初出 2009/03/11 以後修正
─第8話─
修学旅行準備編その2。『宇宙刑事』、爆現!
──────
やあ。俺だよ俺。そう。俺俺。
今俺、事故っちゃってさ。
示談金としてちょっと金が必要なんだ。
だから、今から銀行に金を振り込んで欲しいんだ。
お前しか頼る奴がいないんだよ。
頼むよ!!
「……てな事言われて、ホントに金を振り込みに行こうとするお前ありえない」
「う、うるさい!」
そんな事を俺と中身幼女外見名称エドは銀行のATM前で話しております。
いわゆるアレです。俺俺詐欺。正式名称振り込め詐欺。
「俺が通りかからなかったら振り込んでたとかマジありえない」
「こういうハイテクは苦手なんだ! しかたがないだろう!」
そうですね。こうしてお年寄りは引っかかっていくんですね。
詐欺じゃないんですか? って話聞かないお年寄りを相手にする銀行員の人マジで乙。
つーかハイテク関係ねえ。
ちなみに奴が電話を受けたのは寮の部屋電。
どうやら俺が外出しているところに侵入して電話を勝手に受けたらしい。
「勝手に入るなよ」
「私の部屋でもあるんだぞ」
「マジありえない」
「うるさい!」
「テメーら静かにしろー!」
「きゃー!」
俺達以外の客が、頭を抱えてうずくまった。
あ、修正。俺も頭は抱えた。
「そんな事より、むしろ今の状況のが、なんで?」
「それこそ私の知った事ではない」
うん。今丁度銀行強盗に人質にされてるんだ。
他のお客さんと共に。
なんでここ日本なのにマシンガンとか持ってんの? さすが元々は漫画の世界。
ぶっちゃけさっきのきゃっきゃうふふな会話は現実逃避でありました。
あはは☆
……もう色々ありえん。
くいくいと、すそを引かれた。
振り向くとそこには半デコちゃんがいました。
「あれ? なんでここに?」
「いえ、このかお嬢様が事故を起したと電話があり……」
君もかあぁぁぁぁぁぁ!!!
「いいから静かにしろー!」
俺達人質のいる天井がどががっと撃たれましたよ。
人質とって立てこもるとか、状況が漫画過ぎる。ありえないよホント。
でもこうして巻きこまれているんだから困るよなぁ。
「おい」
とりあえず、人間相手にはすでに楽勝である中身幼女へ聞いてみる。
耳元でひそひそと。
「無理だ。桜咲刹那がいる。私がなにかすればバレる可能性は150パーセントだ。一回気づかれてさらに気づかれるくらいの意味でだ」
どこのヨハネスブルグの例えだ。
つかお前なんでそのネタ知ってんだよ。
「ちっ」
「むしろお前がやればいいだろうが。時を止めれば誰にも気づかれずにやれるだろう?」
うん。そうなんだけど。
問題は、ここに半デコちゃんがいるという事かな。
俺、人と関わっちゃなんねえと彼女に言ってあるからね。それで俺が解決とか、おかしな話じゃん?
というか、どちらかというと、期待されている気が……
ほら、視線的にさ、なんか微妙に、活躍を期待する感じの。
いやでもだから無理。とか否定すると、半デコちゃんが無茶しそうだし……
一瞬で、強盗全員を。しかも俺とバレず、半デコちゃんには『宇宙刑事』として……
……嫌なヴィジョンが浮かんだ。
いわゆる、『変身』をして正体がばれないからOKとか言えば、万事解決。
これなら他の人にばれないという事で、半デコちゃんも納得の展開&期待に答える事が出来る。
ただし、俺(の心)が、死ぬ。
「おら、車はまだかって言ってんだー!」
外に向かって銃を乱射する銀行強盗。
「ちっ、うるさい奴等だ」
つか幼女の方も抑えが効かなくなってきてるー。
しかたない。俺が、俺が泥をかぶろう。
「しかたがない。俺がなんとかしよう」
「え?」
「ほう」
半デコちゃんと中身幼女が俺を見た。
床に落ちていたボールペンとレシートを手に取り、きゅきゅっと一筆。
そしてポケットから一つのベルトを取り出し、人質の中から立ち上がる。
人質達の視線が集まる前に……
「装着!」
そんな声が、銀行内に響いた。
───桜咲刹那───
『宇宙刑事』キタァァァァァ!!
───エヴァンジェリン───
変態が現れた!!
ぶふはっ!!
私は思わず噴出した。
「ジャスティスボンバー!」
直後私は爆発した。
──────
俺、爆現!!
装着の言葉と共に、俺は変身した。
『きめ技スーツ』
ベルトの形をした道具。これを腰にはめ「装着!」と言うと、ヒーローに変身できる。
紙に技名をペンで書いてベルトに入れ、その技の名前を言うとその技が発動する。
これはヒーローになるというより、必殺技を使うための道具だ。装備して得られるものはヒーローの姿と、必殺技のみ。
だが、必殺技があれば十分!
こいつで、銀行強盗を瞬殺してくれる!
まあ、ちゃんと保険でバリア系の防御手段は用意しておくけど。
「待てい貴様等!」
片手をあげ、銀行強盗へ声をかける。
「だれだてめぇは!」
「通りすがりの、『宇宙刑事(笑)』だ」
ちなみにヘルメットの下には涙が滂沱のごとく流れているヨ。
半デコちゃんのきらきらした目が俺に突き刺さっているヨ。
「人質を取っての銀行強盗とは、断じて許しがたし! よって即必殺!!」
俺は問答無用でスーツ付属の剣を振り下ろした。
「ちょっ!」
大した口上もなしにいきなり武器を振りかぶった俺に驚く強盗達。
そもそも目の前に赤い宇宙刑事が出てきたら呆然ともするよね。
「ジャスティスボンバー!」
ちゅどーん!
『ジャスティスボンバー』
俺がさっき作った必殺技。効果:悪人は爆発と共に車田飛びで吹っ飛びます。
銀行強盗全員が車田飛びで吹っ飛んだ!
……一緒に中身幼女も吹っ飛んでました。
「あ……」
……『悪人』と設定したから、自称悪の魔法使いも一緒に吹っ飛びましたわ。
あ、銀行員の一人も吹っ飛んでる。
「きゅう」
強盗と同じく幼女も気絶したぁぁぁぁぁ!!
幻が解けないところが真祖の吸血鬼としての面目を保っているといったところか。
……あ、後が、後が怖いです安西先生。
『諦めなさい。そこで人生終了ですよ』
やすにし先生いぃぃぃぃ!!
俺の脳内安西先生はぽっちゃり系とは思えない速度で逃げてった。
後の事は後で考えよう(現実逃避)
呆然とする人質を尻目に、俺は一言。
「ふっ、悪は滅びた。それでは皆さん。ジャスティスオサラバ!」
俺の作った必殺技その2。『ジャスティスオサラバ』。
観衆の見ていない場所へ移動し、変身を解除出来る。正体を守るための技。
この場合は人質達の背後に登場したのさ。
『宇宙刑事』が消えてびっくりしている人質を尻目に変身を解き、俺は半デコちゃんに近づく。変身幼女も抱きかかえてくれているから、丁度いい。
「エドを支えてくれてありがとう」
「ひゃっ!」
いきなり現れたからか、驚かせてしまった。
「ああ、すまない」
この後警察が突入してきて、床に倒れている犯人達を、首をひねりつつも確保。
そのゴタゴタの間に中身幼女を担いで脱出。
事情聴取とか面倒ごめんですからね。
特に中身幼女に関しては。
……なんで俺がこんなフォローを。
あ、俺が気絶させたからですね。そうですね。
──────
数ブロック離れ、ほっと一息。
「あの……」
はわっ!
振り向くと、半デコちゃんがいました。
「よかったんですか?」
「え? なにが?」
「その、銀行強盗へ……」
「ああ、平気平気。さっきのように変身していれば問題はない。君の場合はこの姿のままだったからな」
「そうなんですか! それは、よかった」
うん。そういうわけだから。安心してね。
変身したのはむしろ『俺』って周囲の人にバレないためでもあるけどさ。
「と、ところで!」
「はい?」
「あの……その……」
ちらちらと、俺のベルトバックルあたりを見ている。
あー、そういう事か。
変身道具が欲しいのだね。
それで、姿を隠して、お嬢様を守りたいわけだね。
確か、修学旅行編ではネギと一緒にお嬢様の護衛をするんだっけ。
そこで、彼等。いや、彼女達かここだと。と、仲良くなるんだよな。
となると、これでそれを与えると、明らかに原作とは違う展開が待っている。
このかがサルにさらわれた時颯爽と現れる変身刹那。
シネマ村でサムライ剣士から変身する刹那。
スクナのところで変身しつつ翼を出して跳ぶ刹那。
全部裏方に徹しつつ表に出るときは変身している刹那。
……それはそれでちょっと見たいかもしれないが、俺見に行くわけじゃないからどうでもいいや。
つかそういう冒険嫌。ひさしぶりに言うけど俺はヘタレだから、安全確実が一番なの。
原作の流れそのままサイコー。
ヘタレ関係ないという話は聞こえない。
慎重になるのは幼女の時道具渡して失敗したからなんだがネ!(コピーロボの件)
よって、君に変身道具などを渡すわけにはいかない!
仮面などかぶらず、仲良くしたまえ!
よってそのような希望は諦めてもらおうか!
「一つ聞こう」
「はい?」
突然、語りだした俺に、びっくりした半デコちゃん。
「ヒーローはなぜ、変身するかわかるかい?」
「自らの正体を隠すため。でしょうか?」
いきなりの質問なのに、よく答えてくれた。そして、反射的にその答えが出たという事は、それが君の持つ変身のイメージなのだね。
「うん。それも答えの一つだね。だが、本当はそうじゃない。ヒーローの変身とは、その正体が知られる事によって、身近な人が狙われてしまう事を防ぐためでもあるのだ」
「っ!」
「つまり、変身とは自分の身を守るためにするんじゃない。自分の身近な人を守るためにするものなのだ!」
「ガーン!!」
ふっ、どうやら、俺の言いたい事は、伝わったようだ。
ちなみに俺は、描写的にはリングサイドのコーナーに置かれたいすに座って真っ白状態です。
もうね。自分の言ってる事そのまま自分にイテエェェェェ!
勘弁してください。
自分の正体は自分のために隠してます。全然他人のためなんじゃないです。
言ってる自分に一番響く口撃ってなんぞこれえぇぇぇぇぇぇ!
なんだこれ。言った事がそのまま自分にもダメージ入るって、これなんて自爆技?
「君はどうだ?」
「……」
「君は、身近な者を守るために、変身を望むのか? それとも、自分の身を守るために、変身したいのか?」
心の痛みを抑えながらも、俺は続ける。こう言うとちょっとかっこいい。少し癒された気がする。
「……」
「もし後者ならば、君に必要なのは、道具としての変身ではない」
「……え?」
「なぜなら君は、すでに『変身』しているからだ。自分自身の身を、守るために」
「っ!?」
これは、展開を知っているから言える言葉。
それゆえ、彼女を諦めさせるにはもっとも有効。
本当の姿を隠しているのを知っているから出来る断言だ。
「変身している者に、変身する道具を与えるわけにはいかない」
「……」
「そして、君に必要なのは、その真逆。あとは、言わなくてもわかるね?」
「……」
少女は、もう、なにも答える事は出来ないようだ。
ぐふぅ!
また俺は心の中で血を噴出す。
イメージ的には口と目から血を流してる。白目向いてな!
言った事が全部自分に当てはまる。
彼女を説得するたびに自分にダメージが入る。手に負えねーぜ。
「俺の話になるが、正体を、明かしてもいい人間は、いる」
少女は、はっとして、顔を上げた。
「それは、信じられる、仲間」
そう。ネギ先生とか神楽坂明日菜とか。お嬢様もそうだね。
確か、修学旅行中誰かに見せたくない翼を見せたはず。
それが出来たから、彼女達との距離が縮まったはずだ。
このくらいのアドバイス(?)なら問題ないはず!
つーか、俺にも正体明かせる事の出来る人いねーかなー。
「俺の場合(宇宙刑事)で言うなら、君。君には、いるかい? そういう仲間が」
「わ、わたしは……私には……」
「今思いつかなくてもいい。でも、いつか思い出してみるといい。本当に守りたいものが、なんなのかを。その時君は、はじめて本当の『変身』が出来る」
「……」
「君がなにを望んでいるのか、俺にはわからない。ただ、その時勇気が出せるよう、俺は君を見守っていよう。勇気が足りないと感じたら、空を見るんだ。最初に目に入った光。それが俺だ」
そう、天を指差す。
少女も釣られ、空を見た。
もし、こんなので本当に勇気が出るのなら安いもんだけどな。
「それじゃ、俺はもう行くよ。また、迷子を見つけたりしたら、教えてくれ」
「はい」
中身幼女を担ぎ、俺は半デコちゃんの前から姿を消す。
ふー。適当な話だったが、どうやらごまかせたようだぜ。
地獄のような心の痛みだった。
この心の痛み、インフェルノペインと名づけよう。
つーか、そのまま流れどおりに話が進めばなんとかなるから。
恐れずに進めばいいよ!
俺の犠牲は無駄にしないように、原作通り進むといいよ!
───刹那───
……あの人は、私がなにを望んでいるのか、すべてを見通したかのように、語りはじめました。
変身するのは、自らを守るためではなく、身近な人を守るため。
自分が傷つく事を恐れるのではなく、他者を傷つかないようにするため。
そして、すでに変身しているものに、変身はあたえられない……
あの人は、気づいている。
そして、必要なのが、なんなのかも、知っている……
私に、足りないのは、勇気……
でも、駄目です。
私は、あなたのようなヒーローにはなれません。
このちゃん……
───エヴァンジェリン───
今私は、奴の背中にいる。不覚ながら、奴の攻撃で少しの間気絶していたのだ。
なんなのだあの理不尽な衝撃は。私の魔法障壁など関係なく私を吹っ飛ばすとは。なんだあの飛び方。おかしいだろ。理不尽だろ!
……
桜咲刹那と奴の会話は、ある程度聞いていた。
自分の身を守る以外に姿を変えるなど、馬鹿な話だ。
身を守るために姿を変えるのは当然の話だ。
「仮面を被ってでも近くで守りたいとは、いじらしいじゃないか。くれてやってもよかっただろう?」
「やっぱり起きてたのか」
「ふん」
そういえば、修学旅行中、桜咲刹那はあのネギの小娘と共に関西呪術協会への親書を守る任務を与えられていたな。
「言ったろ。自分の姿を隠すための変身なら、道具は必要ないって。大体姿を隠したいなら覆面でも被ればいいんだ」
「まったくだ。だが、貴様の期待する桜咲刹那は、貴様の言った事など出来んよ。あいつは私とよく似ている。だから、よくわかる」
そう。よくわかる。
自分と同じように、生まれの不幸を背負った存在。
それゆえ、誰にも受け入れてもらえないと、確信している存在。
「そうかな? 俺は信じてるよ。あの子がちゃんと、変身出来る事を」
だが、この男は断言する。
「そんな事はない。勇気を出したところで、受け入れてもらえる事などはない。それがわかっているから、奴はその一歩を踏み出す事など出来ない」
「半分人間じゃないとか関係ないさ」
「っ!?」
こいつ、知っているのか。
知っていて、そう言っているのか!?
「すでに受け入れられているんだよ。彼女も、君も、気づこうとしていないだけなんだ。見ようとしていないだけなんだよ」
どこまで知っていて、それを言っているんだ!?
そういえば、コイツは私を倒したあの夜。私を600歳と言ったな。私の正確な年齢など、知る者などいないはずなのに。なぜあの時気づかなかった。
……こいつ、私の事も、どこまで知っているんだ!?
「そこを見る事が、彼女には必要なのさ。勇気を出すって事さ」
「……貴様に、貴様になにがわかる!」
今は、あの桜咲刹那の事を話しているはずなのに、私はまるで、自分の事のように叫んでしまった。
「わかるよ。大丈夫。あの子には、ネギがいる。近衛このかがいる。神楽坂明日菜がいる。桜咲刹那は、自分を受け入れてくれる世界が身近にある事を、受け入れる勇気がまだないだけなんだ」
なぜお前は、そこまで確信できるのだ。
「彼女はその一歩を踏み出すだけ。勇気を出せば、あとは受け入れてもらえるのに」
だから、仮面は邪魔だというわけか。
「……ふん」
あの娘には、受け入れてくれる者が存在する。か……
確かにそれならば、奴の言う変身は出来るかもしれないな。
それに、私とは違い、異形であったとしても、そいつ等と共に生きて行けるだろうからな。
私と違い、置いて先に逝ってしまうなんて事もないだろう。
……ああ。
ああ、そうか。私は、受け入れてもらえる奴が、うらやましいのか……
自分には、出来ない事を実現できる、あの娘が……
それはそうだ。
あの娘と違い、私の手は、血に汚れている。
受け入れてもらえるはずなどない。
経緯はどうであれ、私は悪の……
「そんな事はないよ」
「え?」
まるで、私の心を読んだかのように、奴の声が響いた。
「君も望めば、手に入るよ。共に生きられる世界をね」
それは、なぜかとてもとても、優しい声だった。
「……」
「だから、勇気を出して、一歩踏み出してみればいい。受け入れられている事を、受け入れてみるといい」
「無理だ……」
そうだ。無理だ。今まで生きて、受け入れてくれるものなど、誰もいない! 誰も、いなかった! 共にあったのは、チャチャゼロのみ! 私は、どこまで行っても、いつも一人だった!!
あのナギでさえ、結局は私を置いて、どこかへ行ってしまったんだぞ!
「ま、そう簡単には無理だよな。なに、いざとなったら、俺がどうにかしてやるよ」
男は、その言葉を、何事もないかのように、言った。
まるで、当然であるかのように、言った。
それは、彼にしてみれば、『タイム風呂敷』で人間に戻してやるとか、どうせ彼女の悩みは『ネギま』の主人公であるネギがどうにかするだろうとか、そういう深い考えあっての言葉ではなかった。
だが、彼女にしてみれば……
……それは、お前は、私と共に歩んでくれるという事なのか?
お前は、私を受け入れてくれるという事なのか?
お前が、与えてくれるとでもいうのか……?
私は、この世界に、なにかを期待しても、いいのだろうか?
「……ふん。くだらん」
「うおっ、いきなり会話の根本を叩き壊す一言を叩きつけやがった!」
「それよりも、さっきはよくもやってくれたな!」
「いきなりそれを持ち出すか」
「正体を隠すための仮装はまだいい! だが、私まで攻撃するとはやってくれる!」
「いや、あれ、やられる条件があるんだが、お前もそれに当てはまっただけだ。なにか心当たりあるだろ?」
「……」
お前を変態だと笑った事だろうか。
「ないな!」
「その一瞬生まれた間を問い詰めたい。小一時間くらい問い詰めたい」
「うるさい! うるさいうるさいうるさーい!」
「ええい、背中で暴れるんじゃねー! つーか目を覚ましたんなら降りろ!」
「断る!」
とりあえず、もう少し貴様の背中にいさせろ。
「ったく」
奴も、無理に私を降ろそうとはしない。
……人の背中はやはり、温かいな。
私は、いつまで、この温もりを、感じていられるのだろうか……
さあ、次は修学旅行です。
─あとがき─
ついに『宇宙刑事』本格的に爆現。
もう一回宇宙人だそうかと思ったけど自重。
そのせいか後半がなんとなくシリアスなのは気のせいだと思いたい。
それと、「仮面を被ってでも近くで……」というのがエヴァ自身にも当てはまっている事に気づいていない彼女でした。
しかし、今回刹那の話のはずだったのに、いつの間にかエヴァに対して完全に詰んできたような気がするのは気のせいだろうか。
ちなみに背負われているエヴァンジェリンの姿はエドの姿なので、ご注意を。
あと当てるほどねーんでそれを言うのは幼女を悲しませる事となるからな!