初出 2012/03/20 以後修正
─第26話─
魔法世界編はじまります。
──────
魔法世界と現実世界をつなぐゲート。
巨大な魔力を収束させるパワースポットの上に立ち、巨石によって描かれた陣により、異界と異界の扉をつなげる場所。
巨大な岩の積み木に囲まれたそこ。
そこが、ウェールズに存在する、ゲートポートであった。
そこに一人、人形を思わせる白髪の少年が、ローブを纏い紛れこんでいた……
───フェイト───
ゲート。
僕は、ある目的の為に、現実世界から魔法世界へと移動しようとしていた。
ゲートの発動まであと二十数分あまり。
さすがの僕でも、この発動を早める事は出来ない。
なのでただ、その時間が来るのを待ち、ゲートの中で待つしかなかった。
ゲートの要石であり、中心にそびえる巨大な岩を感慨もなく眺めていた時だった……
「テルティウム」
背後から、声をかけられた。
しかもその名は、アーウェルンクスとして起動された、地のアーウェルンクスである僕につけられた、『ナンバー』
三番目という意味のそれ。
それを、この世界で知るのは……
この、『現実世界』でその名を呼んだのは……
振り向いた先にいたのは、一人の少年。
黒髪で、14、5歳の、一見するとどこにでも居そうな、ただの少年だった。
「ひさしぶり」
その少年は、この僕に対し、事も無げにそんな言葉をなげつける。
僕は、この少年を知っている。
あの吸血鬼の匂いに隠した一般人の雰囲気。あの時感じさせた仮面そのままに、僕の目の前に現れたのだから。
僕の名とその雰囲気。
目の前の少年が、あの京都で僕を翻弄した仮面の男だと理解する。
なぜこの場に!?
まさか、僕達の計画が漏れていた!?
憶測を固めても仕方がない。
思わず距離をとろうとするが、さらに背後から新たな気配を感じる。
「逃げようなどと考えない事だ」
背後に感じた気配。
こちらは感じた事はない人間の気配だった。
だが、その声の主が誰なのかは見当がつく。
『闇の福音』、エヴァンジェリン!
あの男と共に僕を挟みこんだという事は、彼女がこの場にいるという事は、やはりあの時、あの伯爵を始末したのは、彼だったんだね。
そして、いつの間に、学園から出られるようになったんだい? 想定外すぎるよ。
闇を纏い闇を祓う男と、真祖の吸血鬼に挟まれるとは。分が悪すぎる……
だが、相手もこの場では下手な事は出来ないはずだ。
このゲートで騒ぎを起こすのは、彼等とてよしとはしないはず。
ならば、脱出するチャンスはいくらでも……
「そうそう。動かないでね。無駄だから」
「っ!」
少年がなにをしたわけでもないのに、体の自由が利かなくなった。
指一本たりとも動かせない。声すら出ない。
僕に一体なにをした?
発したのは言葉のみ。
この男はたった一小節の呪文であの鬼神を祓った。
だがこれは魔力すら感じない。
まさかこの男、言霊すら自由に操るというのか?
僕が出来る事は、目の前の少年を睨む事だけ。屈辱だよ。
ちなみにこの時使用されたのは、前にヘルマン戦でも使用された、『相手ストッパー』である。
『相手ストッパー』
相手を思い浮かべ、声で命令すると特定の相手の手足の動きを止めることが出来る。
場合によっては相手の時間も止められるとんでもない代物。
『……早く殺したらどうだい?』
なんとか念話は使えた。
いや、これは許可されたと言った方が正しいのかもしれない。
彼等が何者なのかを問うても意味はないだろう。僕も同じ事を質問されたとして、答えはしない。
そして、こうして捕えられては、目的すら達成は不可能。
ならばこの身を滅ぼす事が僕の選びえる最善の選択だが、それすら取れないのでは無意味だ……
「命乞いをしないのは潔いね。でも、ここじゃ派手な事は出来ないから、あっちでな」
そう言いながら、黒髪の少年は一枚のシールを取り出した。
なにを、する気だ……?
シールを指差し、少年は説明をはじめる。
「これは、貼られると周囲にそれはここに書いたモノとしか認識されなくて、しかも自身もそうであると思いこんでしまうものさ」
名を、『代理シール』と言うのだそうだ。
『代理シール』
このシールにモノの名前を書いてなにかに貼ると、その貼られたモノはその名前のモノになる。外観は変わらないが、周りの人はそのモノをシールの名前のモノと思いこむ。
また人にシールを貼った場合、貼られた者はその名前のモノになりきってしまう。
例えばポストと書いたシールを人に貼れば、その人はポストとなって道端に立ちすくみ、通行人はそれに手紙やはがきを入れに来る。人間の場合は、主に口などにそれはいれられる。
シールを剥がせばその効果は消える。つまり、剥がされない限り……
彼の手に持つそれには、『ネコ』と書いてあった。
「いきなりやったらなにがなんだかわからないだろうから、実演を一つ」
と、僕の背中にいた『闇の福音』。エヴァンジェリンを手招きし、自身の隣へと呼んだ。
僕の背後より、金色の髪をした少女が現れる。
正体そのままの姿で来るとは、大胆な女だ……
もっとも、すでに彼女は伝説の『サウザンドマスター』に屠られた事となっているため、逆に本人が居るなどとは思われないのだろうけど。
隣へ来た少女に、少年はぺたりとそのシールを貼り付けた。
僕の目の前で、信じられない事が起こった。
少年の隣にいた少女の姿が突然変わったのだ。
変化? いや、魔力は感じない。少なくとも、魔法ではない。
これも僕の動きを封じた、言霊の一種なのか? だが、そのような魔法体系があるなど、僕の知識にもない。
にゃーにゃーと足元にじゃれつく毛並みのよい美しいネコを、少年は持ち上げ、抱きかかえる。
「おー。かわいいなー」
抱き上げられたネコが、喉をごろごろ鳴らす。顎をかいてあげ、その頭を撫でやる。
そこにいるのが、あのエヴァンジェリンとは思えなかった。
僕の目に映るのは、毛並みの美しい上品な猫にしか見えない。
少年はネコをあやす事を堪能したのか、シールを貼った場所へ、手を伸ばす。
するとそのネコは、僕の目の前で真祖の吸血鬼(?)へと姿を変えた。
いや、姿を変えたというのはやはり正しくない。
僕の認識が、それをネコだと思いこんでいたというのが正しいのだろう。
理解してしまう。
少年が言っていた事が正しいのだと。
「はっ! お前、私になにをした!」
抱きかかえられた少女が驚いたように声を上げる。
「大丈夫。誰も気づいてないから。かわいかったぞ」
少年が、あはは。と少女を見て笑う。
「なにをしたー!」
少女が本気で恥ずかしがっている。あれが演技ならば、人の世のアカデミー賞がもらえるだろうね。
だが、あの『闇の福音』にすら自身をネコだと思わせてしまう。
彼女のレジスト(抵抗)を打ち破り、力を行使した……
それが、どれほどの事なのか理解出来れば、これ以上の抑止力はない。
「それは秘密さ子ネコちゃん」
「誰が子ネコだ!」
ぎゃーぎゃーと少女を抱きかかえたまま口論をはじめる一つのカップル。
この僕を目の前にして、なんという余裕だ……
だが、当然か。
目の前でそんな事をされていても、僕は動けないのだから……
このような余興をされても、僕はこの金縛りを抜け出せないのだから……
喧嘩をはじめたカップルに、周囲の視線が集まる。
だが、僕の異変に気づくものは誰もいない。
遠くで「またやってる」とか、「微笑ましいねぇ」なんて声が聞こえるが、僕の異変に気づかない。
それはそうだろう。
他者から見れば、僕はただ、そこに立ってその喧嘩を眺めている一人でしかないのだから。
魔力で縛られているわけでもない。物理的に拘束されているわけでもない。
ただ立っているだけなのだから。
喧嘩もひと段落し、少年が少女を降ろし、謝れば、そのイヌも食わないだろう喧嘩も収束したと判断した周囲の視線も散ってゆく。
「と、いうわけだよ」
きりっとした顔で僕へ言うが、その頬はひっぱられた跡で赤くなっていた。
少年は隣にいる少女の頭を一度撫で、その手を払いのけられたが、手を握り、共に僕の方へと歩み寄る。
……君は、何者だ?
懐から取り出すのは、同じシール。
だが、そこに書かれているのは、『キャリーつきバッグ』
僕の名を知り、僕の現れる場所を予測し、あまつさえ僕のレジスト(抵抗)などないように動きを止める。
僕に、シールがせまる。
ぞっ。
まただ。またこの感覚。
僕に無いはずの感覚。
恐怖という、感情。
それを、感じた。
君は、何者なんだ!
「というわけだから、しばらくキャリーつきバックになってて」
それを貼られた瞬間。僕の意識は、バッグになった。
キャリーつきの。
──────
ゲート発動直前。
魔法世界はどんなところかをきゃいきゃい想像し、おしゃべりしているネギ達ご一行の元へ、エヴァンジェリンカップルが姿を現す。
「あ、にーちゃーん!」
突撃するコタローだが、今回は珍しく、その手に持ったキャリーつきバッグで進行を止められた。
正確には、盾にして。
「うぐぐ……なんか、中途半端に硬いぃ……」
つっこんで打ちつけた頭をおさえ、地面にへたりこむ。
「あれ? 鞄持っていましたっけ?」
コタローが突撃したそれを見て、ネギがそんな声を上げる。
「ああ。向こうで必要な書類とか、出しやすいようにな」
「そうですかー」
彼の言葉に、ネギはあっさりと納得。
「……」
それを傍目から見ている少女が居る。
(本当に、カバンと認識されているのか。相変わらず出鱈目な力だな)
手を握り、共に貼ったので、エヴァンジェリンにも彼が運ぶカバンは、白色の髪をした少年に見えていた。
彼女には、白髪の少年を手で引く黒髪の少年が目に映る。
見る人が見れば、ちょっと怪しげに見えるだろう。が、エヴァにその趣味はない。
心にも余裕がある。この程度の事で腹も立たない。
ちなみにコタローはフェイトのデコに思いっきり突撃したようだ。
次は、ゲートの向こう側に居る、ヤツの仲間か……
そう思いながら、エヴァンジェリンはゲートを制御する要石を見る。
ゲートの発動が、はじまろうとしていた。
──────
ゲートが発動し、現実世界と魔法世界が繋がった。
魔法世界側、ゲートポート。
そこでフェイトの到着を待っていた三名は困惑する。
待ち合わせの時間を過ぎてもそのフェイトが姿を現さなかったからだ。
あの少年が時間に遅れるはずがない。
つまり、なにか不測の事態が発生した事を意味している。
だが、彼等の計画。
このゲートポートの要石を破壊し、ゲートを破壊するのは、フェイトが居なくとも実行が可能である。
ならば、予定時間がきて彼がいなくとも、動くべきである。
彼等はそう判断し、少年抜きで計画を実行しようとしたその時。
顔を見合わせ、うなずいた次の瞬間……
「なのに……なのになぜ私達は、氷の棺に顔だけ出した状態で捕まっているのだー!」
『完全なる世界』最後の幹部。デュナミスは、思わずそう叫んだ。
コマがかわったらこうなっていたかのようだ。
ページをまたいだら、もうこの状態だったような感覚だ。
過程が完全に吹き飛ばされてしまっている!
なんだこれは!
「……時間、停止」
一番小さいローブの存在。小柄で少女のようでもあり、老婆のようでもある、彼等には墓所の主と呼ばれる存在が、ポツリとつぶやく。
「っ!? バカな。時を止めるなど、この場で出来るはずがない。そんな事をする魔力をひとかけらも感じれば、我々だけではなく、ゲートの警備も気づくはずだ」
そもそも、そんな大魔法、今行おうとしている計画でも実行しない限り、魔力不足で実現不可能だ!
だが、気づく。
テルティウム(フェイト)の言っていたあの存在。
京の鬼神を闇を纏ったまま祓ったというバケモノ。
あのテルティウムすら認識する事が出来なかったという防御も回避も出来ない、『完全なる一撃』
あれが、時間停止によって引き起こされたのならば、納得もいく!
動けない中殴られれば、それは防御も回避も出来ぬだろう!
「ならばそいつが、この場に居るというのか!」
くわっ。
「あー、もうしばらく黙っててね」
「もがっ」
黒髪の少年の手により、その口の中に、綿が押しこめられる。
実はデュナミス。こここまで説明全部口に出して解説していた。
「もが!?」
訳『さらに気づく事があった』
「もがが!」
訳『なんと私達は、虫かごの中にとられられて居たのだ!』
夏に現実世界の日本でよく見かける、半透明のプラスチックで覆われた、上部に網状の蓋がある夏の小学生のお供の虫かごに。
「ももんが!」
訳『我々のサイズが普段の十分の一以下にされ、そこに入れられ運ばれているのだ! このような魔法、知らぬ!』
「もがが!(バカな!)」
もがもが。
「もががー!!(バカなー!!)
ももがー!!
「ええいうるさい。これ以上鳴くな虫」
金髪の少女にデコピンを受け、デュナミスは意識を失った。
「……」
「……」
それを虫かご内に残った二人は、ただじと目で見ているしかなかった。
ちなみに虫かごに捕らわれた最後のもう一人は、月詠である事を一応補足しておく。
──────
ふー。
無事確保完了。
フェイトはゲート前でカバンにしたし、残りは時間を止めてエヴァに魔法で拘束してもらったのちに『スモールライト』で虫かごに入ってもらった。
『スモールライト』
きっと説明は必要ないと思われるほど有名な、懐中電灯を模した道具。
ビッグライトとは逆で、光を照射された物体を縮小する。
効力には時間制限があり、縮小してからある程度(多少個人差がある)時間が経過すると元の大きさに戻る。
復元スイッチを押すと「解除光線」を発し、縮小されたモノを元に戻す事が可能。
虫かごには『代理シール』で『中に誰も居ませんよ』と書いてあるので周囲の人から見ると、空の虫かごをもっているようにしか見えない。
なのでエヴァがデコピンしていたりするのはへんな光景に見えるかもしれないが、税関とかでその虫魔法世界に持ちこんじゃダメですよ。なんて止められる事はない。
動かない標的を相手に魔法をかけただけでつまらん。弱すぎる。不満だ。とかエヴァが言っているけど、そんな事言っている場合じゃないので却下して。
どS大発揮するのはこのあとの尋問タイムにしてくれ。
まあ、それも『白状スプレー』で出番ないだろうけど。
「……私はなにをしに来たんだ……?」
『白状スプレー』の存在を思い出し、がっくりと肩を落とす。
「保険だよ。保険」
ちなみに魔法を使ってもらったのはそのなにしに来たのかわからない感を軽減してもらうために使ってもらった。
世界最強クラスのエヴァの魔法なら、敵も簡単に拘束出来るだろうしね。
実際出来てるし、楽勝だって言ってたし。
あえて補足をするなら、エヴァンジェリンは原作中も登場すれば造物主以外の敵を殲滅出来る実力を持っている。そんな彼女に『道具』を有してサポートする彼もいたのだから、素で完封されるデュナミス達に脱出出来ようはずもなかった。
さて。続きの尋問はネギ達と別れてからだな。
ゲート内じゃさすがにこれ以上無茶は出来ない。
いや、鏡の世界とか行けば問題ないけど、今急ぐ必要がない。
「とりあえず、外に出ようか」
「そうだな」
ネギと別れて、俺が王子様になった国へ行く前に片付けてしまえばいいだろう。
キャリーつきバッグのフェイトはエヴァが運び、虫かごは俺が持つ。
そうしてネギ達の後を追って、俺達もゲートの出口へと歩き出そうとした……
その時……
どくん。
「っ!?」
どくん。
胸の奥で、なにかがうごめいた……
どくん。
な、なんだ……?
『困るな。これ以上は……』
頭に、そんな言葉が響く。
左手に力が入らない。
手から、かごが落ちた。
床に落ち、「もがっ(ぐえっ)」なんて声がした。
「どうした?」
エヴァンジェリンの声が、ものすごく遠くに聞こえる。
どくん。
左手が、勝手に動きはじめる。
や、やばい。この展開、やばい。まさか、本当に、魔法世界にお父様展開ありえるのかよ……
「や、やばいエヴァ。止めろ」
喉から声を吐き出す。
「な、に?」
困惑した彼女の声が、遠くで響く。
「俺を、止めろー!!」
最後の力を振り絞り、俺は声を絞り出した。
「っ!」
俺の声に応えて、エヴァが動こうとする。
こんな事もあろうかと伝えておいた、俺最大の弱点。『武装解除』を使うために。
だが、エヴァの体は動かない。
なぜなら、俺の左手には、『相手ストッパー』が握られていたのだから……
しまった……さっきの台詞……止めろ、エヴァ……か……
俺の意思だけじゃなかった……
くっ、そ……意識、が……
『原子核破壊砲』
意識の途切れる直前。そんな単語が、俺の頭に響いた……
──その名の通り、命中した目標は原子核が破壊され、消滅する……
頭の中に、説明が流れる。
それってつまり、それが外に出たって意味で……
や、ばっ……
──────
「俺を止めろー!!」
ゲートポート内に少年の叫びが響いた。
声を聞き、多くの人がその少年に注目する。
その中で少年は、その懐から、一本の銃を引き抜いた。1.5メートルほどある長い砲身を持つ銃を。
その少年は、武器の持込が不可能のゲートポート内で武器を取り出したのだ。
──ありえない。
その警備に関わるもの誰もがそう思い、一瞬思考を停止させてしまった。
その一瞬が、命取り。
少年は、躊躇する事もなく、その右手にある銃の引き金を引いていた。
誰にも止める間もなく、それは目標へと吸いこまれる。
光が瞬いたかと思った次の瞬間。
それは、消滅していた。
現実世界と、魔法世界をつなぐゲートの要石。
膨大な魔力を蓄える、力の石。
それが、たったの一撃で、消滅してしまったのだ。
ずん!
ゲートポートを襲う、重い衝撃。
場に居た誰もが、気づいた。
それが破壊されたという事により、そこに溜まっていた力がどうなるのか。
──このままでは、扉をつなぎとめていた魔力が暴走し、大爆発を引き起こす。
床が、小さく振動をはじめる。
ゲートに溜め込まれた魔力の暴走が、はじまった。
「き、貴様、なにをしているー!」
我に返った警備の者が、殺到しようとする。
だが……
少年の口が小さく動いたかと思った瞬間。
全ての警備兵の動きが、とまった。
エヴァンジェリンと同じく、その指一本たりとも動かなくなったのだ。
暴走をはじめた魔力の波動が広がる。
それが小さな衝撃波となり、その場を走り抜けた。
そんな事など気にも留めず、少年の目が、ゲートの周囲を見回す。
そこには……
魔力の暴走に、思考を放棄し、ただ呆然としているもの。
ゲートから必死に逃げ出そうとする者。
その場に謎の力で縫い付けられ、身動きがとれない者。
そして、抗おうとする者がいた。
しかしその全てに興味がないよう素通りし、ある場所でとまる。
銃を懐にしまい、ゆっくりと、口を開いた。
「久しいな。我が娘よ」
少年が唯一興味を示したのは、虫かごに居る者でも、キャリーつきバッグとしている白色の髪をした少年でもなく、背後で動けなくなっている、一人の少女であった。
───フェイト───
暴走をはじめた魔力の波動が広がる。
それが小さな衝撃波となり、その場を走り抜けた。
それは、爆発の予兆であり、警告であった。
その暴風により剥がれ落ちる一枚のシール。
衝撃で倒れ、転がった少年は、自分が自分であるという意識を取り戻し、それを、見る。
顔を上げた先にある、存在を。
そこにいたのは、自身の主そのものだった。
不死であり、不滅である、主が、黒髪の少年の体をヨリシロとし、そこに、いた……
しかし主は今、世界のどこかに封じられているはずだ。
我々は、その主の悲願を達成するために、この計画を実行しているはずだ。
完全なる世界。
死に行くこの魔法世界の生きとし生けるものの魂全てを救済する。
黄昏の姫巫子を利用し、この魔法世界をリライトする事によって、この世界を『完全なる世界』へ封じ、理想の人生を歩ませる。
その計画……
だが、その計画の中に、主が今ヨリシロとしている少年は存在しない。
しかも、彼は我々よりも、高位の力を持った存在だ。
予測でしかないが、彼の力があれば、我々の計画手順などを無視し、この魔法世界そのものを救う事も可能であろう。
なにせ彼は、闇を纏って闇を祓ったのだ。それ以上の奇跡を、現実世界の理すら捻じ曲げていても不思議ではない男なのだから……
その少年の力は、主が用意したものなのですか?
なぜ僕は、その少年の存在を知らないのですか?
その少年の力を使うとすれば、今行っている計画はどうなるのですか?
僕達は、あの計画を完遂するためのコマだというのに、その計画が失われたら、どうすればいいのです?
万一その少年の力が本物だとすれば、我々の行った、救済という名の魂を奪う行為は、すべて無意味だったというのですか……?
それとも、僕にも知らない計画が、あるというのですか……?
主への目的意識、忠誠心が設定されていないフェイトであるがゆえ、そんな事を考えてしまう。
主を疑うという行為が出来てしまう。
「ます、たー、なぜ、そのしょう……」
「黙って止まっていなさい。テルティウム。私は、大切な娘と話をしているんだ」
質問をしようと声を上げた瞬間。また体が動かなくなった。
倒れたまま、指一本たりとも動かす事が出来ない。
一瞬向けられたその瞳。
そこに、僕は映っていなかった。
僕の知る、主の視線ではなかった……
そこにあったのは、深遠の闇。
闇よりもなお暗い、闇……
そして、確信した。
主はすでに、僕になど興味はないのだと……
この計画に、なんの興味もないのだと……
ゲートの破壊は、ただの気まぐれでしかないのだと……
愕然とする……
この計画を失った僕は、なにをすればいい……
すでに周囲でなにが起きているのかもわからない。
僕はそのまま、ゲートの爆発にまきこまれ、そのまま意識を失った……
───超鈴音───
「俺を止めろー!!」
ゲートポート内に少年の叫びが響いた。
気づいた時スデに遅シ。
彼の一撃で、ゲートは破壊されてしまた。
即座に気づく。
コレが、ワタシに期待された、保険カ。
まさか、彼本人とエヴァンジェリンが一瞬で無力化されるとは。
外より現れた少年。
その力が、鉄人兵団以外に狙われるという可能性はありえた事ダ。
その器である少年の体。
その少年が魔法世界の血を引いていると聞いた時から、予測はしていた。
さすがに原子を破壊するようなあの一撃は止められないが、彼を呼び覚ます事ならば出来るハズ。
だから、彼を呼び覚ますためのプランを実行するヨ。
「明日菜サンすぐにそれを叩き割るネ!」
持っていた封印の箱を明日菜サンへと投げる。
この中には皆の武器やパクティオーカードが入てる。それは、強力な封印がかけられており、ゲートポート内では解けることはない。
ダガ、彼女の能力ならば、それを解除する事が可能ネ!
「う、うん!」
事態は理解出来てナイようだガ、体は動いたようだ。
こういう時、考えるより先に体が動いてくれる人は助かるヨ。
バギン!
という音を立て、箱の中から皆の武器が飛び出す。
「ネギ先生! 皆も全力で目の前のヤツに攻撃ヲ!」
「ですけど!」
ネギ先生が、躊躇する。
それも当たり前だろう。
目の前のヤツとは、彼女が尊敬するもう一人の『サウザンドマスター』なのだから。
「世界を滅ぼしたいカ! あの人がワタシ達の攻撃で死ぬはずないネ! あの人を呼び覚ませる衝撃を与えるだけでイイ! 全力でなければ、皆の心は届かないネ!!」
声を荒げ叱責する。
ワタシが声を荒げる事態。
それで、彼女も今のヤバさを理解してくれたようだ。
「っ! わかりました! 皆さん!」
即座にネギ先生がフォーメーションを指示する。
今ヤツは、私達に注意を払っていない。
払う必要もないからだろう。
それほどの差が有るはずだ。
チャンスは一度。
だが、ワタシ達の力を合わせれば、あの人の意識を取り戻せる一撃くらいは放てるハズ!
その心は、伝わるはず!
「全員。全力デ!」
「はい!」
ワタシの言葉が、全員に届いたようだ。
考えている余裕はない。
皆、ネギ先生の指示の元、最大の一撃を放つ事に集中した。
ネギ先生の人の心をまとめる力。
それならば、ワタシ達全員の心を乗せ、あの人に届くハズ!
ワタシも攻撃に参加したかたが、呪紋は発動から魔法の使用までのタイムラグが長すぎ、科学のアイテムでは技にあわせる事が不可能との事なので、非戦闘員を守る盾を張る以外なかた。
こういう時、理論のみで技を持たない自分が不甲斐なく思うネ。
「行きます!」
破壊されたゲートなど、彼ならば一瞬で直してくれる。
あの鉄人兵団のリルルが、自身を直したあの光線を使って。
彼さえ取り戻せれば、それでどうにかなる!
ゆえに、ワタシ達は、ワタシ達に出来る事をするのだ!
明日菜サンの力で取り出した武器を手に、彼女達の渾身の力をこめた一撃が、放たれる。
明日菜サンの斬撃により相手の魔法障壁を無効化。
そこに、各員の必殺技を、ネギ先生の指示で叩きこんでゆく。
最も効果のあるタイミングを的確な指示で放たせ、それぞれがそれぞれの一撃の効果を高め。
そして最後は、その必殺技たちをさらに収束させるように、自身の魔法を重ねる!
近くに居るエヴァンジェリンには当たらぬよう、範囲を狭めさせ、その分収束した事により、威力が上がる。
ワタシ達の力を、足し算ではなく乗算にするその力!
ネギ先生のスタイルと、修行により高まったその力で、彼を呼び覚ますしてくれ!
目標は、彼を操るナニカ!!
床に転がった少年になにか話しかけ、注意がそこに向いているそこへ。
その威力を見て、ワタシはいけると確信した。
これならば、どれほどの魔法障壁があろうと、物理障壁があろうと、とどく! と。
だが……
「っ!? バカナ」
皆の必殺技が一つとなり、その光の本流がその男に突き刺さた。
はずだた。
暴風が吹き荒れ、光が拡散し、煙がはじける。
視界を覆う光がはれたその先……
そこには……
そこには、傷一つない男が立っていた。いや、無傷どころか、その衣一枚、髪の毛一本たりとも、揺るがせる事すら出来ていない!
──この時、彼がネギ達に、何事もない魔法世界旅行をプレゼントしようとせず、事情を説明していたら、なにか変わっていただろうか?
自身最大の弱点である、『武装解除』を誰かに使うよう指示していれば、なにかが変わったのだろうか?
その答えは、否である。
なぜなら……
男の前には、見えない膜があるのがわかた。
漂う煙が、その膜の存在を、わずかに映し出す。
魔法ならば、明日菜サンの一撃で無効化されている。
ならばあれは、魔法ではない。
そう。あれは、彼の……
……科学の、力……
『バリヤーポイント』
最大半径約2メートルのバリアを張る『道具』。
そこを境界に、いかなるものの侵入も跳ね除ける。
なにかをバリア内に入れたくば、そのモノの頭文字を呼んで「──のつくものはいれ」と言えばその頭文字のモノは全てバリア内に入れるようになるが、その入れる時間は、頭文字を言われてから短い時間だけである。
ちなみにこれは、これらの『道具』を有する未来の警察が使用している『道具』である。
アレやソレを持つ人々の盾となる警察組織が。である。
それだけで、どれほどの防御力を有しているかも想像が出来よう。
ただ、一つ補足しておけば、超鈴音の行動は、少なくともこの場合、最善ではあった。届かなかっただけで……
今までこちらに興味を示さなかった男が、こちらを向く。
こちらを見た彼の目は、ぞっとするホドに冷たかた。
普段ワタシ達を見る、保護者のような視線ではない。
その瞳はまるで、深遠の闇であるかのように見えた。
その瞳でワタシ達を見据え、彼の口が、少しだけ動いた。
声はこちらまで響いてこない。
だがこれだけで、ワタシ達全員は、指一本動かす事が出来なくなた。
発せられた言葉はおそらく、一言か二言。それだけで、ワタシ達も完全に無力化されてしまた!
これが、あの鉄人兵団すら恐れさせた、力!
その恐ろしさは、あのリルルの比ではない!
ワタシ達では、どうしようもなかたというのか!
あれほど修行し、あれほど強くなた彼女達ですら、彼のその影にすら届かないというのか!
ワタシは、保険にすらなれなかたというのか!
ワタシ達を歯牙にもかけず、男は再びそこを振り返る。
その視線の先にいるのは、金色の髪を持つ少女。エヴァンジェリンだ……
───エヴァンジェリン───
私は、この雰囲気を知っている。
あの日学園で見た、憎しみの塊だ。
あの悪魔が来た時あふれ出た、『闇』だ。
だが、あの時と大きく違う点がある。
それは、その『闇』が、強い意志を持ったという事。
そして、その意思を、私は知っていた……
600年前に、見た事があった。
そう。それは、自分を、吸血鬼に変えた、男……!
やはり、そうなのか……
夏休みに入る前、アルビレオが彼には秘密で教えてくれた事がある。
彼が『造物主』とやらと関係があるかもしれないと言われた後、ネギ達がナギの生存を知った後、私達はもう一度『神楽坂明日菜』の秘密を教えてもらうためヤツの所を訪れた。
その際、彼には秘密で、教えられた事がある。
それは、私を吸血鬼に変えた存在の事。
吸血鬼となったその日、私の手で殺したあの男。
アルに不滅であると言わしめた存在。
それと、あの時話題に上がった『造物主』が、同一人物だったと教えられたのだ。
すなわち、今私の前でうごめくその『闇』に宿る意思こそが、私を吸血鬼に変えた存在であり、『造物主』であるという事だ。
なにがある場所に封印しただあのアホなすび。その意思は動いているではないか。
だがこれで、彼がこの世界へ現れた理由に納得がいった。
あの少年の体は触媒とされ、神ごとき力を持つ彼が、この世界へ召喚されたのだ!
その力を、手に入れるために! その力を、渡さないために!!
私を吸血鬼にし、彼を呼んだ貴様。貴様が、全ての元凶か!
『造物主』よ!
「……そうだよ、我が娘よ」
唯一自由である視線を感じ取った男が、私へ言葉を語る。
「美しくなったな。だが、吸血鬼を捨てたのは、いただけない」
どこか優しい口調で。
どこか優しいしぐさで、小さくため息をつく。
語るな。
その口で、その姿で、その声で、彼の言葉を、語るな!
だが、私の想いなど無視し、男は言葉を続ける。
「永遠の命を持つお前は、私に必要なのだ。私を永遠に語る、語り部として……」
っ!
その言葉に私の心が締めつけられた気がした。
またあの闇の中へ、私を引き戻そうというのか?
しかも、そのようなくだらない理由で。
「ではまた、お前に永遠の命を与えよう。吸血鬼にしてあげよう」
男の左腕が、私に向かって伸びる。
思い出す。
吸血鬼となったあの日の朝を。
その身に感じた絶望を。
人の身を失った、あの冷たい感覚を。
また、この、人のぬくもりを、失うというのか?
……
いやだ。
あの闇に、戻るのは、イヤだ!
だが、どれだけあがこうと、体は毛ほどさえも動かない。
声すら出す事も出来ず、ただその左手がせまり来るのを見ているしかなかった。
抵抗が出来なくて当たり前だ。
この力は彼の力。
その力を無理やり強奪したものなのだから。
ならば、勝てないのも無理はない。
それゆえ、それに気づいた時、よりその絶望が、増す……
その手の軌道。
その、軌道は、あごに手を当て、角度をあげさせようとするものだったのだから……
それを認識した瞬間。
闇に戻される事より、ぞっとした……
その先に待つ行為は……
や、めろ!
だが、その手は止まらない……
その体で、その行為を行おうとするのは、やめろ!
私の拒否など完全に無視し、その手は、私へせまりくる。
貴様は、私はおろか、彼の誇りまで穢すというのか! やめろ! それは、絶対に、やめろ!!
口も動かない。
ただ心の中で、必死に拒絶する事しか、私は出来なかった。
吸血鬼に戻される事など、もはやどうでもよかった。
その行為を、彼にさせる事こそが、彼の誇りを穢される事こそが、私を絶望させた。
自分の事などより、その行為を彼にさせてしまう事こそが、涙を流したいほどに、嫌だった!
せまりくるその左手が、私の顎に触れようとする……
やめろ!
やめろぉぉぉ!!
その、心の叫びに──
私へ伸ばしたその左手手首が、彼自身の右手に、つかまれ、止まる。
──応える者が、いた……!
「ざっけんな……っ!」
彼の口が、動く。
声を、取り戻す。
「人の、体で!」
その右腕が、左腕を強引に、私の前から押し戻す。
「人の嫁に!!」
押し戻した左腕の手首から右手を放し、拳を、握る!
「なにしようとしてんだてめえはー!!!」
それをそのまま、彼は自分の顔面に叩きつけた!
ゴッ!!!!
衝撃が、彼の体を走り抜ける。
彼の背から、闇がはじけとぶのが見えた気がした。
──────
闇の中。また、声が聞こえた。
俺の大切な人が、俺を思って声をあげたのが聞こえた。
愛しい人の叫びが。俺を想う声が、聞こえた!
だれ、だ……!
エヴァンジェリンに、悲痛な叫びをあげさせたのは、誰だ!!
俺の嫁をいじめてんのは、どこの、どいつだ!!!
だから、拳を握って、その憎たらしいヤツをぶん殴った!!
そうしたら、自分がその衝撃で、のけぞる事になった。
いってぇ。
だが、気分は悪くない。
体からなにかが抜けたのがわかる。
体に自由が戻……
「っ!」
左手がまだ、自分の意思を無視して動いた。
その手は勝手に、俺の意思に反して、ゆっくりと、ポケットへと手を伸ばす。
俺の抑制に抗い、その力を行使しようと、動いていた。
俺の左手は、俺の体を勝手に操るヤツは、まだあきらめていない!
なにを狙っているのかわからないが、前に一度、『スペアポケット』を奪われた経験がある。
なにを狙っているにしても、渡すわけにはいかない!
今俺が『道具』を出すチャンスは一度だけしかないだろう。
それを、こいつより先に取り出し、先に使う。
それで、こいつに『道具』を使えないようにしないとならない。
そうしなければ、またこの『道具』が悪用されてしまう!
ゆえに、俺は、爆発を止めるための行動は出来なかった!
念じる。こいつに『道具』を使わせない方法を。
念じる。こいつに『道具』を使わせないよう出来る『道具』を。
こんな力、使えなければいい! 答えろ、『四次元ポケット』ォ!!
俺の意思を感じ取り、『四次元ポケット』もまた、俺の意思に応えた。
取り出したのは、一本の刀。
流れ来る、その説明。
「っ! そういう事か! いっけえぇぇぇぇ!!」
『ポケット』へせまる左手よりも先に、俺はその刀を、自分の体へと振り下ろした!
───エヴァンジェリン───
彼が自身を殴り、その体が大きくよろめいた。
直後、私の体に自由が戻る。
他の者達も、自由が戻ったのが見て取れた。
彼も、私達もその呪縛から脱した。
そう思ったのもつかの間。
自由を取り戻したかに思われた彼の体の中で、唯一左手は、いまだ自身の支配下に置かれていないのが見て取れた。
それに気づいた彼が、私を頼る。
「エヴァ、転移だ! この場所に居る全員を安全な場所に! 頼む!!」
彼からの頼み。
その信頼の言葉により、私の体が動く。
彼が自分で皆を助けようとしないのは、出来ないからだ。
爆発を止めないのは、そんな事をしている余裕がないからだ。
彼は、彼に出来るなにかをしなくてはならないからだ!
だから彼は私に頼んだのだ!
ゲートポートに存在する者達を安全な場所へ飛ばすのに必要な、強制転移の呪文を瞬時に完成させる。
時間がない。場所を選んではいられない。ゲートによる空間の歪みによって遠くまで飛ばされるかもしれないが、怪我などはさせない! 五体満足。全身無事に転移させる!
──ゲートに居た人の数は、三桁をくだらない。これだけの人数の転移を、ほんの少しの時間で用意出来たのは、世界最高レベルの魔法使いであるエヴァンジェリンだったからこそである。
脳を最大まで行使し、なんとか危険な場所から安全な場所へと転送が発動し、最後に自分と彼を転送するため、その場を見た。
「なっ……!!」
爆発の光に包まれようとするゲートの中、転送の光に消える彼女が最後に見た彼の姿は、みずからの体に、刀を突き立てている姿だった……
全ての人が安全な場所へと転送された直後。
ゲートが、大爆発を引き起こした。
─あとがき─
あれほど関わる気がないから原作再現にこだわって、今度は関わって原作を逸脱しようとしたら結局原作と同じイベントを引き起こしてしまうという皮肉。
世の中なかなかままならないものです。
しかし、今回一番酷い目にあったのはフェイト一味のような気もしないでもない。
ちなみに、ネギ達がバリアに傷一つつけられず、その心が届かなかったのは、この場では原作中でも完敗していたから。
今回は皮肉にも『道具』無双で原作の出来事が再現されてしまう回だったので、ちょっと無力になってもらいました。
さて、やっぱり魔法世界各地へ飛ばされてしまった彼女達は、一体どうなるのでしょう?