人気投票戦争の最中に三人の侵入者。その三人が誰だかはまだ知らない土方と刹那は用心しながら麻帆良学園内で万事屋一行を探していた。薄暗い廊下を歩いて行きながら土方と刹那は並走して歩き、つい前の出来事を改めて考察してみた。「さっき煙玉をまき散らしやがったのは恐らく万事屋の所のガキの一人が独立して作った軍だ、この校舎内のどこかに潜んでいると見るのが賢明だろ」「煙が晴れたらあの二人(銀時と千雨)が消えていた・・・・・・朝倉さん達は二人を助けようと動いたんでしょうか?」「対立しているのかと思いきやどうやらそうではないって事か」「敵の増援という可能性も高いって事ですか・・・・・・厳しいですね」「何言ってやがる、所詮ただのガキだ、戦闘経験豊富な大人が三人もいるこっちの方がずっと分がある」「だといいんですけど・・・・・・」刹那は表情を曇らせる、果たしてそう簡単に事が動くのだろうか・・・・・・。和美は普通の少女では無い、ならばその仲間も普通では無いのは確かなのだが・・・・・・(そういえば朝倉さん達の方のチームに他に誰がいるのかまでは聞いてなかったな・・・・・・一体どんな人があの人に加担し、どういった目的で戦争に参加しているんだ・・・・・・?)「オイ、ありゃあ総悟じゃねえか? なんであんな所で固まってやがる」「え?」顎に手を当て自分なりに頭を悩ましていた刹那に土方の言葉が耳に入る。その言葉に反応して刹那が顔を上げると、そこには廊下のクロスロードの所で立ちつくす沖田の姿があった。しかし何処かいつもの彼と少し違う・・・・・・「珍しく表情に焦りが見えますね・・・・・・」「あの総悟にあんな表情を作らせるとは・・・・・・・おい総悟ッ! 何があったッ!」二人と沖田の距離は大体3メートルの所に達した所で、とりあえず土方は沖田に尋ねてみる。すると沖田は彼等の方に振り返り額から汗を垂らしながらニヤリと笑った。「コイツはやばいですぜぃ土方さん・・・・・・連中の隠し玉の中にとんでもねえモンが混ざってやした」「とんでもねえモンだと?」「土方さん、悪いですが俺はあの女とまた戦うのはゴメンでねぃ・・・・・・・」「・・・・・・まさか」土方は沖田の近くまで移動し、バッと彼が向いている方向に目をやる。見るとそこには・・・・・・「あらそう、エヴァちゃんがこの廊下を寒くしてウチのあやかを酷い目に合わせたのねぇ~」「そうですわ、この事は絶対に銀さんに伝えておきますから覚悟するんですわね」「ちょっと待てッ! 私はあのドSを倒す為にここに氷の結界を作ったのだッ! 雪広あやかを狙ったのではなくあの男を狙ったのだッ!」辺り一面に氷が張られた奇妙な廊下。必死に言い訳しているエヴァと彼女を冷たい目で睨みつけるあやか。そして「経緯はどうであれ結果はあやかを寒がらせた事に変わりは無いのよエヴァちゃん? 罰として一週間私の作ったネギのみ弁当を昼食として食べる事を義務付けるわ」「ネギのみ弁当ッ!? なんだそれはッ!?」「簡単に言うと生ネギ一本よ、それ以上もそれ以下も無いわ」「要するに生のネギ一本丸々食えって事ではないかッ! 食えるかそんなモン私はネギが大ッ嫌いなんだぞッ!」「あら? 拒否権は無いわよ~」抗議を申し立ててくるエヴァにニコニコと笑いながら恐ろしい刑を下している千鶴があやかの隣に立っていた。「・・・・・・あの女、唯一一度総悟を叩きのめした唯ガキ」「那波さん・・・・・・!」「あの女は俺の天敵でさぁ、正直勝てる気がしねえ」非戦闘員でありながらほとんど敵無しの実力を持つ千鶴の出現に目を疑う土方と刹那。一方、過去に起こった千鶴との出会いを思いだし、沖田は苦々しい表情を浮かべる。「あの女の声を聞いていると調子が狂って俺のドSゲージがみるみる減らされちまうんでねぃ」「なんてこった、普通のガキだけなら総悟一人でカタが着くと思っていたんだが、まさかあの女がここに参戦して来るとはな」「ここに来たって事は朝倉さんのチームでしょうか・・・・・・?」「かもな、しかもあんなに親しげに万事屋の所のガキと話しをしてるって事はやはり万事屋側に回ってるのかもしれねえ」「雪広さんと村上さんぐらいしか対処出来ませんよあの人・・・・・・」沖田にとって千鶴は最も厄介な存在だ。それは土方と刹那も同様であり、彼女の突然の出現に頭を悩ます。幸い、今はエヴァに向かって説教中であってこっちには全く気付いていない様子だが。「こっちには気付いてないからここはひとまず状況を見る為に一度撤退してみましょうか」「気付いてるわよぉ、桜咲さん。帰っちゃダメよ」「気付いてました」「お前に言われなくてもわかる」状況の不利な事に戦略的撤退を試みようとした刹那だが、背後から千鶴がエヴァの方へ向いたままそっと呟いた。気付かれてる、これが一番厄介である。「だがあの女は今金髪の小さいガキの方の説教に夢中らしいんで気付かれようが撤退は可能ですぜ、さっさと逃げましょうや」「総悟、お前やけに消極的じゃねえか」「あの女だけは苦手なんですよ、相手がのどかちゃんなら遠慮なくガブリと行くんですけどね」「お前がガブリと行った瞬間、俺がお前にガブリと行くからな」弱点の女がいる前でもサド魂を忘れない沖田、土方はそんな彼を目を細めて威嚇するもふと彼女の事を思い出し頭を掻き毟る「そういやアイツ大丈夫か? 近藤さんが護衛をやってくれているがまさか今頃敵に捕まってるとか・・・・・・」「考え過ぎですぜぃ土方さん、近藤さんがいるんですぜ?」「そうですよ、近藤さんがいるのなら敵もそう簡単に攻めきる事は出来ませんよ」「いや、背後突いたら余裕だったぞ」「背後突いたら余裕だったらしいです、え?」のどかの事に関しては人一倍心配性になる土方、そんな彼を安心させる為に刹那が声をかけるが横の廊下から女性の声が。どこかで聞いた声? そう感じながら刹那がそちらに振り向くと「そこから一歩でも動いたらこの人質とゴリ質の命は無いと思うんだな」「十四郎さ~~~ん・・・・・・!」「トシィィィィィ!! 総悟ォォォォォ!! 助けてぇぇぇぇぇ!!!」「って何やってんだお前等ァァァァァァァ!!」「龍宮ッ!」怯えているのどかと泣いている近藤の背後に銃を突きつけて。刹那のルームメイトである龍宮が仕事着を着て現れた。千鶴の次は戦闘のスペシャリストの彼女の登場、しかも仲間の内二人を捕まえてる事に土方と刹那は慌てて叫んだ。「テメェェェェェェェ!! そのガキに傷一つ付けてみろッ! 全身全霊を持って殺して殺して殺しまくってやるッ!!」「トシィィィィィ!! 俺はッ!?」「今なら殺すのは一回だけにしてやるからこっちに大人しくそのガキを引き渡せッ!」「トシィィィィィ!! 俺はッ!?」「ていうか殺すのは一回だけってその時点で私の人生が終了してしまうのだが?」額の青筋が強く浮き出て怒りが大噴火している土方、既に腰の刀に手を置きいつでも抜刀できるよう準備している(近藤の事はすっかり忘れているらしい)。反対に龍宮は冷静に人質に銃を向けながら落ち着いて対処する。「やれやれ、真撰組の副長も自分の女を人質に取られてはただの猛犬だな」「野郎・・・・・・! まさかあのストーカー女があっち側に着いていたとは・・・・・・!」「想像の範囲外でした・・・・・・まさか龍宮がこの戦いに出て来るなんて・・・・・・」「少しでもこっちに近づいたら彼女の命は無いぞ」「くッ! どうしてお前がそんな卑怯な真似をッ! 止めろ龍宮ッ!」「おい、お前なにどさくさに一歩前進しようとしてんだ?」龍宮との会話のさ中、そろりと一歩足を進めようとする刹那の肩を土方はガシッと強く握って止める。シリアスなフリしてこんな真似をやってける彼女こそ一番卑怯かもしれない。「クソッタレ、のどかを人質に取られちまったら戦う事も引く事も出来ねえ」「俺は普通に出来ますぜ、のどかちゃんやられようが遠慮なくストーカーなんざぶちのめしまさぁ」「のどかさんはきっと私達の為に犠牲になってくれるでしょう」「よし、まずテメェ等を殺しとくか?」のどかと近藤が捕まっているにも関わらず戦闘態勢に入る沖田と刹那にポケットからタバコの箱を取り出しながらガンつける土方。この二人は人質がどうなろうが知ったこっちゃ無いらしい。「俺の周りはバカしか集まらねえのか・・・・・・? あ、のどかは別か」「あり? あそこにいるの真撰組の奴等じゃねえか」「本当だ、しかもエヴァやいいんちょもいるぞ。ってアイツ那波・・・・・・」「あちゃ~ここで出くわしちゃったか」「ん?」右の廊下には千鶴、エヴァ、あやか。前の廊下には龍宮、のどか、近藤。そして左の廊下から・・・・・・「お~い、また会ったな税金泥棒共」「挑発するなよ、斬りかかって来たらどうすんだよ」「そん時は銀さんが身を呈して千雨ちゃんを守ってくれるよ」「万事屋ッ!」「長谷川さんもいますしやはり朝倉さんもいます・・・・・・」「やれやれ全員集合って事ですかぃ」人気投票トップ2の銀時と千雨、そして彼等のアシストを行った和美がこちらにやってくる。これで人気投票戦争参加者は全員集まった。番外編 人気投票などに踊らされた哀れな道化共め人気投票編の最終戦が始まるその頃、そんなモノが始まっていた事さえ知らないメンツは焼き肉店の個室で大騒ぎしている。スプリングフィールド一家+万事屋二人+坂本&桂というメンバーで。「飲――んで飲んで飲んで飲んで飲――んで飲んで飲んで飲――んで飲んで飲んでッ!!! 飲んでッ!!!!」「ダハハハハッ! ヅラァこのモヤシヅラとそっくりじゃろッ!? ダハハハハッ!!」「フハハハハッ! それならこのワカメも貴様そっくりだッ! フハハハハッ!」「大騒ぎって酒飲んだバカ三人だけじゃねえかァァァァァァ!!! 勝手に盛り上がってんじゃねえよッ! 未成年人置いてけぼりなんだよッ!」ナギ、坂本、桂。宴会の席で酒を飲んだ彼等は、わずか数分で泥酔状態に陥った。ナギはテンション上がって顔を真っ赤にして立ち上がり、同じく坂本と桂も顔を赤く染めて会話にならない会話を行っていた。酒が飲めない人達は放置され、このままではマズイと察した新八は立ち上がって三人に叫ぶ。「ほらほら皆さん飲み過ぎですよッ! ちょっと落ち着いて下さいッ!」「食らえロックオンッ! アスランパーンチッ!」「ぐほぉッ! にいさぁぁぁぁぁんッ!」「月光蝶キーークッ!」「ティエリアァァァァァ!!!」「テメェ等アサルトバスターで撃ち抜かれてえのかッ!」制止も聞かずに嬉しそうに笑っている坂本にパンチやら飛び蹴りやらを入れてテンションマックスの桂とナギ。新八の額の血管が青く浮かび上がった。「つうかアンタ等どんだけ飲んでんだよッ!」「アハハハハッ! いいじゃろユズヒコッ!」「そうだそうだお前も飲め春原ッ!」「宴会はまだまだ続くんだから酒に飲まれて気分を味わうのだジャグジー・スプロットッ!!」「なんでこの流れで見事にガンダム声優ネタを避けるんだよッ!! ウッソでいいじゃんッ! 絶対ここウッソの流れじゃったじゃんッ!」酒のせいで完全に頭の回転が狂いだしている三バカにツッコミを入れた後、新八はため息を突いて自分の席に座り直す。「ダメだこのガンダムバカ、大気圏に突入して死んじまえばいいのに」「オイッ! なんで私にガンダムネタ振らなかったアルかッ! 私だってガンダム出てるぞッ! めっちゃ出てたぞッ! ネーナはガンダムキャラじゃないとうお前等独特のイジメアルかッ!」「もうガンダムネタから離れろよッ! いいじゃんガンダム語りたいなら向こう行けばいいじゃんッ!」隣にいる神楽に意味不明な抗議を受けてもはやヤケクソ気味に返す新八、仕切り役の新八にとってこのテンションはかなりツラい。「ハァ~・・・・・・ネギ君もこれから大変だね、こんなガンダムバカが自分のお父さんなんて」「別に~、私、こっちより今は学園都市で頑張ってる身だし~、興味無いわよ」「興味無いって・・・・・・え? 私?」自分と同じく未成年組であるネギに新八を気を遣って話しかけたが、彼の喋り方に違和感を抱く。学園都市・・・・・・・?「ねえ、ところであの銀髪バカは何処にいるの? わざわざこの御坂美琴様が来たってのにいないとかいい度胸してるじゃない」「オイィィィィィ!! もう声優ネタどころじゃねえよッ! 中の人だけ残ってキャラが転生しちゃったよッ!」 常盤台中学のお嬢様、御坂美琴。別作品『禁魂』(銀魂×禁書)からこのノリとテンションの中やってきて、やるせない表情で勝手に肉を焼いて食べていた。「アンタ向こう側の人ですよねッ!? 禁魂のキャラですよねッ!?」「きん・・・・・・アンタ女の子に向かって何言ってるのセクハラよそれ、レベル5の私に喧嘩売ってんの?」「オメェ等の作品のタイトル言ってんだよッ! 喧嘩売るなら作者に売れッ!」バチバチと頭の上で微量な電気を発生させて少し機嫌が悪くなった美琴に新八は怯えもせずに堂々とツッコむと、ふと頭の中に一つ気になった点がある。いきなり息子が別キャラに転生してしまった母親であるアリカは、この状況下でパニックにならないだろうか・・・・・・・。そう感じた新八はバッと美琴の隣にいる筈であろうアリカの方に目を向ける。だが彼女は全く動じずに落ち着いていた。ていうか・・・・・・「ネギ、学校ではちゃんと教師を出来ておるのか?」「いや、今はネギじゃないんですけど?」「母であるわらわに何を言うておる、ホレ酌してやる、オレンジジュースで構わんじゃろ?」「ああ、すみませんどうも」(気付いてねぇぇぇぇぇぇ!! 息子が別人に変わってんのに何も違和感覚えてねえよッ! なんなんだよあの人ッ! 声だけで人を識別してるのッ!?)別人に変わっている事も気付かずにアリカは美琴のコップにジュースを注いでいた。ボケでやっているのか天然でやっているのか、それは彼女のみぞ知ることである。そんなアリカに美琴は戸惑いながらも彼女から受け取ったオレンジジュースを飲みながら話しかける。「ていうかあそこにいる“三バカ”見たいにお酒でも飲んだらどうですか? 別に私達に気使わなくていいですしどんどん飲んだり食べたりした方がいいですよ」「ネギ、何故に母であるわらわに敬語なのじゃ・・・・・・やはり何年もの離ればなれになっていた事で心のバリケードというものが出来てしまっておるのか・・・・・・?」「いやだから私、ネギじゃないですから・・・・・・眼科行ってきたらどうです?」「まあだがせっかくネギが酒でも飲めと言ってくれたのじゃからわらわも飲むとするかの」「だからネギじゃないって・・・・・・」何度も否定するが聞く耳持っちゃいないアリカに美琴は疲れた表情を浮かべるも、アリカは気にせずにナギ達が飲んでいたお酒に手を伸ばそうとする。だがそれを見た瞬間、泥酔状態だったナギは一瞬で素面に戻って慌てて彼女に手を伸ばした。「ちょォォォォォォッ! 姫さんアンタが酒飲んだらダメェェェェェェ!!」「はぁ? 別にいいじゃろ、こんなめでたい席じゃしせっかくの機会じゃ。普段は全く酒を飲まないわらわもここは一杯ぐらい飲んでみる」「いやいやいやいやいやいやいやッ!! アンタの酒癖の悪さは夫の俺が一番知ってるから止めてッ!!」「酒癖が悪い? そんな覚えは無いぞわらわには」「記憶飛んでるんだよいつもいつもッ!」「酒の一杯で記憶が飛ぶ人間など何処におるのじゃ、貴様等だけで楽しんでいて不愉快じゃ、わらわも飲んでやる」「ちょッ! おまぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ムスッとした表情で自分のコップに酒を一杯分注ぎ込み、それを豪快にグイッと飲み干すアリカ。ナギが必死に止めようとしたのだが残念ながら酒は彼女の胃の中に入ってしまった。「ヤベェ・・・・・・・これ絶対ヤベェ・・・・・・」「・・・・・・」「お、おいアリカ・・・・・・」「・・・・・・」酒を飲みほした後急にガックリと肩を落として黙りこむアリカ。ナギが恐る恐る声を掛けてもピクリとも反応しない。するとそんな彼女にあの泥酔組の一人である桂が「ハッハッハ~ッ! どうしたアリカ殿元気が無いぞ~ッ! テンション上げて行こう~ワハハハハハッ!!」「おい止めろバカッ! 今のそいつに話しかけ・・・・・・!」お猪口を片手にベロンベロン状態の桂がアリカの頭をペチペチと叩く。眠れる獅子を起こそうとする彼をナギが慌てて彼を止めようとした次の瞬間「どばァッ!!」「ぬわぁぁぁぁ!! 1コマでバカが天井に刺さったッ!」一瞬の出来事であった。アリカの頭を上機嫌で叩いていた桂が消えたかと思いきや何時の間にか天井に頭から突き刺さっており、アリカの方は左拳を振り上げたポーズで固まっている。「や、やべぇ・・・・・・ここは逃げねえと焼かれ・・・・・・」「・・・・・・おい」「ひッ!」急いでこの場から避難しようと逃げ出す手立てを考えていたナギに。しばらく無言だったアリカがドスの低い声を出して彼の方へ顔を上げた。たった一杯で顔を赤く染め、目が座っている。「酒・・・・・・もっと持ってこい・・・・・・」「・・・・・・え?」「酒もっと持ってこいつってんだろうがこんボケコラァァァァ!!」「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」「ナギさぁぁぁぁぁんッ!!」いきなりプッツンした様子で立ち上がったアリカはナギの頭上目掛けて空になった酒瓶を叩きつける。その部屋一体にナギの悲鳴が飛び、新八も慌てて叫んだ。「なんじゃこりゃァァァァ!! 前にアリカさんは酒飲んだら人格変わるって聞いたけど変わり過ぎだろうがッ! もはや別人の領域だよッ! 親子共々別キャラになっちゃったよッ!」「誰か酒持ってこいくおらぁぁぁぁぁぁ!!!」口からシュ~と謎の白い煙を吐きながら魔王と呼ばれてもおかしくない様な威圧感を出すアリカに新八は恐怖に屈しない様気張るように叫ぶ。桂はともかく夫のナギまで瞬殺するとは・・・・・・。「うう・・・・・・」「ナギさんしっかりッ!! それでもアンタ英雄とか呼ばれてる凄い魔法使いですかッ!」「新八・・・・・・後は任せた・・・・・・・」「オイィィィィィ!! あんな化け物僕がどうにか出来るわけねえだろッ! レベル99の勇者でもウンコ漏らして母親の待つ家に帰るぞアレと遭遇したらッ!」気を失う寸前に後のこと全てをナギに押し付けられて、新八は気絶した彼の半身を起こして激しく揺さぶるも、白目をむいてピクリともしなくなってしまった。「桂さんは一発昇天だし、ナギさんはこうなっちゃたし・・・・・・てか何だこの展開ッ! バトル路線に変更ッ!?」「・・・・・・『何だ』?」 「え?」新八の言った言葉にピクリと反応したアリカ、すると座った目を酔っ払ってまだヘラヘラ笑っている坂本に向けた。目だけで彼はなにかわかったのか、酔ったままフラフラと彼女の隣に移動し。彼が隣に来るとアリカと坂本は酔いで頭を回しながら楽しそうに大声で「なんだかんだと聞かれたらッ!」「答えて上げるが世の情けッ!」「世界の破壊を防ぐためッ!」「世界の平和を守る為ッ!」「愛と真実の悪を貫くッ!「ラブリーチャーミーな仇役ッ!」「ムサシッ!」「コジロウッ!」「銀河を駆けるロケット団の二人にはッ!」「ホワイトホールッ! 白い明日が待ってるぜッ!」「だぁぁぁぁぁコイツ等めんどくぇぇぇぇぇぇ!!! 酔いが回ってんのにそのセリフだけは完璧に覚えてんだなッ!」「アハハハハハッ!」「おいニャース、さっさと酒持ってこいッ!」「誰がニャースだッ!」一通りの“あの”決め台詞を行った後、坂本はゲラゲラ笑ったまま大の字でぶっ倒れ、アリカはこちらに向かって酒の注文をしてくる。このカオスな展開に新八はブチ切れたままツッコミを入れるもてんで効果ない。この状況、一人で打破する事は難しい・・・・・・そう思った新八は咄嗟に隣に座っている神楽の方に振り返る。「神楽ちゃんッ! アリカさんを押さえ付けてッ!」「テメェそのカルビは私が最初に目ぇ付けてたんだコラァッ!」「はぁ!? 何言ってんの!? 焼き肉に目を付けるとか意味無いのよ! 最初に取った奴がその肉を食う権利を与えられるのよ!」「うおいッ! なに小さい事で喧嘩してんだこのダブルバカヒロインッ!」何時の間にかネギの代わりに出て来た美琴と鉄板の上に並ぶ肉の取り合いをエキサイティングしている神楽に新八は美琴含めて両方に怒鳴り散らす。肉より大事なことが今目の前起こっていると言うのに・・・・・・・。そうこうしているウチにアリカはどっかから調達した酒をグビグビと飲んで「プハー」と満足そうに声を出すとキョロキョロをボーッとした表情で周りを見渡す。「にしてもせっまい所じゃなぁ・・・・・・」そう言ってしばらくした後、アリカは目を怪しく光らせ微笑を浮かべた。「・・・・・・燃やすか・・・・・・・」「すみませんッ! 色々と略しすぎてどういう経緯でそこの行き着いたのか説明してくれませんかッ!」「ニャース、火じゃ、火を持って参れ」「だからニャースじゃねぇよ!! てかアンタ放火する気ッ!? 肉どころかこの店全部燃やすつもりッ!?」「一枚一枚焼くのめんどくさいじゃろ・・・・・・?」「どんだけめんどくさがり屋さんなんだよッ!」ケラケラ笑ったまま危険な匂いを漂わせるアリカを新八は必死で止める。この空間で唯一まともなのは自分だけだからだ。「・・・・・・なんでこんな連中で話進めてなおかつ完結出来たんだろ・・・・・・」「ヘヘヘへ、マッチの火じゃ中々燃え移らんな・・・・・・・」「ギャァァァァァァ!! 誰かこの放火魔止めろぉぉぉぉぉぉ!!」店の中での新八の叫びに、誰も答える事は出来なかった。「おいなんだ今のシーン、戦う前にいきなり変な奴等が出てたぞ」「アイツ等見ないと思ってたら焼き肉食ってたのかよ・・・・・・」「ねえ銀さん、ネギ先生の代わりに出てた女の子誰?」「『禁魂』読め、そこでわかるから」「キンタマ・・・・・・?」「おい銀八、いい加減にストレートな下ネタ止めろよ、聞いてるこっちが恥ずかしくなる」「文句を言うなら作者に言え」場所戻って麻帆良学園内。人気投票戦争参加者が全員そろい踏みした中、銀時は両サイドにいる千雨と和美と会話していると廊下の曲がり角からあやかが“彼女”を連れて走ってくる。「銀さんッ!」「ああ、お前無事だったのか」「ええ運良く千鶴さんが来てくれましたから」「は? アイツ?」「あら先生~」「げ、私の一番苦手な奴がこっちに来た・・・・・」嬉しそうにやって来たあやかと共に後ろから頬笑みを浮かべながら千鶴もやってくる。それに対して千雨は苦虫を噛んだような表情で一歩後ずさりする。なんだか彼女の笑顔は慣れない。「朝倉、なんであの女を仲間にしたんだよ・・・・・・」「いやねぇ、向こうからぐいぐいやって来て断るに断れなかったんだよ・・・・・・」「長谷川さんも元気~?」「・・・・・・アイツが私に向かって笑う時なんか背筋がゾクッとするのは気のせいか?」「気のせいじゃないと思うよそれ、千鶴さんがなんか放ってるんだよきっと・・・・・・」笑ってこちらに挨拶をしてくる千鶴だが、千雨の背後に何故か電流の様に悪寒が流れ出し思わずブルルと震える。和美はそんな彼女を心配そうに声を掛けながらふと周りを見てると。「あり? エヴァちゃん何処?」もう一人の万事屋メンバーがいない事に気付いた。「ねえ、いいんちょ。エヴァちゃんは?」「ああ・・・・・・エヴァさんですか、それならその辺で隠れてるんじゃないですか?」「え?」機嫌の悪そうにそう言うあやかに和美はなんで彼女がこんなにも機嫌が悪いのか小首を傾げる。隠れている? とりあえず和美はキョロキョロと周りえを探して見ると「・・・・・・」「あ、エヴァちゃん」廊下の曲がり角から顔をちょこんと出しているエヴァを発見。いつもなら銀時の腰に飛びこんで抱きつく筈なのに何故にあんな所で隠れているのだろうか。和美は疑問を覚えながらもあやかと会話している銀時に教えてみる。「銀さん、あそこにエヴァちゃんいるよ?」「あん? あ、チビ。おい、何してんだそんな所で?」「わ、私は悪くないぞッ!」「は?」「悪くないったら悪くないッ! 私はドSを倒す為だけに魔法を使ったのだッ!」「・・・・・・アイツ何言ってんだ?」顔だけを覗かせながら必死に訳のわからない弁明を繰り返すエヴァに銀時は口をへの字にして舌打ちする。そんな彼にあやかはハァ~とため息を突いた後、ボソッと事の経緯を伝えた。「先刻、エヴァさんが沖田さんを倒す為に魔法を使ったのですの」「ああ、別に俺は敵に対してのみなら魔法使ってよしって約束したから問題ねえよ」「でもその魔法のせいで近くにいた私は寒くて凍え死にそうでしたの」「あ~それは仲間への配慮がなってねえなおいチビ、こっちこい」「銀時ッ! 私は悪くないぞッ!」「いいから、さっさと来い」あやかの報告に銀時は軽く頷いた後、端っこで隠れているエヴァにこっちに来るよう催促。それに従って彼女はやっと姿を現して彼の方にトテトテと移動した。「私は悪くないッ!」「よくそんな事言えますわね、私に対して好き勝手言っていたのは何処のどなたですの?」「う、それは・・・・・・」「まあ事が事だから仕方ねえ所もあるが。とりあえずコイツに謝っとけチビ、こんな状況で仲間内で衝突されたらたまんねえ」「な、なんで私が雪広あやかなんかにッ!」「一生口聞かない刑の方がいいか?」「・・・・・・」銀時に言われエヴァは悔しそうに歯ぎしりしながらツーンとした表情でこちらを見下ろしているあやかの方に振り向き。「わ、わ、悪かった・・・・・・許せ」「“ごめんなさい”じゃないですかそこは?」「ぐぅぅッ!」「はい、もう一回、頭も下げて下さいね」「ぬぐぐぐぐぐ・・・・・・・ご、ご、ご・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」プライドもほおり投げてエヴァは目を血走らせながら頭を下げた。それに対してあやかは腕を組んで見下ろしたままフンと鼻を鳴らして「反省している様子はありませんが、まあここは寛大な態度で許してあげますわ」「いつか・・・・・・いつか絶対ギャフンと言わせてやるぅ~・・・・・・」この屈辱絶対に忘れないという風に上目遣いであやかを睨みつけながらエヴァは荒い息を吐く、余程彼女に謝るのが嫌だったのであろう。それを見ていた銀時は両手をパンパンと叩いて一件落着だと言うかのようにエヴァの頭をポンポンと叩く。「もうすんなよ」「わかってる、こんな事二度とゴメンだ・・・・・・・」「よし、じゃあ真撰組の奴等といっちょやるか」怒り心頭だったのだが銀時が頭を触ってくれたのでエヴァの怒りは若干冷めた。そんな彼女を見てもう大丈夫だと察した銀時は目の前にいる真撰組メンツと改めて顔を合わせる。「待たせたなコノヤロー」「待たせ過ぎだ、テメェ俺等を完全に忘れてただろ?」「ああ、ぶっちゃけ俺等だけで話進んでるのかと思ってた」「上等だ・・・・・・」偉そうに言いのけた銀時に向かって、土方は腰の刀を抜く。戦う準備と理由は出来た。土方は後ろにいるのどかと近藤を人質にしている龍宮に、振り返らずに話しかける。「おい、色黒女。テメェが執着している銀髪頭を殺されたくなきゃ大人しくのどかと“ついてに近藤さん”を引き渡せ」「フン、生憎私は先生が負けるなどとこれっぽっちも考えた事無い。だが・・・・・・」龍宮はそこで言葉を切ってのどかと近藤の背中に突きつけていた銃を二つとも下ろした。「先生が来るための時間稼ぎは十分にしたからな、もうこの人質に用は無い、ほれ、早く男の所に戻ったらどうだ?」「う、後ろから撃たないで下さいね・・・・・・?」「・・・・・・このままずっと目の前にいられるとそれもあり得るな」「ひッ! 十四郎さ~んッ!」「トシ~~ッ!」ボソッと呟いた龍宮の言葉に慌ててのどかは土方達の方に駆け寄る、ついでの近藤も。「すみませ~ん、近藤さんと喋っていたら突然龍宮さんにピストルを突きつけられて・・・・・・」「トシ~~怖かった~~~ッ!」「近藤さん気持ち悪いから止めろ・・・・・・人質を楽に解放するとは随分と余裕じゃねえか色黒女。大方テメェも万事屋側だろ、アイツ等とまとめて駆除してやるから覚悟しろ」駆け寄ってきたのどかの頭を撫でながら今にも抱きついて来そうな近藤をたしなめた後、土方は龍宮の方にイラついた様子で視線をぶつける。彼にとって結果はどうであれのどかを危険に陥れた罪は地獄よりも深いのだ。だがそんな彼に龍宮はフッと笑みを見せた「いや、先生側の人間ではないよ」「・・・・・・なに?」「私は・・・・・・」龍宮がザッと足を広げると彼女の来てい茶色のコートが大きくなびく。そしてそのコートの裏側に隠されていたのは「すべてのキャラを抹殺するよう“依頼”を受けているんでね」「なッ!」「手榴弾ッ! 皆さん下がって下さいッ!」コートの裏に隠されているのは大量の重火器、龍宮はその内の一つの手榴弾を取るとピンを口で抜いてこちらに投げる体制に。刹那が慌てて驚いている土方達に叫んだ瞬間、小型爆弾はこちらに飛んで来た。そしてカチンと鳴った後、耳をつんざく爆音が鳴り響く。「「「「「おわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」軽く人を吹き飛ばすレベルに値する爆弾の破裂音、廊下のクロスロードの真ん中に豪快な焼跡を残す。その手榴弾の脅威に間一髪、土方達は横っ飛びしてなんとか回避に成功。「あ、あの野郎ォォォォォ!! 順位プレートどころか俺達自身をふっ飛ばしに来やがったッ!」「龍宮は昔から加減を知らないんですよ・・・・・・」「ていうかあのマゾ女、旦那側じゃなかったんですね。旦那を餌にして仕留めようと思ったのにこれじゃあ厄介ですぜぃ」間一髪で避けた土方に刹那と沖田はすぐに態勢を立て直す為に立ち上がる。のどかと近藤はまだ床に顔をつっ伏しているが。「大丈夫かオイ、しっかりしろ」「は、はいなんとか・・・・・・こう言うの前にあったので・・・・・・」「トシ・・・・・どうやらこりゃあ予想以上にヤバそうだな・・・・・・」「近藤さん床に顔うずめてないでさっさと顔上げて準備してくれ」半身を起こして頭がクラクラするのを我慢しているのどかと顔をうずめたまま喋り出す近藤に声を掛けると、土方は一本のタバコを咥えて前を見る。「戦だ」土方達が戦う姿勢を見せる中、銀時達万事屋一派もそれを迎え撃つ為に準備を始める。「やり合う前に言っておくぞ、チビ、魔法は敵だけに当てろ」「わ、わかった・・・・・・」「俺に当てたら容赦しねえからな」「う、うん絶対しないぞ・・・・・・」今度はミスしない様にとエヴァは緊張しながらコクリと頷く。「りゅ、龍宮さんッ! なんでなんでッ!? 私達の味方じゃなかったのッ!?」「アイツ、私たちどころか銀八までやるつもりか? つうかお前は私達の味方なのか?」「もちろん、私が狙うターゲットは真撰組軍団とエヴァちゃんって決めてたからッ!」「いやエヴァは外してやってくれッ!」自信満々に胸を張る和美に千雨は友の免除を願い入れる。「千鶴さん、あなたも私達の味方ですわよね?」「私? ウフフ、私はいつでも“あやかの”味方よ?」「・・・・・・・」少し引っ掛かる言い方でニコニコ微笑む千鶴を見てあやかは少し不安な気持ちになるも。とりあえず彼女を信じて上げる事にした。準備は整った、こっからがいよいよ本番である。「よ~しいっちょやるか、チビ、お前は特攻して連中を一匹残らずぶち殺せ」「それはいいがお前はどうするのだ?」「俺は後ろの奴等を守りながら戦う、千雨とあやかの順位は俺の次に高いからな、狙われるのが目に見えている。その点お前は・・・・・・」「あ~もうそれ言うなッ! 傷付くッ!」「8位だ」「だから言うなッ!」最後に隣にいる銀時に向かって叫んだ後、エヴァは前方に佇む龍宮と左廊下の方にいる土方達真撰組を視界に入れた。「人気投票に踊らされた哀れな道化共め・・・・・・」ギリっと歯噛みした後、エヴァは目の前に二つの氷の剣をシュンっと出現させてそれを両手で取った。「己の愚かさを身を持って知れ」二つの剣を交差してエヴァは龍宮達に向かって構える。ラストゲーム、開幕。