これは俺、真撰組密偵、真帆良学園清掃係である山崎退の記録したレポートである。仲間達に忘れ去られこの学園に取り残されてしまった俺は、いつ帰れるのかという不安を抱きながら、特にやる事もない時間を利用して真帆良学園の生徒、3年A組と一部の学校関係者についてまとめてみた。特に面白味もない地味な文章だが、この記録がどうか真撰組とこの世界に役立つ事を俺が願う。そして早く俺を迎えに来てくれ、もう本編終わって一年経ってんだろうが学籍番号1 相坂さよ江戸に帰ってしまった旦那と副長、教師であるネギ君と生徒の一人であるのどかちゃんの情報をまとめてみると、どうやらこのクラスには女子生徒の幽霊がいるらしくそれが彼女らしい。幽霊か、そういえばウチの屯所でも幽霊騒ぎとかあったよな……アレは幽霊じゃなかったけどこっちは本物らしいその幽霊は幸か不幸か俺には見えない、ネギ君にも稀にしか見えないようだ。だがたまに誰もいない教室で「千の風になって」を歌っている声が聞こえる事がある。もしかしたら彼女が……いやないないない、なんで幽霊がテメーを成仏させかねない歌を熱唱すんだよ学籍番号2 明石裕奈特に俺は彼女と接点が無いので彼女の親友であるまき絵ちゃんから色々と教えてもらった。バスケットボール部に所属していて元気一杯の運動系女の子、そして自他共に認めるファザコンらしい。最近の思春期の女の子はお父さんに対して敵対心MAXになるのに今時珍しい子だ。前に体育館の清掃をしている時に彼女がクラスメイトや旦那と一緒にバスケをしていたのがあったが、旦那でも全く勝負にならなかった。余裕気にあの旦那からボールを掻っ攫う姿は少しカッコ良かったボロ負けした旦那は腹いせにまき絵ちゃんをボール代わりにダンクシュート。あの人はいつになったら大人になるのだろう。学籍番号3 朝倉和美旦那とよくツルんでいた女の子の一人。どんな情報でもすぐに見つけ出せる報道部の敏腕記者、どっからでも神出鬼没に出て来て記事にする為アポ無し取材する姿はさながら欧米のパパラッチを彷彿させる。仕事が出来るとはいえ旦那も彼女にはかなり手を焼いていたようだ。誰とでも話しかけられるタイプなのか、色んな事に首を突っ込んで生徒と交流を交えている。周りにめんどくさがれる事もよくあるがそれに全くめげずに奮闘する彼女を見て、俺も少し見習いたいと思った。旦那と一緒にいる仲だったせいか千雨ちゃんとよく一緒に行動している事が多い。どう見ても正反対のタイプなのだが仲はかなり良好のようだ。だが逆に千鶴さんとは仲が悪い、たまに口喧嘩を二人でしているのを何度か見た事がある。なんか銀さんは千雨ちゃんの嫁だとかなんとか叫んでたような……。……逆じゃね?学籍番号4 綾瀬夕映恐らく現在形で真撰組の中で数多の攘夷浪士や罪人の群を抜いて最も危険と称されているのは彼女だろう。彼女はあろうことにウチの組織のトップに惚れこんでいるのだ。「美女と野獣」ならぬ「ゴリラと毒舌娘」。一体誰得のカップリングなんだろうか?ていうかウチの局長の事を好きになったのかはさっぱりわからない。本人に聞いても「そんな事もわからないからあなたは何時まで経っても地味なんです、ていうかあなたは早く次の就職先を探したらどうですか? 私が正式にあなた達の姐さんとなったあかつきにはまずは地味で役に立たないあなたを即座にクビにしようとしていますので、せいぜい私にゴマをするなりして頑張って下さい、まずはそうですね、とりあえず購買部でウルジャン買ってきて下さい」……女の子に殺意が芽生えた事に自分でも驚いた……ウルジャンはジャンプより高かった。なんと言っても口が悪い、口を開けばすぐ毒を撒き散らす。上から目線は基本で完全に俺達大人をナメている、俺をナメている。こんな子を絶対姐さんとは呼びたくない、なんとしてでも局長と彼女の縁談を阻止せねば。旦那や副長とも相当険悪な仲だったらしい、まあお互いすぐ喧嘩腰になるから妥当だろう。局長は人のいい性格だから彼女とでも上手くいけるかもしれないが、俺達隊士は絶対に無理だ。特に沖田隊長、あの人は間違いなく彼女を殺しにかかるよきっと。いやマジで学籍番号5 和泉亜子まき絵ちゃんとルームメイト。関西弁を使い、髪と目の色が薄いのが特徴の少女だ。まき絵ちゃんのイチ押し情報曰く、惚れっぽい性格。いやどうでもいいんだけど……。クラスメイトと一緒にバンド活動とかもやっているらしい、確かバンド名は「でこぴんロケット」だっけ? たまに体育館や音楽室で演奏しているを観る。俺は音楽とか興味無いからわからないから、「まあ上手いんじゃない?」って感じだ。前に旦那が彼女の所属するバンド名を聞いて「は? ポコちんロケット? 誰のナニをロケットにする気だテメェ、言っとくけど銀さんのは飛ばさねえぞ」と言った瞬間彼女が泣きだした。あの人は年頃の少女に対してなんであんなに平然と下ネタを使えるのだろうか学籍番号6 大河内アキラ水泳部所属で小動物をこよなく愛し、無口だが世話焼きが好きな優しくていい人。なんというか千鶴さんや楓さんとは違う雰囲気のお姉さんオーラを持っている、傍にいて安心すると言うか落ち着く。あの二人といても一秒たりとも落ち着けないしな……。争い事とか人の迷惑になる事や困らせる事が「超」が付く程嫌いだとか。旦那とは絶対に仲良くなれないだろうな、だってあの人、争い事とか困らせる事とか大好きだもん……沖田隊長と同じ真正のサディストだもん。案の定、旦那の事はあまり快く思っていなかったらしい、一度も会話した事無いししたくも無かったとか、まあそりゃそうだよね。ちなみに彼女の情報はまき絵ちゃんからと俺が直接彼女から聞いた事をまとめて作った。直接聞けた所から察するにどうやら俺の事は嫌いじゃないらしい。少しだけ旦那に勝った気分あと、最近寮の管理人となった新人の阿伏兎さんと廊下で話してる光景を見た。「ヘビって可愛いですよね、あのつぶらな瞳とチロチロと出す舌が……」「まあ食ったら美味ぇんだけどよ、アイツ等たまに毒持ってる奴いるよな?」「可愛い小動物には棘があるものです」「その棘でウチの部隊が全滅しかけた事あってさ、団長のバカが大量に毒ヘビ捕って来てよ、何も知らない俺達に食わせたんだよ。もう全員戦う前から腹の中が戦場になっちまってあの時はさすがに俺もヤバかったわ」どこからどうツッコんでいいのかわからなかったので俺は話しかけずにその場から去った。学籍番号7 柿崎美砂今時の女の子といった感じ、“だった”。A組では唯一の彼氏持ち、“だった”。沖田隊長に調教されて身も心もメス豚になって“しまった”。だが隊長がいないときは至って普通、たまに奇声を上げたりどこかへ失踪したりするらしいけど……亜子ちゃんの所のバンド、「でこぴんロケット」のメンバー。前は普通に演奏してたらしいが、沖田隊長と出会ってからはデスメタルに目覚めたらしい。演奏中にハイテンションにデスボイスやっていたり、ギターを焼いたり叩き壊したりしたり、同じメンバーに奇声を上げながらドロップキックしているのを俺は見た。あのバンドは上手くやっていけるのだろうか……なんだか心配になって来た、主に彼女に対して。学籍番号8 神楽坂明日菜彼女は旦那や沖田隊長に対しても全く怯まずに真っ向から勝負を仕掛ける事が出来る。俺の知る中でA組で一番命知らずの女の子だ。頭は空っぽだが運動神経はズバ抜けていて、生身にも関わらず天人を単独で倒せる実力を持っていたりと、色々とぶっ飛んでいる。ぶっちゃけ俺より強いんじゃないか……?普段は同じ部屋に住むネギ君の姐さん的存在で、嫌々な態度を取っておいてなにかと彼の世話をしてあげているらしい。ネギ君曰く口癖は「勘違いしないでよね!」。お手本のようなツンデレだ。旦那とは結構折り合いが悪かったようだ、お互い負けず嫌いな部分があるし度々喧嘩をしていたとか。中学生、しかも女の子とマジ喧嘩する旦那って一体……!ちなみに俺は全く彼女と交流が無い、たまに「あらアンタいたの?」と言われるぐらいだ、地味キャラはツラいぜ……。学籍番号9 春日美空陸上部でありながら学校の敷地内にある教会でシスターをしているという変わった女の子。影が薄い事は自覚していて、あの濃いキャラ層に埋もれかかっていても気にしない。俺と新八君も見習わなければ……足が速く、運動神経がバカみたいに凄いアスナちゃんと互角、もしくはそれ以上に機敏に動ける。旦那と昼飯代を賭けてグラウンド一周レースをした時も凄かった。「足で勝負するとは言ってねぇから」と言ってニンマリと笑い原付にまたがる“最低の大人”を相手に彼女はなんと足だけで勝ったのだ。旦那はそのまま無表情で原付に乗った状態で学校外へ逃亡した。汚い、さすが旦那汚い学籍番号10 絡操茶々丸学校敷地内を掃除してる時に偶然彼女が俺と同じ様に掃除していたのがキッカケで仲良くなった子。人間ではなくからくりの一種だ戦闘態勢に入ったらロケットパンチもできるし目からビームも撃てる。どこからともなくデッカイ銃を取り出して天人をジェノサイド、なんでもアリだ。そして切り札として指の先からはなんと醤油が出る。……いやなんで醤油?旦那ともう一人の子と同じ家に住んでいて世話役を担当していると言っていたが、あの破天荒な二人に対して冷静にいられる彼女の肝っ玉が凄い、まあ何事も冷静に対処出来る彼女だから旦那達と上手くいけるのかもしれないけど。ところで彼女は最近、学校の授業が終わった放課後はよく俺の所に来るようになった。なんで俺なんかの所に来るのかは自分でもわからないらしい。なんかのバグかもしれないとか言ってたけど……。話し相手になってくれたりとなにかと俺に好意的に接してくれるし、なにか助けになってあげたいものだ。だって侍だもの