真撰組局長、近藤勲と真撰組副長(代理)沖田総悟は幕府の研究所で用事を済ませ、江戸のパトロールをしながら屯所に向かって帰っていた。「いや~、近藤さん松平のとっつぁんは中々面白いモン造ってましたね」「もう少しで完成する様だな、“アレ”が出来れば異世界に行くのも簡単になる・・・・・・あの子とも会えやすくなるかもな・・・・・・それにしてもとっつぁんの人望はすげえな、幕府の上層部から隠れて、研究所の科学者達にあんなもの開発させるなんざ普通出来ねえよ」「何言ってんですかぃ近藤さんも負けてませんよ、俺達みたいな野郎共を束ねるなんざ近藤さん以外出来ませんぜ」「ハハ、世事を言っても何もやらんぞ総悟」帰路についてる途中、気さくに話しかけてくる沖田に近藤はどうせちゃかしてるんだろと言う風に笑い飛ばす。そんな彼に沖田は頭をポリポリと掻きながら少し困った表情を浮かべた。「本当の事なんですがねぇ・・・・・・ん? 近藤さん、なんか屯所が騒がしくないですか?」「なに?」やっと目的地の屯所が見えた頃沖田はふと屯所へ指をさす。近づきながらよく見てみると隊士達が騒がしそうにしている。「一体何やってるんだあいつ等? まさか俺達がいない隙に焼き肉大会でもしてんじゃねえだろうな」「そいつは許せねえな、もしやってるなら“副長”の俺が直々にバカ共をぶった斬ってやりまさぁ」自分の肩書きを誇るように沖田はカチッと腰に差している刀を握りながら近藤と共に屯所へと入る。入ってみるとそこには「テメェ等ァァァァ!!!」「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!」「しつけえんだよォォォォ!!!」「「「のわァァァァァァ!!!」」」赤髪の男が手から電撃を出して隊士達を黒こげにしている所だった。近藤と沖田は呆然とそれを見る。「え? 何やってるのこれ?」「あいつ等自分を焼き肉にしてますね、でも焼き過ぎですよありゃあ」「いやそれよりあの男誰? 手から電撃出してなかった?」「出してました、ビリビリしそうなモン出しまくってますね、現在進行形で焼き肉やりまくってますね」襲ってくる隊士に向かって容赦なく電撃を発射して、人間技ではない事をやってのける赤髪の男に近藤は少し混乱状態になっていた。そんな二人の足元に黒こげになってる体を四つん這いにさせてズリズリと誰かが近づいて来た。スキンヘッドといかついヤクザの様な顔が特徴的な、真撰組十番隊隊長、名は原田右之助「きょ、局長とお、沖田隊長・・・・・・今帰って来たんですか・・・・・・」「原田ッ! お前まで何やってんだッ!」「おい原田、今沖田隊長つったな? 俺の事は副長と呼べ副長と」「うごごごごッ!! 失礼しました副長ッ!」「総悟ォォォォ!! これ以上原田に追い打ちかけないでェェェェ!!!」四つん這いになって倒れている原田の背中をグリグリと踏みつけるサド王子に近藤が慌てて止めに入った後、倒れている彼にしゃがんで話を聞く「しっかりしろ原田ッ! 何があったんだッ!?」「く・・・・・・見てわかる通りあの電撃を出す“赤髪の野郎”のせいでウチの隊士はほぼ壊滅状態です・・・・・・」「誰だあの男はッ! もしかして俺達を狙って来た攘夷志士かッ!?」「いえ攘夷志士じゃねえと思います、死人は出してないしそれに・・・・・・いきなりここへ無理矢理入って来て万事屋の所の二人連れて殴りこみに来たんです・・・・・・」「万事屋の二人ッ!? もしかして新八君とチャイナ娘の事かッ!? 何であんな男と一緒にッ! 総悟とりあえず新八君とチャイナ娘に話を聞きに・・・・・・って総悟ォォォォォ!?」今にも気を失いそうな原田の情報を聞いて近藤は行動しようと後ろに振り返るが、そこにいるはずの沖田がいない。何故なら沖田は既に「おい、そこの赤髪のトリ頭」「誰がトリ頭だコラ、お前もコイツ等の仲間だよな」「ここの副長を務めてる沖田っていうモンでねぇ、誰だか知らねえが俺の部下共を随分と痛みつけたその罪、その体に“キッチリ”刻ませてもらうぜ」「へぇ、中々強そうじゃねえかお前」赤髪の男に近づいて喧嘩を売っていたからだ。沖田は腰に差している刀を抜き、“対象物”に向かって走り出す。男の方はそんな彼に笑いかけ、向かってくる沖田に右手からバチバチと電撃を溜めて発射しようとしていると・・・・・・「アチョォォォォ!!!」「ってオイ神楽ッ!」「うおっと、なんでテメェがいるんだ?」突然上空から降って来た知り合いのチャイナ娘の飛び蹴りを沖田はすぐに後ろに跳んで避けた。そのまま彼女は二人の間に着地。いきなり勝負の邪魔してきた彼女に向かって赤髪の男が叫ぶ「てめぇ今やっと手答えのありそうな奴と戦えそうなんだから邪魔すんじゃねえよッ!」「このサドは私の獲物じゃあッ! お前は他の奴等でも狩っとくアルッ!」「ふざけんなこいつは俺の獲物だッ! ガキは引っ込んでろッ!」「ああッ!? やんのかコラッ!?」「上等だかかってこいよッ! そろそろ誰が強いかお前に教えてやろうと思ってた所だぜッ!」 お互いの顔を近づけながらメンチを切り合う知り合いのチャイナ娘と謎の赤髪の男。そんな二人に取り残された沖田はどうしたもんかと考える。「参ったなこりゃあどういう事だかさっぱりわけがわからねえや」「すんませぇぇぇぇぇんッ!!!!」「うん?」しばらく睨み合っているチャイナ娘と赤髪を眺めていると、聞き慣れた声が聞こえたので沖田はそちらに振り向く。見るとそこには近藤に向かって土下座して謝っているメガネを付けた青年がいた。万事屋メンバーの志村新八だ「すみません本当すみませんッ!! 僕等ちょっと抗議しようと来ただけなのに、あのバカ共いきなり真撰組の人達をぶっ倒し始めてッ!! マジすんませんでしたァァァァッ!!!」「落ち着け新八君ッ! とりあえず話を詳しく教えてくれッ! こっちもわけがわからんッ! それにあの見た事も無い赤髪の男は誰だッ!?」「それは・・・・・・」思わず口ごもる新八に、近づいて来た沖田が二人の会話に割って出た。「近藤さん、ここは詳しく話を聞かせてもらう為に屯所の中へ案内しましょうや、おたくの旦那にはよく世話になってたし、隊の奴等の事は俺のしごきが足りなかったという事で大目に見ますが、こっちも色々と聞きたい事があるんでね、電撃出せる人間なんて普通いますかぃ?」「そうだな、しかもそんな人間が君達と一緒に行動してるなんてこっちはさっぱりだ、新八君も何か言いたそうだしここは屯所の中でゆっくり話し合おうか」「はい・・・・・・」沖田の処置と近藤の器のデカさに感謝しながら新八は立ち上がりざま再び彼等に頭を下げ、相変わらず睨み合っているあの二人の方へ向く「大体テメェはもうちょっと年上を敬うっていう気持ちはねえのか、あ・・・・・・?」「こっちはお前みたいなパチモン銀ちゃんに敬う気持ちなんかこれっぽちも無いネ・・・・・・」「おいパチモン銀ちゃんって何だコラ・・・・・・勝手に俺をそいつの偽物に認定してんじゃねえよ・・・・・・!」「うるせえよパチ銀・・・・・・所々銀ちゃんとキャラ被っててまぎらわしいんだヨ・・・・・・」 新八と同じ万事屋メンバーの神楽、異世界からやってきた謎の『魔法使い』ナギ・スプリングフィールドはまだ口喧嘩している真っ最中だった。新八はそんな二人を見て頭に青筋を浮かべる。「テメェ等いい加減にしろやぁぁぁぁ!!!!」新八の怒りの雄叫びが真撰組の屯所内全体に響き渡った第三十三訓 過去の因縁はどうしても消えない「異世界? そりゃあ一体何の事かな~? 新八君」「そうだよ~新八君~、ところでお妙さんは元気かな? 今度いつか焼き肉に誘おうと思ってんだけど?」「二人共とぼけないでください、僕達もう知っているんですよ、銀さんが異世界にいるのは、土方さんもあっちの世界にいるんですよね? そうじゃないと沖田さんが副長になるなんてありえません」「私達の地獄耳を甘く見てんじゃねえぞサド野郎、お前とゴリラがしらばくれっても、とっくにこっちは色々と知ってるんだヨ」「総悟どうする・・・・・・」「なんでバレたのかわかりませんが、旦那の事まで知られてはこっちもお手上げですよ、素直に白状しましょうや」場所は真撰組屯所内の客室。そこにいるのは沖田と近藤に強く訴えかける新八と神楽、そして暇そうに新八の隣でくつろいでいるナギの姿があった。「新八、コイツ等誰?」「ごつい方が武装警察真撰組の局長の近藤さんと、見た目爽やかで中身真っ黒なのが“今は”副長の沖田さんです」「へ~このゴリラみたいなのが一番偉いのか」「初対面でいきなりゴリラとはなんだッ! あんたこそ何者なのか教えろッ!」「あ~なあ新八、教えていいのか俺の事?」「大丈夫です一応この人も幕府の人達ですが、敵ではありません」新八の説明にナギは「ふ~ん」と理解してだるそうに近藤と沖田の方に自己紹介する。「ナギ・スプリングフィールド、異世界では結構有名人だった『魔法使い』で、今はカミさんの行方を追いながら昔やってた万事屋を再開中~。好きな物は甘い物、嫌いな物は噛みついてくる犬で~す」「異世界では結構有名な人だった『魔法使い』? え? どういう事それ?」「二人共落ち着いて聞いて下さい、この人は銀さんがいる所の異世界出身者、しかも魔法使いという僕等の想像を遥かに超えた人なんです」「へ~・・・・・・」・・・・・・・・・・・・・・「ハイィィィィィ!?」新八の話を聞いてしばらく静止した後、近藤はいきなりすっときょんな声を上げて驚く。反対に隣の沖田は興味深そうに考える。魔法使いなんて聞いて簡単に信じれるわけがないが目の前で“あんなの”を見た場合だと考えは少し変わってくる「じゃあさっきの電撃はまさか『魔法』とでも言うんですかい?」「そうです、普通の人間で電撃なんて出せますか?」「現役の時ならもうちょっとデカイ呪文撃てるんだけどなぁ・・・・・・どうも“あの野郎”のおかげで上手く力が出ねェ、今じゃ簡単なのと無詠唱呪文ぐらいしか使えなくなっちまった・・・・・・現役時代に戻るのはまだ先かね・・・・・・」「確かに一般人が手から電撃出すなんて並の事じゃねえな、近藤さん、こりゃあ随分と衝撃的なニュースみたいですよ」「魔法使いとかそんなファンタジーみたいなもんがあっちにはあるのか・・・・・・でも待てよ? 俺は一度あっちの世界に行ったけど魔法使いになんて会った事もないぞ?」沖田の問いかけに近藤は最初思慮深げな表情をするがすぐに疑問で首を傾げる。そんな彼にナギがテーブルに置いてあったお茶を飲んだ後口を開いた。「魔法使いってのは一般の人には知られちゃいけねえ存在でよ、お前が言った場所は魔法が現実に存在するなんて知らない場所、もしくは魔法使いはいるが普段はその魔法を一般人に見せないよう工夫してる場所なんだろ」「へ~まあ確かに俺が行った学校はここと少し文明が違ってるぐらいだったしな」「ちょっと待つアルゴリラッ!! お前あっちの世界に行った事あるのかヨッ!?」ナギの話になるほどと頷いている近藤に向かって神楽が身を乗り上げる。すると彼はそんな彼女に押され気味に言葉を返した「ま、まあ一回だけ日帰りでな、トシと山崎が無事かどうか見に行っただけだよ」「山崎さんもあっちの世界にいるんだ・・・・・・道理で姿を見ないわけだ・・・・・・」「じゃあ何でその時に銀ちゃんをこっちに連れ戻さなかったアルかッ!?」「いやだって・・・・・・万事屋があの学校にいるなんて知らなかったし・・・・・・ていうかあんまりトシと山崎を探す以外は何処も行ってねえんだよ、飼育室の中ぐらいしか行ってないしな」「・・・・・・なんで飼育室の中なんですか? そんな所に行く理由がわかりません」「話すと長くなるから言わんが、俺は向こうの世界でもゴリラと認識されるらしい」「閉じ込められたんですか? ゴリラと認識されて閉じ込められたんですか?」何処か悟ったような表情をする近藤に新八はツッコみながら一体彼をどんな人物が閉じ込めたのか少し気になったが、それは置いといてすぐに本題に迫る。「まあ近藤さんが何処の世界でもゴリラだというのはわかりましたが、一番肝心なのはどうして銀さんがあっちの世界に行ってしまったのかという事です、二人共何か知ってますよね?」「あっちにいる理由ってのはあんま詳しくはわからねえんだがねぇ・・・・・・多分、旦那は“江戸の神隠し事件”に巻き込まれたかな?」「はぁ? 江戸の神隠し? 何それ?」「最近江戸の攘夷志士が消えている事件、つまり幕府に反旗する連中を異世界に送ってるんです、これには最近一般人も巻き込まれてるケースが多発してましてね、攘夷志士を異世界という檻に閉じ込めてこの世界を『綺麗にしよう』としてる連中の仕業でさぁ」「そ、そんな事件が起こってるんですかッ!?」「私達そんな事件知らないアルッ!!」江戸の神隠しという事件なんて新八と神楽は聞いた事も無かった。しかしそれは当然の事でこの事件は幕府の組織しか知られておらず、一般人には極秘の事件であり知る人はほとんどいない。しかもこの神隠しは“事件ではない”のだナギはしかめっ面で説明していた沖田を睨む。「それでお前等は指くわえてその事件を見過ごしてるのか? お前等警察なんだろ?」 「んな事言ってもねぇ、犯人は中々のクセモノで『幕府』の上層部の連中と来たもんでさぁ、これでウチも犯人を捕まえれるなんざ出来ねえんですよ、捕まえようなんかした瞬間アウト、俺達全員の首が飛ぶだけです」「幕府だと?」『幕府』という言葉を聞いてナギは目を細める「攘夷志士の大量異世界転移、これで幕府に刃向かう連中はこの世界からいなくなってこっちはあいつ等の思い通りの世界に、あっち側の世界なんて知ったことかって感じですね」「チッ、俺が寝てる間に色々とこの国は乱れてるって“ハゲ”が言ってたがそこまで腐ってるとはな・・・・・・攘夷志士よりそいつ等を地獄に転移してくんねえかね」沖田の皮肉交じりな説明にナギは腹立たしそうに舌打ちをする。しばらくして向かいに座っている沖田がイラついている彼に再び口を開く。「そこで俺達はちょいとあいつ等の計画で上手く手柄を取ろうと思いましてね」「手柄?」「異世界に送られた攘夷志士連中を束ねて一気に俺達が捕まえてやろうっていう作戦です」「・・・・・・上手くいってんのかそれ?」不安そうに聞いてきたナギに沖田は小さなため息をついてお手上げのポーズをする。「全然です、最初に密偵として送った奴があっちでヘマしてこっちに帰れなくなるし、もう一人送った奴はもっと使えなくて、見てきた近藤さんがいうにはあっちでラブコメやってるらしいんで論外です」「ラブコメ? なんだそりゃ?」「密偵は山崎さんって事は二人目は・・・・・・土方さんッ!? あの人がラブコメッ!? 嘘でしょ土方さんはそういうタイプじゃないでしょ絶対ッ!」「ダヒャヒャヒャッ! 何処のアホがあのマヨとラブコメなんてするアルかッ! マジ笑えるアルッ! 」土方がラブコメやってると聞いてナギは口をへの字にして、新八はあまりにも意外性の高いチョイスで我が耳を疑い、神楽は腹を抱えて大爆笑している。三人のそんな反応に近藤も腕を組んで面白そうに混ざり出す「いや~トシはやっぱり顔は二枚目だからな、実はあいつが今いる所って女子校でさ女の子がメチャクチャいっぱいいるんだよ、それで俺が知り合った女の子の一人が実はトシに惚れててよ、手作りの弁当をあいつに上げたんだが、その時の少し照れたような表情をしてるトシは本当普段俺達には絶対見せない顔だったな~」「ギャハハハハッ! 最高アルッ!!」「女子校にいるんですか土方さんッ!? 全然想像できませんよあの人が女の子にお弁当を貰うなんて・・・・・・クソ、なんか羨ましい・・・・・・! 僕も一度そっちの世界に行きたい・・・・・!」近藤の話に神楽がゲラゲラ笑っている傍ら、新八が思わず口を漏らした事にナギがすぐさま反応する「いや行っても無理だと思うよ新八、お前は無理無理、絶対無理、何があってもお前にフラグは無い、断じて無い、俺の全てに誓ってそれは絶対にあり得ない」「なんでそこまで全否定すんだよッ!? もしかしたら奇跡があるかもしれないでしょッ!? そんなに女の子が一杯いるならこんな僕でも好きになる人がいるよきっとッ!!」「お前俺が見る限り今まで彼女とか出来た事無いだろ?」「うッ! 確かに生まれて16年間彼女なんていませんでしたけど、出会いがあればきっと・・・・・・!!」図星を突かれてもなおもナギに抗議しようとするが、彼は静かに首を横に振る。「出会いがあればとか思ってる時点でお前は彼女なんて出来ねえよ、あっちから誘ってくるなんてどっからどう見ても地味なお前には一生無い、お前みたいな地味な男子に誰が惹かれるんだよ? まず『穴に入らずんば子を得ず』ということわざを覚えるべきだぜ新八」「『虎穴に入らずんば虎児を得ず』だから、確かにそれでもある意味正解だけど卑猥極まりねえんだよ」なんかイイ事言っているなと思ってたらナギの話が後半からいきなり下ネタが入ってきた。新八はそんな彼に冷静にツッコミを入れた後、ハッと思い出したかのように沖田の方へ顔を向ける。「待って下さい、土方さんが女子生徒と学校にいるって事は・・・・・・!」「そう」新八に向かって沖田はニヤリと笑いながら頷く「俺はそのガキをとことん虐めて泣かしてえんでさぁ、近藤さんからそのガキの特徴を聞いてみると、中々虐めがいのあるガキだと思うし」「いやアンタのドSプレイの事じゃないからッ! ていうか何考えてんですかッ!?」「もしかしたら俺の“姐さん”になるのかもしれねえんだから、そうなる前に俺が“キッチリ”と教育を施してやらなきゃねぇ」「最低だよこの人ッ! 未来の姐さんになんちゅー事考えてんだよッ!」 新八が考えていた事と全く違う事を言い、なおかつ腹黒そうに笑いながら呟く沖田に、新八は指さして叫ぶが、彼はお構いなしの様子。「殺しはしねえよ、何て言ったって土方さんの女が14そこらのガキって笑えるでしょ? それを眺めるのが俺の夢でさぁ」「沖田さんのサディスティック性はわかりましたから・・・・・・それより土方さんが学校にいるって事は銀さんもその学校、もしくはその周りで暮らしてるって事ですよね・・・・・・?」ドS話は置いといて新八がやっと質問したかった事を聞く。それを聞いた沖田は後ろ髪をポリポリと掻きながら答えを返した。「その辺は通話記録で証明済み、旦那が土方さんと近い所で住んでるのはわかってるんで、こっちは通話で旦那から直々に色々と聞きだしたんでね」「通話で直々に・・・・・・? てことは銀さんと話す事が出来たんですかッ!?」「マジかヨッ! てめぇ何でそれ先に言わなかったアルかッ!!」「昨日の夜、異世界にいる土方さんと通話してたら本当に偶然あの人が出て来てね、相当酔ってたけど色々と言ってたねぇ」「銀さんはどんな事言ってましたかッ!?」「あいつきっと私がいなくて絶対寂しい思いしてるアルッ!!」あの行方不明だった男と通話に成功した。沖田の情報に新八と神楽はテーブルに身を乗り上げて彼に詰め寄る。「まあ半分以上は意味不明だったけど、旦那はあっちの世界で学校の教師やってるとか言ってたねぇ・・・・・・」「はぁぁぁぁぁ!? 銀さんが異世界で教師ィィィィィ!? んなわけないでしょ何であの人が教師やるんですかッ!? あんなちゃらんぽらんが人に物事教えれるわけないでしょッ!!」「酔ってたから本当か嘘かはわかんねえけどまあ元気にやってたね旦那は、それにお前等の事なんかこれっぽっちも考えてなさそうだったぜ」「あの天パァァァァァ!!! ヒロインの私置いて何やってんだコンチクショォォォォ!!!」銀時の情報に新八と神楽が絶叫。だがそんな二人の間でだるそうに沖田の情報を聞いていたナギは二人と違って無反応である。そもそも銀時と彼は接点も無いし完全に赤の他人だ。「そいつが何処で何しようが俺には関係ねえからさ、お前等俺のカミさんの情報とか知ってる? 金髪で美人でボンッキュッボンッの女なんだけど?」「おたく結婚してたんですかぃ、生憎俺は既に手が付いてる女を調教するのは専門外ですから興味無いんで」「そっちで考えてんじゃねえよッ! 殺すぞドSッ!! 人の女房なんだと思ってんだコラッ!」澄ました顔でサラリと言ってくる沖田にナギはキレて新八と神楽の様にテーブルに身を乗り上げて彼の胸倉をつかもうとするが、慌てて近藤が止めに入る。「止めろッ! ここは冷静になって落ち着いて話し合おうッ!」「うるせえよゴリラッ! 言っとくが俺は昔テメェよりもっとゴリラみたいなオッサン見た事あんだぞッ! テメェなんかあいつと比べればまだ並ゴリラだッ!」「何ッ!? 是非会わせてくれッ! 同じゴリラキャラとして朝まで語り合いたいッ!!」「意気投合しようとしてんじゃねえよッ!!」バカにしたつもりが逆に表情を輝かしている近藤にナギが彼の顔面に蹴りを叩きこんでいると、沖田がそんな彼を見ながら淡々と喋り出す。「まあおたくのカミさんの場所はわかりませんが、一応行方不明者として捜索リストに入れときまさぁ、名前何て言うんですかい?」「あん? 『アリカ・スプリングフィールド』だよ、血反吐吐くまで探せよ税金泥棒」「へいへい、全力で探しあげま~す」ナギに睨まれながら言われても沖田は飄々とした態度で持っていたメモ帳にナギの女房の名前をペンで書く。(名前の横に『調教不可』と書いている)「じゃあおたくの女房はこっちで探しあげるんで安心してくだせぇ、万事屋の旦那ももうすぐ連れて帰るんで」「連れて帰る事が出来るんですかッ!? でも何で銀さんを連れて帰るのは今すぐじゃ出来ないんですか?」何故すぐに連れ戻せないのかと聞いてくる新八に沖田の代わりに近藤が頷いて答える。「実は俺達が異世界へ交流できるのはあるお人のおかげでな、その人が近いうちにスゲー物作るらしいからそれまで待ってくれ、それが無いと行方不明者はこっちに持ってこれねえんだ、なあにそこまで時間もかからんさ」「よかった、銀さん帰ってこれるんですねッ!」「やったアルッ! グフフ・・・・・・そういう事でお前はさっさとどっかへ消えるヨロシ」嬉しい答えが返って来て新八は安堵した表情を浮かべ、神楽の方はナギに向かってニタニタ笑いながら手で追い出す仕種をするがナギはフンと鼻で笑う。「イヤなこったあそこはもう俺の家だ、追い出せんなら追い出して見やがれ」「ぐぬぬ・・・・・・! 往生際の悪いトリ頭アル・・・・・・・」「ところでゴリラ、そのスゲー物はあっち側からこっち側に人を持ってこれる奴なんだろ? その逆も出来るのか?」神楽にキッパリと拒否して、ナギは襲いかかってくる彼女の頭をおさえながら近藤の方へおかしな質問をする。「それってつまりこっち側の人間をあっち側に持って行けるかって事か? 可能だがそれがどうした?」「実は俺はこっち側の世界に来たものの、あっちの世界に帰る事が出来なくなっちまっててよ、ちょっと一回だけでいいからあっちへ行かしてくんない? 会いたい奴がいるんだよ」「何言ってんだ、いくら魔法使いと言ってもアンタはここの住人だ、一般人を異世界になんぞ送れねえよ、いやしかし元々あんたはあっちの世界の住人らしいし・・・・・・とっつぁんに頼み込んでみればなんとか出来るかもしれんな・・・・・・」「頼むわゴリラ、今度バナナ上げるから」「いやバナナって・・・・・・」「バナナで警察を買収しようとすんなよ、あれ・・・・・・?」「何だこの音は?」「地震ですかい?」「いや・・・・・・」断れてもナギがめげずに近藤に物で釣ろうとする事に新八がツッコんでいると、急にゴゴゴゴゴゴと地響きのような音が聞こえてくる。その部屋にいたメンバーは一体何事かと思っているとナギはその音の正体にいち早く気付いた。「こいつの腹の虫だ」「神楽ちゃ~ん、女の子なんだから自重して~」「腹減ったアル~私朝飯と昼飯も食ってないヨ~」自分の腹からゴゴゴゴゴゴ、ドドドドドドド、っと普通の人間ではありえないような腹の音が鳴る神楽にナギと新八は呆れ顔。沖田はというとそんな彼女を見てニヤっと笑う「こりゃあ万事屋の旦那も愛想尽かして異世界に逃げるわけだぜ」「んだとコラァッ!! 嫁に逃げられたコイツと一緒にすんじゃねえヨッ!!」「逃げられてねえって言ってんだろうがァァァァ!!!」神楽は怒鳴りながら指さした方向には無論ナギの姿が、怒鳴っている彼の姿を見て新八は「うーん」と顎に手を当てて考える。「でも実際そうかもしれませんよ、夫のナギさんに何も言わずにどっか言っちゃうなんて、夫婦の絆ってのは非常にデリケートなんですよね」「てめぇはそういう事に一切無縁のクセに黙っとけやこのチェリーッ! 」「チェリーは一生アイドル追っかけてるから結婚出来ないヨ」「なんだとぉぉぉぉ!!! お前等世界中のチェリーボーイに謝れぇぇぇぇ!!!!・・・・・・ちょッ! すみませんごめんなさい!! へねぶッ!! アンタ等二人がかりで卑怯だろッ! おぐしおッ!! 何でいつも仲悪いのに僕をシメる時は一致団結してんのッ!? あぎッ!!」 ナギと神楽の一言に激昂した新八が彼等に殴りかかろうとするも逆にやられて、悲鳴を浴びてる中。近藤がそんな三人組を見てポツリと一言「いつもの三人組と何ら大差無いんじゃねえかコイツ等?」「あの魔法使い何故だか分かりやせんが万事屋の旦那と同じ匂いしますからね」ボッコボコにされてる新八を眺めながら、近藤と沖田は何処か懐かしい光景を思い出すのであったナギ、新八、神楽一行はとりあえず、「今後銀さんの情報が来たら何か教えて下さい」、「俺のカミさんの事も忘れんじゃねえぞ」、「腹減ったアル~」と残して屯所を後にした。かぶき町を三人で歩きながら万事屋へと向かう。「それにしてもあいつ等に任せて大丈夫なのか? ドSとゴリラだぜ?」「まあ性格はアレですけどいざとなったら頼りになる人達ですからここはあの二人に任せましょう、異世界に行けないのはちょっと残念ですけど・・・・・・いいな女子校、何で銀さんとか土方さんはそんな羨ましい所行けるんだろ・・・・・・」「女子校ねぇ・・・・・・まさか俺が知ってる女子校じゃねえだろうな・・・・・・」残念そうな表情を浮かべる新八の隣でもしや?っと眉をひそめているナギの更に隣では神楽が帰る道中で彼に買ってもらった団子を一口で食していた。「こんな団子で私の心を動かそうとしても無駄だぞコラぁ」「勘違いすんなよ、お前の『腹減ったコール』がうるさいから買ってやっただけだ」「これだけじゃあ足りないアル、途中でコンビニ寄って酢昆布大量に買ってこいヨ」「酢昆布? お前そんなのが好物なの? か~今時のガキの味覚は本当わかんねぇ~」「神楽ちゃんは普通の女の子とは別格ですから」「何度も思うんだけどこんなガキとお前の所の上司はよく付き合ってたな」隣で睨んでくる神楽にそっぽを向いて新八の方に話しかけるナギ、新八はそれに「アハハ」と笑いながら答える「銀さん自体が破天荒な人でしたからね、すっごいんですよあの人、普段はだらけながら死んだ魚の様な目をしているのに、本気になればメチャクチャ強いんですよ」「へ~どうでもいいけどそういう奴なんだな、ていうか本当にそいつ侍?」銀時の事に少し興味を持ったナギが歩きながら新八に質問する。それに新八は少し声を潜めて彼に近寄る。「・・・・・・あんまりこれは周りの人に言えないんですけど、実はあの人って元々攘夷戦争で活躍してた侍なんですよ、あれ?もしかしてそのせいで江戸の神隠しに被害に遭ったのかな・・・・・・」「攘夷戦争ッ!? そいつ攘夷志士だったのかよッ!」声を上げて意外そうに驚くナギに慌てて新八が自分の口元に人差指を立てて静かにするよう促す「声がデカイですって・・・・・・!! 銀さんが攘夷志士だったなんて幕府の連中にバレたら大騒ぎなんですよ・・・・・・!? とにかく銀さんはその時からメチャクチャ強くて、攘夷戦争を生き残った今でも僕達と一緒にいろんな奴等を相手にして倒してきたんですよ」「まさかそいつが攘夷志士だったなんてな・・・・・・でもそれでそいつが俺より強いかどうかはわかんねえぜ? 問題はそいつが“どんな奴等”を倒して来たかって事だ」「そりゃあまあ数えきれないぐらいバッタバッタと倒してきましたよ銀さんは、最後に戦ったのは『吉原』の時だったかな?」「吉原?」新八が言った『吉原』という言葉にナギは反応する「吉原の誰と戦った?」「ナギさん吉原を知ってるんですか? 驚かないで下さいよ、なんと銀さんはあそこを牛耳っていたあの『夜王』を倒したんですから、まあ銀さんはただの袋叩きだったって認めて無かったんですけど・・・・・・ナギさん?」話を聞いているナギの表情を見て新八は不審に感じる。さっきまでずっとだるそうにしていた彼が真顔でこっちをジッと見ていたからだ「なるほど、鳳仙を倒したのはそいつだったのか・・・・・・てことは俺は“その男にも”救われたって事になるな・・・・・・」「救われた?」ナギの言っている事がさっぱり出来ていない新八は首を傾げる。話を聞いていなかった神楽は何事かとそちらに目をやる。「どうしたアルか?」「ナギさん、アンタ夜王となんか関係があったんですか・・・・・?」「・・・・・・あいつは・・・・・・・」夜王の事を新八に尋ねられてナギの足はピタッと止まり、何処か遠い目をしながら天を仰いだ。“あの男”と最後に遭った時の会話、それが脳裏にフラッシュバックされるあれは6年前・・・・・・・「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・・」「・・・・・・いかに伝説の英雄と言われようが、貴様も人の子だったな・・・・・・」「鳳仙ッ!! てめぇ・・・・・・!!」「ナギッ!」「女連れでこの『夜王』との“因縁”から逃げ切れると思うたか、クックック・・・・・・・まさか偶然同じ場所を住処にするとは・・・・・・運命とは皮肉なモノだな」「チッ・・・・・・!!」「心配するな貴様は一生わしの下で生かしておいてやる・・・・・・わしがあの世界にいた時に手に入れたこの『封筒』・・・・・・この中で永久に生き続けるがいい・・・・・・」「俺の事は何やっても構わねえ・・・・・・けどその人は・・・・・」「ナギ・・・・・・・」「自分の事より女の命を乞うか・・・・・・? フン・・・・・・特別に生かしてやるよう処分してやろう・・・・・・あくまで“生かすだけ”だがな・・・・・・!!」「チクショウ・・・・・・・」「貴様との長かった因縁も・・・・・・これで終わりだッ!!」あの男と会話したのはそれが最後だった「どうしたんですかナギさん?」「今はまだ言いたくねえけど・・・・・・お前等にいつか教える時が来るかもな・・・・・・・」ナギの表情を見て、この話しは彼にとってはデリケートな部分に触れるのであろうと感づいた新八と神楽は気にしてなさそうに少し笑った「・・・・・・まあ言いたくない過去は誰にだってありますからね、夜王とナギさんの関係はそれ以上聞かないようにしときます」「お前の話なんかどうでもいいけど喋りたくなったらいつでも喋るヨロシ、新入りの相談に乗ってやるのが先輩である私の役目ネ」「ワリィな」「いいんですよ、それより僕もお腹空いて来ましたし、何処かで食事しませんか?」ナギの話から話題を変えて何処かで昼飯をとろうと新八は二人を誘う。案の定神楽がそれに賛成して手を上げた。「私焼き肉食べたいアルッ!」「お前昼から焼き肉ってどうよ? つうか高くて食えねえよそんなの」「アハハ、神楽ちゃんの場合牛一頭分は食べるからね、ここはファミレスで手を打ちましょう」「貧乏人の私達は所詮そんな所しか行けないアルか、ジョジョ苑とか行きたいヨ~」「無理に決まってんだろそんなハイレベルな所、あそこは選ばれし者しか行けねえんだよ」「てめぇさっさと金稼いで来いヨ、コラァ」「あん? まだ万事屋再開の準備もしてねえんだよ、どうやって稼ぐんだバーロー」「全然この二人仲良くなる気無いんだけど・・・・・・よし銀さんが帰ってくるまで僕が頑張らなきゃッ! でないとこの二人何やらかすかたまったもんじゃないよッ!」神楽とナギがまた険悪のムードになっているのを新八が間に入って必死に制止する、賑やかな三人組はかぶき町の中を歩いて行き人ごみの中へと消えていった。場所戻って真撰組屯所。沖田と近藤は茶を飲みながらのんびりと庭を眺めていた「は~うるさい奴等がいなくなって静かになりましたねぇ近藤さん」「そうだなぁ、ところで総悟、一つ聞きたい事があるんだが?」「何です?」「さっきちょっと話してたけどよ・・・・・・お前トシが中学生の女の子と結婚するって言ったらどうする?」「そんな面白いイベントあったら俺はもう狂喜乱舞ですね、その時の土方さんを是非この目で拝見してぇや、俺も異世界行こうかねぇ・・・・・・」お茶を飲み終えて煎餅をボリボリと食べながら沖田はつぶやく。ぶっちゃけ彼にとっては異世界の行方不明者よりそっちの方が気になっている。考え事をしてる彼に近藤が再び質問する。「じゃあよ、仮にだぞ? 仮に“俺が”中学生の女の子と結婚するって言ったらどうだ? いや~実はよ俺あっちの世界の学校で・・・・・・」「殺しますね」「・・・・・・総悟今なんて言った?」「一片の肉片も残さずそのガキを殺しまさぁ」・・・・・・・・・・・しばし固まる空気。近藤は煎餅を口にくわえて純粋な目でこっちを見ている沖田と目が合ったまましばらく微動だに出来なかったが、数十秒経ってようやく口を動かせた「・・・・・・総悟、俺がお妙さんと結婚したらどうする?」「祝福しますぜ、近藤さんをしつける事が出来るお人ですし大歓迎でさぁ」「・・・・・・俺が中学生の女の子と結婚したら?」「殺しますね、なんで中学生とかションベンくせぇガキを姐さんと呼ばなきゃいけねえのかムカつくし、まず近藤さんの嫁としてそんなガキを俺は認めたくねえです」「あ~そうなんだ~・・・・・・トシは良くて俺は駄目なんだ~・・・・・・」呆然と庭を眺めながら呟いている近藤に沖田がまた口を開く「俺は土方さんは見てて笑えますけど近藤さんの場合は笑えませんね、ところで何でそんな事聞いてくるんです?」「い、いやもしかしたらそういう可能性もあるんじゃないかな~見たいな~!! トシだってそういうのあるんだから俺にもあるかもって思っただけだからッ!」「あ~やっぱ冗談ですよねこいつは良かった、けどもし本当に近藤さんの嫁だと名乗る中学生のガキが出てきたら俺にとって土方さん並に血祭りにしたい“ターゲット”ですね」(こりゃあ総悟の奴何があっても認めねえなぁ・・・・・・まああの子が言ってたのは冗談だと思うし大丈夫だよな・・・・・・)自分の腰に差している刀をカチッと握っている沖田を見て近藤は顔から汗を出しながら目を逸らす。それからはプラス思考で必死に異世界にいる彼女の安否は大丈夫だと信じた。だがあの少女は本当に“冗談で言った”のだろうか・・・・・・「まさかあの若さで一日しか会ってない、しかも俺みたいなゴリラ男とそんな事考えてるわけないよな・・・・・・いやでも若さゆえのノリっていう可能性も・・・・・・いや逆にノリでそういう冗談を言ったんじゃ・・・・・・」「何ブツブツ言ってるんですかぃ? 携帯鳴ってますよ近藤さん」「え? ああ本当だ、一体誰だ考え事してる最中に・・・・・・!!」独り言を呟いていた近藤に沖田が彼の胸ポケットを指さして携帯が鳴っているのを促した。近藤は不機嫌そうにその携帯を耳に当てる「もしもし誰だッ! 今こっちは忙しいんだよッ! 俺の人生設計に関わる問題なんだよッ!」『ああ? テメェみたいなゴリラの人生設計なんて知らねえよ、おじさん本気なればお前の人生なんざ上野動物園でもサファリパークにでも搬送決定に出来ちゃうんだぞ、どっちがいいんだ近藤? それともアフリカにでも放して野生に帰してやろうか?』「でぇぇぇぇぇ!! とっつぁんッ!? わ、悪いッ! 今ちょっと考え事してて・・・・・・」携帯の相手は松平のとっつぁんだと気づいて、慌てて謝る近藤。それから電話越しにとっつぁんの舌打ちが聞こえてくる『まあそんな事より本題に行くぞ近藤、実はお前か総悟にだけしか頼めねえ事情があるんだが・・・・・・』「おうッ! 何でも言ってくれッ!」『実はな・・・・・・ゴニョゴニョ・・・・・・』近藤と松平の密通はしばらく続いた。江戸の住人達は着々とある舞台への為に準備を進めるのであった教えて銀八先生銀八「あ~一通目正宗の胃袋さんの質問」ネギに質問ぬらりひょんに対して不満やムカついた事がありますか?ネギ「僕は銀さん程では無いですが不満はあります、時々仕事して欲しいなとは思ってるんです・・・・・・」学園長「フォッフォッフォ、ワシは一番偉いから仕事なんてしなくてもいいんじゃよネギ君」銀八「どうだネギ?」ネギ「・・・・・・ちょっと殺意が芽生えました・・・・・・」銀八「二通目、風凪五月さんの質問」新八へ質問です。もしネギま!世界の本編に出れるとしたら、今よりも扱いの酷い学園長のポジションでもOKですか? 出番が無かったほうが幸せかもしれないと思える位置でも良いですか? 返事は『イエス』か『はい』で答えてください☆新八「両方とも『はい』じゃんッ! 僕の人権ナッシングッ!?」ナギ「ぶっちゃけ今でもそんな扱い良くないよなお前? だって『新八』だし」神楽「しょうがないアル、『新八』という時点で負け組決定ネ」新八「『新八』という存在だけで負け格にすんなぁぁぁぁ!!!」銀八「三通目、蛙さんの質問」沖田と近藤さんに質問。麻帆良学園女子中等部で教師が出来るとしたら、どの教科を教えたいですか?担当クラスは3‐A限定で近藤「まあ学が無い俺が出来るのは精々『体育』ぐらいだろうな」千雨「暑苦しそうだな・・・・・・なんか似合ってるけどよ・・・・・・」沖田「まあ学が無い俺が出来るのは精々『拷問』ぐらいだろうな」千雨「ねえよッ! つうか怖えよッ!!」沖田「授業内容は主に俺の調教テクニックを惜しげもなく生徒達に披露する事、もちろんテメェ等直々に体験させてやるよ」千雨「一点の曇りも無く自分の欲求を言ってんじゃねえよッ! ここをXXX版に搬送させる気かアンタッ!」沖田「出来ればそうして欲しいねぇ」千雨「銀八の世界ってこんなのばっかだよな・・・・・・」銀八「四通目ゼミルさんの質問」男が居る女性陣に質問。あわよくば相手の男とどこまで関係を持ちたいと考えていますか?XXX版クラスの内容でお答えください。特に銀さんハーレムの女性陣とアーニャは詳細に。あやか「まああの人が求めるならどんなマニアックな物でも答えようと・・・・・・」千雨「おい止めろッ! 本当にさっきのアイツの欲望通りにXXX版行きだぞッ!!」のどか「そ、そういう事はちょっと・・・・・・」夕映「夫婦になるのであれば色々と関係を持つのは当たり前です」ネカネ「私は手でも出して来たら何の躊躇も無く殺します、あれあの子は?」銀八「ここで出るわけねえだろ」銀八「五通目テレフォンさんの質問」銀さんへ質問。この際いっそ文化祭編までいって超たちと一緒に学園祭ぶっつぶしちゃったらどうです?銀八「文化祭編まで行けって意見最近多くね? 言っとくけどぶっ潰す前にそもそも俺は文化祭があっても行かないよ? めんどくさいし」新八「じゃあ文化祭編からは僕が主役で始まるっていうのはどうでしょうかッ!?」銀八「いくらこの作品でもそこまで危ない橋は渡らねえよ、ていうか橋なんてねえよ、谷底にそのままスポンだよ」新八「そこまで言うッ!?」沖田「ちなみに続編はあまりにも読者の希望が多いので最近思案中です」銀八「六通目とびかげさんの質問」銀八先生へ質問マヨラー侍とは飲み比べは互角としてナギとはどっちが酒強いですか?新八「二人が飲み比べをして」千雨「三時間後」銀八・ナギ「「おろろろろろろッ!!」」あやか「結論両方とも同レベルですわ」神楽「まだどっちのゲロが多いかは決着ついてないアルッ! 頑張れ銀ちゃんッ!」エヴァ「それを私の家でやるなぁぁぁぁぁ!!!」銀八「うっぷ・・・・・・七通目ウィルさんの質問・・・・・・」今回は万事屋メンバーではなくてたまにはアスナでいきます。一体いつになったら長年想い続けるタカミティンに告白するんですか?アスナ「タカミティン? 誰それ?」銀八「これ」タカミティン「・・・・・・」アスナ「あ、結構ワイルドで素敵・・・・・・」ネギ「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」銀八「八通目エンジンさんの質問」ナギに質問。銀さんと比べられることは相当腹が立つようですが、実際どう思ってます?ナギ「神楽の口からそいつの名前が出る度にイラついてくるんだよな」新八「実際似てますからね二人共」ナギ「何言ってんだ俺はあいつと違って自分の女は一人と決めるんだぜ」新八「そこは本当に銀さんよりしっかりしてると思います」沖田「将来的にあの人の嫁はエグザイル並になるんじゃないですかぃ?」新八・ナギ「あ~~~」銀八「なるわけねえだろうが・・・・・・!」銀八「ったく・・・・・・九通目オレの「自動追尾弾」さんの質問」銀さんに質問銀さんから見て、ネギの『下の杖』はどうですか?色、大きさ、実用性の順に述べてください。銀八「あ、すんませんまだ見た事無かったので今からチェックします」ネギ「ちょッ! 銀さん待ってくださいッ! 何をッ!?」銀八「ジッとしてろ、今からてめぇの“デカさ”を・・・・・・」ネギ「いやぁぁぁぁぁ!!」銀八「おい騒ぐんじゃねえってッ!」アスナ「ア、アンタ・・・・・・そこまで腐ってる人間とは思ってなかったのに・・・・・・」銀八「え?」カモ「道理で女に囲まれても平気な顔してたんスね・・・・・・」銀八「違う違うちょっと待ってッ! 誤解しないでちょっとッ! おい待てってッ! 俺の話を聞けぇぇぇぇぇ!!!」沖田「旦那が行方不明になったのでこっからは俺が旦那の代わりに答えやす、十通目風の都さんの質問」銀さんへ外伝で沖田君にプロデュースされた柿崎は元気にしてますか? 沖田「あ~いたねそんなメス豚」千雨「メス豚って・・・・・・ちなみに元気にやってます外伝と本編は別なんで・・・・・・・」沖田「本編で会ったらもう一回教育し直さなきゃねぇ・・・・・・」千雨「あ、柿崎の奴終わったわコレ」沖田「十一通目サハリンさんの質問」ロリコン糞天パに質問ジジィを虐めるGS組織っていくつあるんですか?全国ですか?それとも麻帆良学園内ですか?沖田「旦那曰く、色々な世界に存在する様です」千雨「は? どういう意味?」沖田「銀魂やネギまだけじゃなく、様々な作品にGSというのは存在するって事だぜ」千雨「はッ!?」学園長「世界規模ってレベルじゃねえじゃんッ!」沖田「十二通目ペケペケさんの質問」学園t・・・変態ジジイに質問。11月16日発売のジャンプ(銀魂内)の中にパンデモニウムと言う生き物が出現しましたが、あれまっすぐにしたらあなたの頭部そっくりになりませんか?アレの亜種とか、希少種とか何か関連性はあるんでしょうか。学園長「ねえよ、ワシはあそこまで化け物に見えるならお主は一旦眼科に行け」新八「そうだッ! パンデモニウムさんをこんなエイリアンと一緒にするなッ!」学園長「んだとこのメガネェェェェ!! いきなり偉くて立派なワシに向かってなんじゃその態度はァァァァ!!」新八「パンデモニウムさんの方が立派じゃボケェェェェ!!!」神楽「あらら~見るも哀れな乱闘やってるアル」ナギ「本当見てると情けなくなってくるな、ジジィが勝とうがダメガネが勝とうが死ぬほどどうでもいい」沖田「はいここで旦那が帰って来たので交代しやす」銀八「ハァハァ・・・・・・あいつ等の誤解解けるのに時間かかった・・・・・・十三通目・・・・・・はきさんの質問・・・・・・」修学旅行へんには山崎って出てきますか?個人的にかっこいいジミーとか見てみたいんですが。山崎「そんな事言ってくれるなんて俺嬉しい・・・・・・グス・・・・・・・」土方「お前が出るかはまだ言えねえんだがな、ていうか何で山崎にこんな質問来るんだ?」新八「そうですよッ! 僕にはこんな質問来た事無いですよッ!」山崎「まあまあ新八君、フフ、君にもいつか来ると思う、よ?」新八「何だその勝ち誇った顔はァァァァ!!」銀八「『五十歩百歩』って奴だな」土方「もしくは『目糞鼻糞を笑う』って奴だ」銀さんからの重要なお知らせ銀八「え~読者の皆様、突然ですが『教えて銀八先生のコーナー』は次回で最終回とさせて頂きます、今まで本当にありがとうございました」千雨「ありがとうございました~」あやか「あれ? 何で次回で最終回なんですの?」銀八「もうすぐ修学旅行編が始まるんだよ、その間は質問コーナーを打ち止めにして本編に集中したいのが作者の意見らしい」エヴァ「なるほど、“実に”自分勝手な意見だ」銀八「という事で読者の諸君、これからも『三年A組 銀八先生!』をよろしくピ~ス」エヴァ「次回何も質問が来なかったら笑えるな」千雨「お前は笑えるけど作者は笑えねえよ・・・・・・」次回、三十四訓・『一生隣で笑ってくれる奴等がいる事こそ最高の幸せ』