〔士郎 START〕
あの後は困った
見たら裸同然の神楽坂の状況、ネギ君の魔法・・・俺は仕方なくタカミチとその場を離れた
「士郎君、さっきのことは忘れよう。
あれは教育者としても見られた人にしても忘れた方がいいものだ。
僕たちはタイミングが悪かった。この件にはもう触れないでアスナ君に普通に接しよう」
あぁ、その優しさが痛いかもしれないけど・・・忘れた方がいいのは俺も賛成だ
「タカミチ、2-Aの教室の前まで来たけど・・・なにあるのか?」
忘れ物かと考えたけどそれはないと思い、却下した
俺が朝持ってここに来た時はクラス名簿と教科書だけ
それも職員室に行った際に教科書は置いてきたのを覚えているからだ。クラス名簿は今持っている
「うん、そうなんだけど・・・それは内緒さ。
ネギ君たちもここに来たようだし、後のお楽しみにしておいてほしいな」
タカミチの視線の先を見てみたらネギ君と神楽坂が一緒に来た
・・・よかった、着替えてきたみたいだ。まぁ、あの格好で歩くはずもないけどな
「あれ?士郎さん、ここで何をしてるんですか?それにタカミチも一緒で」
「た、高畑先生!・・・と衛宮先生も・・・
コホン。それじゃあ、私は荷物を持ってきますから」
俺はおまけですか?
・・・神楽坂はネコを被ったな。どういうわけかは知らないけど・・・まだまだ甘いな
俺はそれ以上のネコを被っていた奴を知っている。それも二桁被ってるやつを
神楽坂が教室の扉を開けた瞬間
ようこそ!ネギ先生!士郎先生!
クラッカーの音、2-Aの生徒、これからわかることは
「そうだ!今日はあなたたちの歓迎会をするんだっけ・・・忘れてた!」
・・・もしかして神楽坂にはうっかりスキルがあるんだろうか?
まぁ、ランクはDぐらいだな。遠坂みたいにランクAなんてなったらものすごいうっかりするからな
それに比べたらかわいものだ
「これがあったから俺を呼び止めたのか?」
「うん。僕もここの元担任だから断れなくてね。でもいい機会じゃないか」
・・・たしかにそうだな
俺の第一印象は悪いだろうと思ってた。みんな怖がっていたようだったしな
「ほらほら、主役はまんなか。士郎先生も立ってないでこっちに来てよ」
「む」
言われるがままに俺はネギ君の隣に座らせれた
並べられた机の上には・・・ケーキに飲み物、お菓子に・・・なんで肉まん?
ネギ君の周りには生徒がいて質問攻めにされているが・・・俺の周りには生徒はいない。質問もされていない
まぁ、予想はしていたんだけどな
物事には第一印象が大切なのだ。最初が悪ければ後でそれを挽回することは難しい。俺はそれになってしまったようだ
俺はコップに注がれていたジュースを飲み干して席を立とうとした
ネギ君が楽しんでいれば良いだろう。俺は影で支えればいいんだ。タカミチとでも話していようか
「ちょ~っと待った!士郎先生はどこにいこうとしてるのかな?
今大体ネギ君への質問が終わったから今度は士郎先生の番なんだからね」
「へ?いや、なんか遠ざけられているような気がしたから席を外そうかと・・・」
「そんなわけないでしょ?士郎先生に近寄っていくのがちょ~っとだけ勇気がいるというかなんというかね。
まぁ、いいや。インタビューさせてよ」
い、インタビュー?なんでさ近づくのに勇気がいるのはわかるけど・・・インタビューはわけがわからないぞ
「あ、私は朝倉和美。出席番号は3番だよ。
それでさ、士郎先生のそうだね、好きな食べ物とか趣味とか教えてくれない?」
まぁ・・・それぐらいならいかな
「えぇと、好きな食べ物は和食で嫌いなものは梅昆布茶。趣味は一応料理を作ることかな?
これでいいか?」
趣味っていうか特技だな。親父に引き取られてから始めて、今は和洋中を大体作れるようになったからな
「ふんふん。
それじゃあ・・・先生はこのクラスでかわいい子見つけ「先生~」ップア!?」
あぁ!朝倉が吹き飛ばされた・・・この子は・・・椎名桜子だな
「ちょっと桜子。朝倉が跳んでいっちゃったじゃない」
「そうだよ後で怖いよ?」
「いいのいいの。今は先生に質問することが大切なんだから」
次に来たのは・・・釘宮円に柿崎美砂か・・・三人ともチアリーディングに所属だな
「ねぇねぇ、士郎先生は紹介の時に名前で呼んでいいって言ってたけど本当にいいの?」
「あぁ、構わないよ。ちゃんとした先生じゃないから名前で呼んでいいぞ」
「じゃあ士郎さんで。
士郎さんはロンドンにいたって言ってたけど何してたの?
まさか彼女追いかけてそこまでついていったなんて言わないよね?」
ははは・・・笑えない・・・実際そうだから
椎名は感がいいな
「一応勉強しに行ったんだ。料理の勉強だ」
「イギリス料理はまずいって評判なのに?」
うぐ・・・痛いところを突いてくるじゃないか、柿崎・・・
イギリス料理はまずい。俺も体験したし、本場のセイバーも“雑でした・・・”って言わすぐらいなんだから
「ま、まぁ、それ以外にもあるんだけどな」
「ふぅん・・・まぁ、いいや。
これが一番聞きたかったんだけど・・・先生って彼女いるの?」
「うわ、桜子直球」
「いや、ここにはいないよ、今はね」
「今ってことは前はいたんだ~。
うぅん、先生って結構かっこいいよね。ちなみにあたしのストライクゾーンでバッターアウト」
? 意味はわからないけどこれは褒められてるんだろう
「そうか、ありがとう」
「い、いやぁ~。照れるにゃ~」
「はいはい、士郎先生が困ってるでしょ。
それじゃあ、先生。楽しんでくださいね。ほら美砂も行くよ」
「は~い。じゃね、士郎さん」
むぅ、このクラスは色恋沙汰に敏感だな・・・椎名達がさっきの話をしてからそれに関する質問をされまくった
誤魔化すのに少し疲れた
「士郎さん、なんか気になっていたアルが口調が違わないアルか?」
この子は・・・クーフェイだったな
「あぁ、授業の時と今みたいな時とで分けてるんだ。
今の口調だったらなんか頼りないだろ?一応教える立場としてはあの口調の方がまだいいと思ってね?」
・・・俺としてはアイツの真似をしてみただけなんだけど、それが思いのほかできてしまった・・・
・・・ちくしょう
「へ~そうアルか。
それにしても士郎さん、強いアルね。今度手合わせ願いたいネ」
「いやぁ、そんなたいしたもんじゃないよ。
それにいくら生徒でもそれはできないからね。諦めてほしいな」
「むぅ、そしたらどうにかしてやってもらうように考えとくネ」
うん、諦めてくれないんだね
ん?いつの間にかネギ君が教室にいない
それに神楽坂も雪広・・・その他もいないな
・・・あの子は綾瀬夕映だな。聞いてみよう
「ちょっとごめん、少しいいか?
ネギ君がいないみたいなんだけどどこに行ったか知らないか?」
「ネギ先生ですか?ネギ先生はアスナさんが教室を出て行った時に一緒に飛び出していったです。
それを追っていいんちょさん達が出て行きました。心配は要らないと思うです」
・・・委員長である雪広が行ってるなら綾瀬の言う通り問題はないだろう
たださっき、神楽坂と雪広がケンカしている時、雪広に不穏な言葉を言ったような気がしたんだけどな
ネギ君に神楽坂が抱きついていたということを聞いたのは三日後だった
歓迎会も終わり、俺は学園長に書いてもっらた地図で俺の住む所を目指していた
でも困った・・・ここら辺には教員の寮などは見当たらない。俺はてっきり寮のようなものだと思ってた
もしかしたら駅を間違えたかもしれない。ここには女子寮があるだけだ
駅に戻ろうと少し歩いた所でネギ君と神楽坂、それに近衛に会った。学園長と同じ苗字だけど・・・偶然だな
「あ、士郎さん。ここでなにしてるんですか?」
「げ、衛宮・・・先生」
「げ、とはひどい挨拶だな、神楽坂。それとできれば名前で呼んでほしい」
「気にしなくていいえ。
それで士郎さんはここでなにしてるん?」
近衛が一番話がわかりそうだと判断して聞いてみることにしよう
「悪いけどここの場所を知らないかな。学園長に書いてもらった地図なんだ・・・それに従ってここまできたんだけど迷ったみたいでな。
この場所を知ってるなら教えてほしい」
「え?おじいちゃんが?」
「おじいちゃん?もしかして学園長は近衛の・・・」
「そうや、学園長はウチのおじいちゃんなんや。
それとな、ウチのことはこのかでええよ。近衛って堅苦しいやんか」
本人がそう呼んでもいいというならそう呼ばせてもらうことにしよう
そうか・・・学園長の孫なんだ。ん?ということは・・・このかも魔法使い?
「あ、なんや。ここから近いやん。
士郎さんちゃんとついてきてな~」
地図、間違っていなかったのか・・・でもこの先って・・・
・・・これはなんかも間違いだよな?そうだ、そうに決まってる。でないとありえない
いくら学園長でもここまでしないだろう。もし故意なら・・・本当に性質が悪い
「えと・・・士郎さん?一応ここが地図に載ってる場所なんやけど・・・」
着いた場所は・・・俺がさっきまでいた場所“女子寮”前だった
あとがき
すいません。クーフェイの古(クー)はわかるんですがフェイがわかりませんでした