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No.10029の一覧
[0] (旧題)ネギま・クロス31 叙事詩・少年と世界  第二章完結[宿木](2009/11/21 20:56)
[1] 「習作」ネギま・クロス31 プロローグその① 魔法教師の場合[宿木](2009/09/08 23:32)
[2] 「習作」ネギま・クロス31 プロローグその② 魔眼王の場合[宿木](2009/09/18 20:00)
[3] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その一・前編[宿木](2009/07/06 19:10)
[4] 「習作」ネギま・クロス31 プロローグその③ 《神》と子供達の場合 [宿木](2009/07/12 00:46)
[5] 「習作」ネギま・クロス31 プロローグその④ 《必要悪の教会》の場合 [宿木](2009/07/07 23:15)
[6] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その一・後編[宿木](2009/07/14 22:38)
[7] 「習作」ネギま・クロス31 プロローグその⑤ 戯言使いの場合 [宿木](2009/07/09 19:23)
[8] 「習作」ネギま・クロス31 その頃の世界情勢~UCAT編~[宿木](2009/07/14 22:30)
[9] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その二・前編[宿木](2009/07/15 01:26)
[10] 「習作」ネギま・クロス31 プロローグその⑥ 管理局の白い悪魔の場合[宿木](2009/07/19 09:46)
[11] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その二・後編[宿木](2009/07/15 01:27)
[12] 「習作」ネギま・クロス31 プロローグその⓪ 魔王と魔女と少女の場合[宿木](2009/07/09 19:42)
[13] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》裏舞台・表[宿木](2009/09/14 22:45)
[14] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》裏舞台・裏[宿木](2009/07/17 01:37)
[15] 「習作」ネギま・クロス31 その頃の世界情勢~億千万の眷属編~[宿木](2009/07/15 01:29)
[16] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・①[宿木](2009/07/17 01:39)
[17] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・①―裏[宿木](2009/07/18 00:37)
[18] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・②[宿木](2009/07/18 00:38)
[19] 「習作」ネギま・クロス31 その頃の世界情勢~麻帆良大学部編~[宿木](2009/07/12 17:35)
[20] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・②―裏[宿木](2009/07/18 00:41)
[21] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・③[宿木](2009/07/18 00:43)
[22] 「習作」ネギま・クロス31 元ネタ辞典(組織・及び生徒)[宿木](2009/09/18 20:04)
[23] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・③(裏)[宿木](2009/07/20 14:47)
[24] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・④[宿木](2009/09/10 00:37)
[25] 「習作」ネギま・クロス31 その頃の世界情勢~仮面の反逆者編~[宿木](2009/09/10 00:40)
[26] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・④(裏)[宿木](2009/09/10 00:47)
[27] 「習作」ネギま クロス31 第一章《教育実習編》その三・番外編[宿木](2009/09/10 00:52)
[28] 「習作」ネギま・クロス31 元ネタ辞典(登場人物編)[宿木](2009/09/18 20:21)
[29] 「習作」ネギま クロス31 嵐の前の静けさ・その一(表)[宿木](2009/09/10 00:55)
[30] 「習作」ネギま クロス31 嵐の前の静けさ・その一(裏)[宿木](2009/09/10 01:02)
[31] 「習作」ネギま クロス31 嵐の前の静けさ・その二(表)[宿木](2009/09/18 20:25)
[32] 「習作」ネギま クロス31 嵐の前の静けさ・その二(裏)[宿木](2009/09/18 20:27)
[33] 「習作」ネギま・クロス31 その頃の世界情勢~統和機構編~[宿木](2009/09/18 20:29)
[34] 「習作」ネギま クロス31 嵐の前の静けさ・その三(表&裏)[宿木](2009/09/18 20:32)
[35] 「習作」ネギま・クロス31 その頃の世界情勢~《乙女》と《福音》編~[宿木](2009/09/18 20:36)
[36] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》序章[宿木](2009/09/18 20:38)
[37] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その一(昼)[宿木](2009/09/18 20:48)
[38] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その一(夜)[宿木](2009/07/26 17:21)
[39] 「習作」ネギま クロス31 狭間の章・壱[宿木](2009/07/26 23:04)
[40] 「習作」ネギま クロス31 その頃の世界情勢~神殿協会(上の方)編~[宿木](2009/07/27 21:06)
[41] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その二(昼)[宿木](2009/07/28 21:25)
[42] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その二(夜)[宿木](2009/07/29 17:50)
[43] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その三[宿木](2009/07/31 01:27)
[44] 「習作」ネギま クロス31 狭間の章・弐[宿木](2009/07/30 20:06)
[45] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その四(昼)[宿木](2009/07/31 16:36)
[46] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その四(夜)[宿木](2009/08/01 18:57)
[47] 「習作」ネギま クロス31 その頃の世界情勢~上条勢力編~[宿木](2009/08/02 15:33)
[48] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その五(表)[宿木](2009/08/03 14:56)
[49] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その五(裏)[宿木](2009/08/04 14:32)
[50] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル(準備)[宿木](2009/08/05 22:32)
[51] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台①[宿木](2009/08/16 04:07)
[52] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台①(2)[宿木](2009/09/08 23:35)
[53] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台①(3)[宿木](2009/09/08 23:36)
[54] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 裏舞台①[宿木](2009/09/11 13:53)
[55] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台②[宿木](2009/09/11 13:57)
[56] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台②(2)[宿木](2009/09/14 22:46)
[57] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台②(3)上[宿木](2009/09/14 20:43)
[58] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台②(3)下[宿木](2009/09/14 20:37)
[59] 「習作」ネギま クロス31 狭間の章・参[宿木](2009/09/15 11:41)
[60] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台②(4)[宿木](2009/09/16 19:23)
[61] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 裏舞台②[宿木](2009/09/17 17:50)
[62] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台③[宿木](2009/09/22 20:21)
[63] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台③(2)[宿木](2009/10/06 21:20)
[64] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台③(3)[宿木](2009/10/15 01:48)
[65] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台③(4)[宿木](2009/10/15 01:47)
[66] 「習作」ネギま クロス31 狭間の章・肆[宿木](2009/10/16 00:01)
[67] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 裏舞台③[宿木](2009/10/18 10:57)
[68] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台④上[宿木](2009/10/26 01:04)
[69] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台④中[宿木](2009/10/23 00:16)
[70] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台④下[宿木](2009/10/26 01:22)
[71] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台④(2)[宿木](2009/10/28 22:56)
[72] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台④(3)[宿木](2009/11/06 00:46)
[73] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 表舞台④(4)[宿木](2009/11/06 00:16)
[74] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 カーニバル 裏舞台の舞台裏[宿木](2009/11/08 18:48)
[75] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 宴の後①[宿木](2009/11/10 10:55)
[76] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 宴の後②[宿木](2009/11/11 23:58)
[77] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 宴の後③[宿木](2009/11/14 23:28)
[78] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 宴の後④[宿木](2009/11/18 14:35)
[79] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》 福音は誰が為に[宿木](2009/11/21 21:05)
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[10029] 「習作」ネギま クロス31 第二章《福音編》その二(昼)
Name: 宿木◆442ac105 ID:075d6c34 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/07/28 21:25


 [今日の日誌 記述者・早乙女ハルナ


 あー委員長がうっかり私と刹那さんの順番を間違えちゃったみたいだね……ま、良いか。
 委員長も、刹那さんに対して、なにか思うところがあったんだろうし。
 この日誌、別に順番はあまり関係ないからね……。
 ま、それはいいや。
 今日はネギ君が、やたらとテンションが低い……違うか、自分の日常が壊れたみたいな表情をしてた。
 クラインさんや茶々丸さんを見て怯えていたけど……さて、何があったのやら。
 桜通りの吸血鬼にでも襲われたのかと思ったね。
 ちなみに、そんな風に木乃香やのどかに言ったら、何だか妙な顔になったので、地雷を踏んだかなと思って切り上げた。
 親しき仲にも礼儀ありと言うし。
 自慢じゃないけど、私はあの三人に何があっても、もう驚かないね。


 ……そう言えば、私は茶々丸さんから魔法について聞いたけれども、他の図書館メンバーはまだそこまでの情報を得ていないみたいだ。
 考えてみれば、このクラス内で、誰がどこまで情報を握っているのか分からない。
 調査能力の高い朝倉よりも、事情に精通している人間はいるのだろうけどね。
 ……私はどう動くべきかねえ。]



 ネギま クロス31 第二章《福音編》その二(昼)



 怖かった。
 恐ろしかった。
 思い出すたびに。
 現実であると実感するたびに。
 ガチガチと歯の根が震えて、体の寒さが止まらなくて。
 涙や汗は酷く出るのに、芯から震えが湧きあがって来て。
 心配した明日菜さんが、隣で寝てくれたけれども、一睡もできなくて。
 目を閉じれば、金色の瞳と真っ赤な舌がまぶたの裏に移って。
 月光を背後に、彼女と、その仲間が二人並ぶ姿を何回も思い返して。
 明日菜さんにしがみ付いて、それでようやっと夜を過ごした。
 今日ほど朝日が待ち遠しかったことは無かった。
 でも、朝にも来てほしくなかった部分もある。

 「ネギ……学校よ?」

 僕は教師だ。
 だから、学校に行かなくちゃいけない。
 でも、行けばエヴァンジェリンさん達に会う事になる。
 それが、とても恐ろしくて仕方が無かった。
 明日菜さんは、僕の昨日の夜の事を知っているから、強く言わないけれど。

 「ネギ……昨日怖い思いをしたのは判るけど、先生が遅刻しちゃ生徒に示しが付かないわよ」

 それも、よく解っている。
 調子が悪いとさっき言ったら、木乃香さんは、人を呼んでくると言って出て行った。
 だから、今この部屋には僕と明日菜さんしかいない。

 「太陽の出てるこの時間に、吸血鬼は襲ってはこないんじゃないの?ネギ」

 でも。
 それでも。
 僕は布団から出たくなかった。
 布団に籠って、心を閉ざしていたかった。
 そんな時だ。
 パタパタという音がした。
 木乃香さんの足音と、彼女が連れて来た誰かの足音だ。
 そこまでなって、ようやっと僕は気が付く。
 考えてみればわかる。当然のことだ。
 寮の誰かの調子が悪い時。こんな時に、やってくる人は――

 「ネギ先生、大丈夫かな?」

 管理人の、高町なのはさんだ。
 昨日の夜。
 笑顔のままに、明日菜さんをさり気無く拘束していた、彼女。
 僕の視線に、にっこりと微笑んだままに頷いた彼女。
 明日菜さんは気が付いていないだろうけれども、エヴァンジェリンさんの仲間の、彼女。
 部屋の中に入ってきたなのはさんは、僕の様子を見る。
 頭から布団を被っている僕は、彼女の視線から隠れている。
 違う。怖くて、隠れることしかできなかった。
 しばらく後。

 「うーん……明日菜さん、木乃香さん。ちょっと部屋から出てってもらって良いかな。ちょっと話をして、ネギ君を学校に行かせるから」

 普段と変わらない優しい声で、そう言って。
 明日菜さんや木乃香さんが疑うはずもない。
 僕は心の中で、出て行かないで、って思っていたけれど、あっさりと出て行って、扉も無情にも閉められてしまった。
 パタリ、という音を最後に、部屋に沈黙が落ちる。
 静寂が、やけに耳に痛くて。
 でも、鼓動はやけに早くて。
 喉はカラカラで、掌は汗でビッショリで。

 「もうじき、学校の時間だよ?ネギ先生」

 普段と同じ声、同じ態度のその言葉にも、大きく反応してしまう。
 何にも変わらないその雰囲気が、逆に僕には不気味に見えた。

 「仮病は良くないよ?ネギ先生」

 僕は――返事をしない。
 高町さんは――この態度のままで。笑顔のままで。そのまま普通に明日菜さんを拘束していた人だ。
 本当に心配してくれているのか、裏があるのかも、僕には判らなかった。
 部屋に、沈黙が再び落ちる。

 「…………」

 「………………」

 「……………………」

 「……………………仕方が無い、か」

 なのはさんは、そう言って、息を吐く。
 僕は、それで彼女が諦めてくれるのかと期待して――その希望はあっさりと覆された。

 「昨日のエヴァさんの事は、覚えているね?彼女はなんて言ってたかな。……忘れてはいないはずだよ?もう一回言ってあげるから、頭の中で繰り返してね」

 にっこりと、直接顔が見えない僕でも、感じるような声のまま。

 「『君が私の敵に相応しくなるまで、君の周囲の人間の血を吸おう。……次は近衛木乃香や神楽坂明日菜でも狙うか?』……こうだよね、確か」

 ゆっくりと、なのはさんは僕に近づいて。
 布団の上から、子供に言い聞かせるように体を撫でて。
 頭から布団を被った僕に、優しく囁くように言った。



 「君が今日、学校に行かなかったら――一体誰が襲われるんだろうね」



 「――っ!!」

 ビクリ、と体が固まる。
 その声は、静かだからこそ――重かった。

 「君が、恐れて学校に行かないのは自由だけれど……良く考えることだよ。君は先生なんだから」

 その言葉の裏に隠された意味を、僕は判ってしまった。

 『先生が、恐怖で震えて生徒を危険に晒しても良いのかな?』

 そう言っていた。
 しばらくの間、また沈黙が下りる。
 八時を過ぎて、いい加減、時間が限界になってきた頃。
 最後に、なのはさんは言った。

 「『立派な魔法使い』……目指すのは君の自由だよ。でもね。断言してあげるよ。もしもここで――」

 さっきまでとは違う、笑顔では無いけれど、とても心に響く声で、彼女は言った。

 「――ここで逃げ出すと、君は二度と杖を持てなくなるよ。二度と目標を追えなくなる。それでも良いのなら、好きにしなさい。……ネギ先生」

 なのはさんはそれだけを言って、静かに部屋から出て行った。
 言葉が、頭の中でリフレインする。
 僕は、先生なんだと言う事を――繰り返し繰り返し、思い出す。


 明日菜さん達が入ってきたのは、それから五分後だった。



     ○



 なのはさんが部屋から出て来た時。

 「五分くらい待ってあげて。考えているはずだから」

 そう言ったので、私達は素直に五分間待ってから中に入った。
 なのはさんの表情が、凄く真剣だったからだと思う。
 部屋に入ると、ネギは表情は暗いけれども、きちんと布団から出ていた。
 まだ学校に行くのが怖いようだけれど、それでも学校には行くと、はっきりと言った。

 (なのはさん、一体何を言ったのよ……)

 やっぱり、一児の母なんだと思う。子供の扱いが上手い。……まあ、ちょっとスケールに違いはあるけれども。
 そこからは大急ぎだった。
 急いで着替えて、朝食は食べながらで、走って電車に乗って、教室まで。
 途中、皆から挨拶される時も、きちんと返事を返していて。
 でも。
 教室に入る前に――動きが止まった。
 中に入るのを怖がっているのだろうことが、良く解った。

 (仕方ないわね)

 何十秒か待ってみたけれども、拉致が明かない。
 ネギと扉の間に割り込み。

 「みんなおはよーっ」

 元気な声で、そう挨拶をして中に。

 「あ、おはよう明日菜……と、ネギ君」

 まきちゃんが一番に返してくれて、次に裕奈が。

 「おはよーって、ネギ君どうしたの?」

 妙に表情の冴えないネギに聞く。挙動不審で、明らかに脅えている顔だ。
 それに気が付いた皆も、なんとなく心配そうな顔をするけれど、それにネギは気が付かなくて。
 教室の中を見回して……エヴァちゃんがいないことを確認すると――ホッとしたように息を吐いた。
 どうも精神に、エヴァちゃん=恐怖、と刻み込まれてしまったらしかった。
 ……私はと言えば、図書館島での騒動で夕映ちゃんの行動も見ていたし――怖い事は怖いけど、なんかエヴァちゃんを信じている部分がある。
 彼女が私に向ける感情の中に、どことなく穏やかな部分が――ほんの一瞬だけど見える事がある。
 吸血鬼がエヴァちゃんだってことは本気で驚いたけれども……何故だろう。
 殺されるという恐怖感も、決して殺されない恐ろしさも十分にあるのに。
 私は、エヴァちゃんが怖くない。
 彼女本人から、まったく恐怖を感じ無いのだ。
 不思議なことに。
 どこか、私の覚えてない時に――遭ったことがあるのだろうか?

 「マスターは学校に来ています。即ちサボタージュです……お呼びしましょうか、ネギ先生」

 横から声が掛けられる。
 平淡で、静かな声。
 出入り口に立つ――昨日、エヴァちゃんと一緒にいた――茶々丸さん。

 「ご安心ください」

 凍りついて、震え始めたネギに(多分昨日の夜を思い出しているのだろう)淡々と言う。

 「マスターからの命令が無い限り、ネギ先生に危害は加えません」

 礼儀正しく頭を下げて、茶々丸さんは席に戻って行く。
 視線の先には、クラインさんもいなくて。
 一時間目、ネギの英語の授業には出ないようだ。
 その方が良いかもしれないと、頭の片隅で思う。
 ネギは――多分、……えーと、そう、トラウマ?みたいな物を覚えているんだと思う。
 それを払拭するのは、ネギ自身の力でないといけないと思うし。
 今の状態では、エヴァちゃんがいたら授業にもならずに倒れてしまうだろう。
 鐘が鳴る。
 席に着いた私の前で、覇気どころか生気が無いネギの授業が始まった。
 その癖に、自分に言い聞かせるようにして気力で立っている雰囲気がある。


 もちろん、いつものような元気な授業には、当然ならなかった。



     ○



 屋上で。
 太陽に当たりながらのんびりとしているエヴァンジェリンとC.C.である。
 授業を思いっきりサボっている二人であるが、英語など習わなくても十分に堪能である。
 行ったら行ったで、少年は授業にならないし。

 「ボーヤは学校に来たようだな」

 エヴァンジェリンにして見れば。ネギのような大きな魔力は、眼を瞑っていても感知できる。『調停員』も同様で――遠くから監視しているのも把握済みだ。

 『常に監視を受ける事にもなるが、それでも良いかの?』

 ――七年ほど前、リンやアルトリア、イリヤにアル……彼らに封印を不完全ながらも解いてもらった時から、全ての事情を知る学園長からそう言われた。
 無論そんなことは十分に把握していたし、最初から視野に入れていた。
 普段ならばそんな「学園長に忠実な」魔法関係者が彼女を監視しているのだろうが――『調停員』が来てからは、学園長がその旨を伝えて、監視役を交代させている。
 あの女性は――まあ、それなりにまともな部類には入るだろう。
 学園長もタカミチも、しっかりと計画を知っている。
 協力してくれているのは確かだ。
 表には絶対に出さないが。

 「高町に頼んだのか?」

 隣の。猫のように丸まった灰色の魔女が言う。

 「ああ……今のボーヤは、生徒に被害を出すわけにはいかない――そんな義務感で学校に来ている。来なかったら『自分が原因』で生徒に被害が出ることも、思い出させておくように頼んでおいたからな」

 「鬼畜だな」

 「まあな。だが学校に来たことは事実だ。来なかったら――事情を知る雪広の血でも吸うつもりだったがな。……さて」

 ふあ、と欠伸をしながら、身を起こす。
 次にやることは簡単だ。義務感では無く――彼自身が、その場で一番大事なことは何かを選べるように心に刻みこむ。
 最終的な目的は、恐怖や何やら、全てがあったとしても、それでも自分の意思で彼女に立ち向かって来れるようになって。
 そこで初めて、少年は敵となりえるのだ。
 戦場とは、己の意思を示すものである――そんな言葉がある。
 彼女も同じ。
 あの場で彼女が示した意思に、少年が答える事が出来て、それで初めて土俵に上がり。
 少年の意思をこちらに見せて、それでようやっと対等になる。
 その為の布石も、そろそろ発動する。
 高町なのはに頼んで、恐怖と義務感を選択させた。
 結果として少年は、恐怖よりも――公人の立場を選択した。

 「C.C.……私は昼休み前には、ここを離れるぞ。――次はお前と、ルルーシュの役目だ」

 「……ああ」

 身を起こしたC.C.を見ながら、彼女は思う。

 (……さあ、怯えて震えて、泣き叫んで――それでも前に進めるか?ネギ・スプリングフィールド)

 《福音》の試練は続く。



     ○



 お昼時のこと。
 職員室に戻って来たネギに、声を掛けた人間がいた。
 浦島景太郎である。

 「ネギ先生……屋上で、川村先生が」

 伝える話があるらしいよ、という言葉を聞くネギである。
 今の彼は、恐怖と義務感で心が飽和状態であり――冷静であるとは言えない。
 食欲もなく、木乃香が朝、作って渡してくれたお弁当も半分以上残っていた。
 自分の状態を取り繕いながらも(勿論明らかに奇妙しいことは全員にバレているが)、その言葉を聞いて、職員室を出て行くネギを見て――景太郎は、ネギが出て行ったあとに、部屋影から姿を現したその人物。
 ヒデオを見る。

 「これで良いのかな?」

 「……ええ」

 頷いたヒデオである。
 屋上で待っているのは――C.C.とルルーシュ・ランぺルージだ。
 果たして、今の彼が。エヴァンジェリンの仲間にクラインがいて、つまりルルーシュもそうである――と、そこまで考え付くかは微妙な所だが……一応確実性を求めたのだ。
 ヒデオの仕事は簡単そのもの。
 神野陰之の『異界』を展開させたりだとか、周囲を見張っているだとか、緊急時の時の指揮官だとか、ウィル子の監督役だとか……つまりは裏方である。
 エヴァンジェリン曰く、ヒデオが彼女に協力している事は――最後までネギに教える必要はないと言うことだ。
 それが何を示しているのかは……明白であるが。
 しかし――協力すると言って、計画を飲んだ以上。ヒデオは自分の役目を果たすだけである。

 【……あれ?】

 そんな風に考えるヒデオの頭に、久しぶりに響くノアレの声。

 (……どうしました?)

 何やら、みーこを始めとした古き存在達の伝言役として活動しているらしく……最近は神野陰之が代役を務めている。……いや、逆か。きっとあの《名付けられし暗黒》が、ノアレをこき使っているに違いない。

 【いえ、どうやら学園内に獣が入り込んだみたいですね……】

 (結界を、越えて……ですか?)

 【ええ。きっと……動物妖精の類でしょう】

 ……なお、ヒデオも高町家に、フェレットと子犬が増えている事は知っているが、それがどんなことが出来るかまでは知らなかったりする。
 子犬の方が、実は人間になれて格闘が得意らしいということは推測しているものの、所詮は推測。しかもフェレットの情報は握っていないのだ。
 そこらへん、組織に所属するなのはは、それなりにシビアであり――計画に関係のない部分まで打ち明かしてはくれていない。
 無論、ヒデオとて話していないことはある。組織の機密事項や、関係のない秘密などは特にだ。
 本当の意味でエヴァンジェリンの協力者なのは――茶々丸達を除けば、ルルーシュとC.C.だけだろう。
 だが、それでも人間的に信頼が置けることは確かなので、何も問題は無い。
 ふと気が付くと――昼休みも半部以上が過ぎていた。
 次に授業があるので、あまりのんびりともしていられない。

 (……まあ、取り敢えずは)

 考えるのは後にして、箸を動かそう。
 ヒデオのお弁当は――美奈子の手作りだったりする。



     ○



 屋上。

 「落ち着いたか」

 僕はどこからか取り出された組み立て式の長椅子に座り、隣にはクラインさんがいる。でも、ルルーシュさんはいない。
 僕は、ここに来た数分前を思い出す。
 やって来た時に――ルルーシュさんがいて。
 彼が、川村先生の名前を借りて僕を呼び出したんだと聞いて。
 第一声である――

 「エヴァンジェリンに相当に苛められたな、その様子だと」

 その言葉で、彼がクラインさんの婚約者なのだと言う事を思い出した。
 つまりそれは――彼もまた、エヴァンジェリンさんの仲間なのだと言う事。
 再びフラッシュバックした恐怖で体を固めた僕を、強引に座らせて。
 屋上に敷いたシートに準備をしておいた、紅茶を渡してくれた。
 毒など入っていない、と聞いて。
 しぶしぶとだけれども、大人しく飲んで。
 そこまでしたところで、隣に彼女が座った。
 それを見て、ルルーシュさんは下に降りて行った。
 それで、今に至る。
 気が付いて見れば、屋上は暖かかった。

 「ネギ先生、まあ確認ですらないが」

 黙ってしまった僕に、そうクラインさんは言う。

 「怖かったか?――ああ、返事はするな」

 表情は見えなくて。エヴァンジェリンさんのような恐怖よりも、得体の知れなさが感じられる。
 でも、僕はそこで――そう感じられることに気が付いた。
 今までは、心も頭も感情も、固まっていただけだったのに。

 「ああ、実はさっきの紅茶はな。毒は入っていないが――色々と入っていてな。リラクゼーション効果があるそうだ。ルルーシュはそう言う所には手を抜かん。安心して飲め……健康に害はない――はずだ。おそらく」

 サラリ、と怖い事を言って――僕はそれに怯えていないことを、実感する。

 「……会話は苦手だ。だから、私の一方的に話す事を聞いていれば良い」

 僕の方に一瞬だけ視線を向けて、彼女は言う。

 「なあ、先生……何に対して怖かったのか――まずそれを考えることだ」

 僕は――例えば、エヴァンジェリンさんに殺される事が。
 彼女が明日菜さん達に襲いかかることが。
 教師なのに、生徒を守れないことが。
 『魔法使い』にも、悪い人がいた事が。
 大きな闇の力が、僕に襲いかかって来る事が。
 そんな、色々な考えが巡る。

 「そうしたら、自分がどうしたいのかを決めて、それに責任を持て。命のほうが大事だと言うならば逃げ出せば良いさ。ただしその場合――お前を責める者がいると知れ」

 淡々と言う。

 「教えておこう。エヴァンジェリンは、例え責められてもそれをなす事が出来る出来る人間だ。……私と違って」

 その最後の言葉に――僕は反応する。

 「実はルルーシュもそうなんだが……あの二人はな、良く似ている。自分の望むことをするために、自分も含めた人間の悪意を背負い――それでもなお進む部分は、特にな。……なあ、その意味がわかるか?」

 ゆっくりと振り向いて、表情が読めないままに言う。

 「それはな――お前の恐怖は、彼女には何の意味もなさないということだ。そんな物は、障害どころか路傍の石ですらない。お前は道端の石を敵だと思えないだろう?同じことなんだよ。……だから。だから、だ。ここに来るのを義務でも何でもいい、選択したのならば、恐怖以外の物を背負って来ることだ。――後は自分で考えろ。……それだけだよ」

 そのまま、彼女は階段に向い。

 「ああ、安心しておけ。私は先生は襲わない。先生と彼女の決着が付くまではな。今日のこれは――そうだな、エヴァンジェリンに目をつけられた先生への、せめてもの情けと言う奴にしておこう。私は甘いからな。それに、私の相手は――」

 ひらひらと手を振って、背を向けたまま。

 「先生よりももっと気にくわない、あの小娘だよ」

 そう言い残して――降りて行く。
 自分の柄じゃ無い、と言っていたが。
 階段の踊り場で、ルルーシュさんと合流する。
 それで、二人は仲良く視界から消えた。
 結局、彼女は――僕に何を伝えたかったのか。
 午後の空いた時間を目一杯使って、それを考えて。
 それから四時間。
 考えて、何とか形になって。
 結論らしき物が出て。


 その日、僕はほんの少しだけ――死や闇の恐怖を乗り越えた気がした。
 怖いけれども、体の震えも納まった。
 緊張していても、固まることはなくなった。
 でも……襲われることの怖さはまだある。
 ……明日菜さん、今日も一緒に寝てくれないかな。



     ○



 夕方。
 私から離れようとしないネギである。

 「だから心配しすぎだってネギ……何も取って食われる訳――」

 昨日の彼女の言葉を思い出し。

 「ああ、食われるんだったっけ……」

 血を吸われるんだった。
 そのせいで周囲を警戒するネギに、私は慌てて言い直す。

 「いきなり襲ってはこないって。それに命までは取らないって言ってたでしょ?」

 私にとっては、真意が読めないクラスメイトで――ネギにとっては生徒のはずだ。
 それほど信用できないものなの……だろうか。
 昼休み、何やら屋上であったらしく。
 朝ほど弱って見える訳では無い。むしろ、活力は充実して見えるが――今度はいつ襲われるのか、いつ狙われるのかと不安で仕方が無いらしい。
 エヴァちゃんを怖いのは確かだけれど。
 それでも、何とかトラウマにならずに脱却できたようである。

 「大丈夫よ、ネギ。今度会ったら、私がしっかり言ってあげるから。元気出しなさいよ」

 その言葉は、どうやら嬉しかったらしいけれど。

 「明日菜さんはあの人たちの恐ろしさをわかってないです……」

 そんな風に言って、半泣きだった。
 まあ、動けなくなるほどに固まるよりはましか。
 うん、まあそれはそうかもしれない。
 考えてみれば、私も非日常的な体験に慣れてしまっただけ。
 殺人衝動の夕映ちゃん。
 《紙》に祝福された本屋ちゃん。
 双子の可愛い動く人形。
 魔法少女な管理人さん親子。
 そして――桜通りの吸血鬼。
 自分は、確かに関わってはいるけれども――でも。
不思議と、危機感は感じるけれども、自分の知らない未知のものに対する恐怖感が無い。
 中には、思いっきり命に危険があることも判っているのに。
 まるで――そう。



 こんな経験を過去にしてきたみたいだ。



 異常なほどに、慣れてしまっているかのように――心が乱れない。

 (……一体、私どうしちゃったのかな……)

 息を吐いて、

 「ねえ――」

 ネギ、と言おうとして。

 「あれ?」

 気が付いたら、姿が消えている。
 時刻は夕方で――

 (……まさか既にエヴァちゃんに襲われた、とか)

 吸血鬼ならば、音をたてずに行動できるんじゃないか。
 そんな風な、嫌な想像をしてしまい……私は慌てて校舎の周辺を走り回る。
 五分。
 ネギは見つからない。
 十分。
 ネギはどこにもいない。
 十五分。
 ネギは――

 「……ほう、明日菜か」

 エヴァちゃんの所にも、いなかった。
 私がネギの行方を尋ねてみたけれど……。

 「知らんぞ?」

 そんな風に返されて。
 何分かの問答の末に、どうやらネギが消えたのには彼女は無関係らしかった。

 「今のボーヤには価値が無い。昨日の夜よりは多少マシになったが、まだ駄目だ。まあ仮に合格を出せるレベルに達した所で――魔法の戦闘や知識に長けた助言者でも現れなければ難しいだろうがな」

 ネギが怯えていることについてを話したら、帰ってきた言葉がそれだ。
 その余裕の中に、彼女の技量と実力の高さがうかがえた。

 「だが、明日菜。何故あのボーヤに肩入れをする?一緒に寝ていて情でも移ったか?」

 おそらくそれは、単純な疑問では無かったのだろうけれど。
 私は、自分の思ったことを話していた。

 「理由なんて、自分でもわからないわよ。でも、あの馬鹿はほっとけないの!……それに」

 「それに、なんだ?」

 一瞬、言おうかどうかも迷ったけれど――私は結局口に出す。



 「何か……あいつ、私と無関係じゃ無い気がするって言うか」



 その時。
 時間が止まったような気がして。
 一瞬だけ目を開いた顔を、私は見逃さなかった。
 でも、私は――それを訊くことはなく、続ける。

 「エヴァちゃんも――ネギをきちんと見てる気がしてさ」

 「……昨日私のあの姿を見たのに、か?」

 今度は、普通に意外そうな顔で、返される。
 先程の動揺は、全く見えない。
 でもあれは、絶対に見間違いでは無かっただろう。

 「そうよ。先生とか『魔法使い』とか、そう言う事じゃ無くて。ネギって言う人間を見てる感じがさ」

 自分でも――どうしてこんな事を言っているのか、良く解っていなかった。
 でも、口から言葉は――紡がれて。


 「……何でかな、不思議なんだけどさ。エヴァちゃんのこと――昔から知っている見たいな印象があってね」


 気が付いたら、私はそう言っていた。
 その私の言葉に、彼女は一体何を思ったのだろう。
 瞳の中に、何か感情が映って。
 再び――彼女の表情が崩れたように見えた。
 それからしばらく、黙っていて。
 夕日で、顔が陰った時に――

 「……そうか」

 静かに頷いて。

 「……前にも薬屋で言ったな。お前の人生だ。お前が決めろと。――そこにもう一つ加えようか。選んだ自分に、選択した自分に最後まで責任を持て。過去を悔いても、戻れはしないからな――それを忘れるなよ。……絶対にな。明日菜」

 それで、すぐに背を向けて去って行った。
 だから。

 (あれ……?)

 その表情に、見おぼえがあったことを、不思議に思う。
 はっきりと分からなかったけれども――頭の中で、曖昧なままに思い出す。
 ほんの一瞬だったけれども、その顔は。
 昨日の夜、なのはさんがヴィヴィオちゃんに対して見せた表情と同じ。



 母親が娘を見るような目をしていた。



 (……どうして?)

 感覚でしかない。でも導き出した結論が間違いでは無いような気がして。
 それを、不思議と納得できる自分がいて。

 (ホント、どうしちゃったのかな……)

 そうぼんやりと考えて。
 エヴァちゃんを追うようにして、通り過ぎて行った茶々丸さんが。

 「ネギ先生は大浴場にいるようです……貞操の危機かと思われますので、お急ぎを」

 そう残して言って――
 静かに、その内容を把握して。

 「ってまずいじゃない!それ!」

 私は慌てて「涼香」へ走って行った。


 大浴場には、ネギの知り合いらしいオコジョがいたことを教えておく。



 かくして。
 物語は、夜へと続く。


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