三章から他者の視点が多くなります。 これまでとはやや異なる書き方となりますが、当初からの予定だったので御了承ください。 時はブリミル歴6242年のフェオの月(4月)。場所はトリステイン魔法学院。 今ここで学院の2年生候補が進級試験として“春の使い魔召喚”の儀式を行っている。 俺、ハインツ・ギュスター・ヴァランスは現在それを密かに観覧しているのであった。第一話 平賀才人 ただっぴろい草原で召喚の儀式は行われ、俺は“不可視のマント”で姿を隠しながらその風景を眺めている。 この学院は既に大半を掌握しているので、経営者の一人として公式に見学することもできたが手続きが面倒だしその他もろもろの理由からこの方法にした。 それぞれの生徒は様々な使い魔を召喚している。 フクロウ、蛇、カラス、猫、バグベアー、スキュラ、バジリスク、マンティコア、ジャイアントモールなどなど。 ポイントが高そうなのはキュルケのサラマンダーとシャルロットの風竜か、流石に二人共トライアングルだけにそれ相応の使い魔を召喚したようだ。 ちなみにキュルケはゲルマニア出身の留学生でフルネームをキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーという。 シャルロットにとって唯一友人と呼べる存在で、半年以上前俺がトリステイン首都トリスタニアの北花壇騎士団支部で仕事を終えて街に出た際、買い物をしている二人に出会った。 その時に俺がシャルロットの従兄妹で学費を出したりしてることやその他様々のことをしゃべり、今後ともシャルロットのことをお願いしますと頼んでおいた。 このことをイザベラに話したら我がことのように喜んでいたのはよく覚えている。 フォン・ツェルプストーは数多くの軍人を輩出した家であり、血統ではなく実力を持って侯爵となった戦国大名さながらの家であり、皇帝との姻戚関係がないので公爵ではないがゲルマニアでも屈指の領土と軍事力を誇り、並の公爵より余程実権を持っている。 そしてトリステイン最大の封建貴族であるラ・ヴァリエールとは代々仇敵であり、国境を挟んで互いの領土を接しており二百年間近く戦争のたびに殺し合い、殺し合いの果てに散った一族の数は互いに数しれず。 つまり、この史劇の主役であるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとは因縁がある存在で、その彼女がシャルロットの友人なのだ。別に俺が仕込んだわけでもないのに既に運命の歯車は噛み合っているようである。 と、そんなことを考えていると、ルイズの番が来たようだ。「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。5つの力を司るペンタゴン。我に従いし使い魔を、ここに召喚せよ!」 そしてある少年が召喚される。 召喚された少年は年齢およそ16か17ぐらい、黒い髪を持ちその身長は170サントを超える程度。 平賀才人(ひらがさいと)。17歳、高校2年生。 運動神経は普通。興味があることには打ち込むタイプだが、成績は並の並。 彼女いない暦=実年齢。賞罰はとりあえず皆勤賞のみ。 担任教師曰く、『負けず嫌いで、義理堅くて、好奇心旺盛で。時々うっかりするのさえ無ければいい奴なんだが』。 母親曰く、『もうちょっと先のことも考えなさい。そんなとこばっかりお父さんに似なくていいから』。 まあつまり、頭より先に体が動く、よく言えば行動的な性格。 これは後に彼自身の話で明らかになったプロフィールであり、要は日本に住む普通の少年だったということだ。 俺のように生まれついての異常者というわけではないようで、俺と同じ日本人というのは“ある理由”から予想はしていたので驚きはない。 これなら以前から用意していた“仕込み”は上手く機能しそうではある。 俺は彼との邂逅のための準備をする為にその場を離れ、上空で待機してもらっていたランドローバルに乗りトリスタニアに向かった。■■■ side:才人 ■■■ 「はあ、ったく、なんでこんなことになったんだろ・・・」 現在は夜、俺は見知らぬ建物の中を歩いている。 今日の朝まではいつも通りの毎日だったはずだ、しかしあの鏡のようなものをくぐってからとんでもないことになってしまった。 気付くといきなりファンタジー世界に放り出され、わけもわからないまま使い魔とやらにさせられ、あっというまに夜になってしまった。 「しかも月がでけえ上、二つもあるし」 これが決め手だった、それまでは映画の撮影だとか外国のどっかだとか色々いい訳を考えていたが、こんなものを見せられては流石に納得するしかなかった。 「しばらく帰れねえんだろうな」 ここは地球とは全く違う異世界であり、俺の『ゴシュジンサマ』らしいルイズの言葉によれば地球なんて見たことも聞いたこともないらしく、しかも召喚する魔法はあっても返す魔法は存在しないらしい。 とりあえず俺が異世界から来たということは信じてもらえたようだが帰してもらえないんじゃ意味が無い、しかもなにかにつけて平民、平民と怒鳴ってくる。 全く、顔はかわいいんだがその他が全部最悪だ、胸もないし。その上“使い魔”としての仕事を押し付けようとするし。 俺もこの世界じゃ生きる術はないしルイズに頼るしか方法は無い。 ただで部屋に住ませてもらう以上、掃除、洗濯、雑用を俺がやるべきという理屈はわかるが、もう少し言い方ってものがあると思う。 「つーかルイズが俺を勝手に呼んだんだろ!」って俺が言ったら。「あんたが召喚ゲートをくぐらなきゃよかったじゃない! そうしたら私ももっと良い使い魔を呼べたはずよ!」って返されたし。 「しゃあねえ、ぐだぐだ言ってても仕方ねえし、ここは気分を切り替えるか」 帰る方法は皆目見当もつかんし、ルイズとの会話から考えると別の世界の存在なんて誰も信じてくれそうにない。 ここから逃げても何にもならないし、じたばたしても始まらない。 この世界には身よりも無いからルイズという生意気な女の子しか頼れる人間がいない、とりあえずはあいつの“使い魔”としてやっていくしか道はなさそうだ。 「あーあ、勢いで飛びだしてきちまったからなあ、しばらく戻れねえ」 ルイズが着替えるためにいきなり俺の前で服を脱ぎだして、しかも下着とかを洗っとけとか言って放り投げてきた。男以前に人間として扱われてすらいないのにムカついて、勢いで飛びだしてしまったのだがすぐに戻るのも格好悪い。 「ま、どーせやることもないし、しばらくその辺見て回るか」 そう結論付けて俺はこの建物の散策を開始した。 しかしまあ、気持を切り換えて見てみると実に面白そうなもので溢れている。 中世のお城のような建物で、そこら辺にある品も現代の日本にはなさそうなものばっかりで見るモノ全てが新鮮だ。 そんな風に周りを見てばっかだったから前方に一切注意を払っておらず、俺はある人物とぶつかった。「わっ!」 正面衝突だった。 「あっ…わりぃ、大丈夫か?」 前を見てなかった俺が悪いので謝るが、よく考えるとなぜ相手は避けなかったのか? その答えはすぐ分かった。 目の前には少女がいた、蒼い髪で背丈はルイズよりさらに小さい。140センチあるかないかぐらいか。 昼間のルイズと同じく、黒いマントの下にはブラウスとブリーツスカートを着ている。 間違いなくここの生徒なんだろうが開いた本が落ちている。多分本を読みながら歩いてたんだろう。 「・・・」 俺にぶつかられたのにその少女は一切動きが無く無表情、まるで人形でも見ているようだ。 とりあえず本を拾って渡してやろうと思って手を伸ばしたが、そのタイトルを見て俺は愕然とした。 “白雪姫” それは日本語で間違いなくそう書かれている絵本だった。 「白雪姫! な、何でこんなもんが!!」 俺は驚いて叫び声を上げた。 すると、少女が不思議そうな表情でこっちを見てきて、やがて告げた。 「貴方・・・・・ニホンジン?」 「に、日本人って、なんで知ってるんだ!」 思わず怒鳴る。 「・・・・・ついてきて」 といって少女は歩きだす。 「ちょ、おい、待てって!」 意外と足が速いので俺は必死について行った。■■■ side:シャルロット ■■■ 「少し待ってて」 私は彼にそう言い残して自分の部屋に入る。 私の部屋には本が多いが今それはどうでもいい、部屋の奥からあるものを取り出す。 これは“デンワ”といって遠くにいる人間と話すためのマジックアイテムで、副団長からフェンサーの十二位以内の者達に支給されている。 本来ならフェンサー全員に支給したいそうだが1万エキューもするので流石にそういうわけにはいかないらしい。 他にも“魔銃”や“ヒュドラ”といった新型のマジックアイテムがフェンサーには支給されている。どうやら実戦における有用性を測る意味合いもあるらしい。 もっともこういったことは全部ハインツに聞いただけなので自分で確認したわけではない。だけど、あの人はこれまで私に一切嘘をつくことがなかった、どんなことでも聞けば事実を答えてくれる。 だから父様をあの男が殺したというのも間違いない。しかしあの男を守る近衛騎士団長がハインツであり、母様の症状を治すために尽力してくれたのもハインツ。私の学費を出してくれてるのも、私に本格的な戦い方を教えてくれたのもハインツ。 それに、私の従姉妹であるイザベラが本当は私の為に様々な援助をしてくれているということも教えてくれた。もっとも、「俺がバラしたことはイザベラには絶対に内緒な」と言ってたけど。 だから私にとってはとても不思議な存在、恩人であり上司であり従兄妹であり仇の前に立ちはだかる敵でもある。 私はハインツに感謝すればいいのか敵意をむければいいのか良く分からない。 今の私では絶対に勝てない相手なのは間違いないが、何年たってもハインツには勝てない気がする。 こんな弱気な考えを持つこと自体、私がハインツと戦いたくないと思っている証拠なのかもしれない。 そんなことを考えながら私は“デンワ”を使用する。 周りに人がいると人形に話しかける変人にしか見えないのであの男の子には外で待ってもらっている。 私の母様はもう人形に話しかけることはない。人形を私とは思っているけどその“シャルロット”はいつも静かに眠っているようで、起こさないように母様はいつも見守っている。 私は“王政府の使いで良く来る子”となっていて、「シャルロットのお友達になってあげてください」と言われたときは嬉しいのか悲しいかよく分からなかった。 その私が今人形に話しかけているというのも何だか変な話だ。 「こちらは北花壇騎士団フェンサー第七位タバサ、本部、応答願います」 決められた台詞を言う。 しばらくして声が返ってくる。 「おう、タバサっちだな! いやー、やっぱ女の子を取り次ぐ方がいいよなあ、むさいおっさんを取り次いでもいいことねえし耳の毒だし。で、今日は何のようよ!」 何で本部にはこういう人しかいないのか? 全員ハインツが採用したらしいが人事をあの人に一任するのは正直どうかと思う。 「副団長のロキに報告がある」 「副団長にか、まあお前さんからならそれぐらいしかないか、OK、ちょっと待ってな」 そしてしばし沈黙。 この“デンワ”は本来話したい人と対になっている必要があり、複数の人と繋げるわけではない。 しかし、“ルーン”を刻まれた平民、通称“ルーンマスター”がその間に入ることでその問題は克服される。 このルーンを平民に刻んでメイジとは異なる能力を発現させるのもガリアの新技術で、北花壇騎士団で実験的に行われている。 このルーンマスター達は既にフェンサーの4割近くに達しており、三位、四位、五位はそれぞれ“魔銃使い”、“蟲使い”、“人形使い”と呼ばれ別格の存在とされている。 私は彼らに会ったことはないが七位である私より強いのは間違いなく、ハインツはその上の二位、道はまだまだ遠い。最も十二位から六位の間には力の差はなく、五位と四位と三位にも力の差はないそうで、単に能力の違いがあるだけらしい。 ただし二位だけは別、北花壇騎士団最強にして最恐にして最狂にして最凶とされている。 本部の“参謀”の人達はほぼ全員が平民らしいので皆ルーンマスターであり、そのうち“解析操作系”のルーンを刻まれた者達は通称“テレパスメイジ”と呼ばれ、彼らを通すことで“デンワ”を持つ人物なら誰とでも会話することが可能となる。 本来こういったことをフェンサーは知らされないが、十二位~三位は別で、私はハインツと個人的な接点があるから一番詳しい方だと思う。 「繋がったぜ嬢ちゃん! あと十秒待ってな!」 本部の人から応答がくる、確かこの人の任務名は“レイス”だったかな。 「感謝する、レイス」 「おお! 俺の名前を覚えててくれたか! 感激だねえ」 そしてハインツに切り替わる。 「シャルロットか、お前から連絡が来るとは珍しいな」 「私はシャルロットじゃない」 この人は未だに私をシャルロットと呼ぶ。 「すまない、悪かったなゴンザレス」 「・・・・・」 「待て待て! 切ろうとするな!」 なぜ解ったのだろう? 「冗談を言ってるようなら切るから」 「ったく、こんなの軽いジョークだろうが、そんなんだからいつまで経っても背が伸びないし胸も小さいんだぞ」 この人を恩人と思った自分が情けない。 「用件だけ言う」 「何だ?」 「貴方が作った暗号を解読できる人がいた。しかし間違いなく北花壇騎士団の関係者じゃない、多分以前貴方が言っていた“来訪者”だと思う」 副団長ハインツが本部の“参謀”やフェンサーの幹部のために作った暗号、通称“ニホンゴ”、ハルケギニアの文法とは全く違う様式であり、覚えるのにはかなり苦労した。 その訓練用の絵本を私は読んでいたのだが、あの男の子はそれを一目で看破した。 「ほほう、なるほどなあ、予想よりずっと早かったな。いやいや、これも運命の導きというやつかな?」 「言ってることが意味不明」 「こっちの話だ。それで、その人物の特徴は?」 彼の特徴。 「男性、年齢は多分16から17くらい。身長は170サント程度、珍しい黒髪、体格は中肉中背、見慣れない服を着ている」 「そうか、その人物はどこにいる?」 「部屋の前で待ってもらっている」 少し待たせ過ぎているかもしれないけど。 「そうか、俺は今トリスタニアのブルドンネ街にある“光の翼”という宿屋の二階にいる。そいつをここに連れて来ることができるか? 無理ならランドローバルで迎えにいくが」 私が召喚した使い魔は風韻竜、彼を連れていくのはできる。 「できる」 「そっか、じゃあ頼んだ、宿屋の亭主にはフェンサーカードを見せればいい、ここもメッセンジャーが経営する店だからな」 「了解」 そして彼との通信を終える。 ふと窓を見ると。 「御主人さま? 頭は大丈夫なのね?」 人間ではない竜にとても憐みの目で見られていた。 つかつかつか。 ガチャ。 ボクッ! ボクッ! ボクッ! 「痛い! 痛い! 何で叩くのね!」 「黙れ」 「ひいっ」 やるときは徹底的に、二度と逆らう気が起きないように容赦なく、ありとあらゆる手段を使え、倫理など犬に食わせてしまえ。 ハインツの教えが頭によぎる。 「後でじっくり教育、じゃなくて説明するから、その時まで今のことは忘れなさい」 「りょ、了解なのね・・・」 「それとこれから私ともう一人をトリスタニアまで運んで欲しい、その間、話すことは禁止、いい?」 「はい、異論はございませんなのね」 私は男の子を呼びに行く。 「お、なんか誰かと話してたけど、一体誰なんだ?」 「貴方に会わせたい人がいる、ついてきて」 「え、何の事だよおい、説明してくれよ。って、うわあ!」 私は彼に『レビテーション』をかけて運ぶ。 「おい、何なんだよ! 一体俺をどうする気だ!」 「貴方に会わせたい人がいる」 「だからそれは誰なんだよ!」 私は使い魔に乗りながら答える、そう言えばこの子の名前をまだ決めてなかった、かわいい名前を付けてあげよう。 「私の従兄妹で上司で敵で恩人・・・ではない人」 「どういうことだよそれ」 「変な人」 「余計分からねえよ!」 しかし、あの人を示す的確な表現が私には分からない。 「・・・・・これまでに何百人もの人間を殺してる人で、謀略に長けてて、暗殺や粛清ならば右に出る者はいないと言われている。確か渾名は・・・“悪魔公”、“闇の処刑人”、“死神”、“毒殺”、あと他多数」 とりあえずハインツのことで私が知ってることを挙げてみる。 「ちょっと待て! そんな物騒な人の所へ俺は連れて行かれるのか!!」 「女子供は殺さない」 そういう話は聞かないし、ハインツの性格上やりそうにない。 「男はどうなんだ!」 「彼の気分次第」 ハインツは全部自分の考えで殺すかどうかを決める人だ。 「絶対嫌だ! 帰してくれ!!」 「お願い」 「お願いって、強制連行じゃねえか!」 「お願い」 「いや、だからさ」 「お願い」 「俺の話を」 「お願い」 「だか」 「お願い」「いや」「お願い」 「・・・」 「お願い」 「ええもう! 分かったよ! とりあえず降ろしてくれ!」 「ありがとう」 一応お礼を言っておく。今のはハインツ直伝の交渉術で、本来は“スキルニル”を用いて一日ごとに嘆願する自分を増やしていくらしいが、同じ嘆願を延々と繰り返すことでも相応の効果がある。 「はあ、ってここ竜の上!」 今まで気付いてなかったみたい。 「私の使い魔、名前は・・・」 私は考える、こういうときは最初に直感で浮かんだ名前がいい。 「シルフィード、“風の妖精”という意味」 「へえ」 もうこの子に興味津々みたい、とても切り替えが早い。 「貴方の名前は?」 「俺? 俺は平賀才人だけど」 「ヒラガサイト?」 ハインツが前に言っていた“ニホンジン”の名前の特徴と同じ。 「ああ、才人が名前で平賀が苗字だ、ってこっちの人に分かるのかな?」 「分かる」 「そ、そうか」 微妙な沈黙、何か変なこと言ったかな? 「それで、君の名前は?」 「私?」 「ああ、俺だけ知らないのも変だろ」 それはそうだ。 「私は・・・」 ふとハインツの顔が頭に浮かぶ、少しくらい驚かせてやりたいと思う。 それに、“来訪者”のこの人はガリアはおろかこの世界とは全く関わりがないはず。 「私はシャルロット。これから会う人の前ではそう呼んで、それ以外ではタバサと呼んで」 「シャルロット? タバサ? 何でまたそんなことを?」 「お願い」 「いや、だから理由を」 「お願い」 「あの」 「お願い」 「・・・」 「お願い」 「分かりました」 「ありがとう」 これでハインツを驚かせることができるはず、そう思うと自然に笑顔になる。 「・・・・・」 「どうしたの?」 サイトが黙り込んでいる。 「い、いや! 何でもないから!」 「?」 まあいい。 シルフィードの飛行速度は速く、魔法学院からトリスタニアまでそれほど時間はかからないだろう。 私はそれまでの時間をハインツがどんな反応をするだろうか考えながら過ごしていた。■■■ side:ハインツ ■■■ 「ふむ、しかしこれほど早いとはな」 シャルロットとの通信を終えた俺は少し考える。 陛下が“天空の城○ピュタ”などに興味もったことをヒントに、北花壇騎士団の暗号用に日本語を使用することを思いついた。 ハルケギニア語とは基本から異なるので生粋のハルケギニア人にはわけが分からない謎の言語になる。 それをたった一月でマスターしたあの悪魔はもう人間とは別物と考えることにして、“参謀”の連中が解読できるようになるまでに一年、シャルロットは半年で、イザベラは三か月。“参謀”はそういう分野の専門家といえる連中だがそれでもかなりの時間がかかった。 それでシャルロットがいくつか教材用の日本語の絵本を持っていたわけで、(製作俺、我ながら渾身の出来)それを才人君が見かければきっかけになると思っていたが、まさか召喚された当日になるとは思わなかった。 ちなみに召喚される人間が日本人だと推測したのは、このトリステインにあるタルブ村に“場違いな工芸品”の一つであるゼロ戦が残されており、そこに太平洋戦争時代の日本人の墓があるからだ。 その墓には。≪海軍少尉佐々木武雄、異界二眠ル≫ と書かれており、しかもその子孫にあたる子がメイドとしてトリステイン魔法学院に勤めている。 これもまた“物語”の布石に違いなく、そう考えると召喚されるのは日本人の可能性が最も濃厚になる。 とまあ、そう予測していたのだがピッタリ当たったようだ。 「さて、それじゃあ才人君にこの世界を説明するための準備でもするか」 名前は平賀才人で間違いない、ルイズに召喚された時に確かにそう言っていた。 俺はハルケギニア地図やその他の品を準備しながら彼を待つことにした。 そしておよそ1時間後。 「ハインツ、連れてきた」 シャルロットの声が聞こえてきた。 シャルロットが召喚したのは風韻竜だとランドローバルが念話で知らせてくれて、今はランドローバルが使い魔の先輩として使い魔の心構えや主人との接し方をその風韻竜に教えているみたいだ。 「おう、今開ける」 俺は『念力』で扉を開ける。 「連れてきてくれてありがとな」 「別に」 普段通りの返答、シャルロットの返事はいつもこんな感じだ。 そしてその背後に平賀才人君がいる、左手にガンダールヴのルーンがあるので間違いない。 「やあ、初めまして、俺はハインツ・ギュスター・ヴァランスだ。気軽にハインツと呼んでくれ」 多分彼は俺の姓など覚えないだろうからあえて本名を名乗る俺。 「は、はい! 初めまして! それがしは平賀才人と申します!」 それがし? 随分妙な言葉遣いだ、彼は多分平成の人間だと思うのだが。 「なんか緊張してるみたいだけど、そんなに畏まらなくていいから」 「は、はい! 恐悦至極であるます!」 軍人のように答える才人君、しかも言葉がおかしい。 何か妙だ、緊張してるというより怯えていように見える。 しかも隣にいるシャルロットが無表情のようでどことなく笑っているような・・・ 「なあ才人君、君はこいつから俺のことをなんて説明されたんだ?」 「そ、それは、やくざの親分のような人でとても恐ろしい方だとシャルロットは申しておりました」 「いやまあ、そりゃ間違いじゃないが随分穿った意見だなそりゃ、って、シャルロットお!?」 思わず叫ぶ、まさこいつが本名を伝えるとは、いや、俺が言えることじゃないが。 「は、はい」 「ふふ」 恐縮する才人君と微笑むシャルロット、実に対照的だ。 となるとこいつ、わざとだな。 「才人君、こいつの言ったことは話し半分にしておいた方がいい、どうやら俺を驚かすためにあることないこと吹き込んだみたいだから」 シャルロットに目くばせしながら言う。 本当は全部あることなんだろうがそうでもしないと才人君との会話が続かない。 「あ、なんだ、そうだったんですか、“死神”とか“悪魔”とか言ってたから一体どんな怖い人なのかとびびってました」 一体どこまで教えたんだかこいつは。 「まあそこは置いといて、君は呼ばれた理由を知りたいだろうがまずは俺の話を聞いてくれ、そうすればここに呼ばれた理由も分かるだろうから」 「はあ」 納得以前にまだ現在の状況がよく分かってない感じだ。 「単刀直入に言うとだ、俺は元日本人だ」 「・・・」 沈黙する才人、めんどいので君ははずす。 「ええええええ!!」 再起動。 「正確に言うと転生ってやつかな。ほら、ゲームでも漫画でも前世の記憶を持ったまま生まれ変わるやつとか、古代の英雄の生まれ変わりとかで記憶と技を継承してるとかあるじゃん、あんな感じ」 「ああ、よくある古代の紋章とかが代々受け継がれてきて、それを継承するとご先祖様の記憶が流れ込んでくるとかいうあれですか」 なかなか飲み込みがいいな。 「そんな感じ、俺にとって地球の記憶はそんなもんだな。俺の前世は確かに地球で生まれて地球で死んだんだが、どういうわけかその記憶を持ったままこの世界に転生したってわけだ、はっはっは」 笑う俺、ここだけは原因がさっぱりわからない。 「この世界って、このファンタジー世界ですよね?」 「ああ、地球とは違って魔法があり、エルフがいて、オークがいて、竜がいて、ペガサスがいて、ユニコーンがいる世界だ。とはいえ地球と全く無関係というわけでもない」 俺は才人にハルケギニアの地図を見せる。 「これが俺達の世界ハルケギニアの地図だ。ここが今いるトリステイン、北東にゲルマニア、南東にガリア、さらに南にロマリア。そして島国のアルビオン、これらをまとめてハルケギニアと呼んで、その東はエルフが住むサハラ、そしてそのさらに東は東方(ロバ・アル・カリイエ)と呼んで一くくりにされてる」 それぞれの場所を指しながら説明する。 「さて、この形と国家名を聞いて何か思い当たることはないか?」 「これって、ヨーロッパに似てません? あと、ゲルマニアってたしか歴史で習ったゲルマン民族の大移動がどうのこうのって」 「正解だ。ガリアは「ブルートゥス、お前もか」で有名なユリウス・カエサルのガリア戦記とかが分かりやすいかな、ロマリアはもう言うまでもないだろう」 ドラゴン○エストⅢを始めとしてあちこちで使われている名前だ。 「案外似てる部分が多いんですね」 才人も驚いている。 「そうだ、言ってみれば歪な鏡で映し合った世界みたいなものだな。その最大の違いは魔法や亜人や幻獣の存在になるが、日本人の君にとっては貴族と平民の違いも大きなポイントだろう」 イギリスとかなら文化的にそれほど違和感はないかもしれないが日本ではそうはいかない。 「あ、それですよそれ、ルイズの奴ことあるごとに平民、平民って怒鳴るんですよ。何なんですかあれ?」 「分かりやすくいうとだな、江戸時代を考えてみてくれ。俺は歴史専攻だったわけじゃないから偉そうなことは言えないんだが、武士が貴族でそれ以外が平民だと思ってくれ、しかもあの学院は藩主の息子や娘達が通う学校なんだ。水戸黄門様の孫に農民風情が!って言われてると考えればいい」 多分これが一番分かりやすい例え。 「ああーなるほど、だからあんなに態度がでかいんですか」 納得する才人。 「そうだな、実家の家紋いりのマントを見せて「この家紋が目に入らぬかーーー!!」って街中で叫べば皆が「ははー」って平伏するような感じだ。とはいえ、そんな恥ずかしい真似する阿保はいないけどな」 「いないんですか」 ちょっと残念そうにする才人、少し期待していたんだろう。 「そう、そして武士の刀が貴族の杖だ。不文律だが切り捨て御免もある、平民の子供が大貴族の靴を汚した日には魔法でボンッってなる。君が貴族を殴っても同じ運命が待ってるな」 「何か納得いかないですねそれ」 不満そうにする才人、こういう理不尽に憤るのは英雄の資質だが、彼もなかなか良いものを持っているようだ。 もっとも、街中で人を殴れば日本でも普通に傷害罪だ。 「その気持ちは分かるが、とりあえず郷に入っては郷に従えだな、流石に革命を起こすわけにもいかないだろう」 俺達はそれ以上の計画を進行させており、その最重要人物が才人だったりする。 「それはそうかもしれませんけど、その郷から帰れないんじゃないですか?」 「そういや言ってなかったか、結論から言えば君は帰れるぞ。もっとも最短で2年くらい、最長で5年くらいかかるが」 爆弾を投下する俺。 「ま、マジですか!!」 興奮する才人。 「順を追って説明するとだな、君が召喚されたのは『サモン・サーヴァント』という魔法で言ってみれば召喚魔法レベル1だ。ほぼ全ての魔法使いが唱えることができる。しかし、本来こっちの世界の生物を召喚して使い魔にする魔法なので送還する魔法が存在しない」 「その辺は聞きました」 「どういうわけか君は地球から召喚されたわけだが、これを元に戻すためには今は失われた古代魔法を用いる必要がある。色んなゲームでそういうのあるだろ、ハイ・エンシェントとかなんとか」 「よくありますね」 「それで、俺とシャルロットの国でもあるこのガリアは魔法先進国と呼ばれていてハルケギニアで最も魔法の研究が盛んだ。そこの技術開発局という場所で古代魔法の復活させる研究が行われていて、現在ではワープできるとこまで来てる」 地図のガリアを指しながら説明する。 正確には『ゲート』だが才人には多分こっちの方が分かりやすい。 「ワープですか! 凄いですね!」 また興奮する才人。 「後はそれを地球に繋げれるようになればいいわけだ、才人を召喚出来たんだからその逆の術式があってしかるべき、研究者の腕次第になるから最短2年、最長5年くらいだと思う」 「そんなに難しいんですか」 「繋ぐだけならもっと簡単かもしれないけどな、地球といってもいきなり砂漠のど真ん中とか熱帯雨林とかに放り出されても困るだろ?」 「間違いなく野垂れ死にますね」 同意する才人。 「だろ、それに海と繋いで大量の海水が流れてきたり、間違って海底火山とかと繋がって溶岩が流れてきた時には目も当てられん。そういうわけで研究は慎重に行われている」 「それは洒落になりませんね」 「だけどこれ、地球で例えるなら新型スペースシャトルを開発してるようなもんだから当然国家機密だ。言いふらしたら当然消されるし、そもそも一般人には関われないから」 「消されるんですか!?」 驚く才人。 「ああ、簡単に言うと俺はFBIやCIAの長官みたいなもんだから、こういうことにも詳しいけど逆にバラされたら君をバラすことになる。だから注意しておいてくれ」 「はあ」 「だからさっきシャルロットに吹き込まれたことも大体事実、国家の裏機関のトップともなればそういうことの一つや二つはざらだ。だけど、それ故に君をその“宇宙飛行士”に推薦したりもできる」 つまりは『ゲート』の実験者第一号ということ。 「あれ? そうなるとシャルロットってハインツさんの従兄妹で部下なんですよね、ということは」 「察しが良いな。さっきもいったように君が召喚されたあの学院は有力な貴族の子供達が通う学校で、現代日本風にいうなら大企業の御曹司やお嬢様の専門学校だ。、だから誘拐して身代金みたいなことになる可能性が無いわけじゃない、そこに潜り込んでる秘密捜査官がシャルロットだ。まあ、他にも色んな理由が重なってのことだが」 「なんかそれっぽいですね」 「よくある身分を偽って女学院とかに編入するエージェントってやつだな、だから学院内でシャルロットの名前は厳禁、コードネームの“タバサ”で呼ぶこと、ちなみに俺は“ロキ”で、捜査員は全員がコードネームを持っている」 「あ、そういうわけなんですね」 納得する才人、なかなか忙しいな。 「少し横道に逸れたけど、君が帰ることはできるのは間違いない。だから後は君の心次第になる」 「俺の心、ですか?」 「君は“十五少年漂流記”を知ってるか?」 「あ、はい、中学の時の夏休みの課題図書でしたから一応知ってます」 それは何より。 「あれは15歳以下の子供達が無人島で数年間生き抜いて、様々な困難に立ち向かいながら必死に頑張り最後には故郷に帰れた話だ。そして帰って来た彼らは別人のように逞しく立派な人物になっていた」 「確かそんな感じでしたね」 「君もそんな感じだ、いきなり異世界に呼び出された日本人が頑張って最後に帰れればハッピーエンドで終わる。それならどうせだから色んな体験をして、楽しみまくった方が得だ。それに日本人でこっちに来れるのは宝くじで一等が当たる以上に珍しいことなんだから、発想の逆転で良いことだと思えばいい、一生帰れないわけじゃないんだからな」 「そう言われるとそんな気がしてきますね」 才人はかなり乗せやすい。 「それにこっちに定住してもいいしな。日本人でも外国に住めば帰ってくるのが数年に一度もざらだし、国内でも帰省するのは盆と正月くらいだろ。だから互いの往き来さえできるようになればこっちに住んで、たまに顔見せに家族の所に帰るって感じでも問題ない。それはそのときになってから決めてもいい」 「なるほど」 「だからまずは数年単位の海外留学をしてるような気分でいればいい。ただ問題は留学生でも交通事故で死なない保証はない、しかもこっちは交通事故より余程危険なこともある、その辺の注意は怠るな」 「そんなにヤバいんですか」 少し恐怖が見える。 「平民の学校が無い、病院が無い、保健所が無い、銭湯が無い、警察が無い、ざっと挙げるだけでもこのくらいはある。現代日本に比べたらかなり危険だ、何事も自己責任がモットーだな」 「う、俺、やっていけますかね?」 「そこがこれからの課題、さあ、お勉強タイムだ」 そしてしばらく才人にこの世界の特徴や処世術を教える。 「まあ、今俺から言えるのはこんなとこかな、後は習うより慣れろだ」 「つ、疲れました・・・」 力尽きる才人、どうやら勉強は苦手な模様。 「後はこれで確認してくれ」 そう言って厚い本を渡す。 「何ですかこれ?」 「ハルケギニアの歴史とか文化とかを俺なりに纏めてみたものだ。日本語で書いてあるから、他の人に読まれる心配もないし君でも読める、もしハルケギニアの文字が読みたかったらシャルロットにでも習うと良い。日本語とハルケギニア語を両方分かる貴重な人材だからな」 「・・・」 コクコクと頷くシャルロット、実はこいつは人にものを教えるのが結構得意だったりする。 「何から何まで、ありがとうございます」 頭を下げてくる才人。 「別にいいって、俺がやりたくてやってるわけだし、何だかんだで日本のネタが分かるやつがいると嬉しいしな」 実際には陛下にこき使われているだけなのだが。 「それでも、ハインツさんのおかげであの学校でもやっていけそうです」 才人はこのまま使い魔として生活することにした、大貴族の令嬢が自分の使い魔を逃がすとは思えないし、その家から指名手配にされる可能性もあることを考慮した上でだ。 それに、ルーンの影響もある。 才人にはルーンマスターを引き合いに出してガンダールヴのルーンについて一応説明しておいた。 実際の能力は不明なので多分“身体強化系”であろうことと、ルーンさえ刻めば平民は誰でも能力を発現できることも教えておいた。(もちろんバラしたらバラすことを前提に) 「俺から言えることはだ、考えるな感じろ、人生を楽しめ、どんな時でも諦めずあがけ、気に入らない奴はぶっとばせ、好きな子には突っ込め、なるようになる、どうにかなる、なんとかしろ、こんなとこかな?」 「参考になるようなならないような」 首を傾げる才人。 「まあ、困ったことがあったらいつでも連絡してくれ、その時はシャルロットに言えば俺に繋いでくれるから」 「・・・」 またしてもコクコクと頷くシャルロット、 「ありがとうハインツさん、でも、俺なんのお礼もできませんよ?」 「別にいいさ、そうだな、強いて言うならシャルロットの恋人にでもなってやってくれ。こいつ友達一人しかいないからな」 俺が言えたことではないのだが、イザベラがうるさいのだ。 「ラナ・デル・ウィンデ」 問答無用で『エア・ハンマー』を唱えるシャルロット、だが甘い。 「ラナ・デル・ウィンデ」 ドドン! 俺も『エア・ハンマー』を唱え完全に相殺する。 ちなみにクロードだったら倍返しになる、故にあいつは“風喰い”なのだ。 「甘いぞシャルロット、その程度ではまだまだだな」 「・・・・・チッ」 「こらこら、舌打ちするな」 才人は呆然としている、まあ当然だろう。 「そ、それではハインツさん、そろそろ俺は帰りますね」 何とか復帰した模様。 「元気でな才人、これから大変だろうが思いっきり楽しめ」 そして俺は二人を送りだした。■■■ side:シャルロット ■■■ 学院への帰り、私とサイトはシルフィードの背に乗っていた。 「なあシャルロット」 「私はタバサ」 注意しておく、サイトは口が軽そうだから簡単にボロを出しかねない。 「ああ、そうだったっけ、わりい、まだ慣れてなくてな」 「もしバラしたら貴方をバラバラにしてシルフィードのエサにする」 「怖っ!」 「!!」 シルフィードまで反応した。 「と、ハインツが言ってた」 「いやいや、あの人そこまでは言ってないし、お前の名前については特に何も言ってなかったぞ」 意外と鋭い。 「だけどあの人、普段からあんな感じなのか?」 「大体そう」 ハインツは常に全力疾走、止まる、休むといった概念を知らないような人だ。 本部でもハインツだけは勤務時間というものが存在しないらしく、彼が何をやっているかを把握しているのは補佐官の人達か団長くらししかいないと言われている。 一体いつ寝ているのだろう? 「いや、なんつーか、俺も17年しか生きてないから偉そうなことは言えないけどさ、ハインツさんみたいな人には初めて会った」 その気持ちは分かる、私もハインツと同じような人物というのに会ったことはない。 というかあんなのが何人もいたらいやだ。 「ハインツは変人」 「それは何となくわかったけど」 「異常者」 「それは言い過ぎなような気が」 サイトは優しい。 「でも、本当に俺、世話になりっぱなしだよなあ」 そこを気にしてるみたい。 「できる限りハインツに迷惑をかけて苦しめてあげて」 フォローしておく。 「いや、それはどうなんだ?」 「多分彼は喜ぶ」 「そうなのか?」 怪訝な顔になるサイト。 「俺は厄介事しかない人生を送っているって前に言ってた」 とても楽しそうな顔をしながら。 「う~ん」 「まずは自分のことから考えたほうがいい、そして絶対にバラさないように」 念を押す。 「そだな、今気にしててもしゃあねえか」 結論が出たみたい。 そして私達は学院に戻ったがその頃には既に夜が明けていた。追記 8/31 タイトル修正