それは偶然だったのか必然だったのか。アリカと刃を交えていた時にかつての仲間である坂本と、ネギの姉的存在であるネカネの二人と出会った銀時達は、他のメンバー達の所まで、今まで起こった出来事を話していた。「へ~ネギの親戚? じゃあおたくがあいつの保護者のネカネお姉ちゃんって奴か」「ネギから聞いていたんですか私の事?」「自慢のお姉ちゃんだとかたまに言ってたよ」「まあ」「もしネカネお姉ちゃんに彼氏が出来たら、手出す前に八つ裂きにするとも言ってたしな」「まあ・・・・・・」世間話をネカネと交えながら銀時は三人の生徒の群衆の中で何がおかしいのかヘラヘラ笑っている坂本の方へチラッと振り返り、もう一度ネカネの方に顔を向ける。「よくもまああんな奴拾ったよなアンタ、俺だったらゴミ箱にポイだぜ?」「ええ・・・・・・なんかほっとくと周りの人に迷惑かけそうだったので・・・・・・」「アイツは周りにいる奴等を無理矢理巻き込む“ウイルスバカ”だからな」「本当高性能な細菌兵器ですよ・・・・・・・」「なんじゃ? わしのこと話してるのか? アハハハハッ!」「うるせえこっち話しかけんなウイルスバカ、バカがうつる」会話が耳に入ったのか、坂本は近づいてきながらこちらに笑いかける。銀時は彼にしかめっ面を向けてで追い払おうとするが、この男はそんな事を聞いても慣れ慣れしく態度で銀時の肩に手を回す。「にしてもこんなところでおんしと会えるとは最高じゃの~、飲もう飲もうッ! 今夜はヅラも混ぜて一緒に飲みまくろうぜよッ!」「あ~くっつくんじゃねえよ、テメェの頭にくっついてるモジャ公が顔にくっついて気持ち悪い、ゴワゴワする感触が本当気持ち悪い」「アハハハハッ! おまんも似たような髪型しとるじゃろうがッ!」「俺の呪われし天然パーマとお前の陰毛ヘッドを一緒にすんな」抱きついてくる坂本の顔を不快そうにグイグイと押して引き離す銀時。だが坂本はまだ彼に話し足りない「ところでその格好どうしたんじゃ? 随分と懐かしい恰好じゃの~・・・・・・もしかして攘夷戦争にまた参加する気か? アハハハハッ!」「ちげえよ陰毛頭、あやかと二人でいる時にあいつが更衣所で俺に着せて来たんだよ」「あやか?」白夜叉時代の衣装をツッコまれたのでつい銀時が言った名前に、坂本は口をへの字に考える。しばらくして手をポンと叩いて、さっきまで色々と銀時と彼女達の素姓を聞いていたのを思い出した。「あ~、ネカネさんとそっくりなあの娘の事じゃったな、アハハッ!」 「全然似てねえよバカ・・・・・・」「なんじゃデートでもしとったんか銀時ッ!? おんしもすみにおけんの~ッ! アハハハハッ!」「おいネエちゃんコイツと会話するの代わってくれ、そろそろ限界だ・・・・・・」「え、私も嫌なんですけど・・・・・・」罰ゲームをもらった時の様な表情をするネカネの言葉も無視して、疲れた表情の銀時は坂本と彼女を前に残してあやか、千雨、和美の方に避難。「ヅラとあいつに関わると本当ロクな事にならねえんだよなぁ」「私もちょっと苦手ですわ・・・・・・」「ああいうやかまし過ぎるテンションは私も・・・・・・」銀時に対して遠慮がちにあやかが言うと千雨も嫌そうな顔で坂本の後姿を見る。だが和美はというと銀時達三人に向かって首を傾げる。「そう? 別に私は嫌いじゃないけどああいう人?」「まあ私が見る限り同種族っぽいもんなお前等」「バカみたいにやかましい所が同じだな」「アホみたいにヘラヘラ笑ってる所もですわね」「みんな私にそんな印象抱えてたんだ・・・・・・」万事屋トリオにキッパリと言われて和美は少し傷心しながら一緒に歩いていると。目の前にいる坂本とネカネがふと止まった。「なんじゃあ? お祭りでもやっとるんかい? ハハハ、わしも参加しようかの~」「こんな緊急事態に何言ってんのよあなたは・・・・・・」「どうした? なんかやってんのか」「それが・・・・・・」後ろから銀時が話しかけてくるとネカネは走り出そうとする坂本の後ろ襟を片手掴んで止めながら、もう片方の手で前方を指さす。「なんか変な生き物がウヨウヨと暴れているんです・・・・・・・」「は?」「それにもしかして、あそこで変なのに追われてるのってあなたの所の生徒さんでは?」ネカネがそう言って指差すと、確かに自分の所の生徒がちらほらと奇怪な生き物と戯れているではないか。実はこの奇怪な生き物というのは敵である月詠が召喚した“無害”な妖怪達なのだが、その事を銀時達は知らない。しばらくして・・・・・・「カッパァァァァ!!」「うおッ! 河童が自分の名称叫びながら降って来たッ! 朝倉ッ! カメラ寄こせッ! 仰天ニュースに投稿するッ!」「えッ! ちょっと待・・・・・・!」突然背後から降って来た褐色のいい河童を見て千雨が興奮したように和美に指示するが、彼女が首に下げたカメラを準備する前に「そぉぉぉぉいッ!」「ガバッ!」「ってオイィィィィ!!」銀時が一瞬で近づいて河童にアッパーを繰り出す。そのまま河童はパタリと倒れてボンとただの紙になった。「よ~し、大丈夫か千雨、なんかお前がヌメヌメしたナマモノに襲われそうだったから銀さんビックリしたわ」「いや河童に躊躇なく一発入れたお前にこっちはビックリだわッ!」千雨にツッコまれながら銀時はヒョイとさっきまで河童の姿をしていた小さな紙きれを拾って、しゃがんで観察してみる。「・・・・・・・なんじゃこりゃ?」「あれぇ旦那方、ここで何してんですかぃ?」「ん?」不意に後ろから誰かに呼ばれたので銀時は立ちあがって振り返ってみる。するとそこには爽やかフェイスをしながら物騒に町の中堂々と抜刀している男の姿が「暇なら一緒に化け物退治してくれやせんかね? ガキ共にも無理矢理協力させてやらせてるんですが、一杯いて手が回らねえんでさぁ」「お前・・・・・・」新撰組の格好をしながら話しかけきたのは土方の部下である沖田。銀時はそれに気付いて何があったのか聞こうとするが、沖田を初めて見た坂本が話しかけてくる。「誰じゃ銀時? おんしの知り合いか?」「あれ? そちらのお二方は初めて見るツラじゃねえか、旦那の知り合いですかぃ?」「ハァ~・・・・・・・俺と同じ教師やってるガキの親戚のネエちゃんと、俺達の世界の出身者であるただのバカだ」坂本の素姓を話すといちいちめんどくさいので銀時は適当にはしょって沖田に説明すると、坂本はヘラヘラ笑いながら「アハハハハッ! ネカネさんバカって言われとるぞぉッ! 言いすぎじゃぞ銀時ッ! ぐぅふッ!」「100%あなたでしょうが・・・・・・」「なるほど、確かにバカのようですね」腹にボディブローを思いっきりネカネに食らわされている坂本を「ふ~ん」と眺めながら沖田は納得したように頷く。「この男も旦那と同じ異世界漂流者ってわけですかぃ」「ま、そう言う事だ、残念ながら俺の昔からの知り合いでよ、一応戦力になるから連れて行くわ。それよりお前の所のニコチンキングは何処行ったんだ、木乃香の護衛役だろあいつ」無理矢理話をまとめてふと土方の事を聞く銀時。すると沖田はめんどくさそうに「ああ、テメーの女ほったらかしにして例の嬢ちゃんと頭の悪そうなガキ連れてどっか行っちまいやした、敵の追手から逃げる為のようですけどね」「追手っていうのはお前が言ってた奴か・・・・・・?」「そうだと思う・・・・・・」「俺もさっきまで戦ってたんですよ、ま、すぐに終わらせましたが・・・・・・」後ろに振り返って千雨と会話している銀時に沖田はポツリと呟くと、すぐに彼に再び口を開く。「仮にも俺達真撰組の副長を経験したお人ですし、こんなわけのわかんねえ世界の連中なんざ、軽く始末してるでしょ」呑気な事を言いながら沖田は髪を掻き毟る。土方ならどんな相手が敵であろうと問題無用で倒せる実力を持っている。日頃から彼を嫌っている沖田でも、一応土方の事をほんのちょっぴりだが認めている事は認めているのだ。だが沖田の考えとは裏腹に、土方は敵の存在よりもっと別問題の事でトラブルに巻き込まれているのであった。“彼女”の暴走だ第五十四訓 人を傷付けたら必ず自分が傷付く事になる沖田と銀時&坂本が出会っている頃。土方は傷付いてしまった木乃香の状態を調べながら“彼女”を見た。敵は二人、式神一体というなんとも不利な状況なのに一人で戦っている彼女は全く押されずに、狂気じみた戦闘力で相手を圧倒している。黒い翼を生やし赤い目で睨みながら、敵を容赦なく殺そうと黒刀を振るう少女桜咲刹那の姿はドス黒く変わってしまった事に土方はただ事ではないと確信する。「あいつに何があった・・・・・・」歯を食いしばって土方は苦々しく呟く。その答えを知っている木乃香は彼の胸元でまだ意識を失ったままだ。状況を把握していない土方を尻目に、妖刀『死装束』の呪いで忌むべき力を手に入れた刹那は、その妖刀を振るいながらさっきまで苦戦を用いられていた全蔵に真っ向から挑む。「そっちが手裏剣なら・・・・・・こっちはコレだッ!! ハッハッハ~ッ!!」「くッ! あの翼は防御以外に飛び道具を打つ事も出来るのかよ・・・・・・! 正真正銘の化け物だぜ・・・・・・!」刹那が両手を広げた瞬間、背中の黒い翼も大きく開く。すると翼から何百本物の羽がダーツのように襲いかかってくる。全蔵はそれを後ろにいる千草に当たらない為に、大量のクナイを取り出して弾いて止める。「全蔵ッ!」「千草、そのデケェ式神にあのガキを殺すよう指示しろッ! 俺だけじゃあの化け物は止められねえッ!」「せやけど子供を殺すなんてウチには・・・・・・」「んな事言ってねえでさっさとしろッ! 早くしねえとこっちがマジで殺されるぞッ!・・・・・・アイツの目はマジで俺達を殺しにかかってる目だ・・・・・・!」「・・・・・・クソ・・・・・・!」こちらを睨んで来る赤い目。千草はそれを見て悔しそうに言葉を吐いた後、全蔵の言う通りに傍にいる巨大式神の牛鬼に命令する。「牛神ッ! あのガキを・・・・・・・殺せッ!」「ウンモォォォォォ!!!」命令を受けた牛神は咆哮を発しながら、両手に持つ棍棒で刹那に襲いかかる。土方でさえてこずる相手だが彼女はギロリと睨んで、全蔵への攻撃を一旦止めて牛鬼の方へ向く。「・・・・・・そういえばこの醜い式神があの人を・・・・・・」「ガァァァァァ!!」ブツブツ刹那が独り言を言っている間に牛鬼の棍棒が彼女の頭上めがけて降ってくる。だが刹那は全く恐怖も感じずに瞬速で翼を広げて横っ跳び。そこから牛鬼と同じ目線まで上空に飛んで刹那は目の前の敵を睨みつけた。その迫力ある目に式神である牛鬼でさえ僅かな恐怖を感じる。「バラッバラに・・・・・・! 殺してやる・・・・・!」「ブ・・・・・・ブモォォォォォ!!!」不気味な笑みから垣間見える恐怖から、逃げるように牛鬼は大きな口を開けて刹那を飲みもうとする。しかし彼女はそれを見てフンと鼻を鳴らした後、逃げるどころか・・・・・・「食えるもんなら食ってみろ・・・・・・!」「ブモッ!?」「な、なんやてッ!?」「食えるかどうかは・・・・・・保障しないがな・・・・・・・!」こちらに向かって刀を突き出したまま突っ込んで来る刹那に牛鬼と千草は驚く。刹那はそのまま牛鬼の口の中に突っ込み、そして・・・・・・・「ギィィィィィィ!!」「ハハハ、勢いつけ過ぎたか・・・・・・!」「そんな・・・・・・頑丈な牛鬼の皮膚をあんな容易に・・・・・・・」牛鬼の口の後ろを軽々と突き破って優雅に空中を舞う刹那を見て千草は唖然とする。式神にも痛みというのがあるかどうかは不明だが悲鳴の様な声を叫びながら苦しむ牛鬼に、刹那はそのまま牛鬼の周りを旋回しながら刀を構え直して笑みを浮かべる。「死ね・・・・・・!」「ギ・・・・・・!」「死ねッ! 死ねッ!! 死ねぇぇぇぇぇ!!!」「ギィィィィィ!! グギィィィィィ!!!」刀を振り回しながら刹那は牛鬼の周りを目にもとまらぬ速さで飛び回る。その度に牛鬼の体には大量の刀傷が出来ていき、素直にただ斬られるしかない状況に。桁違いの強さ、千草、全蔵、そして土方も彼女の驚異的に上昇した戦闘力に思わず見とれれてしまう。攻撃が始まってから数分後、ようやく刹那は牛鬼の眼前で止まった。既に牛鬼は目も当てられないほどの刀傷を負って瀕死に追い込まれている。虫の息の式神を見て刹那はつまらなそうに睨みながら「消えろ・・・・・・!」「ギッ! ガァ・・・・・・」刹那が刀を振った瞬間、牛鬼の首がおもちゃの様に綺麗に飛ぶ。最後に叫び声を上げた後、牛鬼は白い煙と共に音を立てて消えて行った。自分にとって最強の式神であった牛鬼がたった一人の少女になぶり殺しにされた事に、千草は口を開けて呆然とするしか出来なかった。「嘘やろ・・・・・・ウチの牛鬼があんなあっさりと・・・・・・ウチの中で一番強い式神が・・・・・・」「千草・・・・・・引くぞ」「やっぱりウチみたいな奴・・・・・・高杉に利用されるだけの存在なんか・・・・・・?」「千草ッ!」ポツポツと虚ろな目で呪文の様に呟いている千草に全蔵は近づいて声を荒げる。そのおかげで我に返った彼女はすぐに彼の方へ振り向いた。「全蔵・・・・・・」「このままだとマズイ、一回引くぞ」「わかった・・・・・・けど足が震えて動けへん・・・・・・」「しょうがねえ奴だな・・・・・・」式神を失ったショックか、それとも逸脱した戦闘力を持つ刹那に恐怖心が芽生えたのか、千草の膝は笑ってしまって彼女の思い通りに動けない。全蔵はやれやれと首を横に振った後、彼女の両足を持ってお姫様だっこの用法で持ち上げていると「フフフ・・・・・・」こちらに向かってあの少女の無邪気な笑い声が聞こえてくる。全蔵は思わず額から汗が一つ流し、顔を上げて前方を見る。「逃がすと思ってるのかこのまま・・・・・・!」「チ・・・・・・!」「殺してやる・・・・・・まずはお嬢様を傷付けたお前を・・・・・・! 次はその女だ・・・・・・!」「ひ・・・・・・!」右手に持っているのは妖刀死装束、背中に生える黒い翼をなびかせながら、刹那は全蔵達の方へ一歩一歩と踏みしめていきながら近づいて行く。それに対して全蔵は苦々しく舌打ちして、千草は怯えたように彼にしがみつく。全蔵は彼女をすぐに下ろして後ろに退避させ、近づいてくる刹那にコートの下からクナイを取り出す。「よもやコイツ等と立場が逆になるとは思いもしなんだ・・・・・・・千草、俺が時間稼いでる隙にさっさと逃げろ」「何言っとんのやッ! お前残してウチ一人で逃げれるかッ! お前にもしもの事があったら・・・・・・ウチ、また一人ぼっちやないか・・・・・・イヤやそんな事・・・・・・」「そういう言葉はべっぴんさんより醜面に言われる方が嬉しいんだがな・・・・・・」泣きそうな声で呟く千草の声を背に、全蔵は口元に笑みを浮かべた後クナイを両手に大量に持って刹那に向かって身構える。「摩利支天、服部全蔵、参る」「神鳴流剣士、桜咲刹那、執行する・・・・・・!」飛行能力を使わずに刹那は全蔵に向かって突っ込んで行く。彼を殺すことだけを考えて。しかしそう簡単には死にはしないと全蔵も大量のクナイを彼女に向かってガトリングのように投げつける。「そらそらそらそらぁッ!!」四方八方から飛んでくる全蔵のクナイ手裏剣。この攻撃にさっきから苦渋を飲まされ続けていた刹那だが、今の彼女にはそんな攻撃の対抗策など容易に出来る。「人の力で・・・・・・私に勝てると思ったかァァァァ!!!」「やっぱ駄目か・・・・・・・」全蔵の手裏剣が飛んで来た瞬間、刹那は一度止まって再び翼を広げる。ダーツの様に羽が再び発射され、全蔵の手裏剣は全て撃ち落とされてしまった。だがそれを見ても彼は怯まず、右手にクナイを持って一気に彼女に迫って行く。「飛び道具が駄目なら肉弾戦で行かせてもらうぜ」「まだ抗おうとするか・・・・・・・その肉体を死滅させなければわからないらしいなぁ・・・・・・」走ってくる全蔵に刹那は体をユラユラ動かしながらおかしそうに笑った後、目をカッと開いて死装束を強く握る。「神鳴流奥義・・・・・・・」(殺しの経験は俺の方が上だ・・・・・・人を殺す覚悟もな・・・・・・!)両者がぶつかろうとするその時、刹那の妖刀が赤く光る。「百花繚乱ッ!!」「ぐぅッ!」「全蔵ッ!」呟いたと同時に刹那は刀の先からほとばしる『妖気』。一瞬の躊躇もせずに刹那はそれを全蔵にぶつける。その衝撃をモロに食らった全蔵は口から血を吐きながら、後ろにいた千草の所まで吹っ飛び壁に激突する。周りには黒く染まった桜の花びらが大量に舞っている。「がはッ! がはッ! 神鳴流の剣術はあんな事も出来るのか・・・・・・恐れいったぜ・・・・・・」「神鳴流が扱うのは『気』や・・・・・・あんな禍々しいモンやない・・・・・・それにあんなちっこいガキがこれほどの威力を出すなんて・・・・・・」「チッ・・・・・・悪魔に魂でも売ったんじゃねえのかあいつ?」千草の肩に手を回して起き上がりながら、全蔵は目の前に立ってこちらを睨みつけてくる刹那に舌打ちする。「簡単には殺さない・・・・・・その手と足を千切って・・・・・・最後に首を飛ばす・・・・・・二人共だ・・・・・・!」「随分と物騒な性格になったぜあのガキ・・・・・・・」黒い桜吹雪の中を刹那がこちらに向かって歩いてくる。まだなんとか動ける全蔵は千草をまた後ろに隠して懐からクナイを取り出す。互いに戦う意欲を見せる二人。しかし・・・・・・「おいクソガキ・・・・・・」「・・・・・・土方さん」声の本人は刹那と親しい間柄である土方。口にタバコを咥えながら意識を失っている木乃香を背負って後ろから近づいてきた。刹那はそんな彼にいつもの調子の声で振り返る。どうやら土方や木乃香に対しては理性という物が働くらしい。そんな彼女に土方はいつも通りに接する。「もう勝負はついた、こいつ等しょっぴいて連れて行くぞ、敵の情報がわかるかもしれん」「いえ・・・・・・お嬢様とあなたを傷付けたコイツ等に、生かす価値などありません・・・・・・」「俺の命令が聞けねえってのか? いつものお前なら俺の言う事はちゃんと聞いていた筈だが?」「・・・・・・」「その姿の原因はなんだ、お前何か俺に隠してるモンがあんだろ? 正直に吐け」「・・・・・・わかりました正直に言います、しかし・・・・・・」土方との会話の途中で一旦言葉を切った後、刹那は急に後ろに振り返って全蔵達の方に殺意のある目を向ける。「アイツ等を殺してから・・・・・・!」「刹那ッ!」死装束を強く握って刹那は全蔵達の方へ突っ込む。土方の叫びにも耳を貸さない。「私の大切な物を傷付ける者は・・・・・・誰であろうと引き裂いてやる・・・・・・!」「やっぱり来るか・・・・・・千草、俺の後ろに隠れてろ、魔力もほとんどねえお前じゃむざむざと殺されるだけだ、俺が守る」「ウチの為に・・・・・・ごめんな・・・・・・」「勘違いすんじゃねえよバカ・・・・・・」涙ながらの感謝の言葉を千草に言われて照れくさいのか、全蔵は頭を掻き毟る。そして突っ込んで来る刹那に全蔵は身構える。「かかってこいよ化け物娘・・・・・・!」「死ねぇぇぇぇぇ!!!」牙をむいて襲いかかってくる刹那に全蔵はクナイを持って対峙する。刹那は彼めがけて刀を振り下ろす。だがその時「待たれよ」「なッ!」「貴様・・・・・・!」いつの間にか二人の間に割って入って来て、刹那の縦斬りを刀で受け止めた男。ウザったらしい程の長い黒髪を揺らしながら現れたその男の正体は・・・・・・「例え敵と言えど、お主の様な子供が手を血に染めるのは武士として見過ごせん、刀を引け」「お前、どうやってここに・・・・・・!」「桂・・・・・・小太郎・・・・・・!」現れたのは全蔵達にとっては敵、刹那達の方面では半分味方、半分敵と認識されている攘夷志士、桂小太郎。刹那は彼に刀を受け止められながら射殺す様な視線を向ける。「邪魔をするな・・・・・・! お前も殺すぞ・・・・・・!」「この者達にはまだ聞く事がある、ゆえに殺す事は許さん。それにしてもお主、随分とイメチェンしたな、一瞬誰かと思ったぞ」「黙れ・・・・・・!」つばぜり合いの状態で刹那と桂がそんな会話をしていると、後ろにいる土方も彼が現れた事に驚いていた。「あれは桂・・・・・・・! 何の真似で俺達の前に現れた・・・・・・!?」「う~ん・・・・・・桂さん?」土方が桂の存在に疑問を抱いていると、彼におぶられていた木乃香が瞼をこすりながらようやく意識を回復した。彼女の左肩には土方の着ている新撰組の衣装の切れ端が巻き付けられてる。「娘っ子、意識が戻ったのか・・・・・・早速だがお友達がやべえ状態だ、理由を知ってるなら説明してくれ」「え?」 そう土方に言われて木乃香はおぶられながら刹那の方へ目を向ける。黒い翼と赤い目、そして黒い霧に覆われたあの刀を見て彼女はショックを受けた。「そんな、せっちゃんまた・・・・・・! 大丈夫やって言ってたのに・・・・・・」「なんであんな姿に変わった、詳しく教えろ」「高杉さんの・・・・・・」「高杉だと?」「前に高杉さんから貰ったあの刀が原因なんよ・・・・・・」「なにッ!?」意外な人物が原因だと知らされて土方は驚愕する。一方同じく外野にいる全蔵と千草は「そのまま同士討ちでもやってくれ、俺達は帰らせてもらうぜ」「まさかあの男のおかげで救われるとはな・・・・・・命拾いしたでホンマ・・・・・・」二人が戦ってるうちにそそくさと部屋の窓を蹴破って逃げてしまった。一方、桂と刹那は近距離でお互い一歩も引かずに得物同士で斬り合いをしている。理性が飛んでいる刹那にとって桂は駆除対象としか認識されなかったのだ。殺すつもりで襲いかかってくる刹那に対して桂は冷静に彼女の剣撃を受け流す。「目が真っ黒だぞ眼科に行ったらどうだ?」「攘夷志士のクセに私に話しかけるなッ!」「やれやれ、これでは幕府の犬の方がまだまともに会話出来る・・・・・・」呑気な会話をしながら手に持つ刀は何十回もぶつかり火花が飛び散る。一見互角に見える勝負だが、異常なほどに戦闘能力が増加されている刹那は、銀時と同じ歴戦の猛者である桂を少しずつ押していっている。「殺す・・・・・・! 攘夷志士は全員殺す・・・・・・!」「正気になれ、ここで俺達が殺し合って何になるというのだ。俺達の志は同じの筈だ」「うるさいお前なんかと一緒にするんじゃないッ!」「木乃香殿を護り、高杉の野望を打ち砕く、立場は違えど目的は一緒の筈であろう」「へらず口を叩くなッ!」「しま・・・・・・!」一発一発に重みを入れて行く刹那の攻撃に、遂に桂の刀が弾かれた。丸腰状態になった彼を見て、刹那は目を光らせる。「死ねッ!」「く・・・・・・!」桂の頭を真っ二つに斬ろうと刹那は叫びながら縦に大きく刀を振り下ろす。丸腰の桂には成す術がない・・・・・・かと思いきや「ふんッ!」「なッ!」「真剣白刃取り・・・・・・!」降り下ろされた刹那の刀を桂は膝を折ってしゃがみ込み、瞬時に両手を出して挟む。九死に一生、ここでまさかの真剣白刃取りを桂は実行したのだ。「クソッ! さっさと死ねッ!」「まだ死ねぬ・・・・・・! 冷静になるのだ、木乃香殿はきっとこんな事で無駄な血を流すのを望まぬ筈だ・・・・・・!」「お前がお嬢様の名前を出すなッ!」止められた刀を振り下ろそうと刹那はどんどん刀に対して力を込めて行く。桂は険しい表情でそれをなんとか阻止しようと奮闘する。「人が人を殺すというのは必ずなんらかの理由が存在する・・・・・・! 何かを護る為、何かの目的を得る為・・・・・・!」「まだ喋る余裕があるか・・・・・・・」「最初にお主を本能寺で見かけた時は・・・・・・・木乃香殿を命を賭けて護るという立派な志を持った侍だと思った・・・・・・しかし今のお主は侍ではない・・・・・・」「・・・・・・」「こんな事をして木乃香殿が喜ぶか? 木乃香殿は救われるか? お主がやろうとしているのは・・・・・・・ただの自己満足に過ぎぬ・・・・・!」「黙れぇぇぇぇぇぇ!!!」桂の言葉に刹那は耳を貸さず吠える。徐々にせまってくる刀、桂はそれを必死に両手で止めようとするが彼女の力の方が上手だ。これまでか、桂がそう感じたその瞬間。「刹那・・・・・・」「え?」「熱くなり過ぎだ、落ち着け」「土方・・・・・・さん?」不意に後ろから抱きしめられて、刹那は目を真開いて刀に力を入れるのをピタリと止める。抱きしめて来たのは土方、それに対して刹那は動揺の色を顔に見せる。「妖刀なんかに負けてんじゃねえよバカ、俺も人の事言えた義理じゃねえが・・・・・・」「わ、私は・・・・・・・」「刹那、お前はなんで剣を持った」「剣・・・・・・」持っている刀を直視ながら黙りこむ刹那に、土方は隣にいる彼女を顎でしゃくる。「この小娘を護る為、だったんじゃねえのか」「せっちゃん・・・・・・」「お、お嬢様・・・・・・!」木乃香が意識を回復したのを今気付いた刹那は少し驚いたような顔をする。木乃香はゆっくりと彼女に近づき頭を撫でる。「ウチが怪我したのは・・・・・・ウチが勝手にやった事やからせっちゃんは悪くないんよ・・・・・・」「違いますお嬢様・・・・・・全て私の不甲斐なさのせいで・・・・・・!」「もう自分を責め続けるのは止めて・・・・・・」「・・・・・・!」「一人で何もかも抱え込んでるやん、ウチや土方さん、銀ちゃんとか他のみんなに頼ってよ・・・・・・・」「わ、私は・・・・・・!」戸惑っている様子で刹那が木乃香に向かって何か言おうとすると、土方が彼女抱きしめた状態で口を開く。「お前、俺に頼っても意味がねえとでも思ってんのか?」「え、そ、そんなわけ・・・・・・!」「だったら俺にお前の抱え込んでるモン全部吐きだせ、こっちは困った同僚を上と下に持ってんだ。お前の悩みの一つや二つ、あの二人に比べればなんて事ねえよ」「土・・・・・方・・・・・・・さん」刹那の持っている刀がカタカタと揺れ始める。彼女がもう刀に力を入れて無い事がわかった桂は両手を開いて一歩引いて立ち上がり、彼女達と土方を黙って見守る。「一人で背負いすぎるから高杉のヤローの刀なんかに屈するんだ、仲間の俺達をもっと頼れ、一人で生きようとすんじゃねえ」「私・・・・・・私・・・・・・」「気軽に話し合える仲間なんやからウチ等とせっちゃんは」「は、はい・・・・・・」笑いかけてくる木乃香を見て、刹那は安堵の表情をしながら目に涙を浮かべる。すると彼女の体が徐々に元の姿に戻って行く。翼も白に変わり目もすぐに元に戻った。「ご、ごめんなさい・・・・・・」土方と木乃香に向かって最後にそう言い残した後、刹那は両手に持っていた死装束を落としてカクンと土方に抱かれたまま眠るように意識を失った。「治まったようだな」「前はもっと酷かったんやで・・・・・・前よりは刀の呪いが弱まったのかもしれへん・・・・・・」「これより酷かったのか、想像もしたくねえな・・・・・・」そんな事を言う土方に抱き抱えられながら目を閉じている刹那。ホッとしたように木乃香がしゃがみ込んで彼女に顔を向ける。いつもの状態の彼女だ。「あの二人には逃げられてしもうたな・・・・・・」「そうだな、だがある意味もっと重要な奴に出会えたぜ」「え?」誰の事かと木乃香が首を傾げると、土方はその男を睨みつける。「桂、逃げれると思うんじゃねえぞ・・・・・・」「ほう、仲間の一人は意識不明、自分も傷ついているにも関わらずまだ俺に噛みつこうとするのか、さすがは幕府の犬だ」「ノコノコとここにツラ出した攘夷志士を見逃すわけには行かねえな」吹っ飛ばされた自分の刀を拾って鞘におさめる桂に土方は睨んだまま口を開く。すると桂は腕を組んで言葉を返す。「俺はある人物に木乃香殿の護衛を頼まれてやって来たのだ。貴様等、真撰組とじゃれあうつもりなど無い」「ウチの護衛? 誰に頼まれたん?」「お主をよく知っている者だ」「?」言っている事にピンと来ていない様子の木乃香から目を逸らして、桂は土方に方へ向く。「それでは木乃香殿は俺が預かるぞ、もうお主等には任せておけん」「え、ええッ!」「何言ってんだテメェ・・・・・・・!」とんでもない事を口走った桂に木乃香自身が驚き、土方も刹那を横に寝かせた後、怒ったように立ち上がる。攘夷志士に木乃香を渡すなど出来るわけがない。「お主達に預けるより俺はもっと安全な所を知っている、そこに木乃香殿を置いた方が高杉も容易に手が出せない筈、真撰組の役目はもう終わった、さっさと江戸へ帰るが良い」「ふざけんじゃねえ、テメェみたいな奴にコイツを預けれるか・・・・・・!」「本来はお主等にずっと預けておいた方が安全かと思っていたのだが、やはり相手はあの高杉だ、念には念を入れなければ木乃香殿が危険だと感じてな」「信用出来るか高杉と同じ攘夷志士のクセに・・・・・・・俺を騙そうたってそうはいかねえぞ・・・・・・」ドスの効いた声を出した後、腰に差してある刀を握る土方に桂はフンと鼻を鳴らす。「騙す? そんな事をして俺になんの得がある、少しは状況を見極める事を理解したらどうだ」「テロリストのお前にこの娘を渡す事なんて俺がすると思ってんのか? ああ?」「テロリストではない、江戸に寄生する天人を排除して侍の国を作り直すのが俺の使命、悪を討つ為に日々戦っている侍だ」「ほう、奇遇だな俺も悪を斬る仕事だ・・・・・・攘夷だとか天誅とかほざいて国家転覆を企んでる様な連中を始末するのが俺の仕事だ・・・・・・・!」両者ゆずれない信念が火種となり口げんかを始める桂と土方。いつ刀を抜いてもおかしくない様子だ。そんな二人を見てどうすればいいのか困ったように木乃香はオロオロしている。「う~二人共仲良くしてよ~・・・・・・」目的は一緒なのだが桂は攘夷志士、土方は攘夷志士を倒す事を行う真撰組だ。反対方向に生きている二人だけに意見が合う筈もない。なんとかする手立ては・・・・・・・最善の策は無いかと木乃香が顎に手を当てて模索しているとふと前に夕映がとある国の戦の話をしてくれたのを思い出した。『三国志演義の中ででかなり知名度が高い戦と言ったら赤壁の戦いというのがありましてね、10万人の兵力を持つ呉軍が2万人程しかいない劉備軍と手を結んで、100万人の兵力を持つ魏軍を倒すという戦です。本来なら敵同士である二つの軍ですが、互いの力を尊重して手を組めば、圧倒的兵力を覆す程の強力な軍になる事もあるという事です、簡単に説明すると抹茶とコーラを合わせると本来の何十倍にも美味しくなるのと一緒ですね』最後のくだりはともかく彼女から何気なく聞いた事がまさかのヒントになった。木乃香は閃いたように桂と土方の方へ顔を上げる。「桂さん、土方さんッ! ええこと思いついたッ!」「「ん?」」口喧嘩を止めて桂と土方は同時に彼女の方へ向くと。木乃香は二人を交互に指差していく。そして彼女の口からとんでもない言葉が飛び出た。「同盟ッ!」「「は?」」「攘夷志士の桂さん達と、真撰組の土方さん達が、高杉さんを倒す為に同盟を結ぶってどうッ!?」「な、なにッ!?」「攘夷志士の桂と真撰組である俺達が同盟を結ぶだとッ!?」木乃香の提案に桂と土方はすっときょんな声を出すと、彼女はニッコリ笑って頷く。相対する二つの組織が一つの勝利の為に手を取り合って協力。長き因縁を持つ桂と土方にとってそれはとんでもない策だった。「高杉討伐の為に真撰組と同盟・・・・・・」「出来るわけねえだろ小娘ッ! 俺達は日々血の滲む戦いを繰り広げて来た敵同士だぞッ! そんな簡単に手を組むなんざ・・・・・・・」「いや、単純でありながら名案だぞ木乃香殿」「なッ!」そんな事出来ないと叫ぶ土方とは対照的に桂は腕を組んで木乃香に向かって頷く。1:1:1より、2:1ならば高杉の野望をより効率的に止められる、桂の考えはコレだ。「俺達の敵は今は高杉ただ一人だ、ここは一時期手を結び、団結した方が勝率が上がるかもしれん、攘夷志士の刃と真撰組の刃、合わせてみれば何倍にも強くなれる可能性もある」「誰がテロリストのお前なんかと組むかッ! 駄目だ駄目だそんな作戦、こっちにはプライドっつうモンがあんだ」同盟を結ぶという提案に意外と肯定的な意見を言う桂だが、土方は手を振って否定的。彼に対して木乃香はムッとした表情で口を尖らせる。「プライドとかそんなん今は関係ないやんッ! 桂さんと仲良うなった方が絶対高杉さんを止められる筈やッ! もしバラバラに言って負けたらどうすんのッ!?」「んなこと言ってもな、同盟相手がこの桂だ。俺達真撰組は何度もコイツに煮え湯を飲まされ・・・・・・」「もし土方さんが死んじゃったらのどかとせっちゃんが悲しむんやでッ!」「う・・・・・・」木乃香の口から思いがけない二人が出てきて土方は言葉を詰まらせる。確かにこの戦い生き残る保障は無い、もし自分が死んでしまったら・・・・・・「ウチだって土方さん死んで欲しくないもんッ! だから桂さんと仲良くしようッ! 生き残る為に一緒に戦おうッ!」「のどかとコイツの名前出すんじゃねえよ・・・・・・それ言われるとこっちも困るだろうが・・・・・・」「土方さんッ!」まだ悩んでいる土方に木乃香が一喝。それにウンザリしたように彼女を見た後、諦めたように。「あ~わかったッ! 桂と組めばいいんだろッ! 組めばッ! 高杉を倒すまでだからなッ!」「やった~ッ!」「まさかこのガキに言い包められるとは・・・・・・」遂に土方が桂との同盟を決意。それにバンザイポーズを取って喜こぶ木乃香を見ながら土方はため息交じりに呟く。するとそんな彼に桂が近づいて「俺は異論は無い、木乃香殿の言う通り、ここは攘夷志士も真撰組も関係なく手を取り合って戦えば、きっと高杉の軍勢に勝てる筈だ」「この騒動が終わったら絶対捕まえてやるからな・・・・・・・!」「フ、いいだろう、終わったらまた遊んでやる、お主等との鬼ごっこは退屈せん」「マジで殺してやる・・・・・・!」ナメたように鼻で笑ってくる桂に土方は息を荒げていると、木乃香が上機嫌の様子で二人の手を持つ。「どういう真似だ?」「仲良くするんやから握手するの当たり前やろ?」「なッ! 俺がコイツと握手ッ!?」またとんでもない事を言う木乃香に土方が拒もうとするが、桂はまた鼻で笑う。「今ぐらいしか出来ない貴重な体験だな、短い間だがよろしく頼むぞ、土方殿」「ほら土方さん、桂さん手を出してるで」「ぐぬぬ・・・・・・! チッ!」木乃香に言われて土方は、桂の差し出してきた手を物凄く嫌そうな表情で握って握手する。「攘夷志士と真撰組の最強タッグ結成や~ッ!」それは因縁の組織同士が一つの目的の為に手を組んだ瞬間だった。「ふんぐぅ・・・・・・・!」「折れろコラァ・・・・・・!」「二人共止めて~ッ!」同盟を結んで早々、桂と土方は睨み合いながら”握手”で互いの拳の骨を握り潰そうとする本当に仲良く出来るのだろうか・・・・・・・