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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 49話
Name: ソーイ◆10de5e54 ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/30 00:25
 その日の昼休み、自作の弁当を食べた後、喫煙所(休憩室)で食後のお茶を楽しんでた所。
 何とは無しに生徒達が出版している新聞に目を通していたら、面白い記事があった。
 学園祭の最終日に、世界中の下で告白の確率、去年は86%だったらしい。
 凄いな、学園祭……と言うか、祭りの影響って。
 あー言う雰囲気の時に告白ってベタだとは思うけど、やっぱり結構バカに出来ないんだなぁ。
 なんというかまぁ、年頃だなぁ、と。
 あのデカイ木の下で告白か。
 確かに、学園祭中はイルミネーションも凄いし、雰囲気も出るんだろうな。
 生徒達も告白の雰囲気作りを、よく考えてるもんだ。
 ……それをどうやって調べたのか、と言うのも気になるが。
 胡散臭い、と言う思いもあるが、こう言うのはそんなもんだ。
 きっとこの数値は結構適当なのだろう。
 調べるとしたら、学園祭の参加者全員に聞いて回らないといけないし。
 もしくは、告白時に張り込んでいるか。
 ……どっちにしても無理だろう。
 86%、か。
 高いが、あながち無いとも言えない数値を出してるなぁ。
 こうやって告白を煽って、今年もこのネタで盛り上がるのだろう。

 世界樹伝説、ねぇ。
 一体誰が考えたんだか。
 教師としては苦笑するしかないが、今年も見回りはやり易いなぁ。
 世界樹周りをウロウロしているとしよう。



「どうしたんですか、先生?」

「ああ、源先生」

 これです、と。
 ちょうど通りかかった源先生に、今見ていた記事を見せる。

「どうやって調べたのかな、と」

「また夢の無い事を……」

 苦笑されてしまった。

「はは。こういう数字を出されると、どうやって出したのか気になりまして」

「数学の先生ですからね」

「そう言う事です」

 2人して、小さく笑う。
 どうにも職業柄、数値には少しうるさい……のかな?
 というか、この告白、と言うのが気になった。
 去年も一応、こう言うのは見回ったんだが、いつの間に告白してたんだか。
 若いって良いなぁ、と。
 妙に年寄りじみた考えになるのはなんでだろう?

「源先生は、今年は誰かと回られるんですか?」

「いえ、今はそう言う相手も居ませんので」

「そうなんですか?」

 意外だった。
 源先生なら、そう言う相手が居るとばっかり。
 簡単に話題を振りはしたが、ちょっと失敗したかな?

「そう言う先生こそ、誰かと回られるのでは?」

「自分ですか? はは、自分もそう言う相手に恵まれてませんので」

 そう考えていたら、軽く返される。
 よかった、どうやら彼氏無しと言うのを重くは考えてなかったようだ。
 それか、本当は居るけど隠しているのか。
 まぁどちらにせよ、詮索するのもアレだし。

「あら、意外ですね」

「そうですか?」

「ええ、クラスの誰かと回られるのかと」

 ぐっ……。
 それは、恋人が居ないと断言されたのか。
 そりゃ居ないけですけどね。
 しかし、学園祭の相手がクラスの子達だなんて……教師としては嬉しいけど、何か寂しいなぁ。
 どう応えるべきか悩み、とりあえず苦笑しておく。

「ふふ、失礼しますね?」

 先にそう一言断り、俺の対面に座る源先生。
 その手には2人分のコーヒー。

「どうぞ」

「あ、良いんですか?」

「ええ。その代り、話し相手になって下さいね?」

 はは。

「喜んで」

 コーヒーの為でしたら、と。

「あら、私はコーヒーが無かったらそんなに魅力がありませんか?」

「いえいえ。俺なんかじゃ源先生は荷が重すぎますからね。いただきます」

 そう断り、淹れてもらったコーヒーを一口飲む。
 うーむ、やっぱり俺が淹れたのより美味いなぁ。
 何が違うんだろう?
 月詠と言い、女の人と言うのは、こう料理関係が生まれ付き上手なんだろうか?
 そんな馬鹿な事を考えながら、新聞をたたむ。

「そう言えば、先生は今従姉弟の方と生活してるんですよね?」

「あ、はい。今は何とか、3人で生活してます」

 本当に“何とか”なので、苦笑してしまう。
 どうにも、食事面が問題なのだ。
 ……小太郎の舌が肥えてしまってる。
 今度、自分で料理させてみるかな?

「あら、何か問題でも?」

 その苦笑をどう思われたのか、心配されてしまった。

「いえ。料理を今までしてこなかったツケが出てきたと言いますか……」

「あー、なるほど」

「ははは……ま、そっちは何とかやっていきます」

「大変ですね」

 それほどでもないです、と。
 毎日楽しいし。
 楽しいと言うか、賑やか、かな?
 一人暮らしが長かったからか、今の生活は賑やかで、楽しい。
 だから、大変、だなんて事はない。

「そうですか?」

「ええ」

「……ふふ」

 そう答えたら、静かに笑われた。
 う……なんか変な事言ったかな?

「何か困った事があったら、言って下さいね?」

「そうですか?」

「はい――こういう時は、助け合いですよ?」

「……そうですね」

 そうなると、今度は俺が源先生が困った時に助けないといけないのか……。
 うーむ、全然役に立てる気がしないな。

「どうしたんですか?」

「いえ、源先生への恩返しはどうしようかなぁ、と」

「あら、期待して良いのかしら?」

「……まぁ、困った事があったら言って下さい」

「そうさせてもらいますね」

 そうすぐに応えきれないのって、格好悪いよなぁ。
 
「でも以外ですね」

 ん?

「何がですか?」

「先生でしたら、学園祭の相手はもう居られると思ってました」

「そうですか?」

 どうしてそう思われるのか。
 ……最近、近衛達と良く喋ってるからか?
 それはそれで、何と言うか、複雑な気分だなぁ。
 そんな事を話していたら、

「失礼します、よ」

「あ、新田先生」

 昼食を食べた後、午後からの授業の準備を、と言って席を外していた新田先生が戻ってきた。
 授業の準備は終わられましたか、と。
 そう聞くと苦笑。

「お邪魔だったかな?」

「……いきなり何を言ってるんですか」

 苦笑してしまう。
 そう言う関係じゃないのに。

「ふふ。振られてしまいました」

「おや、勿体無い」

「……そんな話、一度も出てこなかったですよね?」

「そうでしたか?」

 そんなにからかわないで下さいよ、と。
 コーヒーを一口啜り、新田先生に先ほどの新聞を差し出す。

「おや、どうしたんですか?」

「今年は見回りが楽そうですよ」

「ふむ」

 そう言うと、生徒が作った新聞に目を通しはじめる。
 書いてあるのは、先ほど話していた世界樹伝説の事である。

「……なるほど」

「今年は、世界樹周りを見回りしてれば大分楽だと思いませんか?」

「はぁ……毎年の事とはいえ、今年もこの時期が来ましたか」

「ですねぇ」

 新田先生と、2人して苦笑しながら溜息。
 だって、こちらがどれだけ目を光らせても、どうやっても告白しようとする生徒は居るのだ。
 それは俺がここに赴任するようになってからも、ずっとである。
 その気合をもう少し授業に、とも思うが……学生ってのはそう言うものかな、とも思う。
 多分、俺もあんな感じだったんだろうなぁ、と妙に歳を取った感じになるのはなぁ。
 そんな事を考えていたら、源先生が静かに笑う。

「先生も、まだ若いでしょうに」

「生徒達からしたら、もうおじさんも良い所でしょうし」

 四捨五入して30ですからねぇ。

「そうなると、私はもうお爺さんですな」

「私は…………まだ、お姉さんで居たいですね」

「源先生は、まだまだお若いですよ」

 ここでお綺麗ですよ、と言えればいいんだが。
 残念ながら、それは俺のキャラじゃないだろう。
 と言うか、そんな勇気が無いです。

「あら、嬉しい」

「ははは」

 しかし、今年の学園祭はどうなる事やら……。

「先生に、コーヒーのおかわりをお淹れしようかしら?」

「そ、そんなつもりで言ったんじゃないんですけど」

「ふふ、良いんですよ」

 う、うーむ。
 本当に、そんなつもりじゃなかったんだが……。
 俺からカップを受け取り、給湯室に行く源先生の背を目で追う。

「仲良いのかい?」

「どうでしょうか?」

 まぁ、良く喋る……のかな?
 でもそれも、職員室だけだし。
 こう言うのが仕事上の関係、と言う奴だろう。
 うん。

「……私にも、お茶を入れて来てくれると思うかい?」

「ど、どうでしょうか」

 それは、どうにも。
 は、はは……。







 その日の放課後、仕事を終わらせて帰ろうと校舎を出た所で。

「うぅ……私って本当にダメね……」

 なんか、神楽坂が物凄い落ち込んでた……。
 夕日も半分沈みかけているので、余計に落ち込んで見える。

「おー、神楽坂。どうしたー?」

「……あ、先生か」

 うわ、これは本格的に落ち込んでるなぁ。

「大丈夫か?」

「はぃー」

「……どうしたんだ、本当に」

 いつもの元気と言うか、明るさが無いぞ。
 暗い暗い。

「うぅ……先生、私ずっとこのままなのかなぁ?」

「すまん。まったく話が見えないんだ」

 どう答えろと?

「あ、せんせー!」

「ん?」

 落ち込んでいる神楽坂をどう慰めたもんか、と悩んでいたら、遠くから声。
 あれは……近衛と、桜咲か。

「はぁ、はぁ――明日菜、足早過ぎるえ……」

「あ、ごめん」

「先生はどうしたんですか?」

「ああ、今から帰る所だったんだが……」

 神楽坂が居たから、話してた、と。

「どうしたんだ?」

「あー……ちょっと、ありまして」

「?」

 そう言い淀む桜咲と、その神楽坂を慰めている近衛。
 どうしたんだろう?
 俺に言えないような事かな?

「というか、2人はその格好はどうしたんだ?」

 近衛と桜咲は……ああ、そうか。

「あ、部活か」

「はい。ちょうどこのちゃんと話してましたら、明日菜さんが走っていくのが見えましたので」

「なるほど」

 それで追いかけてきた、と。
 仲良いなぁ。
 ここは任せて大丈夫かな? 俺には話せない事みたいだし。

「そうか? なら、神楽坂は任せて大丈夫か?」

「あ、はい」

「ちょっと待ったっ」

 うおぅ。

「どうした、近衛?」

「ウチすぐ帰る準備してきますから、ちょっと明日菜の相手してもらっててえですか?」

「ん? ああ、いいが……神楽坂は、大丈夫か?」

 めちゃくちゃ暗いんだが……。

「はぃー」

 直ってないし。
 本当、何があったんだ?
 ここまで来ると、逆に気になるが……聞いて良いような事か判らないしなぁ。

「それじゃ、せんせ。少し待ってて下さいー」

「……元気だなぁ」

「は、はは。それでは、私も着替えてきますので」

「おー。まぁ、忘れ物しないようにな?」

「はい」

 うーむ。

「どうしたんだ、神楽坂?」

「はい?」

「いや、何かあったみたいだから……言い辛い事か?」

「ぅ」

 どうやら、言い辛い事らしい。
 夕焼け色の中で、暗い神楽坂。

「ねー、先生?」

「ん?」

 どうしたものか、と悩んでいたら神楽坂から声を掛けられた。

「私って子供っぽいかなぁ?」

「は?」

 どう言う事だろう?
 子供っぽい、か。

「あー、まぁ。どうだろうな?」

 どう答えたもんかな、と。
 性格と言うか、まぁ。
 ……子供っぽいよなぁ。
 そう内心で苦笑してしまうが、本気で悩んでるみたいだしなぁ。

「ねぇ先生」

「どうした?」

「今年の麻帆良祭、一緒に回りません?」

「……は?」

 いきなりどうした、と。
 そう聞くと、ひどく肩を落とされた。
 なんなんだ?

「どうして簡単に言えるんだろう?」

「あー、神楽坂? こっちは全く話が見えないんだが?」

 まぁ、さっきのは冗談……なんだろうな。この調子だと。
 だとしたら、どう言う事だろう?

「うぅ……私の意気地無しー」

「??」

 もう意味が判らない……が、どうやら、麻帆良祭に誰かを誘えなかったらしい。
 ……神楽坂が誘いたくて、誘えない相手なんて一人だけか。
 そう言う事、なのかな?
 そう間違ってない答えに行きつき、溜息を一つ。
 こればっかりは、どうにもなぁ。

「高畑先生は元気そうだったか?」

「あ、はい――え!?」

「どうした?」

「へ!? いや……あれ? 先生に言ったっけ?」

「……誰だって判るから」

 溜息を、もう一つ。
 判り易いよなぁ、本当。

「ぅ」

「なるほど、高畑先生を誘えなかった訳か」

「うぅ」

 まぁ、こればっかりは力にはなれないからなぁ。
 応援もしないし、力も貸さない。
 そのかわり、こうやって見て見ぬふりをする。
 ……きっと、間違っているんだろう。
 頭ごなしにこの子の恋を終わらせるのは簡単だけど、でも、そうはしたくはなかった。
 高畑先生なら大丈夫、きっと間違いも起こさないだろうって思う。
 だから、

「先生、どうしたらいいかなぁ?」

「さぁなぁ」

 そう苦笑する。
 苦笑して、この子の恋を楽しむ。

「そこは自分で考えないとな」

「……ぅぅ、そうだよねぇ」

 そう言って、また肩を落とす。
 判り易いよなぁ、本当。
 マクダウェルと仲良くなった理由が、良く判る。
 裏表が無い。
 きっと神楽坂にとっては、その全部が本心で、真実なんだろう。
 子供っぽい、か。
 でもそれは――きっと、神楽坂の“良い所”だと思う。

「ま、学園祭まで後一週間あるし、そう落ち込まなくても良いんじゃないか?」

 明日は休みだけど。
 まぁ、喫茶店の準備も間に合いそうだし、休日出勤はしなくて済みそうだ。
 そんな事を考えながら、欠伸を一つ。
 明日はゆっくりしよう。

「そ、そうかな?」

「……まぁ、神楽坂次第だけどな」

「うぅ」

 また落ち込むし。
 面白いなぁ、本当に。
 喜怒哀楽が激しいのは、きっと神楽坂の長所だな、と。
 そう思えるのは、この子の人柄だろうなぁ。

「せんせー」

「お待たせしました」

 そんな事を考えていたら、近衛達がこっちに走ってくる。
 ……そんな急いで、こけたら危ないのに。

「そんなに急がなくても良かったのに」

「まったくだ」

「ぅー」

 何を鳴いてるんだか。
 最近、近衛もなんだか……何と言うか。
 少し気を許してもらってると言うか。

「それじゃ、途中まで一緒に帰るか?」

「はいっ」

 こっちは神楽坂とは逆に、明るいなぁ。
 ……こうも明るいと、少し困ってしまう。
 頬を掻き、どうしたもんかなぁ、と。
 そう悪く思われていない、と言うのは判る。
 でも、それ以上か、それだけなのか。
 そこが判らない。
 困ったなぁ。

「せんせ、明日は予定は?」

「明日?」

 んー。

「別にないなぁ。多分……」

 部屋でゴロゴロしてる、と言おうとして、止める。
 流石にそれは、教師としてどうだろう、と。

「……散歩か、部屋で本読むかな?」

 とりあえず、無難な事を言っておく。
 まぁ、多分間違いじゃないし。
 あとは月詠と小太郎次第だろう。
 そう言えば、あの2人と初めての休日だな。
 何かしようかな?
 そう考えると、色々と思ってしまう。
 ふむ。
 帰ったら聞いてみるかな?
 いや、まずは予定を聞かないとな。

「どないしました?」

「ん? いや……近衛達は明日は?」

「んー。どないしましょう?」

「……こっちに聞かれてもな」

 近衛の隣を歩く桜咲に視線を向ける。
 苦笑を返された。
 神楽坂は相変わらず、肩を落として歩いている。
 そんなに高畑先生を誘えなかったのが堪えたんだろうか?
 それくらいなら、いつもの事だと思うんだがなぁ。

「大丈夫か、神楽坂?」

「うぅ……」

 やっぱり、私って駄目だわ、と。
 まだ言ってるのか……。

「いつも勇敢な明日菜さんらしくないですよ」

「……勇敢かな?」

「エヴァンジェリンさんの事を知って、それでも普通に話せるだけでも、十分勇敢かと」

「でも、刹那さん。ここで必要な勇敢さに比べたら、エヴァなんて可愛いもんよ」

 言うよな、お前も。
 まぁ、そうだろうけどさ。
 苦笑してしまう。
 吸血鬼って、本当は怖くなかったんだなぁ、と。

「うん。私ずっと片思いで良いかも……」

 達観してるなぁ。
 ま、明日になったらまた、いつもの神楽坂だろうけど。
 




――――――エヴァンジェリン

「で?」

「何か良い方法無いかな?」

 ……そんな事の為に、わざわざウチまで来たのか?
 もう晩飯時なんだが……まぁいいか。

「茶々丸。明日菜達の分の晩飯も用意してやれ」

「かしこまりました」

「ありがとー。茶々丸さん」

「いえ」

 しかし、タカミチ、ねぇ。

「アイツは相当朴念仁だからなぁ、真正面から言うしかないんじゃないか?」

「無理」

 即答か。
 ……ま、お前の性格ならそうだろうなぁ。
 しかし、そうなるとなぁ。

「なんかええ方法あります?」

「どうでしょうか、エヴァンジェリンさん?」

「あー……まぁ、まずは昔のアイツの話でもしてやろうか?」

「え? 高畑先生の昔?」

 ふむ、そこは興味あるのか。

「ああ。同級生だった事もあるしな」

「うそ!?」

「そうだなぁ」

 まず何から話してやるかな……。

「ねぇ、エヴァ? 高畑先生ってさ、学生時代って……」

「モテてたぞ」

「う……やっぱり」

「物凄く」

「そこまで言わなくて良いじゃないっ」

 いや、事実だからちゃんと言っておいた方が良いかな、と。

「ケケ、ソウ苛メテヤルナヨ」

「む……そんなつもりじゃないが」

 膝の上のチャチャゼロの声に、少しバツが悪くなる。
 そんなつもりじゃなかったんだが……。
 明日菜は反応が面白いからなぁ。

「ねぇ、チャチャゼロさん? 私って、脈無し?」

「ドウダロウナァ」

「高畑先生が、明日菜さんをどう思ってるか、ですよね」

「ソレモアル。ト言ウカ、絶対生徒以上ニハ見ラレテネーダロウナ」

「うぅ」

「チャチャゼロ、そう明日菜を苛めるなよ」

「御主人ニダケハ言ワレタクネーヨ」

 な、なんだと?

「私は楽しんでるから良いんだよ」

「なお悪いわよっ」

「む……」

 怒られてしまった。
 だが、お前の反応は毎回面白いからなぁ。
 コホン、と一つ咳払い

「それより、まず何が問題だと思う?」

「やっぱり、高畑先生の前やと、喋れない事やない?」

「ダナ」

「……あれはもう、条件反射と言うか……」

 どれだけヘタレなんだ、お前は。
 たかが喋るだけだろうが……。

「結局、喋リ慣レテネーダケダロ?」

「う……」

 そう言うものか?
 ……そう言うものなのかもなぁ。
 私も、ナギと喋る時は……最初の頃は、どう話して良いか判らなくて好き勝手に言ったもんだ。
 ――ぅ、思い出したら少し恥ずかしくなってきたな。
 どうしてあんな拗ねた子供のような事を私は言ってたんだか……。
 ああ、過去の自分を、一回殴ってやりたいな。
 右手で顔を覆うように隠し、深呼吸を一つ。

「それで、結局どうすればいいと思う?」

 顔を隠したまま、膝のチャチャゼロに聞く。
 私としては、このまま手を貸さずに楽しみたくもあるんだが。

「慣レバ良インジャネーノ?」

「慣れるって……もう一週間しかないのにっ」

 毎日高畑先生と話すとか、きっと私死ぬわ、と。
 どんだけ心臓弱いんだよ、お前。
 ……はぁ。

「ジャア、ドウスルヨ?」

「そうだな……」

 どうしたもんかなぁ。
 タカミチねぇ。

「どこが良いんだ? あの朴念仁魔法使いの」

「……高畑先生泣きますよ? その呼び方……」

 別に良いだろ、現に明日菜を困らせてるし。
 と言うか、アイツ特定の好きな相手っているのか?
 気にした事も無かったな。
 今度、それとなく聞いてみるか?
 ……そこまでは、お節介が過ぎるか。

「ふむ」

 そうだな。

「ぼーやで練習してみるか?」

「へ? 何でそこでネギが出てくるのよ?」

「ちょっと待ってろ」

 っと……どこに置いてたかな?
 別荘の中に治してはなかったはずだが……。
 立ち上がり、チャチャゼロを明日菜に渡すと、二階に上がる。
 えーっと。
 前に遊び半分で作った魔法アイテムがあったはずだが……どこに置いたかなぁ。
 ふむ。

「茶々丸ー」

「どうかなさいましたか、マスター?」

 二階から声を掛けると、茶々丸は下に居た。
 夕食の準備が出来たらしい。
 そんなに話しこんでいたか?

「あの、年取る魔法アイテムどこに置いたか判るか?」

「はい。危険でしたので、物置の方に」

「む、そうか」

 なら、後で探すか。
 まずは晩飯を食うか。
 一回に降りると、ぽかん、と明日菜達がこっちを見る。

「なに、年取る薬って?」

「そのままだ。ぼーやをおっさんにすれば、それなりに慣れれるだろ?」

「……なに、その神アイテム」

 お前はなに暴走してるんだ。

「少し前に流行ってな、試しに同じのを作ってみたんだ」

「そんな簡単に言えるような事でしょうか……」

 ふふん、私だからな。
 夕食の席に着きながら、そう言う。

「ま、幻術の類だから安心しろ。それに、中毒性も無いしな」

「うんうん。それをネギに飲ませれば良いのね?」

「……判ってるとは思うが、ぼーやはタカミチじゃないからな?」

「判ってる判ってる。うわー、楽しみねぇ」

 ネギがおじ様かぁ……あの子供が、どう変わるかなぁ、と。
 …………主旨、変わってないか?
 ま、まぁいいか。
 楽しみなら。
 というか、本当にぼーやを男として見てないんだな。
 普通はもっと抵抗があるもんじゃないんだろうか?
 ……我が友人ながら、先が心配だぞ、本当に。

「それって、ウチらも使えるん?」

「ん? ああ。まとめて作ったからな、数はあるぞ?」

「後で試してみよーっと」

「……ま、いいか」

 害は無いし。

「木乃香さん?」

「ん? どないしたん、茶々丸さん?」

「…………いえ」

 どうしたんだろうか?

「どうした、茶々丸?」

「いえ」

 少し、と。
 ? お前が言い淀むなんて、珍しいな。
 まぁ、言わないと言う事は大事じゃないと言う事だろう。

「とりあえず、夕食を食べたら試してみるか」

「うんうん」

「うわー、楽しみやなぁ」

「こ、このちゃん……」

 ……しかし、木乃香の珍しい物好きも相当だな。
 ま、大丈夫だろう。私も居るし。





――――――オコジョとさよちゃん――――――

「つ、疲れましたー」

「んじゃ、少し休憩しようぜ」

 しっかし、本当便利だねぇ、この別荘って。
 石塔の頂の広場で、のんびりとさよちゃんと喋る。

「もう歩くのは完璧みてーだな」

「はいっ。付き合ってもらってありがとうございますっ」

「いいって事よ」

 妹分の面倒をみるのは、兄貴分の役目だしな。
 別荘の中での一日をさよ嬢ちゃんの練習に使い、オレっちはのんびりとそれを見守る。
 ……ああ、なんて平和なんだ。
 オレっち、もうあの女子寮で生活出来ねぇよ。
 怖いもん。あの双子とか。中国娘とか。
 何でオレっちで遊ぶの?
 何でオレっち戦わないといけないの?
 ふ……。

「どうしたんですか?」

「いや。オレっちって本当はこうやって暮らしかったのかもな、って」

「? 変なカモさんですねぇ」

 よせよ、撫でるなって。
 くすぐってーじゃねぇか。



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