木乃香の力によって封印を解かれたリョウメンスクナノカミ。鬼神という強大な敵と対峙する事になった銀時は阿伏兎の情報、そして陸奥が持って来た兵器をヒントにしていき一つの作戦を生みだす。ここにいる11人のメンバーだけで鬼神を倒し、なおかつ木乃香を救う作戦を銀時はひとまずメンバー全員で円になるように陣形を作り、その円の中心に立った彼が作戦を話し始めた。時間は一分も使わなかった。「・・・・・・という事でコレが俺の作戦プランだ。もうこれっくらいしかアレに勝つ方法はねえ、気合いでやるぞ気合いで」「お前の考えに乗るのは癪だけどよ・・・・・・仕方ねえか」「腕っぷしだけではなく頭のキレも・・・・・・いいですねぇ、ますます興味を覚えました」要点だけをまとめた作戦内容を手早くそこにいるメンバー全員に伝えた銀時。彼の話の内容を聞いてナギは不満げにアルは意味深な笑みを浮かべて了承するが、新八はボーっとした表情で銀時を見つめる。「あの銀さん・・・・・・・作戦は理解できたんですけど僕の役割に一言・・・・・・」「バカヤロー、ツッコミキャラ特有の誰の耳にも入るお前の“ツッコミボイス”を見込んで、銀さんはお前に“この役割”を上げたんだよ」「いやさっきアンタが僕に与えた役割にツッコミ役関係無かったですよねッ!?」「でもツッコむ時って大体声がデカイだろ、その声のデカさに俺が期待してるんだよ。頼んだぞ初代ツッコミ総長・志村新八」「それ声がデカイ人なら誰でもいいって事じゃねえかッ! あ~もうなんですかそれッ!テンション駄々下がりですよそんな不毛な役割ッ!」自分の存在意味に異議を唱えだす新八に銀時はめんどくさそうに小指で鼻をほじりながら、ボソッと彼に一言。「ここでいっちょかましてやればツッコミポジションを千雨から奪えるかもしれねえぞ」「いよぉぉぉぉぉしッ! テンション上がって来たァァァァァ!! 僕の中に眠るアドレナリンが一気に放出したァァァァァァ!!」「単純な奴アル」銀時の一言を聞いた瞬間いきなりハッスル始める新八に、神楽は冷え切った視線を送った後、すぐに銀時の方に顔を向ける。「銀ちゃん、私も文句があるアル」「こっちはお前等の文句聞いてるほど暇じゃねえんだぞ?」「いいから聞けよロリコン三股天パ」「・・・・・・聞いて上げるからその呼び方止めて」クリっとした純粋な目で強烈な毒を放ってくる神楽に銀時は少しテンションの下がった表情で呟いた。すると神楽はすぐ隣で腕を組んでいる桂の仲間、犬上小太郎を指を差す。「なんで“ウルトラビューティーヒロイン”の私がこんなワン公と協力しなければならないアルか? 同じ犬なら定春がいいネ」「んなッ! こっちだって願い下げやッ! なんで女のお前なんかと一緒にッ!」自分に対して文句を言う神楽に対し小太郎は顔を上げて彼女を睨みつける。だが神楽はそんな彼を見下した態度で「あん? 誰があの時助けてやったんだコラ?」「う・・・・・・」「ケツの青いガキがこの“ギガアルティメットパーフェクトヒロイン神楽ちゃん”についてくるなんて到底無理アル、私一人でなんとかなるヨロシ、ガキは家帰ってファミコンでもしてな」「コイツすんごいムカつくわッ! 自分だってガキのクセにッ!」「あ~もう黙れガキ共。ガキはガキ同士で仲良くしろ」いきなりいがみ合いを始める神楽と小太郎に銀時は適当に手を振りながらあっちへ行けと追い出すと、今度は一人でポツンとつっ立って何かを眺めているナギの方へ自分から近づいていった。彼の視界に入るのはスクナではなく、湖の真ん中に浮かんでいる祭壇だった。「こっちはアイツと決着つけなきゃならねえのに・・・・・・」「・・・・・・もうちっと待ってろ、すぐにあのバケモンを片付けてやっから」「・・・・・・決着をつけるの鳳仙だけじゃねえしな」「あん?」隣に立って来た銀時の方へ向かずに、ナギはまっすぐに前を見つめながらそっと呟いた。「息子の命を助ける為に親として何をするべきなのか。俺はそれにテメーでケジメをつけるって決めた」「・・・・・・」「俺はアイツに何一つ父親らしい事をしてねえ、だから今日は・・・・・・初めてアイツと正面からぶつかり合う、手足がもげようがアイツを助けれるなら構わねえ、それが俺のケジメだ」「・・・・・・へぇ」「な、なんだよ・・・・・・・」真面目なトーンで話をするナギに向かって銀時は口元に小さな笑みを浮かべる。顔を赤らめながらナギはそんな彼の方へ向いてムッとするも、銀時は笑ったまま見つめ返す。「まるでダメな親父、略してマダオのお前でも父親らしい所があるんだなと思ってよ」「なんだよマダオって・・・・・・」「オメー等見たいな親がいるアイツが羨ましいわ・・・・・」「は?」いきなり虚空を見つめる表情を浮かべる銀時にナギが首を傾げていると、二人の背後から恐る恐るネカネが近づいていく。「あの・・・・・・陸奥さんと坂本さんはもう準備出来た様です」「あいよ、じゃあそろそろこっちも作戦開始するか」「ああネカネ、ずっとゴタゴタしてて言えなかったけどよ」「え?」髪を掻き毟りながらナギはネカネの方に振り返り、二カっと笑った。「大きくなったな、こんな所でお前に会えるとは思わなかったわ」久しぶりの再会にもかかわらずえらくシンプルな言葉にネカネは思わずフッと笑い返す。「はい、ナギさんもお元気そうで良かったです」「今までネギの事を護ってくれててありがとよ、後は俺に任せてくれ」「少し不安ですけどお願いします、父親としてあの子の事を護って下さいね」「お、おう・・・・・・」他人に言われるとやはり恥ずかしいのかナギはネカネにそっぽを向いて顔をまた赤らめる。しばらくしてナギはその場から逃げる様に草陰の方に行ってしまった。「ちょっと行って来るわ・・・・・・・」「何処にだよ」「しょ、小便・・・・・・」明らかに逃げる為の口実だとバレバレな態度のナギの後姿に銀時は鼻で笑った。「どんだけ小便出るんだよ、あんな調子で大丈夫かあの親父」「本当ですね、けどあの子の父親が生きていてよかった・・・・・・」「ん?」「親がいないって子供には一番の不幸なんだと思います。私も数年前に両親を失ってますからわかるんです・・・・・・・」「・・・・・・」初めてネカネのそんな話を聞いた銀時は頬をポリポリと掻きながら真顔で彼女に口を開く。「一人ぼっちってのは・・・・・・あんまいいモンじゃねえよな」「はい・・・・・・あ、でも私には両親の代わりに護ってくれる人がいます、ぶっきらぼうですけど優しくて強くて頼りになって、私の父親代わりになると言ってくれた人がいるんです」そう言ってネカネはさっきの暗い表情から一転してニコッと銀時に笑いかけた。「だから私は幸せです」表裏も無い純粋な彼女の笑顔。それを見つめながら銀時はそっぽを向いてボソッと呟く。「・・・・・・親か」「え?」「なんでもねえ。そろそろ作戦始めるぞ、お前は辰馬の傍にいてやってくれ」「あ、はい」銀時が言った事にネカネは聞き取れなかった様子だが、すぐに彼の言う通りに坂本のとこへ移動する。残された銀時は作戦を実行する為にその場を去った。間もなく深夜4時44分。スクナ討伐の為にいよいよ作戦開始される。第七十訓 生半可な覚悟で正義や悪を語るものではない「リョウメンスクナノカミッ! そろそろ敵さん達を一人残らず殲滅するでッ!」「グガァァァァァァ!!」銀時達が行動を開始している一方、木乃香の魔力を己の力に変える為に行動を停止させていたスクナが顔を上げて咆哮を上げながら銀時達の方へその巨大な体で一歩前に出る。とてつもない大きな足音、その衝撃に湖が大きく波打っている。「フッフッフ、コイツの力があれば高杉や春雨にも負けんかもしれへんな・・・・・・さて、侍と英雄さんに今度は連発でスクナの波動砲を受けてもらいまひょか・・・・・・」眠っている木乃香をお嬢様抱っこで持ち上げた後、千草はスクナの右肩に着地し、笑みを浮かべながら銀時の軍団の方へ目を細める。だが「ん? 変やな、ガキ共が見当たらへんぞ・・・・・・」スクナがどんどん数百メートル先の敵の団体に近づいて行くのだが、よく見ると銀時やナギ達、その他の大人達はいるものの。神楽、新八、小太郎の子供三人が見当たらない。それに何故かあの変なアヒルペンギン(エリザベス)の姿も・・・・・・。「ガキ共だけ逃がしたっちゅう事かいな?」そんな推理をしながら千草が首を傾げる。子供は逃がして大人達のみでこちらを片付けようとしているのだろうか?しかし彼女のその曖昧な考えはある少年によって唐突に引き裂かれた。「僕の歌を聞けェェェェェェェェェェェェ!!!!!」「ぬぐッ!! な、なんやこの声ッ!!」木乃香を持っている状態でスクナの右肩に乗っている千草の耳に、突如信じられない程の大きな声が聞こえる。千草は慌てて、すぐ右にある岸の方へ目をやると「アイラ~ブッ!! お通ちゃ~んッ!!! 君を見てるだけでアイムゴートゥヘヴ~ンッ!!!! ゴートゥヘヴ~ンッ!!!!」「メ、メガネ付けたあの地味なガキッ! うッ! なんやこの破壊超音波ッ! 耳がねじり切れるッ!!」そこにいたのは万事屋初代ツッコミ総長、志村新八。マイクを持って(何処にあったのかは不明)ノリノリで自分で作ったと思われる歌をノリノリで熱唱している。だが彼の歌声は音痴を通り越して精神を破壊する殺人ボイス。千草はあまりの騒音に木乃香をスクナの肩に下ろして自分の耳を必死に押さえる。「君が僕に視線を向けられたら~ッ!! 僕のライフはエブリディハッピーさ~ッ!!! アイラ~ブッ!! お通ちゃ~んッ!! お通ちゃ~んッ!!」「チッ! 人間ってあそこまで音痴になれるなんて一種の才能やでッ! ていうかッ! なんでこんな状況で歌ってんねんあのメガネッ!」「オメェもメガネだろうがッ!! キャラ被るからメガネ取れやボケェッ!」「なんかツッコンで来よったッ!」歌の途中に千草にツッコまれた瞬間、すぐにツッコミ返しをする新八。千草は驚くも耳を押さえながら彼の放つ騒音を懸命に堪えてスクナに向かって急いで指示を出そうとする。「スクナッ! 侍共は後やッ! あのガキをさっさと静かにせんと耳が・・・・・・・おぐッ!」銀時達から新八へ標準を変えろと千草がスクナに命令しようとした瞬間、彼女の顔面に謎の手持ち用のボードが鼻に直撃する。あまりの痛さに千草が鼻を押さえながらボードが飛んできた方向にキッと睨みつける。「誰やウチに向かってこんなん投げたのはッ!!」ボードが飛んで来たのはさっきからずっと熱唱を続けている新八の方向。そして彼の隣に何時の間にかいた人物(?)は『いやあサーセンwww』「おのれかおばQゥゥゥゥゥ!!!」新八の歌声が聞こえない様耳にヘッドフォンを付けているエリザベスが、こちらに向かってなんの悪びれもない言葉が書いてあるボードを持っていた。「お前等あの高杉の知り合いの坂田銀時と桂小太郎にくっついてるただの金魚のフンやろうがッ! フンならフンらしく黙って・・・・・・うぎッ!」『いやそれお前に言われたくねえし』金切り声を上げる千草の鼻にまたもやボードが命中。ポタポタ出て来る鼻血を必死に腕で拭いながら千草はスクナの肩でペタリと座りこむ。「あんなふざけた連中にこんなコケ食らうとは・・・・・・・」「君は僕の目の前に下りて来たエンジェルゴッドさぁぁぁぁぁぁ!!! お通ちゃぁぁぁぁぁぁんッ!!」「だぁぁぁぁぁぁ!! もううるさいんじゃボケコラカスッ! エンジェルかゴッドどっちかにせんかッ!!! つうか誰やお通ってッ!」「オラァァァァァ!!! 江戸一番のアイドル寺門お通を知らないとは何処の便所のカスだコラッ! それでもお前人間かァァァァァ!! お前の母ちゃん・・・・・・・」顔だけ覗かせてこちらに叫んでくる千草に新八は殺気の入っている顔のままスゥ~と一度大きく深呼吸して・・・・・・・「××だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」「ぬぐぅぅぅぅぅ!! 鼓膜がッ! 鼓膜がただの地味なガキのただの音痴に破られるぅぅぅぅぅ!!!」「グガァァァァァ!!」この山にいる者全てに聞こえるのではないかというぐらい大きな声に千草もタジタジ。心なしかスクナもうるさがってる様に首を横に何度も振っている。鬼神さえ怯ませる新八の常日頃からツッコミによって鍛えられた声量。そしてさっきから事ある事に千草の顔面にボードを投げて来るエリザベス。だが彼等の攻撃はまだこれだけではない。「オラオラオラオラオラァァァァァ!! 隠れてねえで出てこいよコンチクショウッ! ギャハハハハハッ!!」「うわっとッ! 今度は銃弾ッ!?」音痴やボード攻撃の次はなんとマシンガンの様に飛んでくる実弾。千草は頭を両手で押さえて慌てて伏せる。新八とエリザベスは精神的なダメージの方だが、実弾を食らったら洒落にならない。「ギャハハハハッ!! これがヒロインの力だ思い知ったかコノヤローッ!」「撃ってるのはあのチャイナ娘か・・・・・・!」銃弾が飛んでくる方向に四つん這いのまま千草はそっと覗きこむ。新八達とは少し離れた場所で、夜兎専用の自慢の番傘から弾を乱射して高笑いしている神楽の姿が・・・・・・・「死に晒せアル金髪デカ乳ッ! ヒロインは私一人ッ! テメェとその他二人はエキストラの役でも貰ってろコラァッ!」「いやウチ金髪やないんやけど、誰の事言ってるんやあのガキ・・・・・・? まあええか、スクナッ! こっちに実弾撃ちこんで来るチャイナ娘をやれッ!」「ガァァァァァァ!!」神楽が言っている事にさっぱり理解できない様子の千草は一旦頭を傾げた後、すぐにスクナに向かって彼女を先に討伐するよう命令する。「堪忍な、ウチ等に喧嘩売ってる時点でアンタ等は骨の一本や二本失うだけじゃ済まへんかもしれん」スクナは左拳を大きく振り上げたまま、自分よりずっと小さい神楽を視界の範囲に入れる。そしてようやく千草が彼の右肩の上で立ち上がり、彼女が神楽に向かって笑いかけると「一撃で病院送りにさせたるわ」「ゴォォォォォォ!!」「!!」「神楽ちゃんッ!」問答無用にスクナは神楽に向かって拳を振り下ろす。巨漢に似合わずあまりにも早いその一撃に神楽は逃げられずに思いっきり真正面からぶつかった。その衝撃に地鳴りが鳴り響き、スクナの攻撃をモロに食らってしまった神楽に新八が慌てて彼女の名を呼び掛ける。すると「ヌグググググ・・・・・・・!」「か、神楽ちゃんッ!」「う、嘘やろ・・・・・・」ゴゴゴゴゴと音を鳴らしながらスクナの拳が徐々に上へ上がっていく。そして苦しそうに踏ん張る“彼女”の声を聞いて新八は驚き、千草は血の気が引いた。そう、神楽の血には最強レベルに達する父や兄と同じく。「火事場ヒロインの・・・・・・! クソ力ァァァァァァ!!!」「スクナの一撃を生身の体で止めたやとォォォォォォォ!!」体中に汗をかきながら神楽が両手を使ってスクナの拳を止めている事に千草は口をあんぐりとあけて叫んだ。その化け物じみた力がスクナと渡り合えている事は千草にとって信じられない事だったのだ。夜兎の血を引く神楽。彼女の底知れぬ力は日々進化している。「ありえへん・・・・・・こんな事・・・・・・・こんな真似出来るわけ・・・・・・」「行けェェェェェ!! ワン公ォォォォォォ!!!」「誰がワン公やッ! だが礼を言うでチャイナ娘ッ!」「!!」千草が戦慄を覚えている間に神楽はスクナの拳を止めながら必死に“彼に”叫ぶ。その声を聞き、彼女の後ろでずっと待機していた小太郎が躍り出て、すぐに彼女が止めてるスクナの拳の上に飛び乗った。「これでネェちゃんの所まで行けるッ!」「しまったッ! 狙いはそっちかッ! あの二人と一匹はフェイクで本命はアンタか小太郎ッ!」「そこでネンネしてるネェちゃんを返してもらうでッ!」「チィッ!」スクナの拳に飛び乗ると小太郎は傾斜があるのも気にせずにまっすぐに千草の元へ登っていく。新八とエリザベスと神楽のはただの時間稼ぎ。本当の狙いは直接こちらに来てスクナのリモコン代わりとして働いている木乃香を救出する事だったのだ。そう推理した千草は苦々しく舌打ちした後、向かってくる小太郎を睨みつけながら懐からお札を取り出す。「ガキのお前がこの天ヶ崎千草に勝てると思ってんのか小太郎ッ!」「試してみいやしょうもない“小悪党”ッ!」「なんやとこの・・・・・・! ぶッ!」挑発的な笑みを見せて走って来る小太郎に千草が何か言おうとしたその時、彼女の顔面にまたもやメッセージボードが直撃。『小僧、貴様を助けるのはこれっきりだ』「うぐぐ・・・・・・またあのUMAに・・・・・・!」「エリザベスッ! これ終わったら飯でも奢ったるわッ!」目の前で千草が顔にボードをぶつけて崩れた事に、小太郎はチャンスとばかりに援護をしてくれたエリザベスに感謝しながら一気に走る。「ガキだからって・・・・・・・!」「こんのォォォォォォ!!」「舐めんなやッ!」「なんやとッ!」千草と小太郎の距離はもう目の鼻の先。そこで彼は大きくジャンプして、顔を押さえながらもこちらに手を伸ばしてくる彼女を避けきる。そして小太郎は横たわっている木乃香の前に綺麗に着地した。「このネーちゃん奪えば“コイツ”はもうアンタの命令を聞かなくなるんやろ、千草のネェちゃん」「くッ! その娘っ子に指一本でも触れてみいッ! ウチが手に持ってる『劫火の札』ッ!コイツはアンタとその娘っ子を残りカスも出ないぐらい燃やせるんやでッ!」こちらに振り返ってきた小太郎に千草は目を見開いた状態で手に持っているお札を見せつけて脅しにかかる。だが小太郎はその脅しに全く通用していない様子で頭をポリポリと掻きながら目を細める。「このネェちゃん殺したらそっちも困るんやないか?」「みすみすお前等に奪われるよりはマシやッ!」「無理やって、千草のネェちゃんどうみても人殺しなんか出来へん柄やもん、アンタの相方の全蔵なら出来るやろうけど」「ウ、ウチだって出来るに決まってるやろがボケッ! いいかッ! マジで殺すからなッ! 絶対にその娘っ子に近づくんやないぞッ!」完全に錯乱状態に入り始めている千草を見て小太郎はやれやれと首を横に振る。木乃香に近づいたら殺す。彼女はそう言っているが・・・・・・「安心せえや千草のネエちゃん、俺はこっちのネエちゃんには絶対に毛一本も触らんから」「え? な、なんや、意外と素直になれるんやな・・・・・・わ、わかればそれでええんや」素っ気ない態度だが素直に言う事を聞く小太郎に千草は驚きながらも頬に笑みを引きつらせる。だが小太郎はそんな彼女にジロッと見て「何勘違いしてんねん、俺は元々このネーちゃんを“自分一人”で助けるなんて考えてへん」「へ?」「あそこにいる三人が囮で俺が人質奪還役。千草のネエちゃんはそう考えてるんやろ?」「そ、そうや、当たり前やろ・・・・・・」「残念やなぁ」両腕を後頭部に回しながら小太郎は千草にニヤッと笑って見せる。「こんな策さえも見抜けないなんてやっぱ千草のネエちゃんは悪人向いとらんわ」「なんやとッ!?」「だって俺もあの三人同様“囮”やからな」「・・・・・・は?」千草が首を傾げてしかめっ面を浮かべると、小太郎はふと銀時達のいる左側へ顔を向ける。「ぎょうさん時間稼がせてくれてありがとな。ホレ」「ん? げッ!」小太郎が顎でしゃくったその先に振り向いた瞬間、千草は鳩が豆鉄砲でも食らった様な表情で思いっきり驚く。「アンタが俺等に集中している内にもう“あの二人”が来おった、この鬼さんはどうやらアンタに操られてる限り命令以外の行動は出来へんらしいな」「油断してた・・・・・・! まさかこうやってウチとスクナの近くにやってくるなんてッ!」千草が悔しそうに奥歯を噛みしめる。彼女の先にいるのは紛れもない・・・・・・・「遅いぞアル殿ッ! キノコを食べてスピードアップだッ!」「食べません、あなたが私の上に降りてくれればそれで済みます、大人一人背負って飛ぶの大変なんですよ?」「いやここで俺が降りたら意味無いだろッ! 銀時に怒られてしまうではないかッ!」「じゃあ我慢して下さい、小太郎君達がだいぶ時間稼ぎしてくれたおかげでようやくここまで距離を詰めれたんですから」狂乱の貴公子、桂小太郎をおぶった状態のままこちらに飛んでくるは最強ランクの魔法使い、アルビレオ・イマ。みるみるこっちにやって来るその二人に千草はしまったという風に口を手で押さえる。「桂とアルビレオ・イマ・・・・・・! お前等ガキ共の狙いはあの二人をウチに気付かせぬように接近させる事やったんかッ!」「おお、ようやくわかったか。ま、もう遅いけどな」「何言ってんねん勝負はまだまだやッ! スクナッ! あそこで飛んでる二匹の蠅を叩き・・・・・・!」ヘラヘラ笑ってる小太郎の顔にカチンときた様子で千草は額に青筋立てながらスクナの方へ指示をしようと口を開く。だがやはり・・・・・・・「あがッ!」『ストラ~イク』抜群のコントロールでエリザベスのボードが飛んで来た。すっかり忘れていた千草は成すすべなく後頭部に直撃を食らう。「さっきから何回もウチがスクナに命令しようとする時に邪魔して・・・・・・!」「お通ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!!!」「うがぁぁぁぁぁぁ!! またあの地味メガネッ! あの二人のせいで精神が狂ってまうッ!」エリザベスの地味な嫌がらせとノリノリで歌う新八の熱唱力。肉体的にではなく精神に来るダメージに千草は両耳をおさえたまま疲労困憊の表情を見せた。そして怯んでいる彼女の隙を突き、遂にあの二人がこちらとの距離をある一定の所まで到達する。「ここで降りるぞアル殿」「どうぞご自由に」「あッ!」千草が気が付いた時にはもう遅い、こちらに向かって来てた桂とアルが既に自分達の真上を5Mぐらい上の所で飛んでいるではないか。アルにおぶられた状態の桂は彼の背中から手を離し、そこからこちらに向かって降って来る。「可憐な少女を己の道具として使いなおかつこの街を消滅させかねない主の行動、正義と言う名の下に俺が天誅を与える」「何を偉そうな事言ってるんや侍のクセにッ! 骨も残さず燃え尽きれッ!」落ちて来る桂に千草は持っていた『劫火の札』をすかさず投げる。だが桂は冷静に腰に差す刀をカチっと手に持って。「!!」空中にいるにも関わらず高速の横一閃、術が発動する前に桂は彼女の札を真っ二つに斬ってしまった。その早技に千草は驚きを見せていると、小太郎はコッソリと彼女に近づき・・・・・・「ほな、さいなら」「あり?」足払い。小太郎の気配に気付いていなかった千草は彼に思いっきり足をすくわれ、スクナの肩の上でバランスを崩す。そして「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」泣きそうな声で悲鳴を上げながら千草はスクナの肩からまっさかさまに落ちていった。そのままドボーンと大きな音を立てて頭から湖の中に着水。しばらくして落下の衝撃と蓄積された疲れのおかげで白目をむいて気絶してしまっている千草がプカーと湖の上に浮かんできた。「やっぱあのネエちゃんは悪役向いとらんわ」「よく時間稼いでくれたな、偉いぞ少年」「おうヅラ、早かったな」「ヅラじゃない桂だ」湖に浮かんでいる千草を見下ろしていると着地の音と共に桂の声が。小太郎がそちらに目を向ける頃には桂は既に眠っている木乃香をお嬢様抱っこで持ち上げていた。「お主達の活躍のおかげで木乃香殿を救出出来た。これでもうスクナはさっきの者の命令を聞かなくなる」「もう命令できる状態でもないしなあのネエちゃん」「それもそうだがな。よし俺達はもう役目は済んだ脱出するぞ。後は銀時と坂本達に託そう」「おうッ! ってうわッ!」「む?」木乃香を両手に抱き抱える桂に小太郎が力強く頷いた瞬間、いきなりグラグラと立っている場所が揺れ始める。突然スクナが動き始めたのだ。「ゴガァァァァァァァ!!!」「マズイな、自らを操っていた者がやられた事を知って己の自我が目覚めたらしい。このままだとこの鬼は全てを消すまで止まらんぞ」「呑気に言ってる場合やないやろッ! 今ここにいる俺等がまっ先にヤバいんやでッ!」両手を上げて月に向かって咆哮を上げるスクナを冷静に観察する桂に、小太郎は必死にバランスを保ちながらツッコむ。早急に脱出せなば、だがさっきここに来れたルートはもう存在しない、スクナが両腕を上げているのだから。「クソッ! ヅラッ! 思い切って湖の中に飛び込むかッ!?」「俺とお主なら問題ないだろうが、魔力を失って心身ともに衰弱している木乃香殿には冷えている湖は体に毒だ」両手に持つ木乃香の顔を覗き込みながら桂は小太郎の案を断る。弱っている木乃香にコレ以上負担はかけられない。すると小太郎はパニくった状態で頭を掻き毟りながら「じゃあどうすんねんッ!」「あの~すみません、私の事忘れてませんかね?」「ん? あッ! そういえばホモがおったッ!」「名前みたいに呼ばないで下さい、ホモじゃなくて私の名前はクウネル・サンダースです」ニコニコ笑いかけながら空中を浮遊しているアルを見て小太郎は慌てて指をさす。飛行能力を持つ彼ならこの状況をなんとか出来るからだ。「でも私一人ぐらいしか背負いきれませんよ? さすがに三人分の体重は無理です」「いや木乃香殿だけ預かってくれればそれで十分だ。俺と少年は湖に飛び込む」「わかりました、女性を触る事に抵抗はありますが仕方ありませんね」「ますますゲイ疑惑に拍車を掛けるような発言すな」笑顔でサラッと危険な匂いを漂わせるアルに小太郎がボソッとツッコンでいる中、桂はアルに木乃香を渡す。そしてすぐに桂は小太郎に近づき、彼の腰に右腕を回して「頭から落ちるかもしれんが意識は絶対に失うな」「わかっとるわそれぐらい」「ゴガァァァァァァ!!!」「そろそろここにいるのも限界か・・・・・・行くぞ少年」「いつでもええで」話しかけて来る桂に小太郎は素直に頷き、彼の腰に抱きつく。次の瞬間、二人は暴れるスクナの肩の上で勢いよくジャンプして湖の中に落ちていった。「無茶なことしますね全く」木乃香を両手に抱きかかえて宙に浮かびながらアルがそんな事を二人に言っていると、すぐに二人は湖の中に大きな音を立てて頭から着水。そして「ぶはぁッ! おい少年無事かッ!」「げほッ! げほッ! 一瞬三途の川が見えたけど大丈夫や・・・・・・・」湖の中から桂と小太郎は同時に顔を出す。慌てて自分の安否を確かめて来る桂に小太郎はなんとか問題無いと言う。すると桂はフッと笑って「そうか、あそこに少女しか乗っていない丁度いい小舟がある。あれに乗せてもらおう」「オイィィィィィ!! 現在進行形で川バッチリ見てるやんけッ! それに乗るなヅラッ! 一生ここに帰って来れへんぞッ!」「む? 俺は何が見えてたんだ・・・・・・?」自分よりもっと見えてはいけないものを見てると気付いて慌てて小太郎は桂の顔を平手打ち連打。幸い桂はすぐに正気に戻ったが、このまま行かせてたらどうなってた事やら・・・・・・そんな事をしていると、彼等より先にプカーと浮いていた女性が気絶した状態でこちらに流れて来た。「あ、千草のネエちゃんや」「うう・・・・・・」「誰にでも救いの手を差し伸べる事は侍にとって大事なことだ、この者も救出しよう」「酔狂な奴やなぁ・・・・・・」敵である千草の手を取って岸に向かって泳ぎだす桂を見て小太郎は呆れたように濡れた髪をワシャワシャと掻き毟った。「ま、それがヅラか」千草を撃破し、無事に木乃香りを救出した桂達。彼らの活躍を遠目で確認していた銀時は、後ろでスタンバイしている坂本、陸奥、そしてネカネの方に振り返る。「ヅラが人質奪還に成功した。次は俺達の番だ、用意はいいか」「おうよ、いつでも発射OKじゃ」「あの連中の時間潰しのおかげで山崩しのチャージは完了、あとはフルバーストであのバケモンの胸板ぶち抜くだけじゃ」地べたに座って坂本がスクナめがけて構えているのは天人が作った強大な力を持つ銃、『山崩し』。陸奥が持って来た戦利品なのだが、どうやら彼がスクナを狙撃するらしい。もっとも山崩しはかなりの破壊力を持つ兵器なのでその反動も恐らくかなりのもの、それを想定して彼の後ろでは陸奥とネカネが彼の背中を支えている形になっている。「本当はわしだけで十分なんじゃが、この者がどうしてもウチの大将の手助けをすると言って聞かなくての」「わ、私は皆さんの助けになりたいと思って・・・・・・」「アハハハッ! いい心構えじゃネカネさんッ! これからもわしの背中支えて欲しいのッ! な~んてなッ! アハハハハハッ!」「!! ヘラヘラ笑わうの止めなさいッ! 標準がずれるわよッ!」「・・・・・・なんなんじゃこの二人・・・・・・・?」ネカネを茶化している坂本と、それに対して頭を真っ赤にしながら彼を叩いているネカネ。“そっち方向”の物事に疎い陸奥は訳が分からない様子で首を傾げた。陸奥がネカネと坂本から微妙な疎外感を感じている頃。銀時とその隣に立つナギは一緒に湖の中で体をくねらせて大暴れしているスクナを全く動じずに眺めていた「ゴガァァァァァ!! ゴガァァァァァ!!」「えらいハイテンションになったなアイツ、すげぇ動きまわってるからこりゃあ辰馬も大変だわ」「俺とお前でなんとか誘導するしかねえだろ、お前のダチが撃ち損じたら俺達は三途の川渡る事になっちまうんだからな」顔を合わせずにナギと会話しながら銀時はある言葉に反応して嫌そうな顔を浮かべる。「俺とお前ね・・・・・・・ハァ~・・・・・・・」「何不満げにため息突いてんだコラ、元々お前が考えた案だろうが、それが俺が嫌々引き受けてんだからありがたく思えっつーの」「そうだよな、飛べる奴がお前とホモしかいなかったからしょうがねえんだよな。“飛べるだけ”で良かったのにな本当、俺を背中に乗せて飛べるんなら別にデッカイゴキブリでも良かったのにな、つうかお前におぶられるならゴキブリの方がマシだな、チェンジしてゴキブリさんに代えてくんねえかな?」「テメェの口はよくそんなにベラベラと憎たらしいフレーズが出て来るな、いっつもそんなひねくれた性格してるから髪まで捻りまくってんだろうな」「これは生まれつきだバカヤロー」こんな状況にも関わらず二人は普通に口喧嘩。恐らく一種の“同族嫌悪”という奴であろう。「ったくまさかこんなダメダメ親父とコンビ組まなきゃいけなくなるなんてよ」「こっちだってテメェみたいなふざけた奴と組むなんてゴメンだっての、これっきりだからなテメェとこんな事するのは」ブツブツと文句を言いながらナギが銀時の前に出て彼に背中を見せると、銀時はフンと鼻を鳴らした。「いい年した男同士でこんな事するなんざ気色悪いったらありゃしねえ」「ならさっさと面倒事を済まそうじゃねえか、俺は“アイツ”との決着にケリ着けなきゃならねえしよ」「それもそうだな・・・・・・」銀時はナギにだるそうに頷いた後、後ろに振り返って坂本達に最終確認を取る。「お~いお前等、もう俺等行くからな。俺等がアイツを引きつけるからちゃんと心臓の部分狙い撃てよ」「頼むぞ銀時ッ! 一緒にこの世界を救うんじゃッ!」「頑張って下さいナギさんッ! 私達とネギの為にもッ!」「ここが執念場じゃ、生きるか死ぬかはわし等の腕にかかってるけ。決してムダ死になんぞせんでな」坂本、ネカネ、陸奥に激励された銀時とナギは三人に手を振った後、彼等に背中を見せて湖の方へ目を向ける。そこにいるのは鬼神と称されるリョウメンスクナノカミと、湖に浮かぶ祭壇に一人たたずんで、自分達がスクナを倒すのを待っている夜王ネギの姿が。銀時をそれを遠い目で眺めながらナギの両肩を強く掴む。「行こうぜお父さん」「ああッ!」夜王ネギは一人祭壇に立ってスクナと銀時達の戦いを静かに観戦していた。「ガァァァァァ!! グオォォォォォォ!!!」「操られた事に怒りを感じてるのか、もしくは眠りを妨げられていた事に怒っているのか・・・・・・・」その場一帯をすっちゃかめっちゃか暴れ回るスクナがかなり近い距離で暴れているのに夜王ネギは全く動じずに眺めている。すると遠くからこちらへ勢い良く飛んでくる気配が・・・・・・・「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」聞いた事のある声が二人分聞こえたので夜王ネギは冷たい目つきのまま顔を上げる。「もっとスピード上げろよバカッ!」「これで全力だバカッ! お前おぶってるせいでこっちは飛ぶのも保つのもやっとなんだからなッ!」「あやつ等・・・・・・」銀時を背中におぶった状態でナギがスクナに向かって飛びながら突っ込んでいく。その光景に夜王ネギは唖然としていると、スクナは彼等に気付いたのか怪しく目を光らせた。「ガァァァァァァァ!!!」「あ、やべ気付かれたッ!」「攻撃が来るぞッ! しっかり背中掴まってろッ!」「ゴガァァァァァァァ!!!!」ナギが叫んだ瞬間スクナは右腕を掲げ、彼等に向かって手を開く。そして「グオォォォォォォォ!!!」「オイィィィィィ!! なんかかめはめ波みたいなの撃って来たぞアイツッ!」「チッ! 振り落とされるなよッ!」飛んでくるは何もかも飲み込んでしまいそうな光り輝く波動砲。向かってくるその一撃に銀時がすっときょんな声を上げるとナギは舌打ちして急いで右に旋回、なんとかスクナの攻撃を避け切った。「相変わらずバカみたいにデカイ奴撃ってくるぜ」「危ねえな、敵も容易に近づけさせねえってか」「このまま行ったら死ぬかもな、引き返すか?」「アホかテメェ、つまんねえ冗談言ってんじゃねえよ」こちらに振り向いて笑いかけて来るナギに向かって銀時はニヤリと笑みを浮かべた。「かめはめ波が飛んでこようがギャリック砲が飛んでこようが、俺達はこのまま奴の懐に突っ込むだけだ」「おうよッ!」銀時の言葉にナギはテンション上がった状態で返事をすると、今度は口から光線を発射させようとしているスクナに真っ向から突っ込む。「鬼神なんざ怒ったカミさんに比べれば屁でもねえんだよッ! カミさんの機嫌直すよりテメェを寝かせる方が何百倍も楽だっつうのッ!」「あいつを上手く引きつけながら近づけッ! 絶対に後ろに下がるんじゃねえぞッ!」「へッ! 俺はサウザンド・マスターと呼ばれた男だぜッ! この状況で引き下がるなんて選択はハナっからねえよッ!」「グゴォォォォォォォ!!!」さっき手から放った攻撃よりもずっとデカイ光線がスクナの口から放たれた。今度はナギは左に旋回してすぐに上昇する。スクナの波動砲はナギと銀時の足元ギリギリに通過していった。「さあてどんどん行くぜッ! 絶対に手ぇ離すんじゃねえぞッ!」「ったりめえだッ! 遮二無二に突き進めッ!」死と隣り合わせの状況にいるにも関わらず二人の男は子供の様にはしゃいでいた。それを祭壇から顔を上げて眺めていた夜王ネギはゆっくりと口を開く。「己以外の為に自分の命をかけて戦うなどわしには到底理解出来ぬ事、人間とは実に馬鹿で愚かな生き物だ」そう言った後、夜王ネギは口元に二ィッと笑みを広げた。「だからこそ面白い」