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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 33話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/09 23:47

――――――エヴァンジェリン

 まったく――騒がしい奴らだなぁ、と。

「で、さ。エヴァって先生が好きなの?」

「は――そんな訳あるか」

 そう話しかけてきた明日菜を鼻で笑い。茶々丸に用意させた紅茶を一口啜る。
 皆で風呂に入り、パジャマに着替えてから数時間後。
 寝る部屋は決めたはずなのに――何故か旅行参加者の半分が同じ部屋に集まっていた。
 明日菜に木乃香、雪広あやかに那波千鶴と柿崎美砂。
 それに茶々丸。私まで入れて7人だ。
 ……2人部屋に7人とか。まぁ、広いから問題無いんだが。

「大体、アイツは私を生徒としか見ていない」

「ぅ―――そ、それもそうね」

 妙な所は堅いもんね、先生、と。
 ……中学生に欲情するようなら、それはそれで教師として問題があると思うがな。

「それより、お前はどうなんだ?」

「わ、私?」

 あまり話し掛けられるのも面倒なので、こちらから話題を振る。
 まぁ、お前の方こそ脈は無いだろうけどな。
 相手はあの堅物だし。

「タカミチだよ、タカミチ」

「う、なっ!? わ、私は良いのよ、私はっ」

「えー、でも明日菜も頑張らんとあかんえ?」

 脈あんましないんやし、と。

「明日菜は押しが弱いからねぇ」

「う、煩いわねっ! そ、そんな事無いわよっ……多分」

「多分と言ってる時点で怪しいですわ」

「う、うう、あ、あやかこそ脈ないじゃないっ」

「そんなことありませんわっ」

 まー、ぼーやも望み薄だろうなぁ。
 何だかんだで、アレも仕事にはそれなりに真面目だからな。
 木乃香と2人、ベッドに腰掛けて、似た者同士の言い争いを眺める。

「まぁ、結局は2人とも脈が無い、と」

「だねぇ」

 またバッサリいったなぁ、那波千鶴と柿崎美砂。
 その通りなので私も頷くと、二人が食ってかかる。

「ち、千鶴さんっ!?」

「そんな事ありませんっ」

 どうだかなぁ。
 方や年上、方や年下好み。
 ……趣味は正反対だが、確かに似ているなぁ、と。

「そう言う千鶴さんはどうなの? 誰か気になる人居ないの?」

「うーん……私は特にはねぇ」

「……そうですわね。理想が高いですもんね」

「そ、そんなに高くないわよ」

 そうなのか? と。
 この中で一番年上に見えるからか、そう言うのにも詳しいと思ったんだが。
 と言うか、那波千鶴の理想?

「お前なら、それこそ選り取り見取りだろうに」

「え、エヴァちゃん? 彼氏とかをそう言う風には見ないものよ」

「ふん――興味が無いからどうでも良い」

「ありゃ、こっちも脈無しだねぇ」

「当たり前だ。教師だぞ教師……私は目立つのは嫌いなんだよ」

 別に、誰からも見てほしいとも思わないし。
 それに、吸血鬼の隣を歩いてくれるなんて奇特なヤツもそう居ないだろう。
 それこそ、私の目の前のバカくらいなもんだ。

「ん?」

「いや、そう言えば、何でお前はタカミチが好きなんだ?」

「ぶっ――何でそんなにストレートなのよっ、あんたはっ」

 だって、お前歪曲して言っても判らないじゃないか、と。

「あー」

「ねぇ、何でそこで納得するの!? ねぇ、あやか!?」

「いえ……その、まぁ」

「こっち見て言ってよ!?」

 頑張って下さい、と肩を叩かれていた。
 ……地味に酷いな、雪広あやか……。
 思いっきり落ち込む明日菜――ちょっと、言い過ぎたんだろうか?

「いえ、あやかも似たようなものよ?」

「コレよりはマシですっ」

「コレ言うなっ、ショタコンっ」

「んな!? オジコンよりはマシですっ」

 ……こっちから見たら、どっちもどっちだがなぁ。
 どーして、歳の離れたのをそう好きになるんだか……歳が近い方が、と思うのは私だけか?
 特に明日菜は――まぁ、なんだ。
 指折り数え……。

「アイツは30だから……16歳差か?」

「それくらいなら問題無いでしょ?」

「いや、有るだろ」

 何を平然と言ってるんだ、このバカは。
 まぁ、それ以上は言わないけどな。
 しかし、あの堅物がこんなにモテるとはなぁ。
 あの堅物がねぇ……何と言うか、まぁ。

「一応、応援はしてやるよ」

「ホント!?」

「一応な」

 どこが良いんだか、と聞きたくもあったが、聞かないでおこう。
 きっとそれが私の為にもなりそうだ。

「それはそうと、茶々丸さんはどうなのかしら?」

「私ですか?」

「うんうん。先生とよく一緒に居るみたいだし、そこんとこどうなの?」

 と、それまで話に加わらない、と言うよりも聞く事専門だった茶々丸に話を振る那波千鶴。
 まぁこんな話をしてるなら、そうなるだろうが……茶々丸がねぇ。
 それは無いだろ、と小さく笑ってしまう。

「ええ。先生と、仲がよろしそうに見えますけど」

「そうですか?」

「でも、今日もせんせと一緒におったもんね」

 ふむ――。
 木乃香は事情を知ってるはずなんだが……まぁ、だからと言って違うと決めつけるのも変か。
 確かに、茶々丸は良く先生と一緒に居るしな。
 もしそう言った感情があるのなら、そう言う意味の行動に見えるだろうし。

「まぁ、確かに懐いているように見えるな」

「懐いてって……子供じゃないんですから」

 どちらかと言うと、子供みたいなもんなんだがな――確かに、そういう言い方は拙いか。
 だがまぁ、好意、と言うのとは違うだろ。

「私は、マスターがいつもお世話になっていますので」

「んなっ」

 なっ!?

「そんな理由で、お前は先生に会ってたのかっ!?」

「? はい。いつも御迷惑ばかりかけて、申し訳ありませんので」

「迷惑なもんかっ。アイツは先生だからな、生徒の迷惑は喜んで受けるさ」

「――エヴァー」

 何でそんな残念な子を見るような目で見る、明日菜?
 あまりにむかついたので、その頬を問答無用で引っ張ってやる。

「いひゃいー! なんれっ!?」

「その目がむかついた」

「そんな横暴な……」

「はいはい、ストップストップ」

 むぅ……那波千鶴に止められ、仕方なく頬を離してやる。
 ……雪広あやかの背中に隠れるな、まったく。

「うぅ……エヴァの照れ隠しが痛い……」

「誰が照れ隠しだっ!」

 もう一回引っ張ってやろうか。
 そう立ち上がるが、後ろから木乃香に抑えられた。
 ちっ――今回は許してやるか。

「しかし、お前はそんな理由で会ってたのか?」

「はい。それに、先生との話は為になります」

「ほぅ」

 あ、後ろのが食い付いた。

「具体的には?」

「具体的にですか?」

 なんだ、具体的にって?
 普通、そんな聞き方しないだろ……。

「せんせの、どの辺が為になるん?」

「どの辺りが、ですか?」

 そう言い、首を傾げる茶々丸。
 まー、流石にその言葉の意図までは気付かんか。

「お前が、先生のどんな所が楽しいのか、だとさ」

「そうそう」

 まったく。
 どーせ、真面目に質問に答えるからとか、そんなところだろう。
 何だかんだで、茶々丸も学習とかで、良く質問してくるからな。
 教師と生徒の関係で、あっちもそう悪くは思ってないかもな。

「楽しい、ですか?」

「うんうん」

 ……何でお前達までそんなに興味深々なんだ?
 木乃香は、まぁ……先生に興味があるみたいだが。
 お前達は別に興味も何も無いだろうが。
 よくもまぁ、こういう話が好きなもんだ。
 と言うか、茶々丸が“楽しい”と言う感情を理解出来ているかが疑問だが。

「――よく判りません」

「そこでそんなオチ!?」

 だろうなぁ。
 どーせそんな所だろうよ。

「だって、楽しいから先生と一緒に居るんじゃないの?」

「……そうなんでしょうか?」

「そうなんでしょうか、って……まぁ、エヴァちゃんの」

「私か!?」

 まぁ、そう言われるとその通りなんだが……み、認めるのは癪だな。
 とりあえず、ベッドの上に腰を落ち着ける。

「しかし、茶々丸さんが先生と一緒に居た理由がエヴァンジェリンさんだったとは」

「私が悪いみたいに言うなっ」

「いや、実際悪いでしょ」

 う……。
 ま、まぁ――そうかもしれんが。

「でも、エヴァちゃんってどないしてせんせと知り合ったん?」

「…………ま、まぁ、どうでも良いだろ、そんな事は」

 言えるか、サボり過ぎた所為だなんて。
 まぁ、そのおかげで……それなりに、暇じゃない毎日を過ごしているんだが。
 ……認めたくは無いがな。

「いえいえ、そこは是非っ」

 ……なんか、変なのに食いつかれた。
 むぅ。
 どうして教師と、くっつけたがるのか……明日菜も若干興奮してるし。
 自分達と重ねてるんだろうか? 面倒な。
 私は目立つのは嫌なんだがなぁ。

「マスターが」

「言うな、アホっ」

 まったく……ああ、くそ。

「良いじゃない、教えても」

「教えたくない」

「ねー、エヴァ」

「うるさい、黙れ」

 ふん。

「あー、へそ曲げたー」

「あはは。エヴァンジェリンって、面白いねー」

「……ふん」

 それじゃ、と。

「木乃香はどうなのかなー?」

「う、うち!?」

 そうそう、と。
 どうやら標的は私から移ったらしい。

「お前も、最近は色々とあるみたいだなぁ?」

「え、エヴァちゃーん……」

 見合いがどうのこうのとか言う噂も聞いたんだが、と。

「な、お見合いなんてうちまだせぇへんよっ」

「あー、大変ですわね……」

 そう言えば、雪広あやかも金持ちだったなぁ、と。
 普段の行いがアレだから、あまりそう言う感じはしないが。

「そ、それに、まだ早いと思うし」

「おやおや、顔を赤くして……」

「これは、楽しくなりそうね」

「柿崎さん、千鶴さぁん……」

 ふぅ……しかし、元気なもんだなぁ。
 これが若さかもなぁ。



――――――

 目が覚めると、知らない部屋だった。
 ……いや、そう言えば、雪広の別荘に呼ばれたんだっけ、と。
 その別荘と言う単語にあまり馴染みが無いんだが、現実として今南の島に来ているので、何とも言えない。
 別荘とか初めて泊ったんだけど、結構設備とか充実してるんだなぁと昨晩は驚いたもんだ。
 まぁ、これが雪広家だ、と言われればそれまで何だけど。

「ふぁ……」

 眠い。
 昨日は、結構動いたからなぁ。
 筋肉痛にはなっていないようで、寝返りをうって窓から外を見る。
 朝だ。
 もう結構明るい。
 ……時差とか、どうなってたんだっけ?
 後で雪広に聞いておくか。
 確か昨日、執事さんに聞いた時は……そう酷く差があるようには言ってなかったような気がするし。
 しかし、このベッド。フカフカである。
 多分このまま目を閉じたら、確実にもう一度寝れる自信がある。
 それくらいフカフカである。
 枕も丁度良い堅さだし。
 うー……。
 ……起きるか。
 数分悩んだ後、上半身を起こす。
 隣では、まだネギ先生は寝ていた。
 昨日はあの子達から揉みくちゃにされてたから、疲れたんだろうなぁ。
 そして、多分今日も。
 御愁傷様です。
 心中で両手を合わせながら起き上り、身支度を整える。
 さて、と。

「なにするかなぁ」

 携帯で時間を確認すると、朝の8時少し前。
 休日の朝にしては、早くに目が覚めたなぁ。
 出来ればもう少し寝たい所だけど、せっかく起きたんだし……何しよう?
 あんまり別荘から離れても、ちょっと怖いしな。
 南の島だし、蛇とか居るのかな?
 そんな事を考えながら、とりあえず散歩ついでに海を眺めてみる。
 綺麗だなー、と。
 そう言えば、海に来たのって何年振りだったか。
 学生時代が最後だから……指を折って数え、

「……5年くらい?」

 昨日は泳げて良かったな……。
 流石に、身体が覚えていたか。
 ……泳げなかったら、と思うとゾッとする。
 主に教師と言うか、大人としてのメンツが。

「おはようございます、先生」

「おはよー、先生」

 そう言ってこっちに歩いてくるのは、同室だったはずの絡繰と神楽坂だった。

「おはよう、二人とも。よく寝れたか?」

「うん。ばっちし」

「そりゃ良かった」

 ベッドも柔らかったしねー、と。
 そこには同感だな、うん。
 アレは柔らかかった。

「枕も丁度良かったしな」

「そうそう。やっぱり金持ちは違うわねぇ」

「はは」

 そうだな、と。
 さて、と。

「2人はこれからどうするんだ?」

「ん? いや、先生見かけたから追いかけてみたの」

 暇だったし、と。
 そうか。

「なら、そろそろ戻るか」

「そうだね。もうすぐみんな起きるだろうから、朝食の準備もしないと」

「今日の朝食は誰が作るんだ?」

「えっと……誰だろ。茶々丸さん、知ってる?」

「私と木乃香さんで作ります」

 ……うーん。

「……何か、問題が?」

「あ、いやいや」

 そうじゃなくて。
 慌てて手を振って否定する。

「予想以上に美味くてなぁ……戻ったら、コンビニ弁当で満足できるかな、と」

「あー、判るわ。木乃香の料理食べ慣れると、外食ってする気にならないもん」

「……申し訳ありません」

「いや、謝るところじゃないから、茶々丸さん」

 すまないなぁ、と。
 俺の食生活がもう少しマトモだったら良かったんだが。

「先生は、いつも何を食べられているのですか?」

「ん?」

「あー、何かコンビニにばっかりお世話になってるみたいよ?」

「……そこは伏せておいてほしかった」

 何となく。
 むぅ。

「そうなのですか?」

「おー……どうにも料理は苦手でなぁ」

「男の人って、皆そうなのかな?」

「どうだろうなー……まぁ、高畑先生は出来そうな雰囲気だけどなぁ」

「…………くっ」

 いや、お前の考えてる事なんて判り易いから。
 どーせ、高畑先生に手料理でも、とか考えたんだろう。
 まったく。

「……それじゃ、ご飯の準備の手伝いしよ」

 めちゃくちゃ落ち込んでるし。

「神楽坂は料理は……」

「人並には出来ると思うけど……あの面子に囲まれてると、自信失くしそう」

「人並に出来るだけでも十分だと思うけどなぁ」

 俺なんて、人並にも出来ないし。
 お陰でずっとコンビニのお世話になってるし。

「料理が出来る、と言うだけで羨ましいけどな」

「先生も勉強すればいいのに」

「……まぁ、考えとくよ」

「うわ。やらない気だ、絶対」

 そう笑われた。
 まぁ、多分やらないだろうけど。

「それでは、身体に悪いと思います」

「……耳に痛い」

「あはは、今度木乃香にお弁当作ってもらったらどうですか?」

 いやいやいや。

「それは勘弁してくれ」

 流石に生徒の世話にはなれんだろ。
 それに、ついこの前学園長から……まぁ、色々言われたし。
 今度はなんて言われるか、考えただけでも胃が痛くなってくる。

「先生って、本当そんな所は堅いよねぇ」

「これが普通なんだよ」

 まったく。
 本当なら、お前と高畑先生の事ももっと言うんだからな、と。

「う……そ、そこは、まぁ、ねぇ?」

「はいはい。ほら、早く戻るぞ?」

 昨日の晩あれだけ食ったから、あんまり食欲無いけど。
 流石に、アレはやり過ぎた。
 今日は昼まで食べてから帰るので、本当に舌が心配である。

「というか、絡繰と近衛とかも四葉達と店出したら、売れるだろうなぁ」

 ふとそんな事を考えてしまう。

「それは売れそう……うん。私なら毎日でも通えるかも」

「毎日かよ……」

 自分で作る気は無しか。

「私もですか?」

「いやいや、冗談だからな? でも、それだけ料理が上手いなら……っと」

 流石に進路の事とかをここで聞くのも変か。
 いかんいかん。

「とにかく。朝食、楽しみにしてるからなー」

「……はい」

 朝食食べたら、今日は何するかなぁ。

「先生は、お弁当は迷惑ですか?」

 そう聞かれてもなぁ。

「迷惑と言うか、迷惑じゃないと言うか……」

「うわ」

 神楽坂から呆れられた。
 ……いや、生徒から弁当とか――どうすればいいか判らないんだって。本当に。







 のんびりと釣り糸を垂らしながら、欠伸を一つ。
 釣れないなぁ。
 まぁ、素人だしこんなもんなのかもなぁ、と。
 そんな事を考えながら、もう一つ欠伸。
 こー釣れないと、眠くなってくるな。天気も良いし。
 岩場に腰掛けながら、静かに時間を過ごす。

「せんせー、釣れてるー?」

「全然駄目だー」

 少し離れた位置で泳いでいる朝倉が、手を振りながら聞いてきたので、少し声を上げて応える。
 朝食を食べてから釣ってはいるんだが、いまだに一匹も釣れていない。
 ……俺って、釣りの才能は無いみたいだな。
 それが判っただけでも良いか。
 だって、海が透けてるから魚がいるの判るんだけど、釣れないし。

「お昼ご飯は釣ってよー」

「頑張ってみるよー」

 でも、あんまり期待するなよー、と。

「釣れたら、写真撮ったげるからねー」

「……それは別に良いんだが」

 聞こえないように呟き、欠伸を一つ。
 眠い。
 朝倉と一緒に泳いでいるネギ先生が手を振っていたので、それに応える。

「元気だなぁ」

 俺にも分けてほしいもんだ。
 ま、ネギ先生が元気無おかげで、こうやってのんびりと釣りが出来てるんだけど。
 流石に、今夜は仕事しないといけないので疲れるような事はあんまりしたくない。

「ふぁ」

「釣れてるか?」

「んあ?」

 欠伸の途中で声を掛けられたので、変な声が出た。
 うー、いかんいかん。
 首を振って眠気を飛ばし、声の方に向く。

「いや、全然」

「……なんだそれは」

「しょうがないだろ。釣りなんて、子供の時以来なんだから」

「昼は刺身を食べたいんだから、何としてでも釣ってくれ」

「……んー、何とか頑張ってみる」

 と言っても、釣り糸には何の反応もないんだが。
 何がいけないんだろう?
 場所かな? でも、動く気はあんまりなかったり。
 こうやってのんびりするのも、悪くないし。

「なんだ、マクダウェルの釣るのか?」

「まさか。先生の無様な姿を見に来ただけだ」

「……酷いな、お前」

「ふん」

 海で遊んだ方が楽しいぞ、と。
 こっちから泳いでるのは見えるけど、誰も居ないしなぁ。
 今くらい、お目付役が居ない方が皆楽しめるだろうし。
 そう思ったんだけど、何でこっちに来るんだか。

「なー、先生」

「んー」

 のんびりとした、声。
 そんな声は、ここ最近、やっとマクダウェルから聞く事が出来るようになった声。
 しかも、やたら機嫌が良い時だけ。
 きっと、マクダウェル本来はこんな声なんだろうなぁ、と。
 少し離れた、でも今までより近い距離に、座る。
 黒いワンピース姿の金髪の少女は……まるでどこかの絵から飛び出て来たみたいだった。
 いや、本当に。
 人形みたいに可愛いし。

「疲れてるみたいだな」

「そうか?」

 そうかもなぁ。
 欠伸が止まらないし。
 まぁ、天気が良すぎるのもあるんだろうけど。

「……仕事は大変か?」

「どうした、いきなり?」

 変な事を聞くなぁ、と。

「別に大変じゃないけど?」

「そうなのか?」

「おー。生徒が先生の心配なんかしなくて良いんだよ」

 まったく。
 いきなりどうしたんだか。
 でもまぁ、心配……なのかな? してもらえて嬉しいんだけど。
 現金なもんだな、俺も。

「そうか」

「そうだ。まったく、お前と言い絡繰と言い……」

 ふぁ、と欠伸を一つ。
 あー、しかし、良い天気だなぁ。





――――――エヴァンジェリン

 偶にはお礼言わないと、嫌われるわよ?
 そう言われたのは、朝食を食べ終えた後だった。

「嫌われる、ねぇ」

 彼氏と彼女だって、お互いお礼を言い合うのに、先生と生徒じゃ、愛想尽かされても知らないわよ、と。
 ……柿崎美砂め、余計な事を言って。
 別にそれを気にした訳じゃないが――暇だったので、先生の様子を見に来、ここに居る。
 のんびりとした時間。
 ゆっくりと、贅沢に時間を使う。
 先生の隣の岩に腰掛け、海を見る。
 ――そう言えば。私は最初、ぼーやの血を吸おうとしてたんだったなぁ、と。
 海ではしゃいでいるぼーやを見ながら、そう思いだす。
 ぼーやの血を吸い、この身を縛る呪いを解こうとしていたんだったな、と。

「ふぁ」

 隣の先生が、眠そうに眼を細める。
 ……眠そうだな。

「寝たらどうだ?」

「んー……魚が釣れないからなぁ」

 半分寝ているような声。
 その声が可笑しくて、小さく笑ってしまう。
 いつもの真面目な先生の姿ではなく、のんびりとした男の姿。
 こっちが休日の先生の姿なんだろうな、と。

「刺身を食いたいんだろ?」

「――――は?」

 そう言われ、そう言えばそんな事を言ったな、と。
 何時の間に刺身用の魚を釣る為に釣りをするようになったのかは判らんが。

「どうせ釣れないだろ?」

「……一匹くらいなら、釣れるかもしれないだろ」

 どうだかな。
 確かに岩場で魚も多いが、その釣り方じゃ釣れないと思うがな。
 だが、それを指摘する事もしない。
 ……先生の、目が細められる。

「なー、先生?」

「んー?」

 もう一度、欠伸。
 その様がまるで子供のようで、どこか可笑しい。
 また、笑ってしまう。

「眠そうだな」

「……んー」

 うつら、うつら、と。
 その頭が揺れる。
 それを眺めながら、小さく――笑ってしまう。
 いつからだろうなぁ。
 どうしてだろうなぁ。
 私は、ぼーやの血を吸っている。同意の上で。
 力尽くじゃない。
 ぼーやとの同意の上で、その血を貰っている。
 その事をじじいも知っていて、呪いも解いていいと。
 タカミチも、他の魔法先生達も――知った上で、私は、闇の福音は、呪いを解いている。
 ……私は、恐れられていない。
 挨拶をすれば返してもらえる、挨拶をされれば返す。
 ただそれだけの事で……こんなにも、私の周囲は変わってしまった。
 もし……もし、先生が居なかったら。あの時、明日菜と知り合わなかったら。
 違ったのだろうか?
 ――違ったんだろう。
 私は恐れられ、そして、誰からも嫌われていたんだろう。
 今までと変わらずに。

「どうしてこうなったんだろうな」

「………………」

 返事は無い。
 隣を見ると、俯く様にして眠っていた。
 ……まったく。私が話していると言うのに。
 この男は。

「ありがとう」

 聞こえないように、言う。
 寝ているけど、それでも小声で、紡ぐ。
 聞こえないように……聞かれないように。
 海風が髪をさらい、頬を擽る。
 その感触に頬を緩め、片手で髪を抑えると、

「あれー? エヴァー、何してるのー?」

 能天気な声が耳に届く。
 海で泳いでいた明日菜が、こちらに向けて手を振っている。

「まったく」

 まぁ、遠目じゃ先生が寝てるなんて判らんか。
 その事に苦笑し、でも、そのまま座っている。
 ……私は、これからどうなるんだろうか?
 漠然とした――将来への、疑問。
 卒業し、進学するのか……それとも、ナギを探しに行くのか。
 どちらにしろ、この一年は、まだここに居る。
 ちらり、と隣を盗み見る。
 寝ているからそんな事をしなくても良いんだが、なんとなく、盗み見る。

「……はぁ」

 もし、もしも――。
 いや、と首を振る。
 もしもなんて、私には意味の無い事だ。
 私は吸血鬼で、先生は人間なのだから。
 それは変わらない。変えられない……変えては、ならない。
 トクン、と小さく胸が高鳴る。
 それは……まるで、

「は――」

 血が、欲しいと思った。
 他の誰のものでもない。
 呪いを解く為のぼーやの血ではない。
 魔力に満ちた木乃香のものでもない。
 ……何故か、魔力の欠片も無い、ただの人間でしかない――先生の血を。
 苦笑する。
 何故、と。
 どうして、と。

「なんでだろうなぁ」

 好きか、と聞かれたら――嫌いじゃないと答える。
 嫌いか、と聞かれたら――嫌いじゃないと答える。
 なら、この感情はなんなのか。
 ナギに抱いたような激しいものじゃない。
 明日菜に抱くような、心地良ものじゃない。
 なら、この感情は……なんなのか。

「――――――」

 風が、髪をさらう。
 のんびりとした時間を、静かに過ごす。
 昼まで、もう少し。
 ……それまでは、寝かせてやろう。
 疲れているようだし。
 そう、隣に座りながら、私も欠伸を一つした。






――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「帰ったぞー」

「オー、土産ハ?」

「……そんなのあるか」

「うっし、賭けはオレっちの勝ちぃ!!」

「チッ」

「……賭け?」

「御主人ガ土産ヲ持ッテクルカ賭ケテタンダヨ」

「アホか」

 まぁ、別に物賭けてた訳じゃないんだけど、何となく嬉しいぜ。

「ソレヨリ、旅行ハ楽シメタカ、御主人?」

「ん? ……ふん、散々だったよ」

「ソリャ良カッタ」

 そう楽しそうに言われてもねぇ。

「マスター、楽しそう」

「……ふん」

 ありゃ、二階に行っちゃった。

「ところで」

 ん?

「オコジョさんは、女子寮に戻らなくても大丈夫なんですか?」

 ネギ先生はお戻りになられましたが、と。
 ………あ。


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