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No.2377の一覧
[0] 魔法の世界での運命 (FATE×ネギま)[快晴](2008/02/11 12:05)
[1] 魔法の世界での運命[快晴](2007/12/07 00:37)
[2] 魔法の世界での運命[快晴](2007/12/07 23:28)
[3] 魔法の世界での運命[快晴](2007/12/08 14:46)
[4] 魔法の世界での運命 第5話[快晴](2007/12/08 22:32)
[5] 魔法の世界での運命 6話[快晴](2007/12/09 02:10)
[6] 魔法の世界での運命 7話[快晴](2007/12/09 23:52)
[7] 魔法の世界での運命 8話[快晴](2007/12/10 22:52)
[8] 魔法の世界での運命 9話[快晴](2007/12/11 23:58)
[9] 魔法の世界での運命 10話[快晴](2007/12/14 00:11)
[10] 魔法の世界での運命 11話[快晴](2007/12/16 23:03)
[11] 魔法の世界での運命 番外[快晴](2007/12/16 10:08)
[12] 魔法の世界での運命 12話[快晴](2007/12/22 00:50)
[13] 魔法の世界での運命 13話[快晴](2007/12/22 23:24)
[14] 魔法の世界での運命 14話[快晴](2007/12/24 20:07)
[15] 魔法の世界での運命 15話[快晴](2007/12/26 00:19)
[16] 魔法の世界での運命 16話[快晴](2007/12/28 00:33)
[17] 魔法の世界での運命 17話[快晴](2007/12/29 01:40)
[18] 魔法の世界での運命 18話[快晴](2007/12/29 20:39)
[19] 魔法の世界での運命 19話[快晴](2007/12/30 01:09)
[20] 魔法の世界での運命 20話[快晴](2007/12/31 01:53)
[21] 魔法の世界での運命 21話[快晴](2008/01/02 19:05)
[22] 魔法の世界での運命 22話[快晴](2008/01/03 19:24)
[23] 魔法の世界での運命 23話[快晴](2008/01/10 01:07)
[24] 魔法の世界での運命 24話[快晴](2008/01/10 19:14)
[25] 魔法の世界での運命 25話[快晴](2008/01/11 16:06)
[26] 魔法の世界での運命 26話[快晴](2008/01/12 01:23)
[27] 魔法の世界での運命 27話[快晴](2008/01/12 18:12)
[28] 魔法の世界での運命 28話[快晴](2008/01/13 02:10)
[29] 魔法の世界での運命 29話[快晴](2008/01/16 02:43)
[30] 魔法の世界での運命 30話[快晴](2008/01/17 11:35)
[31] 魔法の世界での運命 31話[快晴](2008/01/20 00:32)
[32] 魔法の世界での運命 32話[快晴](2008/01/25 00:52)
[33] 魔法の世界での運命 33話[快晴](2008/01/26 17:48)
[34] 魔法の世界での運命 34話 [快晴](2008/02/01 22:09)
[35] 魔法の世界での運命 35話[快晴](2008/02/03 15:23)
[36] 魔法の世界での運命 36話[快晴](2008/02/04 00:53)
[37] 魔法の世界での運命 37話[快晴](2008/02/05 15:48)
[38] 魔法の世界での運命 38話[快晴](2008/02/05 21:31)
[39] 魔法の世界での運命 39話[快晴](2008/02/16 22:40)
[40] 魔法の世界での運命 40話[快晴](2008/10/17 21:30)
[41] 魔法の世界での運命 41話[快晴](2008/10/19 17:18)
[42] 魔法の世界での運命 42話[快晴](2008/12/12 04:28)
[43] 第43話[快晴](2008/12/29 03:18)
[44] 魔法の世界での運命 44話[快晴](2008/12/30 16:45)
[45] 魔法の世界での運命 45話[快晴](2009/01/05 19:16)
[46] 魔法の世界での運命 46話[快晴](2009/01/08 00:34)
[47] 魔法の世界での運命 47話[快晴](2009/01/14 17:54)
[48] 魔法の世界での運命 48話[快晴](2009/01/15 19:53)
[49] 魔法の世界での運命 49話[快晴](2009/01/20 19:46)
[50] 魔法の世界での運命 50話[快晴](2009/02/01 13:39)
[51] 魔法の世界での運命 51話[快晴](2009/03/07 00:23)
[52] 魔法の世界での運命 52話[快晴](2009/03/29 00:54)
[53] 魔法の世界での運命 53話[快晴](2010/11/17 22:55)
[54] 魔法の世界での運命 54話[快晴](2010/11/28 22:19)
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[2377] 魔法の世界での運命 (FATE×ネギま)
Name: 快晴◆c835a6b1 ID:e7f442ff 次を表示する
Date: 2008/02/11 12:05
 〔??? START〕

 
 歩き出してから止まることは無かった―――いや、止まることなど許されない。
 
 選んだのは立ち止まることを許されない、立ち止まった時は自らの生き方を否定すること。
 ならば立ち止まることなく前に進むしかない。

 前に進むにつれて環境は変わっていく。
 ある者は近づき、隙を狙って殺す為。ある者は暗殺の為……
 殺害の対象になったことを上げれば数え切れない。
 
 それが裏の世界だろうが表の世界だろうが関係なく世界から否定されることになった。

 何度死にかけ、信用した人間に裏切られようとも、受け継がれた理想を実現させることが無理なのではないかと何度考えたことか……
 それでも……最初に選んだ道を変えず、進んでこれたのは彼女との約束があったからかもしれない。

“アンタは私がいなかったらダメなんだから、私が行くまで死ぬんじゃないわよ。
 今はまだついていくことはできないけど、力をつけてアンタを追い抜いて絶対に私を追いかけるようにさせてあげるからね。
 ……アンタだけに辛い思いはさせないわ。
 いい? 士郎。私はアンタをハッピーにさせることが夢なんだからね。
 だから士郎もみんなを救う正義の味方を諦めるんじゃないわよ。途中で投げ出してアイツみたいになったらどこに行ったって見つけ出してガンド打ち込んであげるんだから。
 約束ね、士郎―――”

 
 あんなに綺麗な笑顔で言われたんじゃ是が非でも諦められないじゃないか。
 いや、諦めるつもりはないのだが……見つけ出してガンドを打ち込むなんてことは遠坂なら本当にやりかねない。
 あれだけはどれだけもらっても慣れるどころか、月日を重ねるごとに威力が増ものだから慣れることがないんだからな。

 だが、正直な所、遠坂が俺と一緒に行動することはいい気はしない。
 俺は協会から粛清命令が出ているどころか、表の世界からもテロ犯として国際指名手配されている。
 俺はもうこれについてはなんとも思わない。それだけのことをしてきたのだから。
 戦争に介入、されに一般人に魔術を見られることも多々あった。
 
 そんな存在になってしまった俺に、時計搭でそのまま魔術の研究をしていれば魔法にまで手が届くかもしれない遠坂がついてくることはマイナスにしかならないのは明らかだ。

 だが……それでも遠坂が俺についてくるというならば、その時は遠坂に俺がついていくのではなく逆に俺についてこさせてみたい。
 いつも遠坂がリードしていたのだから、このぐらいのわがままは許されるだろう。
 遠坂がそれを良しとするかはわからないが。


 遠坂と共に倫敦に渡り二年が過ぎたころに俺は時計搭から離れる。
 当初、俺は時計搭で魔術を学ぶのではなく、登録してフリーランスとして裏の仕事をするようになった。
 
 
 二年間は時計搭で小さな依頼をこなし、徐々に強くなっていく。そしてせめて自分の身を守れるぐらいには強くなれたと思っている。
 ……自分の身ひとつ守れないというのは正義の味方以前の問題だ。

 普段使う武器は干将・莫那……戦い方も認めたくは無いがアイツそのもの。


 そして一般人に魔術を見られ、粛清を受けることになったのは時計搭を離れて三ヶ月も経っていなかった。
 だが、俺はそのこと自体に後悔はしていない。そうしなければ……俺が守ろうとした人は死んでいたのだから。


 俺はどこにだって行った。
 内戦、戦争……人も射った。最初は殺すことは無かった。

 だが、そんな生易しい行動がいつまでも通じる世界ではない。

 俺が絶望するのにそれほど時間はかからなかった。

 人を殺した……堕ちた魔術師で協会からも粛清される予定だったのだが……それでも俺が人を殺したということに変わりはない。
 殺さなければ殺される。そのような世界だとわかっていたはずなのに……

 だが、俺は立ち止まらなかった。
 それで諦められるはずもなく、遠坂との約束を守り……オヤジの夢を叶える為に……

 
 戦い続ける。
 時に魔術師、時に死徒、時にこの世界に迷い込んだ幻想種……
 殺したくなくても殺さなければいけないというのは……辛かった。

 何人もの人を殺した。それによってどれだけ血を被ったかもわからない。

 
 日本を離れて7年。
 あの戦争のと時からは考えられない程、俺は強くなった。
 27の魔術回路は全て開き、魔力は多くなり、スキルといってもおかしくは無い力を得た。
 だが、その代償は白髪に……アイツほどじゃなくとも黒くなった肌。
 この姿を見たら遠坂は……なんて言うだろうな。


 そして俺は封印指定を受ける。
 きっかけは俺を粛清する為に協会から派遣された魔術師が来たときの事。

 その人たちは素晴らしい才能と能力を持っていて、俺は傷つき、相手はほぼ無傷。
 弓で射るにしても森の中、俺に攻撃する手は無く、相手は森の木ごと俺を吹き飛ばそうと魔術を放ってくる。

 俺は賭けに出た。
 魔力は……遠坂に及ぶわけも無い。だが、それでも十分だろう。
 遮蔽物が邪魔なら……取り払ってしまえばいい。

 それを使った時、粛清に訪れた魔術師の表情は驚愕。それに畏怖の念を抱いていただろう。
 
 その眼に見るは荒野。
 荒野に突き立つ無限の剣。
 魔術師は語る。
 最も魔法に近い魔術。禁忌の中の禁忌、奥義の中の奥義、魔術師の到達点の一つ 名を“固有結界” 術者の心象世界を現実に侵食させ、現実を現実ならざるものに変化させる能力。

 俺の固有結界の名は“無限の剣製” 一度オリジナルの剣を見ればそれを能力ごと複製することができる。

 だが、俺の魔力では良くて数十秒。それまでに勝負をつけなければならなかったのだが……それでも十分だった
 
 魔術師は倒れ、俺は満身創痍ながらも生きている。
 ただ甘かったといえば、魔術師を一人たりとも殺さなかったということだろうか。
 それによって俺が固有結界をもっていることが明らかとなり、封印指定を受けることになってしまった。
 粛清と大して変わりはないが、厄介なことに変わりはない。


 そして……運命の時は訪れる。

 俺は堕ちた魔術師……いや、死徒と言った方がいいだろう。
 死徒に成ったばかりで力は俺の方が上、戦いの末、そいつを灰にするのにも時間の問題の問題かと思ったのだが……
 死徒は俺から逃げた。俺よりも速く、とてもではないが追いつけそうになかった。

 死徒が向かった先には……俺が数日前に立ち寄った村。
 その村の人々は俺が犯罪者であることも知らずにとても良くしてくれて、人の好い人達ばかりだ。
 小さな村だがそれでも笑顔が絶えず、とても争いとは無縁。
 
 それが今、崩れようとしている。
 死徒が力を失っている時に必要なもの……それは血。
 今、あの村で死徒が村人を襲いその血を啜れば……瞬く間に村は死都と化すだろう。

 足を強化しても追いつけない、どうしても追いつけない。
 もう死徒は村に入る直前。惨劇の魔の手は村人の首元に迫っている。

 力が欲しい……村人を守れる力が必要だ。
 今の俺の力では守れない、それどころかさらになる犠牲者を生み出してしまうかもしれない。
 
 力が……力があれば……!!


 その時、声が聞こえた。

 俺の周りには誰もいない、視界の先には村に入る死徒だけ。
 だが、その動きが止まっているように見える。

 姿無き声は俺に囁く。

 その声の主は考えるまでも無い。
 そしてそれに対する答えもすでに決まっている。

「契約しよう。
 我が死後を預ける。
 その代わりに力を授けてもらいたい。この身が滅びるその時まで、人々を救う力を」

  
 契約が完了しただろう瞬間、魔力が俺の身体に溢れ出す。
 そして身体も羽の様に軽い。


 死徒は滅びた。
 被害は無い、一つの事実として俺が死徒を殺す場面を村人に見られたことぐらい。
“人殺し” “出て行け” 憎しみの篭った声は俺に突き刺さる。
 だがそれでも構わない。俺は村人を救えた、それだけで俺には十分だ。


 村を出て行き、改めて確認する。
 この身に与えられた魔力はもはや人間の域を超えている。
 身体能力も契約以前とは比べものにならない。

 契約してから数日後、俺は本物の化け物に遭遇することになった。
 眼は真紅、威圧感は一般人がいたならば卒倒していることだろう。
 手には杖、紳士のような格好をした化け物。

「ふむ、久々に興味を持てる者に出会ったものだ。
 この現代で英霊となるか……
 ワシはキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグという。魔術師ならば知っておるだろう?」
 
 ……知ってるも何も第二魔法の担い手にして遠坂の家の大師父じゃないか。
 だが、名乗られたからには名乗り返すのが礼儀というものだ。

「衛宮士郎。
 本当はあなたの弟子の弟子です」
「ほう、ワシの弟子の弟子とな?
 はて、このような弟子を育てられる弟子がおったかどうか……
 ……まさかとは思うがエーデルフェルトではなかろうな? 確かに優秀ではあるが代々、性格に難ありだ」

 そこは同意した方がいいのだろうか?

「違います。
 あなたが立ち会った儀式にいた家の弟子です。大聖杯、と言えばわかりますか?」

 大聖杯と言った瞬間、ゼルレッチ老は目を見開き、大笑いする。

「はっはっはっ! 
 そうか、まさかあの永人の末裔……いや、娘の方か?
 まぁ、どちらでも構わんか。
 して、現代の当主の名は」
「遠坂凛。
 今は時計搭にいるでしょう。
 もしかするともうすぐ魔法に手が届くかもしれません。それほどの才能と惜しむことなく努力する」

 そうか、とゼルレッチ老は頷き、少々俺の方を見て……貫く様にその真紅の眼で俺を見据える。

「さて、衛宮士郎よ。
 お前は英霊となり、そして今なにを望む」

 何を? そんなことを決まっているだろう。

「救いを求めるのならどんな状況であろうとも救うことの出来る存在に……
 俺は正義の味方になる」

 俺がそう言うと予想を裏切られたことか、もしくはあまりにバカげたことを言った俺に呆れているのか……どちらとも取れない表情をしている。
 
 だが、それもすぐに笑いに変わってしまった。

「はっはっはっはっ! 
 一日にこれほど笑わせてもらったのは何百年ぶりだろうか、それも思い出せんわ。
 そうか正義の味方を望むか……だが衛宮、お前の理想とするものは英霊となった今をもってしても困難な道。
 その道を踏み外すことも無いとも言いきれんが?」
「無い。
 これは俺が選んだ道、そして俺にはこの道以外に望むこともなくこれだけを歩いていきます」

 これだけは断言できる。
 約束したのは一人じゃない。オヤジも遠坂とも約束した。
 この言葉に嘘は無い。

「ふむ……お前のようなバカ者が最後の魔法を成し得るのやもしれんな。
 うむ、決定だ。
 お前に宿題を出す」
「なんでさ?
 俺はあなたの弟子じゃないんですけど」
「遠坂の弟子ならワシの弟子も同然。それに宿題を出さないことがあるだろうか……いや無い!
 それと、これを嵌めろ」

 出されたものは指輪?
 指輪を手にとってそれを一応嵌めては見たが。

「俺は同性結婚するような趣味は持ち合わせてないんですが……
 ん? 何か違和感が……」
「そんな阿呆なことをいえるのであればいいだろう。
 それは魔力の保有量を下げ、かつ身体能力を下げるものだ。
 魔力を強制的にいつまでも一定量を世界に放出させ続けるものだ。英霊のように桁外れの魔力では半分程度持っていかれるだろう。
 本来ならば新たな弟子の宿題だったのだが、お前にはちょうどいいだろう」

 魔力がホントにさっきより半分なくなっている!? それでも遠坂よりも多いが……身体能力が下がっているかは今はわからない。
 だが、そんなものすぐに外して……!?

「外れない!?」
「それにはあるステッキの力を応用している。
 遠坂の弟子であるのなら見たことあるのではないのか? 赤い杖で先端に星と羽がついているのだが」
「そんなあくしゅみな物は知りません。
 だから早くこの指輪外してください」
「安心するがよい。
 お前が真に必要になったときのみ外れるしておいた。
 さて、そろそろ衛宮を異世界に飛ばずとしようか」

 聞いてないし。それにそれっていつ外れるか俺にもわからないってことじゃないか。
 ん? それに今聞いてはいけないこと聞いたような気が……

「いったい何するつも……ってなにこの穴!?」
「言っただろう、お前を異世界に飛ばすと。
 そうでもしなければ固有結界を持つお前のことだ。封印指定でも受けているだろう。
 それに捕まってしまってはワシの宿題の意味もなくなってしまう。そこでお前を異世界に飛ばす。
 その方がおもしろいだろうしのう」

 聞こえたぞ。何がおもしろいだろうだ。
 俺は全くおもしろくない。普通に考えて……
 ってこの人物は気に入らないからって最初の真祖倒したんだっけ。普通なんて通じないか。
  
 だが、それとこれとは話が別だ。

「ちょっと待っ「加えて宿題の内容じゃが」聞けよ」

 もう敬語もあったもんじゃない。

「衛宮よ、お前のその自分を犠牲にしてすべて解決しようとする考えを改めよ。
 お前が死んで助けられたものはお前の死を背負うことになるのだからな。
 ワシの言えることはそれだけじゃ、それ以上は衛宮自身で考えることだな。
 
 それと……お前に渡した指輪はもう一つあってな、これは遠坂の娘に渡すとしよう。
 この指輪とお前の指輪にはラインが通しておる。遠坂の娘が魔法に届きそのラインをたどり、お前のいる世界につなぐことができて、そこにいるお前をこの世界に戻すことが出来た時が宿題の終了の時じゃ。
 ただし、それまでにお前がこの宿題の意味に気がつくことができればの話じゃがな」

 そんな……これはもう拒否権などないな。
 逃げようにもこの人が相手なら逃げられないだろう。

「遠坂の娘に伝えることはあるか? 伝えよう」

 伝えること……俺は強くなった? 違う。
 研究がんばれ? 違う……

「……俺は諦めてない。
 それだけを伝えてください」
「承った。
 心掛けよ衛宮。我が宿題は過酷にして苛烈。
 廃人になりたくなければ努力を怠るでないぞ。遠坂の娘を信じて待つがよい」

 そして俺は異世界に続く穴に落ちていく。


 そして穴から出て最初の景色は……散らばる星、白く光る満月。
 あぁ、とても綺麗だ。

 そして……浮遊感?

「っておわぁっ!?」

 眼下200メートル先には地面。
 俺は今、空を落ちている。あのクソ爺……なんてところに落としてくれる。
 
 それにしても、こんなこと体験したことも無いのにすごいデジャヴを感じるのは気のせいだろうか。

 ともかく、このまま落ちれば死ぬだろう。

「同調・開始」

 俺は足を強化して衝撃に備える。


 木を何本か折って俺は着地することに成功。
 だが結構痛かった。

 さて……ここはどんな世界なんだろうな。
 幻想種だけの世界とかは勘弁願いたいが、先ほどの空からの景色でそれはないと判断できる。
 ここは森の中でこの向こうには明かりが見えた。あれは生活している光……と、そう判断していると人のような気配が近寄ってくるのが感じ取れた。
  
 足音から数はおそらく二人、こちらに敵意を向けている。
 だが……足音が軽いな。


「まったく、なんだってこんなところに侵入者が。
 どうせなら私の家から離れた所に現れろというものだ。こっちの迷惑も考えろ」

 愚痴りながら姿を現したのは金髪の小さな子供と……ロボット?

「む、貴様か。いきなり結界の内部に現れたのは。
 運が無かったな。貴様がもう少し離れた所に現れたのであれば私の怒りを買うことも無かったかもしれんのに。
 行け、茶々丸。死なん程度に痛めつけろ」
「了解しました」

 いきなり物騒だな。
 それにしても何でいきなり攻撃される?

 茶々丸と呼ばれたロボット風な女の子は俺に対して突きを繰り出し……む、動きが少々鈍い。
 そうか、これが指輪の効果か……
 おそらく3分の1ほど動きが制限されているな。

 突きを避け、避けることを予想していたのだろうかそこから裏拳に変わる。
 それを頭を下げて避けたのだが……木に裏拳が当たるとミシッと音を立てる。
 昔なら絶対にもらいたくなかったな。今なら耐えられるだろうが。

「ふん、なかなかやるようだが……運が悪かったな。今夜の私は魔力を補充していたのでな。
 リク・ラク・ラ・ラック・ライラック。
 氷の精霊17頭。集い来りて敵を切り裂け。魔法の射手・連弾・17矢!」

 くっ! 魔術が数で17……避けきれないことは無いが動きに不安がある。
 ここは叩き落とす。

「投影・開始」

 その手に干将・莫那を投影。
 それで確実に避けられるもの以外を叩き落す。

「ちっ! アーティファクトか!?」

 ? 意味はわからないがチャンスだ。
 俺の後ろに小さな空間があることを見つけ、そこに移動する。

「逃がすな茶々丸!」

 予想通りこちらに近寄ってくる。好都合だ。

 俺は相手の視界から外れて干将・莫那を消して新たに弓を投影する。
 つがえるのはさすまた状になった矢。
 それでまずロボット風の女の子の動きを止める。

 距離は30メートル。射程距離としてはいいだろう。
 女の子も俺が弓を持っていることで多少動揺したようだ。

 両手両足に瞬く間にそれぞれ二本打ち込む。矢はそのまま木に中りロボット風の女の子の動きを止める
「これは……」
「茶々丸!?」

 よし、動揺した。
 この間に金髪の女の子にも動揺に矢を打ち込んで木に射止める。
 
「くあっ!?」

 これで動けないだろう。
 本当なら子供に攻撃したくはないのだが……すまないな。


「さて、何で俺は襲われたのか教えて欲しいのだがいいか?」
「何をとぼけている。それにこれで終わったと思うなよ。
 茶々丸!」
「はい、了解しました」

 ミシミシと音を立てて矢を木から抜かんとする。
 おいおい、さすがロボットって言うべきか? だが、今は大人しくしててほしい。

 俺はさらにそれぞれに二本追加して打ち込む。これならいくらなんでも動けないだろう。

「すいませんマスター。行動不能です」
「すまないな。少し大人しくしててくれ。
 怪我とかはさせたくないんだ」
「はっ。どうだかな。
 それで私達をどうするつもりだ。煮て食うか?」

 そんなことするつもりなどさらさら無いのだが……しかし、聞きたいことはある。

「聞きたい事を聞いたら解放する。
 だから大人しくしてくれないか? 悪い話ではないと思うんだが」
「だったら今すぐ解放しろ。
 そうすれば考えてやらんこともない」

 ……直感だがこの子は信用してもいいだろう。

 俺は矢の幻想を解き、魔力へ霧散させる。
 そして彼女達は解放されたのだが、それにとても驚いているのも彼女達だ。何故?

「お前バカじゃないのか?」
「いきなりバカときたか」
「そうだろう、解放すればまた攻撃してくるとか考えなかったのか?」

 考えたが……

「君なら攻撃したりしないだろうと判断した」

 俺の答えに眉を顰めるが……殺気は解いてくれた。

「それで聞きたいこととは何だ?
「それじゃ遠慮なく…ここはどこだ?」
「そんなことも知らずに乗り込んできたのか。やはりバカではないのか?
 まぁ、いい。ここは日本の麻帆良学園だ」

 ……聞いた事もない。
 仕方ないことか。何せ異世界なのだから。こっちの街がそのままあるわけも無い。

「じゃあ君はなんで俺に攻撃してきたんだ?」
「それが仕事だからだ。やりたくはないがな。
 そろそろこちらからも質問させろ」

 それぐらいは構わない。ただ俺の投影のことなどを聞かれたら教えられないが。
 俺は頷いて了承の意を示すと質問を始める。

「お前はどこから来た? いきなり結界の内部に現れるなど転移魔法でも使ったのか?」
「……似たようなものだ」

 一応、ウソはついてない。
 並行世界への移動なのだから、移動ということにかわりはない。
 だが、その考えは甘いことを示される結果になった。

「ウソだな。
 この結界は外から中に移動先を指定することはできん。この結界は魔法で中にはいることは敵わん」

 計られたな。引っかかる俺も俺だが知らないのだからしょうがないと言えばしょうがないのだが……
 ん? ちょっと待て。さっきから魔法魔法と言っているが、それは子供だから勘違いしているのか?
 だが、それにしては年季の入った話し方をするのだが……

「加えて先ほどの魔法はなんだ? 
 始動キーにしても短すぎる。アーティファクトということはないだろう。来れ(アデアット)と唱えていない」

 参った……言ってることがほとんど理解できない。
 アデアット? 何それって話だな。それにまた魔法と来たか……

「聞きたいんだが……この世界に魔法使いは何人いる?」

 この方が手っ取り早い。
 俺の世界には五人。その内一人はすでに死んでいる。
 ちょっとやそっとじゃ魔法を扱う者はいないのだ。

「はぁ? そんなことも知らんのか。本当に貴様は魔法使いか?
 まぁ。いいだろう答えてやる。
 約6千7百万人だ」
「……もう一回いいか?」
「だから約6千7百万人だと言っているだろう。
 この距離で聞こえないと言うなら貴様は耳鼻科に行け」

 6千7百万人…六千七百万人…67000000…ろくせんななひゃくまんにん…ロクセンナナヒャクマンニン……
 そんなに魔法使いが? ここは神代ですか?

「……そんなにいるのか」
「お前ホントにどっから来たんだ? そんなとこも知らぬなど無知にも程がある。
 記憶を何処かに置き忘れてきたのか?」

 信じられない…俺は魔法使いの国にやってきたのか…

「お前ホントにどこから来た? 
 かなりショックを受けているようだが…」
「信じられないかもしれないが……俺は異世界から来たんだ…」

 ほらみろ、予想通りの反応だ。何言ってるのお前みたいな目で俺のことを見ている。
 ロボット風な女の子もそんな哀れむ目で見ないでくれ。
 君達から見て確かに異常な事を言ってるのはわかるが、それでも俺はウソは言ってないんだ。


「わかった、今はお前の言う事を信じてやろう」
「マスター?」

 ……驚いた、こんな普通なら信じられない事を信じるって言ったのか?
 
「こいつが言った事が本当ならば先ほどの不可思議な魔法にも説明がつく。
 異世界があり、私達の世界とは違う魔法の文明があるとしてだ。ならば数百年生きてきた私が見たこともないというもの現時点では説明できる。
 それがそいつの世迷言でなければな」

 見た目と年齢が違うのだろうか、下手をするとこの子300百年ぐらい生きてるんじゃないだろうか。
 俺の世界には秘術を使って延命してる魔術師もいるからな。
 こちらの常識が通じないというのが異世界の前提だ。

「茶々丸、こいつをジジイのところに連れて行く。
 こいつの侵入には気がついているだろうからな。こいつが説明すれば手間が省ける」
「よろしいのですか? この方が手を出さないという保障はありませんが」

 俺は出すつもりは無いと言っても信じられないのはしょうがない。
 いきなり現れた白髪に色黒の長身男、怪しむなと言う方が無理がある。

「その心配はないだろう。
 こいつがその気なら仲間を呼ばせる前に私達を殺しているだろうしな。 
 それにこいつが言った事がウソならばここまで私と話す意味が無い。それにこの話も解放などせずともできたところをわざわざ解放するのだからこの男には本当にそのようなことをするつもりはないんだろう」
「わかりました。
 マスターがそう仰るなら私はそれに従うまでです」

 
 金髪の女の子がジジイといった人物の所に案内するというのだが、そこまでは歩いて40分、走っても30分はかかるらしい。
 だが茶々丸と呼ばれた子に運んでもらえれば15分ほどらしいのだが……それはこの金髪の女の子の場合だろう。
 体重の軽い彼女と俺とは訳が違う。俺を運ぶと言うのならさらに時間がかかるだろう。

 だが、その前にやることがある。

「君の名前を聞いていいか? いつまでも君じゃあいい気はしないだろう。
 俺は衛宮士郎だ」
「そんなの貴様が勝手に決めろ。
 だが、名乗られたからにはな……私はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
 こいつは絡繰茶々丸だ」
「よろしくお願いします」

 
 自己紹介も済んだ所で移動手段について俺が提案したことは、俺がエヴァンジェリンを抱えて運び、彼女が道を案内するというもの。
 これにエヴァンジェリンは“仕方あるまい”と、渋々ながらに了承し、絡繰は後ろからついてくるという形になった。

「おい、衛宮士郎。変な行動をするなよ」
「? どんなだ?」
「うるさい! さっさと行け!
 あの桜並木の向こうだ! もたもたするな!」

 何かおかしなことを俺は言ったのだろうか…

「わかった。
 それじゃあ摑まっていろよ。それと道を外れた時は口で言わずに胸を叩いてくれ、でないと舌を噛む」
「おい、それはどういう―――いむっ!?」

 俺は駆け出し、エヴァンジェリンが指差した方向に向かう。
 急いで知りたいというものあるが俺の今の身体能力の確認の意味も兼ねている。
 
 やはり身体が契約した当初よりも重い。小さな変化だが、こんな差異でも確認しなければ命をかける戦いには決定的な隙に成りかねない。

 
 
 時間を短縮するために俺は建物の上を駆け桜並木の場所まで一気に来た。
 まだその先だろうと思い、そこらの建物よりもさらに大きな建物に跳躍しながら登っていくと、エヴァンジェリンが胸を叩いて……いや、殴っているのを感じた。

 俺はそこで立ち止まり、抱えているエヴァンジェリンを地面に立たせるとその身小さな身体は震えている。
 
 怖かったのか? 怖かったのだろうか? きっと怖かったんだろう。
 なにせ建物を跳躍しながら駆けて行くと50メートル程の高さの場所も通ったからな。

 すると突然―――殴られた。が、全く痛くない。
 逆にエヴァンジェリンが痛がって手を押さえている。

「おい! 衛宮士郎! 貴様どういうつもりだ!?
 いきなり跳んだり下りたり……口を閉じていても舌を噛むとはどういうことだ!!」
「む、噛んだのか。それはすまない」
「あぁ、マスター。
 落ち着いてください。そのようにされると血圧が……」
「私を年寄り扱いするな!」

 ……これは俺が悪いんだろう。素直に謝っておこう。

「すまない、舌は大丈夫か?」
「……ふん。そんな貧弱な舌ではない。
 それと着いたぞ。ここにジジイがいる」

 ここか。先ほどの場所からここまで約10分。
 なかなか俺の動きの確認も取ることができた。これで大まかなものはよしとしよう。

 エヴァンジェリンがついてこいと言って先導し、俺はそれにしたがってついていく。

 
 中に入り、着いた場所は……学長室とプレートが掲げられた場所だった。




 あとがき

 初めまして快晴と申します。
 初めてSSを書くので至らぬ点や、自分勝手な自己解釈などしていることがあるかと思いますがよろしくお願いします。

 この作品はネギまは最初から、FATEは凛True Endからです。

 指摘・感想も“これは違う” “これはこういう意味だ” というようなものもお待ちしております。


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