<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

赤松健SS投稿掲示板


[広告]


No.7093の一覧
[0] 3年A組 銀八先生!(ネギま!×銀魂) 【完結】[カイバーマン](2012/04/19 12:47)
[1] 第零訓 運命の出逢いは時に最悪[カイバーマン](2010/01/09 22:50)
[2] 第一訓 侍だって教師になれる[カイバーマン](2010/06/27 00:41)
[3] 第二訓 ジャンプを愛するものに悪い奴はいない[カイバーマン](2009/04/07 00:18)
[4] 第三訓 女子というのはだいたい見た目八割で決めるもん[カイバーマン](2009/04/07 00:19)
[5] 第四訓 物語はボケも必要、それを支えるツッコミも大事[カイバーマン](2009/04/07 00:22)
[6] 第五訓 金持ちの奴でも不幸な過去はあるもんだ[カイバーマン](2009/04/07 00:23)
[7] 第六訓 契約は計画的に、いやマジで[カイバーマン](2009/06/13 10:22)
[8] 第七訓 日常はスクープより奇なり[カイバーマン](2009/03/27 02:11)
[9] 第八訓 みんなそれぞれテメーの刀を持っている[カイバーマン](2009/06/08 12:13)
[10] 第九訓 大切なものを守る時は大切なものだけを見ないでその周りを守れるほど強くなれ[カイバーマン](2009/06/08 12:15)
[11] 第十訓 どうしても斬れない絆もある[カイバーマン](2010/03/13 10:56)
[12] 第十一訓 友達は自然になるものだ[カイバーマン](2009/04/09 14:48)
[13] 第十二訓 誕生日はプライスレス[カイバーマン](2010/06/09 00:56)
[14] 第十三訓 本気で戦うのが戦いのマナーじゃァァァ!![カイバーマン](2009/06/08 12:10)
[15] 第十四訓 メンバーは仲良くないと色々大変[カイバーマン](2009/04/25 22:44)
[16] 第十五訓 驚いた事があっても全く動じないのがスパイの基本[カイバーマン](2010/03/13 10:50)
[17] 第十六訓 老人は国の宝[カイバーマン](2010/03/13 10:51)
[18] 第十七訓 喫煙者にとってタバコは何よりも大事 それがわかるのは喫煙者だけ[カイバーマン](2010/05/02 14:00)
[19] 第十八訓 スタンドはスタンドでしか倒せない[カイバーマン](2009/06/28 23:00)
[20] 第十九訓 頼れる年上には憧れる[カイバーマン](2009/07/17 13:29)
[21] 第二十訓 銀と金[カイバーマン](2009/08/27 09:32)
[22] 外伝Ⅰ 国は違えど優しくその文化を受け止めよう・・まあ限度あるけどね[カイバーマン](2009/08/11 23:21)
[23] 外伝Ⅱ 空気の読めない奴は必ずクラスに一人はいる[カイバーマン](2009/08/27 09:31)
[24] 外伝Ⅲ 『ボールは友達恐くない!』って言った奴ちょっとツラ出せや[カイバーマン](2009/09/21 17:22)
[25] 第二十一訓 みんなが考えてるほど世界は広くない[カイバーマン](2009/10/10 12:31)
[26] 第二十二訓 人との交流は新しい扉を開けるチャンスである[カイバーマン](2009/09/04 01:53)
[27] 第二十三訓 アイドルだって喜怒哀楽がある人間なんだよ[カイバーマン](2009/09/27 10:35)
[28] 第二十四訓 拾ったペットに教えられることもある[カイバーマン](2009/09/12 22:22)
[29] 第二十五訓 ペットの責任は飼い主にも責任[カイバーマン](2009/09/27 10:40)
[30] 第二十六訓 ヘラヘラした奴って本当ロクな事考えねえよな・・・・・・[カイバーマン](2009/09/27 10:47)
[31] 第二十七訓 占いは当たるも八卦当たらぬも八卦[カイバーマン](2009/10/02 14:28)
[32] 第二十八訓 バカは死んでも治らない[カイバーマン](2010/03/07 13:58)
[33] 第二十九訓 修学旅行が始める前ってめちゃくちゃテンション上がるよね?[カイバーマン](2009/10/22 15:04)
[34] 第三十訓 主人公のいない世界なんてのりの無いのり弁と同じ[カイバーマン](2009/11/09 00:05)
[35] 第三十一訓 ダメ人間の代わりなんてダメ人間で十分なんじゃね?[カイバーマン](2009/11/15 00:17)
[36] 第三十二訓 誰かと比べられるのってかなり腹立つ[カイバーマン](2009/11/15 00:22)
[37] 第三十三訓 過去の因縁はどうしても消えない[カイバーマン](2009/11/21 11:32)
[38] 第三十四訓 一生隣で笑ってくれる奴等がいる事こそ最高の幸せ[カイバーマン](2009/11/28 12:58)
[39] 第三十五訓 旅は道連れ世は情け[カイバーマン](2009/12/05 23:37)
[40] 第三十六訓 最近の中学生は修学旅行だからってはしゃぎ過ぎなんだよッ![カイバーマン](2009/12/11 15:55)
[41] 第三十七訓 夜中に気を付けるのは見知らぬ女と見知らぬ忍者[カイバーマン](2009/12/18 15:06)
[42] 第三十八訓 転ぶ先に一筋の光[カイバーマン](2009/12/25 13:22)
[43] 第三十九訓 女が心配してるのに男って奴は・・・・・・・[カイバーマン](2010/01/01 00:25)
[44] 第四十訓 子供は早く寝ろ、じゃないと大人が夜更かし出来ないでしょうが[カイバーマン](2010/01/13 20:46)
[45] 第四十一訓 マナーを守らない奴はとりあえずTKO[カイバーマン](2010/01/14 20:59)
[46] 第四十二訓 侍ってのは高倉健の様に不器用な生き物[カイバーマン](2010/03/07 14:05)
[47] 第四十三訓 いつかは生まれるその感情に逃げるべからず[カイバーマン](2010/02/17 11:52)
[48] 第四十四訓 仲間の助けを借りて走っても走り抜けれるかはテメー次第[カイバーマン](2010/02/09 16:48)
[49] 第四十五訓 時には意外な物が武器になる[カイバーマン](2010/02/17 11:54)
[50] 第四十六訓 ドSは決して自重しない[カイバーマン](2010/02/17 11:47)
[51] 第四十七訓 なんだかんだで両想い[カイバーマン](2010/02/20 08:55)
[52] 第四十八訓 三つの愛 一つの運命[カイバーマン](2010/02/24 17:58)
[53] 第四十九訓 人の道それぞれ[カイバーマン](2010/02/28 11:43)
[54] 第五十訓 絡まる糸はほどく気がなければほどけない[カイバーマン](2010/03/01 09:45)
[55] 第五十一訓 隠し事はバレてこそ意味がある[カイバーマン](2010/03/04 13:02)
[56] 第五十二訓  闇と光は表裏一体[カイバーマン](2010/03/07 21:32)
[57] 第五十三訓 バカと役立たずにも五分の魂[カイバーマン](2010/03/10 09:38)
[58] 第五十四訓 人を傷付けたら必ず自分が傷付く事になる[カイバーマン](2010/03/12 22:24)
[59] 第五十五訓 昨日の敵は今日の友[カイバーマン](2010/03/16 21:12)
[60] 第五十六訓 親バカもシスコンも度が過ぎると引くから少しは自分を抑えて[カイバーマン](2010/03/19 11:55)
[61] 第五十七訓 酒は飲むモンであり飲まれるモンではない[カイバーマン](2010/03/22 17:02)
[62] 第五十八訓 時に酔いは人の本性をさらけだす事もあるんです[カイバーマン](2010/03/25 17:26)
[63] 第五十九訓 混沌招く血の宴[カイバーマン](2010/03/29 11:21)
[64] 第六十訓   死[カイバーマン](2010/03/31 12:59)
[65] 第六十一訓 夜王再臨[カイバーマン](2010/04/04 10:56)
[66] 第六十二訓 仲間を信じて顔上げて歩け[カイバーマン](2010/04/07 13:18)
[67] 第六十三訓 ただ愛ゆえに[カイバーマン](2010/04/14 18:26)
[68] 第六十四訓 ただ愛のために[カイバーマン](2010/04/14 17:21)
[69] 第六十五訓 ただ愛こそすべて[カイバーマン](2010/04/19 23:27)
[70] 第六十六訓 戦場を色取るのは忍者とチャイナとストーカー、そしてあんパン[カイバーマン](2010/04/25 16:25)
[71] 第六十七訓 凛と咲く桜の如く美しくありけり[カイバーマン](2010/05/17 01:16)
[72] 第六十八訓 バクチ・ダンサー[カイバーマン](2010/05/16 22:23)
[73] 第六十九訓 鬼が恐くて侍が務まるわけねえだろコノヤロー[カイバーマン](2010/05/16 22:27)
[74] 第七十訓 生半可な覚悟で正義や悪を語るものではない[カイバーマン](2010/05/24 01:12)
[75] 第七十一訓 その長き続く因縁に終止符を下ろせ[カイバーマン](2010/05/30 09:48)
[76] 第七十二訓 宇宙一最強の魔法使いは宇宙一馬鹿な親父[カイバーマン](2010/06/06 14:32)
[77] 第七十三訓 新しい朝[カイバーマン](2010/06/13 09:02)
[78] 第七十四訓 鬼の力 仏の心[カイバーマン](2010/06/27 00:40)
[79] 第七十五訓 その契りは永遠に[カイバーマン](2010/06/27 00:38)
[80] 第七十六訓 出会いもあれば別れもある 経験するたびに人はより成長していく[カイバーマン](2010/07/04 00:17)
[81] 第七十七訓 去る前にドタバタ騒いで最後の最後に別れを惜しめ[カイバーマン](2010/07/04 00:18)
[82] 第七十八訓 さよなら銀八先生[カイバーマン](2010/07/04 00:20)
[83] 最終訓 後悔ない人生を[カイバーマン](2010/07/11 00:11)
[84] 第?訓 銀色の魂を受け継ぐ者[カイバーマン](2010/08/01 07:50)
[86] 番外編 人気投票など死んでくれ・・・・・・[カイバーマン](2010/09/20 10:22)
[87] 番外編 人気投票など死刑だうわぁぁぁぁぁん!![カイバーマン](2010/08/16 13:18)
[88] 番外編 人気投票など・・・・・・あ、さっきからこれ言ってるの全部私だからな[カイバーマン](2010/08/23 00:00)
[89] 番外編 人気投票などに踊らされた哀れな道化共め[カイバーマン](2010/08/30 09:21)
[90] 番外編 人気投票など関係無い! 私達は私達だ![カイバーマン](2010/09/05 17:17)
[91] 山崎編 ZAKINOTE Ⅰ 学籍番号1番~10番[カイバーマン](2011/07/18 13:22)
[92] 山崎編 ZAKINOTE Ⅱ 学籍番号11番~20番[カイバーマン](2011/07/19 17:10)
[93] 山崎編 ZAKINOTE Ⅲ 学籍番号21番~31番[カイバーマン](2011/07/20 22:14)
[94] 山崎編 ZAKINOTE Ⅳ 教職員&学校関係者[カイバーマン](2011/07/21 20:39)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[7093] 第四十四訓 仲間の助けを借りて走っても走り抜けれるかはテメー次第
Name: カイバーマン◆7917c7e5 ID:56da04f8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/09 16:48

修学旅行二日目の夜、銀時とネギ達一行は宿屋に戻っていた。いつもの着物姿に戻った銀時はネギと一緒に廊下を歩きながら雑談している。

「どうやって千雨さんと仲直りするんですか銀さん?」
「あいつ晩飯の時にも来なかったからな、こりゃあマジで怒ってるのか・・・・・・? やっちまったな・・・・・・」

しかめっ面を浮かべながら銀時は舌打ちする、彼女に対してではなく自分に対してだが。
そんな彼にネギは一つある事を思い出す。

「来なかったといえば土方さんも来なかったですねご飯の時間に」
「あんな奴どうでもいいだろ」
「そうはいかないですよ、大事な仲間なんですから」
「あんなの仲間なんかじゃねえよ、ドラクエでいうトルネコみたいなもんだよ、表面上仲間って事になってるけど実際はずっとメインに入れず馬車の中にずっと引き籠ってる的な奴だよ ブライと一生馬車に引き籠ってろバカヤロー」

そんな事を話しながらネギと銀時が廊下を歩いていると、ふととある一室が凄く騒がしい事に気付いた。

「なんかうるせえな・・・・・・」
「あ、土方さんの部屋からですよ」
「だからオメェ何もねえって言ってんだろうがッ!」
「何言ってるんですかい、二人で一緒に仲良くやってるの俺見てたんですよ、もう証拠は上がってんです。いい加減白状したらどうですかい?」
「コノヤロ~・・・・・・! 山崎ッ! なんでコイツをここに連れて来たッ!」
「だ、だって隊長が無理矢理俺をここまで・・・・・!」
「おい山崎、隊長じゃなくて俺の事は副長と呼べと言ってるだろ」
「なんでテメェが副長なんだよ副長は俺だッ!」
「誰と喋ってんだアイツ・・・・・・」

土方の部屋から聞こえる数人の騒がしい声、不審に思った銀時とネギがソーッと彼の部屋の襖を開けると・・・・・・

「大体テメェがなんでこの世界に来てんだッ! 総悟ッ! オメーが来るとややこしくなるんだよッ! さっさと江戸に帰れッ!」
「俺が何処にいようが関係ないでしょ、それともなんですかい? 俺に見られたくない事でもあるんですか土方さんは?」
「オイそのニヤけたツラ止めろ・・・・・・! 斬り殺すぞテメェ・・・・・・!」
「だぁぁぁぁ!! 副長こんな所で刀抜こうとしないで下さいよッ!」
「おい山崎、いい加減にしねえと頭刈り上げるぞ、こっちはもう副長じゃねえ、ただの恋する無職だ」
「誰が恋する無職だッ! だから何でテメェが副長なんだよッ!」

部屋の中で同じ服装をした三人組が取っ組み合いをしている。一人は土方、そしてもう一人は麻帆良にいる筈の山崎、そしてもう一人は・・・・・・

「お、おいまさか・・・・・・!」
「誰でしょうかあの人・・・・・・初めて見ました、土方さんの仲間でしょうか?」

土方に胸倉を掴まれても涼しげな顔を浮かべる青年を見て、ネギが襖の間から覗きながら首を傾げる、だがネギの頭上から一緒に襖を覗いていた銀時はあの青年を知っていた。
銀時はすぐに襖をガッと掴み

「なんでテメェがここにいんだァァァァァ!!!」

叫び声を上げながら銀時は思いっきり襖を開ける。すると青年は彼に気付いて土方に胸倉を掴まれながら

「あ、旦那お久しぶりです」
「お久しぶりじゃねえよッ! おいッ! なんでこのサディスティック野郎がこの世界に来てんだよッ! 土方君、状況を説明したまえッ!」
「こっちだって知りてえよボケッ! ちょっと前にいきなりこいつが山崎と一緒に車に乗ってやってきたんだよッ!」
「山崎だぁ・・・・・・?」

土方の話を聞いてズカズカとネギを連れて土方の部屋に入って行く銀時、そして端っこで居心地の悪そうに座っている山崎に目を向ける。

「おい、お前何か知ってんだろ、なんでコイツがここにいんだ」
「え~それがどうやら・・・・・・新しく開発した転送装置の実験の為にここに来たらしくて・・・・・・」
「実験?」
「ええ、旦那みたいにこの世界に流れ着いてしまった漂流者、もしくは攘夷志士を運ぶ為の装置でさぁ」

山崎の代わりに青年こと沖田総悟が説明し出したので、銀時はそちらに細い目を向ける。

「じゃあ何? お前はその装置で来たわけ?」
「いや俺は土方さんや山崎と同じこの小型転送装置を使ってきました、でも俺が持ってるのはちと特殊でしてね、これはあっちの世界へと通信ができる機能が備わってるんですよ、んでもって俺が江戸にいる近藤さん達と通信を取ればすぐに旦那を助けれる“モン”がやってきますよ、まあ向こうが準備できてるならの話ですけど」
「ふ~ん」
「アレ、旦那嬉しくないんですかぃ?」

喜びもせず、驚きもしない銀時の反応に意表を突かれた沖田は少し違和感を感じる。
この男ならすぐにでも江戸へ返せと言って来ると思っていたのだが

「今はちょっと忙しいんだよ、帰れるなら帰りてえけどよ、色々とここでやらなきゃいけない事が出来ちまってな」 
「そうですかい、お節介焼きの旦那らしいって言えば旦那らしいですね、俺もここでやる事ありますし、しばらく滞在するつもりですから、帰りたくなったらいつでも俺に話しかけて下さい」

銀時の言い分を理解して沖田が頷いていると、土方がタバコにライターで火を点けながら話しかける。

「おい総悟、何でオメーがここでやる事なんてあるんだ?」
「そりゃあ決まってんでしょ土方さん、“土方さんに恋する乙女”と楽しいお話しする事ですよ、元々俺はそれが目的でこんな所に来たんですからねぇ」
「ぶッ! ゲホッ! ゲホッ!」

沖田の言った言葉に反応して土方は吸っていたタバコの煙で思わずむせてしまう。そんな土方を見て沖田はニヤリを笑みを口元に浮かべる

「あり? 土方さん何動揺してんですかぃ?」
「だ、誰も動揺なんてしてねえよッ!」
「おい山崎、確か土方さんに惚れてるガキって宮崎のどかちゃんって言うんだよな」
「ええまあ、俺の情報によるとそうですね」
「山崎・・・・・・! お前こいつにチクリやがって・・・・・・! 後で絶対に後悔させてやる・・・・・・!」
「えぇぇぇぇぇ!! だってしょうがないじゃないですかッ! 沖田“副長”に言い寄られたらそりゃもう言わないとこっちが殺されるって言うか・・・・・・」

顔を引きつらせながら言い訳する山崎に土方はギョロリと目でメンチを切る

「安心しろ、俺が殺す」
「あ、結局どっち道殺される運命だったんだ俺・・・・・・」
「それより総悟、もう一つ気になる点がある」
「なんですかぃ“元副長”の土方さん」
「だれが元副長だ、俺は昔も今も近藤さんを支える真撰組の副長だ、どうしてお前、さっきから自分が副長だと名乗ってんだ」

土方が気にかかってたもう一つの疑問、それは沖田がおおっぴろげに副長とアピールしている事だ。
本来ならば副長という座は自分の筈なのだが・・・・・・。
その疑問に答えるように沖田は胸の内側ポケットからある物を取り出す。

「残念ですが土方さんはもう江戸では副長じゃないんですぜ、ほら」
「お前の警察手帳? それがどうし・・・・・・」

沖田が差し出した警察手帳を受け取り、土方はタバコを咥えながら彼のプロフィール見てみる、その瞬間、土方は唖然とした表情で口からタバコをポロっと落とした。何故ならそこに書いてあったのは

『真撰組・代理副長 沖田総悟』

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!」
「だって土方さんがこの世界で滞在してる間、近藤さんの右腕は誰がやるんですかぃ? だから俺が副長になって近藤さんを支えてるわけです、あ、土方さんもう帰ってこなくていいですよ、アンタはのどかちゃんと一生この世界にいて下さい、でも俺たまにここに遊びに来ますから、のどかちゃん目当てで」
「ふざけてんじゃねえぞッ! お前なんかに真撰組の副長を任せられる訳ねえだろッ! こんなのぜってぇ認めねえッ! 近藤さんが許しても俺が許さんッ!」

沖田の警察手帳を思いっきり畳の床に叩きつける土方。長年その座にいた土方にとって、いつのまにかその座を一番奪われたくない相手に奪われた事がムカつくらしい。
だが肩を上下させながら怒りに震えている土方の肩に優しくポンと叩く者がいた。

「もういいじゃん、お前の時代が終わったんだよ、もうこの世界に一生住んであのガキと仲良く暮らせ、結婚式ぐらい行ってやるから」
「万事屋てんめぇッ! お前までふざけてると殺すぞコラッ!」
「土方さん結婚式俺も呼んで下さい、花嫁のツラにウェンディングケーキをぶん投げる役目は俺に任して下さい」
「何処の部族の儀式だそれッ! つうか誰が結婚するかッ! 誰が宮崎と結婚するかッ!」

茶化してくる銀時と沖田に土方は額に青筋立てながら怒鳴る。だが彼の一言を聞いて二人の目がキュピーンと光る。

「あれ~? 俺、お前がのどかちゃんと結婚するなんて一言も言ってないんだけど土方く~ん」
(しまった・・・・・・! つい口が滑っちまった・・・・・・!)
「土方さんもう完璧それ花嫁候補に考えてるって事ですよね、いや~俺の姐さん、のどかちゃんか、こりゃあ面白くなりそうだ」
「なわけねえだろッ! ていうかテメェ等がアイツの名前言うんじゃねえッ!」

ニヤニヤ笑いを浮かべている銀時と沖田に噛みつくように叫んでも二人は全然応えていない、むしろ更にテンションが上がっている。

「え? ひょっとしてジェラシー感じてるんですか土方君? 自分以外の男に嫁の名前言われてジェラシーをガンガン感じてるんですか土方君?」
「こりゃあ自分の嫁をガンガン束縛するタイプでさぁ、嫉妬心メラメラ燃やして他の男を一切近づけないタイプですよ。土方さんはときめくほどにあの子に夢中~」
「フォ~エバ~」
「歌ってんじゃねえよッ! テメェ等打ち合わせでもしたのかッ!」

息の合ったコンビネーションで土方を茶化す銀時と沖田のコンビ。それを傍から見ているネギにとって、二人の連携プレーは完璧イジメだ。

「あの、なんであの二人あんなに土方さんをいじるの慣れてるんですか・・・・・・?」
「旦那と副・・・・・・もういいや間際らしいし、旦那と沖田隊長はドSコンビだからじゃない。 基本は万事屋と真撰組は対立する仲だけど何かとウマが合うんだよあの二人」
「そうなんですか・・・・・・」

ネギの疑問に何時の間にか横に立っていた山崎が答える。要するにイジメッ子同士だからああやって仲良く相手をボロクソに出来るらしい、見てる側には別にいいが、やられる側としては最悪だ・・・・・・。

「沖田さんって怖いんですねぇ・・・・・・」
「警察なのにヤクザよりタチが悪いからね、麻帆良学園からここまで来る為に何したと思う? 学園にいた一般の教師をボコした挙げ句、脅して無理矢理車借りたんだよ、しかもその車も電信柱に突っ込んでスクラップにしたし・・・・・・」
「え、そんな事やってたんですか・・・・・・?」

あんな綺麗な顔をしているのにやる事は悪魔の様にえげつないのか、沖田の外道行為にネギが戦慄を感じる
生徒を使って(特にまき絵)本能のまま遊びつくす銀時といい勝負なのかもしれない。
そんな事を考えていたネギだが一つ引っ掛かる事があった。

一般教師の誰から車を取ったのだろうか・・・・・・

「すみません、その車の所有者って・・・・・・どういう先生でしたか?」
「え~と俺も初めて見た人だったからよく覚えてないけど・・・・・・メガネを付けて無精髭を生やしたスーツ姿のおっさんだったかな? なんかよく知らないけど俺と隊長が一緒に歩いてたら、泣きながらいきなり殴りかかって来てさ、でも沖田隊長が問答無用にキャラメルクラッチ浴びせて首が変な方向に曲がってたなぁ、だから本当は向こうから襲って来たんだよ、まあそれから車とキーを無理矢理奪ったのはこっちが100%悪いけど・・・・・・」
「タカミチ・・・・・・」
「誰だか知ってるの?」
「いえ知りませんよそんなおっさん、僕は無関係です」

知り合いだと思われたくないので、思わずネギは真顔で嘘をつき、山崎からそっぽを向いた後、頭を掻き毟りながらため息を吐く。

「もう泣くほど出番欲しがってたんだ・・・・・・」





































第四十四訓 仲間の助けを借りて走っても走り抜けれるかはテメー次第

銀時達が真撰組の三人と会話していた頃、風呂を済ませた3年A組の生徒達は全員浴衣を着て、各々の部屋で雑談をしていた。

「土方さんにフラれたァァァァァァ!?」
「うん、まだちゃんとした返事貰ってないけどそうなるのかな・・・・・・」
「あんのマヨネーズ王国の王子がぁ~・・・・・・」
「大丈夫ですよのどか、今度あの人の上司の近藤さんが来たらあの人に切腹を申しつけて欲しいと頼んどきますから」
「止めてよ夕映・・・・・・」

部屋の中でのどかは先刻、土方に告白しようとしたのだがその前にフラれてしまった事を親友のハルナと夕映に話していた。それを聞いて両者とも怒り心頭だ。
だが傍からのどかの話を聞いていた刹那はわかってたようにうんうんと頷く

「のどかさんには悪いですけど当然の結果です」
「黙ってなさいこのアマァァァァ!!」
「そもそも土方さんとのどかさんでは年の差がありますし」
「年の差なんてクソ喰らえじゃぁぁぁぁ!! お前なんかもっとクソ喰らえじゃぁぁぁぁ!!」
「なんで私がクソ喰らえなんですかッ!」
「刹那さん、ハルナ、落ち着いて・・・・・・」

刹那とハルナがいがみ合うように揉めているのをのどかが必死に止めようとする。
そんな状況を窓側にある木製の椅子に座って眺めているのは彼女達と同じ班のアスナと木乃香

「あのマヨ、本屋ちゃんの事フッたんだ」
「う~ん、何がいけなかったんやろなぁ・・・・・・」
「まああいつの事だからちゃんと理由があるんでしょ、年の差だけで本屋ちゃんを振るような奴じゃないわよ、平気で三股出来る天パと違ってあいつは恋に真面目そうだし」
「そうやな、銀ちゃんと違ってウブそうやもんな土方さん」

そうやって二人で呑気に話しているとコンコンと部屋のドアがノックされる。それに気付いたアスナはハルナ達の間をすり抜けて部屋のドアを開ける。

「はいどなた~」
「どうも~ッ! 朝倉・・・・・・」
「はいおやすみ~」

開けたドアの先にいたのは和美だと知った途端、アスナは彼女の元気な挨拶も聞かずにすぐに閉める。だが和美はまだ帰らずに部屋のドアをバンバンと叩く。

「ちょっと開けてよぉ~ッ!!」
「開けたらロクな事になりそうにないからヤダ」
「そんな邪険に扱わなくても・・・・・・じゃあ伝えたい事だけ言うね、今日A組メンバーで私が考えた“楽しいイベント”やるから私の話聞く為に全員一階のロビーに集まって欲しいんだけど?」

ドア越しに聞いてみると、どうやら和美はクラス全員で修学旅行恒例の夜中の大イベントを行おうとしているらしい、だがアスナは全然乗り気がなさそうにジト目でしかめっ面、いつもならこういうのには参加したがるのだが、主催者が和美なのが一番の理由だ。

「イベントって何? クラス全員で天パをボコす的な奴ならやるけど?」
「それアスナだけだよ楽しいのッ!」
「私も楽しいです」
「なんでそこで夕映が入ってくんのッ!? あ~もうとにかくみんな一階のロビーに集合してよッ!? それじゃあッ!」

ドアの向こう側から走り去って行く音が聞こえる。どうやら和美は言うだけ言ってすぐにどっか行ってしまったらしい

「朝倉の奴何考えてるのかしら?」
「あの人(銀時)の所で働いてる人ですからどうせロクな事考えてないです」
「まあ行かないと後でうるさそうだし・・・・・・行くっきゃないか」

本当は行くのは御免こうむりたいのだが、仕方なくアスナは行く事を決める。
だが隣にいる夕映はというと

「私はパスで」
「全員来いって言ってたでしょ、アンタも来なさい」
「うう・・・・・・めんどくさいです・・・・・・」

仏頂面でイヤがる夕映をアスナは叱りつけて強制的に連れて行く。
数分後、アスナ達は一階のロビーに行く為に全員部屋から出発する。



























アスナ達が一階のロビーに着く頃には既にA組の生徒達が一杯集まっていた。どうやら和美はアスナ達の班の所へ行く前に他の班の生徒達にもとっくに伝えていたらしい。

「朝倉の奴みんなを呼びだして何やらかす気かしら・・・・・・」
「大体土方さんとのどかさんって全然違うタイプじゃないですか、果敢に敵と日夜戦ってる侍と引っ込み思案な図書委員。吊り合う筈ないです」
「なにその悟ってる様な口振りッ! 腹立つぅぅぅぅ!! 恋愛なんかした事ない奴が言ってる所がまた腹立つぅぅぅぅぅ!! のどか、なんか言ってやんなさいよッ!」
「そうですよね、全然住む世界が違いますもんね、私と土方さんじゃ・・・・・・」
「いや負けんなぁぁぁぁぁ!!! こんな奴に負けんなぁぁぁぁぁ!! もっと熱くなれぇぇぇぇぇ!!」
「まだやってるのアンタ等?」

ここに来るまでずっと口論しているハルナと刹那に、アスナが呆れたように目を向けていると彼女の元に一人の生徒が歩み寄って来た。
今日、ちょっとだけ一緒に行動していたあやかだった

「あらアスナさん来たんですの、今日の晩御飯をやけにバカ食いしてたから部屋で横になってるのかと思ってましたわ」
「フン、あんなのまだ全然食ってない方よ、私が本気になればここの旅館の食べ物を全部胃の中に閉じ込められるわね」
「ブラックホールみたいな食欲ですわね、幼馴染ながら心底呆れます」

あやかに軽く毒を吐かれるアスナだが、彼女はちょっとした違和感に「ん?」と首を傾げる。

「そういえば千雨さんは? 晩御飯の時にいなかったけど大丈夫なの?」
「ええ、一応私が無理矢理ここまで連れて来ましたんですけど、なんか塞ぎこんしまってて・・・・・・」
「何処にいんのよ?」
「そこのソファで座ってますわ」
「あ、本当だ、目が死んでる」

あやかが指差した方向を見ると一応自分達と同じく浴衣を着ている千雨がソファに座ってボーっと虚空を見つめている。周りの生徒達を見向きもせずにただ虚ろな目で何か考え事をしている様だった。

「やはり銀さんとの喧嘩が相当こたえたんだと思いますわ・・・・・・」
「え? 私はいつも天パと喧嘩してるけど、あんなに悩まないわよ?」
「あなたと千雨さんを一緒にしないで下さい、脳みそのスペック差が天と地ほど違うんですから」

自分を指さして首を捻るアスナにあやかは冷たくツッコミを入れた。

二人でそんな事をしている頃、ここに生徒達を呼んだ張本人、主催者である和美がやっとこさ姿を現した。

「ヤッホーみんな集まった~?」
「あッ! 朝倉ッ!」
「いきなりこんな所に呼び付けてどういうつもりッ!?」
「私達部屋で女の子同士のY談やってたのにいきなりアンタがここに集合しろって言うからわざわざ来てやったんだからねッ!」
「私なんかテレビで亀田の次男坊の世界タイトルマッチ見てたからもうめっちゃ気になってるアルッ!」
「ふむ、クーフェイと一緒に見てた拙者も同じ気持ちでござる、面白みのない用事なら拙者達は亀田戦の続きを見る為に部屋に戻りたい」
「亀田カッケーアルッ!!」
「修学旅行先でなんで亀田に夢中になってんのアンタ等?」

和美が来た瞬間、多くの生徒達が歩み寄って彼女を問い詰めるが、和美はそれを「まあまあ」と笑いながら流して静かにするよう促す。

「実はさ、昨日はみんな二日酔いのおかげでほとんどダウンしてたじゃん? だから今日はその分派手にこの旅館を使ってゲームでもやろうかな~と思って」
「な、なんですってッ! そんな事委員長であるこの私が許しませんわッ!」
「そうだよッ! それにそんな事したら鬼の新田に何されるかわかんないよッ!」

和美の提案にあやかとまき絵が抗議する。もしこんな夜中に生徒全員で騒ぎまくっていたら、生活指導員である新田先生に怒られるのは目に見えているのだ。だが和美にとってそれも想定内である

「そりゃもし新田に見つかったら散々な目にあうだろうね、けどそれぐらいスリリングじゃないと“このゲーム”は盛り上がらないよ」
「どんなゲームッ!? わかったッ!『ずくだんずんぶんぐんゲーム』だッ!」
「私あれ得意だよッ! 一回もお姉ちゃんに負けた事無いんだからッ!」
「えッ! あれって勝ち負けとかどうやって決めんのッ!?」
「はい双子とまき絵ちゃんは黙ってて~、話が進まないから」

双子とまき絵が変な方向に曲げようとするので和美がすぐさまその勢いを止める。
そして生徒達が静かになっているのを見計らい和美は一つコホンと咳をした後、大きく息を吸い込んで

「題してッ!『くちびる争奪ッ! 修学旅行で銀さんとラブラブキッス大作戦ッ!!』」

























「「「「「なんだそりゃぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」

和美が言った言葉に生徒全員が長い沈黙をした後、一斉に大声で叫ぶ。ここまで理解不能な題名に生徒のほとんどが混乱している。そして一番混乱しているのは

「どういう事だ朝倉ァァァァァ!!!」
「あがッ!」
「おおッ! 長谷川さんが朝倉に行ったァァァァ!!」

さっきまでずっとうつむいていた千雨がいきなり和美に向けってドロップキック。そのまま彼女は吹っ飛んだ和美に馬乗りになって胸倉を掴む。

「お前これどういう意味だ・・・・・・答えによってはお前をここで血祭りに仕立て上げるぞコラ・・・・・・」
「千雨ちゃんちょっと落ち着いてッ! これには深いわけがあるんだよッ! ちょっと耳貸してッ!」

もはや銀時と同じ目つきになっている千雨に慌てて和美が上半身を起こして他の生徒達に聞こえないよう彼女の耳にそっとささやく。

「だって千雨ちゃんこのままだと一生銀さんと仲直り出来ないし“大切な事”を伝える事も出来ないよ? それでいいの?」
「それは・・・・・・」
「だから私なりに考えたんだ、千雨ちゃんが銀さんと向き合えないなら、こうやって第三者の私が千雨ちゃんの背中を押して上げる、まあ半ば私が楽しみたいってのも入ってるんだけどねぇ」
「お前なぁ・・・・・・」
「さあ、それではゲーム説明を始めようッ!」
「おいッ!」

千雨に自分の本来の目的を耳打ちした後、彼女を押しのけて立ちあがり和美は自分勝手に話を進めて行く。
まあこれが彼女の長所であり短所でもあるのだが・・・・・・

「ルールは超簡単ッ! 各班から二人ずつを選手に選び、新田先生達の監視を潜りながら旅館内の何処かにいる銀さんの唇をゲッチュッ! 班対抗で相手の選手に対して妨害可能、ただし武器は枕のみ、一番先に銀さんの唇をゲットした人はもれなく明日の自由時間、銀さんを一人占めに出来る権利をプレゼントッ! なお新田先生達にみつかったら過酷な罰ゲームもある筈だから覚悟してねッ!」
「いやそれ新手のイジメッ!?」
「私達的には銀さんに唇奪われる事自体が罰ゲームだよッ!」
「ていうかコレ罰ゲーム以外の何者でもないよッ! ネギ先生ならともかくなんであんな“凶師”の銀八先生とキスしなきゃいけないのッ!? しかもあの人を一人占めにする権利とかいらんわッ!」

色んな所から来る大量のブーイングとバッシング、当たり前だ、彼に対して好意的に接する生徒なんて少ないうえに、そもそも銀時に対してそんな真似したら間違いなく彼に殺される。もしくはあやかに八つ裂きにされる。
そしてそのあやかはというと・・・・・・

「銀さんとキス・・・・・・」
「朝倉の奴、何考えてるだろねぇちづ姉」
「いや違うわ夏美、これはあやかにやってきた千載一遇のチャンスよ」
「ちづ姉、偉い嬉しそうだね・・・・・・」

頬を染めて何か考えているあやかの傍で夏美と千鶴が会話していると、おもむろに千鶴は隣にいるあやかの肩を叩く。

「応援するわ、あやか」
「え? ええッ! ちょっと私まだやるって決めてな・・・・・・!」
「だってウチの班で銀さんにある人なんてあなたと長谷川さんしかいないじゃない、二人で頑張りなさい、そして最後は長谷川さんを蹴落として銀さんとあんな事こんな事するまでもつれ込むのよ」
「あんな事とこんな事とそんな事ですってッ!」
「いやそんな事は言ってないよ、いいんちょ」

あやかに向かって夏美がボソッとツッコんでいる頃、ざわざわと騒いでいる生徒の中から和美に向かって一人挙手する者が現れる。

「朝倉ッ! ゲーム内容の変更を求めるわッ!」
「なあにハルナ? 言っとくけど銀さんじゃ駄目ってのはナシだよ?」
「違うわその逆よッ! キス出来る人の対象を増やして欲しいのよッ! 例えば土方さんとかッ!」
「土方さん? あ~いいんじゃない、そっちの方が盛り上がりそうだし」

手を上げてまで自分の意見を述べたかったハルナの内容に和美は特に問題なさそうに許可する。するとハルナは急いで隣にいるのどかの両肩を掴んで

「のどかやったわねッ! これで一気に嫁入りよッ!!」
「いや私、土方さんにフラれてるし・・・・・・」
「まだちゃんとした返事貰ってないんでしょ・・・・・・?」
「そうだけど・・・・・・」
「恋する乙女は最後まで突っ切るのよ、まだチャンスが残ってるうちはもう一回挑戦してきないのどか」
「もう一回土方さんに・・・・・・」

ハルナに言われた事にのどかは深く悩む。
そりゃ出来ればもう一度アタックしたい、だが彼がもう一度自分に会ってくれるのか疑問だ・・・・・・
そんな不安に駆られているのどかにまたもやあの土方の壊刀が

「絶対に駄目ですッ! こんな時に恋だのなんだのやってる場合じゃないんです土方さんはッ!」
「刹那さん・・・・・・」

もはや顔を赤らめるのも隠さずに刹那がカンカンに怒っている。そんな彼女に少しのどかも表情が強張るが、隣にいるハルナは拳を鳴らしながら刹那に近づく。

「のどか、アンタはこのゲームに絶対参加して土方さんに思いっきり告白しなさい、私はその間・・・・・・このアホウドリを焼き鳥にするから・・・・・・!」
「じゃあ私がのどかと一緒にゲームに参加しましょう、心配しないで下さい別に私はあの人に興味なんか毛ほどもないので」
「ハルナ、夕映・・・・・・」

友人の応援(?)にのどかは感謝しながらある決意を心に固く誓う。

「もう一度・・・・・・土方さんに告白しよう・・・・・!」

強く頷いて彼女がそう決心していると、和美がまた生徒達に大声で話しかける。

「じゃあまずは10時半までに班からだす二名の選手を私に報告、ゲーム開始は11時からねぇッ!!」
「誰が得するんやろこのゲーム・・・・・・」

ゲームの存在意義に首を傾げるのは関西弁を使う短髪の少女、和泉亜子。そしてそんな彼女の元に呑気に友人であり同じ班のまき絵が笑いかける

「でも見てる分には面白そうだよ、選手になるのは死んでも嫌だけどさ」
「何言うてんの、ウチの班代表はまき絵に決まってるやろ」
「はぁぁぁぁぁ何でッ!?」

友達の予想外の一言にまき絵がさっきまでの楽しんでる表情から一変して驚愕する。

「私、銀八先生とキスなんて絶対ヤダよッ! 新田に捕まるのもヤダッ!」
「いや、常識的とか空気的に考えてここはまずまき絵がアリやろ?」
「そうだな、ここは私も空気を読んでまき絵に託そう」
「一切付き合いのない龍宮にまで言われたッ!」

いきなり出て来た龍宮にも後押しされるも、まき絵がまだ納得のしてない表情で嫌がっている。だが選手として選ばれるのは時間の問題だろう。

やはりあやか達やのどか達には美味しいイベントだが、他の生徒達から見れば選手になるなどデメリットしかない。
しかし個性的なゲームには個性的なメンツがいるわけで一応人数は揃う筈、和美はそう確信していた。

「お祭り好きのA組の奴らならキス目的じゃなくても集まるっしょ」
「お前に話しちまった事を全力で後悔してきた・・・・・・」
「なんか言った千雨ちゃん?」
「いやもういい・・・・・・」

彼女に何を言おうがもうこのイベントは止まらない。千雨は諦めた表情で天を仰いだ。

「私には逃げる選択肢も無いのか・・・・・・」
「千雨さんあの・・・・・・」
「ん? いいんちょか、何か用か?」
「千雨さんはこのイベントに参加するのかと思いまして・・・・・・ほら千雨さんは今、銀さんと色々と・・・・・・」

心配そうに歩み寄って来たあやか、自分の事をそんなに考えてくれていのかと千雨は彼女に対してそんな事を考えながら、髪を掻き毟りボソリと呟く

「参加・・・・・・するよ」
「え?」
「万事屋の私が参加しないでどうするんだよ、まあアイツとキスするなんて絶対にイヤだけどよ、そこはいいんちょに譲る」
「千雨さん・・・・・・」
「それに私・・・・・・・仲直り・・・・・・してえし」

恥ずかしそうにそっぽを向きながら本音を言う千雨にあやかは思わずクスッと笑う。
何処ぞの銀髪天然パーマとそっくりである。

「わかりましたわ、私がなんとしてでも千雨さんと銀さんを会わせましょう」
「ああ、いいんちょがいれば大半の生徒には遅れは取らねえだろうしな」
「当たり前です、私がいる限り銀さんの唇を他の生徒なんかに取らせませんわ」
「いや誰も興味無いと思うけどな・・・・・・」

自信満々に胸を叩くあやかに千雨が苦笑しながらツッコむ。いつも通りの二人だ

かくしてラブラブキッス大作戦は優勝商品である銀時達の見えない所で着々と準備が始められて行くのであった。















しかし、その状況を廊下の影からコッソリと見る男の姿が

「面白そうな事やらかそうとしてんじゃねえか・・・・・・」

楽しそうにはしゃいでる生徒達を品定めするように覗いているのは真撰組、代理副長の沖田総悟、その口元には不敵な笑みが作られている。

「こりゃあのどかちゃんを初め生きのいいガキ共と交流するいい機会だな・・・・・・」
「おい総悟、勝手にこの辺ウロつくんじゃねえよ」

ゆっくりと舌を出しながらか弱い草食動物を狙う肉食動物の心境になっている沖田に、後ろから声をかける。声の主はもちろん土方だ

「ったく、トイレだったんじゃねえのかよ」
「あり? 土方さんどうしたんですかこんな所に?」
「お前を探しに来たに決まってんだろ、部屋に戻るぞ」
「へいへい」

案外素直に土方に言われるまま、沖田は彼の後に着いて行き生徒達のいるロビーを後にした。











しばらく無言で廊下を歩いていると沖田がふと前にいる土方に話しかける。

「さっきちょっとあそこにいたガキ共の声が耳に入ったんですけどねぇ」
「あん?」
「のどかちゃんが土方さんに告白する~とか言ってたんですけど?」
「・・・・・・」
「どうするんですかぃ土方さん? 俺が察するにアンタもまんざらではなさそうですが?」

面白い事を見つけたように笑みを浮かべながら茶化す沖田、だが土方は無言で黙ったままだ。いつもなら青筋立ててキレたりするタイミングなのだが

「俺は一度あいつをフった」
「フった? のどかちゃんをですかぃ?」
「総悟、俺達は人斬り集団と言われている真撰組だ」
「そうですけどね、そんなの愛があれば関係ないんじゃないですかぃ?」
「ざけんな、俺は真面目に考えてるんだ」

笑いかけてくる沖田に土方はタバコに火を付けながら真顔で返す。のどかにはのどかなりの決意があって彼にも彼なりの決意があるのだ。

「人斬りや鬼とも呼ばれ、一体どれだけの恨みを買っているのかもわかんねぇ、いつ殺されてもおかしくない俺に女なんか必要ねえんだよ」
「じゃあのどかちゃんがもう一回告白して来てもそれを断るつもりですかぃ?」
「当たり前だ、あいつは優しすぎる・・・・・・いつ死ぬかわかんねえ男を覚悟出来る女じゃねえんだよ」
「ふ~ん」

土方の言い分に納得のしてない表情で沖田は目を細めて前を歩く彼を見る。
奇妙なデジャヴを感じた

「だから俺はこれ以上あいつとは一切関わりを持たない事にする、総悟、しばらくしたら江戸に帰るぞ、あいつとはもう二度と会わん」
「・・・・・・あ、土方さ~ん」
「なんだよ、お前まだ俺に文句が・・・・・・」

陽気な口調で沖田に呼び止められたので土方は不機嫌そうに足を止めて後ろに振り返る、が

「そい」
「おぶッ!」

沖田の飛び蹴りが土方の顔面に直撃した、咥えていたタバコを口から落とし、そのまま後ろに吹っ飛ぶ土方

「テ、テメェッ! 何しやがるんだコラッ! いい加減にしねえとマジ切腹にするぞッ!」

顔面を蹴られてもすぐに立ち直って顔を押えながら沖田に対して土方は唾を吐くほど怒鳴る。
だが沖田はなんの悪びれる様子も無い

「まさかここまでとはねぇ・・・・・・土方さん、アンタやっぱ最悪のバカでさぁ」
「んだとコラァッ! もう一度言ってみろッ!」
「まだ引きずってるんですかぃ?」
「何をだよッ!」
「俺の姉上の事ですよ」
「・・・・・・!」

沖田に言われた事に土方はすぐに彼から目を逸らして黙り込む。そんな反応に沖田はやれやれと首を横に振った。

「さっきから土方さんがのどかちゃんにやろうとしてる事は、俺の姉上にやった事と一緒ですよ土方さん」
「チッ、んな事わかってる・・・・・・だからこそ女一人も幸せに出来なかった俺があの小娘に惚れられるような資格の男じゃねえってのもわかってんだよ、俺が惚れた女は・・・・・・一人だけで十分だ」

沖田の実姉であるミツバ、土方にとって彼女の存在は大きく、彼女が亡くなった後も決して忘れられる事は出来なかった。
そんな未だ彼女の事を引きずっている土方を、彼女の弟である沖田は心底呆れたようにため息を突く。

「いい加減俺の姉上引きずるの止めてくれませんかねぇ」
「んだと・・・・・・!」
「一生、他人と恋をしない、それであの世にいる姉上が喜ぶと思ってるんですかぃ?」
「・・・・・・」
「土方さんがやっているのはただの自分勝手な意地ですよ、姉上の時の様にそうやって意地張って突き飛ばして、その時点でもうあの娘っ子を不幸にしてるんじゃねえですか」
「もしそのままあいつを受け入れたら・・・・・・もっとあいつが不幸になるのかもしれねえんだぞ・・・・・・!!」

瞳孔が開いた状態で歯を食いしばり、土方は沖田を睨みつける。しかし沖田はサラリとした口調で

「だったら守ってやればいいじゃないですか」
「な・・・・・・!」
「人斬りの女なんて不幸になるかもしれねえ、ならアンタがその身を張って守る度胸ぐらい持ったらどうです?」
「・・・・・・」
「姉上の事を忘れろとは言いません、けどね、それで土方さん自身がつまらない意地張って悩まれると姉上も安心してあの世で暮らせねえんでさぁ」
「総悟・・・・・・」

二人以外誰も存在しない空間にしばしの長い沈黙が流れた。そして

「・・・・・・わかった、今度あいつに会ったら何があいつに正しい事なのか考えておく」
「やれやれ、土方さんは剣では一流なのに、女の事になると全然駄目ですねぇ」
「まさかテメェなんかに教わる事になるとはな・・・・・案外お前も副長の器になれる奴かもしれん」
「なれる奴じゃなくて俺はもうなってますから、元副長の土方さん」
「・・・・・・うるせえ」

土方は最後にボソリと言葉を残した後、沖田を置いて先に行ってしまった。残された沖田は廊下に佇んで土方の背中が見えなくなるまで見送る。

(土方さん・・・・・・アンタはあの娘と一緒にいなきゃならねえんです、じゃねえと・・・・・・)

沖田は目をつぶって顔を上げる。


























(じゃねえと・・・・・・面白くならねえだろッ!!!)

目をカッと開いて土方がいなくなった方向を睨む。さっきまでの顔とは別人の如く変わり、Sッ気全開モードになっていた

そう彼の目的は土方の恋する少女、宮崎のどかを

(近藤さんからお前等の事を聞いた瞬間から俺のプランは決まってんだよッ! そう、テメェに惚れた宮崎のどかを俺の全力を持って苛め抜く事だッ! あのガキの告白を拒否するなんてお前にそんな権限はねえんだよ土方ぁッ! お前と宮崎のどかがくっつかねえと俺のプロジェクトが成立しねえんだよッ!)

すっかりサドの目になっている沖田は沸々と秘めている事を心の中で叫ぶ。ドSである彼にとってか弱い女子中学生ののどかは自分の欲望に満足出来るかっこうの獲物なのだ。

(姉上の事引きずってるらしいけどなぁ・・・・・・姉上はもうとっくのとうにお前の事なんかどうでもいいと思ってんだよッ! 姉上はもう俺を見守る守護霊になってんだ、姉上にとって精々お前なんか便所に端っこにこびり付いたウンコ程度の存在なんだよッ!)

突然の変貌、だがこれが真撰組随一の問題児、沖田総悟なのだ。

「さあて、バカはバカなりの考えをしている隙に俺は色々と準備しなきゃなぁ・・・・・・」

邪悪な笑みを浮かべながら沖田が良からぬ事を企み始めていると、ふと後ろに誰かの気配を感じる、振り返ってみるとそこにいるのは自動販売機の前に立ってジュースを買おうとしているA組の生徒だった。紫色のロングの髪が目立つ柿崎美砂だ

「試合観戦の為に飲み物一杯買っとかないとね~、あ」

もうすぐ始まるゲームを前に笑みを浮かべながら、美砂は財布から小銭を取り出そうとする、だがその拍子に一枚の小銭がポロっと落ちてしまった。
小銭はコロコロと転がって近くに立っていた沖田の靴にコツンと当たる。

「にゃはは~すみませ~ん」

美砂は初対面の沖田に笑いかけながらしゃがんで、彼の前にある小銭を拾おうと手を差し伸べる、が

「あがぁぁぁぁぁ!!!」
「あれぇ、どうしたの君? どっか痛いの?」
「足ッ! 足ィィィィィ!! 私の手を足で踏んでるぅぅぅぅ!!!」

美砂の出した手を沖田は躊躇なく思いっきり足で踏みつける。だが痛がっている彼女に対して沖田は無表情、なんの罪悪感も無いのだ。

「早く足をぉぉぉぉぉ!! 手の骨が砕けるぅぅぅぅぅ!!!」
「へ~じゃあ救急車でも呼ぶ?」
「いやアンタが私の手から足どければいいのよッ! わかってんでしょそんな・・・・・・にゃぁぁぁぁぁぁ!!! イダイイダイダイッ!!」
「最近のガキは年上に対して口のきき方がなってねえな」

足を上げる所か、美砂の手を踏んでいる足の踵を回して彼女に更に激痛を与える沖田。彼女が泣き叫ぶような悲鳴を上げても沖田は涼しげな顔で懐から何故か魚肉ソーセージを取り出している。

「お願い足上げてぇぇぇぇぇ!! 本当に痛いのッ! 本当に手の骨が砕けちゃうのッ!」
「お願いしてる態度じゃねえな、人に頼みごとをする時はちゃんとした礼儀ってモンがあんだろうが」
「れ、礼儀・・・・・・?」

取り出した魚肉ソーセージを優雅に食べながら、なおも足を上げようとしない沖田に美砂は激痛の中、泣きそうな顔で

「何処のどなたかは存じませんがお願いしますッ! どうかこんな私の頼みを聞いてくれて足を上げてくれないでしょうかッ!? 本当にお願いしますッ!」

痛みから出た涙で顔をぐしゃぐしゃになっている美砂は、沖田に手を踏まれた状態で土下座して懇願する、これでなんとか足を上げてくれるだろうと思い彼女は恐る恐る顔を上げるが

「ん? 何やってんの?」

魚肉ソーセージを食べ終わった沖田は口の中でクチャクチャ言いながら一言、美砂は彼のあんまりな行為に固まってしまう。そんな彼女の顔を見て沖田は携帯を取り出してカシャと写メを撮る。

「うわこの泣きっ面最高、待ち受けにしよう」
「あ、あの・・・・・お願い・・・・・・」

携帯をカチカチといじりながら独り言をつぶやいている沖田に、美砂がもう限界だと言わんばかりに泣きながら呻いていると、彼は携帯をポケットにしまい彼女を見下ろす。そして

「さあてそろそろ・・・・・」
「え・・・・・・?」

ドSモード・オン

目が赤く光り、口元にニタリとゆっくり笑みを広げる沖田。






ゲームは既に始まっているのだ


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.081286907196045