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No.10059の一覧
[0] ハルケギニアの舞台劇(3章・最終章)  【完結】 [イル=ド=ガリア](2009/12/04 20:19)
[42] 第三章 史劇「虚無の使い魔」  第一話  平賀才人[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:55)
[43] 史劇「虚無の使い魔」  第二話  悪魔仕掛けのフーケ退治[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[44] 史劇「虚無の使い魔」  第三話  悪だくみ[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[45] 史劇「虚無の使い魔」  第四話  箱入り姫と苦労姫[イル=ド=ガリア](2009/12/07 06:59)
[46] 史劇「虚無の使い魔」  第五話  アルビオン大激務[イル=ド=ガリア](2009/12/05 23:28)
[47] 史劇「虚無の使い魔」  第六話  後始末[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[48] 史劇「虚無の使い魔」  第七話  外交[イル=ド=ガリア](2009/12/04 20:19)
[49] 史劇「虚無の使い魔」  第八話  幕間[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[50] 史劇「虚無の使い魔」  第九話  誘拐劇[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[51] 史劇「虚無の使い魔」  第十話  夏季休暇[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[52] 史劇「虚無の使い魔」  第十一話  戦略会議[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[53] 史劇「虚無の使い魔」  第十二話  それぞれの休暇[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[54] 史劇「虚無の使い魔」  第十三話  遠征へ[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:54)
[55] 史劇「虚無の使い魔」  第十四話  侵攻前[イル=ド=ガリア](2009/12/05 23:32)
[56] 史劇「虚無の使い魔」  第十五話  闇の残滓[イル=ド=ガリア](2009/09/06 22:53)
[57] 史劇「虚無の使い魔」  第十六話  出撃[イル=ド=ガリア](2009/12/05 23:35)
[58] 史劇「虚無の使い魔」  第十七話  軍神と博識[イル=ド=ガリア](2009/09/07 00:24)
[59] 史劇「虚無の使い魔」  第十八話  魔法学院の戦い[イル=ド=ガリア](2009/09/06 23:15)
[60] 史劇「虚無の使い魔」  第十九話  サウスゴータ攻略[イル=ド=ガリア](2009/09/06 04:56)
[61] 史劇「虚無の使い魔」  第二十話  休戦と休日[イル=ド=ガリア](2009/12/05 23:36)
[62] 史劇「虚無の使い魔」  第二十一話  降臨祭[イル=ド=ガリア](2009/09/13 01:48)
[63] 史劇「虚無の使い魔」  第二十二話  撤退戦[イル=ド=ガリア](2009/09/13 01:52)
[64] 史劇「虚無の使い魔」  第二十三話  英雄の戦い[イル=ド=ガリア](2009/12/05 23:39)
[65] 史劇「虚無の使い魔」  第二十四話  軍神の最期[イル=ド=ガリア](2009/09/15 22:19)
[66] 史劇「虚無の使い魔」  第二十五話  アルビオン戦役終結[イル=ド=ガリア](2009/12/05 23:40)
[67] 史劇「虚無の使い魔」  第二十六話  それぞれの終戦[イル=ド=ガリア](2009/12/05 23:48)
[68] 史劇「虚無の使い魔」  第二十七話  諸国会議[イル=ド=ガリア](2009/09/19 22:04)
[69] 史劇「虚無の使い魔」  第二十八話  エルフ[イル=ド=ガリア](2009/09/18 06:07)
[70] 史劇「虚無の使い魔」  第二十九話  担い手と使い魔[イル=ド=ガリア](2009/09/19 08:02)
[71] 史劇「虚無の使い魔」  第三十話  シュヴァリエ叙勲[イル=ド=ガリア](2009/09/20 10:49)
[72] 史劇「虚無の使い魔」  第三十一話  スレイプニィルの舞踏会[イル=ド=ガリア](2009/09/20 10:41)
[73] 史劇「虚無の使い魔」  第三十二話  悪魔の陰謀[イル=ド=ガリア](2009/09/20 14:37)
[74] 史劇「虚無の使い魔」  第三十三話  アーハンブラ城[イル=ド=ガリア](2009/09/21 22:50)
[75] 史劇「虚無の使い魔」  第三十四話  ガリアの家族[イル=ド=ガリア](2009/09/21 08:21)
[76] 史劇「虚無の使い魔」  第三十五話  ロマリアの教皇[イル=ド=ガリア](2009/09/21 23:06)
[77] 史劇「虚無の使い魔」  第三十六話  ヨルムンガント[イル=ド=ガリア](2009/09/22 23:13)
[78] 史劇「虚無の使い魔」  第三十七話  編入生と大魔神[イル=ド=ガリア](2009/09/22 10:47)
[79] 史劇「虚無の使い魔」  第三十八話  楽園の探求者[イル=ド=ガリア](2009/09/22 23:32)
[80] 史劇「虚無の使い魔」  第三十九話  我ら無敵のルイズ隊[イル=ド=ガリア](2009/10/21 21:23)
[81] 史劇「虚無の使い魔」  第四十話  舞台準備完了[イル=ド=ガリア](2009/09/23 22:42)
[82] 史劇「虚無の使い魔」  第四十一話  光の虚無  闇の虚無[イル=ド=ガリア](2009/09/26 04:29)
[83] 史劇「虚無の使い魔」  第四十二話 前編 神の名の下の戦争[イル=ド=ガリア](2009/09/29 20:27)
[84] 史劇「虚無の使い魔」  第四十二話 後編 王の名の下の戦争[イル=ド=ガリア](2009/10/01 21:44)
[90] 最終章 終幕 「神世界の終り」  第一話  悪魔の軍団[イル=ド=ガリア](2009/10/01 22:54)
[91] 終幕「神世界の終り」 第二話 前編 フェンリル 第4の使い魔[イル=ド=ガリア](2009/10/04 08:05)
[92] 終幕「神世界の終り」 第二話 中編 フェンリル 貪りし凶獣[イル=ド=ガリア](2009/10/04 08:06)
[93] 終幕「神世界の終り」 第二話 後編 フェンリル 怪物と英雄[イル=ド=ガリア](2009/10/07 21:03)
[94] 終幕「神世界の終り」  第三話 侵略と謀略[イル=ド=ガリア](2009/10/08 18:23)
[95] 終幕「神世界の終り」  第四話 狂信者[イル=ド=ガリア](2009/10/08 18:25)
[96] 終幕「神世界の終り」  第五話 歴史が変わる日(あとがき追加)[イル=ド=ガリア](2009/10/09 22:44)
[97] 終幕「神世界の終り」  第六話 立ち上がる者達[イル=ド=ガリア](2009/10/09 22:45)
[98] 終幕「神世界の終り」  第七話 人が神を捨てる時[イル=ド=ガリア](2009/10/20 17:21)
[99] 終幕「神世界の終り」  第八話 串刺しの丘[イル=ド=ガリア](2009/10/18 02:40)
[100] 終幕「神世界の終り」  第九話 悪魔公 地獄の具現者[イル=ド=ガリア](2009/10/20 17:26)
[101] 終幕「神世界の終り」  第十話 アクイレイアの聖女[イル=ド=ガリア](2009/10/21 21:07)
[102] 終幕「神世界の終り」  第十一話 パイを投げろ![イル=ド=ガリア](2009/10/21 21:12)
[103] 終幕「神世界の終り」  第十二話 変動する時代[イル=ド=ガリア](2009/10/21 21:16)
[104] 終幕「神世界の終り」  第十三話 終戦の大花火[イル=ド=ガリア](2009/10/21 21:16)
[105] 終幕「神世界の終り」  第十四話 新時代の担い手たち(一部改訂)[イル=ド=ガリア](2009/10/14 21:01)
[106] 終幕「神世界の終り」  第十五話 パイを投げろ!inトリスタニア[イル=ド=ガリア](2009/10/17 06:50)
[107] 終幕「神世界の終り」  第十六話 王家の終焉[イル=ド=ガリア](2009/10/18 02:17)
[109] 終幕「神世界の終り」  第十七話 前編 終幕(エクソドス)[イル=ド=ガリア](2009/10/17 06:43)
[110] 終幕「神世界の終り」  第十七話 後編 終幕(エクソドス)[イル=ド=ガリア](2009/11/15 03:19)
[111] 終幕「神世界の終り」  最終話  そして、幕は下りる[イル=ド=ガリア](2009/11/15 03:25)
[121] エピローグ[イル=ド=ガリア](2009/11/27 22:24)
[122] A last episode  ”1000 years later”[イル=ド=ガリア](2009/11/29 09:37)
[123] あとがき[イル=ド=ガリア](2009/12/02 20:49)
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[10059] 終幕「神世界の終り」 第二話 後編 フェンリル 怪物と英雄
Name: イル=ド=ガリア◆8e496d6a ID:c46f1b4b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/10/07 21:03

第二話 後編    フェンリル 怪物と英雄





■■■   side:キュルケ   ■■■



 サイトとマリコルヌがフェンリル目がけて突進していく。

 その上空にはシルフィードに乗ったシャルロットとギーシュがいる。


 フェンリルはサイトとマリコルヌに反応する。怪物の本能で、今の二人が脅威であると気付いたようね。


 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」


 フェンリルが咆哮し、赤く発光していく。最強の攻撃で二人を消滅させる気ね。

 だけど、二人は全能力を攻撃に使うから、避けることなんか出来はしない。そして、そのために私とジャンがいる。


 私達の役割は、全力でもってあの圧縮炎弾を相殺すること。

 困難どころの話じゃないけど、やらなきゃ全員が焼き尽くされる。


 「ウル・カーノ・ハガラース………」

 私は詠唱しながら自己に埋没していく。

 “イーヴァルディの勇者”の力を発揮できるかどうかは己との戦い。ここで自分を見失うようではフェンリルに勝つことなど夢物語。





 私は“微熱”のキュルケ、私の生き方は、生まれた時から変わっていない。

 どんなことにでも興味を示し、一度夢中になったことはどこまでものめり込む性質だった。

 熱しやすく冷めやすい、それが周囲からの私の評価だったけど、それは完全に逆。


 私の情熱、私の“炎”はどんな時でも冷めることはなく、胸の奥で燃え盛り続ける。

 私は自分の情熱の赴くままに行動してきた。子供の頃から欲しいものがあれば力ずくで奪ってきたし、他人に文句を言われようものなら、炎で黙らせた。内に燃え盛る“炎”を静めるために。

 それは、自分の大切なものさえも焼き尽くしかねない諸刃の刃。明確な形が定まらないそれは、周囲を無差別に焼き尽くし、自由が信条とされるゲルマニアですら私は異端だった。


 それが故に、ウィンドボナ魔法学院を退学し、トリステイン魔法学院に留学することになった。

 それはある意味正解だった。私とは根本的に違う人種ばかりだったから、私の“炎”が反応することはなかった。

 そして、私は生涯で最初の親友を持つ。


 “雪風”のタバサ。


 私とは正反対でありながら、何かに集中してない限り、折れてしまいそうな危うさがあった。まったく逆の性質なのに、行きつく先は同じだった。


 私の“情熱”、私の“炎”はそこでようやく形を得た。自分以外の者の為に戦うという、生涯で初めての経験は、私に明確な形を与えた。

 ハインツ曰く、私は『影の騎士団』の者達と本質が非常に似ているという。

 だから、羊の群れでは生きられない。どうしても異端になってしまい、孤高な存在になってしまう。


 だけど、それでもやはり一人は寂しい。どんなに巨大な炎でも、照らすものがなければ意味がない。


 今の私にはそれがある。孤高になる必要が無い、心の底から対等と認められる仲間がいる。

 私は『ルイズ隊』を照らす“炎”であり、“勝利の女神”。


 私は仲間の為に戦い、その進む道を照らす灯台となり、燃え盛り続ける。


 “微熱”のキュルケ、その真価を今ここに!



 「 『永遠の炎』 」









■■■   side:コルベール   ■■■


 ミス・ツェルプストーが作り出した極大の火炎球は収束し、僅か直径10サント程の光球となる。

 あの“白炎”のメンヌヴィルが作り出す火球の10倍近い大きさの火球が、そこまでに圧縮されたのだ。


 そしてさらに輝きを増し続ける。正に彼女を象徴するように。


私の役割は、この光球を“炎蛇”にて咥え、私の炎と共に、あのフェンリルの圧縮炎弾にぶつけることにある。


「ウル・カーノ・ジエーラ・ティール・ギョーフ…………」

 私は己の分身とも言える“炎蛇”を生みだしながら、戦う理由について思いを馳せた。










 私は“炎蛇”のコルベール。

 かつて罪なき人々を焼き殺した罪人である。

 この“炎蛇”は私の罪の証であり、逃れられない罰そのもの。若かりし頃の私は愚かで、王国の為にこの炎を振るうことこそが正義なのだと信じ切っていた。


 私は“王国の杖”であった。“焼き尽くせ”と命令されれば何の疑いも持たず、それを実行した。


 だが、それこそが最大の過ちであった。私は自らの意思で人々を殺したのですらなかった。

 私は“王国の杖”である前に一人の人間なのだ。どのような理由があろうと、罪なき人々を焼いていいわけがない。それは未来永劫赦されることではない。


 故に、私は研究に打ち込んだ。一人でも多くの人々が幸せになれるよう、“炎”の平和的な利用法を模索した。

 リュティスにあった“公衆浴場”などは私の理想の姿だった。“炎”を争いに使うのではなく、民が安らかに笑えるようにするために利用されていた。


 そして、私が犯した罪によって、かつての“王国の杖”であった私のように、“理想の教皇”でしかあれなくなった青年がいる。

 彼はかつての私だ。あのままではいずれ、絶対に人として破綻する。


 私にはどうすれば彼を救えるのかわからない。しかし、ある青年がその道を示した。

 『貴方は貴方の在り方を貫けばいい、生徒の為に戦うこと、人々の為に研究を続けること、どちらも貴方が出した貴方だけの答えだ。彼を救うのは貴方の役割ではない、貴方の進む道と彼が進む道は、決して交わることがないのだから』


 私に出来ることには限りがある。全てを救おうとするのは傲慢というものだろう。

 今の私は教師であり、研究者なのだ。故に、生徒を守るために戦わねばならない。


 それが私の贖罪だ。“炎蛇”という過去の罪はどこまでいっても消えることはない。

 だが、それでも私は償い続けよう。未来を担う者達が、私のように道を誤らないように。既に道を誤ってしまった彼は、私には救えないが、なればこそ、これ以上増やすわけにはいかない。

 そして、生徒達の笑顔を見ることは私にとっての幸福なのだ。これ以上に自分が生きる意味を実感できることはない。


 だから、私は戦おう。過去の罪を戦う力に変え、未来へと繋げるために。



 「 『贖罪の炎蛇』 」








■■■   side:マリコルヌ   ■■■


 僕とサイトは真っ直ぐにフェンリルに向かって走る。

 僕もサイトも自分の力だけで走っている。魔法の力もルーンの力も、全てフェンリルに叩き込むために。


 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」


 フェンリルが圧縮炎弾を撃ちだす。ここで炸裂すれば全員が燃え尽きる。


 だが。後方から飛んできた炎が、その炎弾を飲み込む


 炎と炎は互いに喰い合い、そして消滅した。

 魔法を消すには対極属性をぶつけるか、同じ属性をぶつけるか。

 対極属性なら仮に相殺が不可能でも、弱めることが出来る。しかし、同じ属性の場合、力負けしたら相手の魔法に上乗せしてしまう。

 だから、フェンリルの炎弾を炎で止めるということは、同等な威力が必要になる。


 「すげえぜキュルケ! コルベール先生!」

 「今がチャンスだ! フェンリルは飛べないはず!」

 「火」の精霊を撃ちだしたすぐ後なら、僅かに精霊の力が弱まる。飛ぶ可能性は低い。


 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」

 しかし、鉄塊を構えて突進してくる。こいつは純粋な身体能力だけで十分怪物なんだ。


 僕の役目は「風」であの鉄塊を弾き飛ばし、サイトに繋げること。できなければ挽き肉になる。


 伝説の使い魔“ガンダールヴ”と一緒に、僕があの怪物に突っ込むんだから凄いことだ。











 僕は“風上”のマリコルヌ。だけど、そんな渾名とは不釣り合いな存在だった。


 魔法が優秀どころか、むしろ劣等生と言った方がいいくらい。

容姿は壊滅的、生まれてから17年、一度だって詩の一節すら贈ってもらったことがない。というか目を合わせただけで笑われるくらいだった。

 運動神経も悪い、家柄も周囲と比較して高いわけでも低いわけでない。しかも次男だから家督は継げない。


 このままだと自分で法衣貴族として生きるしかないんだけど、そんなことが出来るとは誰も思ってなかったし、僕自身ですら思ってなかった。

 なのに、僕は何もせず漫然と時を過ごしていた。まさに豚と同じだ。いや、豚は食べられるから、僕は豚以下だったな。


 そんな風に意味が無いような人生を過ごしてきた僕だけど、ある時の夏季休暇を境に、その人生は大きく変わった。

 実家に帰ってもやることもなく、彼女もいない僕はただ何もせず寮に残っていた。そこをキュルケが引っ張り出して、それからとんでもない日々が始まった。

 何度も幻獣に喰われかけた。骨折なんかざら、命に関わる怪我を負ったこともある。

 けど、周りの皆は同じように傷を負いながら、それを当然のように笑っていた。僕とは違う存在なんだと思った。


 けれど、そう思っていたのは僕だけだった。ギーシュもサイトも、僕を見下すことなく、常に対等に接してくれた。

 だから、本当の意味での仲間になりたくて、僕は最初の一歩を踏み出した。


 僕には才能なんかない、彼らのように走れるわけじゃない。けど、だからこそ進み続ける。

 一歩一歩、確実に、今よりは自信が持てる自分になれるように、女の子にもてるような自分になれるように。


 だけど、そんな簡単にいくわけない。戦争に参加してですら、僕の評価は元のままだった。

 だがそれがどうした。一回で駄目ならまた挑めばいい、元々が元々だ。たった一回でものに出来るほど、僕は優れちゃいない。
 
 それでも、前に進み続ける。前に前に歩いていけば、凡人だって勇者と一緒に戦える。


 それが僕だ。風上に向かって一歩一歩、凡人の速度で進み続ける。

 だから、いつかは辿り着く。人間の容量なんて限界がある。頂上の高さは決まってるんだから、数年遅れになろうが、僕の友達は待っていてくれるだろう。

 彼らは、僕を対等な仲間だと認めてくれているのだから。


 そんな友の期待に応えることは、共に走ることじゃなくて、絶対に諦めず進み続けること。

 歩き続ける。進み続ける。高みを目指して。


 だから僕は「風」に自分の存在を懸けるのだ。



 「 『前進の風』 」









■■■   side:才人   ■■■


 マリコルヌが放った「風」が、フェンリルの巨大鉄塊を弾き飛ばした。


 そして俺は無防備になったフェンリルに走り込む。


 俺の役割は全力でこの怪物の首を叩き落とすこと。これが出来なきゃ後に続かねえ。


 「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 “ガンダールヴ”の力を全て上半身に、かつ、斬撃の瞬間に集中させる。











 俺はただの高校生だった。

 可もなく不可もなく、どこにでもいる存在。平和に普通に過ごしていたけど、俺は自分らしく生きていたかと思うと疑問が残る。


 俺は俺らしくじゃなくて、日本の一般的な高校生らしく生きていただけじゃねえのか?その前は中学生らしく、その前は小学生らしく、ただそういった風に生きてきた。

 このハルケギニアと違って日本の社会システムはもの凄く発達してる。だから、社会に守られていれば普通に過ごせるけど、逆にそこに馴染めないと爪弾きにあう。

 ここに来る前まではそんなこと考えたこともなかったけど、こっちに来て、俺は“生きる”という意味を知った。


 今、俺は俺らしく生きている。胸を張ってそう言える。

 水精霊騎士隊の連中や、『ルイズ隊』の皆と共に生きることは楽しい。日本が嫌いなわけじゃねえけど、向こうで生活するのは俺にはもう無理だ。

 向こうには危険が無い。冒険が無い。未知が無い。求める方がどうかしてるのかもしれねえけど、今の俺はそういう風に生きたいんだ。

 ま、たまには里帰りもしたいけどな。


 だから俺は仲間と共に生きる。『ルイズ隊』の切り込み隊長。それが俺だ。

 俺は仲間の為に戦う。世話になった人達の為に戦う。そして、大好きな人の為に戦う。


 俺は“ガンダールヴ”、勇猛果敢な神の盾。

だけど神はもういらない。俺は自分の意思で走る。どこまでもどこまでも疾走する。


 俺の持ち味は“速度”、アルビオンで7万に突っ込んだ時に戦ったボアロー将軍と後に会う機会があり、その時に異名を贈られた。

 “神速”のサイト。

 神に与えられた速さじゃなくて、神を超える速さで疾走する。


 今はまだそう名乗れる程じゃないが、胸を張って名乗れるように、俺はさらに速く、どこまでも疾走する。


 あの時の感覚を思い出せ。俺は7万に突っ込んだ時何を願った?

 “イーヴァルディの勇者”を最大限に発揮するには、己の戦う理由や求めるものを明確にしないといけない。


 俺は『ルイズ隊』の切り込み隊長。仲間の為に先陣を切って突撃する最初の刃!


 駆け抜けろ! 駆け抜けろ! 駆け抜けろ!


 余分なことは考えるな! そんな暇があれば走り抜けろ! どこまでも速く! 誰よりも速く!


 それが俺だ!




 「 『至高の疾走』!! 」











■■■   side:シャルロット   ■■■


 サイトの剣がフェンリルの首を切り落とす。

 そして、その瞬間、シルフィードに乗って上空で待機していた私は魔法を開放する。


 作り上げるは巨大な氷柱。

 あのフェンリルを上から串刺し、地面に完全に縫い付ける。

 フェンリルの皮膚はもの凄く硬く、大砲すらも弾くほど。

 だけど、刎ねられた首は別。そこに精密な制御で持って、氷柱を叩き込む。


 フェンリルの動きを止める。全てはそのために。












 私は“雪風”のタバサ。

 父を殺され、母の心を狂わされた私が、その心を取り戻すまで戦い続けることを誓った力の名。

 その時まで、私は冷静なる殺意であろう。心無き人形となり、母の傍に今もいる“シャルロット”の代わりに私が母の為に戦うのだ。

 だけど、それを溶かしてくれた人達がいた。母の為に戦ってくれる人は私だけじゃなかった。


 私は守られるだけだった。どんな危険な任務でも、あの人達は常に私を気にかけていた。


 だから、私は戦うのだ。大好きな人達の為に、もう失わないように、人形ではなく、“シャルロット”として戦うのだ。

 私を“シャルロット”と呼んで、好きだと言ってくれた。サイトの為にも。

 だから、私の中で荒れ狂っていた氷嵐は、私の意思でまとめられている。


 その力を持ってして、私は仲間と共に戦う。失った過去を取り戻すのではなく、目指すべき未来の為に。


 私は未来の為に戦う。過去の妄執は私達で終わらせる。もう闇は必要ない。



 その心は復讐に囚われ嵐の如く荒れ狂う。冷徹なる檻はそれを封じ、その氷嵐はどこまでも高まり続ける。我はただ冷静なる殺意であろう。

 されど、最愛なる人達がその氷を溶かしてくれた。故に、その水とその風は、我の意思の下に収束し、立ちはだかる壁を突破する、無敵の槍となる。


 「 『未来への白銀世界』 」












■■■   side:ギーシュ   ■■■


 タバサが放った氷柱は完全にフェンリルを串刺しにし、地面に縫い付けた。

 だが、これだけでは足りない。動きは封じたけどフェンリルの身体はまだ動く。

 このままルイズが近づけばあの腕一つでルイズは引き裂かれる。


 だから僕がいる。タバサの氷柱の芯には僕が『錬金』で作り出した鉄塊が使われていた。

 後はそれを解き放つのみ、フェンリルの身体を内部から貫き、関節を砕き、つっかえ棒とし、動きを完全に封じるために。











 僕は“青銅”のギーシュ。

 武門の名家、グラモン家の四男として生まれた。

 兄達は皆優秀で、ドットの僕とは大違い。長男は後継ぎ、次男は空軍の艦長、三男は王軍の陸軍士官。


 元帥であった父の七光ではなく、皆実力で持ってその座に就いた自慢の兄達だ。

 僕も戦う才能自体はそう捨てたものでもなかったが、兄達に比べれば大きく劣った。


 王軍士官である兄は巨大なゴーレムを作り出し自在に操るが、僕にはそんな真似は出来ない。

 だけど、唯一僕が兄達に勝る点があった。それは作り出すゴーレムの芸術性。

 僕が作るゴーレムはとても美しく、芸術品と言っても通用するような出来だった。

 ことゴーレムに関してなら、ラインだろうと負けはしないという自信が僕にはあった。


 だけど、そんな妄想は平民のサイトに簡単に砕かれた。

 芸術性なんて、戦場で戦う上で何の役にも立たないということを思い知った。“ワルキューレ”はそれしかなかった僕の具現だったのだ。何しろ、オーク鬼一匹すら仕留めることが出来ないんだから。


 芸術性のあるゴーレムなんか操ったところで、それは戦場を共に戦う仲間の為にはならなかった。

 必要なのは、美しさではなく生き汚なさ。穴を掘って敵を嵌め、土の腕で敵の足を攫む。そんな技術こそが仲間の為になったのだ。


 そして、僕は自分の名誉のためじゃなくて、仲間の為に、大好きなモンモランシーの為に戦うことにした。


 無様であってもいい、誇りが無くとも構わない、心から笑い合える友人達と、共に戦えるのならば。


 故に、“ワルキューレ”が導く僕のヴァルハラはそこにある。

 美しい箱庭ではなく、危険と冒険に満ちた、仲間と共に歩む道。


 「 『鋼の楽園』 」











■■■   side:モンモランシー   ■■■


 ギーシュの魔法が炸裂し、フェンリルは体内から無数の槍に貫かれる。

 ここに、フェンリルは完全にその動きを封じられた。首から地面まで貫く氷柱と、全身に広がる鋼の槍が抑えつけている。


 「今よ! モンモランシー!」

 私とルイズは地下トンネルを通って、フェンリルのすぐ傍で待機していた。

 サイトとマリコルヌが正面から突っ込んだおかげで、フェンリルがこちらに気づいてはいても、反応することはなかった。


 「了解!」

 私は渾身の作品を開放し、フェンリルに叩きつける。

 あまりにも強力すぎる故、その扱いには最新の注意が必要。だからこれを扱えるのは私だけ。


 私とルイズは“イーヴァルディの勇者”を使っていない。

 私は戦いの後に皆を治療しなくてはならない。治療者(ヒーリショナー)は死ぬことも意識を失うことも許されない。


 そしてルイズはその特殊性の為に、彼女の“虚無”だけはどんな薬をもってしても効果がない。ハインツの精神薬にしても、あくまで重要なのはルイズの意思であって、補助しか出来ないのだから。


 私の放った薬がフェンリルの胸に命中する。

 ルーンが刻まれている胸は、薬によって音を立てて溶解を始める。


 その薬の名を“王水”。

 ハインツが作り出す薬品の中でも最強の威力を誇り、『固定化』をかけられたもの以外はどんなものでも溶かす。

 それを私が再現した。しかも粘性を持って一定の形状を保ち、相手を溶かし尽すまでは離れない。


私は“香水”のモンモランシー。どんな秘薬だろうと、私に調合出来ないものはない!


 以下にフェンリルが硬い皮膚を持とうとも、これには抗えない。


 そうして、全ての布石は整い、ルイズがフェンリル目がけて突撃する。









■■■   side:ルイズ   ■■■


 水精霊騎士隊も『ルイズ隊』も、全員が己の務めを果たした。

 ならば後は私だけ、皆がまさに命懸けで繋いでくれたのだ。ここでしくじったらゴミ以下だ。
 

 「はああああああああああああああ!!」


 私は左手に杖を持ち、右手で思いっきりフェンリルの胸を殴りつける!


 ジュアアアアアアアアア!


 肉の溶ける音と臭いがする。

 フェンリルの胸には“王水”が一定の形を崩さずに付着している。この結果は必然。


 「溶けて混ざれ!!」

 激痛に耐えながら私は精神を集中する。これからおこなう術は『爆発(エクスプロージョン)』とは全く異なる精神力が試される。

 今、“王水”によって溶けたフェンリルの肉と私の肉は混じっている。つまり、それは一体化しているとも言える!


 そして、最後の詠唱を始める!


 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 五つの力を司るペンタゴン! この者に祝福を与え! 我が使い魔と成せ!!」


 唱えるのは『コンタラクト・サーヴァント』、“虚無”の中で最も簡単な魔法とも言える基礎中の基礎。



 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」


 フェンリルが咆哮する。信じられないけどもう首が再生している。

 フェンリルの身体が発光し、周囲に暴風が吹き荒れる!


 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 凄まじい反発力が私に流れ込んで来る。“ネームレス”が私を拒絶している。


 これが最後の策。ガリア王ジョゼフによって“ネームレス”を刻まれたフェンリルに、私がさらにルーンを刻む。


 ルーンは一人に一つきり、複数のルーンを刻むことは出来ない。


 このルールは絶対、フェンリルは規格外の存在だけど、理に沿って存在している。故に、この法則には逆らえない。


 当然、既にルーンが刻まれている存在に、新たなルーンを刻むのは不可能。

 だけど、別の担い手ならばどうか?

 担い手がブリミル一人の時にはあり得なかったけど、今は複数の担い手がいる。そして、ガリア王ジョゼフに刻めたのならば、同じ虚無の担い手である私にもそれが可能なはず。

 “ミョズニト二ルン”を使い魔とするジョゼフが刻めたのだから、“ガンダールヴ”を使い魔とする私に刻めない道理はない!



 そして、フェンリルの肉と私の肉は今混じり合っている。“使い魔とメイジは一心同体”まさにその状況だ。

 通常のキスによる結合なんかとは比較にもならない。性行為ですらこれ以上の結合はあり得ない。まさに、一体化しているのだから。


 担い手が傍にいて、『そいつを受け入れるな』と命令するならともかく、今、フェンリルに命令を与えられる存在はいない。


 「ああああああああああああああああああああああああ!!!」

 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」


 後は純粋な力比べ、“ネームレス”が勝つか、私が勝つか。

一つの肉体に二つのルーンを刻むのが不可能な以上、どちらかが消滅するか、もしくは両方共消滅する。


 凄まじい反発力、味わったことが無い苦痛。まるで、魂が削られているかのよう。

 だけど、ここで引いてたまるものか! 負けてなるものか!


 私は“博識”のルイズ! 6000年も前の骨董品如きに負けてなるものか!


 私は虚無を超えてみせる! 自分の知恵と力で生きていく! 虚無などその手段の一つに過ぎない!



 故に“ネームレス”、貴様はここで消え失せろ! この世界に貴様は必要ない!



 「フェンリルルルウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!! あんたは今から! 私の奴隷よ!!」

 
 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」



 フェンリルを中心として凄まじい衝撃が起こり、私はフェンリルと切り離され、吹き飛ばされた。















 そして、フェンリルは沈黙し、身動き一つしなくなった。


 身体は全て再生している。完全に元に戻っているが、動く気配がまるでない。


 だけど、唯一違う点がある。胸に刻まれていた“ネームレス”のルーンが存在しない。



 「GAaaaaaaaaaaaa」


 その口からうめき声が漏れる。


 そして、その肉体が崩壊していく。

 “ネームレス”によって縛り付けられていた魂が解放され、その肉体に宿っていた膨大な精霊の力に耐えきれず、自壊していく。



 時間にして1分も無く、フェンリルはこの世から消滅した。

 死体は残らず、塵に帰るかのように風に乗って吹き去って行った。

 あれほど暴れ狂った凶獣は、最後にはただ静かに消えていった。


 鉄塊だけが、フェンリルの墓標のように、地面に突き刺さっていた。















■■■   side:モンモランシー   ■■■


 「しっかし貴女も無理するわね、この手、使い物にならないわよ」

 ルイズの右手の肉は完全に溶け落ち、骨しか残ってなかった。

 “王水”で組織が脆くなった上に、最後の衝撃で弾かれた際にこそげ落ちたみたい。


 「仕方ないでしょ、フェンリルを打倒するにはあれしかなかったんだから。文句はあんな怪物を作った糞馬鹿に言いなさい」

 平然と答えるルイズ。この子には痛覚がないのかしらね?

 「痛いことは痛いわよ、けどね、魂を直接えぐられる痛みはこんなもんじゃなかったわよ。あの“ネームレス”はとんでもなかったわね」

 何で心を読めるのかしら?


 ちなみに、『ルイズ隊』の他の面子はシルフィードが回収して現在全員気絶中。

 “イーヴァルディの勇者”の反動がもろに出たわね。

 だから、まともに動けるのは私だけ、ま、治療士(ヒーリショナー)の宿命ね。

 これが私の在り方。絶対に死なず、仲間を死なせない。生きて生きて生き抜くこと。


 「ところで、水精霊騎士隊の連中の被害はどうなの?」


 「全20名中、軽傷で済んだのが2名、こいつらは「水」メイジね、一緒に治療してたけどダウンしたわ。それから裂傷や骨折などの重傷が12名、命に別状はないわね」

 思い出しながら告げる私。


 「残りは?」

 「腕が千切れたのが2名、腹を貫かれたのが2名、どっちもフェンリルが砕いて吹っ飛んできた岩盤にやられたみたいで、ちょっとした挽き肉だったわね」

 なかなかに壮絶だったわ。

 「後二人いるわね」


 「ええ、指揮官代行をしていたレイナールの足がもげたわ。どうやら、とんできた岩石から仲間を逃がす為に最後まで『レビテーション』で支えてたみたい」

 相当に無茶するわ。

 「最後の一人は?」


 「サイトの代わりに最前線で戦ってたギムリね。鉄塊は避けたみたいなんだけど、左手の爪が飛んできたらしく、めでたく腹を境に、上半身と下半身が泣き別れになったわ」

 一番のホラーだったそうね。


 「完全に死んでるわね」

 「まあそうなるはずだったんだけど、陽気な悪魔が現れて治していったみたいなのよ。てゆーか、戦闘続行が不可能になった隊員がいつの間にか戦線から離脱してたみたいよ」

 そんな真似する馬鹿は一人だけ。


 「あの糞馬鹿、そこまででしゃばるなら、そもそもあんなもん作るんじゃないわよ」


 「そういうわけもいかなくてな、旧世界の怪物のフェンリルと、新時代の担い手であるお前達のぶつかり合いは必須条件だったんだ」

 と、そこに例の悪魔が登場。

 「ハインツ、の遍在ね、また“ヒュドラ”を使ったわねあんた」


 「然り、そこは『カッター・トルネード』を使った段階で分かってただろ。本体は今ロマリア軍に演説してる真っ最中だ。フェンリルの死と共に引き上げるんでな」

 いつも通ねこの二人、フェンリルを作って、操ってた張本人と、それを倒した人物の会話とは思えないわ。

 まあ、ハインツは元々異常者だし、ルイズもそれに負けず劣らずだけど。


 「まあそれよりだ。これを受け取れ」

 そう言いながらハインツがルイズに何かを放り投げる。


 「これは?」


 「『アムリットの指輪』だ。純度は劣るが、テファが持ってる指輪と能力は同じだ。これなら大体の傷は治る。もっとも、完全に溶解した肉を再生させるには相当かかるぞ。一か月ではすまんな」

 まあ、そうでしょうね。先住魔法といえど限界はあるし。

 「問題ないわ、左手で杖さえ握れれば魔法は唱えられる。それに、腕がちぎれようが、足がもげようが、頭さえあれば私は戦えるわ」

 言い切ったわね、流石は“博識”。

 「それよりもハインツ、ロマリア軍はどうなってるの?」


 「半壊状態だな、フェンリルの圧縮炎弾で吹っ飛んだのが約3千、首なし騎士、キメラ、“レスヴェルグ”、“ガルム”にやられたのが約1千、合計4千は死んだからな。これだけ死んだらもう軍隊の形をなしてない。ついでにヴィンダールヴにも重傷を負わせた、硫酸を顔に浴びせてな。ハンサムな顔も台無しになったなあ。治るには3週間くらいかかるぞ」

 随分死んだわね、まあ、何人死のうが私達にはどうでもいいことだけど。


 「教皇の手駒の一つはしばらく動けないわけね。だけど、あくまで“聖戦”は続行される。何しろエルフから聖地を奪還するまでは終わらない」


 「わざわざ死にに御苦労なことだがな。しかし、お前達の判断は見事だったな。これならどっちに転んでもトリステインに害はない。しかも、お前達にとっては未来への布石になる」

 ああ、例の計画ね、知ってるのは私とキュルケだけだったわね、まだ。


 「ま、トリステインは私達にはちょっと狭いとは思ってたしね。自分の国に留まっていることが必ずしも祖国の為になるとも限らないし。それよりもあんた、なに考えてあんなもん作ったのよ。いくら闇を見せつけるって言っても限度があるでしょ」


 「フェンリルか、あれは6000年の闇の技術と虚無の結晶だ。つまりは、ブリミル教世界の象徴ともいえるな。元々あの怪物はエルフに対抗する手段の一つとして考えられたものだ。それに虚無が加わったわけだからな、本来ならあれを武器にして“聖戦”を行ってるところだ」

 どっちもどっちね。人間が考えるんだから当然だけど。


 「たく、何回死にかけたと思ってるのよ」


 「だが生きてた。フェンリルとの戦いはそういうものだ。全員が生き残るか、全員が死ぬか。お前達『ルイズ隊』は専門家の集団だから代わりがいない。ギーシュが死んでも、マリコルヌが死んでも、サイトが死んでも駄目だ。その欠けた穴から全面的に崩壊し、悉くフェンリルに殺される。あの怪物は自分の半径数10リーグにいる人間は全部殺そうとするからな」

 さらりと、とんでもないこと言うわね。

 「確かにね、誰かを犠牲にして勝利できる怪物じゃなかったわ。10を犠牲にして90を生かすのはありえない。0か100か、その二択しかなかったわね。で、もし私達が死んでたらどうするつもりだったのよ」

 そこは気になるわね。


 「だから、俺はお前達がフェンリルを倒す方に賭けたのさ。そこのところは感謝してるぞ。もし万一シャルロットを死なせようものなら、俺は間違いなくイザベラに殺される」


 「嘘言うんじゃないわよ。あんたが万が一に対する備えをしてないわけがないし、そもそもあの子を死なせるわけがないでしょ」

 確かに、ハインツがタバサを死なせるとは考えにくいわね。


 「鋭いな、万が一の時は“レーヴァテイン”を投下することになっていた」


 「レーヴァテイン?」

 何かしらね?


 「『火石』をミョズニト二ルンが操ることで時限爆弾に変えたものだ。フェンリルの圧縮炎弾と違って一回限りの代物だが、直径10サントの『火石』で直径10リーグの火炎球が出来あがる。流石のフェンリルといえどひとたまりもない」

 とんでもない代物ね。ていうか、そもそもロマリアに勝ち目はないわけね。


 「それって、どう考えても私達も巻き込まれるんだけど」


 「だから、俺が死ぬ羽目になる。“ラドン”を打って『遍在』を10体くらい作り出し、入れ替わりフェンリルに挑ませる。その間にお前達を回収して5リーグ以上離脱する。そのための竜は用意しておいたしな。あとはミョズニト二ルンが“レーヴァテイン”を投下すれば片が付く。そのためにヨルムンガントが破れたここを、戦場にしたんだ」

 普通にハインツが死ぬことが前提になってるわね。あの“ラドン”は一度打ったが最後、絶対に助からないそうだし。

 「自分が死ぬことを前提に、緊急対策を練ったのねあんたは」

 ルイズですら呆れてるわ、私もだけど。


 「当然だろ、俺はお前達に生きるか死ぬかの危険な橋を渡らせた。そして生き残る方に賭けた。もしそれが外れたんなら、俺が死なないと帳尻が合わん。賭けってのはそういうもんだ」

 間違いない、異常者ねこいつ。


 「で、自分の妹を含めた連中を怪物と戦わせて、もし失敗したら自分が死ぬわけね。なに考えたらそういう結論になるのよ」

 「俺にとっては当たり前の理屈何だがなあ。俺はお前達を死なせない為なら何でもするぞ」

 相変わらずハインツはハインツね。


 「でも、ロマリア軍は大量に消し飛んだけど?」

 「あれはいいんだよ。俺、あいつら嫌いだし」

 もの凄い自分勝手な考えね、流石は悪魔。こいつは自分が助けたい人間しか助けないからね。


 「“レーヴァテイン”を投下した場合でも、あいつらは全員消し飛んでたしな。どっちにしろフェンリルに殺されるのは間違いないし、大差はない」

 つまり、私達が勝たなかったら、私達はハインツが助けるとしても、ロマリア軍は全員死んでたってことね。


 「で、その生き残ったロマリア軍はどうなるのかしら?」


 「当然この先の戦いで全滅する。ここで生き残ったことを悔やむだろうな。今回はほんの序の口に過ぎん。恐怖劇(グランギニョル)の本番はここからだ。より残酷な、より無残な死に方になる。死者の数もどんどん増えるし、狂気は加速していく」

 これが序の口ね、一体何人殺すつもりなのかしら?


 「流石に今回みたいなのはもう御免よ」


 「大丈夫、お前達の役割はここで一旦終了だ。のんびり恐怖劇(グランギニョル)を観覧してればいい。何しろ、戦争というもののおぞましさ、人間の残酷さ、狂信者の残虐さ、世界の歪み、そして、国家の支配者が狂った時、どれほどの惨劇が展開されるか。一人の人間が絶対的な権力を持つとはどういうことか。そういった人間世界の負の要素が余すとこなく組み込まれてる。良い社会勉強になると思うぞ」

 何とも最悪な社会勉強だわ。


 「何人殺すつもりよあんたは、絶対呪われるわよ」


 「構わん、俺がやりたくてやってることだ」

 凄い、言い切ったわねこいつ。偽善がどこにもないから逆にすがすがしいわ。


 「はあ、普通は未来の為とか、この世界の為とか言うところなんじゃない?そこ」


 「自分を絶対の正義だと信じて進み続けるのは狂信者。悩みながらも国家の為や、家族の為、自分の大切なものの為に戦うのが普通の人間。で、自分がやりたいからやるのが俺や陛下だな」

 最悪の存在ね。


 「一番性質が悪いわよ、自覚しながら止まる気がないんじゃどうしようもないし。その癖、無関係の人間が被害を受けないようにあらゆる手を打つんだもんね。正直、あんたら以上に被害を出さずに聖戦を止めることはできないでしょうね」

 そう言えば、結局アクイレイアの市民の被害者はゼロ、死んだのは戦争を生業とする軍人だけね。

 死にたくないならそもそも軍人になんかならなきゃいいわけだし。その点は私達も同じだけど、こいつは自分が助けたかったら誰でも助けるからね。限りなく不平等に。


 「ま、私達はあくまで自分達とトリステインの為に戦ってるから、この戦争でロマリア人が何人死のうが構わないんだけど。ロマリア宗教庁を滅ぼした後、あんたはどうする気?」


 「察しが良いな、俺や陛下は秩序を壊す人間だ。今はいい、壊すべきものがあるからな。だが、それを壊した後、世界が再建と安定の時代に入れば、俺達は平和を脅かす異分子でしかなくなる。俺達は作る側の人間じゃないからな」

 よくまあ、平然と自分はそういう存在だって言えるわね。ま、そこがハインツがハインツたる由縁だけど。

 「で、そうなったらどうするの?」


 「まだ考えてない。俺は今を生きてるからな、未来のことはその時考える」

 未来が不定なのに、ハインツは今だけを生きている。よくまあ不安にならないもんだわ。普通だったら精神が崩壊してるわよ。


 「あんた、今回も相当な無茶したでしょ。近いうちに死ぬわよきっと」


 「性分だ、仕方ない」


 「そういうわけにもいかないの、タバサの兄なんだし。サイトの兄にもなるんだから、あんたは」

 あ、そう言えば二人は結ばれたんだったわね。


 「お、ついにやったか二人共。これはいいことを聞いたな、すぐにイザベラに知らせてやらねば」

 喜ぶハインツ、一体何の為に生きてるのかしらねこいつ。


 「とにかく、少しは自分の体のことも考えなさいあんたは。あんたのとこの技術なら対抗策の一つや二つあるでしょ」


 「多分な、お前の姉さんの病気に関する研究の準備も、実は水中人の人達に既にお願いしてある。お前が技術開発局に来れるようになる頃には、専用の研究設備は整っているだろう。後はお前次第だな、頑張って救え」


 「言われなくてもやってやるわよ」

 そうして、ハインツの身体が透け始める。


 「さてと、とりあえず今はこんなとこだな。引き際だけには注意しろよ。ま、フェンリルを倒したお前に今更言うことじゃないかもしれんが、念を押すに越したことはない。今度会うのは一段落ついてからになるだろうな」

 ハインツの遍在は消え去った。
 

 「ふう、相変わらずの異常者ね」

 ルイズがため息をつきながら言う。


 「私から見れば貴女も十分異常者よ、これから数万人を殺そうとしてる奴と普通に話してるんだから」

 ま、私も似たようなものだけど。


 「為政者なんてみんなそんなものよ。違うところは、普通の人間は国家とか色んなものに責任を分散してるけど、あいつは全部自分で背負ってる。何万人もの人間の死をね。しかも、自分がそうしたいからって理由だけで」

 教皇様とは正反対ね。


 「ま、私達の方針は変わらないわ。ひとまずは帰って、テファが作ってる晩御飯を食べましょう」


 「起きてるのは私達だけだけどね」

 そして、私達は何回かに分けて、シルフィードで全員をアクイレイアの街に運び込むのだった。














■■■   side:ハインツ   ■■■


 遍在との認識共有を終え、俺は意識を一つに纏める。

 ロマリア軍は一応勝利したわけだが、その被害は甚大だ。一旦アクイレイアの街に引き返すだろう。


 「しかし、あいつらは本当に強くなった。新しい時代はあいつらに任せれば問題ないな」

 俺は壊すことしか出来ない。

 北花壇騎士団副団長として、粛清や暗殺を司るが。国家を支え、人々を引っ張っていくのは別の人間の役割だ。

 俺がするのは、優秀な人材を見つけ出し、彼らが活躍しやすいように、それを阻害するゴミを掃除すること。

 当然、ゴミかどうかの判断は俺の主観に依るわけだが。


 「これからは国際的な人種が必要になる。あいつらならまさにそういう気質を持ってる。国家に属するんじゃなくて、自分に属することが出来る」

 だが、ただの犯罪集団では意味がない。必要なのは自由と自律を両方持ってる人材。


 自由・自律・自主・自尊。これを唱えたのは誰だったかな?


 「そして、あのフェンリルを倒した。勝ってくれると信じていたが、どう勝つかまでは分からなかったからなあ」

 “ネームレス”の特徴を逆手にとり、『コンタラクト・サーヴァント』で破るとは。


 あれを“ヴィンダールヴ”や“ミョズニト二ルン”にやっても意味はない。

 出来たとしてもせいぜい1分くらい、能力を消すのが関の山。


 だが、“ネームレス”がその真価を発揮している時、最大の弱点が存在する。

 魂を肉体に縛り付けることで動いているので、常に能力を発動していなければならず、それ故に魂は“ネームレス”に削られていく。

 だから、一瞬でもそれが途切れれば、魂は解放され、魂に刻まれている“ネームレス”は消え去る。

 フェンリルの場合は体内にあった精霊の力が肉体の限界を超えていたので、死体すら残らず塵に帰った。


 「あれが、テファが召喚する本物の“ネームレス”だったら何の意味もないんだろうが」




■■  回想  ■■


 「どうした、まだ疑問があるのか」


 「ええ、とても単純なことなのですが」


 どうしても気になることがある。


「このネームレスって、消去法でいってテファの使い魔になるんですよね。使い魔は主と似た性質のものが呼ばれるって言いますけど、どう考えてもテファには相応しくありませんよ」


 うん、絶対似合わない。


 「そうではないぞハインツ、あのハーフエルフの娘ほどネームレスに相応しいものはおらん。いや、あの娘でなくてはならんのだ」


 テファでなくてはならない?


 「というのはな、もし俺だったら『サモン・サーヴァント』をした時期を考えると、おそらくすべてを皆殺しにするような命令をしただろうし、トリステインの娘では気味悪がって嫌悪しただろう。ロマリアの教皇に強力な武力など与えたら、何をするかわからんぞ」


 確かに、陛下がサモン・サーヴァントをしたのは、オルレアン公を殺したすぐ後だから、まさに血の雨が降ったことだろう。
 

 「そこでだ、あのハーフエルフの性格から考えて『自分に逆らう人間を皆殺しにしろ』だの『気に入らないものを全て破壊しろ』などという命令をすると思うか」


 「絶対しません。テファがそんなこというなら、きっと俺は今頃敬虔なブリミル教徒でしょう」


 「だろうな、あの娘なら呼び出した使い魔が、微動だにしない人形のようになり、それがルーンのせいだとわかるとなんと言うと思う」


 テファならきっと


 「そうですね、泣きながら謝った後、『あなたの心を無くさないでください』とか『本当のあなたに戻ってください』とかですかね」


 「そうだ、そしてネームレスはかつての人格を取り戻す。それ以降も主の命令は聞く機能はあるが、命令にキーワードなどをつければ問題ないな」


 「キーワードということは、たとえば『我。忠勇なる僕に求め訴えん』などを言った後の言葉のみを命令として聞け、といった『命令』をすれば、それ以外の言葉は単なる『お願い』になるのですね」


 「正解だ、今お前が言ったのがいい例となるが、本人が絶対言わないような言葉をキーワードにすれば、『不滅の戦士』となるはずの使い魔は、『いざというとき頼りになる友達』になるというわけだ」



 さすがテファだ。彼女の慈愛はどこまでも深いからな。



 「それにしても陛下、よく会っていないテファのことがわかりますね」


 「いや、これはハーフエルフの娘を先に考えたのでなく、研究していくうちにネームレスのルーンの抜け道を見つけたからだ。それがあの娘につながったのだ」


 「抜け道を先に見つけたというのは、どういうことですか?」


 「今言ったルーンの無力化のことだ。おそらくなハインツ、ブリミルのやつにとって、第4ルーンは予想外のものだったのではないかと考えている」


 ブリミルはこのルーンを意図して創ったわけではなかったということか。
 

 「ブリミルが求めたのはサブ機能のほう、つまりオールマイティな使い魔のルーンを作ろうとしたのだろう。そのため、他の3つのルーンを掛け合わせて、新たなルーンを作った。しかし実際刻んでみてビックリ、使い魔は自我無き傀儡となった。当然だな、他の3つはそれぞれの特性のほかに、精神作用の効果もあるのだ、それが3つ重なり、さらに相乗効果で効果が大きくなった結果がそれだ。慌てたブリミルは、何とかするためにさっき言った”抜け道”をルーンに追加させた」


 ブリミルって、もしかしなくても間抜けか。まあ、サハラにゲートが残ってる時点で薄々思ってはいたが、


 「ブリミルって馬鹿だったんですかね」


 「研究者としては優秀だったのだろう。だが、人間としては間抜けだったに違いない」


 「そんなやつを神と崇めてるんですね。この世界は」


 「優秀で間抜けなやつほど、偶像に仕立て上げるのに便利だ、おそらく、ブリミルを担ぎ上げて現在のブリミル教を創った奴が他に居たのだろう。だがまあ、それは俺たちが論ずべきことではない、歴史家に任せればいいことだ」

 弟子であったフォルサテ、墓守としてロマリアを建国し。彼の地を“聖地”に次ぐ神聖なる土地とした。


 「そうですね、始祖が本当は間抜けだったという事がわかっても、それが現在の腐敗したブリミル教世界を破壊するのを止める理由にはなりません。6000年の間にたまった老廃物を除くことは揺るぎませんから」


 「その通りだな。俺達は俺達がやりたいようにやるだけだ。だが、実に名前は的を得ていると思うぞ。“ネームレス”。すなわち担い手の人格によって全てが決まるというわけだ」


 確かに言えてるな。


 「心優しいテファが使い魔にすれば『いざというとき頼りになる友達』となり、“悪魔公”と“虚無の王”がルーンを刻めば、“貪りし凶獣”フェンリルとなる。怪物を生み出すのは結局、人間の闇ということですか」


 「そうだ。そして、“怪物”である限り、“英雄”には勝てん。ロマリア軍が何万でかかろうとも“人間”では“怪物”には勝てんが、“怪物”は“英雄”に打倒されるのが宿命だ」


 有名なる三すくみ、“人間”、“英雄”、“怪物”か。


 「ですが、“英雄”は“人間”に勝てない。なぜなら“人間”から崇められる故の“英雄”であるから」


 「そうだ、“人間”から崇められなくなった“英雄”はただの殺人者となる。そして、殺した数が多ければ“怪物”にもされる。そして、それを殺すために新たな“英雄”が作り出される。世界とはそういうものだ」


 だからルイズ達は“神の恩寵を受けた英雄”ではなく。“人間の英雄”なのだ。

 民衆の意思の具現でもなく、神の意志の具現でもなく、あいつらは自分の意思で戦っている。


 「分かりました。それでは新時代の英雄達に期待しましょう。彼らならきっとフェンリルを打倒出来ます。そして、これまでとは異なる新たな英雄の在り方を作り出してくれるでしょう」


 「人の理想ではなく、あくまで人のままの英雄か。面白いことになりそうだ」



■■  回想終了  ■■



 「ま、新時代はあいつらに任せて、俺は俺がやりたいことをするとしよう」

 後を託せる者がいるというのは実にいい。

 遠慮なく思うがままに行動できる。


 「さあ、いよいよ恐怖劇(グランギニョル)は加速しながら進んでいく。流される血が、6000年の膿を流してくれるよう。悪魔の仕事を完遂せねば」


 全ては己が意思によって。

 それが、“輝く闇”たる俺の在り方だ。




 恐怖劇(グランギニョル)はまだ始まったばかり。








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あとがき

 いつもこの作品を読んでくださりありがとうございます。

 独自設定祭りはここで終わり?です。この先も独自設定は出てきますが、ここまで濃くはありません(多分)

 VSフェンリル戦ですが、犠牲が出ることを、期待されていた方々もいらっしゃったかもしれませんが、本文中にも書きましたが『一人でも欠ければ即全滅』となる戦いとして書いたので、こういう結果になりました。「オールorナッシング」です。期待に添えなかった方にはすみません。


 あと、自分で作ったはいいけど、『どうやって倒すんだよ、こんな怪物』と真剣に悩みました。当初の予定とはまったく異なる結果になった上、文章量が3倍になりました(1話で終わらせるはずだった)

 途中、煮詰まって「もういっそ赤くなったガラさん投入して、ガチで戦わせるか」とか「テファにベイル・・・もといデルフ持たせて消滅させるか」とか「マチ姐さんの50メイル金属ゴーレムに、断鎖術式1号と2号を使った次元湾曲キックをかまさせるか」とか馬鹿な考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えしていきました。












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