
「ああ。」

 そうして、この数週間の動きをかいつまんで話すことになった。
 彼の生い立ちや、その後のことまで話しに出さざるを得なかったから、そのくだりでは由紀香はもちろん、蒔も息を重く吐き、気まずそうにしていた。しかし続けてみれば、興味津々な彼女らはしっかりと最後まで聞き届けた。

「なんつーか、どこの三文小説だよ、って感じだな。その設定。」
「蒔ちゃん。失礼だよ。」
「蒔の字の言いたいこともわかる。当事者の私自身そう感じているからな。」
「でさ、結局ホントのところは闇の中、か?」
「調べれば、あるいははっきりするかもしれないがね。だが、衛宮がそれを必要としていないんだ。衛宮士郎は衛宮士郎、それでいいじゃないか。」
「ふーん。」
 自分で作った弁当を有り難味もなさそうに咀嚼しながら傍観する、そんな蚊帳の外の衛宮を蒔は胡乱(うろん)げに凝視した。
「なんだよ。」
「別に。」
「別に、って言うなら。ヘンな顔で見るなよ。」
「誰の顔が変だって?」
「お前。で、なんか言いたいことがあったんじゃないのか。」
「胡散臭い話だなと思っただけだよ。ま、あんたにゃ関係ない話なのかもしれないし、言ってもしょうがない。それより衛宮。」
「なんだよ。」

 蒔寺は、なんでもないことのようにさらりと言った。
「氷室を泣かすなよ。」

「はい?」
「ま、待て。蒔、今のはどういう意味だ。」
「さあな。胸に手を当てて考えてみろってこった。ったく、氷室が人間として一番得体が知れないと思ってたのになー。」
 そう振った先では由紀香がにこやかに頷いていた。


 話が済んで食事を片付けようと思った頃には食欲がおおむね満たされていた。
 ……どうしたものか。そろそろ食材が傷むこともなくなって来たし、残して持って帰るのは許されるだろうか。
「氷室、どうかしたか?」
 衛宮は食事に関しては敏感だった。
「作ってもらっておいて大変申し訳ないんだが。話をしているうちに満たされてね、少々もてあましそうだ。」
「ありゃ、ちょっと多かったか。」
「そりゃお前、男物の弁当箱にちゃんと詰めてあるんだから当然だろ。」
「え? 桜はもっと食べるし、運動してる女の子ならこれくらい普通かと思ってたんだが。」
「「「……。」」」
 衛宮に食事を作らせるというのは、こういうことか。適量を守るよう、用心せねば。

「話を戻そう。それで、よければ持って帰ってもいいだろうか。」
「ん~、傷んだらコトだしな。まあしょうがないし、俺が持って帰る。」
 それは、食べずに捨てるということだろう。
「それは申し訳ない。作らせておいてそのような失礼は。別に無理ではないし、今頂こう。」
「気にするなって。」
「残ってる分を衛宮が食べればいいじゃん。」
 つまらなそうに蒔寺が提案した。そのまま立ち上がり、片付け始める。
「まあ、がんばってやり取りするんだな。あたしと由紀香はそろそろ行くからな。」
「え? 蒔ちゃん?」
「ほら、邪魔しちゃ悪いだろ。行こうぜー。」
「あ、うん。」

 引き止めるまもなく、彼女らは去っていった。
 要らぬお節介、ではないか。素直にここは感謝しておこうか。
「えっと、貰ったほうがいいか?」
「……ああ、協力を依頼しよう。」
「具体的にはどの辺りを?」
「白米はいただけそうだ。この辺りの味の濃いものを助力願えるだろうか。」
「え、いいのか。メイン貰って。」
「ああ。薄味が好みというわけでもないが、こちらは十分堪能させてもらった。」
「じゃもらいます。ほいっと。」

 弁当をつつきあう距離。その曇りのない瞳が近い。
 私が晴れないからこそ、その純度に羨望と畏れを抱かせる。自分の現状を分析できているくせに、根本的な衝動にまで理解が行かないから、私は自分で何がしたいのかがよくわからないのだ。
「衛宮。」
「ん?」
「放課後はどうするんだ。」
「今日もバイトだな。」
「新都のほうか?」
「そうだけど、それがどうかしたか?」
「では、一緒に帰れないだろうか。」
「え、っと。部活は時間通り終わるのか? それなら別にいいけど、俺、バスの定期とかないぞ。」
「陸上は延長なしできちんと終わるほうだ。誘うのは私なんだから、私が付き合って歩くさ。」
「そうしてくれるんなら、俺のほうから断る理由はないけど。でも、俺と一緒に帰っても面白くないんじゃないか。」
「得るものはきっとある。なら、商店街の辺りで待ち合わせでいいだろうか。」
「え、学校からじゃなくて?」
「今のはなしだ。学校で待ち合わせよう。」
「いや、どっちでもいいけどさ。」
「君を我侭につき合わせるのは心苦しい。」
「ああ、蒔寺と三枝さんをほって帰ることになるもんな。俺は構わないぞ。氷室に付き合うって約束したしな。」
 瞬間、心拍数があがった。なんてことはない。氷室「に」付き合う、ではないか。
「そ、そうか。ではそろそろ戻ろう。大変美味しかった。ご馳走様でした。」
「お粗末さまでした。悪かったな、突然付き合わせることになってさ。」
「いや、予想外ではあったがお願いしたのは私だ。君が謝ることはない。」
「でも教室で蒔寺と喧嘩してただろ。」
「友情に厚い彼女に、ここ数日は冷たくしていたからな。」
「それでさ、明日からはどうしたほうがいい?」
「どう、とは?」
「今日は思い付きだったんだけどさ、明日も作ってもいいんだよな。手間はひとり分作るのと一緒だし。」

 女学生の付き合いとしてごく普通だが、私と彼女らはべったりと連れ立って活動している。由紀香は気にしないというが、気を使わせるのは間違いない。蒔は言わずもがなだ。

「申し出は大変ありがたいのだが、彼女らを毎日ほったらかしにするのはできないし、私達のクラスに衛宮が入ってきて弁当を振舞うというのも難しいだろう。」
「う、確かに別のクラスで弁当出すのはアレだな。」
「そういうわけで、迷惑だというわけでは決してないが遠慮させてもらおうかと思う。」
「わかった。で、そろそろ戻るか。」
「ああ。」
 冬木は暖かいほうだからこの時期の屋上でも食事を取れるが、それでも手が少し冷えていた。
 衛宮はどんなことを考えて昼食を用意してくれたのだろうか。無言で廊下を歩き、教室の喧騒に戻った瞬間、ほう、とため息を漏らしている自分がいた。
 放課後はきちんと部活に打ち込む。蒔も由紀香も信用してくれていて、縄で引っ張られるような目にはあわなかった。
 必要なメニューをこなしているとすぐに練習は終わった。一日ぶりではあったが、滞りはなかった。ブランクというほどのものはないのだから当然とも言える。休息による身体能力の回復と体の動かし方の忘れ具合が拮抗していた。
「サボリで調子落としてたら責めてやるつもりだったんだけどな。」
「そうならずに済んでよかった。」
 着替えていると蒔の字が声をかけてきた。おそらく、練習中も後輩を追い詰めながらこちらを見ていたのだろう。
「さっさと行こう。江戸前屋が新しいの焼いてくれるうちに商店街につかなきゃならないんだっ。」
 なるほど、こちらの昼食のカロリー量と自分の分を見比べて攻勢に出たな。
「申し出は魅力的だが。あまり寄り道は出来なくてね。」
「ああ、親も早く帰って来いって言うよな。失態の後じゃ。」
 ニヤニヤとしたり顔で蒔の字は納得しているが、買い食いはせいぜい十数分、バスひとつ程度しか変わらないのだからわかるわけもない。まあ、勘違いしてくれたならよしとしておこう。
 傍らを見ると、最後に片づけを終えた由紀香もおおよそ身支度を済ませたようだった。
「では帰ろうか。」

 学校の門をくぐり、坂を下る。定期があるから近くからバスに乗ることも出来るが、由紀香や蒔と帰るときは商店街まで歩くことが多い。今日もごく自然にそちらへ向かった。
 蒔の字は江戸前屋の火が落ちるのを気にしていたが、あの店の火はまさに日が落ちるのと連動していた。暗くなれば学生客が減るのも必至だからだ。で、その空はといえば、紅葉にも劣らぬ茜色。暗い色が混じるそれは、焼き立てにめぐり合うのが難しいと告げていた。
「蒔。由紀香。そろそろバスが近い。また明日な。」
「あ、うん。鐘ちゃん、ばいばい。」
「じゃあな。ま、がんばれよ。」
「ああ、ではな。」
 がんばれ、か。蒔寺の一言、秘め事のある私にとってはなかなか意味深なものだった。
 すこし早まった足取りで先を進む。バス停を少し越えたあたりで、衛宮は待っていた。
「待たせてすまない。」
「お、来たか。」
「どれほど待たせただろうか?」
「十分かそこらだろ。」
「ありがとう。では行こうか。」
 立ち止まって話をすれば間がもたないだろう。衛宮の影がついてくるのがわかったから、後ろは振り向かずに歩みを進めた。

 話の切り出しは数通り考えてきた。話の膨らみ方に違いはあれど、種としては悪くないつもりだった。しかし、いざ本番となり周囲の舞台までが視界に入った瞬間、自分の頭で練った会話が背景と釣り合わないことに不安を覚え、切り出すタイミングを失っていた。
 ためらいにただ歩を進めていると、誘われた側の衛宮が代わりに口火を切った。
「あ~、一日が短くなったな。」
 心の中で謝罪する。こんな月並みな話の振り方をさせてしまったことに。それでも、せっかくの話題提供だ。きちんと続けよう。
「そうだな。部活動も帳が落ちれば続けられないものがあるし、本番の近い運動部にとってはありがたくないことだな。」
「ふーん。陸上はどうなんだ?」
「ただ走るだけならどうということはない。ただ測定が難しくなるから、長さを測る競技の練習は難しいな。」
「なるほど。」
「そういう弓道部は実にうらやましい環境だな。」
「あ~、明かりもしっかりしてたしな、確かに。やっぱり弓道部の環境って恵まれすぎか?」
「ああ。生徒の部活以外にも使われる所として出金されているんだし、私立だから文句を言う筋合いにはないがね。それでもあれだけの優遇を見ると愚痴のひとつもこぼしたくなる。」
「まあそりゃそうか。」
 深山の坂も下りきらぬうちに会話が途切れてしまう。
 部活が同じだったり、趣味が同じだったならばそれだけで話は続くのだろう。しかし、共有しているものがあまりにも少なくて、話が膨らまない。
 何度か再燃したが、帰路の三分の二くらいは結局無言で通り過ぎていった。

 衛宮と別れる場所はちょうど駅前で、時間も合うのか人の流れが途切れることはなかった。
 話があまりなかったことを申し訳なく思いながら、挨拶をする。
「衛宮。今日は私の我侭に突き合わせて、どうもすまなかったな。」
「いや、いつもは完全に一人だしな、それよりはずっと面白かった。」
「ではアルバイトのほうをがんばってくれ。」
「ああ。じゃあな氷室。」
「ごきげんよう。」

 名残を見せることもなく歩き去る衛宮。単にそっけないだけなのかもしれないが、その背中はどこか衛宮らしい決然としたものだった。
 思わずずっと見つめてしまい、それに気付いてあわてて目を外した。立ち去る姿に何を感じようとも、昨日私が必死に伝えたかったことが何も分かっていない。
 それを確認すれば、すぐに苛立ちがやってきた。きっとこれが正しい感情だろう。

 明日には見返してやる、そんな強気の姿勢で私も帰路についた。


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