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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 23話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/27 23:18
 一応ガイドブックに目を通して、確認はしてたんだけど、

「鹿が道を歩いてるんだなぁ」

 少し感動した。
 おー……。
 自由行動という事はもう言ってあるので麻帆良の皆はもう各々好きに動いてるんだが、その誰もがまず鹿を撫でていた。
 人懐っこいんだな。

「マスター、鹿せんべいを買ってきました」

「ああ」

 ……はぁ。

「マクダウェル? 俺が朝、旅館で言った事覚えてるか?」

「……言っただろう? 気が向いたら、と」

 むぅ。

「申し訳ありません、先生」

「あー、いやー……ああ、別に良いけどな」

 だから頭は下げなくて良いぞ、と。
 まぁ、一人で勝手に動かれるよりは……良い、のかな?
 どうだろうなぁ、と。

「どうした先生?」

「お前がソレを聞くか、お前が」

 まったく。
 だがまぁ、動かないなら仕方ない。
 そのうち他の所を見て回りたくなるだろうから、それまでは良いか。
 そう考える事にする。

「この辺りに居るから、移動する時は声掛けてくれなー」

「ああ、判った」

「かしこまりました」

 しかし、だ。
 何で俺の周りには一頭も来ないんだ?
 軽くショックである。
 マクダウェルや絡繰も撫でているんだが……うーん。

「後で餌かって来るかぁ」

 流石にそれなら大丈夫だろう。マクダウェルから貰うのも悪いし。
 あんなに楽しそうに鹿と遊んでたらなぁ。
 はぁ……どうして俺って動物に好かれないんだろうか?
 タバコは吸わないんだけどな。
 そんな事を考えながらトボトボと歩く。
 ええっと。ガイドブックにあった簡易地図を見る。
 何処から見て回るかなぁ……まぁ、もうしばらくは生徒はここに固まってるだろうから

「いまが大登路園地だから、もう少ししたら」

 次は東大寺、かな。
 そのまま道なりに見回るか。
 鹿もここら一帯に居るみたいだし、暇見て撫でよう。うん。

「先生、ほらほら、しかー」

「あんまり触り過ぎて噛まれるなよー」

「はーい」

「あと、お菓子とか食べさせたら身体に悪いらしいから食べさせるなよー」

 げ、という声。

「……食べさせるなら、ちゃんと餌を買ってこいよ?」

「は、はいー」

 大丈夫かな?
 一応しおりの注意事項にも解散する前にも一言言っておいたけど……まぁ、しおりを読んでる生徒なんて稀だよなぁ。
 もうしばらくは見てた方が良いみたいだな。
 苦笑し、近くにあったベンチに腰を下ろす。
 はぁ、しかし良い天気だなぁ。
 寝不足気味の体には辛い天気だ。眠くなってくる。
 少し離れた位置に居るマクダウェル達に目を向ける。
 ……あれだけ楽しそうなら、他の班のヤツとも馴染めると思うんだがなぁ。
 変にプライド高いし、そう言うのが苦手なんだろうけど。
 ――いつも不思議なんだが、何で絡繰はあんなに動物に好かれるんだろう?
 今も鹿に囲まれてるし。
 羨ましい。……俺の所は、相変わらず閑散としてるし。
 はぁ。

「でーっと」

「あ、先生。面白そうなの持ってるねー」

「ん? おー、朝倉か」

 ガイドブックを広げた矢先、前に立っていたのは朝倉の班……まぁ、雪広達の班である。
 ……目に見えて落ち込んでるなぁ、雪広。
 なるだけそっちを視界に収めないように、

「折角の奈良だからなぁ」

「何かお勧めの場所ってありますか?」

 とは那波。
 お勧め、ねぇ。
 ええっと、と。

「まぁ、やっぱり大仏とかだな、有名な所だと」

 というか、有名所の紹介ばっかり書いてあるし。

「あとは、少し遠いけど春日大社とか言ってみたらどうだ? 自然も綺麗らしいし」

「かすがたいしゃ?」

 村上……初めて聞きました的な言い方に苦笑してしまう。

「少しは地図くらい見てこい」

 入り口にあっただろうが、と。
 あはは、と笑い頬を掻くその照れた仕草にもう一度苦笑し、

「あっちの、春日大社の表参道を進めばいいから、後で行ってみたらどうだ?」

「了解ー。先生も後で行く?」

「多分なー、あと、ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てろよー」

「判ってるって。マナーは守る女だよ、私は」

 そう言う所が不安なんだがなぁ、と。
 まぁ、その辺は那波と雪広が居るから安心か。
 ……片方はなんか魂抜けかけてるけど。

「大丈夫か、雪広は?」

「あやかちゃんはネギ先生を取られたショックで」

「取られてませんっ」

 あ、復活した。
 というか、ネギ先生?

「ネギ先生がどうかしたのか?」

 そう言えば朝、誰と見て回るとかで……ええっと、佐々木と雪広と、

「結局、佐々木の班と一緒に回ってるのか?」

「いえっ」

 あ、違うんだ。
 あと一人……ああ。

「宮崎か?」

「正解ー」

 ふぅん……まぁ、宮崎なら大丈夫かな?
 一応、見掛けたら声掛けるか。

「くっ」

「クラスメイトに嫉妬しない。というか、本気で悔しがるな、本気で」

 その雪広の姿に皆で苦笑してしまう。
 なんというか、微笑ましい。
 ……動機はアレだけど。

「それじゃ先生、他の所も回ってくるねー」

「それでは行ってきます」

「気を付けてな。何かあったら携帯にかけるんだぞ?」

 そして、ポン、と肩を叩かれた。

「ん? どうしたザジ?」

 そして、頷く。
 ああ、判ったって事ね。

「……携帯にかける時は、喋ってくれよ?」

 もう一度、頷く。
 うん。流石に電話越しじゃ理解できないからな。
 そんな俺たちの遣り取りに苦笑した一行を見送り、周囲を見渡す。
 結構まだ生徒達は居るけど……あ、新田先生と瀬流彦先生も居るのか。
 なら――移動して大丈夫かな?
 よし。

「新田先生、瀬流彦先生」

 少し離れた位置を歩いていた2人に歩み寄り、声を掛ける。

「先生、どうしたんですか?」

「あ、いえ。自分も移動しようと思ったんで、一応声掛けた方が良いかな、と」

「はは、まぁ助かるけど。好きに見回って良いよ? 折角の初めての修学旅行なんだから」

 そう言う訳にも、と苦笑してしまう。

「僕達ももう少しのんびりしてから、次は東大寺に行くから」

「生徒と一緒に、とまでは言えませんが、少しは楽しんだ方が良いですよ?」

「はい」

 そう言うものなのかな?
 うーん……まぁ、そう言ってもらえるなら、少し見回りついでに見て回るかなぁ。

「それじゃ、お言葉に甘えて」

「どうぞどうぞ。まぁ、そのついでに良からぬ事をしてる生徒を見かけたら」

「はい、判りました」

 そう返事を返し、何処に向かうか考える。
 まぁ、順当に行くなら東大寺か。

「絡繰ー」

 と、声を掛ける。
 マクダウェルから少し離れた位置で、しかしこっちも鹿に囲まれていた絡繰が何事も無かったようにこっちに歩いてくる。
 ……一緒に鹿が付いてくるから、見ている分には壮観だ。ある意味では怖いけど。

「どうしましたか、先生?」

「今度は東大寺に行くけど、どうする?」

 視線は、マクダウェルに。

「アレなら……」

 ええっと、他の班は――

「大丈夫です。少々お待ち下さい」

「え、あ、おい」

 マクダウェル楽しそうだから、もうしばらくここに居ても良いんだぞ、と。
 もう御主人様の方に歩きだしたその背に声を掛けるが、止まらない。
 そのままマクダウェルに二三言って、2人がこっちに向かってくる。
 ちなみに、鹿は相変わらず絡繰について回ってる。
 ……うーむ、凄い。

「なら、次は大仏を見に行くぞ」

「良いのか?」

 あんなに楽しそうだったのに、と。

「ふん。時間は限られてるからな」

 ああ、沢山回るつもりなんだな。

「絡繰は良かったか?」

「構いません」

 そうか、と。
 それじゃ、次は東大寺に行くかー。







 ……デカイ。
 大仏殿の大仏って、本当にこんなにデカイのか。
 ……学生時代に見たはずなんだけど、こんなにデカかったか?
 良く見てないもんだなぁ、あの時は。遊ぶのに夢中だった気がするし。
 うーむ。
 大仏を近くで見る為に近づくマクダウェルの後ろに、絡繰と並んで付いていく。

「ほう、これが盧舎那仏坐像か」

「ん?」

 るしゃなふつざぞう?
 ええっと、

「奈良の大仏の正式な名称です」

「ほー……絡繰は良く知ってるなぁ」

「……いえ」

 はぁ、なるほど。
 この大仏の正式な名前はそう言うのか。
 知らなかった。

「ちなみに、大きさは約15メートル。正確には、14.7だったかな?」

「……何でそんなに詳しいんだ?」

 絶対、そこまで知ってる中学生なんてそう居ないぞ。
 そう言えば、綾瀬も神社仏閣に詳しいとか昨日言ってたな。
 教師としてはアレかもしれないが、もう少し他の、可愛らしい趣味とかは持たないものか。
 将来が少し心配になってくるなぁ。

「あ」

「ん?」

 そんな事を考えていたら、聞き慣れた声。
 その声のした方に顔を向けると、ネギ先生と宮崎が居た。
 あれ?

「どうも、ネギ先生」

「こんにちは、ネギ先生」

 ちなみに、マクダウェルは大仏に夢中のようだ。
 ……挨拶しろよ、とその頭に軽く手を乗せる。

「よう、ぼ……ネギ先生。二人か?」

「あ、はい。明日菜さん達は少し用があるとかで」

 はぁ、もう少しちゃんとした挨拶をしてくれよ。

「そうですか。どうです、楽しんでますか?」

「はいっ」

 それは良かったですね、と。
 宮崎は……顔を少し紅くして、プルプル震えていた。
 ……ええっと。

「宮崎?」

「は、はいっ」

 ……緊張してるんだな。
 判りやすすぎて、どうにも……なんか、心配なんだが。

「どうだ、楽しんでるか?」

「は、ははいっ」

「……深呼吸をしろ。ほら、息を深く吸って」

 どうして教師の俺が、心配しなければならないのか。
 苦笑してしまう。
 まぁでも、折角の修学旅行だし、少しでも楽しい思い出があった方が良いよなぁ。
 
「はぅぅ」

「ネギ先生も、自分ばかり楽しんだら駄目ですよ? ちゃんと宮崎を見てないと」

「はい、すみません、のどかさん」

「い、いえっ」

 あ、また緊張した。
 まぁ、これ以上手助け、というのも変だけど……手を貸すのはな。宮崎には悪いけど。
 ……青春だなぁ。

「ネギ先生、見回りの方もお願いしますよ?」

「は、はいっ」

 一応釘を刺しておく。
 流石に、宮崎と二人で行動ばかりされても困るし。
 さて、と。
 そうなると、神楽坂達はどこか近くに居るのかな?
 どうせこの二人の為に、とか言う感じだろうし。

「それじゃ。ネギ先生、しばらくここで他の生徒達の事を見てもらってていいですか?」

「はい、判りましたっ」

 良い返事ですね、と。
 やっぱり、自分でどう仕事をするか、というのがまだ苦手なんだろうな。
 こうやって何をして下さい、と言えばちゃんと仕事をしてくれるし。
 ……見掛けたら、声掛けるようにした方が良いかな。

「ぼーやもちゃんと仕事をするんだな」

「そりゃしてもらわないとなぁ。あと、ネギ先生な」

 まったく。居なくなった途端これだ。

「先生、申し訳ありません」

「何で謝るんだ、茶々丸っ」

「ああ、いい、いい。こっちはのんびりやっていくから」

 そう簡単にこの性格も変わらんだろう、と。

「どーいう意味だ、先生?」

「そりゃー、まぁ、なぁ?」

「ちゃんとこっちを見て喋れっ」

 何で教師に命令口調なんだよ、と。
 俺以外だったら怒られるぞ、まったく。
 ……どうにかしないとなぁ。
 まぁ、それはさて置いて、と。

「ええっと」

 多分こっちの方辺りに……。
 あの子らの性格だから、

「先生、先生」

 あ、居た。

「綾瀬と……早乙女か」

 神楽坂達は、一緒じゃないのか。
 まぁ多分どこかであの二人を眺めてるんだろうけど。

「……何をやってるんだ、お前らは?」

「こんにちは、夕映さん、ハルナさん」

 こんにちは、と挨拶を交わす俺達。
 しかし、寺の柱の陰で覗き見とはなぁ……はぁ。

「宮崎と一緒に見て回らないのか?」

「……先生、意地悪です」

 そうか? と。
 まぁ、判ってて言ってるんだしそうだろうなぁ。

「馬に蹴られたくはないんで」

「あのなぁ」

 苦笑してしまうのも仕方が無いだろう。
 どうしてこの年頃の女の子は、こう、恋愛に過度の興味を持つのか。
 まぁ、それが悪いのか、と言われれば悪くはないのだが。

「教師としては応援は出来ないから……まぁ、ほどほどにな?」

「ありがとうです」

「それで十分だよ、先生」

 本当は止めるべきなんだろうが、折角の修学旅行が勿体無いしなぁ。
 こんな事があった、ってそうやって楽しい思いが出来れば良いかな、と。
 ……流石に、不適切な関係になるのは止めるが。
 そう言う意味では宮崎と回ってるのは安心できる。
 これが雪広だったら……那波に頼んで引き離すしかないからなぁ。

「ま、お前達も折角の修学旅行なんだから楽しめよ?」

「はいです」

「判ってるって」

 ならいい、と。
 それじゃ――もう少しこの周りを見て回るか。

「そんなに気になるんなら、もっと手を貸せばいいのに」

「それじゃ駄目って事だろ」

 あー言うのは本人の意思が大事なんだよ、と。

「そう言うものか?」

「そういうもんだ」

 さて、と
 確か、外におみくじあったから引いてみるか。

「ふん、そうだな」

 だから、何でそんなに偉そうなの?
 はぁ。
 東大寺の入り口脇、少し離れた所にあるおみくじ売場。
 えっと、一回500円か……高いのかな?

「マクダウェル達も引くか?」

「良いのか?」

「まぁ、小遣いはお土産用にでも取っといた方が良いだろ?」

 これくらいなら良いだろ、と。

「ありがとうございます」

 いい、いい。
 それに、絡繰には今朝も少し気を使わせたみたいだし。

「んー」

 ……末吉だった。
 まぁ、凶じゃないから良いんだが……何だかなぁ。
 えっと、確か引いたおみくじを木に結び付けるんだっけ。

「……吉だった」

「良かったじゃないか」

 だから、大吉が良かったとか言うなよ。

「凶より良いじゃないか」

「こー言う所は凶は入ってないんだよ」

「夢の無いヤツだなぁ」

 それに、入って無いんじゃなくて、数が少ないんだよ、と。
 まぁ、こんなおみくじだって気の持ちようって意味合いが今は大きいんだろうし。

「絡繰は?」

「私は平でした」

「……平?」

 マクダウェル、知ってるか? と。
 首を横に振られた。

「まぁ、名前からして凶よりは上……かな?」

「だと思うが」

 うーん……。

「せんせっ」

 ……あれ?

「おー、近衛か」

 声の方を向くと、こっちに駆けてきてる近衛……とその後を追う桜咲の姿。
 やっぱり二人で行動してるのか。

「どうだ、楽しんでるか?」

「はいっ」

 ま、それは表情を見れば判るか。
 今朝見た顔よりずっと良い。
 桜咲は――うん、何と言うか……照れていた。
 そう表現するのが一番のような表情。
 何かあったんだろうけど、何があったのかは判らないのであまり触れないでおいた方が良いか。

「そりゃ良かった。桜咲はどうだ?」

「え、あ、いえ。はい」

「どっちだ」

 苦笑して、どうしたもんかなぁ、と。
 こうも緊張していたら折角の修学旅行も一杯一杯だろうに。

「そうだ、近衛」

「はい?」

 そう言えば、近衛は占い研究部だったな、と。

「今おみくじ引いたんだが、平って良いのか? 流石に、初めて見たんだ」

 これです、と絡繰がそのおみくじを見せる。

「えっと、一番真ん中のヤツですえ」

「真ん中?」

「はい。吉と凶の間の事です」

 ほぅ、と俺の隣でマクダウェルが感心したように息を吐く。

「良く知ってるなぁ」

「えへへ、これでも占い部の部長ですからっ」

 なるほどなぁ。
 ……占いとおみくじって、まぁ……近くはある、のかな?

「そうだ、桜咲は京都に前は住んでたんだよな?」

「は、はいっ」

 そんな俺たちから一歩離れた場所に居た桜咲に声を掛ける。
 緊張してるなぁ。

「あー……この辺りで景色の良い所って何処か知ってるか?」

「景色、ですか?」

 ああ、と。
 こう見えても散歩が趣味なんだ、と。

「散歩ついでに、見に行ってみようかな、と」

「えっと……それでしたら、片岡梅林とか三社池が生徒の皆さんも多分居るし、景色も」

 若草山とか春日山遊歩道が個人的にはお勧めですが、と。

「詳しいなぁ」

 場所は、後でガイドブックで調べるか。

「そ、そうでしょうか?」

「お勧めまで出るなら、十分詳しいだろうが」

「あぅ」

 そう突っ込んでやるなよ、マクダウェル。
 折角話を振ったのに、また固まったじゃないか。

「刹那さんと木乃香さんは、これから何処を回られますか?」

「え? ウチらは……」

 いや、そこで俺を見られても。

「大仏さん見てから、次は考えてませんえ」

「まぁ、折角の旅行なんだから……桜咲としっかり遊んで来い」

 というか、流石にどう話を振れと?
 誘うは却下で。
 綾瀬達ではないが、馬に蹴られる趣味は無い。
 意味合いは全然違うけど。

「はーいっ」

「せ、先生!? ちょ……」

 おお、手を握っただけで桜咲が黙った。
 同性なのに、そんなに恥ずかしいのかな?
 そう言う年頃なのかもなぁ。

「ま、他の人に迷惑かけるなよー」

「判っとりますえ。それじゃ、せんせ」

 元気だなぁ、近衛。
 らしいと言えばらしいけど……頑張れ、桜咲。

「なんだ、随分とまぁ」

「そうか? 昔はもっと仲良かった見たいだぞ?」

「……先生も大概だな」

 何でそこで俺?
 首を傾げるが、どうやらその答えは無いらしい。

「次はどうする? 個人的には春日大社の方に興味があるが」

「なら、そっちに行くか」

 若草山にも興味があったが……時間的に厳しいかなぁ。
 まぁ、行く途中に片岡梅林という所も通るし、そっちにするか。







 片岡、と書かれた岩が置かれた場所。
 ここが桜咲が言っていた片岡梅林らしい。

「良い所だなー」

 緑が多いし、鹿もまばらにだが居るし。

「ふむ……名前は知っていたが、どうして」

 マクダウェルも気に入ったらしい。
 周囲を見回しながら、しきりに頷いている。

「なぁ、絡繰?」

「どうかしましたか、先生?」

「いやー、どうしたらそんなに動物に懐かれるのかなぁ、と」

 数匹の鹿に囲まれている絡繰に聞いてみる。

「いえ、特に何かしている訳では」

「だよなぁ」

 しかし、羨ましい。
 相変わらず俺の周りには鹿は寄ってこないと言うのに。

「あ、先生!?」

 っと。

「……神楽坂か?」

 どうした、そんなに慌てて、と。
 息を切らして走ってきたのは神楽坂、それに驚いて鹿が逃げていくが。

「ほら、深呼吸しろ。大丈夫か? 飲み物は……」

 近くには無いな。

「だ、大丈夫」

「どうした? 何かあったのか?」

 気付いたら、傍にマクダウェルも来ていた。
 妙に真剣なのは、神楽坂が来たからだろうか?

「う、ううん……一大事、って言えば一大事だけど、ええっと」

 ん?
 妙に要領を得ないと言うか、思ったより焦った風じゃないと言うか。

「ほら、落ち着いて話せ。待っててやるから」

 あ、神楽坂にだとこんな風に言うのか。
 ……教師とか、他のクラスメイトにもそう言えば良いのに。

「何だ?」

「ん、それで神楽坂、どうしたんだ?」

 俺を探してたみたいだけど、と。

「えーっと、ちょっと……ね?」

 何故そこでどもる?
 何があったんだ? そう急ぎじゃないみたいだけど。

「ね、ネギがね?」

「ネギ先生?」

 はて? さっき会った時は普通だったけど。
 隣のマクダウェルを見る。
 こっちも同じように考えたのか、首を捻っている。

「……エヴァ、茶々丸さん、ちょっと来て」

「お、おい?」

 あー。
 マクダウェルが引っ張られていき、絡繰もこっちに一礼してそれを追いかけていく。
 ……結局、何だったんだ?
 マクダウェルにに何か用だったみたいだけど。
 ま、いいか。
 あの様子じゃ、ネギ先生に大事があった訳じゃないみたいだし。
 そのまましばらく一人で待つ事にする。

「おーい」

 鹿に手を伸ばすが、逃げられる。
 なんでだ?
 くそう。
 それから何度か挑戦したが、全敗。
 はぁ。
 木製のベンチに腰掛け、溜息を一つ。

「どうかしましたか?」

「ん? 神楽坂の話は終わったのか?」

「はい。マスターたちはもう少ししてから戻られるそうです」

 そうか、と。

「……鹿を、撫でたいのですか?」

「おー、けど逃げられてなぁ」

 さて、と立ち上がる。
 まだ回る所は多いから、少し気合を入れる。

「少々お待ちを」

「ん?」

 そう言うと、絡繰は一頭の鹿の元へ。
 ……?
 数分後、その鹿を従えて戻ってきた。
 ――相変わらず、動物に好かれてるなぁ。

「どうぞ」

「……え、良いのか?」

「はい」

 まさか、麻帆良の猫のように連れてきてくれるとは思っても無かった。
 凄いな。

「絡繰、将来動物園ででも働くか?」

「いえ。私はマスターと一緒に在ります」

「……そうか」

 その独特の言い回しが可笑しくて、小さく笑ってしまう。
 そのまま、鹿の頭に手を伸ばす。

「おお」

 予想していたより、結構毛が堅い。
 でも撫で心地良いなぁ。

「この子はメスです」

「そうなのか?」

「オスには角があります」

「あ、そうやって見分けるのか」

 なるほどなぁ、と。

「良く知ってるなぁ、絡繰は」

「いえ、そうでもありません」

 そうか?
 多分、俺より物知りじゃないか? と。
 教師としてはどうかと思うが、そう言ってしまった。

「……いえ、私は情報として知っているだけですから」

「それだって十分凄いって思うけどな」

「これは、ズルイ、と言える事です」

 ズルイ?

「誰かから言われたのか?」

「いえ」

 ふむ。
 記憶力が良いって事かな?

「けど、その鹿の事だって自分で必要だと思って調べた事なんだろう?」

「はい。奈良の事は私の判断で調べました」

 また堅苦しい言い方だなぁ、と苦笑してしまう。

「なら、良いんじゃないか?」

 おお、この鹿本当に逃げないなぁ。
 ……はぁ、俺も絡繰の半分、いや少しで良いから動物に好かれたい。

「絡繰が必要だって思ったから調べたんだろう?」

「はい」

「なら、ズルくはないと思うけどなぁ」

 本当にズルイっていうのは、自分で何もしなくても何でも手に入る人の事だと思うぞ、と。
 そう言う意味では、絡繰は必要だと思い調べる行動をしてるから、と

「そうでしょうか?」

「まぁ、俺の考えだから間違ってるかもしれないけど……そう自分の事をズルイとかはもう言わないようにな?」

「判りました」

 自分で考えて行動したんだ、俺はズルイなんて思わないけどな、と。
 しかし、

「マクダウェルと神楽坂、遅いな」

「……はい」






――――――エヴァンジェリン

 はぁ、春日大社は壮観だったな。
 やはり古都京都――見るべき所が多い。
 呪いが解けたら、また来よう。
 旅館の一室でそう独り語ち、茶々丸に入れさせた茶を一口啜る。

「マスター、楽しそう」

「まぁな」

 しかし、今日は一日何も無かったな……まぁ、一つ問題とも言えない事があったみたいだが。

「あぅーー」

 はぁ、鬱陶しい。
 部屋の畳の上に転がるぼーやを一瞥し、

「それで、桜咲刹那、近衛木乃香。どうした? 何か言いに来たか?」

「はい」

 ほぅ――良い眼をするようになったじゃないか。
 昨日の夜、魔法の事を伝えた時の不安、怯えが影も無い――訳ではない。
 確かにそれは奥底に、ちゃんと在る。
 それでも……まっすぐに私の目を見てくる。

「エヴァンジェリン、一つ、頼みがある」

「言ってみろ」

 見当はついている。
 仮契約。
 近衛木乃香は魔法のまの字も知らず、桜咲刹那は生粋の剣士だ。その知識はどちらにも無い。
 ぼーやもそこまでの教育は受けていないらしい。
 そうなると、仮契約を行えるのは私とぼーやの使い魔のオコジョだけ。

「ウチとせっちゃんの仮契約を手伝って下さい」

「え!?」

「いよっしゃーーーーっ!」

「茶々丸、チャチャゼロ」

「申し訳ありません、オコジョさん」

「マ、ショウガネェナ」

 ……少しは静かに出来んのか、この小動物は

「はぁ。良いのか?」

「ああ、頼む」

 ――――ふむ。

「で、でも、危ないですよっ。木乃香さん、魔法は……」

「でもな、ネギ君。ウチせっちゃんの役に立ちたいんよ」

「でも」

 はぁ。

「ぼーや。それでも、何の対策も無しで居るよりは、一つでも使える手があった方が良い」

 特に、近衛木乃香は身を守る術すらない。
 だが仮契約をすれば――桜咲刹那という術を手に入れる。
 強制召喚。
 そして、アーティファクトによる桜咲刹那の強化。

「近衛木乃香、桜咲刹那について、何処まで聞いた?」

「え?」

「何を聞いたか言ってみろ」

 もし全部話してなかったら、却下だ、と。
 一度息を呑み

「えっと……せっちゃんが神鳴流の剣士で、」

 そこで言ったん言葉を切る。

「言え、大体知っている」

「――その、人と違うって事。聞きました」

 そうか、と。

「刹那。見せてみろ」

「…………ああ」

 一瞬の集中。
 その後に目に映ったのは――白。
 そうとしか表現できない、純白の……羽根。

「ほぅ」

「うぁ」

 見るのは初めてだが、中々どうして。

「凄い、綺麗です」

「――ありがとうございます、先生」
 
 そう言い、羽根を戻す。
 まぁ、一応この部屋は人避けの結界がしてあるが何処に人の目があるか判らないからな。

「せっちゃん……」

「お、おじょ――」

 そう言おうとした唇を、その細い指が押さえる。
 いや、近い。近いからお前ら。

「凄い綺麗や」

「……このちゃん」

 あー……こほん。

「それで、どうでしょうか、エヴァちゃん?」

「今夜、他の奴らが寝静まった時にこの部屋に来い。契約の準備は済ませておく」

「……ええんですか?」

「その方が、私も楽が出来るからな」

 しかし、今のはぼーやには刺激が強過ぎたか。
 顔を真っ赤にして固まっていた。
 ――何をやってるんだか。

「木乃香。……辛いぞ?」

「ええです。それでも――大事な人の為なら、もっと頑張れますから」

 ……ふん。
 良い顔をするじゃないか、お嬢様。





――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

 ち、チクショウッ。
 チクショウ、チクショウ――ッ!!
 め、目の前に金がっ、――契約がッ!

「そんなに暴れないで下さい、オコジョさん」

「離せッ、離してくれ嬢ちゃんッ!」

 オレっちはッ!
 何のためにここに来たッ!!
 オレっちはッ!

「あ」

 ――――――オレっちの存在理由はッ!!

「オコジョさん、毛が……」

「アア、ソコ? 昨日チョット切ッテヤッタ喜ンデナ」

「チャチャゼロさん!? 何したんすか!?」

 毛!? 毛って何!?

「……綺麗な十円くらいのサイズです」

「我ナガラ器用ナモンダゼ」

 おいいいいぃぃいいぃぃいい!?



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