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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第40話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:da7c297e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/08 01:44
SIDE 一方通行

タカミチの愚痴を聞いて二日後、火曜日。
いよいよ停電である。
夜八時という微妙な時間帯の中、俺は出撃していた。
停電の時の配置をもう一度思い出す。

北には神多羅木と刀子、東にはタカミチ、西にはガンドルフィーニなどといった魔法先生が配置されている。

南には有力な魔法生徒……俺の知り合い連中で構成された奴等が配備されている。
更にそこにはジジイの目が光り、生徒が危機的状況に陥れば真っ先に俺に連絡が入るようになっていた。
中央、つまり麻帆良市街地などの守りは戦闘経験の少ない魔法生徒やあまり戦闘力が高くない魔法先生などが固めている。
これは戦闘経験があまりない生徒に緊張感を感じてもらうためと、戦いはこういう空気なのだと伝えるためである。
いきなり実戦に投入される魔法生徒なんてそういない。
それも、こんな停電なんていう負傷率の高いビッグイベントに。
ただでさえ相手の戦力が多くなると予想がついているのに、そんな危険な所に未熟な者を送り込もうと言う奴はいないだろう。
龍宮や刹那くらいじゃなけりゃ無理だろうし。
もちろんそいつ等だけではなく、SPのような戦闘力に秀でた魔法関係者でこのかの周りは固めている。

暗がりで見れば変人の集団であるが、敢えて言わない方向で。

基本的に待機の俺は南ではなく中央なのではないかと思うが、東西北の魔法先生軍団が敗れることはまずないと言って良いし、中央の守りとしては俺の攻撃は都市部に被害がでそうなので、ということで俺が戦うのは南しかありえないのである。
南にも龍宮がいるからそうそう敗北はありえないと思うんだがな。
刹那もあれから成長しているし、不覚を取ることはないと思う。
麻帆良にある建物の上でぼんやりと南の方角を眺める。
こっちからも観察はするが、流石にミサカ個人をずっと監視する事はできない。
これだけの距離があれば尚更だ。
彼女の初実戦というだけあり、俺は少し緊張している。
そわそわしているのが否めない。
何とも、それがイラつく。
自分が行って全部終わらせたい感覚になり、それを抑えるのに苦労する。
面倒な立ち位置になっちまったもんだ。
ため息をつきながら、俺は隣にいる女を見やる。

トランシーバーを片手にこちらを見ている女だ。

生徒ではない。
魔法生徒のほとんどは南に導入されているため、ここに生徒がいてはおかしい。
それが魔法先生である証明になる。
彼女は屋上の手すりの上に座っている俺をじっと見ながら、まるで人形のように立っていた。
露骨な監視である。
それが俺のイライラを増長させているのだ。
仕事ないんなら麻帆良の見回りにでも行けと。
抗議の視線を向けると、さっと目をそらす。
バレていないとでも思っているのだろうか、腹が立つ。
この間からミサカ関連のトラブルのせいで動く羽目になっているが、それよりもかなりイラつく事態だ。


ウゼェ。


思考が過激な方に流れていく。
久しぶりの大規模な戦闘を前に、俺も興奮しているのだろうか。
思えば、このごろ戦闘なんてなかったし。
血が余っているんだろうか……ここに来てから流したこともないが。
関係ない事を思って過激な思考から目をそらしながら、俺はさっきの事を思い出していた。
さっきのことと言うのは、中央を守る連中の集合である。
明石や弐集院などといったインテリ系魔法使いや、もともと戦いが得意ではない情報分野の魔法に特化した魔法生徒、そして戦いの経験がほとんどない連中などといった感じだ。
その中で、バリバリの戦闘系は俺一人。

完全に浮いていた。

俺がいるだけで明らかに顔がこわばっている奴もいたし、警戒の目で睨んでくる奴もいた。
インテリ系は、どうも俺の見た目から受け付けそうにないらしい。
この反応は予想していたが、実際これの方が良い。
俺を怖がってくれた方が、俺に近づかないからだ。
好き勝手ができる。
俺はポケットに手を突っ込みながら、この中央を守る魔法使い集団の司令塔である明石に視線を向けた。
明石の能力は優秀なのでこの場を任されたのだろう。
俺としても別に異議はない。
明石はこうやって重要な役目を任されることに慣れているのか、流暢な口調で話し始めた。
「ここ、中央の守りの指揮をとることになった、明石です。これから配置についての説明をするので、よく聞いてください」
優秀なだけあり、それからの説明も要点を捉えていてわかりやすかった。
それを更に要約すると、これから東西北に兵力を分ける。
それぞれの方角から第三防衛ラインが突破されたという報告が入ると、最終防衛ラインである我々が食い止める、というものだ。
とはいえ、最終防衛ラインまでやってきた敵は滅多におらず、いたとしても雑魚ばかりと言っていた。
それは安心させるためだろうが、ここは引き締めた方が良いと思うのだが……。
緊張し過ぎては押しつぶされるだけだが、しなさ過ぎてもダメだ。
その辺りの加減が難しいのはわかるが、少し優しすぎると思う。
それが明石の良い所ではあるのだが。
明石はそのまま続ける。
「残る南の最終防衛ラインは、アクセラレータ」
途端、辺りの視線がこちらに向く。
注目を浴びる事は好きではないが、嫌いでもない。
つまりどうでもいいので、それら視線を無視しつつ、俺は目線で明石を促した。
「君に一任しようと思うが、どうかな?」
「あァ」
俺は短く肯定した。
もともと想定の範囲内だ……教師連中だけはな。
俺が中央、それも南に配置されるのを聞いて、誰かが声を上げる。
「あの、すみません、明石先生。どうしてアクセラレータさんは中央寄りなんですか? アクセラレータさんが出ればもっと早く終わると思うんですけど」
それは事実だが、正直に言うと広範囲に広がっている敵を根こそぎ倒すのは面倒くさいのだ。
一撃ブチ込めば死ぬ紙装甲の敵とはいえ、量が多いと一人ですべてをカバーするには限界がある。
一匹や二匹を取り逃す可能性もある。
近衛このかなどといった一般人にとっては、雑魚も十分な脅威である。
雑魚を殲滅するには、やはり多人数で連携を組んだ方が効率が良いし、確実だ。
一人で殲滅、探索、高速移動をこなせる俺のようなチートでも、流石に効率を考えると大多数には大多数をぶつけた方が良いのだ。
魔法世界で悪魔が大量に襲ってきた所をまとめてブチ殺す場面であれば一も二もなく俺は突撃するわけだがな。

今は状況が違う。

その状況も、まとめてプラズマで吹き飛ばして良いならこんな事を思う必要もないのだが、そんなわけにもいかないし。
「アクセラレータは高畑先生に勝るほどの戦力だ、いざというとき、救援に向かうためには中央寄りが一番なんだよ」
そういう意味もあるため、そう言う事にしておこうと思う。
俺は弐集院からトランシーバーを受け取ると、それを腰のベルトに引っ掛けて離脱しようとする。
彼の横を通り過ぎようとすると、弐集院が俺にしか聞こえないようにぼそりと呟いた。
「裏で何か動いてるみたいだ。気をつけてな」
「……了ォ解」
弐集院が察知した、ということは彼にも気づく程度の動きしかできない人間か。
電子精霊を扱う弐集院の情報網はかなり信頼できる。
監視カメラなどを同時に操って監視などをしているんだろうが、なんであろうと麻帆良の情報収集はコイツが一番頼りになることに違いはない。
裏で何か動いていると言う事は、やはり俺達に関してだろうか。
ミサカに何か危害を加えようとするんだったら、容赦はしねェが。
そして、俺はその場から離脱しようとして―――、

「待ってくれ、アクセラレータ」

踏みとどまり、僅かに風塵が舞う。
出鼻をくじかれた気がして、俺は声をかけてきた明石を睨んだ。
「なンだよ?」
「いや、彼女を連れていってほしんだ」
そう言って明石が見たのは、明石よりも背は低いが、一般的な女性よりも少し背は高いと言えるような女だった。
名乗ることもせず、ただ静かに頭を下げてくる。
垂れた前髪の間から覗く瞳を見て、俺は瞬時にコイツは気にいらないと判定した。
目、というよりは雰囲気だろうか。
ピリピリとした緊張感が漂っているのがわかる。
警鐘、というほどではないが、俺の中で警報が鳴る。
弐集院の言葉がすぐに的中したと言う事だろうか。
何故明石が紹介してくるのか分からないが……上の者の指示ということだろうか。
ジジイを無視しての命令かもしれないな。
目線で明石に尋ねると、明石は首を横に振る。
それがしょうがないものなのか、わからないものなのか。
どちらにしろ、弐集院の言葉に違いはなさそうだ。
後で確かめることにして、俺はとりあえず女の同行を許可することにした。
何かあるのか、確かめなければならないしな。
「わかったが、面倒は見てやらねェぞ。自分の身くらいは自分で守れ」
「わかりました」
受付嬢のような声を出す無愛想な女。
女を連れてこの建物の屋上までやってきたのだが、それから今まで、まったく動きがない。
本当に人形なのではないのか、と思ってしまう。
また視線を感じる。


鬱陶しい。


暴力的になる思考をなんとかこらえながら、俺はかみ合っていない歯車が動くようなぎこちない動きで手を挙げる。
「テメェ、さっきから何ジロジロ見てやがる」
戦場の雰囲気は久しぶりだ。
だからこそ、俺もこのように好戦的になっているんだろうが……少し前まではこんな感覚はしなかったのだが、何故だろう。
目の前にいる女の一挙手一投足にイラつく。
油断すれば繰り出してしまいそうな拳を思いっきりポケットにブチ込んだ。
「言いたい事があるンならサッサと言え。単純明快に、早くしろ」
ずっと黙ったままでいる女を射殺すほど睨んでいると、女はおもむろに服の懐をあさり始めた。
武器か?

面白い。

アクセラレータの反射を知らない時代遅れがここにいたとは。
手を出すまでもない、攻撃してくればそのまま返り討ちにしてやる。
手首をそれでへし折った後、首を掴んで捻じ伏せて、骨をブチ壊して、頭蓋骨を蹴り砕いて―――。
赤いナニカが広がる。
びちゃびちゃと注ぐそれが頭に浮かぶ。
明確なビジョンとなり、それが未来図となる経緯を描く。
それがたまらなく快感だ。



イイ。



知らぬうちに笑みが深まっていく。
目の前の女が手を出してきた瞬間、それが女の死ぬ時だ。
凶悪な笑みを浮かべた俺がいただろうに、女は物怖じせず歩きだし、俺に近づいてくる。
いや、顔は緊張に強張っている。
やせ我慢か、と思うと同時に、ならばと俺は未来図を変更する。
もっと残虐に、もっと軽快に。
ざっと4パターンほど思い浮かぶそれを明確なビジョンにしていると、いつの間にか女が俺の手の届く場所に来ていた。
即死では面白くない。
音声まで追加された映像はリアルなそれとなり実現しようとしている。
それが訪れるまで後数秒。
その時が待ち遠しくて仕方がない。
ポケットの中で拳を開きながら、俺は女の行動を待つ。
すると、女はおもむろに中から四角くて白いモノと、黒くて細長いモノを取りだした。
黒いモノを白いモノに添えると、女はさっきよりもほんの少し小さい声で言った。


「ファンです。サインを、頂けますか?」


俺の思考が、停止した。
同時に危険な思考が崩壊し、ビジョンが崩れる。
本能から理性に戻る。
俺の目の前にある現実は、血塗れの肉塊ではなく、差し出されているサイン色紙と黒サインペンだった。
現実が理解できず、俺はサイン色紙と自称ファンとほざく女の間を何度か行ったり来たりする。
その後、無言で俺を指さすと、女は二度頷いた。
一気に俺の中にあるナニカが萎えた。
肩の力が抜けると同時に言い知れぬ怒りと羞恥心が俺の中からわき上がってくる。
ということは、何だ?
俺はこの女が過激派の一派だと疑って、んでもって痛い妄想して、結局のところただのファンでサイン欲しかったからついてきただけ、ってか?
そのことを認識した瞬間、俺は胸の中にある苛立ちとか羞恥心とか怒りとか呆れとか、それらすべてを喉に集束させた。
解放して、叫んだ。




「なンじゃそりゃァァァァああああああああああああああああああああああああッ!!!」




おそらく、俺が憑依したアクセラレータの人生の中では一番の声量じゃないだろうか、この絶叫とも言える叫びは。
俺はこの叫びにも少ししか動じない目の前にいる女の胆の強さに脱帽する思いになりながら、力なくサイン色紙と黒サインペンを手に取った。

……なんだか、全てがバカバカしくなった。






SIDE 佐倉愛衣

私たちは配置についていました。
一応、私たちは魔法生徒の中でも結構腕利きのつもりです。
私は炎の魔法使いとしてまだまだですけど、お姉様は私なんかよりも数段先を行っています。
私たち魔法使いの欠点である運動能力のなさを、お姉様は影による防御魔法で補っているので不意打ちにも強いですし、何より近距離で暴れ回れるのが強みです。
私はお姉様が暴れ回っているのを援護するだけですけど、そのせいで援護することについてはそこそこの腕前である事は自覚してます。

援護するだけですから、一人じゃあんまり戦えませんけど。

今、私は『オソウジダイスキ』というアーティファクトに乗って空を飛び、お姉様は影の使い魔に乗って滞空しています。
魔法使いと言うと私のように箒に乗って空を飛ぶイメージがありますが、実を言うと旧世界と呼ばれるこちらでは箒で飛ぶ魔法使いは少ないのです。
何故かと言うと、それは明確でして。
つまり、魔法バレの可能性が高いと言う事です。
サハラとか密林とか、ああいう人目につかない場所なら自由気ままに飛んでもいいんですけど、日本は都市部が入り組んでいて電線に引っ掛かって感電死しかけたなんて話も聞きますから。
魔法使いに必要なものの第一は火力と言われるように、機動力は捨てて砲台になるのが私たちの役目ですから、しょうがない所はあるんですけどね。
迅速に現場に駆けつけることも魔法使いとしては必要なんですけど、それ以前に身を守れるほどの実力がなければ意味がないっていう話です。
何が言いたいかと言うと、空を飛べて上空から攻撃したり、見張ったりすることができて、且つ実力に優れている人が魔法生徒の中では私たちくらいしかいない、というわけです。
私も未熟でしたけど、対空戦力として期待されるようになりましたし。
お姉様は影槍とか、便利な迎撃魔法を持ってますから対空戦力としてはかなり期待されてるんですよね。
この学園を出て、お姉様と一緒に各地の問題を解決しにいけるようになるのも遠い話ではないんじゃないでしょうか、と自惚れてしまうほどです。
実際まだまだですし、学校生活は楽しいですからもうちょっと麻帆良にはいたいんですけど。
滞空しながら辺りを警戒していると、突然私の背筋が何かを感じ取りました。
ビビッ、と来た悪寒に、私は思わず悲鳴をあげてしまいます。
「ひゃあああああッ!? す、すみませんッ!!」
「何!? 敵襲!?」
お姉様が途端に辺りの警戒を強めて影の使い魔を出しますが、違うんです、私の悪寒なんです。
涙目でそれを伝えると、お姉様はがっくりと肩を落としながらため息をつきました。
「何を感じたのかは知らないけど……で、何で悪寒を感じたの?」
「わ、わかりません。なんとなーく、感覚的なんですけど、アクセラレータさんに怒鳴られた気がして」
「アクセラレータに? 彼は確か中央で警備してるはずだけど」
そう言ってお姉様は時計塔の辺りを見ます。
前に聞きましたが、アクセラレータさんは中央の方で、もしも鬼に抜かれた時の事を考えて警備につくそうです。
それに、戦力を分散させ過ぎて中央が手薄になってしまっては危ないですからね。
アクセラレータさんが中央に居座っているというのは安心感と、なんとなく脅迫感も感じます。
後ろで『おい、俺の手を煩わせンじゃねェぞ』とか言ってるような気がします。
そんな私の考えを、お姉様はやれやれと首を振ることで否定しました。
「忘れなさい。アクセラレータがこんなところまで来ているわけがないんだし。それよりも周囲を警戒する方が重要よ。空とはいえ、鬼たちも飛んでくるかもしれないんだから」
「はいっ」
お姉様の言う通り。
今はアクセラレータさんの事よりも、周囲のことを警戒しないと。
私はお姉様に謝ってから、再び辺りを見回します。
しかし何も来ないので、私の思考はやっぱり他所に流れていきます。

思いだすのは、南地区での魔法生徒の配置のこと。

魔法先生に比べて実力的に劣る人間が多いので、負傷した時は無理せずに撤退する事をきつく言われています。
もしもかなり無理をした場合は、以後戦闘に参加できなくなるほど厳しいです。
ガンドルフィーニ先生がいるときはそんな厳しい取り決めなんてないんですけど、この取り決めはその魔法先生がいない時に効力を発揮します。
だから私も、無理をするお姉様を引きずってでも後方に連れて行かなければならないのです。
私がそれをできるかどうかは疑問ですけど、やらなければならないことです。


それがお姉様のためなのですから。


さて、私たちは上空で敵を迎撃する、または敵の中に上空から突撃して奇襲を行う、などといった戦法をとることになっているので遊撃部隊となります。
まあ、好き勝手攻撃しろと言う事ですね。
救難を求める味方の援護に迅速に入ると言うのも大事な役目です。
そして私たちのように上空部隊以外の魔法生徒は、それぞれ三段構成となって敵を迎え撃つことになっています。
魔法生徒の中でも強力な方から前線に押し上げられ、後方に行くにつれて実力が劣る人たちが固めることになっています。
これは後方にいる方が負傷した時の撤退が迅速に行えるということでこういう形になったそうですが……少し納得できない配置ではあります。
桜咲さんや龍宮さんは良いんです、前線で。
でも、ミサカさんが後方っていうのはどうかと思うんです。
ミサカさんは確かに戦闘経験が足らないかと思うんですけど、彼女の桜咲さんに勝った戦闘力を考えると明らかに前線向きだと思うんですが。
何らかの事情があるんでしょうか。
それとも、もしも抜かれた時に備えての後方戦力ということなのか……私にはちょっとわかりません。
アクセラレータさんはそういうのに詳しそうですけど、やっぱり聞けませんしね。
あの人は裏で動くことを人に話すのは嫌がる性分ですから。
「来たわよ、愛衣」
いつのまにかトランシーバーを手に取っていたお姉様が、それをしまう。
どうやら敵襲のようです。
「どちらからですか?」
「南東の方から来たらしいわ。とりあえず私たちは南東の部隊を援護することになる……前方だから、龍宮さんの攻撃範囲内ね。あまり必要ないかもしれないけど」
龍宮さんのことは、実はあまりよく知りません。
麻帆良四天王であることと、魔法生徒の中ではズバ抜けた戦闘能力を持ってることで有名なだけで、私も会って話した事は少ししかありません。
ものすごくオトナな女性の雰囲気でした。

とてもじゃないですけど私よりも一個上の年齢とは思えません……。

彼女に比べて貧相なそれを見降ろしながら、ため息をつきます。
いえ、わかっていますよ、ああいう女性が私に似合わないと言うのは。
でも、ああやって援護に冷静に徹する姿と言うのは憧れます。
前線に出るよりも、他人を助けることが私の望みですし。
前線に出て鬼たちをボコボコにするよりも、危険に陥った時に助ける方が私としてはすごく良く思えるんです。
私が役に立ってるんだな、と思える瞬間でもあるからです。
オソウジダイスキを動かし、お姉様と共に戦場に向かう。
「愛衣、私は機を見て突撃するわ。その時、援護をお願い」
「了解です」
私はお姉様の援護をする。
それだけを考えながら、私は呪文を詠唱する。
上空からの強襲にうってつけの魔法。
魔法の射手で爆撃です。
「鬼の集団の右からブチ抜けるわよ!」
「―――魔法の射手・連弾、炎の28矢!!」
お姉様の影の使い魔、そして影槍に追従するように真っ赤な鏃が火を吹いて敵に突進していく。
どうやらまだ味方と遭遇はしていなかったようで、敵方にとっては完全に不意打ちのようでした。
何匹もの鬼が吹っ飛ぶのが見えました。
これくらいの奇襲、卑怯などとは言えません。

立派な戦略です。

「なんじゃあ!? 上か!?」
「上から来るで! 周囲も警戒しとけよ、どっから出てくるかわからんからな!」
「反撃や、反撃!」
下にいる鬼たちが何か言っている間に、私たちは離脱して旋回、再度奇襲をかけるために接近します。
今の私たちの役目は敵の出鼻を挫くこと。
全滅させるわけではないので、大雑把に攻撃していれば良いのです。
そう思っていた私ですが、いきなり目の前に鬼が現れたのに気づきます。
鬼がジャンプして届かない高度なのに、どうして!?
パニックになりかけた私は、その思考を何とかして沈めていく。
「うるァ!!」
小柄な鬼の攻撃が振るわれます。
その軌跡を予測して、オソウジダイスキを操作し、それを避けます。
空中の機動力ならこちらが上です。
避けざまに、私は鬼の胸元に手を置いて、


「解放!!」


魔法の射手・連弾、炎の3矢。
私の掌から解放された炎の矢は、ゼロ距離で鬼に直撃し、その上半身を吹き飛ばします。
爆音が鬼の亡骸を吹き飛ばし、空間に解けて消えて行きました。
それにホッとするのもつかの間、再び鬼が跳びあがってきます。
何故こうも凄まじい跳躍ができるのか、と思って下を見ると、大柄な鬼が手を組み、小柄な鬼を打ち上げているのが見えました。
発射台を作ったわけですね。
移動できて、すぐ組める発射台とは……ちょっと厄介ですね。
「お姉様、援軍はまだですか?」
「もう来てるわよ」
え?とそれを聞き返す前に、鬼の軍団の一角から強烈な電撃が迸った。
それは木々をなぎ倒し、鬼を根こそぎ吹き飛ばす。
轟音が耳を叩き、焦げくさい香りが風に乗って漂ってきました。
アクセラレータさんが派手に戦ってくれるおかげで慣れたそれをスルーしながら、私はお姉様の方を向きます。
「ミサカさんですか?」
「桜咲さんよ。南西の方から敵が来なかったからって言って、援軍に来てくれたみたいね」
ということは、あれは神鳴流の奥義、雷鳴剣。
ミサカさんの電撃とはなんだか毛色が違うと思ったら、気が乗ってたんですね。
ちょっと後ろを見ると、魔法の射手が飛んでいるのが見えました。
南東にいる本来の迎撃部隊も来たみたいですね。
戦線が整ってきたからか、お姉様は自分が乗っている影の使い魔を突撃モードに切り替えます。
上空から突撃するためだけに形を変え、まるで砲弾のような姿になりました。
「使い魔は三体残しておくわ。あの鬼の突撃に対しての迎撃に使って。ほとんど壁だけどね」
「わかりました」
三体の影の使い魔が私の周りに滞空します。
それに頼もしさを感じながら、私は魔法の射手の詠唱を開始します。
それと同時にお姉様が突撃を開始しました。
海鳥が海の中にいる得物めがけて突撃していくような、そんなイメージが湧きます。
自由落下にしては速すぎるスピードでお姉様や影の使い魔は地面に着弾しました。
物量に任せた攻撃は単純ながら、威力は高いです。
10以上の影の使い魔の突撃を受けた地盤は容易く崩壊し、地面が岩の塊となって宙を舞いました。
流石に私の所までは飛んできませんが、その岩の塊は二次災害となって鬼を襲います。
二次災害の終了を待てないとばかりに影の使い魔が飛び出し、鬼たちを牽制し、また倒していきます。
お姉様自身も『黒衣の夜想曲』を発動して突撃、一度に3体もの鬼を相手にして一歩も引けを取っていません。
一人で10人という人数を作成できるお姉様の影の使い魔は利便性に優れており、だからこそ習得が難しい魔法です。
アクセラレータさんと出会った頃とは別人です。

まあ、あの頃と比べれば私も別人なんですけどね。

魔法の詠唱が終わる。
狙うのは桜咲さんもお姉様も味方もいない、敵の後方にいる大柄な鬼部隊。
殲滅するためではなく、牽制して足並みを乱すために、私は魔法を放つ。
手に魔力を流し、それを圧縮していく。
圧縮して、圧縮して、その圧を解き放つ。



「魔法の射手・連弾、炎の133矢!!」



ただの魔法の射手も、133本もあれば立派な脅威です。
燃える天空を覚えられなくても、魔法の射手500本でも覚えれば同じです……そこまで行けるかどうかは怪しいですけど。
私の放った魔法の射手は、そのまま鬼の軍団に突き刺さり、盛大な爆発を起こす。
何体か鬼が吹き飛んでいるのが見えて、私はガッツポーズをとりました。
「私だって、いつまでも弱いままじゃいられません」
せめて、強くなっていくお姉様に対する助けになれるくらいには。
私は使ってしまった魔力を回復するために、一時後方に下がって休憩することにしました。
実を言うと、あれくらいが限界なんですよね、今の私って。
鬼をちぎっては投げ飛ばすお姉様を振り返りながら、私はミサカさんのいる後方へと引き上げていった。




SIDE 高音・D・グッドマン

黒衣の夜想曲を展開した私は、接近戦ではかなり強い部類に入ります。
ある一定の衝撃を与えられなければ、この魔法はそう簡単には破れない。
これを展開した私にダメージを与えるには、黒衣の夜想曲越しに直接私にダメージを与えるか、力ずくでこれを破るしかないか、あるいは私も認知できない速度での攻撃か、それくらいしかありません。
思えば結構ありますが……まあ、目の前にいる鬼たちに私の魔法を破れるとは思えないので、とりあえず接近して叩き潰します。
私が拳を振り上げると、その動きをトレースして影の使い魔が手を振り上げます。

下ろすと、地面が陥没するほどの威力の拳が炸裂。

鬼たちは簡単に吹き飛んでいく。
アクセラレータが来た時こそはあまり強くありませんでしたが、今の私は並みの魔法使いの防御力じゃありません。
攻撃に耐える耐久度だけでは、麻帆良では私もかなり強いと思っています。
鬼の棍棒が振り下ろされ、使い魔の肩に直撃。
鉄と鉄が激突するような音と共に、鬼の棍棒は呆気なく弾き飛ばされました。
鬼が手を抑えている隙に、私は鬼を拳で殴り潰す。
左から鬼が3匹。
振り向くと同時に腕で薙ぎ払おうとしますが、やはりここまで倒すと間合いを読まれてしまうのか、避けられてしまいます。
ですが、私の持ち味は黒衣の夜想曲だけではありません。
「甘いですよ」
展開するのは5本の影槍。
ジグザグを描いて空間を突き進んだそれらは、狙い違わず鬼に突き刺さり、その存在を現世から消し去ります。

怯んだ敵に向けて、踏み込む。

魔法戦士ほどの機動力はないにしろ、私だって近接戦闘を得意とする魔法使い、常人とは思えない速度で移動することくらいはできます。
両拳を握りしめ、目の前にいる鬼の頭蓋をブッ潰す。
消えゆく亡骸を薙ぎ払い、影槍で奥に向けて追撃を行います。
左右から来た鬼は他の使い魔に足止めさせ、こちらの準備が終わると使い魔を離脱させて両腕で叩き潰す。
こうやって足並みを揃わせるのはかなりの集中力を使いますが、もう慣れっこです。
過負荷をかけていかないと成長はしませんし。
愛衣には無茶はいけないとよく言われていますが、とりあえず無茶しなければ短期間で強くなれませんから。
そう思っていると、突如目の前から圧力。
使い魔の腕を振り上げるのと、何か巨大な圧力が振り下ろされるのは同時でした。
再び、鉄と鉄がぶつかり合う轟音が響きます。
しかし、それは先ほどの激突とは違い、あまりにも音の大きさに差がありました。
それほど互いの威力が大きかったと言う事。
「影槍!」
「おっと」
動きが止まっている隙を狙って影槍を放ちますが、それはあっさりと避けられます。
巨大な体躯にしては俊敏な動きに、私は驚きを隠せませんでした。
やはり、敵は本腰を入れてきていますね。
今まで、これほどの質の鬼に出会った事はありませんでした。
3メートルもありそうな大鬼は、さきほど振り下ろした棍棒を肩に担ぎながらため息をつきます。
「カァーッ、これだから西洋魔術師は小器用で好かんねん。武器は止められるし両腕塞がってるっちゅうんに攻撃できるし……手が4本あるみたいやんけ」
「実際は、もっとあるんですけど?」
影の使い魔を集結させます。
彼らは私の手足のようなもの。
10体ほどいますが、単純計算で私の腕の数は24本。
4本どころの話ではありません。
手数では圧倒的に私が上です。
不利を悟っているはずですが、鬼はそれでも口元に浮かべた笑みを崩さない。
むしろ、笑っているように見えます。
「何を笑っているんですか?」
「いやぁ、実に暢気やと思ってな。これほど罠にハマってくれるとやられる側としても嬉しい限りや。まー、犠牲になりたくてなったわけやないんやけどな」
「罠……?」
「気づいてへんのならそれでええ。ワシもそこまでお人よしやないわ」
巨体に似合わない俊敏な動きで私に迫ってくる大鬼。
咄嗟に影の使い魔で大鬼を囲み、その上で私は拳を突き出します。
自分の数倍ある拳が、大鬼の棍棒が激突する。


ゴドォン!!という衝撃波が辺りを舐めつくし、小鬼が吹っ飛んでいった。


「のわぁああああッ!? ボス、やりすぎっスよー!?」
「それよりも向こうの神鳴流を止めるんや!! もう向こうは壊滅状態やぞ!!」
視界の端で強烈な光が迸るのが見えます。
雷鳴剣か、それとも他の神鳴流奥義か。
私にとってはどうでもいいです。

ただ、目の前の敵を倒すことだけに集中する―――ッ!!

「ぬうっ!?」
大鬼の棍棒を掴み、更に大鬼の脚を掴む。
身動きをとれないようにして、私は大鬼の目を見ました。
悔しそうな、それでいてやり遂げたような目をしていました。
それが忌々しく思えて、思いっきり私は影槍を大鬼の胸にブチ込みました。
空気を切る音と共に、鋭い切っ先が大鬼の胸を消失させる。
痙攣する鬼を、私は使い魔の膂力を最大限に用いて持ち上げる。
そのまま背負うようにして、大鬼を投げた。
盛大な地響きと共に大鬼が地面に叩きつけられ、そのまま大の字に倒れる。
一瞬の静寂の後、大鬼は静かに笑っていた。
「まあ、ワシだとこんなもんか。別にええわ、帰ったら晩飯やしな」
「……罠とはなんですか?」
「罠? ああ、そりゃあもうすぐわかるんとちゃうか? 気づいてももう遅いけどな」
それだけ言い残して、大鬼は消えていった。
罠とは何か、それに思考を巡らせようとして、トランシーバーから悲鳴のような声が響いてきた。
『こっ、こちら南第2防衛ライン!! 鬼です!! 第1防衛ラインを突破して鬼が攻めてきました!! このままでは突破されます、至急応援求む!!』
「なっ……いつの間に?」
桜咲さんがこちらに来た以上、中央は手薄になっていたが、それなら桜咲さんが連絡を受けて戻るはず……。
私は迅速に使い魔に命令し、上空に飛び立ちながらトランシーバーからの声を聞く。
『どうやら敵は隠蔽用の護符を大量に用意し、それを鬼が張り付けていた模様! 現在、調査中ですが、まだ他にも護符を張り付けて密かに進軍している鬼の部隊がいるかもしれません! 警戒を怠らないでください!!』


隠蔽部隊……ゲリラ戦でもやろうと言うのですか。


後方にはミサカさんがいますから、あまり心配はいりませんね。
私は中央のど真ん中で暴れるとしましょう。
まだ多少残っている鬼を他の人に任せ、私は素早く中央の第2防衛ラインへと向かった。






SIDE 男

準備は整っている。
学園長の目は誤魔化されているのか、それとも見逃されているのか定かではないが、こうして順調に進むのならそれでいい。
今はこうして待つだけで良い。
機が来るのを待つのだ。
小さく、皮の靴が階段を叩く音が聞こえる。
やがてドアが開くと、そこには背の高い男がいた。
「南方面、前線が突破されました。戦況はよくないようで、後方の戦力も出るそうです」
「そうか」
後方に彼女が引いたのは学園長の指示だろう。
彼女の特性上、前線で暴れまわった方が良いのは誰もが思う事だ。
だが、連中が奇襲を仕掛けてきたのは意外だった。
このまま桜咲刹那や龍宮真名に潰されるかと思えば、なかなか南方面も粘る。
「準備は?」
「整っています。奴も彼女のおかげで黙っていますし。ただ、目標は探査能力にも特化しているようです。成功するのでしょうか?」
「なに、あれでは判別はできん」
俺はゆっくりと椅子から立ち上がる。


我々は既に少数派だ。


そうなるよう、連中が仕組んだのだ。
そうやって、ここは連中の良いように作りかえられていく。
エヴァンジェリンに好き勝手をやられ、アクセラレータも問題は起こしていないが、いつ爆発するかわからない時限爆弾のようなものだ。
無論、これで抑えられるとは蚊ほども思っていない。
これで記憶消去の処置が施されようとも、俺はこの行動をやめない。
麻帆良は俺の好きな場所だ。
この気楽な雰囲気が好きだ。
関西呪術協会だろうが、エヴァンジェリンだろうが、麻帆良を騒がす連中は許しておけない。
別に、スプリングフィールド家の者と争うのは良い。
そんなもの、好き勝手暴れればいいだろう。
だが、それに一般人を巻き込んで、それでも平然としている連中を俺は容認できない。

これは行動だ。

正義だのなんだの、難しい事はどうでもいい。
俺は好きな場所を守るだけだ。
「行きましょうか」
「ああ」
麻帆良でも反抗する者がいるのだと、俺は告げる。
そのために行動する。


これは警告だ。


これ以上好き勝手すれば、黙っていないと。
例え玉砕しようが、俺たちは行動をやめない。

絶対にだ。






~あとがき~

完全なバトル回です。
久しぶりに書いたからでしょうか、異様に筆が進みます。
アクションシーンを書くのは楽しいです。
ちょうど40話ということで、今日から久しぶりに連日更新を予告します。
実は次の話もほとんど書けている上に、その次の話もほぼ構想は済んでるんです。
明日、明後日と更新していこうと思います。
いよいよ大詰め、一気に詰めていきます。


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