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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 46話
Name: ソーイ◆10de5e54 ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/26 23:23

「く、ぁーーーーー」

 ねむ……。
 これは、危ない。
 そう感じながらも、起きる事が出来ない。
 もう一瞬寝たい、と。
 そう感じながら……何とか起き上がる。
 ……危なかった。
 昨日何かしたっけ?
 いつもより少し遅く寝たけどさ。

「ふぁーー」

 欠伸が止まらず、ベッドの上で身体を起こしたまま数瞬。
 ぼんやりと部屋の壁を眺めながら、視線を窓に。
 朝だ……当たり前だけど。
 仕事……じゃなくて、弁当の準備しないと。
 そこまで考えて、もう一度欠伸。
 ……昨日、なんか疲れることしたっけ?
 別に何か特別した、って記憶も無いんだけど。
 うーむ。
 ま、良いか。
 そこまで考えて、ベッドから抜け出す。
 床のひんやりとした感触が丁度良いくらいに、眠気を少し取ってくれる。
 そのまま洗面所で顔を洗い、手早く着替えを済ませてキッチンへ。

「うっし」

 エプロンを付けながら気合を、一つ。
 ご飯もちゃんと炊けてるのを確認して、冷蔵庫を開ける。
 今日は何にするかなー、っと。
 ちゃんと卵焼き用のフライパンも買ってきてるので、今日は何だって作れる……はず。
 知識上は。
 経験は明らかに足りて無いが。
 さて、と。
 昨日と同じじゃ面白くないだろうからなぁ……何しよう?
 色々勉強はしたけど、いざ作るとなると迷ってしまう。
 ふむ……そんな事を考えていたら、開けっ放しの冷蔵庫から警告音。
 ――び、びっくりした。
 冷蔵庫って、そう言えば警告音なるんだったな。
 今度は閉めて考えて……まぁ、とりあえず作るか、と結論付ける。
 ……どうせ、手際悪くて遅いんだし。
 それじゃ、今日も頑張りますかね。
 内心で一つ気合を入れ、卵なんかを取り出す。
 今日は卵焼きにベーコンと玉ねぎの炒め物、それに塩鮭……の予定。
 それとサラダ。今日はレタスとトマトで簡単に。
 これなら時間掛らないだろう。
 俺にはまだ、肉巻きは早かったんだ。
 それとおにぎり。
 そう内心で納得し、早速調理に取り掛かる。
 と言っても、グリルに塩鮭を人数分入れるのは昨日と変わらない。
 ベーコンを切り、玉ねぎをそれなりに細く切っていく。
 ……玉ねぎを、細く切っていく。
 …………目が痛い。

「こんな痛かったっけ……?」

 ちょっと休憩。待った、たんま。
 鼻をグスグスさせながら、包丁を置く。
 う、っぉ……天井を仰ぎ見ながら、袖で涙を拭う。
 それでも何とか玉ねぎを切ろうとして、ん? と手を止める。
 相変わらず涙で目が痛いけど。
 犬って玉ねぎ駄目だよな?
 ……小太郎って、玉ねぎどうなんだろう?
 そりゃ、犬から変身するんだ……駄目なんだろうか?
 でも、玉ねぎ買う時、特に何も言わなかったよな?
 ……うーん。
 困った。
 とりあえず顔洗おう。目が痛い。
 洗った顔をタオルで拭きながら、どうするかなぁ……と。
 ま、いいか。
 小太郎は、別の入れよう。
 朝食の時に聞いて、大丈夫なら明日からはまた一緒のにすれば良いし。
 でも駄目ってなると、カレーとかも駄目なのかな?
 うーん。
 色々大変だな、共同生活って。
 少し甘く見てたかもしれん。
 そう考えていたら、

「おはよーございます、お兄さん~」

「おはよう、月詠。眠そうだなぁ」

「はい~」

 その眠そうな声に、年相応の可愛らしさを感じ、苦笑する。
 パジャマの袖で目を擦りながら起き出して来た月詠。

「顔、洗ってきたらどうだ?」

「そうさせてもらいます~」

 そう言えば、昨日は小太郎もそうだったな。
 何で顔洗ってからこっちに来ないんだろう?
 洗面所の方がこっちより近いだろうに。
 挨拶しにかな?
 そう考えて、苦笑。
 いくらなんでもそれは、と。
 でも、挨拶は大事だよな、と。
 そう内心で笑い、残った玉ねぎを切る……。
 うぐ。

「……どないしたんですか~?」

「玉ねぎ切ったら、目が痛い……」

「そうなんですか~?」

「おー……これは、結構痛いぞ」

 しかも、涙で目が見えにくいから、切るのに時間が掛ってしまう。
 明日からは、玉ねぎ使う時は注意しよう……。
 うー……。

「うちが切りましょか~?」

「いい、いい。テレビでも――」

 見て待ってろ、と言おうとして、玄関から呼び鈴に手を止める。
 ……あれ?
 なんか、昨日もこの時間帯に……。

「絡繰か?」

「どうでしょう~」

 むぅ、昨日はもう来なくてもいい、っては言ったけど……。
 来たのかな?
 助かるけど、悪いし。
 それに世間体もある。
 ……はぁ。
 それだけ俺が、だらしないって事か。
 もっと頑張らないとなぁ。

「それじゃ、ちょっと見てきますね~」

「おー、一応気を付けてな?」

「ふふ……判ってますえ~」

 ま、俺なんかよりよっぽど強いんだろうけど。
 それでも心配なものは心配なのだ。
 こればっかりは、多分性分なんだろうなぁ。

「よし」

 そんな事を考えながら、小さく気合を入れ直す。
 とりあえず玉ねぎ切ってしまおう。
 うぅ、目が痛い……。

「おはよーございますっ」

「……?」

「あ、あれ?」

 はて?

「近衛?」

「はい。おはよーございます」

「おお、おはよう」

 ……あれ?
 予想していた人物と違ったので、一瞬考えが飛んだ。
 …………近衛?

「どう言う事だ、桜咲?」

 そして、少し遅れて桜咲も。
 もう、頭の中はクエスチョンマークだらけである。

「……あえてこっちに来ますか」

 ああ。すまないがこっちも少し混乱しててな。
 どうして近衛と桜咲なんだろう?

「昨日は茶々丸さんが来られたそうで」

「ん? 何で……って、まぁ、お前たち良く話すだろうしな」

 多分、昨日話題の一つとして話したんだろう。
 まぁそれは良いとして、

「うちも、こー……お役に立ちたいなぁ、って」

「あー……」

 どう言ったもんか。
 ……絡繰が来たから来たって言われると、まぁ。
 俺も男な訳で、少しばっかり勘違いをしてしまいそうになる。
 いやいや、そう言うのじゃないから、と。
 内心で首を横に振りながら、表面は苦笑を浮かべる。
 この前の弁当と一緒だ。好意、と言っても感謝の面での、だ。うん。

「どないしました?」

「いや、なんでも……まぁ、とりあえず」

 どうしようか?
 でも、来てもらったからって、じゃあお願いしますじゃ問題だろう。

「月詠、お茶を用意してもらって良いか?」

「は~い」

 ぐす。

「せんせ、どうしました?」

「う、ちょっと玉ねぎを甘く見ててな……」

 目が痛い、と。
 そう言ったら、笑われた。
 むぅ。

「でも、慣れるとそうでもありませんよ?」

「そうなのか?」

「はい」

 と、包丁をあっさりと取られた。
 ……うーむ。
 押しに弱いと言うか、何と言うか。
 そんな自分にもう苦笑するしかなく、肩を落とす。
 でもまぁ、助かるのは本当な訳で。
 今度、絡繰と一緒に、何かお礼しないとなぁ。
 手際良く玉ねぎを切ってしまう近衛に、ただただ感心するばかりである。

「早いなぁ」

「そ、そうでしょうか?」

「おー。やっぱり、料理が上手だって言われるわけだ」

 これなら、きっと本当に料理が好きなんだろうなぁ。
 俺なんか、それと同じだけ切るのに十数分かかったからな。
 ……なんて情けないんだろう。
 はぁ。

「どないしました?」

「いやー、やっぱり料理の一つも出来ないとなぁ、って」

「? 変なせんせ」

 すぐ隣に居る俺を小さく見上げるように、笑われた。
 うーむ……近衛は、結構危機感とかないのかな?
 俺も一応男なんだがなぁ。
 こういう所が勘違いしてしまうと言うかなんというか。
 まぁ、相手は中学生で、俺の生徒だから“そういう気”はまったく無いんだが。

「玉ねぎどうします?」

「あ、ベーコンと一緒に炒めようかと」

「そですか」

 そうだ。

「なぁ、月詠?」

「はい~?」

 桜咲と一緒に、キッチンの隅で喋ってた月詠に声を掛ける。

「小太郎って玉ねぎ大丈夫かって、知ってるか?」

「お犬ですか? んー、どうでしょ?」

 だよなぁ。

「あ、犬って……でもせんせ、それって小太郎君に失礼やないですか?」

 そ、そうかな?
 でも、食べて駄目だったらなぁ。

「心配だからなぁ」

「まぁ、中ったら中ったで~……」

「そう言う訳にもか無いだろ」

 まったく。

「なら、もう一品何か作ります?」

「ああ。何作る?」

「あ、うちやりますから……」

「そう言う訳にもいかないだろ」

 一応、俺がいちばん大人なんだから。
 ……多分、いちばん料理出来ないけど。

「ちょっと冷蔵庫見させてもらってええですか?」

「ん? ああ」

 っと。
 そんな事を話していたら、再度呼び鈴が鳴る。
 次は誰だ?

「見てきますね~」

「すまないな」

「いえいえ~」

 そう言って部屋から出ていく月詠。

「桜咲も、座ってテレビでも見てたらどうだ?」

「い、いえ。何か手伝います」

「ええよ、せっちゃん。うちがやるから」

「そ、そう?」

「おー、月詠の相手をしててくれ」

 にしても、小太郎のヤツ遅いなー。
 流石に桜咲に起こしてもらう訳にもいかないし……ま、弁当と朝食の準備が終わったら起こすか。
 そんな事を考えていたら、冷蔵庫を開けていた近衛がこっちに来る、

「ウインナーとアスパラ使わせてもらいますねー」

「ああ」

「これをですね、縦に切ります」

 ん? 教えてくれるんだ。
 近衛が用意したのは、未開封のウインナーと、昨日の残りの数本のアスパラ。

「これじゃどっちが先生だか判らないな」

「えへへ……そ、そですねー」

 その手元を、近づき過ぎない程度の距離から覗き込む。
 縦に切ったウインナーを数本用意。
 切る時は少し深く切ってるのか。
 同数のアスパラも縦に切る。こっちは完全に切ってしまうのか
 ウインナーの間にアスパラを挟み、それを爪楊枝で固定する。

「これを焼けば、一品完成です」

「おー」

 なるほどなぁ。
 これなら小太郎も大丈夫だな、昨日何も言ってこなかったし。
 好き嫌いは……そう言えば、聞いて無かった。
 肉が好きだってしか。

「おはようございます、先生」

「おはよう、絡繰、マクダウェル」

「……おはよう、先生。ふぁ……」

 やっぱりお前達か、と。

「御迷惑、だったでしょうか……?」

「んー……ま、それは後で話すか」

「……はい」

 やっぱり、ここは一つ、しっかり言っておくべきだろう。
 それがきっと、お互いの為だ。うん。

「しかし、相変わらず眠そうだな、マクダウェル」

「朝は苦手なんだよ」

 吸血鬼だしなぁ、と。
 苦笑し、

「テレビでも見て、目を覚ましてくれ」

「そーさせてもらうよ……ふぁ」

「顔洗ってきたらどうだ?」

 めちゃくちゃ眠そうだな、お前。

「昨日遅かったのか?」

 フライパンに油を引きながら、テーブルの前に座るマクダウェルの背に声を掛ける。

「ああ。少し探し物をしててな」

「探し物?」

 何だろう?

「先生、私は何をしましょうか?」

「……えっと、マクダウェルと一緒にゆっくりしてるって選択肢は?」

「先生?」

 まったく同じ調子で呼ばれた。
 どうやら、ゆっくりするという選択肢は無いらしい。
 でもなぁ……俺が焼いて近衛が切るなら、もうする事が無いのだ。
 包丁も一本しかないし。

「んー」

「それなら茶々丸さん、お味噌汁をお願いしてえですか?」

 そう考えていたら、近衛から助け舟。
 ああ、それがあった。

「……お願いして良いか?」

「かしこまりました」

 しかしまぁ……まさか、女の子に囲まれて料理をする日が来るとは。
 想像もした事無かった。
 まぁ、多分今日だけだろうけど。
 やっぱり、こう言うのはどうにも抵抗がある。
 感謝してもらってる――とは、思ってる。
 でも、好意を寄せてもらってる、とは自惚れきれないのだ。
 そこは、やっぱり教師だし。

「せんせ」

「ん?」

 そんな事を考えていたら、近衛から声を掛けられた。

「どうした?」

「今日は、おにぎりは握りませんの?」

 おにぎり?

「食べたいなら、握って良いぞ?」

 ご飯は、少し多めに炊いてるし。

「うぅ……」

「?」

 違うー、と小声で言われてしまった。
 昨日、月詠の弁当でも見たんだろうか?
 おにぎりねぇ。

「俺が握ったって、丸だぞ? 近衛が握った方が上手だろ」

「それがよろしいのです」

 とは絡繰。
 なんで? 形悪いのに。
 結局、また月詠も混ぜて四人で握ったけど。
 今度は小太郎抜きで。
 つまり、丸おにぎりは俺だけだ……恥ずかしい。
 しかし――ちゃんと月詠の真似してるんだけどなぁ。
 難しい。
 おにぎりって奥が深い……。

「…………………」

「せんせ、形が変ですよー」

「判ってるよ……」

 はぁ。

「くく……」

「ぷっ」

 笑うなよ、マクダウェル、月詠。
 ちなみに、小太郎は舟を漕ぎながらもちゃんと朝食を食べていた。
 器用な奴だなぁ。







 昼休み、学園長室に呼ばれたので来たら。

「やあ、先生」

「タカミチ?」

 最近学園で見掛けなかった、高畑先生がそこに居た。

「高畑先生。お久しぶりです」

「うん。大変だったみたいだね、2人とも」

 大変?
 ……って。
 勧められるままにソファに腰を下ろしながら、考えてしまう。
 えっと……そう言われるって事は。

「あれ? 高畑先生も……えっと」

「はは。僕の事は話してないんですか、学園長?」

「うむ。どこまで話すべきか、測りかねておっての」

 あ、やっぱりそうなんだ。
 高畑先生も魔法使いなんだ、と。
 何処か納得したような、そんな気分。
 だって、高畑先生ってなんか何でも出来そうなイメージがある。
 飄々としてて。

「大変なんてものか。死に掛けたんだからな」

「は、はは」

 その死に掛けた方としては、どう応えたものか悩んでしまう。
 首に手を当てると、もうずいぶん薄れたが――まだ、あの感触が残ってる。

「ま、それは後で話すとして。ワシらを集めて何をする気じゃ、エヴァ?」

 マクダウェル?
 俺を呼んだのも、マクダウェルなのか?
 そう視線を向けると、一つ頷かれた。

「ぼーや、先生。相坂さよを知っているか?」

「相坂?」

 相坂って……。

「いや、何と言うか……」

「ああ、いい。ちゃんと知ってるみたいだな」

「相坂さんですか?」

「ええ。ウチのクラスの、出席番号一番の」

「あ、いえ。そこは知ってるんですけど……そう言えば、今まで一度も」

 あー……どう言えば、良いかな。
 もうずいぶんも前に無くなっているらしい。
 らしい、と言うのはそうキチンと情報が残っているのに、何故かウチのクラス名簿に名前が載っているからだ。
 それがどういう意味かは判らないが。

「あー、まぁ、それでマクダウェル? 相坂……が、どうしたんだ?」

「ふん。そう難しく捉えなくて良いよ、先生」

「……どう言う事なんだい、エヴァ?」

 そうだよな、高畑先生も知ってるよな……相坂が、亡くなってるって。
 しかし、それを話題に出してどうするんだろう?

「いやなに、あの幽霊娘に身体でも、と思ってな」

 と、何事も無いようにそう言った。

「幽霊、じゃと?」

「ゆうれい?」

 あ。

「ゆ、幽霊って……ゴースト?」

「お前もあのアホガモと同じ思考回路か……」

 そう言って頭を抱えるマクダウェル。
 どう言う事だ?
 幽霊って……。

「幽霊なんて、居るのか?」

「ああ。毎日毎日、自分の席に座ってちゃんと授業を受けているよ」

「そ、そうなのか……?」

 幽霊が授業をちゃんと受けてるって……ど、どうなんだろう?
 というか、本当に居るのかどうかすら確認できないんだが。
 見えないし。

「ふん。今、目の前で話してる私は何者だ?」

「う……そりゃ、まぁ」

 吸血鬼だけどさ。
 ……吸血鬼に、幽霊か。
 頭が痛くなってきたので、指で目頭を押さえる。
 うーむ。
 でもまぁ、狼男も居るんだしな……幽霊も、まぁ。

「でも、エヴァ? 身体をって、どうする気だい?」

「一応、昨夜のうちにチャチャゼロの予備のボディを探しておいた」

 チャチャゼロ?
 ……チャチャゼロって、あの、マクダウェルが作ったって言う人形?
 えーっと……頭が痛いんですが。
 何かその言い方だと、あの人形にも秘密か?

「エヴァ、先生が困っとるぞ?」

「む……」

「あー、いや。大丈夫……じゃないけど、ちょっと頭が追い付かないんで話を進めてくれ」

 どうにも、理解の範疇と言うか、それを超えている。
 いや、吸血鬼が居る時点で俺の知ってる常識は殆ど無いんだけどさ。
 こうなってくると、やっぱり魔法の世界と俺の今までの常識は全然違うんだな、と。、

「……エヴァ、相坂がまだこの世におると言うのは本当か?」

「どうしたじじい? やけに乗ってきたな」

「……昔の同級生じゃからな」

「……本当か?」

「うむ」

 それもまた、初耳です。
 それはマクダウェルも同じらしく、驚いた顔。
 と言うか、まぁきっと知る機会なんて無かったでしょうけど。

「そこで、一応その事も報告しておいた方が良いだろう?」

「それはまぁ、そうじゃが……」

「今夜、その事を伝えるよ」

「そ、そうか」

 うーむ。
 まったく話が判らない。
 相坂が幽霊で、チャチャゼロが何か秘密があって、今夜マクダウェルが相坂に身体を与えるらしい。
 ……合ってる?

「問題はあるか?」

「え、エヴァンジェリンさん? 相坂さんに身体って……そんな事をして大丈夫なんですか?」

「本人があまりに寂しそうだからな。見ていて気分が良いモノじゃない」

「寂しそう?」

「ああ。やはり、見てもらえないのは寂しいものだからな」

 そういって、小さく笑うマクダウェル。
 それは――もしかして、相坂に自分を重ねているのだろうか?
 やっぱり、そう言うのを気にするんだろうな……。
 見てもらえない、か。
 それは、どんな気持ちなんだろうか?
 幽霊。
 そこに居るのに、誰にも見てもらえない。
 ちゃんと居るのに、誰にも気付いてもらえない。
 それは……どれだけ、辛い事だろう?
 もしかしたら、俺も何度か話しかけられてたりしたんだろうか?
 ずっと授業を受けてたって言ってたし、質問とかもしてたんだろうか?
 そう考えてしまうとキリが無い。
 その気持ちなんて――。

「なぁ、マクダウェル?」

「どうした、先生?」

「その、相坂に身体? って、喋れるようになるのか?」

「ああ。自分で動く事もな。まぁ、人形の身体だから、そう大っぴらには行動出来んだろうが」

 そうか、と。

「それがどうした?」

「いや……それなら、話し相手くらいにはなれるかな、って」

 ん? と、驚いたと言うか、なんというか。
 ネギ先生を除く全員から、変な目で見られた。
 う……少し、驚いてしまう。
 でも、俺に出来る事なんてそれくらいだし。

「……そうだな、先生に出来る事は、それくらいだな」

「そうはっきり言われてもなぁ」

 少し悲しくなってくる。
 でも――やっぱり、自分に出来ない事を言うのには抵抗がある。
 嘘を吐きたくない、と言うか。

「良いんじゃないかな? まぁ、相坂さんが何を望んでるかは、聞いてみないと判らないしね」

「ふむ、その時はワシも立ち会おうかの」

「学園長? どうして僕がここに居ると?」

「う……そ、そうじゃったな」

 ん?

「学園長、どうかなされたのですか?」

「いや、この後用事で学園を開ける事になっておってな」

「そうですか……」

 同級生だって言ってたし、残念なんだろうな。
 肩落ちてるし。
 でも、流石に学園長の用事をどうこうは出来ないしなぁ。

「ま、すぐに話せるようになるようじゃし、良いじゃろ」

「相変わらず、前向きですね学園長」

「ふぉふぉ。そうでなければ、木乃香にお見合いの話など出来んわい」

 ……元気だなぁ。
 きっと、この人が学園長だから、ウチのクラスの生徒はあんなに元気なんだろう、と。
 それとも、ウチのクラスが特別なのか……。
 出来れば、前者であって欲しいもんだなぁ。

「その事は、エヴァに一任するからの?」

「判った」

 でも、どうしてマクダウェルは、その事を俺に話したんだろう?
 副担任だから?
 魔法使いの中に、一人だけの一般人。
 この話を聞かせたからって、何かを出来るようになる訳じゃない。
 なのにどうして、と。
 まぁ、それも後で聞けば良いか。

「私からの話はそれだけだ」

「うむ。なら、後は頼む」

 と言う事らしい。
 ふぅ……最近、学園長室に呼ばれる頻度増えてきてないかな?
 それが良い事か悪い事かは……まぁ、アレだけど。
 事情を知らない先生方や生徒達から見られると、俺ってどう思われてるんだろう?
 こうも学園長室に呼ばれると……うぅむ。

「それでは学園長、タカミチ。失礼します」

「うむ、ネギ君も教師の仕事、頑張ってな?」

「はいっ」

 ネギ先生も元気だなぁ。
 真面目だし、きっと相坂の力にもなってくれるだろう。
 俺に出来る事は少ないけど、魔法使いのネギ先生なら……と思ってしまう。
 他力本願だな、と思ってしまう。
 それでも、俺に出来る事は――本当に、話をするくらいしかないのだ。
 でも、タカミチなんて呼んだら駄目ですからね?
 後で注意しないと。

「ほら先生、行くぞ?」

「あ、ああ」

 そうだな、とソファから立ち上がる。

「それでは、失礼します」

「ああ、先生も大変だろうけど頑張って」

「いえ」

 大変だなんて。

「そうじゃ、先生?」

「はい?」

 あ、マクダウェルのヤツ何も言わずに出ていった……こっちも、後で注意しないと。
 まったく、こういう所は本当に治らないな。

「最近の木乃香はどうじゃ?」

「近衛ですか?」

 ……うーん。
 今朝、弁当の手伝いをしてもらいました、なんて言えないよなぁ。

「ええ……まぁ、えっと――頑張ってるみたいですよ?」

「? そうか、なら良いが」

 言えないよなぁ。
 そう返し、苦笑するしかなかった。





――――――エヴァンジェリン

 相坂さよの人形への魂の定着は、思いのほか上手くいった。

「調子はどうだ?」

「うわーうわーっ、凄いですよエヴァンジェリンさんっ」

「そうかそうか。ふふん、人形遣いの私の作品だからな、スペック的には十分だろう?」

 隣で人形が動いてる、とか呟いてる先生が面白い。
 まさか、こんな顔が見れる日が来るとはな。

「相坂さん、はじめまして」

「初めまして、ネギ先生っ」

 茶々丸よりも外見を相坂さよに似せているので、その子供のようにはしゃぐ行動が、どこか可愛らしい。
 アレは、可愛らしさなんて欠片も無いからなぁ……まぁ、私がそんな風に造ったんだが。

「それと先生。初めまして」

 そう言って、深々とお辞儀をする相坂さよ。
 それに応えるように、先生も頭を下げる。
 傍から見ると、人形に頭を下げる滑稽な図ではあるが……それを笑う気にはなれなかった。
 きっと、この人なりに一生懸命考えての行動なのだろう。
 ……ただの人間なのに、自分なりにそれを受け止めようとしている。
 どうして昼休み、先生を呼んだのか。
 どうして、私は先生を呼ぶ事を考えたのか。
 本当なら、呼ばずに、私達魔法使いだけで解決するべき問題だ。
 いや――幽霊には関わらずに、そっとしておいた方が良かったのかもしれない。
 何せ、おそらくこの学園で、相坂さよの事を知っていたのは、私だけだったから。
 だが……それはきっと、違うんだろう。

「エヴァンジェリンさんも、本当にありがとうございますっ」

「気にするな。私一人で見えていたら、私が変に思われるからな」

「だったら、誰にも話さない方が……」

「ぼーやは、自分の生徒の事を知らない方が良かったのか?」

「う、そう言う意味ではですね……」

「ふん」

 まぁ、判ってはいるがな。
 だが――。

「相坂は、これからどうなるんだ?」

「私の家に連れていく。魂を人形に移しはしたが、これからどうなるかはまだ判らないからな」

「そうなんですか?」

「ああ。しばらく様子を見て、学園祭までには一人前に動けるように特訓してやる」

「お、おおーーーーっ」

 いきなりテンション上がったな。
 そんなに学園祭が……まぁ、嬉しいだろうな。

「でも、麻帆良祭で……大丈夫なのか?」

「今時喋る人形は珍しくないだろ。まぁ、流石に動きは制限されるだろうが」

「じゅ、十分ですよっ」

 らしい。

「うわーうわー。今年はなんて良い年でしょうかっ」

「良かったなぁ、相坂」

 そういって、まるで子供にするかのようにその頭を優しく叩く様に撫でる先生。

「はいっ」

「あ、でも」

 そこで一旦言い淀み、

「どうしました?」

「相坂さん、の方が良いのかな?」

 知らんよ。
 私に聞くな、私に。
 そう苦笑してしまう。

「気にしなくて良いですよー、先生は皆さんを名字で読んでるじゃないですか」

「おー、それは良かった」

 そして、もう一度撫でる。
 この人にとって、幽霊も、魔法使いも、吸血鬼も――きっと、同じなんだろうな。
 そう思える。
 相坂さよも、ぼーやも、私も……この人にとっては。
 そう考えると、可笑しくなってくる。
 だってそうじゃないか。

「どうしたんですか?」

「いや、気にするな、ぼーや」

「?」

 どれだけ長生きしてようが、どれだけ強かろうが――私は、この人にとってはただの“生徒”でしかないのだ。
 それを不満に思った事もあった。
 人と見下した事もあった。
 ――だが、それでも……特別に見られない事の大切さを、知っている。
 それは、もうはるか昔に失くした事だから。
 判るか、先生?
 貴方がどれだけ、特別な事をしているか。
 貴方のその当たり前と言う事が、私や相坂さよにとっては、どれだけ特別か。
 笑ってしまう。
 可笑しくて、楽しくて。
 相坂さよと楽しそうに話しているその横顔を、少し離れた位置から眺める。
 ……話し相手、か。
 先生?
 きっと、幽霊や吸血鬼相手に簡単に話相手を出来るのは――そうは居ないよ?
 ほら。魔法使いのぼーやだって、尻込みしてるじゃないか。

「なぁ、マクダウェル?」

 そんな事を考えていたら、声。
 私をそう呼ぶのは……一人だけ。

「どうした、先生?」

 その腕には、相坂さよ。
 ?

「ほら、相坂?」

「い、良いんでしょうか?」

「どうした? 言ってみろ」

 どうかしたんだろうか?
 不備があった、とは思わないが。

「いえ、そのですね?」

「ああ」

 ぼーやも、楽しそうに見てるし。
 ん?

「お洋服をですね、一着作ってほしいなぁ、って」

「服?」

「ああ、いえ。やっぱり忘れて下さいっ。この身体をご用意していただいただけでも十分過ぎますしっ」

 いや、服くらいなら別に良いが……。

「ほら、ウチのクラス。今年はメイド喫茶だろ?」

 それがどうしたんだ?

「あ、ああ……相坂さよ、それでどんな服が欲しいんだ?」

 いまは、相坂さよの生前の姿だった黒のセーラー服姿。
 やっぱり今時風の服が良いんだろうか?
 まぁ、サイズがサイズだから少し手間だが、作ってみたいとも思っていたから問題は無い。
 チャチャゼロは、まぁ……アイツ、服装とかまったく興味無いからな。
 どうしてあんなに可愛げがないのか……。
 よし、これからは相坂さよを可愛がろう。
 沢山服も作ってやるのも良いな――私の趣味でもあるし。

「そうじゃなくてな。クラスの出し物、メイド服を一緒に着たいんだとさ」

「なに?」

 メイド服?
 ……そう言えば、雪広あやかが用意したのは、デザインが違ったな。
 ふむ、それも面白いか。

「しかし、面白くないな」

「う」

「もっと他の洋服とかは着たくないか?」

「え?」

 黒のセーラー服も珍しくはあったが、やはり作るとしたら、可愛い服が良い。
 茶々丸に着せるようなのも悪くないな。
 ……お揃いと言うのもアリか?

「他にも、ですか?」

「ああ。今時の可愛い服とかどうだ?」

「……ああ、修学旅行前に神楽坂と近衛に敬遠されてた奴か」

 うるさい。
 良いじゃないか、私はああいうのが好きなんだから。

「うわー……い、良いんですか?」

「もちろんだ。ウチのチャチャゼロ……あ、お前の姉みたいなのになるんだが、そいつは可愛験が無くてな」

「そ、そうですか……」

「そう言えば、人形の服ってエヴァンジェリンさんが作ってるんですよね」

「ああ」

 器用ですねぇ、と。
 糸でお前を絞め落とした器用さは伊達じゃないさ。

「宜しくお願いします、エヴァンジェリンさん」

「ああ」

 そう言うと、その右手が差し出された。
 その身体は先生に抱えられてて、きっとぼーやから見ると先生が人形の手を差し出してるように見えるかもしれない。
 そう思いながら、その手を握るべきか考え……。

「お、お友達になってくれますか?」

 ――はは。

「良かったじゃないか、マクダウェル」

 ――そう言ってくれたのは、お前が2人目だよ、さよ。
 そう思いながら、差し出された手を握る。

「ま、まぁ。気が向いたらな」

「はいっ。今日からお友達ですねっ。よろしくお願いします、エヴァンジェリンさん」

 ……私の事を、友達だと呼んでくれたのは、2人目。
 でも――私には、何人の友達が居るのだろうか?
 友達と呼んで良い人は、何人だろうか?

「茶々丸も……アイツは、妹になるのか? 宜しくしてやってくれ」

「茶々丸さんですか? はいっ」

 さて、帰るか、と。
 そう言った時、

「絡繰?」

「ああ。あいつもさよと同じ……気付いて無かったのか?」

 そう首を傾げる先生に説明する。
 もしかして、今まで気付いて無かったのだろうか?
 流石は認識阻害結界、とでも言っておくか。

「え? ……本当にか?」

「ああ。明日、本人に聞いてみたらどうだ?」

「先生、気付いて無かったんですか?」

「だ、え? 人間じゃ……」

 ふむ――あのじじい、面倒臭がって、先生の結界干渉の契約をほったらかしたな。
 まぁ、忘れてたか、もしかしたら結界干渉が無効化になってるとでも勘違いしたんだろうが。
 認識は出来ないが、一度認識してしまったらソレを異常と感じるからな。
 吸血鬼を認識したから、大丈夫とでも踏んだんだろう。
 相変わらず詰めの甘い事だ。

「……世界は不思議に満ちてるなぁ」

「何です、それ?」

 腕の中のさよに笑われていた。
 まったくだな。何だそれは?
 私とぼーやも笑ってやった。
 ――私達にとっては、一番不思議なのは先生だよ?
 ……どうして、そうも簡単に私達を受け入れてくれるのか。
 危険なのに。
 命すら危うくなるのに。
 まったく。
 お人好しだなぁ。
 




――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「むっ」

「ドーシタ?」

 この感覚はっ!?

「……オレっちの立場が危ういっ」

「イキナリ壊レヤガッタヨ……」

 感じる、感じるぞっ。
 危うい。
 このオレっちの立場を揺るがす存在だっ。

「若い芽は早いうちに潰さねぇと」

「物騒ダナ、オイ」

 ふ、ふふふ…………。


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