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赤松健SS投稿掲示板


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No.32356の一覧
[0] 【完結】テンプレ通りに進めたい(転生・原作知識有り)[嘴広鴻](2012/08/04 20:37)
[1] 第一章 魔法先生ネギま?編 プロローグ[嘴広鴻](2012/03/29 18:55)
[2] 設定[嘴広鴻](2012/03/22 21:04)
[3] 第1話 悪魔襲撃の日[嘴広鴻](2012/03/22 21:10)
[4] 第2話 メルディアナ魔法学校での日々[嘴広鴻](2012/03/22 21:05)
[5] 第3話 卒業 これからのこと[嘴広鴻](2012/03/25 11:14)
[6] 第4話 麻帆良学園[嘴広鴻](2012/03/22 21:26)
[7] 第5話 闇の福音がこんなに○○○○わけがない[嘴広鴻](2012/03/22 21:26)
[8] 第6話 家族[嘴広鴻](2012/03/22 21:27)
[9] 第7話 麻帆良での生活①[嘴広鴻](2012/03/25 11:41)
[10] 第8話 麻帆良での生活②[嘴広鴻](2012/03/25 11:41)
[11] 第9話 2-A生徒[嘴広鴻](2012/03/25 11:53)
[12] 第10話 黒執事[嘴広鴻](2012/03/25 11:42)
[13] 第11話 弟子入り[嘴広鴻](2012/03/25 11:46)
[14] 第12話 アスナ[嘴広鴻](2012/03/25 11:46)
[15] 第13話 学園長[嘴広鴻](2012/03/29 18:44)
[16] 第14話 木乃香と刹那[嘴広鴻](2012/03/29 18:45)
[17] 第15話 クリスマス[嘴広鴻](2012/03/29 18:46)
[18] 第16話 おおみそか[嘴広鴻](2012/03/29 18:46)
[19] 第17話 元日[嘴広鴻](2012/03/29 18:47)
[20] 第18話 石化治療[嘴広鴻](2012/03/29 18:47)
[21] 第19話 魔法世界[嘴広鴻](2012/03/29 18:48)
[22] 最終話 ハッピーエンド[嘴広鴻](2012/03/29 18:50)
[23] その後の話・小ネタ[嘴広鴻](2012/03/29 18:49)
[24] 第二章 魔法先生ネギま!編 プロローグ[嘴広鴻](2012/03/29 19:02)
[25] 第1話 メルディアナ魔法学校での日々[嘴広鴻](2012/04/01 15:46)
[26] 第2話 卒業[嘴広鴻](2012/04/01 15:47)
[27] 第3話 麻帆良学園到着[嘴広鴻](2012/04/01 20:28)
[28] 第4話 初日① 10年前に通過済[嘴広鴻](2012/04/01 15:52)
[29] 第5話 初日② なげやり[嘴広鴻](2012/04/01 15:53)
[30] 第6話 初日③ 自業自得[嘴広鴻](2012/04/01 15:57)
[31] 第7話 母を訪ねて2550里[嘴広鴻](2012/04/01 16:00)
[32] 第8話 その名は迷探偵ネギ[嘴広鴻](2012/04/01 16:01)
[33] 第9話 あなたと合体したい[嘴広鴻](2012/04/01 16:14)
[34] 第10話 高畑・T・タカミチの憂鬱[嘴広鴻](2012/04/05 19:20)
[35] 第11話 模擬戦① 赤い彗星[嘴広鴻](2012/04/05 19:21)
[36] 第12話 模擬戦② 一角獣[嘴広鴻](2012/04/05 19:24)
[37] 第13話 模擬戦③ 四枚羽根[嘴広鴻](2012/04/05 19:25)
[38] 第14話 途中加入[嘴広鴻](2012/04/05 19:28)
[39] 第15話 部活巡り[嘴広鴻](2012/04/06 18:46)
[40] 第16話 恋する乙女[嘴広鴻](2012/04/05 19:31)
[41] 第17話 バレンタイン① 乙女達の想い[嘴広鴻](2012/04/05 19:36)
[42] 第18話 バレンタイン② そうだ 京都、行こう。[嘴広鴻](2012/04/05 19:36)
[43] 第19話 バレンタイン③ 浮気?調査[嘴広鴻](2012/04/05 19:38)
[44] 第20話 バレンタイン④ 贈り物[嘴広鴻](2012/04/05 19:41)
[45] 第21話 バレンタイン⑤ 女子中学生は見た[嘴広鴻](2012/04/05 19:43)
[46] 第22話 魔法バレ① クビ[嘴広鴻](2012/04/05 19:45)
[47] 第23話 魔法バレ② 斜め下[嘴広鴻](2012/04/05 19:49)
[48] 第24話 好感度ランキング ネギ→乙女達[嘴広鴻](2012/04/08 15:04)
[49] 第25話 弟子入れられ(強制)[嘴広鴻](2012/04/08 15:05)
[50] 第26話 好感度ランキング 乙女達→ネギ[嘴広鴻](2012/04/08 15:06)
[51] 第27話 一段落[嘴広鴻](2012/04/08 15:06)
[52] 第28話 立入禁止[嘴広鴻](2012/04/08 15:07)
[53] 第29話 惚れ薬[嘴広鴻](2012/04/08 15:07)
[54] 第30話 QB3分コントラクティング[嘴広鴻](2012/04/09 18:45)
[55] 第31話 京都編① 新幹線[嘴広鴻](2012/04/08 15:08)
[56] 第32話 京都編② 賭け[嘴広鴻](2012/04/08 15:14)
[57] 第33話 京都編③ 直訴[嘴広鴻](2012/04/08 15:09)
[58] 第34話 京都編④ 正正堂堂![嘴広鴻](2012/04/08 15:09)
[59] 第35話 京都編⑤ はじめてのチュウ[嘴広鴻](2012/04/08 15:10)
[60] 第36話 京都編⑥ 地獄への扉[嘴広鴻](2012/04/12 19:09)
[61] 第37話 京都編⑦ 逆効果[嘴広鴻](2012/04/08 15:10)
[62] 第38話 京都編⑧ 襲撃開始[嘴広鴻](2012/04/08 15:11)
[63] 第39話 京都編⑨ 本山壊滅[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[64] 第40話 京都編⑩ 追撃[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[65] 第41話 京都編⑪ 猿狩り[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[66] 第42話 京都編⑫ 虚空を駆ける[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[67] 第43話 京都編⑬ 爆誕[嘴広鴻](2012/04/08 15:13)
[68] 第44話 京都編⑭ 戦闘終了[嘴広鴻](2012/04/08 15:13)
[69] 第45話 京都編⑮ 京都旅行終了[嘴広鴻](2012/04/09 18:48)
[70] 第46話 夢[嘴広鴻](2012/04/12 19:03)
[71] 第47話 将来設計[嘴広鴻](2012/04/12 19:04)
[72] 第48話 家庭訪問[嘴広鴻](2012/04/12 19:12)
[73] 第49話 デート[嘴広鴻](2012/04/12 19:05)
[74] 第50話 超鈴音の憂鬱[嘴広鴻](2012/04/12 19:06)
[75] 第51話 レイニーデビル① 侵入[嘴広鴻](2012/04/12 19:23)
[76] 第52話 レイニーデビル② 迎撃…いや、出撃[嘴広鴻](2012/04/12 19:06)
[77] 第53話 レイニーデビル③ カミナリグモ[嘴広鴻](2012/04/12 19:07)
[78] 第54話 レイニーデビル④ ひざまくら[嘴広鴻](2012/04/12 19:07)
[79] 第55話 学園祭準備[嘴広鴻](2012/04/12 19:34)
[80] 第56話 学園祭① カシオペア[嘴広鴻](2012/04/15 11:03)
[81] 第57話 学園祭② まほら武道会予選[嘴広鴻](2012/04/22 10:06)
[82] 第58話 学園祭③ まほら武道会本戦開始[嘴広鴻](2012/04/15 11:04)
[83] 第59話 学園祭④ 世界初は何気に日本らしい[嘴広鴻](2012/04/15 11:04)
[84] 第60話 学園祭⑤ 打撃技など花拳繍腿[嘴広鴻](2012/04/16 19:07)
[85] 第61話 学園祭⑥ ラストシューティング[嘴広鴻](2012/04/16 19:12)
[86] 第62話 学園祭⑦ ビームは英語でサーベルは蘭語[嘴広鴻](2012/04/16 19:06)
[87] 第63話 学園祭⑧ バトル・ミリオネア達成[嘴広鴻](2012/04/16 19:06)
[88] 第64話 学園祭⑨ ネギノ・トリガー[嘴広鴻](2012/04/19 19:00)
[89] 第65話 学園祭⑩ Dメール[嘴広鴻](2012/04/19 19:01)
[90] 第66話 学園祭⑪ 世界樹が綺麗ですね[嘴広鴻](2012/04/19 19:02)
[91] 第67話 学園祭⑫ 覚悟完了[嘴広鴻](2012/04/19 19:02)
[92] 第68話 学園祭⑬ 強制時間跳躍弾[嘴広鴻](2012/04/19 19:03)
[93] 第69話 学園祭⑭ 追撃のネギ[嘴広鴻](2012/04/19 19:03)
[94] 第70話 学園祭⑮ 超鈴音の消め…沈[嘴広鴻](2012/04/19 19:21)
[95] 第71話 振り替え休日出勤[嘴広鴻](2012/04/29 12:21)
[96] 第72話 ドキドキ★懺悔タイム[嘴広鴻](2012/04/22 10:17)
[97] 第73話 10年来の約束①[嘴広鴻](2012/04/22 10:36)
[98] 第74話 10年来の約束②[嘴広鴻](2012/04/22 10:44)
[99] 第75話 浮気調査[嘴広鴻](2012/04/22 10:18)
[100] 第76話 アーニャ襲来[嘴広鴻](2012/04/22 10:19)
[101] 第77話 ウェールズ帰郷[嘴広鴻](2012/04/22 10:19)
[102] 第78話 夏祭り[嘴広鴻](2012/04/22 11:02)
[103] 第79話 魔法世界出発[嘴広鴻](2012/04/29 12:26)
[104] 第80話 ゲートポート破壊事件[嘴広鴻](2012/04/29 12:51)
[105] 第81話 別行動[嘴広鴻](2012/05/03 18:35)
[106] 第82話 拳闘デビュー[嘴広鴻](2012/05/06 09:46)
[107] 第83話 “千の刃”登場[嘴広鴻](2012/05/10 20:45)
[108] 第84話 突撃! ラカンさんちの全財産[嘴広鴻](2012/05/13 10:55)
[109] 第85話 一方その頃[嘴広鴻](2012/06/17 09:59)
[110] 第86話 箒レース[嘴広鴻](2012/05/20 10:17)
[111] 第87話 朝チュン[嘴広鴻](2012/05/24 21:46)
[112] 第88話 オスティア終戦記念祭[嘴広鴻](2012/05/27 18:09)
[113] 第89話 じゃじゃ馬皇女[嘴広鴻](2012/05/31 21:03)
[114] 第90話 VSラカン① 切り札その一[嘴広鴻](2012/06/03 21:58)
[115] 第91話 VSラカン② 切り札その二[嘴広鴻](2012/06/07 20:25)
[116] 第92話 オスティア総督[嘴広鴻](2012/06/28 21:42)
[117] 第93話 話し合い[嘴広鴻](2012/06/17 10:47)
[118] 第94話 決裂[嘴広鴻](2012/06/21 19:44)
[119] 第95話 メメント・モリ[嘴広鴻](2012/06/24 09:18)
[120] 第96話 イレギュラー[嘴広鴻](2012/06/28 20:44)
[121] 第97話 墓守り人の宮殿[嘴広鴻](2012/07/02 08:03)
[122] 第98話 リライト[嘴広鴻](2012/07/05 20:13)
[123] 第99話 フェイト[嘴広鴻](2012/07/08 10:38)
[124] 第100話 造物主[嘴広鴻](2012/07/12 23:56)
[126] 最終話 ただいま[嘴広鴻](2012/07/15 14:07)
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[32356] 第17話 元日
Name: 嘴広鴻◆3550cb77 ID:9ca4420d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/03/29 18:47



「明けましておめでとうございます。
 わあ、これが巫女服ですか。巫女服サイコーーー!きれいですね



 何かテンション上がってきた。



「明けましておめでとう。
 …………何か邪念を感じたんだが?」

「? マナちゃん、どうしたん?」

「明けましておめでとうございます、ネギ先生。
 早いですね、まだ7時前ですよ」

「明けましておめでとう。 お父さん達はどうしたの?
 一緒に年越しするって聞いていたけど」



 ん? ああ、タカミチ達なら、学園長から提供という名の強奪をされた秘蔵のお酒のせいで、アルさんを除いて全員夢の中です。
 吸血鬼であるエヴァさんすら二日酔いで動けないとか、いったいどんな酒を集めてたんですか、学園長?
 特にタカミチは尋問のため、次から次へと飲まされてグロッキーです。

 こんな有様ではおせちを食べることが出来そうにないので、台所を借りて適当に朝食を作ってアルさんと食べました。それとエヴァさん達用に雑炊も作っておいたので、起きたら勝手に食べてくれるでしょう。
 アルさんもかなり飲んでいたんですがケロッとしていました。やはり普通の人間ではないみたいです。

 ちなみにアルさんは朝食を食べ終わるとカメラを持ってニヤリと笑い、エヴァさんが二日酔いで苦しんでいる部屋に消えていきました。
 おそらくうんうん唸っている寝顔を撮られて、またからかう材料が増えることになるでしょう。


 そして自分は朝早くから龍宮神社へと参拝です。遅くなったら混むでしょうからね。







「皆さんまだ寝てますよ。今朝までずっと飲んでたみたいです。多分昼過ぎてからでないと起きないですね。僕は途中で寝ましたから大丈夫でしたけど。
 特にタカミチは随分とガトウさんに飲まされていたみたいです。
 僕は朝早くに目を覚ましたので、散歩がてら参拝です。皆さんがここでアルバイトしてるって聞きましたので…………」



 アルさんが写真を撮るのを止めなかったアリバイ作りじゃナイデスヨ。



「そうなの? まったく、いい年して何してるんだか。帰ったらキツク言っておかないと。
 まあいいわ、あなた日本初めてなんでしょう。参拝の仕方とかわかるのかしら?」


 そう言って、溜息ついたのはアスナさん。下ろしたオレンジの髪が巫女服の白に映えて似合ってます。
 原作の元気一杯な性格も良いですが、このクールな性格も良いですね。しかも微かに笑っているのが非常にディ・モールト非常にディ・モールト良いです。
 表情だけで「もう、しょうがないなぁ。お父さんは」と考えてるのがわかります。呆れるだけじゃない、隠しきれない親娘愛を感じますね。
 明石祐奈さんみたくベッタリじゃないみたいですけど、お父さん大好き人間みたいです。





「そういえばそうだな。
 神楽坂はこれから休憩だろう。案内してあげたらどうだ?
 この時間帯ならまだ参拝客も少ないだろうから、少しぐらい休憩を伸ばしても構わないよ」


 原作でも巫女服を着ていたアルカナさんは着慣れているようで、ビシッときまってます。まるで本当の巫女さんのようです。

 あ、いえ……本当に巫女さんです。
 巫女さんですから、その袂に入れた手を出してください。撃鉄が鳴る音なんか聞いてませんから。
 エキゾチックな美しさが、合わないと思われそうな巫女服に逆に合っています。体型が目立たない和服のはずなのに、中学生と思えないグラマラスなボディを隠しきれていません。やっぱりこの人年齢詐ゲフンゲフン!
 …………あれですね。やはり日本人女性とは発育速度が違うようですね。





「久しぶりやなー、ネギ君。また今度一緒に遊びにいこな。
 残念やけどさっき休憩終わったばかりやから、今は案内出来ひんわ」


 THE・正統派巫女さんの木乃香さん。やはり大和撫子はいいですね。
 和服を普段から着慣れているせいか、歩き方が他のアルバイト巫女さんとは違います。“しずしず”という擬音が似合う歩き方です。

 巫女服の紅白と絹のような長い黒髪のコントラストがいいです。
 というか関西呪術協会の長の娘が巫女やってる神社って凄くご利益ありそうです。よし、後で御神籤引きましょう。





「そういえばウェールズに一時帰郷なさるらしいですね。
 事情を聞きました。おめでとうございます、ネギ先生」


 いつものサイドポニーテールじゃなく、髪を下ろしている刹那さん。何だか髪を下ろしていると幼く見えます。
 アルビノなので肌も髪も雪のように白く、目がルビーのように赤いのですが、それがまた巫女服の白と赤に合っています。

 原作でのキリッとした表情も良いですが、この柔らかい表情も素敵です。原作では木乃香さんぐらいにしか見せないような笑顔を振りまいてくれます。
 この人も和服は剣道着などで着慣れているためか、本職の巫女さんのように見えます。
 烏族の女の子の巫女服に似た服は背中が開いているんでしたっけ? そっちも機会があるのなら是非とも見てみたいものです。



 でもアルバイトのときぐらいはその仕込み日傘は置いておきましょうよ。お願いですから。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





「はい、甘酒です。どうぞアスナさん」

「悪いわね。頂くわ」

「いえいえ、案内してくれるんですからこれぐらい。エヴァさんと学園長からお年玉も頂いたことですし。
 まあ、9歳とはいえ今年から社会人になるので、お年玉貰うのも変な話ですが」

「ウフフ、貰える間は貰っておきなさい。
 大人になったら貰いたくても貰えなくなるのだから」



 はい。勿論貰えるものはありがたく貰っておきます。
 グロッキーな状態でもお年玉をくれるためだけに起きてきたエヴァさんと学園長には感服します。

 …………タカミチとガトウさん? 誰でしたっけ、その人達?
 朝っぱらから二日酔いのせいで吐きまくっていたまるでダメなオッサン共なんか知りませんよ。





「そういえば、遅くなったけどおめでとう。故郷の人達を元に戻せるんですってね」

「ええ、ありがとうございます。
 来週にもウェールズに戻って、村の皆を元に戻すことになりました」

「9歳の身空で大したものだわ。若いって凄いわよねぇ。
 うちのクラスにも凄いのがいるけど、あなたもその一人なのかしらね」



 いや、あなたも若いでしょう? って言おうと思いましたけど、そういえばこのアスナさん記憶があるんでした。
 “黄昏の姫御子”として成長を阻害されていたためか、実年齢と見た目があってないんですよね。
 20年前の大戦時には既に子供の姿で、“自分と同じで実際の年齢と見た目が違うかもしれない”というようなことをアルさんが言ってましたし…………。



 むむ! となると、エヴァさんと同じロリババアというわけですね、わかります。







「…………何か不愉快なこと考えなかったかしら?」

「え!? いえいえいえいえいえ! クラスの凄い人って誰かな? と思っただけですよ。
 今年……じゃなくて去年のウルティマホラチャンピオンの古菲さんとか、茶々丸さんを作った葉加瀬さんとか色々いるみたいですし」

「ああ、そうね。確かにたくさん凄いのがいるわねぇ。
 というか、あなたが世話になっているエヴァンジェリンがその筆頭じゃないかしら?」


 …………そういえばそうでした。
 普段のエヴァさん見てると全然そう思えないんですよね。原作知っていると尚更です。


「んー。でも家でのエヴァさん見てると全然そう思えないのが困るんですよね」

「フフフ、そうかもしれないわね。あなたに“お母さん”と呼ばれるために四苦八苦している姿を見ていると、確かに凄い人と思うのは無理だわ。
 でも、ウェールズから帰ってきたら魔法使いとして弟子になるんでしょう。そうなったらそんなこと言えないわよ。エヴァンジェリンは魔法に関しては厳しいからね」



 頑張りなさい、と頭を撫でられました。ナデナデ、と。
















 ………………ポッ。
















 …………ハッ!? いけないいけない。危うく惚れるところでした。
 くそっ! アスナさんがナデポのスキルを持っているなんて、さすがは“黄昏の姫御子”ですね。



 まあ、冗談はともかく…………いいなぁ。こんな風に撫でられるのって。
 ネカネ姉さんは抱きしめながら撫でてくるし、エヴァさんは何だか目が血走ってるんですよね。

 タカミチ? 男に撫でられて喜ぶ趣味はないですよ。
 こんな風に穏やかに撫でてくれるのって、アーニャのお母さんぐらいでした。


 それにしても、魔法使いとしての弟子になるのもエヴァさん言いふらしているみたいですねぇ。
 帰ったらエヴァさんと少しお話しないといけないようです、フフフフフ。



「? どうしたの? いきなり笑っちゃって」

「え、いや、ありがとうございます。教師だけでなく魔法の修行も頑張ります
 こんな風に撫でられるのって久しぶりで。何だかアスナさんは“お姉さん”みたいだなぁ、って思いまして」

「…………そう。そう思ってくれるの。
 でも、教師になる人がそんなこと言っていいのかしら。それにエヴァンジェリンが聞いたら怒るわよ」



 確かにそうですね。

「アスナのことは“お姉さん”と思うのに、何で私のことは“お母さん”って思ってくれないんだーーー!!!」

 とか騒ぎそうです。
 でも、それより何かを思い出してるようなアスナさんが気になります。ナギやアリカ姫のことを思い出しているのでしょうか?



「ハハハ、そうですね。このことは秘密にしてください」

「わかってるわよ。あなたもエヴァンジェリンの前でそんなこと言わないでね。あの子が暴れると大変なんだから。
 …………もう少し撫でてあげるから」





 アスナさんに引き寄せられ、そのまま頭を撫でてもらいました。頭がちょうど胸に当たる位置なのが役得です。
 ネカネ姉さんやエヴァさんみたいな感じじゃなく、軽く触られるような感じが気持ちいいです。何だか“慈しむ”という言葉が浮かんできました。


 眠くなってきたなぁ。1時に寝て、6時前に起きましたからね。9歳の子供の体にはキツイです。





 …………原作と違ってガトウさん達は生きてるのに、原作通りにナギやアリカ姫はいませんでした。
 原作通りにメルディアナ魔法学院に入るまで自分は一人ぼっちでした。

 アーニャやアーニャの両親、スタン爺さんもいましたけど、アーニャに甘えるわけにはいかないし、アーニャの両親やスタン爺さんはやはりどこか自分に遠慮していたようでした。
 まあ、アーニャの両親をとるわけにもいかないし、スタン爺さんはツンデレでしたからしょうがないですけど。


 この世界が並行世界ということを知った後、キャラ崩壊していたことに気づいたネカネ姉さんにも甘えることが出来ませんでした。
 もちろんネカネ姉さんは自分のことを弟として愛してくれているということはわかります。
 それでも何だか戻れなくなりそうで怖くて、甘えることが出来ませんでした。

 それからは何が起こるかわからないこの並行世界に対処するために、勉強と修行の毎日でした。
 男に甘える趣味は無いのでタカミチには甘えませんでしたし、エヴァさんに甘えたら負けかな、と思ったので甘えませんでした。

 前世の最後が大人だったから甘えるのが恥ずかしいし、甘えなくても大人なんだから自分●●は大丈夫と思っていました。
 でも、子供の体に引きずられて、大人のときに食べられたものが食べられなくなったみたいに、甘えなくても大丈夫だったのが本当は甘えたい、と心の底では思っていたのかもしれません。
 
 いや、思っていたのでしょう。





 僕は今、アスナさんに甘えていたいです。





「アスナさん」


「なに?」


「もうちょっと、撫でてもらっていいですか?」


「……ええ、いいわよ」





 ナデナデ、と頭が撫でられます。
 …………眠い。参拝とかはまだだけど、このまま眠っちゃってもいいかなぁ?


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