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No.3132の一覧
[0] それが答えだ! 15話更新)[ウサギとくま](2010/10/21 17:43)
[1] 1話[ウサギとくま](2011/01/14 18:05)
[2] 2話[ウサギとくま](2011/01/14 18:06)
[3] 3話[ウサギとくま](2011/01/14 18:08)
[4] 4話[ウサギとくま](2011/01/15 11:26)
[5] それが答えだ!ご[ウサギとくま](2009/01/27 15:22)
[6] それが答えだ!ろく[ウサギとくま](2008/06/04 20:36)
[7] それが答えだ!なな[ウサギとくま](2008/11/29 11:34)
[8] それが答えだ!はち[ウサギとくま](2009/04/14 18:16)
[9] それが答えだ!きゅう[ウサギとくま](2009/01/27 15:33)
[10] それが答えだ!じゅう[ウサギとくま](2008/11/29 12:11)
[11] それが答えだ!じゅういち[ウサギとくま](2008/07/12 00:11)
[12] それが答えだ!じゅうに[ウサギとくま](2008/07/12 00:16)
[13] それが答えだ!じゅうさん[ウサギとくま](2008/07/26 02:48)
[14] それが答えだ!じゅうよん[ウサギとくま](2008/08/09 04:19)
[15] それが答えだ! じゅうご[ウサギとくま](2010/10/21 17:39)
[16] それが答えだ!じゅうなな[ウサギとくま](2009/03/27 02:31)
[17] それが答えだ!にじゅう[ウサギとくま](2008/10/17 00:17)
[18] それが答えだ!にじゅういち[ウサギとくま](2008/12/11 20:51)
[19] それが答えだ!にじゅうに[ウサギとくま](2009/01/07 21:44)
[20] それが答えだ!にじゅうさん[ウサギとくま](2009/01/14 19:34)
[21] それが答えだ!にじゅうよん[ウサギとくま](2009/01/21 01:57)
[22] それが答えだ!にじゅうご[ウサギとくま](2009/02/05 01:11)
[23] それが答えだ!にじゅうろく[ウサギとくま](2009/04/14 18:14)
[24] それが答えだ!にじゅうなな[ウサギとくま](2009/04/14 18:57)
[25] それが答えだ!にじゅうはち[ウサギとくま](2009/05/30 12:30)
[26] それが答えだ!ばんがいへん[ウサギとくま](2009/03/08 21:58)
[27] それが答えだ!ばんがいへん弐(追加)[ウサギとくま](2009/03/08 22:10)
[29] それが答えだ!ばんがいへん参[ウサギとくま](2009/03/08 22:15)
[30] それが答えだ!ばんがいへん四[ウサギとくま](2009/03/08 22:29)
[31] それが答えだ!ばんがいへん五[ウサギとくま](2009/03/08 22:35)
[32] それが答えだ!ばんがいへん六[ウサギとくま](2008/11/05 10:23)
[33] それが答えだ!ばんがいへん七[ウサギとくま](2008/10/07 18:45)
[34] それが答えだ!ばんがいへん八[ウサギとくま](2008/10/31 16:46)
[35] それが答えだ!ばんがいへん九(追加)[ウサギとくま](2008/11/06 13:07)
[36] それが答えだ!ばんがいへん十[ウサギとくま](2008/12/11 21:04)
[37] それが答えだ!ばんがいへん十一[ウサギとくま](2008/12/11 21:02)
[39] それが答えだ!ばんがいへん十三[ウサギとくま](2009/01/17 23:26)
[40] それが答えだ!ばんがいへん十四[ウサギとくま](2009/02/10 01:19)
[41] それが答えだ!ばんがいへん十五[ウサギとくま](2009/03/13 08:06)
[42] それが答えだ!ばんがいへん十六[ウサギとくま](2009/04/14 18:13)
[43] それが答えだ!ばんがいへん十七[ウサギとくま](2009/04/14 18:12)
[44] それが答えだ!ばんがいへん十八[ウサギとくま](2009/04/29 03:29)
[45] ばんがいへん十九[うさぎとクマ](2009/09/29 22:14)
[46] キャラクター紹介[ウサギとくま](2009/09/29 22:16)
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[3132] それが答えだ!じゅういち
Name: ウサギとくま◆9a22c859 ID:1c9fc581 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/07/12 00:11
……どっかの魔王城……


「ねー、ウェイちゃん?」
「なんじゃ、ダリア? ワシ3年振りくらいに起きて眠いんじゃが……」
「御主人様とシルフ見なかった?」
「む……そういえば気配が無いのう……」
「お城にはいないの」
「いつから姿が見えないのじゃ?」
「うーんと……これくらいっ」
「……3日か」
「ううん、3年ぐらいっ」
「何じゃと!? ワシが眠りについてからすぐではないか!」
「どこいったのかなあ?」
「お主、3年も城の中を探しておったのか……?」
「かくれんぼみたいで楽しかったよ?」
「……」


第11話 君と響きあうRGP!


「……なんか噂をされている気がする」
<奇遇ですね、私もですよ>
「まあ、いいか」
<そですね>

……。

さて期末試験も終わり、無事ネギ君はクビならずに済み、俺たちは何事も無く終業式を迎えたのだった。
そして……

「パーリィー?」
「無駄に発音がいいわね……」
「そや。無事にテストも終わったし、寮で打ち上げパーティーしよかって事になってん」
「なったんか……」
<楽しそうですねっ>

終業式が終わりどこか浮かれた気分の教室。
浮かれているのは春休みに入るからだろう。
そして俺の前にはアスナとこのかがいる。
話の内容はさっきの通りだ。
いいねえ、打ち上げ……青春してるねえ。

「それで何だ? 『皆でパーティーするけど、先生は一人寂しく家でテレビでも見るんですか?』……とか言いに来たのか? 馬鹿にすんなよ、俺にも予定はあるんだよ! エヴァと遊んだり、茶々丸さんと遊んだり……あとエヴァと遊んだり……あと、茶々丸さんと遊んだり……」
<マスター……>

シルフが悲しそうな声を俺にかけてくる……べ、別に泣いてないんだからねっ。

「な、何でいきなり泣くのよ……」
「ウチらはナナシ君を誘いにきたんやで~」
「……悪の道に?」
「違うわよ! パーティーによ!」
「何だ……それならそうと早く言えよ」
「……で、参加するの?」
「する!」
「よかったあ~」

このかが嬉しそうに微笑む。

「全員参加なのか?」
「えっとな~、エヴァちゃんと茶々丸さんは来ないみたいやなあ……残念」
「ふむ……俺が呼ぼう」
「ほんまに~?」
「まかせろ」

せっかくの打ち上げだし、全員揃った方がいいだろ。
さてと……

<呼ぶってどうするんですか?>
「携帯を使う」
<マスター、携帯持ってたんですか!?>
「まあな、便利だし。最近持つようにしたんだ」
<はあ、先進的ですねー>

携帯で先進的も無いだろ……。
まあいい。
えーと、どのボタンだっけ……?

<あの……私を見つめてどうしたんですか?>

……これか。
ポチっとな。

<な、なんですか!? 私からアンテナが出てきましたっ!>
「まあ、落ち着け」
<落ち着けませんよ! 携帯って私ですかっ!? いつの間にこんな機能を!>
「お前が寝てる時にさっくりと」
<マスターの鬼畜!>
「今度はワンセグをつけようと思う」
<勝手に機能を増やさないで下さいっ!>

シルフがかなりうるさいが無視してボタンを押し耳に当てる。

『はい、茶々丸です』
「俺だよ俺、俺。何ていうか……俺!」
<マスター、それ大好きですね……>
『何でしょう、ナナシさん?』

む……一発で当てられたか……やるな。

「何で俺だと分かったんだ?」
『ナナシさんの声を聞き間違えるわけがありません』
「……」
<顔が赤いですね、マスター>
「うるさいよっ」
『それで御用は……』
「茶々丸さんは今は暇?」
『はい』
「じゃあ、打ち上げパーティーするから寮に来てくれ」
『分かりました』

これで茶々丸さんは参加っと。
あとは……

「エヴァは?」
『今は浜辺で日光浴をしています。ナナシさんをお待ちの様です』
「分かった。じゃあ一緒に連れて来て」
『かしこまりました。では、後ほど』
「ばいばーい」

ボタンを押して電話を切る。
これでエヴァも参加、と。
アスナとこのかの方を見る。

「エヴァと茶々丸さんは参加だって」
「やった~」
「まあ、良かったんじゃないの」
「これで全員参加か?」
「いや、あとは……あ、ネギ」

アスナが見る方へ視線を向けると、ネギ君がトボトボと歩いていた。

「どうしたんだ、ネギ君?」
「あ……ナナシさん。あの……長谷川さんに打ち上げに参加を断られてしまいました……」

ネギ君の話を聞いていると長谷川はネギ君の誘いに対して『クラスの変人集団にはなじめない』と言って帰ったらしい。
変人か……。
確かにこのクラスは変人と言っても過言では無いメンバーが揃っているからなあ。
彼女の様に普通っぽい子は馴染めないのかも知れないな。
む……しかし俺はすぐにクラスに馴染めたな。
……。
……俺は適応能力が高いってことか!

「じゃあ、俺がちょっと話してくるよ」
「えっ、でも……」
「いいからいいから。ネギ君は色々と無理しすぎなんだよ。こういう時のために俺がいるんだろ?」
<マスターが極珍しくいい事を言いました! 明日はカエルでも降るんじゃないでしょうか……>
「は、はい……。じゃあ、お願いします」
「ああ。じゃあ、先に会場へ行ってくれ」
「頑張ってな~」
「……」

ネギ君の期待の篭った目とこのかの声援とアスナの不審に満ちた眼差しに見送られて、俺は長谷川のもとに向かった。

……。

「面倒だな」
<えぇー! いきなりですか!?>

シルフが愕然とした声をあげる。

「違う……歩いて行くのが面倒だって言ったんだ。パっと転移して行こう」
<そうですね……では転移を――>
「ドアの前に転移しろよ? いきなり部屋の中だと色々面倒だ」
<分かりました! ドアの前……ドアの前……はいっ>

シルフの声と共に目の前に人が通れるほどの門が現れる。
俺はそこをくぐり――再び門をくぐり世界に戻った。
俺の転移は一般的に使われる転移と違い……まあいろいろある。
無駄に条件が多いが出口はこの世界のどこにでも作ることができる。
……まあいずれは説明する事になるだろう。逆に言えば、説明しない事にならないだろう。

<はい、見事にドアの前に転移しました! かるーく褒めてくれたりなんかしちゃったりしてくれたらこれからも頑張る気が増し増しです!>
「……」

確かにドアの前に転移はしていた。
しかし……

「……」

後ろを見ると毎日使うアレが見える。
……確かにドアの前だ、間違いは無い。
しかしここは……

「トイレじゃないか!」
<そうですけど……なにか?>
「何で自分は正しいみたいな言い方なんだよ!? おかしいだろ!?」
<でもドアの前……>
「玄関に設置されてるドアの前だっ! ここもろに部屋の中じゃないか!」
<……70点くらいですかね?>
「0点に決まってるだろがっ!」

なんて自分に甘い採点だ……!
しかし、トイレの中はまずいな……。
いきなり部屋の中のトイレから人が出てきたら超びびるしな……。
俺だったら即通報するな。
まあ……なんとか……なるか?
ドアノブに手を掛け考える。
まあ、自然にトイレから出て、自然に挨拶すれば……まあ、有耶無耶になるだろ。
俺なら行ける……行ける!

ガチャリ

自然にトイレを出る。
そして自然に……

「いずれ生まれいずる生命達にこんにちは!!」
<全然自然な挨拶じゃないです! どこの挨拶ですか!?」

……。
……?
反応が無いな。
正面に目を向けると……

「よっしゃーー! 今日も私のブログがぶっちぎりのトップ!! このままNET界のカリスマになって、世界中の人間を私に跪かせてやるわーー! ほーほっほっほー!」
「……」
<……>
「『ちうたん今日も可愛いね』ですって!? そうよ! 私は可愛いのよ! つまり私は最強!!」

……成る程、通りで気づかないわけだ。
俺は無意識の内に後ずさる……おそらくヤツのオーラに当てられての行動だと考えられる。

ポキっ

「……!」

何故こんな所にお約束の様に枝が……!?
あ、小枝か……おいしいよね。

「だ、誰だ!?」

気づかれた!

「や……やあ、ちうたん」
<お、お邪魔してます>
「な!? お前らなんで……ってか何で私の部屋に!?」
「トイレと間違えて入っちゃいました」
「あり得ない言い訳をするな!」

あながち間違いではない。

「それにしてもいい格好だな……ククク」
<本当ですねえ、人は変わるもんですね……フフフ」
「なっ……!」

長谷川が自分の体をかき抱く様に体を隠す。
今の長谷川の格好はバニーガールだ。
教室に居る時のような大人しいイメージとは程遠い。

「ク、クラスの奴らに言いふらす気なのか……?」

長谷川が目に不安の色を滲ませて尋ねる。

「いやいや、そんな酷いことはしないよ……なあシルフさんや?」
<ええ、そうですよ……マスターは優しいですからね……フフフ>
「ちょっとお願いを聞いてもらえれば、この事は心の中に閉まっておくさ……ククク」
「! お、脅す気か!? 大人がやる事か!?」
「大人だからやれんだよぉ!!」

長谷川はほぼ半泣き状態だ。
自分の趣味をバラされるか、このまま大人しく俺の言う事を聞くかで葛藤しているのだろう。

「クソっ、最悪だ……こんなヤツが教師だったなんて……!」
「俺は『最悪のナナシ』の二つ名を手にいれた!」
<チャララーン!>
「何なんだよ!?」
 
さて……

「じゃあ、お願いだが……」
「待て! 私はまだ従うなんて言ってない!」

その言葉を無視して俺はブツを取り出し長谷川に渡す。

「じゃあコレを使って……あとは分かるよな、ちうたん?」
<マスターってば鬼畜ぅ!>
「……」

長谷川はブツを見て呆然としている。
そりゃそうだろう……あんな物を渡されたらな!

「これを……どうすればいいんだよ?」
「おいおい! カマトトぶってんじゃないぜぇ!」
<本当は分かっているんですよねぇ!?>
「……ぅ」
「しっかり俺達に見えるように頼むぜぇ!」

呆然としていた長谷川はゆっくりと腕を動かす。
その顔は羞恥心によるものか、紅く染まっていた。
……。
そして長谷川の腕の動きに一段落がつく。

「……こ、これでいいのか!」
「どれどれ…………オイっ!!」
「な、何だよ……!?」
「『ナナシ君へ』を忘れてるだろうが!?」
<『シルフちゃんへ』もですよ!!>
「……うぅ」

さらさらと慣れた手つきで色紙にサインを書いていく長谷川。
おそらくかなりサインの練習をしたものと思われる。

「……これでいいのかよ?」
「まあ、いいだろう」
<やりましたね! マスター!>
「サインゲットだぜ!」

俺は大事にサインを保管する。

「……何で私のサインなんか?」
「そりゃ、ファンだったからに決まってるだろう?」
「ファン!? 私の!?」
「ああ……まさかこんな身近に本物がいたとは……」
<お釈迦様でも思わないですねっ>

まさか長谷川が、あのネットアイドルのちうちゃんだったとは……。
正直心臓ドキドキしてますよ……。

「そ、そうか……私のファンなのか」

心なしか長谷川は嬉しそうだ。

「ああ、懐かしいな……。最初にちうちゃんががホームページを作ってな……」 
<ええ……。最初右も左も分からなかったお嬢ちゃんにネットのルールを教えて……>
「まさかネットアイドルの頂点に立つとは思ってもいなかったよな……」

ああ懐かしい。
あの頃たまたま寄ったサイトに明らかにネットを始めたばかりの少女。
初めてのコスプレ。
色んなことに一喜一憂。
あの時の少女がまさかここまで来るとは……父さん嬉しいよ。

「……おい待て」
「何だよ?」
「お前らの話を聞いていると私がホームページを作った頃から私を知っていることになるんだが……?」
<大きくなりましたね、ちうちゃん>
「絶対嘘だろっ!! 確かにホームページを作った頃からの知り合いで色々とお世話になって、今も個人的にメールのやり取りをしている人はいるけどな……お前らのハズが無いだろ!!」
 
ピロリロリーン

「今その人からのメールが来た! このホラ吹き教師が!! どれどれ……『こんにちは、ちうちゃんお元気ですか? 突然ですが今僕は君の目の前にいます、よろしこ byナナシ』……う、嘘だ!」
「どうも、力の一号ことナナシでーす」
<技の二号ことシルフでーす>
「二人合わせて……」
「<2000万パワーズでーす>」
「……」

ちなみにこれはネット上での持ちネタだ。
メールは大体一日5通程のやりとりだ。
最近オフ会の話題も出ている。

「う、嘘だ……こんなヤツらだったなんて……」
「オフ会どうする?」
「やるわけないだろ!?」
<既にこれがオフ会ですねっ>

俺が言おうとしたのに……!
しかしこの長谷川の呆然具合を見ていると不憫になるな……。

「なあ……」
「何だよ……!?」
「そんなにショックだったか?」
「当たり前だろ! 教師にバレるわ、ソイツが実は前からの知り合いだったんだぞ! 最悪に決まってるだろ!?」
「俺は嬉しかったけどな」
「……何?」
「だってさ、長谷川の知らない一面は見れたし……しかも前から憧れてた人だったし……」
「憧れてた……?」
「ああ、ずっと尊敬してたさ。ネット上とはいえそのまんまの自分を見せるんだ……とてもじゃないが俺には出来ない」
「そ、そうか……?」

長谷川の顔に微笑が浮かぶ。

「あのさ……長谷川が良かったらだけどさ」
「……?」
「改めて友達になってくれないか?」
「は……!?」
「こういうさ、ネットアイドルとか教師とか抜きにしてさ……そのままのお前と友達になりたい」
「お、お前……馬鹿じゃ……ねえの?」
「ダメか?」
「……」

長谷川は顔を伏せて小刻みに震えていたが……

「……条件がある」
「性転換だけは勘弁してくれないか……?」
「違うつーの! ……私がネットアイドルだと黙っていること」
「大丈夫だ、俺の口の堅さには定評がある……って隣の家の小池さんが言っていたからな」
「もう一つ」

スルーされた。

「ネット上では今まで通りにしろ」
「今まで通り?」
「ああ。……いつもみたいにどこが悪いとか……分からない所を教えろ」
「しょうがないなあ、ちうちゃんは」
「あとその名前で呼んだら殺す。……千雨って呼べ」

まあそんなわけで俺と千雨は友達になったわけだ。
まあ、まず最初にすることは……

「じゃあ行くか」
「は? どこにだよ?」
「打ち上げ!」
「おい! 引っ張るな!!」

俺は千雨の手を引き会場へ走ったのだった。
……。
……。
会場について
 
「おーい、待たせたな!」
「あ、ナナシ君!」
「遅いわよ!」
「あっ、千雨ちゃんも一緒だ! 本当に連れて来れたんだ!」
「流石師匠と言うべきでござるか」
「仮装してるアル」

クラスの輪の中に入る。

「長谷川さん! 来てくれたんですね!」

ネギ君が嬉しそうに聞く。

「べ、別に……暇だったから来ただけです」

ツンデレ度30ってとこかな……

「これで全員揃ったわけだな!」
「じゃあ、始めよか~」
「「「「わーい!」」」

そして2-Aとしての最後のパーティーが始まった。
いつもの馬鹿騒ぎと変わらないが皆楽しそうだ。
俺は会場をうろつく。

「おや……バトルサンライズ+1じゃないか」
「……+1は私の事ですか?」

でこっぽい少女の綾瀬が少々不機嫌そうにこちらを見る。

「何でゆえゆえはこっちいるんだ? 宮崎は?」
「あれです……」

綾瀬の指差す方を見ると宮崎とネギ君が一緒にいた。
何やら初々しさで固有結界が発生しているようだ……。
周囲10メートルには誰も近づけないみたいだ。

「……成る程」
「私としてはのどかが幸せならいいです……」
「むう、友達思いだな……チョコをあげよう」
「……どうも」

綾瀬にチョコを渡す

「師匠! 拙者も欲しいでござる!」
「何か一発芸を」
「心得たでござる! ……むー」

忍者っぽい構えをして唸る楓。
……一体何が出る?

「奥義――『一人扇』!!!」

3人に分身した楓が手を繋ぎ扇の形を取る。

「どうでござる!!」
「来世からやり直せ」
「酷いでござる! 今のは奥義と扇をかけて……」
「説明せんでも分かるわっ! 修行が足りん!」
「……しゅん」

糸目のままうな垂れる楓。
これをバネにして自己を磨いて欲しいという師匠の想いは伝わっているだろうか……?

「では私がやろうかな」

龍宮が俺の前に出てくる。

「え……お前もやるの、一発芸?」
「ああ、これで先生が認めれば、楓に勝ったことになるからね」
「……さいですか」
「じゃあ、これを投げてくれないか?」

龍宮は俺に大量の空き缶を渡す。
……一体どこから?
まあいい。
それでは……

「おりゃあ!」

宙に向かって缶を投げる。
それらは重力に従い地面に向かって――

「――ハッ!」

――落ちない。
缶は地面に付く寸前に何かに弾かれた様に浮かび上がる。
龍宮は二挺拳銃を構えて銃口を様々な方向へ動かしており、タンタンタンとその都度軽い銃声が鳴る。
タンタンタンと舞うように拳銃を振り回す龍宮は――まるで缶と踊っている様だった。

カランカランカラン

缶が次々と地面に落ちていく。

「残念……弾が尽きた様だね。……どうだったかな、先生?」
「前の楓がアレだっただけに一層スゴイと感じた。僕にはとても出来ない」
「小学生の作文みたいです……」

綾瀬が最もらしい突っ込みをくれる。

「いや、本当に見事だったよ……お前の缶踊り」
「……変な名前をつけないでくれるかな、先生」
「じゃあ、チョコをあげよう」
「報酬がチョコか……フフ」

何やら自分の発言に受けたのかクスクス笑う龍宮。
……あと、チョコを物欲しそうな目で見る楓が何とも言えない。

「じゃあ、次刹那な」
「えぇ!? わ、私ですか!?」
「お前以外に誰がいる?」

キラーパスにあたふたする刹那。
コイツこういう急なのに弱いな……。

「せっちゃん……」
「……!」

遠巻きにこのかが見ていることに気づいたのか刹那に変化が生じる。
これは……お嬢様にいい所を見せねば……ってとこかな?

「で、ではナナシ先生との真剣試合を……」
「アホか! 却下に決まってるだろ!?」

コイツは何かと俺と真剣で試合をしたがる。
何だろ……キリデレとかなのかな?

「えっと……それでは……あの……その……」

それしか持ちネタ(ネタと言えないが)が無かったらしく目に見えてパニくっている刹那。
……大丈夫か?

「刹那ー、こうなったら脱ぐでござるよー」
「脱ぐ……? ……脱ぐ、脱ぐ……脱ぎます……」

いい感じに混乱している刹那は悪魔の囁きに応じてしまう……。
スルリと服を脱いでいく刹那……ってあかんだろ!!

「待て刹那!!」

俺は刹那の前に飛び出す。

「せ、せんせい……?」

ぼんやりとした目がこちらを向く。
刹那は既に下着状態だ。

「やめるんだ、落ち着け……刹那」
「あ……先生、やっと試合を受けてくれるんですね?」
「えぇー、何言ってんの……?」
「私……嬉しいです」

頬を紅く染め、ゆらりと刀を構える刹那。

「流石に何かオカシイだろ!?」

いくら混乱しているとはいえ、これはおかしい!

「やはり、先ほど混ぜた酒がまずかったでござるか……」
「まずいに決まってんだろうが!!」

またこの馬鹿忍者か!

「いや、凄くおいしい……らしいでござるよ?」
「そういう事言ってんじゃねえよ!」

つまり今の刹那は酒に飲まれているってことか……。
笑止!
いつもの刹那ならまだしもこんなフラフラの刹那に負ける気はしない!

「いいぜ、相手してやるよ……」
「先生……!」

下着姿で顔が赤い刹那に相対する俺。
この状況で国家権力の介入があれば申し開きは出来ないだろうな……。

「いきます……!」

フラフラとおぼつかない足取りで近づいてくる刹那。
しかしその足取りから考えられないほどのスピードで接近してくる。
神鳴流は伊達じゃない……ということか。

「……」

対する俺は今さらながら何も武器がない事に気づいた。
遅すぎである。
シルフはおそらく反応が無いのでおそらく寝ている。
ちーこは家。
ふふふ……死んだかも……。

「ざ、ざんがんけーん」

ガキンッ

刀は俺のわずか数cm横を凪ぎコンクリートの地面に突き刺さった。
刹那は俺に倒れ込む様に密着している。
この距離からだと何をしても回避できない……!
……死んだな。
ベッドの下のアレ……はフェイクで机の二重底に隠してアレを何とか処分してから逝きたかった……。
……。
……。

「……?」

おかしい……次が来ない。
……っていうか刹那が全く動かない。

「……zzz」
「寝とるー!!」

俺はベタベタな突っ込みを入れてしまった。
そりゃベタベタなネタだったからね……密着しているだけに……。

「zzz……すいません先生……むにゃむにゃ」

こいつどうしよう……?

「ナナシくーん」
「……このかか」
「ウチがせっちゃん引き取って行くわー」
「そうか……頼むよ」
「ええよー」

引っ付いていた刹那を剥がしてこのかに渡す。
このかはそのまま木陰に刹那を連れて行き……膝枕をした。
……起きたときが楽しみだ。
さて命は助かったしまずは……

テクテクテク

ズビシッ

「い、痛いでござるよ、師匠!!」
「デコピンで済んだだけましだと思え!」

これで良し。
全く酷い目にあった……。
周囲を見渡すとさっき集まっていたヤジウマクラスメイトは既に散ったようだ……速いな。
む……あれは……

「茶々丸さん」
「ナナシさん……先ほどはご無事でしたか?」
「ああ余裕だよ。茶々丸さんは楽しんでる?」
「はい、とても楽しく思います。来て良かったです」

そりゃ良かった、誘った甲斐があったよ。
良くみると茶々丸さんの後ろには露出度の高い小柄な少女がいる。
……ていうかエヴァか。

「エヴァ……何で茶々丸さんの背中に? 茶々丸さんの背中にいても世の中のしがらみから解き放たれることは決して無いぞ?」
「……」

ズイっと茶々丸さんが移動する。
つまりそこには当のエヴァが残るわけだが……

「何で水着なんだ……?」

エヴァは水着だった。
さらに無理して真っ赤なビキニなんぞを着ている。
さらにさらに体を隠すように腕を使っているため犯罪の香りがする。
個人的に犯罪の香りは柑橘類の匂いがすると思う。

「別荘で日光浴をしていたらいつの間にか眠ってしまってな……気が付いたらここにいた。……フフフ」
「ふしぎ!」
「貴様が茶々丸に指示して連れて来させたんだろうが! おかげでヤツラのいい笑いの的だ!」
「射撃訓練の的よりはマシだと思うが……」
「……ッ!」

ゲシリ

エヴァの見事な蹴りが俺の水月に決まった。
でも、俺は頑張って我慢した……しかし頑張って我慢すれば良いというものではなく前のめりに倒れた。
3秒で立ち直った。

「化け物が……」
「ひ、ひどい言い方だ!」
「ところで……」

俺の水月をさすりながら茶々丸さんが俺に尋ねる。

「シルフさんが静かですね?」
「そういえば、いつものやかましいのが聞こえないな」
<……>

……?
確かにさっきから妙に大人しい……。
ああ……!

「電池入れ替えるの忘れてたよ」
「電池で動いていたのか!?」
「ああ、単三電池二本でな」
「目覚まし時計かっ!!」
「いや……時計ではあるんだけど……」

そんなこんなで2年の3学期は終わった……。


……どこかの魔王城……
……誰かの部屋……

「ふむ……部屋に大規模な魔力行使をした痕跡が残っているのぉ」
「なるほどー」
「おそらくその魔力行使が原因でどうにかなったんじゃろう」
「ど、どうなったのかな」
「木っ端微塵に――」
「う…………うえぇぇぇん!!!!」
「じょ、冗談じゃ! 泣くでない!」
「……ほんと?」
「ほ、本当じゃ! ワシを信じろ!」
「う……うん、分かった……」
「ほっ……(魔王の子守も大変じゃのう)」
「さいきんは一人でさみしかった……」
「勇者とやらはどうした?」
「左の方に困ってる人がいる――ってはしっていったの」
「左て……あちらの方で魔物が発生した様じゃな」
「ご飯一人で食べるのはさみしい……」
「……まあ、ヤツらが帰ってくるまではワシが相手になってやろう」
「やった!」
「……それにしてもこの魔力量は一体?」


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