「銀さ~ん、ちょっと頼みがあるんですけど~」「すまん、緊急事態だ。帰って『無双OROCHI・Z』やりたい」「いや、それはいつでも出来るじゃないですか・・」帰りのH・Rが終わり、教室でネギが銀八に頼みを持ってきた、それを銀八は自分の都合で断ろうとしたのだが、ネギもそれで引くことは出来ない。「昨日から、学園の生徒たちは、風邪を引く人が多発しているんですよ、僕達のクラスも10人以上休んでいるし、だから銀さんと二手に分かれて、生徒達のお見舞いに行こうかと・・」「何言ってんの、お前?自宅に先生来たら気まずくなるでしょ。めんどくせ~しよ、ゆっくり寝かせてやれよ。じゃあ、俺は遠呂智の討伐に行くから」かたくなに頼みを断る、銀八。彼が今考えている事はゲームの事だけらしい、そこにめんどくさい用事は入らない。なんとも単純な頭の中である。そんな銀八の駄目っぷりに、ネギは深い溜め息をついた。「僕だって、銀さんを生徒のところにお見舞いに行かせるのは凄く不安なんですよ。こうゆう事態のときはタカミチがやってくれるんですけど、謎の事件に巻き込まれて、病院で入院中なんですよ・・」ネギの信頼する、先輩でもあり、友でもある、タカミチは先週、日曜日に用があるため、学園に向かっていた。その途中で、後ろから突然、バイクがもうスピードで体当たりしてきたらしい。その時にタカミチは意識を失い、気がついたら体育館倉庫で死にかけていた。という不思議な事件が起きたのである、犯人は後ろからだったので、見ておらず、結局犯人はわからない。それを聞いた銀八は額に汗を出して、下を向いていた。そしてしばらくするとまた顔を上げて「わかったよ、一件だけ行ってやるよ」「本当ですかッ!?、でもどうして急に?」「なんか罪悪感が俺から芽生えたんだよ・・」ネギの頼みを散々嫌がっていたのに、銀八はいきなり承諾してくれた。彼にも罪の意識があるらしい、せめて少しでも罪悪感を軽くするためにネギの願いを受け入れることにしたのだ。「? なんだかよくわかりませんが助かります! じゃあ・・雪広あやかさん。「いいんちょさん」の所に行ってくれませんか?、風邪のため、実家に戻って休養中のようですし。住所は紙に書いて渡しますね」「あ~あのショタコンね、はいはい了解。行ったらすぐに帰って良いだろ?」ネギは紙にペンで雪広あやかの実家の住所を書いて銀八に渡した。それにしても生徒の実家の住所まで覚えているなんて、かなり用意周到である。「まあ、風邪がまだおさまらなくて、苦しそうなら、声だけかけてすぐに帰って良いですけど。元気な様子でしたら、今日起こった、学校の出来事とか色々話してくれません?いいんちょさんは、学級委員なんでそういう所、気になると思うんで。」「あ~じゃあ、俺が授業そっちのけで寝ていて、夢で見ていた遠呂智との対決の事を・・」「いやそれ、銀さんの出来事でしょッ!、学校の事ですよッ!、ていうか授業中寝てたんですかッ!?」あいかわらずふざけた考えの銀八に、ネギは呆れかえっていた。(まずいな・・こんな人を一人でいいんちょさんの家に入れたら、どんな事態が起きるのやら・・いやまず入れるのかな?。最悪、ポリス呼ばれそうだな~)ネギは頭を抱えて悩んでいると、まだ帰っていない生徒がこちらに近づいてきた。「私が銀八先生についていきますよ、この人だけじゃあ心配でしょ、ネギ先生」「千雨さんッ!いいんですかッ!?」ネギは生徒の長谷川千雨が銀八と同行をするという事に、驚いた。彼女にしては珍しい・・ていうか、彼女がこんな事に首を突っ込む事自体初めてだ。「ネギ先生も不安でしょうがないでしょ、こんな先生が一人で生徒の家に言ったら、大騒ぎ、最悪この人捕まりますよ? もしくは、あやかさんの家が爆破するかもしれませんし。私も行けば少しは大丈夫だと思いますから」「そうですね、生徒がいたら教師として認識されるかも・・ここはお願いします、千雨さんッ!」千雨の言葉にネギはうなずいて、千雨にお願いする。その光景を不満そうにみていた銀八は・・(いや、お前も教師として認識されなくね?)自分よりずっと年下の子ども先生をじーっと見ていた。場所が変わって、銀八と千雨は二人で歩きながら、雪広あやかの実家に向かっていた。住所によるともうすぐ着くらしい。「ていうかお前、なんで来たの?、あんまりショタコンと仲良さそうな感じじゃねえけどな」「お前が行くからな。暇だからついて行くんだよ」家に向かいながら銀八と、千雨は話していた。銀八に興味を持った、千雨はたびたび銀八と行動する事がある。銀八も嫌そうではなく、時々仕事を手伝わせているのだ。「まあいいけど・・ていうか住所ここだけど、本当?」「ここだけど・・ていうかこれ家?」二人は喋っていると目的地に着いたらしい。しかし二人ともその雪広家の実家を見て、二人はあんぐり口を開けていた、そう、それはあまりにも・・「デケェェェェェェェェェェ!!」銀八が叫ぶほど、立派なお屋敷であった。庭だけでも壮大であり、ホワイトハウス超えてんじゃね? ぐらいのお屋敷もある。とりあえずバカみたいに広かった。「あいつこんな、家もってたのかよ・・もっと仲良くしようかな・・。そういえば俺、こういう家慣れてないわ、つーか初めてだわ。ということで千雨、チャイム鳴らしてくれない?」銀八は一人言を呟いた後、千雨に指を差して、指示を出した。銀八が指を差した方向には。家のインターホンだと思われる物が門の隣についていた。「いや、お前がやれよ、お前が用あって来たんだから、私はただのお前の付添いだから、はい押して」「いやいや、お前さぁこういう経験ないよ?、金持ちの家のチャイム鳴らすなんてめったにないことだよ、ほらお前にやらしてやるよ、はい、あれプッシュしてきて」千雨はやんわり拒否するが、銀八も拒否する。あまりにも超豪邸なので、チャイムを鳴らすのが緊張するようだ、一般人の悲しい性である。「いいって私は、ほらお前だって経験ないんだろ?、それにお前教師じゃん、かわいい生徒の前で手本を見せてくれよ銀八先生。はい、行って来て」「何言ってんの?、経験無いんだから、手本なんかみせられないだろうが、むしろ生徒は何事も経験すべきだろ、これやればお前、俺より上の位置に立てるんだよ、すごいな~。はい、ゴープッシュ」いやお前が、いやお前やれって、お前だろ普通、お前がいいって、お前しか出来ない、いやおまえだからこそ出来る、いいから押せよッ! お前が押せよッ! お前が押してくれるためにアイツ待ってるよッ! いやアイツが待っているのはお前だけなんだッ! お前待ってんだよッ! ちがうお前なんだッ!インターホンを鳴らすだけで、10分間以上門の前で揉めている、銀八と千雨。周りから見たら、あきらかに不審者である・・お互い疲れが溜まり、このままではマズいと思い、千雨はある提案をした。「・・よしジャンケンで決めるぞ・・うらみっこ無しな?」「・・ジャンケンか・・しょうがねえな・・最初はグーだからな、パー出すなよ」その提案に承諾する銀八、お互いに相手の手を考えている時にガァァァァァァァァァァァ!門が自動的に開いたのだ。その光景を最初はグーのポーズで硬直して銀八と千雨は口をポカンと開けて眺めていた。ジャンケンする意味を無くしたので、二人は門の前で立って目の前を見ていた。「どうして開いたんだ?」「門の前にいたからお客様だと思ったんじゃね?、早く入ろうぜ。さっさと自宅訪問を終わらして、俺は遠呂智の自宅訪問もしなきゃいけないんだよ」千雨の疑問に単純に答え、銀八はさっさと中に入っていく、それにしぶしぶ千雨もついていった、だがその時ダダダダダダダダダダダッ!「不審者が入ってきたぞォォォォォォ!!」「ものども出会えッ!出会えェェェェェェェ!!」「お屋敷に近づけるなぁぁぁぁ!!」なんか見た目ゴリラのような、見るからに強そうな警備員がわんさか出てきて、あっという間に銀八と千雨は囲まれてしまった。「オイィィィィィィィ!!、どうすんだよッ!なんか不審者扱いになってるぞ、私達ッ!」「なんでだろうね~?」「お前の見た目が怪しすぎるんだァァァァァァ!!、特に腰の木刀が危険ありありだっつうーのッ!」とぼける銀八に対して千雨は思いっきりツッこんだ。そりゃ木刀を腰に差したまま、門の前にいたら不審者としか認識されない。「かかれぇぇぇぇぇぇぇ!!」「「「「「オォォォォォォォォォ!!!!」」」」」「「ちょッ!ちょっとタンマァァァァァ!!」」襲いかかってくるゴリラ警備員に、銀八と千雨は同時にストップ命令をするが、意味無く、警備員は集団で飛びかかってきた。第伍訓 金持ちな奴でも不幸な過去はあるもんだ「あやかお嬢様、自分は教師と生徒だと主張して、見舞いに来たからお屋敷の中に入れるよう言っている者がいますがどうしましょうか?」私がベッドで風邪の症状も落ち着いたので、本を読んでいるとドアをノックしてメイドが報告に来た。「教師?、教師というのはネギ先生でございますのッ!?」「いや銀髪で目が死んでいます、あと腰に木刀を差していますね・・」もしかしたらネギ先生が見舞いにッ!? と思ったのだが、メイドの報告ですぐ誰が来たのかわかった。あ~あの先生ですか・・最近、副担任としてきた教師。いや教師ではなく『凶師』と呼ばれる人、銀八先生だ。私はがっくりうなだれていると、ふと気になる点があった。「よく、見た目不審者のようなあの人を我が家の敷地内に入れましたわね?」敷地内に入ったら警備員としては最強といわれている「雪広家」が誇る、ゴリラみたいな警備員がわんさかいるはずだ。あんな不審者の塊は、入った瞬間、捕獲確実だ。「それが・・その教師がここまで来るために警備員を全員倒しちゃったらしいです・・」「なんですってッ!」まさかここの警備員を一人で倒すとは・・信じられない、あの人が?。そんなに強いのかしら・・。「あともう一人「長谷川千雨」と言っている。生徒らしき人もいます。特徴は・・地味でしたね・・。どうします?」メイドの言葉にまた私は驚く。「千雨さんがッ!?、そんなに親しくさせてもらっていないのに・・まあいいです。その二人は私のクラスメイトと、一応教師です。中に入れて構いません」メイドは少し心配そうだが、頷いた後部屋を出て行った。あの二人が見舞い?、不思議な組み合わせですわね・・、しかもまったく見舞いとは無縁だし、私とも親しい間柄ではない。そんな二人がどうして私に?。まあせっかく来たんだから、それに見舞いだし、お礼を言わなければ。「急いで迎えに行かなければなりませんわね・・」あの凶師をほっといたら、また一騒動起こしそうだ。私はベッドから出て着替える事にした。「金持ちの家ってのは、何でシャンデリアが好きなのかね~、シャンデリアだらけじゃん、なんか気持ち悪いよおい。俺だったらそんな所に無駄なコスト使わずに、蛍光灯で充分だな。」「いや豪邸の照明が蛍光灯じゃあ、不釣合いにも程があるだろッ!。ていうかあの時、お前なにやったッ!?、少なくともお前メチャクチャ強いんだろッ!?」着替えを終わらせ、二人が客間にいると聞き行ってみたら、回りをキョロキョロ見ながら話している、奇妙なコンビがいた。この二人が会話しているのはなんとも不思議な感じですわね・・。それにしてもよくみると、先生は大量の警備員を倒したと聞いたのに、体どころか、いつもの白衣にも、キズや汚れさせ付いていない。本当にこの人が倒したのかしら?、私がそんな考えをしていると、先生はこちらに気づいたようだ。疲れた調子で私に話しかけてきた。「お、ショタコンじゃん。お前結構、金持ってるな。ゴリラの警備員ががいっぱい出てきたから大変だったわ」「ショタコンって呼ばないで下さいッ!。ていうかその警備員を倒したのはあなたでしょう?どうやって倒したのですか?」「・・言葉が通じないゴリラだから黙らしたんだよ・・」私の質問に先生は嫌そうに、顔をそむけて喋った。詳しい事は言おうとはしない・・だったら「ごきげんよう、千雨さん。あなたは先生が、どう倒したのかわかりますよね?」言いたくないのなら、見た人に聞いてみよう。私はそう思い、銅像を眺めている千雨さんに聞いてみた。「いやなんか襲われそうになった時に、銀八がいいというまで目をつぶれって言ったから、ずっと目つぶってたんだよ。警備員の悲鳴とか殴られる音は聞こえたんだがな・・」千雨さんも不思議だったと、頭を掻きながら答えた。いや、律儀に目をつぶるあなたも不思議ですけどね。そこまで自分の力をみせたくないのかしら・・この先生は謎が多すぎますね・・「まあいいでしょう。ではまず、お二方。今日は私の為にわざわざ実家まで足を運んでくれてありがとうございます。そのお礼として、二人には雪広家が誇る盛大なディナーでおもてなししますわッ!」「マジでかッ!?じゃあゴチになりま~す。エヴァに飯いらねぇって伝えてくんない?」「まあ、金持ちが何食ってのか、気になるしな・・。銀八が食うなら私も食うか」二人とも遠慮しませんわね~。まあでもお二人と話したいこともありますし・・「うわ~なにこの肉ッ!やわらかいんだけどッ!、口の中でとろけるわ~。千雨それよこせ、銀さんはその肉を食いたい」「ふざけんなッ!、私も食ってんだよッ!。ていうかお前さっきからうるせえよッ!、マナーというのを叩きこんでやりたいわッ!」「いやあなたのツッコミもうるさいですから・・」場所を屋上に移し、夜空を見ながらごはんを食べようと思ったのですけど、二人とも花より団子ですわね・・先生は飯に食らいついて、千雨さんは先生に時々ツッコミを入れている。この二人こんなに仲良かったのかしら?、それにしても、千雨さんがこんなにテンション高い所は初めてみますわ。「それでは先生、千雨さん、そろそろ聞きたいことがあるのですが。どうしてわざわざ私の家まで来てくださったのですか?」メインの料理は終わり、デザートがきたころで私は二人に質問してみた。二人ともデザートをぉ食うのを一旦止め。「罪悪感が俺を動かしたんだよ・・」「こいつが行くから、私はついていった、それだけ」先生はすこし俯いて、千雨さんはそれが当たり前だというように言った・・。いや答えになっていませんわよ・・。ていうか罪悪感って誰に罪を行ったのですか?・・「千雨さんは、そんなに先生と仲良かったかしら?、タイプが全然違うと思っていましたわ」「あ~、面白いからコイツについていってんだよ」千雨さんは照れくさそうに答えた。なんか千雨さん、口調変わってません?、先生と似てますわよ・・結局謎だらけですわね、この二人は・・「あ~食った食った、もう食えねえよ、俺はもう幸せいっぱい夢いっぱいのワンダーランドだよ」「意味わかんねえよ、その感想ッ!、つかお前どんだけデザート食ったのッ!?、テーブルの上がケーキの皿だらけじゃんッ!、一人でワンホールも食うんじゃねえよッ!」晩食を終えた、先生と千雨さんはあいかわらず息の合ったボケとツッコミをやっている。このふたり、漫才いけますかもしれませんわね・・「じゃあ飯も食ったし・・そろそろ・・」先生が椅子から立ちあがった。帰るのだろうか?「トイレ行って来まーす」そんな先生の抜けた発言に、私は椅子からズルッと滑り、千雨さんは「早く行って来いッ!」と怒鳴っていた。それを聞いた先生が「は~い」と答えさっさと屋上から姿を消した。「あの人は本当に・・まあいいです。私はちょっと用事があるので、失礼しますわ。勝手に帰って大丈夫ですから・・」私はそう言い残し、千雨さんを残し、屋上をあとにした。今日はあの子の日でもある・・色々報告しましょうか・・「ごめんね、遅くなっちゃって。お姉ちゃん今日は、色々と用事が会ってね・・」私は屋敷のとある部屋にいて、そこで近くのベッドに座って、誰かと喋るように、話していた。周りには誰もいない、私だけだ、もし誰かが見たらきっとおかしい人だと思うでしょうね・・。でも時々ここにきて、嫌なことがあったり、面白い事があった時、たまに実家に帰ってきた時、ある特別な日の時に、私はここにきて喋っている。まるでここにいる者と喋っているように。「今日はね、お姉ちゃん、とっても不思議な二人とご飯を食べたのよ、その一人が特に不思議なのよ。その人先生なのに、先生って感じがしないのよ?、まるで子供みたいに食べていたわ・・」私はまた話しかけるように喋る。この声が届いて欲しいと願うように・・ガチャ「しつれいしま~す、ここトイレっすか~?、もれそうなんですけど~?」とつぜんドアが開き、銀八先生が入ってきた!。私はいきなりの訪問に驚く、トイレじゃないし、ていうかノックもしないで普通に入ってきますッ!?「ここはトイレじゃありませんわよッ!、トイレならここを出て、まっすぐ行って突き当りを左ですわッ!」「あれお前なんでこんな所にいんの?、ここお前の部屋?ガキくせ~な~、ぬいぐるみだらけじゃん」先生の言うとおり、この部屋にはぬいぐるみや、おもちゃがいっぱいある。しかしここは私の部屋ではない。「ここは私の部屋ではありませんッ!この部屋は弟の・・」私は途中で言葉を止めて下を向いてしまった。先生は私に近づいて、周りを見渡していた。「お前、弟いるんだ。何処にもいねえけど?、家出か?、金持ちイヤで家出か?」家出・・そっちの方が何百倍もマシですわね・・。「弟は・・ここの部屋には来ません・・もうこの世にいませんから・・」「!!」私の言葉に先生は表情が一変する。この事を他人に教えるなんて、私らしくありませんわね・・「弟は生まれる前に亡くなったんです。バカですわね私は・・こんな部屋まで作って・・浮かれすぎていた自分が本当に愚かとしか・・」「バカでも愚かでもねえよ」「え?」私が下を向いて弟の話をしていたら、突然先生が言葉を出した。しかしいつもと違う調子の声と口調だったので、私は思わず顔を上げた。「お前は、その弟の為にこの部屋作ったんだろ?、ありえねえぜ普通よ。弟の為にこんなもん作るなんて、うれしいだろ、弟もよ。こんな自分の事が好きな姉ちゃんがいてくれてよ」先生は上を見ながら私に話しかけてきた、まるで上に弟がいるかのように・・「俺は霊は信じないが、あの世はあるって信じてるよ。弟も上でお前をずっと見守ってるはずさ、お前さんは立派な姉ちゃんだ。それを誇っていい」先生がこちらに向き直った。先生の目はとても綺麗な優しい目をしていて、私はしばし見とれてしまった・・「しっかしお前が、ショタコンだという理由もこれでわかったわ~」「へ?」「お前、ネギの奴を自分の弟と重ねて見てるだろ?、多分無意識にやってると思うけどな」私がネギ先生と弟を・・そんな事ないとは言えない・・私は恋愛の対象ではなく「守るべき弟」として見ていたのかもしれません・・。先生の言葉が深く私の心に突き刺さった。「確かにそうかもしれませんわね・・私は自分の都合で先生を弟と見て、ふりまわしていたのかもしれません・・」「別にいいんじゃね?」「はい?」私は先生の言葉にまた驚く。この人は一体・・「別にネギの奴も迷惑に思ってねえよ、ずっと守ってやれよ、弟を守るみたいに。俺も協力してやるからよ」先生は頭をボリボリ掻きながら少し笑って、私に向いて言った。思えば私は恋愛なんて一回もないかもしれませんわね・・身内以外の異性とは全く話さないし、友達さえもいない。初めて親身になっておしゃべりしたのは、ネギ先生と。それと・・・・バフッ私はおもわずベッドから立ちあがり、先生に抱きついた。「ちょちょちょちょちょ、待て待て待て待てッ!!やばいってッ!いきなりなんだよッ!、これはマズイってッ!」先生が悲鳴とも言える声で叫んでいるが私は聞いていない。生まれて初めて、年上の異性に抱きついた。優しい感じのぬくもりがありますわね・・「しばらく・・このままにさせてください・・」私は気付いていたら先生の胸で泣いていた。決して誰にも見せないとも思っていた自分の涙。自分は雪広家の次女。常に堂々として、生徒のみんなを引っ張らなければ行けないのに・・私が泣いている事に気付いた先生は私の頭を優しく撫でてくれた。「泣いて全部吐いちまえよ、泣きたい時は俺の胸かしてやるからよ、俺がお前を守ってやるよ」「先生・・」先生の言葉を聞いて、私は抱きついている腕の締め付けを強くする。もしかしたら私の初恋の相手は・・ガチャ「すんませ~ん、銀八って奴知ってます~?銀髪で、頭悪そうで、目が死んで・・」ドアが突然開きいた、どうやら千雨さんが先生を探しに来たらしい。ドアを開けて、部屋の中で私と先生を見た千雨さんは言葉を失い、抱きついている二人を見て凍っていた。あれ、この状況やばくありません?「のわァァァァァァァァ!!すんませんッ!、本当すんませんッ!、私空気読めなくてッ!、今すぐ消えますわッ!、誰にも言いませんからッ!、もちろんエヴァにも言いませんからッ!」「待てェェェェェェェ!!、違うから、これは違うんだよッ!、思わずノリでこうなったんだよッ!、場の雰囲気でこうなっただけなんだよッ!」「先生ッ!その言い方だと誤解されていく一方ですわよッ!」私と先生は走って帰ろうとする千雨さんの両肩を掴み、止めようと必死に奮闘した。ようやく騒動が収まり、私は、先生と千雨さんを門までお見送りした。風邪などとっくのとうに完治している。「じゃあいいんちょ、俺ら帰るわ。明日学校でな」「いいのか銀八?なんならエヴァに私から、用事があって今夜帰れない、って伝えておくか?」「だから何もねえって言ってんだろうが、いいかげん殴るぞメガネ」先生はいつも通りに戻っていた。この人はいろんな顔を持っているのですね・・本当に分からない人、でもそこに・・「あやかと呼んで下さい」「ん?」「私を呼ぶときは、あやかで結構ですわ」私の言葉に先生は冷や汗だらだら流している。まあ無理もありませんわね・・生徒に呼び捨てにしてくれって頼まれるなんて「じゃあ俺は銀さんで」「え?」「銀さんでいいっつ~の。『先生』ってのは俺には合わないんだよ」先生は照れくさそうに顔をプイッと背ける。こういう所もあるんですわね・・「じゃあ銀さん、千雨さん。今日は本当にありがとうございました」私はおじぎして礼を言う。本当に今日は楽しかった、最初は不安だったけど・・「ああ、じゃあな、あやか。また風邪引くなよ、ここ来るのめんどくせぇから、いちいちゴリラ討伐しなきゃいけねえし」「いいんちょのこと名前で呼ぶのかよ・・やっぱお前達デキ・・イテェ!」千雨さんが言う前に銀さんの拳が千雨さんの頭にクリーンヒットする。私もこの二人に混ざってみたいですわね・・二人は最後に手を振って帰って行った。二人の背中が見えなくなるまで私は門の前に立っていた。また明日、学校で会いましょうね。翌日、学校が終わり放課後。「銀さん、何書いてんですか?」「『万事屋 銀ちゃん』って書いてんだよ」場所は学校の中の生徒相談室。たまたま銀さんがポスター用紙を持って生徒相談室に入るのが見えたから、私はついてきた。私の質問に銀さんはぶっきらぼうに答えた、しばらくすると千雨さんが入ってきた。「銀八、学園長がブチ切れてるぞ、ここで仕事始めるって言ったら「学校の中で、教師も出来てないのに、そんな仕事始めるんじゃねぇぇぇぇぇ!!」ってさ」「んだとあのエイリアンめ、遠呂智の代わりにアイツを討伐してやろうか、しょうがねえ俺が行って、許可取りに行く」銀さんは書くのを止めて、腰を上げて行く準備をする。「銀さんは何をやろうとしているんですか?」「万事屋・・ようするに何でも屋だよ、この部屋使ってな、生徒相談なんてこねえしよ。俺が前にいた所でやってた仕事だよ。ここでは副業だけどな、色々あって俺、金欠なんだよ・・安月給だし、エヴァは今度から家賃払えって行ってくるし・・もう瀬戸際なんだよッ!」銀さんが顔を手にうずめて言う。万事屋か・・銀さん、なんでも出来そうですもんね・・「私もやって良いですか?」「あん、万事屋をか?、お前金持ちじゃん、仕事しなくていいじゃん」「あいにく、普段は普通の中学生ですから。それにあなた達といると面白そうなので」銀さんと千雨さんはそれを聞きしばらく考えていたが「まあ、給料はアテにすんなよ、それなら許す」「おい、いいんちょ学校で銀八と抱きつくなよ、誰かに、特にエヴァに見られてたら・・ゴフッ!」千雨さんがまた何か言い終わる前に、銀さんが千雨さんの腹にボディブローをかました。その光景がどこか微笑ましく思えた。「じゃあ俺は、ジジィの所に行ってくるわ、話しつけてくる、暴力で」「なら私も行きますわ」「私も・・行くわ・・」ドアを空けて銀さんは出て行く。その後ろに私はついていき、ちょっと遅れ気味で腹を押さえて千雨さんが来た。「暴力を使う前に、私の交渉術で学園長から許可もらってあげますよ」「いや別に俺はジジィを殴りたいってのもあるし・・」「結局、殴りたいだけかよッ!、ていうかお前どんだけ傍若無人に出きるのッ!?、学園長死ぬよッ!」私と銀さんと千雨さんは3人で話しながら学園長室に向かって行った。やっぱりおもしろいわね、この人といると・・ 教えて銀八先生~のコーナー「ついに5話だ、最低目標の半分か・・大丈夫かな~。っていうか今日はこのコーナー止めねえ?」「いや何、仕事放棄しようとしてんだよッ!」「そうですわよッ!せっかく今回は私メインの話しだったのにッ!」銀八の駄目司会っぷりに、思わず叫ぶ、千雨と、あやか。銀八はそれを聞いてもダルそうにしている。「だってよ~今回はノート9Pで終わりに使用と思ったのによ~、いつのまにか13P行ってんだぞ~、いいだろもうこのコーナー、誰も見てねえよこんなの。」「どんだけやる気ねえんだよッ!、っていうか私メインの話しにも10Pだったよなッ!。別に9Pに絞らなくても良いだろッ!」千雨がツッコミを入れている時に、あやかは1つの不審点に気がつく「銀さん、エヴァさんがいませんが、どうしましたか?」「あいつは今回、出番が無かったのでいじけて帰りました」「「エェェェェェェェェェェェェェ!!」」ジリリリリリリリリリリリ!!最後のベルがなり、銀八は帰る準備をする。「いや、これでいいのッ!?、エヴァの事ほったらかしッ!?」「別にいいじゃん、俺は帰れば会えるし。枕濡らして寝てるんだろ、今頃」「どんだけいじけてるんですかッ!、エヴァさんッ!、そんなに出番が無くて悲しいんですかッ!!」夕日も見えて、学校ないで響くのは三人の会話のみ。ガララッ「ここにいましたか、銀時様、それとも銀八様と呼びましょうか?」ドアを開けてきて入ってきたのは茶々丸だった、どうやら銀八を探していたらしい。「一応コーナー名だから、銀八で、何かあったか?」「マスターが枕濡らしていじけているので慰めてください」それを聞き千雨とあやかは口をポカンと開ける。・・本当にいじけていたんだ・・今二人の考えはフルシンクロしていた。「しょうがねぇな~、じゃあ俺帰るんで」銀八はそう言い残し、茶々丸を連れて、教室から出ていった。ポツンと残された千雨はあやかは途方に暮れていた。「次回『契約はご計画的に、いや本当に』をやるってよ・・」「またタイトル変わるんじゃないんですか・・今回もタイトル変わってるし・・」「まあこんな所まで誰もみてねえからいいよ」千雨は次回予告をして、あやかは不安感を感じていた