獣は森を疾走する、追っ手を振り切ろうと必死に。おのれの自由を持ち、自分はもう誰にも支配されない。そんな事を考えていて、ついに獣は自分を封じ込めていた檻から出て逃走した。もう誰にも縛られねぇ、俺は自由なんだ。獣はそう考えていた。そして獣は森の中で追っ手に逃げながら自分を奮い立たせるために叫ぶが如く、吼えた「ニャァァァァァァァァ!!」「待ちやがれェェェェ!! クソネコォォォォォ!!!」獣もとい、ネコは今、銀八、千雨、あやかの三人により捕獲されるピンチに陥っていた。ネコは必死に逃げ、追いかけてくる三人を巻こうと必死だった。「ハァ・・ハァ・・もう無理限界・・疲れたわ・・」「何言ってんだテメェッ! それでも二代目新八かッ!? 襲名したんだから、初代を超える勢いで頑張れよッ! 新八は少しはやる奴だったよッ!」「うるせェェェェェ!! お前やいいんちょと違って、私は体力無いんだよッ! だから新八って誰ッ!?」満身創痍の千雨に銀八は激をいれながらも、逃走するネコを追いかける。何故こんな事をやっているのかというと『万事屋』に朝倉和美の仲介により仕事が入ってきたのだ。依頼主は中等部の一年生。ネコが帰ってこないので探して欲しいという、捜索願いだった。「ところで銀さんッ! あのネコで本当に合ってますわよねッ!?」「ああ、依頼主の言っていた特徴と一致している。まちがいねぇ、あれは依頼主のネコの『ドリームジャンボ三億円ちゃん』だッ!」「どんな名前ェェェェェ!? 所ジョージかッ!? 所ジョージの影響かッ!?」走りながら、あやかの問いに銀八は答え、千雨はツッコむ。こんな状態でもネコはもう捕まえられる範囲に入ってきている。ついでに銀八の衣装はいつもの白衣ではなく、私服でもある和服を着ている。「あやかァァァァァァ!!右から回れッ!俺は左からだッ! 千雨は、俺達がネコを挟み撃ちにした所を狙ってトドメを刺せッ!」「了解しましたッ!」「いや、私の役目やばいだろッ! トドメって何ッ!? 依頼主のネコにトドメ刺していいのッ!?」そんな千雨の言い分を無視して、あやかは右に、銀八は左に回りながら走りネコが逃げられないように両サイドにつき・・「でぇぇぇぇぇいッ!」「ニャァァァァァァァァ!!」「やったッ! 銀さんが捕獲しましたわッ!」「あれ、私の役目はッ!? トドメ刺すんじゃねえのッ!?」銀八はダイビングキャッチし、見事『ドリームジャンボ三億円ちゃん』を捕獲するが、千雨は自分の役割について抗議する。「心配すんな、新八はこういう所じゃあ、あまり活躍しねえんだよ。地味に徹してツッコミをするのが新八の役柄だった」「だから新八じゃねぇってッ! どんだけ私を新八にしたいんだよッ!」「バカヤロウッ! 『地味』、『眼鏡』、『ツッコミ』という『新八三種の神器』を持つお前は、立派な新八になれるさッ!」「そうなんだッ! やったァァァァ!! って言うと思ってんのかボケェェェェェ!!」森の中で銀八はネコをつまみ上げてゆらゆらさせながら、千雨に『新八論』を叩きこんでいた。第八訓 みんなそれぞれテメーの刀を持っている気に入らない男がいる。最近、副担任になった男だ。あんなダメ人間のくせにクラスの人達には、なんだかんだで慕われている、別にそれは構わない。だがあの御方とも親しいのが私の気に入らない点だ「刹那、何イラついている顔をしているんだ?」「龍宮か・・別に私はイラついてない・・」場所は学校の屋上。そこで私は一人である御方を守るために、ここから見守っていたのだが、ルームメイトであり、同業者の、龍宮真名が突然後ろから私の名を呼び、話しかけてきた。「さしずめ、お前の大切な木乃香お嬢様と仲のいい、あの天パの先生だろ。アイツとお嬢様が親しいのがそんなに腹立つのか?」「勘のいい奴だな・・お前は・・」龍宮の言葉は的を射ている。お嬢様、木乃香お嬢様と仲の良いアイツに私は憤りを感じている。最初見たときはどうでもいい存在だった。学園長も性格は危険だが、強さは我々に比べれば、問題無いと言っていた。魔力も持たないし、あの見た目だ、腰の木刀も振れるのか、わからない・・。あんな自堕落な奴がお嬢様と仲良くしているのが許せないのだ。私はお嬢様を影から見守るもの、私がお嬢様とお喋りするなど言語道断だ。それをアイツはやすやすと・・「お前はあの男に嫉妬しているのか?。自分は木乃香と仲良く一緒にいてはいけない、自分は遠くから見守る事しか出来ない。だがあの男は違う、自分と違って木乃香と仲良く出来るし、しかも男だ。あのダメ人間日本代表候補の男に嫉妬しているんだろ?」「私は嫉妬などしていないッ! 私はあの男がお嬢様に有害だと思っているのに仲良くしているから、腹立たしいんだッ!」座って静かに語るかのように話しかけてくる龍宮の言葉を、私は否定する。ネギ先生みたいな子供ならいいが、アイツは20代前半ぐらいだろ。お嬢様に下心がないとは言いきれない・・。なぜあんな奴を学園長は教師にしているんだ・・・「銀八先生にはエヴァンジェリンがバックにいる。だから学園長も容易に手を出せないんだな、なんでも彼をクビにしようとすると自分の首を飛ばされるとか言ってたな・・・」「・・お前は相変わらず人の表情で考えを読むんだな・・」龍宮は立ちあがり、屋上から降りようとする。その時、ふと私に顔を向けてきた「あの男は見るからに非力だ。依頼料さえ出せばすぐにアイツをエヴァの目が見えないうちに、この学園から追い出せるぞ」「必要無い、お前に高額な依頼料出すより。あんな奴、私一人でも軽くやれる」私は龍宮の提案を一蹴すると、龍宮はフッと笑い、屋上から飛び降り消えた。普通の人間がここから飛び降りたら命は無いだろうが、私や龍宮のような仕事をやる者には簡単に着地する事が出来る。ふと下を見ると、お嬢様は学友のアスナさんと一緒にベンチに座り、昼ご飯を食べているご様子だ。しかし段々とふらふらしながら、二人に接近している男がいた。「坂田・・銀八・・」私はその男の名をつぶやき、見ていた。銀八が来たのに気付いたお嬢様とアスナさんは軽く挨拶している。しかしあろうことか、そのままあの男はお嬢様の隣りに座ったのだ。お嬢様の肩に手を回し、お嬢様の弁当のおかずをくれと、ねだっているようだ。お嬢様は笑顔でアイツにおかずをあげている。「まるで乞食のようだな・・お嬢様にとって奴は邪魔だ・・」私はそう呟き、銀八を屋上から睨みつける。あの男をこの学園から追い出したい・・しかし後ろ盾には『闇の福音』のエヴァンジェリンがついている。簡単には出来ない事だ。だがこのままだと、あの男はいずれお嬢様に危害を加えるのでは・・どうすれば・・「クックックッ・・何恐い顔してんだぁ? お嬢ちゃん?」突然後ろから男の声がした。私はハッとして後ろを振り向いた。「何か大切なものが誰かに取られそうで、どう守ろうか考えている顔だな・・」「貴様、何者だッ!?」声の主は異様な見た目だった。左目に包帯を巻いていて、片方の目は全てを見透かすようなどす黒い感じな目をしている。何故か女性の和服を着ていて。腰には一本、日本刀を差しており。キセルを吸いながら私を見ている。私が聞いても男はクックックッと笑い、こちらに近づいてきた。普通なら近づいた瞬間、私は攻撃体制に入り攻撃するのだが、動けない・・隙が全く見えない・・その男は私の隣りに立ち、私が見ていたお嬢様達と銀八を見ていた。そしてしばらくすると、首だけ私のほうに向けてきた「お前、『白夜叉』が憎いか?」「しろ・・やしゃ・・?」「あそこで楽しそうにしている銀時の呼び名だよ。俺達が戦争している時は、天人や俺達の方からそう呼ばれていたのさ」「銀時?・・銀時というのは銀八のことかッ!? お前と一緒に戦争をしていただとッ!? どういうことだ答えろッ!」私は刀袋から愛刀を抜ける体制に入り、一歩下がり、目の前の男と対峙する。だが男は涼しい顔でキセルを吸い、煙を吐き、口元に笑みを浮かべていた。「銀時の奴は偽名まで使ってんだなぁ・・よほど過去を忘れてぇのか? アイツと俺はここの世界の人間じゃねぇよ、といっても魔法界でもねぇ・・別次元の世界さ」「な、なんだとッ!」私はその男の言葉に動揺した。別次元の世界だとッ!?その世界で銀八は、この男と一緒に戦争をしていただと・・信じられない・・だがこんな幼稚なウソを目の前の男がつくとは思えない・・「教えろ・・銀八は何者なんだ・・」「銀八ってのは本名じゃねぇ、銀時っていうんだよアイツは。俺の元ダチでな、今はケンカ中さ、昔は仲良かったんだぜ。一緒に何百、何千の敵を斬り殺したなぁ・・」銀時・・それが奴の本名なのか・・、こいつと銀時が友達だと?、とてもそうとは思えない・・。銀時が戦争に参加して敵を倒して行く姿など想像さえ出来ない・・そんな事を私が考えている時、キセルを吸いながら男は話しを続けた。「銀時はなぁ、敵との戦において鬼神のごとき強さで、敵どころか味方からも恐れられていた。その時についたアイツの呼び名が『白夜叉』さ」「あの男はそんな風に見えないが?」「あいつはキバを隠すのが上手い。今もキバが無い小動物を演じているようだが。一度アイツがキバを出せば・・」そこで男は言葉を切った。そして邪悪な笑みを浮かべ、私に一瞬で近づいてきて目と鼻の先の距離で私に話しを続けた「アイツがキバを、白夜叉がキバを出せばお前の大切なモンが傷つくかもなぁ・・」「なッ!」「クックックッ、信じるも信じねえもお前さんしだいだ。だが白夜叉の事は本当さ」男は笑みを浮かべながら一歩下がり、私の反応をみていた。あの男はそんなに危険なのか?、コイツが危険なのはわかるが、私に手を出してこない・・殺意もない。コイツの言う事を信じるか?だが信じて、白夜叉を倒すとしても、まずエヴァンジェリンがいる。この男の言う限り、白夜叉の力も本物・・どうすればいいんだ私は・・「お前さんのキバを研いでやろうか?」「何ッ! どういう意味だッ!?」「これやるよ」私が悩んでいると、男は裾から、数珠を私に投げてきた。珠の代わりに勾玉で形成されている。「それは文字通り『魔除』って言ってなぁ、それをつけるとどんな奴でも魔力を失い、しだいに動けなくなる。外すのもつけた本人しか取れねえ。つまり吸血鬼の魔法使いだろうがよぉ一瞬でただのガキだ・・」「まさかッ!」この男はこの数珠でエヴァンジェリンを無害にしてしまえと言っているのかッ!?だがそうすれば障害は減る・・この数珠を使い魔力を封じ、人質にして白夜叉を誘う・・「あとこれやるよ、手ぇ出しな」「なんだこれは、お札か?」男はまた取り出して、私の手に渡したのはお札だった。しかしこんな黒いお札は見た事がない・・「それはなぁ、テメーが守りたいモンを命をかけても守りたいと思ったときに、使えるようになる武器。名は『死装束』」「武器・・だと?」「使わない方がいいかもしれねえが、それを使えば白夜叉に勝てるかもなぁ」これを使えば白夜叉を・・そうすればお嬢様の障害が消える。だがこの男の事を鵜呑みにするのは・・「その2つがありゃあ、吸血鬼や白夜叉も殺せると思うぜ、あばよ」「ま、待てッ! 何故私にこんなことをするッ! 貴様は何者だッ!?」その男が背を向け帰ろうとする。私はその男に声をかけ呼び止めると、男はこちらに振り向く「高杉晋助っていうんだよ、俺の名は。お前に立派なキバが見えてなぁ、研いでやりてぇと思ったんだよ。お前の中の獣も見てぇと思ったというのもあるしな、あと・・」「あと・・あと何だッ!?」「キバを隠して自分は無害だと主張して生きている、あの『白夜叉』がお前と殺し合いを演じて、どうなるのか興味があるんでねぇ・・」高杉はそう言い残し屋上から飛び降りた。私は高杉がいた所にいき、下を見たがそこには高杉も着地した痕跡も無かった・・「ガキのお守りがあるんだ。殺り合うんなら、今夜にしてくれねえかぁ? クックックッ・・」その声はどこから聞こえたか分からないが、いきなり私の耳に入ってきた。私は周りを見たがアイツの姿は無い・・「高杉・・晋助・・。いいだろう、貴様の入っている事が本当なら、今夜、白夜叉を倒してやろう」私は奴の名を呟き、数珠とお札を持ち、白夜叉を倒す計画を練った。「な~茶々丸? これ銀時に上げたらアイツ喜ぶか?」「銀時様は甘い物なら、なんでも喜んで貰いますよ」エヴァンジェリンを見つけるのは容易だった。購買部で茶々丸さんと一緒に奴の好きな甘い物を物色していた。しかももう5時間目が始まるので、周りに人はいない。私は簡単に彼女の後ろについた「こんにちは、エヴァさんちょっといいですか?」「桜咲刹那か、貴様が私に用があるのか?」「はい、銀八先生をおびき寄せるエサとなってもらいます」「なッ!?」私が突然話しかけてきたのにも少し驚いたが、私の次の言葉に、エヴァンジェリンの顔には驚きの表情をはっきり出し、一瞬の隙を出した。彼女の首にふところにしまっていた、『魔除』をすばやく巻く事に成功する。「なんだ・・これは・・、私の魔力が封じられるほどのマジックアイテムか・・?」「あの男の言ってたことは本当ですね、これでエサを手に入れることが出来ました」『魔除』を首に巻かれたエヴァンジェリンは力を失っている事に気付き、そしてついにはその場にへたり込んでしまった。「マスターッ!」「茶々丸さん、あなたは銀八先生に今夜の10時に、この学園の大樹の前へ来いと伝えてください。もし来なかったら人質の命は無いと」「刹那さん・・本気ですか?」「はい」珍しく驚きの声を上げる茶々丸さんに、私は伝言を彼女に頼む。左手にへたりこんでいるエヴァンジェリンの動きを封じている『魔除』を握り、私の覚悟も伝える。「行ってこい、茶々丸。アイツにこの愚か者をぶっ飛ばせと伝えて来い」「・・了解しました・・」茶々丸さんは心配の表情を浮かべながらも、エヴァンジェリンの言葉を聞き、あの男がいると思われる所へ走って行った。「それで、貴様は何処に行くのだ?」魔力を封じられながらも、私に威圧のある眼で彼女は見上げて私を睨みつけてくる。やはり『闇の福音』という異名を持っているだけの事はある、どんな状況に陥っても自分の強さを見せつけてくる。「早いですが集合場所に行きます。もちろんアナタを連れてね」「ふん、さっさと銀時に会いたいなら、もっと早めにしておけばよかったんじゃないのか?」「早い時間に戦ったら、人目につきます。あそこの周りは10時には誰もいません、戦える場所に好都合です」「戦うだと? 何故銀時と戦う?」私はエヴァンジェリンの問いに答えずに、『魔除』をグイッと引っ張り、彼女を立たせて歩かせた。時間まであと3時間。まだ人はいるが、時間がたてばいなくなるだろう。もう学校もとっくに終わっているはず、アイツは伝言を受け取ったのか? もしかしたらこっちに近づいているのかもしれない。「退屈だな~、特に人質にされて長時間ベンチに座っていると。さっさと帰って『ロンハー』見たい、いや今は『ぴったんこカンカン』やってるか」エヴァンジェリンの首には魔除があるので、動く事もやっとの状態だ。彼女はもうベンチに座っている状態から立つ事さえ出来ない、だがまだ余裕の表情をしている。「もう一度聞くがなぜ銀時と戦う?」「彼は私が守る御方には有害です。だから駆除する、それだけですよ。この学園から1つの邪魔者が消えるだけです」エヴァンジェリンは私の言葉を聞き、不快な表情をする。「ムカツク女だな、そんなに近衛木乃香が大事か?、いっておくが銀時は、お前が思っているほどダメ人間なんかではない。それに貴様の発言は私の大切な人を侮辱しているぞ・・」「人質は黙ってください」怒りを含めた声で彼女は私を睨みつけてきたが、私はそれを受け流す。アイツが消えれば終わる・・そうすればお嬢様も幸せになるはず、あの御方が幸せなら私も幸せだ・・。約束の10時になった。アイツはまだ来ない。だがきっと来る、奴にとってエヴァンジェリンという後ろ盾がいなくなったら、この学園から追い出される。まあそっちでも私には好都合だがな・・約束の時間に5分ぐらい過ぎると、コツコツとブーツの足音が聞こえた。エヴァンジェリンはベンチで私の隣りに座っていたが、足音に気付きそっちの方向に顔を向けた。「ったく、こんな時間に呼びやがって・・『リンカーン』見れなかったじゃねぇか」いつもの白衣ではなく和服姿で奴は来た、その目は私を見た後、隣のエヴァンジェリンを見てしかめっ面をした。「お前、昔は『闇の福音』とか呼ばれて昔はブイブイいわしてたんだろうが、何人質になってんだよ・・」「う、うるさいッ! 魔力封じのマジックアイテムを使われたんだッ! さっさと助けろッ!」アイツはエヴァンジェリンの言葉に「へいへい」と答え、こちらに近づいてきた。私もベンチから立ち、エヴァンジェリンは動けないので放置し、やつの方へ歩き対峙する形になった。「銀八先生、今日はこんな時間に来ていただきありがとうございます」「おう、見たいテレビあったのに、可愛い生徒の為に来てやったよ。んでテメェはなんであのガキを使って俺を誘ったんだ?」「あなたは木乃香お嬢様とよく話していますね」「まあな、ジャンプ貸す時あるし。いわゆるジャン友だよ」コイツは相変わらず、自分のペースで答える。それに腹が立ってくるのだ・・、私は平静を装って話しを続けた。「悪いですが、あなたがお嬢様に近づかれると、お嬢様には危険が及びます。早急に離れて、いやこの学園から消えてください」「何お前? アイツに惚れてんの? いっとくけど、俺そういうジャンル無理だから。ていうかなんでアイツに俺が要ると危険が及ぶんだよ」「『白夜叉』はキバを隠していて、いつかキバを出した時に周りに被害が出るという情報が入りましてね」「!!」私の言葉を聞き、奴は、白夜叉は驚いてるようだった。この反応だとやはりあの男が言っていたのは本当のようだったな・・白夜叉の目はいつもの死んだ目ではない、怒りと疑問が混じった目だ。「テメェ、それ何処から聞いた? 言え」「答える必要はありません、なぜなら」私は刀袋から自分の愛刀、『夕凪』を出し、鞘から刀を抜く。そして刀を白夜叉につきつける。「あなたは二度とこの学園には来れないからです」私はそう言いながら、刀を持ち構え、白夜叉に向かい疾走した。一瞬で斬れる距離に入り、まず白夜叉の足を止めるために、ひざを狙うため、私は伏せて白夜叉の膝に横薙ぎで夕凪を振った。しかし・・ガキィンッ!白夜叉は何時の間にか腰に差していた木刀を抜き、私の夕凪が膝を斬りつける前に木刀で止めた。「銃刀法違反だぞテメェ、おしおきの時間だなこりゃあ。『体罰反対』とかほざくんじゃねーぞ」白夜叉は私の夕凪をはじき飛ばし、再び対峙する形になる。言葉を吐きながらも白夜叉の構えには隙がない。再び木刀と夕凪がぶつかる・・そう思ったのだが違った。「オラァッ!」木刀で斬りかかってくると予想していた。しかし木刀を持つ構えはフェイクだったのだ、白夜叉は左足で私の腰に蹴りを入れてきた。あまりの予想外に私はなすすべなくその蹴りを食らい、後ろに吹っ飛んだ。「がはッ!」私は思わずうめき声を上げる。剣術だけじゃない・・体術も持っている・・、イヤ、戦闘慣れをしているので体が自然にそういう動きになったのであろう。あの戦い方は恐らく我流だ・・私は分析しながらも、なんとか立ちあがり、白夜叉に体を向けた。「やはりいくつの戦闘を繰り広げている男・・、だが私は・・」私は京都神鳴流の剣士だ。なんとかこの男の隙を作らねば・・「負けるわけにはいかないッ!」私は白夜叉に再度突進した、しかし無策ではない。私は白夜叉の攻撃範囲に入らないよう距離を取り、夕凪を地面に突き立て思いっきり振り上げた。それにより白夜叉めがけて土を放った。狙いは奴の目「チッ! 目潰しかよッ!」「もらった、奥義・・」白夜叉が目に入った土を払っている隙を見つけた。私は奴を夕凪の攻撃範囲に入れる。「斬岩剣ッ!」神鳴流の技『斬岩剣』を白夜叉はモロに食らった・・いや違うッ!「おい小娘、ちょっと剣術知ってるからって調子に乗るなよ。目潰しなんぞ、昔から経験済みなんだよ」白夜叉は目をつぶりながら私の技を受け止めていた、私が驚いている暇も作らさせず、私のふところに入ってきた。「月まで昇れやァァァァ!!」白夜叉は叫び、私のあごを狙い木刀で突き上げてきた。「ぐッ!がァッ!」私はそのまま高く吹っ飛ばされた。そのまま私は地面に落下していく。ダンッ!「うッ!、クソ・・」奴の一撃が脳まで響いている・・、私はよろよろと立ちあがる。そんな様子を白夜叉は見ている「おい、もう降参しろ、自分の生徒いたぶるのは好きじゃねえんでね」「く・・貴様の同情などいるかッ!」私は頭を横に振り、形勢を立てなおすために再び、白夜叉と距離を作る。だが今回は夕凪も奴の木刀も届かない距離だ。接近戦が不利なら・・私は夕凪を構え「奥義 斬鉄閃ッ!」刀身から『気』を飛ばすこの技に、白夜叉は驚いている。まさか刀から飛び道具が飛んでくるとは思わなかったのだろう。「飛び道具も出るのかよッ!」「人間の中には『気』というのがありましてね、鍛えれば色々と戦闘に使えるんですよ」私が説明している間に白夜叉は回避するために横に飛ぶ。だがそこが私のねらい目だ「そうだ、貴様は横っ飛びするしかない、そこをッ!」白夜叉が下に着地する前に、私はもう一発、斬鉄閃を放つ。空中では避けれまいッ!「うおォォォォォォ!!」白夜叉は吼えながら私の気が届く前に、地面に木刀を突き刺し、その衝撃で・・「さっきと同じ技なら・・軌道も読めるんだよ俺はッ!」白夜叉は空高く舞いあがった。しかも私に向かってくるッ!「一撃で昏倒させてやるよ」「神鳴流 秘剣・・」私に向かって落下する早さと自分の力を合わせて木刀を振り下ろしにくるはず、私は白夜叉に向かって飛ぶ。ここで決めるッ!「百花繚乱ッ!」私と白夜叉の周りには私の技により大量の花びらが舞っている。空中でこの秘剣は避けれないはず、木刀で止める事も不可能だッ!私は勝利を確信した。高杉からもらったもう1つの武器を使うまでも・・何ッ!?「いや~危なかったわ~」白夜叉は私の百花繚乱を受けていたはずなのに、吹き飛ばないどころか、何も起こっていないだとッ!?。こんなことどう説明すれば・・まさかッ!?ガキィッ!私の技が何故当たらなかったのかわからないまま、再び私の夕凪と奴の木刀はつばぜり合いになる。しかし力は圧倒的に向こうが上、私は思いっきり後ろに吹っ飛ばされる、だが私は吹っ飛ばされながらも白夜叉を見た・・奴のあの構えはッ!「さっきお前がやった技、おもしろかったな。思わず名前覚えちゃったぜ~、確か秘剣・・」奴の構えは神鳴流ッ! まさか私の秘剣を止めたのは、初見で私の構えで技を・・「百花遼乱だったけェェェェ!?」奴は刀身から『気』を放ち、吹っ飛んでいる私を追撃してきた。私は直撃して、その衝撃で手に持っていた夕凪離れて、そのまま後ろにあった大樹にぶつかる。ドンッ!周りには花びらが舞っている、それにあの『気』・・間違いなく私の技をコピーしている。しかも奴は初見で覚えたのだ・・あいての構えだけでどんな技か理解したというのか・・しかも『気』までコントロールしている・・私とはケタが違う・・私はそのまま大樹の根元にドサッと落ちる。体がもう動けない・・これで負けだというのか・・そんな私に白夜叉は近づいてくる。目は哀れなものに向ける目だ「わりぃな、まさかあそこまで真似できるとは思わなかったわ、俺才能あるのかな、お前の所の剣術?」こいつは『気』を出したことも知らないというのか? 私が苦労して習得して手に入れた技を一度見ただけで覚えただと・・「もういいだろ保健室に連れて行ってやる、ったく俺もう疲れちゃったよ・・寝たいけどオメーに色々聞かなきゃならない事があるんでね」白夜叉は私に向かって手を差し伸べる。夕凪は無い、もう武器が・・いやある私は無理に体を動かし、ふところにしまっていた、ある物を出す。「まだ終われないんだよ・・白夜叉・・」「いい加減にしろよ、オメーの刀も向こうに吹っ飛んでる。武器さえ持ってないお前は俺に勝てねえよ」「武器なら・・ここにあるッ!」私が持っていたある物、高杉から貰った『死装束』が光出した。その次に私の周りに黒い霧が立ち私を包み込む。「なんだこりゃあ・・お前何をしたんだッ!?」霧の向こうから白夜叉の声がするが、今の私はそれどころじゃない力がどんどんみなぎっているのがわかる。いままで感じた事の無い充実感ッ! 気がつくと私の右手にあった『死装束』はお札では無くなっていた。「これは・・刀だったのか?・・」お札だった『死装束』は、とても綺麗で美しく、そして恐怖も感じるほど刀身が黒い野太刀になった。「これが奴の言ってた武器か・・しかも武器と一緒にこの力のみなぎり・・フフフフフ、ハハハハハハハハッ!!」黒い霧は晴れる。私は白夜叉と目を合わせた。白夜叉は私を見て信じられないという表情をしている。「テ、テメェッ! 何やったんだッ!?」「白夜叉・・今の私なら・・」ガスッ!白夜叉の腹に私の左手のこぶしが思いっきりはいった、白夜叉は「ウッ!」と叫び一瞬で後ろに吹っ飛ぶ。あんなに当てられなかった一撃がこうも簡単に当たるとはな・・そして大樹の根元から移動するために私は・・「ゲホッ! ゲホッ! チクショウ・・羽まであるのかよ・・本当にお前の体どうなってんだ・・」「私は鳥族と人間のハーフなんですよ・・これは元からです、しかし・・」私は背中から翼を出す、本来なら『白』だった。だが今は・・「鳥族?・・お前の親カラス天狗ですか?・・」「フフフ・・元は白だったんですけど、今は黒に染められてますねぇ・・」白夜叉が奇妙に思うのもわかるな、私の羽はどす黒く変貌していた。その翼で倒れている白夜叉と対峙するように舞い降りる。「お前がそんな目で見てるということは、私の外見はかなり変わっているようだな・・」「ああ、鏡見てみろ白目が黒くなってんぞ、んで黒目だったところが赤いしよ・・爪も黒くしやがって・・ヘっ、パワーアップのつもりかよ・・」ようやく立ちあがった白夜叉は私に悪態をついてきた。確かに爪は黒いな・・目もきっと白夜叉の言うとおりだ・・「では、始めましょうか・・」私は右手の『死装束』を握りなおし、白夜叉に近づいていく。あまりにも力がみなぎってくるので、私は思わず口元から笑みがこぼれてしまう「第2ラウンド開始だ、白夜叉ッ! フハハハハハハッ!!!」私は口を大きく開けて高笑いしながら、白夜叉に突進するガキンッ!!木刀と死装束がぶつかる、しかし今の私に木刀程度で防げるかなッ!?「お前の力なんぞ、私と比べればウジ虫以下だなッ!」「チクショウ、見た目だけじゃなく、性格も変わってんじゃん。しかもこの力・・クソ、ヤベェ・・」私の力は圧倒的に白夜叉の力よりだ。もはやこの男をここから追い出すだけじゃ、私の体は満足しない「お前を殺してやろう・・そうすればお前はもうキバを隠さずに生きていかなくていいんだぞ・・クックック・・」「・・チッ!」白夜叉は軽く舌打ちし、自分の力が私より劣っていると感じたのか、私の死装束から木刀を離すために、一歩引く。「今度は貴様が押される番だ、白夜叉ッ!」私は引いた白夜叉を逃さない。飛行能力を持つ私にもはやスピードでは天と地の差だ地面から少し浮上して、私は白夜叉に詰め寄って行く。まずは最初の目的を遂行する・・ズシャァァァァ!!「くそ、足狙いやがったかッ!」「銀時ッ!!」私の狙った場所は、足。木刀でガードする暇なく、私の死装束は白夜叉の膝を斬った。奴の足から血飛沫が上がっている。ながめていたエヴァンジェリンも思わず、焦りが入っている声で叫ぶ「やべぇなコレ動きにく・・」足から出血しながらも、私を睨みつけて、構えをつくる。あの構えは「これでどうだァ!!」やはり私が使った斬鉄閃だ、二回見てるのだ、一手見れば覚えれるこいつが使えないわけが無い。私に放ってきた『気』をなんなく飛んで避ける。どうやら結構辛いらしいな、白夜叉・・足も動けない、呼吸も乱れてきている、これが貴様の最後の技か「それが貴様の精一杯の攻撃のようだな、なら今度は私の番だ・・」私は空中で死装束を持ち、構えをつくる。今度の狙いは・・私は狙いを定めて一気に白夜叉めがけて突っ込む「斬岩剣ッ!」バキィッ!「ちッ! 俺の木刀がッ!」私の狙いは奴の武器、力の上がっている私なら、あの異常に硬い木刀も割り箸のように折れる。予想通り私の一撃は白夜叉の武器を見事に破壊した。だがまだ終わりじゃない「これで終わりだ、白夜叉ッ!」私は武器を失い、焦りの表情がある白夜叉のふところに入る。グシュゥッ!「ぐッ!」「ぎ、銀時ッ! そんなッ!」私の死装束が奴の体を切り裂いた、奴はその場に血を流しながら倒れ、エヴァンジェリンも泣きそうな声で叫んでいる。「終わったな・・もう起き上がれないだろ、白夜叉・・・」「ハァー・・ハァー・・・チクショウ・・・」悪態をつきながら白夜叉は倒れる。だがまだ息がある、完全なるとどめを刺さねば。私は白夜叉の首に死装束を当てる。「首を取れば、行き返ったりはしないだろう」「や、止めろッ! 桜咲刹那ッ! 命まで取るんじゃないッ!」エヴァンジェリンの悲痛な叫びも、もう今の私にはどうでもいい。私は死装束を振り上げ、首を取る体制に入る「その刀を振り下ろしたら、お前はもう二度と戻れなくなるぞ刹那」エヴァンジェリンではない誰かの声、ふと後ろを見ると声の持ち主がいた「龍宮か・・どうしてここに・・」「悪いが最初からずっと見ていた、ここまで激しい戦いになるとは想像できなかった。それにお前のその変化もな・・」「何を・・ガハッ!」刀の構えを少しといて、突然背後から来た龍宮と話している時に、私は急に吐き気がし吐いた瞬間、口から出てきたものは黒い液体であった・・「ハァーハァー・・これが私の血か?・・」「確かにお前がその刀を持った瞬間、恐ろしいほど戦闘能力が上昇している。が、それを引き換えに貴様の生命力が低下しているのがわかる。その刀を持っているとお前は・・死ぬぞ」龍宮が言っている間に私の口から黒い血がポタポタと流れている。なるほどアイツの言っていた事を思い出した・・『テメーが守りたいものを、命を失ってでも守りたいと思ったときに使えるようになる武器さ』命を失ってでも・・なるほどそういうことか。この刀の名は『死装束』、使った者は死を覚悟するべし・・今から刀を離せばどうにかなるかもしれない。だがそんな余裕など無い「白夜叉を殺したら、あそこで泣きそうな闇の魔法使いと、そしてお前を殺す・・」「白夜叉だけじゃなく、私やエヴァも殺す気か? 正気を失ったのか?」「これを使ってから正気などとっくに捨てた・・この姿を見た奴は全員殺す・・」私の今の姿・・すでにもう誰にも見せられない状態になっている。背中に黒い翼を持ち。黒ずんだ爪、目も黒いと白夜叉が言ってたな・・血も黒くなっている、だが私は死装束を離さない「もう自分は普通に生きていけない・・だが私はどんな犠牲を払ってでもお嬢様だけは守るッ! だから・・ゲホッ!」私は話しを一旦中止し口から黒い血を吐いた後、振り上げている死装束に力を入れる。「だから私はお嬢様に害なすものはすべて消すッ!」「お前はその刀に憑りつかれている、周り全て敵に回すきかッ!」龍宮の言葉も私にはもう届かない・・私は倒れている白夜叉に向き直る。「止めろ、お前を人斬りにはさせな・・ガハッ!」龍宮が言葉を終える前に私のもう1つの武器の黒い翼が龍宮の横っ腹に直撃して、そのまま横に吹っ飛んだ。「龍宮、お前を殺すのは白夜叉を殺った後だ・・そしてその後何も出来ない無力な『闇の福音』を殺す・・」「止めてくれ・・頼む・・やめて・・」エヴァンジェリンは泣きながら私に訴えてくる。お前も散々人を殺してきたんだろう、だったら自分も殺されて幕を閉じるがいい・・それとも白夜叉の命乞いか?私は刀を振り下ろす体制に入る。この刀を降ろせばッ!「死ねェェェェェ!! 白夜叉ッ!」私は刀を振り下ろした、白夜叉を討ち取ったッ! と確信した時に「まだ・・・俺は死ねねぇんだよッ!」「なッ!」白夜叉は急に起き上がり、私の刃を両手で止めた! どうやら私が白夜叉の急所を捉えたと思った一撃は少しずらされ、まだコイツが体が動かせるぐらい傷はそこまで深くないらしい・・・ということは倒れていたのは油断させる芝居か!私の刀を両手で払った後、奴は全速力で何処かに走った。足を斬られ、急所では無かったといえあの傷を負って、まだ走れる余裕があるのか・・・逃げようとしているのか、それともエヴァンジェリンだけでも逃がそうとしているのか・・・だがそんな事どっちでもいい「逃がすか白夜叉ァァァ!!」「ちッ!」私は走っている白夜叉を翼を広げて追う。奴は軽く舌打ちしてそのまま走り続ける。無駄だ・・どんなに走ろうが貴様の走力では私の飛行能力に比べれば歩いているのと同じだ。「斬鉄閃!」「うおッ!」「ちッ!」白夜叉の背中に斬鉄閃をぶつけようとしたのだが、奴は前方に転がってそれを避ける。斬鉄閃は地面に当たりその衝撃に爆音が鳴り響く。斬鉄閃の衝撃で大量に舞う砂埃のせいで私は奴の姿を一瞬見失ったが、すぐに奴の気配を感知した。「そこだッ! 悪あがきもここまでだッ!」私は白夜叉の姿を両目でしっかりと捉えた。その時私と白夜叉の目があった。奴の目は死んでいない・・・気に入らない目だ・・・だがもうここまでだ!私は死装束で奴を突き刺す為に、滑空する。「これで終わりだァァァァァ!!」少しの情けや容赦などしない・・奴を殺せば・・・私は・・・ガキィンッ!私の刀が奴の胸に突き刺さった! と思ったのだが・・・奴の肉を突き刺す音ではなく、金属音の響く音が聞こえた・・・なぜこんな音が・・・舞っていた砂埃が消え、私は奴が私の刀を止めれた理由がわかった・・・こいつは逃げようとしたのではなく“アレ”を拾うために走っていたのか・・! そしてそれを拾い、奴は私の一撃を瞬時に受け止めた。「何・・貴様、その刀を・・」「落したのは誰かねぇ? 良い刀じゃねえか、まあちと俺には長すぎるがな・・・」奴が拾ったのは私が持っていた愛刀『夕凪』、私の刃の先を、奴は夕凪の刃で止めている! まさか武器を無くした直後にその場に置いてあった私の刀を拾って、自分の武器にするとは・・・これが戦場で生きていた者の知恵か・・・「だがその刀を使っても私には勝てないッ! お前は手負いの身で、私には死装束の力ッ! ひっくり返す事など貴様には出来ないんだよッ!」「ごちゃごちゃと・・・うるせんだよッ!」「なッ!」白夜叉の夕凪で私と死装束が弾き飛ばされた! まだこんな力を残していたのか!? いやきっとあれが最後の全力・・もう奴に力など残っていない私はそう確信した後、飛ぶのを止めてその場に下りる。だんだん翼もボロボロになって来ている・・・そろそろ決着を着けなければ身が持たない・・・すぐに奴の息の根を止めなければ・・・「白夜叉ッ! これで死ねッ!」「当たらねえ・・」「何ッ!?」私は白夜叉に急接近して自分の刀で横振りをかまそうとした、しかし奴はまるで雲が動くようにゆっくりと体を動かしただけで私の攻撃範囲から後退して避けた・・・そして私は奴の目をもう一度見た・・・奴の目の色は今までと違う事に気づいた、あれはまるで・・・ 「夜叉の・・・目・・・」「ファイナルラウンドだ、これで終いにさせてもらうぜ・・・!」夕凪を静かに構え、夜叉・・白夜叉は私に突っ込んでくる。いいだろう、夜叉の本気というのを見せてもらう「お前と私、どっちが上かはっきりさせてもらうッ!」ガキィィィィィンッ!!白夜叉が持つ夕凪と私の死装束がぶつかり合うどうやら戦いはまだ終わらないようだ・・教えて真選組のみなさ~んのコーナー「はいど~もッ! 初めましてこんばんみッ! 近藤勲でェェェェェすッ!」「沖田で~す」「土方だ」A組の教室で教壇に立ち、見た目どっちかというとゴリラに近い男が大声で、見た目のルックスはさわやかそうな青年はやる気のなさそうに、2枚目だが瞳孔開きぎみの男がタバコを吸いながら短絡に自己紹介する「ダメですよ土方さん、せっかくの出番なんですから、最初は肝心なんですよ。なのになんですかその態度は」「うるせぇな、大体なんで俺達がここにいるんだよ・・」愛想の無い挨拶をした土方に指摘する沖田。だが土方はイライラした口調で返事する「まあ、そういうなトシ、このコーナーはな万事屋の奴が忙しくてこっちに来れない時にやるコーナーだ。あいつがいないすきに俺達が出て人気を総取りするという戦法なんだぜッ!」「なんで、俺達があいつの尻拭いしなきゃならねえんだよ、近藤さん。それに人気総取りって、この作品に人気自体あるかどうか疑問だろうが」テンション上がっている近藤に土方は冷静にツッコむ。それを聞いた沖田は首をやれやれと横に振って「何言ってんですかぃ、ここで人気もらえれば、俺達本編に出してもらえるかもしれねぇんですよ、土方さん」「いや別に俺は出たくねえよ、なんでガキ共と戯れなきゃいけねぇんだよ。つーかここまで見てる奴がいるか自体わかんねぇよ」「わかりませんよ、最近は読者が増えてんですからねこの小説。打ち切りにしたら恐い目に合わせるという応援がぎっしりと・・」「それ本当に応援ッ!? 脅迫じゃねッ!? 別の意味でヤバイ状況作ってんじゃねぇよッ!」沖田の言葉に一度は冷静に言うが次は激しくツッコむ土方。それを見ていた近藤は沖田と土方を制するように手を上げ二人の論争を止める「いいかげんにしろお前等ッ! こういう小さいコーナーでも頑張ればいつか俺達にも本編に出るチャンスがあるんだッ! 本編に負けないコーナーにして、あっという間にレギュラー化目指そうぜッ!」「確かに『近藤さん面白い』とか『沖田君サイコー』とか『土方死んでくんない?、いやマジで?』っていう感想が来たら俺達の本編入りもありますぜ」「オイィィィィィィィ!! 俺だけ死の宣告じゃねぇかッ! マジでそういうの来そうだからそういうこと言うんじゃねぇよッ!」沖田の呟きに敏感に反応した土方、もはやお約束である。ジリリリリリリリリッ!「あ、やばいですぜ終了の合図です、このコーナー滅多に無いと思いますし、ていうかここで打ち切られたらこれで最後です」「何ィィィィィィィ!! やばいよトシッ! 俺達のコーナー終わるってよッ! 俺達の本編入りがッ! ていうか本編ごと消える可能性がッ!」「いや落ち着いてくれよ、近藤さんッ! 苦情が来なければ修学旅行編とかオリジナル編でまたやるだろ、まあそこまで続けばの問題だがな・・それに、どうせここまで見てる奴なんていねぇんじゃね?」あまりにも態度が悪い土方を見て沖田はポンと手を叩く「なるほど~、だから土方さん全裸になってたんですかぃ。誰も見てないと予測して己の恥部を・・」「ウソついてんじゃねェェェェェ!! 小説だから絵が無いのを利用して人を露出狂扱いしてんじゃねぇよッ!」沖田のウソ発言に潔白の証明を叫ぶように沖田に怒鳴る。ついでに土方はちゃんと服着てますガララッ「あの~銀ちゃんがここに行ってこいって言ってたんやけど~?」教室に入ってきたのは近衛木乃香だった。遠慮しがちに三人を見ながら中に入ってくる「どうしたお嬢ちゃん、もしかして万事屋の奴の生徒か? なんでここに来たんだい?」「え~と・・銀ちゃんが「そういうシステムだから」って言われたから来たんよ・・」「どんなシステムッ!? たく・・もういいだろさっさと出て行け、俺達は万事屋と違って、お人好しじゃないんでね」近藤は優しそうに接するが、土方は冷たく突き放す。近藤は子供の扱いには慣れているが、土方は全く持って子供を相手にするのは苦手だ、一番近くにいる部下が子供だからである、そしてその子供が腹黒い・・「お嬢ちゃん、土方さんはアレです、『ツンデレ』って奴だから心の言葉と口から出る言葉が違うんですよ、気をつけてくだせぇ、でも時々デレフラグ立ちやすから」「あ、そうやの? なんや銀ちゃんと同じか~良かった~」「ウソ教えてんじゃねェェェェ!!」腹黒い子供こと、沖田総悟が木乃香に『土方ツンデレ説』を耳打ちで教えている様子を見て土方は激しいツッコみをいれた「次回、第九訓『大切なものを守る時は大切なものだけ見ないでその周りも守れるほど強くなれ』です。なんか題名長いですね?」「もう終わりに近いんじゃねぇか?」「トシィィィィィィ!! そんなこと言うなァァァァ!! このコーナーもっとやりてぇよォォォォ!!」冷静に分析する土方に、近藤は自分の訴えを読者と作者に伝えていた沖田くんのちょっと気になるコーナー沖田「『この作品って銀さん、フラグ立てまくってますけど大丈夫ですか?』 という感想を貰いました。まあぶっちゃけ答えますとねぇ、本格的なフラグは今の所2本しか立ってないんですぜ。旦那は基本的にそういうフラグ立たせるの苦手なんでね、ていうか作者もそういうの苦手だから、あんまりフラグは今後も立たせません。ご理解頂けましたかぃ?」土方「ようするに後々めんどくなるから、フラグ立たせたくねえだけだろ・・」沖田「続いての質問です。『ネギがアスナの誕生日に何買えばいいのかわからなくて万事屋に依頼して買ってもらう。何てどうでしょうか?』という意見を貰いました・・・・・・・・・・いただきま~す」土方「おいィィィィィィィ!! 使っちゃっていいのかそれッ!?」沖田「貰えるもんは貰っときましょうよ、んじゃちょっとアレンジしますがいつか使わせてもらいま~すこのネタ」土方「まず続くのかこの作品?」近藤「わからん・・だが一応作者の頭では10話までのストーリーは出来てるが・・」沖田「なんとかなるでしょ確か、原作と設定違いの修学旅行編までは引き伸ばしに入るようですし」土方「設定変えるのかよ・・まあしょうがねえか、設定なんて、冒頭から変えまくってるしよ」近藤「ということで『3年A組 銀八先生!』はとりあえずストライカーズ編まで頑張りますッ!」土方「近藤さん、ストライカーズ編は無いからッ! それは『なの魂』に任せようッ!」沖田「『なの魂』や『東方よろず屋』には負けますがどうかこの作品もごひいきに~」