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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第26話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:da7c297e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/11 21:59
SIDE 一方ミサカ

お正月も終わり、その余韻でアクセラレータが惰眠を貪っている光景を見せつけられた、というのがここ一週間のミサカの認識でした。
……嘘です。
ちゃんとアクセラレータは見回りとかに行っていましたし、正月で浮かれる人間を鎮圧してきたようでした。

勝手気ままなニートではなかったことがわかって少し見直しました。

ミサカの近況報告をすると、一応、高音さん、愛衣さん、刹那さんなどといったアクセラレータに親しい人たちにはあいさつ回りをして親しくなりましたし、昨日は実力テストに励む高音さん達がアクセラレータの家に来ていました。
テスト、というと私には銃の扱いなどといった戦闘訓練しか思い浮かびませんが、彼女らの言うテストと言うのはペーパーテストのようです。
配られた用紙に書いてある問題に回答するだけ。
実戦訓練に比べてなんと簡単な―――と思っていましたが、なかなかこれが難しいのです。
ミサカは小学校高学年程度の学力なら普通にあるのですが、中学生レベルになるとキツいものがあります。
施設で『洗脳装置』による学習が行われたはずですが、一般常識的な学力以外は入力されなかったようなのです。
確かにミサカは完全軍用ミサカではありますが……ミサカが言うのもなんですが流石に小学校レベルの学力はどうかと思います。
アクセラレータもそれはヤバいとのことで、とりあえず勉強を始めることにしました。
その結果。
進めていくうちに理解すればそこそこできるのですが、理解できないところが多すぎます。

国語なんてさっぱりです。

国語が苦手なのは漢字ではなく……むしろ漢字は暗記さえすれば良いので簡単なのですが、心情を描写せよという問題がわかりません。
非常に困ります。
これは各々個人の思考によって答えが変わってくるのではないでしょうか?
感受性は人それぞれですし、この問題を出す意図がわかりません。
アクセラレータは『ペーパーテストは求められた答えを答えられるかどうかってのも採点基準に入ってると思うぜ』とか言ってましたが、生まれて一年も経ってないミサカにそれを要求するのは非常に酷です。
今は中学二年の冬なのに、中学一年から勉強し直しという事態になってしまいました。
毎日ワークをして見直しをして納得をして、という繰り返しをすることで身につくと言っていましたので、とりあえずはその通りにしています。
一応覚えてはいますが、ほぼ暗記です。
応用性のある問題を出されると厳しいかもしれません。
その分、社会と理科は得意ですね。
暗記が多いですし。
そして、一週間でできる程度に学力を詰め込んでいると、私が中学校に行く前日に、高畑さんがアクセラレータの部屋にやってきました。
「おォ、タカミチか。こんな時期に何の用だ?」
「ミサカ君のことだよ。家にいないからこっちかと思ってね」
「……編入の話か?」
「そういうことだ。ミサカ君はいるかい?」
いるから上がれ、ということで高畑さんがアクセラレータの部屋の中に入ってきました。
煙草を吸っている人特有のにおいが、僅かにミサカの鼻を刺激しました。
「編入、ということは書類の確認などは終わったのですか、とミサカは確認を取ります」
「ああ。まあ、だいたいは学園長がやってくれたし、君がやることといえば名前を書くくらいのことだったからね。直接学園長に渡してきたし、もう手続きは完了だ」
「ジジイは手続きが終わってなくても……っつか、マトモな手続きがなくても編入させそうな気もするがな」
「……それについては否定しないよ」
ハハハ、と乾いた笑顔で高畑さんは言いました。
ということは、あの学園長の権力はかなりのもの、と捉えて良いのでしょうか。
こちら風に言えば上層部のようなものだと考えればそれも納得できました。
複数ではなく一人なのですから、ほぼ独断が可能と言う事です。
それについては現代社会ではなく魔法社会の序列が影響しているのかもしれません。
アクセラレータから聞く所によると、魔法はかなり実力主義の社会らしく、学園長はこの麻帆良で最強の実力を持つ上に、裏ではそこそこやり手のようなのでここの学園長になったらしいです。
最強、であるのはあくまで魔法使いという意味で、ということらしいですが。

意地を張るのは彼らしいと思います。

さて、学園長のことよりもミサカには疑問があります。
「所で、ミサカの編入するクラスはどこなのですか?とミサカは当然の疑問を問いかけます」
「僕の担当しているクラス……2-Aだよ」
ふむ、とミサカは思考します。
アクセラレータの言う通りになりました。
高畑さんの担当している2-Aというのはこの麻帆良でも有名なクラスらしいです。
何がすごいのかというと、個性が、だそうです。
色々とカオスらしいので、不安を感じながらもどんなクラスなのか少しドキドキしています。
僅かな緊張を悟られたのか、高畑さんは軽く笑いました。
「緊張しなくても大丈夫だよ。あのクラスは」
「どうしてでしょうか、とミサカは尋ねます」
「……緊張してても多分無意味になるだろうからね」
口元をひきつらせて言っている高畑さんはどこか疲れて見えました。
個性がすごい、ということはおそらくそのクラスは濃すぎるのだと判断しました。

つまり、問題児が多いのだと。

だから高畑さんもこのように疲れた表情を見せているのでしょう。
濃いクラスにはそれに対抗しうるような濃いキャラでなければいけません。
じゃないとミサカと言う個が群衆に呑まれて消えてしまう―――大げさですね。
ミサカはくるりと後ろに振り向きます。
そこではアクセラレータがふんぞり返って蜜柑を食べていました。
相変わらず目の前にはコーヒー……恐ろしく合わないと思いますが、それでも食べているのでおいしいのでしょう。
もうツッコミ飽きたので、そのことにはスルーしながらミサカは尋ねました。
「アクセラレータ、ミサカのキャラは濃いですか?とミサカはアクセラレータにガンたれます」
「お前でキャラ立ってねェなンて言う奴はそうそういねェだろォよ。っつかいい度胸だ。テメェ蜜柑の占有権が誰にあるかわかってねェみてェだな」
「なら炬燵の占有権はミサカにあります、とミサカはモゾモゾ炬燵に潜り込みながら絶対防衛線を主張しま―――あっ、何を炬燵を持ち上げているのですかとミサカは実力行使に断固抗議します!!」
「炬燵は皆で入るために四辺存在してンだよ!!テメェ一人だけで残り三辺を死守する事は物理的に考えて不可能だろうが!!」
「くっ、蜜柑が、炬燵が遠のいていく……とミサカは絶望に打ちひしがれます」
「……どこから突っ込めばいいんだ?」
ふと見ると、高畑さんは苦笑いをしていました。
ミサカが炬燵を取られているというのに、冷たい人です―――という冗談はさておき。
「所で高畑さん、そのクラスはキャラが濃くないと飲みこまれるような濃いクラスなのですか、とミサカは質問します」
「きゃ、キャラ?まあ……僕は人それぞれだと思うけどね。ミサカさんが無理に合わせる必要はないと思うよ」
「つまりミサカはミサカらしく誇らしくいけばいいというわけですね、とミサカは納得します」
「……今のはネタなのかい?」
「さあどうでしょう、とミサカはクスクス笑います」
「…………」
高畑さんは疲れたように肩を落としました。
アクセラレータはそれを見てニヤニヤしながら蜜柑を頬張っています。
どうでもいいですが、今何個目ですか、アクセラレータ。
ミサカがその質問をしようとした時、高畑さんはため息交じりに立ちあがりました。
「そのキャラなら十分に2-Aでもやっていけると思うよ。これは担任の僕が保証する」
「だろォな」
くつくつとアクセラレータは笑いました。
なんでわかるのかと聞きそうになりましたが、アクセラレータは広域指導員だったことを思い出します。
いつも麻帆良を歩いていれば面識も広くなる、ということですか。
それに、確か刹那さんが2-Aだったと思います。
愛衣さんも中学校にいた気がします。
だからアクセラレータもあの中学校について詳しいのだ、と思います。
「中学校の位置はわかるかい?何度も行った事があるだろうけど」
「一応はわかりますが、教室の位置はわかりません、とミサカは答えます」
「それなら一度教室に来てくれ。僕が送っていくから」
「……変な事はしないでくださいね、とミサカは距離を取ります」
「アクセラレータ!僕はもう限界だ!この空気に耐えられないッ!!」
「いやあれはミサカの冗談だから……ミサカもいィ加減にしろ。それ系の冗談はコイツのダンディ心を予想外の角度から抉るンだ」
アクセラレータから高畑さんに対しての弄りがご法度になったところで、ミサカは高畑さんと一緒にかなり高そうな車で移動を始めました。
ミサカは詳しくないので車種はわかりませんが、普通のサラリーマンが乗る車より高そうな事は容易に想像させます。
高畑さんはすっかりミサカに苦手意識を持ってしまったようで、あまり会話が進む事はありませんでした。
ミサカもちょっと学校に行けることで舞い上がってしまっていたようです。
ちょっと反省する事にして、これ以降は少し自重しようと思いました。


「さて、と。ここがまあ、君の通う中学校……正式な名前は麻帆良学園本校女子中等学校という学校だ」


改めて校舎を見上げてみると、やはり学園都市にある学校とは大きく違うと思います。
一部凝っている学校はこれと同じような外観の校舎はありますが、基本的に学園都市は機能重視なのでシンプルな耐震構造に優れている建物が多いのです。
「この校舎の耐震構造はどうなっているのですか、とミサカは尋ねます」
「昔はなかったみたいだけど、今は鉄筋で補強されてるみたいだよ。結構前に大改修があって、その時に補強したみたいでね」
具体的な震度について言わないということは高畑さんもあまり知らないのでしょう、とミサカは予想します。
まあ、学園長などがいる魔法使いの学校ですから、魔法などで耐震を行っていても何ら不思議ではないのですが。
高畑さんについていき、玄関から入室します。
最初は学校に入ることがミサカにとって革命的事項だったのでワクワクしていましたが、今ではもう慣れたものです。
下駄箱の上に靴を置いて、スリッパをはいて廊下を歩きます。
階段をいくつか上ると、職員室を紹介され、その後階段を上がって教室に行きます。
多分、あの職員室には高畑さんのような魔法先生がいるのでしょう。
魔法使いと戦闘をしたことがないので彼らのことはまったく不明です。
一人だけ倒した事がありますがあれも不意打ちでしたし、もしもこうなるのなら一般的な魔法使いの実力を把握するべきでした、と思います。
そしてその教室に辿りつきました。
扉の上にかかっている札にはクラス名が書かれています。
中に入ると、そこはミサカが思っている教室とはちょっと違う風体の教室でした。
ミサカの知識には一人には一つずつ机が与えられ、机を離して授業を受けるとあります。
なのに目の前の机は二人で一つの長机になっています。
それが三つ……つまり六列ということになります。
ミサカが教室を観察していると、高畑さんがとある席を指さしました。
「あそこが君の席だ。エヴァは知ってるかい?彼女の隣だよ」
エヴァンジェリンさんのことですね。
あの鍋騒動以来あった事はありませんけど、面識のある人が隣と言う事は安心感があります。

でも、どうせなら刹那さんの方が親しいのでそっちの方が良かったと思いました。

まあ、贅沢を言っても始まりません。
ミサカは一番後ろの、窓際から数えて五列目の席に座ります。
どうも椅子が馴染みませんが、これから嫌でも馴染んでいくのだろうと思いました。
「視力は大丈夫かい?」
「問題ありません、とミサカは答えます」
オリジナルもコンタクトなどはしていないようですし、それほど目を酷使していないミサカの視力が悪くなる事はありえません。
これから目が悪くなるとメガネをかける可能性も出てきますけど、その時はその時に担任に相談することにします。
席から立ち上がろうとすると、着メロが鳴りました。
携帯を取り出すと、どうやらアクセラレータからのようでした。

『ついでだからそのまま買い物して帰って来い』

とだけメールにありました。
確かに効率的ではあるのでそれには同意し、帰りは商店街に寄って帰ることにしました。
「これで案内は終わりだけど、何か質問はあるかい?」
質問、ですか。
そういえば、とミサカは思い浮かんだことをそのまま言います。
「どうして学園長室が女子中学校の中にあるんですか、とミサカは当然の疑問を問いかけます」
「……うーん、それについてはちょっとわからないな……学園長の考えてることは僕にもわからないし」

特に理由もないみたいですね。

ミサカにとっては都合が良いので、それでいいですけど。
帰ってからアクセラレータに聞こうと思いながら、ミサカは高畑さんに頭を下げて、そのまま商店街に足を向けました。
ミサカはオリジナルのおかげかもの覚えが良いので、料理についてはすぐ覚えられました。
これはオリジナルも多分そこそこ料理はできると考えて良いでしょう……まあ練習をすれば、ですが。
アクセラレータに料理を習うなんて一生ないと思っていただけに、料理を教えてくれと頼むのは勇気が要る行動でしたが。
その時にアクセラレータが見せた表情は、なんというか微妙でした。
料理を作る時の説明は流暢で分かりやすかったのですが、どこかぶっきらぼうなもの言いになっていたのは何故でしょうか?


若干顔も赤くなっていた気がしますが。


ミサカには良く分かりません。
商店街に到着すると、周りにはにぎやかな喧騒が飛び交っていました。
部活帰りに制服で訪れる人もいれば、私服で訪れている人もいます。
大半が学生、という状況は学園都市とあまり変わらないので見慣れたものでした。
「おお、ミサカちゃんじゃないか。今日も買い物かい?」
「はい、とミサカは答えます」
何やらミサカは二日ほどで名前を覚えられてしまいました。
どうもアクセラレータと一緒にいた事が関係しているようです。
アクセラレータはここに来て一年間程度麻帆良にいて、その時から商店街に沸くマナーがなっていない人たちを駆除していたようです。
今でもいないというわけではないらしいですが、アクセラレータが来てから商店街の治安が良くなったのは確かなようです。
そのため、商店街の人たちからはアクセラレータはどこかヒーロー的な存在らしいです。
そのアクセラレータと一緒に歩いていた所が目撃されたようで、ミサカは商店街の人たちに興味を持たれてしまったらしく、名前を明かすことになりました。
それからアクセラレータと親戚というだけで結構サービスをしてくれるようになりました。
人情が厚い人たちが多くてミサカは最初は困惑しましたが、やはり慣れてしまえばそういうものはそういうものと認識できるようになりました。
やはり学園都市とは違うのだ、というのがその空気から察することができます。
ミサカを陥れようなんて考えの人はおらず、純粋に感謝の気持ちが伝わってきます。
それは正直に嬉しいものでした。
それぞれの店を訪れて夕飯の献立を決定し、そのまま家に帰ります。
鍵がかかっていなかったので、そのまま開けました。
「おォ、買ってきたか。レシートはあるか?」
「ふふ、ミサカは二度同じ失敗はしないのです、と誇らしげに胸を張ります」
「最初その紙きれが渡される意味がわからなかった奴とは思えねェな。おかげで計算が狂っちまったってのに」

家計簿、というのをアクセラレータはつけているようです。

今まで購入したものをデータ化し、一か月でどれだけお金を使ったのかを一目でわかるようにするものだそうです。
言われてみればそれがわからないとどれだけお金を使ったのかが具体的な数値で示せないということに気づきました。
今はちゃんとミサカもそれがわかりますので、そういう失敗はしません。
人とは学習する生き物なのです。
そう思いながら、ミサカは夕飯を作り始めます。
最初はアクセラレータも監督していたのですが、もう不要です。
まるでダメ亭主みたいにバラエティ番組をソファーの上で見ているアクセラレータを無視し、それぞれの食材を並べてどう効率的に作るか順序を決定し、作り始めます。
こうやって料理を作るのは、いつのまにか一日交替になってしまっていたことを思い出します。
アクセラレータはミサカだけに作らせているのは何か嫌なようで、いつもミサカが作ると言っているのに割り込んできています。
ミサカはただ料理をしてみたいだけなのに。
一応成果は出ているのですし、アクセラレータもただ黙ってテレビを見ていれば料理が出てくるのですからそれでいいじゃないかと思うのですが。
内心でアクセラレータへの不満を暴露していると、鰤の照り焼きがいつの間にか終わってました。
慣れれば自然とできるものですね。
ご飯が炊けたころには盛り付けも終わりましたので、そのままお盆に載せてテーブルに運びます。
できたことがわかっていたのか、アクセラレータはもうテーブルについていました。
「……段々と手際よくなってきてねェか?」
「一週間もしていれば慣れます、とミサカは手際よくお皿を並べます」
頬杖をついているアクセラレータの前に鰤の照り焼きを置き、ミサカも座ります。
そして『いただきます』と手を合わせた後、鰤の照り焼きを食べます。

うん、おいしいです。

チラリとアクセラレータを窺うと、アクセラレータは何も言わずに食事を進めていっています。
何も言わないと言う事は文句がないと言う事でしょう。
ですが、何か一言欲しいものです。
そのままじーーーーーっとアクセラレータを見ていると、ようやく気づいたようでした。
「……なンだよ」
「普通、こう言う時に一言あるものではないのですか、とミサカは当然の反応を求めます」
そう言うと、アクセラレータは一度鼻を鳴らしてから、


「まあ、美味ェな」


そう言われて、ミサカはちょっと嬉しくなりました。
自分の作った料理を褒められるのは、予想外なほど嬉しいものです。
学園都市にいたころでは想像もできないほどの環境に、ミサカはほんの少しだけ感謝しました。






SIDE 一方通行

ミサカが帰った後、俺はソファーから腰を上げた。
見回りの時間……よりは少し早い。
それもそうだ、少し早くに出る用事があるのだから。
俺は首を鳴らすと、夜の麻帆良を歩きはじめる。

どこにいても見える巨大な世界樹を眺めて、そういえばミサカが来てから世界樹に行っていないことに気づく。

今度行ってみようか、と思った。
……しかし、美味かったな、鰤の照り焼き。
いつの間にあんな腕を上げやがったんだ、アイツ。
どうもアイツなりに俺の感想を聞いて味に調整を加えているらしく、今日の料理は俺の舌にドンピシャだった。
料理をしている時の顔が無表情ながら若干楽しげなのは、おそらく料理自体が楽しいのだろうと思う。
勉強も嫌がっているようには見えなかったし、おそらくミサカにとっては何もかもが新鮮で、楽しいのだ。
そのミサカが2-Aに編入することで苦労するかどうかはミサカの性格にかかっているわけだが……まあ、その辺りは人生経験と言う奴だ。
ミサカもうまく乗り越えていくことだろう。

さて、俺がやってきたのはいつもの女子中学校。

無論、目的は学園長室である。
進み慣れた廊下を進み、学園長室の前に来るとノックして開ける。
「おお、アクセラレータ君。よく来たの」
「テメェが呼んだンじゃねェか」
そう言いながらも、この呼び出しには納得である。
というのも、呼び出される理由に心当たりがある。
「さて、と。単刀直入に言うが、ミサカ君の事じゃ」
そうだろうな、というよりも当然だ。
むしろ不確定要素であるミサカを一週間も放置してきたことが問題だ。
あっちも忙しかったのかもしれないが……もしかして放置していたのは監視のためでもあったのだろうか。
ならミサカが気づくはずだが……いや、魔法の監視では察知することもしづらいか。
それとも俺と組んで不穏な事をしないかどうかの様子見か……まあ、上げていけばキリがない。
とりあえずジジイの話を聞こう。
「とりあえずは2-Aに編入と言う形にしたが、それには異論はなさそうじゃったの?」
「まあ、アイツに経験を積ませるのもそうだし、このまま麻帆良に缶詰ってのも将来を潰すのと同じ意味だからな」
「じゃな。奨学金も出すし、自分の小遣いにするんじゃないぞい」
「するか。そんな寄生するようなセコい真似なンざしねェよ」
ジジイは頷くと、その目を鋭く変化させた。

権力者特有の威圧というものが押し寄せてくる。

おそらく無意識だろうが、それほど真剣な話と言うわけだ。
「タカミチ君にも言われたが、やはりミサカ君は悪い子じゃなさそうじゃの」
「監視してたのか?」
「流石に本人の許可もなくせんよ。君の関係者にそんな勝手な事をすれば、君がどう出るかわからんからの」
「魔法先生の方は?」
「沈静化はしたがのう……君の時のように監視命令を出さんかったから緊張気味じゃ。おそらく、君の時のようにはいかんじゃろう」
ジジイが監視命令を出さなかったのは……おそらく、ミサカの事を気遣って、だろう。
クローン人間であることを知っているのはジジイだけ。
ロクな人生じゃなかったことはわかっているはずだ。
今まで管理された人生であり、それから抜け出して現在は自由になったと言うのに、そこに監視を加えてまた管理するのはジジイでも気が引けたのだろう。
その心遣いを内心で嬉しく思いながら、俺はため息をついた。
「わかってはいたが、面倒くせェモンだな」
「学園のために貢献すれば、君のようになじめるのも早いんじゃが……そうするわけにもいかんしのう」
集団の中になじむのは、やはりその集団にどれだけ貢献するかにかかっていると俺は思うのだ。
それも具体的な形で。
実際、刀子や刹那は関西呪術協会出身であるが、彼女らはしっかり働いているため批判の声は少ない。
関西呪術協会との友好を反対している者の中にも、彼女らの功績を認めている者は多いのだ。
具体的な実績というものがそのまま信用につながるわけではないが、その実績を参考にする人間は多いと言う事だ。
この麻帆良で具体的な実績を残すためには、それこそ手っ取り早いのは関西呪術協会の陰陽師の迎撃だろう。
しかし、これをジジイは良しとしていない。
ここもクローン人間であることを知ったことが大きいだろう。
それに、俺の時とは違ってミサカは中学生として登録されている。
今までの積み上げが全くない状態での学問というのは相当に負担をかけることになるはずだ。
いつか迎撃を行うとしても、今すぐに駆り出されるのはあまりにも無茶というものだろう。
「今はその『貢献』とやらは無理だ。今でも勉強やら学校への不安やら世の中の一般常識やら学園都市との違いやらで困惑してるってのに、更に負担をかけたらここにきて早々忙殺されかねねェよ」
「かと言って、そのままそれを説明すればその出身を聞かれるしのう……一応、適当に答えておいたが、裏を取られればバレるのは必至じゃ。手回しはしておるが、深入りして調べる連中がおるから時間の問題、と言う所じゃのう」
「まさか異世界から来たなんつゥ与太話を聞くとも思えねェ。まさか弾かれることはねェと思うが、風当たりが強いのは覚悟しとかねェとな。それに、今思えば高音の所にやらせなくて正解だったな」
「ウルスラにも魔法生徒はおるからのう……向こうにちょっかいを出される可能性は高い。それを考えると、魔法先生も容易に手出しできん君の所に置いておくのは正解かもしれんの」
今の俺は実績も積んでいるし、タカミチでも敵わない実力を示しているため、ちょっかいをかけてくる人間はそういない。
エヴァが舐められているのは信組の吸血鬼である実力を発揮できていないため、人間状態になっている所を襲撃すれば仕留められると連中が考えているからだ。
魔法社会という実力社会では実力を示すことが重要だと言う事が良く分かる。

連中への牽制のためにミサカの力を見せつける必要があるのかもしれないが、今はその時ではない。

それがわかったのだろう、ジジイも頷く。
「初出撃はいつにするかの?」
「麻帆良に慣れて、危険性がないと主張してもおかしくない時期……まあ、2,3カ月後が妥当だろォな」
「停電か」
「魔法先生が総出撃する大イベントだ、出さねェワケにもいかねェよ」
ふむ、とジジイも頷いたので、ミサカを出撃させる時期は決まった。
それまでにミサカに何らかの危険が及ぶかもしれないが……。
「反撃に関してはどォなンだ?」
「こちらから手出しをしない自衛行動ならば許可する。君と同じじゃよ」
「証明できるモンがねェンだが」
「そういう連中は魔法を隠蔽するという決まりを破る以上、絶対に誰かに相談するわい。それに、だいたい正直じゃからカマをかければすぐにボロが出るもんじゃよ」
そういうもんなのかね。
その辺りの交渉は俺にはわからないので、ジジイに任せる。
「じゃ、それは伝えとく。時期も決定ってことでいいな?」
「うむ……それと、ミサカ君は君の周りではどうかね?」
「問題を起こさないかどうか、って奴か?それなら心配ねェよ。能力の暴発の危険性もなさそうだし、アイツ自身進んで問題を起こそうとするような性格じゃなさそうだしな」
いきなり破壊衝動に目覚めたりなんてカオス展開にはならないだろうが、とりあえず今は大丈夫だ。
それに、いざとなれば……まあ、その事は今考えないでおこう。


「なら、もし問題を起こした場合は?」


「…………」
先送りにしようとした思考が読まれたか。
問題を起こした、という程度がどれくらいかによるが、ジジイは恐らく能力による事件の事を言っているだろう。
一方ミサカは最初期に生産された『二〇一一二号』だ。
研究者もレベル5の暴走に巻き込まれてはただじゃすまないし、能力制御に関しては叩き込まれているはずだが……。
しかし、やはり万が一というのを考えるのが誰しもが考えることだろう。
俺がいつもやっていることだ。
俺は小さくため息をついて、ジジイを見た。

「……具体的な処罰は受けさせるつもりだ。それをどう受け取るかはアイツ次第だろ」

俺からはこう答えるしかないだろう。
つまり、手出しはしない、と。
おそらく、ジジイは俺が力で事件そのものを潰すと言う可能性も考えているはずだ。
可能性は可能性でしかないが、そういう可能性を予想できる人間は優れていると思う。
「それなら安心じゃ」
あまり長くは言わず、短く確認を取る。
その一言がとても重い意味を持っている気がして、俺はもう少し悩めば良かったか、と後悔して、直後にそれを否定する。
そういう事件で俺がミサカを庇うということは、おそらくミサカの成長にはならない、と思うのだ。
それが策略とかそういうのではなく、明らかにミサカに非がある場合、その罰は受けさせなければならないと思うのだ。
それも一つの経験として。
「……アクセラレータ君、急に老けたように見えるが?」
「その目は正常だな。10年ほど老けた気がする」
実際、俺もこの頃なんだかそんな気がしてきた。
ずっと思考に余裕がない状態で、いつも何か考えている気がする。
子供を持った親ってこういう気持ちなのか、と暢気に思う。
父親にしては随分と歳の近い娘を持ったもんだ。
俺がため息をつくと、ジジイはふぉふぉと笑う。
「随分と深いため息をつくようになったんじゃの?親の証じゃて」
「親になンてなりたくねェよ」
「雛鳥は最初に見た者を親と思うらしいぞい」
「最初に見たのはタカミチだっつゥの……」
再びふぉふぉと笑うジジイに再びため息をつき、俺は背を向ける。
なんだか、非常に腰を叩きたい気分になった。






~あとがき~

まずは謝罪を。更新が遅れてしまって申し訳ありません。
ミサカ編が一番書きたかった所なので少々燃え尽きてしまいました。
更新停止したわけじゃないです。これからも続けていきます。

今回は前回から一週間後、ミサカとアクセラレータの生活模様です。
書いている内に完全にアクセラレータが保護者になってしまいました。
色々と常識のようなものをさりげなく教えている内にこんな立ち位置に……当然と言えば当然ですが。
そしてミサカは中学校に通うことになりましたが、その裏では学園長とアクセラレータの密談があります。
お金の問題などは少し前に解決しており、その確認ですが、問題はミサカが問題を起こした時の対応です。
学園長はアクセラレータが何らかのアクションを起こすのではないかと警戒しています。
だから釘を刺しました。
そういうピリッとした緊張はあった方が良いと思うんですよね。


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