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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 45話
Name: ソーイ◆10de5e54 ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/25 23:20

――――――エヴァンジェリン

「はぁ」

 と、溜息を一つ。
 どうしてこうなったんだか……と思い始めたらキリが無いのは判ってはいるが…………はぁ。
 もう一度、今度は先ほどよりも少しだけ深く溜息を吐く。

「どったの?」

「どーして私がメイド服なんか……」

「しょーがないじゃない。メイド喫茶なんだし」

「……そもそも、普通の喫茶店じゃ駄目なのか?」

「駄目なんじゃない?」

 駄目なのか……はぁ。
 そうあっさり言ってくれる明日菜に溜息を返し、制服のリボンを解く。
 この私が、真祖の吸血鬼が……誰からも恐れられていた悪の魔法使いが……。
 まさか、形だけとはいえ、形だけとはいえ――仕える側に回るとは。
 今まで仕う側だっただけに、かなり抵抗があるんだが。

「ほらほら、諦めなさいって」

「ぬぅ……いや、別に良いんだがな」

 ふん。どうせ形だけだ。
 ……かなり嫌だが。
 そんな事を考えながら、教室の中で雪広あやかが用意したメイド服に腕を通す。
 どうしてこんなのを用意出来たのか、というか、そもそも用意していたのかは謎だが。
 はぁ。
 ……どうして私が……。

「往生際が悪いわねー」

「ふん」

 そう返し、周囲に視線を向けると、やはりメイド服姿のクラスの面々が居る。
 全員である。
 まったく……やっぱりこのクラスの連中はお祭り好きだな、と。
 そう苦笑して、髪を纏めて後ろで縛る。
 いわゆる、ポニーテールというヤツだ。
 こっちの方が動きやすいし、客商売なら衛生的にも良いだろう。

「似合うじゃない」

「お前ほどじゃない」

 明日菜も同じ黒を基調にしたエプロンドレスに、白いレースで飾られたメイド服だ。
 だがその髪は今は何時ものツインテールじゃ無くて、ストレートに下ろされている。
 正直、いつもと雰囲気が全く違い、別人……とまでは言わないが、結構違う。

「うー……どーせ、私は御主人様には向かないわよぉ」

「……そう言う意味じゃないんだがな」

 まぁ良いか。
 こっちが明日菜らしいし。
 肩を落として落ち込む明日菜を置いて、着替えた木乃香に近付く。

「月詠は?」

「月詠さんなら、あやかさんに連れてかれましたえ」

 なんだそれは?
 連れていかれた?
 ……まぁ、ぼーやが絡んでないなら、大丈夫だろうが。
 それより、

「どうしたんだ、真名?」

「う……こーいうのは、どうにも慣れなくてね」

「だな」

 まったく同意見だ。
 まさか、私が給仕服を着る日が来るとは……。
 まぁ、そこは諦めるか。

「2人とも、よー似合いますえ」

「そりゃどーも」

「……ふん」

 全然嬉しくないなっ。
 ――そう言えば、刹那が居ないな……いつも木乃香と一緒に居るのに。

「刹那なら、月詠と一緒に連れていかれたよ」

「……そうか」

 災難だな、アイツも。

「コレを着るのを嫌がってね」

 そう言ってエプロンドレスのスカートを摘む真名。
 ……うーむ、その様子が目に浮かぶ。
 アイツ、妙に木乃香の前じゃ格好付けたがるからなぁ。
 どうしてああなんだか……まぁ、悪い事じゃ……無いとは思うが。

「月詠の方も乗り気でね。あれは、あやかとはすぐ仲良くなるだろうね」

「それはどうだかな」

 すぐには、というのは無理だろう。
 アレの本質は人斬りの戦闘狂だ。
 きっとそこに善悪は無く、ただ強いから斬る……そう言う存在だ。
 生活の一部に“斬る”という選択がある存在。
 ……まぁ、それを言い出したら、私も似たようなものだが。

「くく――」

「なんだ?」

「いやいや」

 ……気に障る奴だなぁ。

「うわ、真名似合うわね……」

「明日菜ほどじゃないよ」

「う……どーせ、私は御主人様にはなれませんよーだ」

「そう言う意味じゃないんだが……何拗ねてるんだい?」

 まだ続いてたのか……。
 似合うって言うのは、服装が、という意味なんだがなぁ。
 ……雰囲気も、というのもあながち間違いじゃないが。

「でも、私も一回で良いから、エヴァみたいに御主人様になってみたいわー」

「何だそれは?」

 いきなり何を言い出すんだか。
 御主人様って……何だ?
 胡乱気な視線を向けると、たどたどしく身振り手振りで説明を始めるバカ。

「ほら、こー……なんだろ? 椅子に座ってるだけで、お茶とか出してもらったり?」

「ああ。つまり、従者が欲しいと?」

「アホか」

 まったく。
 そう言う事か。
 というか、お前の御主人様のイメージは、茶か。
 もっと他にあるだろうに……。

「う、そんな大層な事じゃないけど……一回くらい、夢見てみたいなぁって」

「夢なら毎日見てるだろうが……」

「……うぅ」

 はぁ。

「ども~」

「お、来たか」

 そんな事を話していたら、そんな軽い声と共に月詠と……刹那、雪広あやか、早乙女ハルナがこっちに来た。
 例によって、メイド服である。
 ……やはり、雪広あやかと早乙女ハルナは似合うな。
 体格的な意味で。
 しかも雪広あやかは、ティーポットまで持っている。
 形から入ると言う事だろうか?
 その努力を、もっと他の方向に向ければ良いだろうに……。

「ふぅ……良い仕事をしましたわ」

「まったくだね」

 しかも、雪広あやかと早乙女ハルナが良い笑顔でお互いを讃えあっていた。
 ……ついに壊れたか?
 そんな失礼な事を考えていたら、その後ろに、刹那が隠れるように下がる。
 刹那は、なんで隠れてるんだ?

「良く似合ってるじゃないか」

「ありがとうございます~」

 同じ服装なのに、妙に似合うと言うか……可愛らしいと言うか。
 年相応、と言うべきか。
 いや、いつも笑顔なんだが。

「こんな可愛い服をガッコでも着れるなんて思ってませんでしたわ~」

「そうですか? 気に入っていただけましたら、良かったですわ」

「うんうん。私も一緒に選んだ甲斐があったってもんだ」

 早乙女ハルナ。お前か、この服選んだのは。
 
「もっと別のは無かったのか?」

「普通のじゃ詰まらないでしょ」

 そうか?
 別に、どうでも良いと思うがなぁ。

「あ、それとも巫女服とかが……」

「まぁ、アレよりはマシだよ、うん」

 よっぽど嫌だったんだな、真名……。
 ……だがまぁ、アレ着るくらいなら、まだメイド服がマシか。うん。
 真名と2人で肩を落としながら、どうだかなぁ、と。
 流石3-A。
 こういう所は本当に力を入れるな。

「エヴァンジェリンさんも、良くお似合いですわ」

「……お前には負けるよ」

「そうですか?」

 なんだろう?
 なぜだか良く似合ってる……やはり、こう素材が良いヤツは得だな。
 顔は負けてる気はしないが、やはり身長とかがなぁ。

「それより、本当にメイド喫茶で行くつもりか?」

「ええ。お化け屋敷にはスペースが小さすぎますし、演劇には時間が足りないでしょう?」

「占いだと、木乃香くらいしか出来るの居ないし――なら、中華飯店か、喫茶店」

 衣装を生かすなら、喫茶店でしょ、と早乙女ハルナ。
 ……いやまぁ、言ってる事はマトモなんだが――どうしてメイドなんだよ、と。
 しかも、誰一人文句言ってないし。
 私がおかしいのか?

「教室広いからねー、ガスコンロ運んで来て、黒板側に簡易キッチン作れば、十分でしょ」

 そこまで考えてるのか。

「それに、この広さなら全員で対応しなくてもいいから、半分以上で学園祭を見て回れるだろうしね」

「料理担当の方が少し割を食いますが、その分最終日に自由時間を多く取るようにすれば大丈夫かと」

「ふむ……良く考えてるな」

 雪広あやかと早乙女ハルナの説明を聞き、一つ頷く。
 正直、感心したぞ。
 流石委員長……ぼーやが絡まなければ、マトモだな。

「それなら、誰も文句は……無いのかな?」

「そこは、後でお聞きしますわ」

 そうか。

「で、だ」

「はい」

 うむ。
 
「いつまで隠れてるんだ、刹那?」

「うぅ」

 そんな恥ずかしがるような事でもないだろうに。
 というか、恥ずかしがる方が余計に目立つぞ?
 なにせ、クラスの全員がメイド服で当たり前、と言った風なのだから。

「せっちゃん可愛いのに」

「先輩、良くお似合いですよ~」

 そう褒める木乃香と、引っ張る月詠。
 ……仲良いよなぁ。
 ついこの前、斬り合った仲だろうに。

「お揃いです~」

「ウチともお揃いやー」

「うぅ、お嬢様……」

「仲良いわねー、あんた達」

 口調も前のに戻ってるし。
 ま、放っておくか。
 明日菜も居るし、大丈夫だろう。
 こう言った所じゃ、なんでか役に立つからなぁ。

「エヴァンジェリンちゃん」

「ん?」

 何だ、早乙女ハルナ?

「刹那と月詠さんと木乃香って……」

「ああ、昔の馴染みらしいぞ?」

 ここは適当に言っておく。
 別にあの三人がどう思われようが……魔法関係がバレないなら、どうでも良いし。

「ほほぅ」

「……三角関係でしょうか?」

 そこか、言うのは。
 違うだろ……女同士だし。
 
「む、呆れてるわね?」

「当たり前だ。女同士……というのもあるらしいが、あっちは……」

 …………どうなんだろう?
 どうにも、刹那は何というか……うぅむ。
 ……即答できない自分が、少し嫌になりそうだ。

「刹那は木乃香ラブだからねぇ」

「ラブ、か?」

 ライクだろ……多分。
 断言できないのは――まぁ、なんだ。特に意味は無い。
 特に意味は無いんだ。

「それより、メイド喫茶の服装って、こんなので合ってるのでしょうか?」

「は?」

「いえ、こういうお店があると言うのは聞いているのですが……行った事はありませんので」

 そりゃ無いだろうよ。
 あったらあったで、そっちが問題だろ。

「長谷川さんが言うには、もっとこー……肌の露出とかが」

「こっちで十分だ」

 うむ、まったくもって真名に同意見だ。
 というか、長谷川千雨はメイドになんか思い入れでもあるのか?
 ……話した事は無いが、あいつもやっぱり3-Aの人間なんだなぁ。

「でも、衣装代浮いて良かったねー」

「そうだね。それに、作る時間も浮いたし……あやかには感謝しないとね」

「いえいえ。ウチは使用人も沢山いますから、クラス人数分くらいなら問題ありませんわ」

「ウチにあるのは数着だけだしな」

 しかも茶々丸に合わせたサイズだから、私や木乃香なんかは着れないしな。

「あら、それは茶々丸さんの分かしら?」

「ああ――? 雪広あやかには、言った事あったか?」

 そこまで話した覚えは無いんだが……どうだったか。
 ふとした拍子に話したかな?

「いえ、明日菜さんからお聞きしました」

「明日菜?」

 まぁ、茶々丸は家じゃメイド服だからな。
 最近はその限りじゃないが。

「茶々丸さんのメイド服も着てみたいですわ」

「……そうか?」

 どうしてまぁ、メイド服にそこまでこだわるのか。

「私がどうかしましたでしょうか?」

「あ、茶々丸さん。……良く似合うわねぇ」

「ありがとうございます」

 そう言う茶々丸も、まんざらではないのだろう。
 普段とは違う服を着られるからか?
 ……今度、また別のデザインで作ってやるのも良いかもなぁ。

「マスター、先生達をお待たせするのも悪いかと」

「む」

 そうだな。
 先生達は、私達が着替える間廊下で待ってるんだったな。
 窓から覗けるとか思ったが、まぁ大丈夫だろう……と言うのがクラスの総意だった。
 ま、あの先生だしな。
 それにぼーやも居るし、覗いたりはしないだろ。

「全員着替え終わったのか?」

「はい」

「なら入れてやれ」

 かしこまりました、と一礼していく茶々丸から視線を逸らすと……。

「なんだ?」

「最近、先生と仲良いよね?」

「……そ、そうか?」

 なんか、早乙女ハルナが反応していた。
 なにに、と言われるとアレだが……なんか、こう、なんか嫌な予感が……。

「ね、エヴァ?」

 呼称まで変わってるし。
 ええい、寄ってくるな面倒臭い。

「ソコんとこどーなの?」

「どーもしない」

 椅子に座り、肘を付きながら……視線を逸らす。
 逸らすと言うか、木乃香達に視線を向ける。
 目を逸らされた。
 薄情な奴らだな……。

「あ、そこは私も知りたいね」

 ……真名、お前もか。

「私もですわ」

「何でだっ!? お前達には関係ないだろっ」

「「「えー」」」

 うるさいなぁ、まったく。

「だーってさ、あの男嫌いで有名だったエヴァがさー」

「何だそれはっ」

 男嫌い?
 私ってそう見られてたのか?

「1年の時に高畑先生に構ってもらってたのに、全然相手にしてなかったじゃん」

「それは……」

 一時期は、アイツと同じクラスで勉強していたんだぞ?
 そう言う対象で見れるか。
 それに、アイツは本当の私を知っている。
 あっちだって私をそう言う対象で見た事は無いはずだ。

「それは?」

「……別に、タイプじゃないからなぁ」

 そう言う事にしておく。
 まぁ、間違ってはいないし。

「じゃあさ、何で先生? あー言うのがタイプ?」

「あのなぁ……別にそう言うんじゃないんだよ」

「えー」

「つまりませんわ」

「知るか」

 どうして私が、お前達を楽しませなくちゃならないんだ。
 まったく。

「ふん」

「むぅ……じゃあさ、じゃあさ」

 まだあるのか?

「着替え終わったかー」

「うっわ、反応薄っ」

 そんな事を話していたら、先生が教室に入ってきた。
 ……助かった。
 正直に、そう思う。

「ちっ」

「……後で覚えておけよ、真名」

 笑ってるんじゃない。
 くそ……。

「うわー、皆さん良くお似合いですよっ」

「ネギ先生ーーーっ」

 うわ……。

「……人を好きになっても、ああにだけはなりたくないわね」

「……まったくだな」

 そこは同意するよ、早乙女ハルナ。
 ぼーやの方に掛けていく雪広あやかを見ながら、3人で溜息を吐く。
 アレが無いなら、きっともう少しぼーやから懐かれると思うんだがなぁ。
 あ、宮崎のどかも行った。
 ……ぼーやもモテるんだなぁ。
 どこが良いのだろうか? やはり子供だし、保護欲とやらを掻き立てるのか?

「あやかも、アレが無ければね……」

「まぁ、私はのどかも楽しそうだし良いんだけどね?」

 言い寄られて困ったように慌てているぼーやと、言い寄る宮崎のどかと雪広あやかを見ながら一言。

「お前は行かないのか?」

「親友ですから」

「ふぅん」

 まぁ、別に良いんだがな。
 これ以上増えたら、ぼーやの処理能力じゃ、きっと気絶するだろうし。

「綾瀬夕映は宮崎のどかのすぐ傍に居るがな」

「なぬっ!?」

 あ、駆けていった。
 …………。

「まぁ、なんだ。元気だな……」

「そ、そうだね」

 しかしまぁ……。

「それじゃ席につけー」

「なんか先生、珍しく気の抜けた声だね?」

「だな」

 ……メイド喫茶、ねぇ。

「もしかして、柄にもなく照れてるんじゃないか?」

「なるほど」

 席に戻る真菜の背にそう声を掛ける。
 自分で言ってなんだが……それは無いかな、と。
 だがまぁ、それだと先生が妙に気を抜けた風を“装っている”理由がしっくりくる。
 ま、どっちにしろ、だ

「楽しくなりそうだな」

「どないしたんですか~?」

 ん? と。
 隣の席――月詠からの、気の抜けたような声。

「いや、今年は楽しくなりそうだな、とな」

「そうですか~」

 ニコニコ、ニコニコ、と。
 相変わらず、なんというか――幸せそうな奴だ。

「お前も、楽しそうだな」

「はい~。学校も、お祭りを楽しむのも、初めてですので~」

「……そうか」

 もしかしたら、本当にそうなのかもしれないな。

「なぁ、月詠?」

「はい~?」

「お前、そんな可愛い服が好きなのか?」

 そう聞いたのは、どうしてか。
 何となく聞いた。
 本当に、そんな感じ――。
 視線は前に向けたまま。

「はい~。だって、可愛いやないですか~」

「……そうか」

 そうやってはしゃぐ様は、本当に同年代のソレだ。
 そう錯覚させられる。
 ――京都で斬り掛って来た月詠と、服一つで子供のようにはしゃぐ月詠。
 はたしてどちらが本物なのか。
 ……この娘の本質は“人斬り”。
 それは、十分理解してるつもりなんだがなぁ。

「どないしたんですか~?」

「いや、別に……何となく、聞いただけだ」

「? 変なエヴァンジェリンさんですな~」

 お前が言うな。





――――――

「それじゃ、と」

 カツカツと、ネギ先生が生徒達に聞きながら、これから必要な事を黒板に書き出していく。
 えっと――。

「キッチンも作らないといけないし、机と椅子も用意しないといけませんね」

「判った、それと内装も変える……んだよな?」

「もちろんっ」

 だよなぁ。
 やる気満々な早乙女と雪広だ。
 きっと妥協はしないんだろうなぁ。

「カーテンとテーブルクロス、それに食器とお箸とかも……」

 うはぁ……喫茶店って大変なんだな。
 経営者って、やっぱり凄いんだな。
 そう言うのって、どこから集めるんだろう?

「食材も安くて欲しいですね」

「そこはスーパーか専門店で探すしかないだろうなぁ」

「なら、近所の人に相談してみますね」

 とは那波。
 ……え、知り合いとか居るのか?
 流石那場、主婦っぽいなぁ。

「なにか?」

「いや、なにも」

 少し怖いです。
 なるだけ那波の方を見ないように黒板に先ほどの事を書きこんでいく。
 しかし、食材を安く買う、かぁ。
 そう言う事も出来るんだなぁ。
 スーパーなんかより、専門店の方が安いのかな?
 ま、後で那波に聞いてみるか。

「あと、何か必要な事ってありますか?」

「それくらい、でしょうか? 夏美は何か思いつくかしら?」

「うやー、別に」

 ふむ、これくらいか? 

「予算とかはどうなるんですか、先生?」

「それは、学園側から支給されるから。必要なのは言ってくれ、長谷川」

「はい」

 額は……言わない方が良いよな。
 それじゃ、と。

「机とか食器はどうする?」

「それは、私の方でご用意いたしますわ」

「大丈夫なのか?」

 言い出したのはやっぱりと言うか、雪広。
 そう言えば、今着てる服も雪広が用意したんだったよな。

「そちらの方が、時間も掛りませんし」

「だが、買い揃えるのは無しだからな?」

「え?」

「予算以外の所からお金を使ったら、他のクラスに不公平だろ?」

「う……」

 そうなると……。

「紙のお皿とかは嫌だよー」

「だね、やる気が無くなるよねー」

「そうは言ってもな、鳴滝」

 こればっかりはなぁ。
 どうしたもんか。

「机はどれくらい用意する予定なのかしら?」

「そうですね……この広さなら、キッチンまで入れるから――6~8くらいか?」

 よく、すぐそこまで思いつくな、長谷川。
 そこに少し驚きながら、用意する所に机を6~8と書く。
 そうなると、食器は……一つの机に最大4人として……32組くらいか?

「少し多めに用意するのが良いだろうから、食器は40組だね」

「判った」

 しかし、

「詳しいな、長谷川」

「……そ、そうかな?」

 どうしてそこで目を逸らす?
 褒めてるんだがなぁ。

「食器とかって、安いのはどれくらいするか判るか?」

「ランチプレートなんかは500円……もしかしたら100円均一でもあるかも」

「……そんなに安くであるのか?」

「ええ。それに、スプーンやフォークも。問題はコーヒーカップですね」

「それは高いのか?」

「いえ、こう言った喫茶店をするなら、それなりのを用意した方が良いと思います」

 そうなのか?
 良く判らないので、とりあえず詳しそうな雪広を見てみる。
 首を傾げられた。
 だよなぁ。

「ふむ。そっちは後で話そうか?」

「それが良いと思います」

 だな。値段だけ聞いても、こっちも良く判らないし。

「机とかはどうすれば良いかな?」

 と聞いてきたのは、龍宮。
 ……しかし、どーしてウチのクラスは、全員メイド服なんだ?
 違和感――と言うか、何というか。
 一部が一部だから、どうにも目のやり場に困ると言うか……うーむ。
 なるだけ気にはしないようにしてるんだが。
 龍宮とか那波とか雪広とか……なぁ。
 大河内とかはまだ話下手だから、どうにかなるんだが。
 ちなみに、どうして着替えたのか、と聞いたら寸法合わせらしい。
 下は鳴滝姉妹やマクダウェル。
 上は龍宮や那波、大河内やら。
 ……服一つ用意するのも大変だな、本当に。

「教室の机合わせてテーブルクロス?」

「それじゃ味気無いでしょ」

 またワイワイ言い合い始めるし……元気だなぁ。
 はいはい、と手を叩いて黙らせる。

「せんせ、こう言った時って、どうしたらええでしょうか?」

「お、俺に聞くのか?」

「はい」

 また、いきなりだな……まぁ。

「先生は男子校だったからアレだけど、自分たちで作ったな」

「作る?」

「ああ。木材削って」

 今考えると、無茶やったよなぁ。
 予算削減とはいえ……。
 でもまぁ、男子校なんて出会いが無いから、そんな細かな所でも気合入れないと出会いなんて無いのだ。
 ……うぅむ。やっぱり、今考えると、何であんなことしたんだか。
 若かったんだなぁ、俺も。

「おー」

 なんか感心されていた。
 ネギ先生からも。
 ……何で?

「まぁ、それはお勧めしないけどな」

「何でですか?」

 声はすぐ傍。ネギ先生から。

「時間かかりますし。なにより、皆ノコギリやら釘やら、使った事無いだろ?」

「う、そ、そうですわね」

「そう言う訳で、怪我させる訳にも行きませんからね」

 キッチンなんかは、それこそ机を合わせれば十分だろうけど。
 机を本格的に、となると、どうしてもその辺りの技術が……。

「なら、そっちは私達が」

「ん?」

 そう言ったのは、桜咲。
 それに、クーと龍宮、葉加瀬に絡繰も手を上げている。

「私も出来るアルよ」

「……大丈夫か?」

「図面を作るのは得意ですし」

 とは葉加瀬。
 いや、そうだろうけど……。

「それより、木材を何処から調達するかだね」

 やる気だし。
 ……余計な事、言ったかなぁ。
 しかし。

「内装の準備は、私がっ」

「……大丈夫か、本当に?」

 最後にもう一度、桜咲にそう声を掛ける。
 そうなると俺も少しは手伝うつもりだが、流石に女生徒にノコギリとハンマーと釘はなぁ。

「問題ありません」

「そ、そうか?」

「慣れてますから」

 慣れてるって……そこまで言うなら、良いか。
 それに、最悪間に合わないなら、こっちも教室の机で代用して、テーブルクロスで隠せば良いだろうし。

「わかった。時間も無いし、間に合わなかったり、怪我したら教室の机で代用するからな?」
 
「はい。その方向で行きましょう」

 それと、内装は早乙女だったな。
 ……こっちはこっちで心配だが、まぁ、他にも人は居るし、何とかなるだろう。

「後は……」







 長谷川と食器や、それに類する経費の事を教室の隅で話していた時

「なぁ、先生?」

「ん?」

 絡繰を連れたマクダウェルが話しかけてきた。

「どうした?」

「いや、机に使う木材を買いたいんだが……先生に言えば良いのか?」

「あ、そうだな。ちょっと待っててくれ」

 しかし……やはり、メイド服姿には慣れない。
 形から入るから、とか言い含められたが……新田先生とか葛葉先生に見られたら何と言われるか。
 まぁ、これも学園祭の出し物だし、そう強くは言われないだろうけど。

「どうした?」

「いや、マクダウェルのメイド姿なんて、初めて見たからな」

「……そ、そうか?」

 絡繰のは、何度かなぁ……と言おうとして、止める。
 ここは教室だし、不用意な事は言わない方が良いだろう。

「あんまり根詰めるのもアレだし、食器類の値段はネットで調べておきます」

「お願いして良いか?」

「はい。こう言うのは、私の方が得意そうですし」

「う、すまないな」

 流石に、食器の善し悪しはちょっとな……俺は、どっちかと言えば、使えれば良い方だから。
 最初にそう言ったら、めちゃくちゃ怒られた。
 きっと、何かこだわりがあるんだろう。

「えっと、それじゃ……マクダウェルと絡繰は、何だったっけ?」

「木材について、だ」

 ああ、そうだった。
 こっちも急ぎだよな。
 というか、木材を買うなら……これもネットなのかな?
 そう言えば、俺たちが作った時は、友達の家が建築家だったから紹介してもらったんだよな。

「そっちは、友達の家がツテがあるから、ちょっと相談してみる」

「そうか?」

「ああ。なるだけ早く用意するよ」

 この後連絡入れて、駄目ならまた他の手段を考えないとな。
 去年の今頃はここまでバタバタしてなかったと思うけど……。
 やっぱり高畑先生は、凄い先生だなぁ、と。
 俺とネギ先生じゃ、全然手が足りて無い。
 むぅ。
 ま、落ち込んでる時間も惜しいんだが。

「しかし、本当良く似合ってるな」

「そうか?」

 そう言って、マクダウェルは一回転。
 ロングスカートが軽く舞い、その金糸の髪が踊る。

「ああ」

「ん?」

 何か違うと思ったら。

「髪を結んでたのか」

「今頃気づいたの? 先生」

 長谷川から呆れられた。
 ……すまんね、鈍くて。
 内心、自分でも呆れてしまう。
 判り易いのになぁ。
 全然生徒の事見れてないな、と。

「えっと……あとしないといけないのは」

 ネギ先生は、那波達と一緒に、食材の値段交渉に行ったから……内装か。
 早乙女は、と……教室内に視線をさまよわせていたら、視線を感じた。正面から。

「先生……」

 少し、呆れ交じりの声。
 な、なんかしたかな?

「どうした?」

「いや……こういう時は褒めるもんじゃないかな?」

「ん?」

 褒める?

「折角、エヴァンジェリンと茶々丸さんが今までと違う服装してるんだからさ」

「……あ、ああ」

 そう言う事か。
 そう思い振り返ると……そこには2人の姿は無かった。
 どうやら、龍宮達の所に戻ったらしい。

「はぁ」

「う……」

 溜息まで吐かれてしまった。






――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「ただいまー」

「ただいま帰りました」

 おー、お帰りお2人さん。

「また来てたのか」

「うお」

 結構ご機嫌斜め? なんで?
 物凄い、視線が冷たいんですけど?

「マタカヨ」

「ふん」

 あれ?

「チャチャゼロさん、何か知ってるんですか?」

「アー……」

「うるさい、黙れ」

 何か知ってるみたいっすね。
 姐さんが部屋に戻ったら、聞いてみよ。

「それじゃ、別荘に居るから……用があったら、呼びに来い」

「アン? マタイキナリダナ」

「ああ。あまりに寂しがり屋の幽霊が不便でな」

 幽霊?

「幽霊ってあの、ゴースト?」

「それとはまた少し違うが……ま、大体合ってるな」

 そ、そっすか。
 しかし……ゴーストとも知り合いなんすか、姐さん。
 ゴーストって、確か人祟るんじゃなかったっけ?
 吸血鬼だから大丈夫なのかな?

「学園祭の間くらい、仮初でも形を用意してやる事にした」

「オヤオヤ、コレハマタ」

「同意はまだ取ってないがな」

「――ソコハ取ットケヨ」

「ふん。べ、別に良いだろ……」

 どうせ、帰ってきてる時に思い付いたとかなんだろうなぁ。
 姐さんも丸くなったもんだ。
 去っていく背に小さくチャチャゼロさんと2人で笑う。

「オコジョさん、晩ご飯は?」

「おー、頂いていくぜっ」

「……オ前モ遠慮ガナクナッタナァ」



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