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No.21114の一覧
[0] 【完結】千雨の世界 (千雨魔改造・ネギま・多重クロス・熱血・百合成分)[弁蛇眠](2012/08/14 15:07)
[1] プロローグ[弁蛇眠](2011/10/04 13:44)
[2] 第1話「感覚-feel-」[弁蛇眠](2011/10/04 13:43)
[3] 第2話「切っ掛け」 第一章〈AKIRA編〉[弁蛇眠](2011/11/28 01:25)
[4] 第3話「図書館島」[弁蛇眠](2011/10/16 18:26)
[5] 第4話「接触」[弁蛇眠](2011/08/31 12:04)
[6] 第5話「失踪」[弁蛇眠](2011/08/31 12:04)
[7] 第6話「拡大」+現時点でのまとめ[弁蛇眠](2012/03/03 20:26)
[8] 第7話「double hero」+時系列まとめ[弁蛇眠](2012/03/03 20:27)
[9] 第8話「千雨の世界ver1.00」[弁蛇眠](2012/03/03 20:27)
[10] 第9話「Agape」 第一章〈AKIRA編〉終了[弁蛇眠](2012/03/03 20:28)
[11] 第10話「第一章エピローグ」[弁蛇眠](2012/03/03 20:29)
[12] 第11話「月」 第ニ章〈エズミに捧ぐ〉[弁蛇眠](2012/03/03 20:30)
[13] 第12話「留学」[弁蛇眠](2011/10/16 18:28)
[14] 第13話「導火線」[弁蛇眠](2011/08/31 12:17)
[15] 第14話「放課後-start-」[弁蛇眠](2011/08/31 12:18)
[16] 第15話「銃撃」+現時点でのまとめ[弁蛇眠](2012/03/03 20:32)
[17] 第16話「悲しみよこんにちは」[弁蛇眠](2011/10/16 18:29)
[18] 第17話「lost&hope」[弁蛇眠](2011/08/31 12:21)
[19] 第18話「その場所へ」+簡易勢力図[弁蛇眠](2011/08/31 12:22)
[20] 第19話「潜入準備」[弁蛇眠](2011/08/31 12:23)
[21] 第20話「Bad boys & girls」[弁蛇眠](2011/08/31 12:23)
[22] 第21話「潜入」[弁蛇眠](2011/10/16 18:53)
[23] 第22話「ユエ」[弁蛇眠](2011/10/16 18:55)
[24] 第23話「ただ、その引き金が」[弁蛇眠](2011/08/31 13:06)
[25] 第24話「衝突-burst-」[弁蛇眠](2011/08/31 15:41)
[26] 第25話「綾瀬夕映」[弁蛇眠](2011/12/12 01:20)
[27] 第26話「sorella-姉妹-」[弁蛇眠](2011/10/16 18:56)
[28] 第27話「ザ・グレイトフル・デッド」+時系列まとめ[弁蛇眠](2012/03/03 20:35)
[29] 第28話「前を向いて」[弁蛇眠](2011/08/31 16:19)
[30] 第29話「千雨の世界ver2.01」[弁蛇眠](2011/10/16 19:00)
[31] 第30話「彼女の敵は世界」 第ニ章〈エズミに捧ぐ〉終了[弁蛇眠](2011/08/31 16:27)
[32] 第30話アフター?[弁蛇眠](2012/03/03 20:37)
[33] 第31話「第二章エピローグ」[弁蛇眠](2011/08/31 16:30)
[34] 第32話「声は響かず……」[弁蛇眠](2011/12/12 01:20)
[35] 第33話「傷痕」 第三章[弁蛇眠](2011/11/28 01:27)
[36] 第34話「痕跡」[弁蛇眠](2011/08/31 16:33)
[37] 第35話「A・I」+簡易時系列、勢力などのまとめ[弁蛇眠](2012/03/03 20:39)
[38] 第36話「理と力」[弁蛇眠](2011/08/31 16:36)
[39] ifルート[弁蛇眠](2012/03/03 20:40)
[40] 第37話「風が吹いていた」[弁蛇眠](2011/08/31 16:38)
[41] 第38話「甘味」[弁蛇眠](2011/10/16 19:01)
[42] 第39話「夢追い人への階段――前夜」[弁蛇眠](2011/10/16 19:02)
[43] 第40話「フェスタ!」[弁蛇眠](2012/03/03 20:41)
[44] 第41話「heat up」[弁蛇眠](2011/10/16 19:03)
[45] 第42話「邂逅」[弁蛇眠](2011/10/30 02:55)
[46] 第43話「始まりの鐘は突然に」[弁蛇眠](2011/10/24 17:03)
[47] 第44話「人の悪意」[弁蛇眠](2012/02/19 12:42)
[48] 第45話「killer」[弁蛇眠](2012/02/19 12:42)
[49] 第46話「終幕」[弁蛇眠](2012/02/19 12:43)
[50] 第47話「そして彼女は決意する」[弁蛇眠](2011/10/27 15:03)
[51] 第48話「賽は投げられた」[弁蛇眠](2012/04/14 17:36)
[52] 第49話「strike back!」[弁蛇眠](2012/02/19 12:43)
[53] 第50話「四人」[弁蛇眠](2012/02/29 23:38)
[54] 第51話「図書館島崩壊」[弁蛇眠](2012/02/21 15:02)
[55] 第52話「それぞれの戦い」[弁蛇眠](2012/02/29 23:38)
[56] 第53話「Sparking!」[弁蛇眠](2012/02/25 20:29)
[57] 第54話「double hero/The second rush」[弁蛇眠](2012/02/27 13:56)
[58] 第55話「響く声」[弁蛇眠](2012/02/29 13:24)
[59] 第56話「千雨の世界verX.XX/error」[弁蛇眠](2012/03/02 22:57)
[60] 第57話「ラストダンスは私に」[弁蛇眠](2012/03/03 20:21)
[61] 最終話「千雨と世界」[弁蛇眠](2012/03/17 02:12)
[62] あとがき[弁蛇眠](2012/03/17 02:08)
[63] ――――[弁蛇眠](2014/11/29 12:34)
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[21114] 第42話「邂逅」
Name: 弁蛇眠◆8f640188 ID:231840e3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/10/30 02:55
 広瀬康一はお目当てのクラスを探して、校舎を彷徨っていた。

「確かこっちの方だよね」

 同じ学園とは言え女子部、しかも中等部の校舎ともなれば別世界だ。
 男子部よりかなり精緻に作られた校舎内の廊下を歩き、目的地を探す。
 本来ならばクラス番号の表示を追いかけていけば着くのだろうが、現在は様々な装飾が為されており、自分がどの教室の前を通っているのかも怪しかった。
 誰かに道順を聞こうかとも思うものの、訪ねるとなるとこの校舎の住人――つまりは女子中学生になる。余り女性に対して免疫が無い康一には、見知らぬ女子に気軽に道を聞くだけの度胸が無かった。
 よって「なんとなくコッチかな」という直感に従い続け、未だ目当ての教室にまで至ってないのだ。

「うぅ……どこだろ」

 十分ほど歩き続けると、さすがに諦めも沸いてくる。
 そこで廊下に違和感を覚えた。

「あれ? 男?」

 女子中等部の校舎内で見た客の割合は、男と女が大体半々、やや女性が多いだろうか。それなのに、この廊下の一角だけは男の割合が極端に多かった。
 よく見れば、どうやらこれは列を作っているらしい。

「行列? 何かの待ち順かな」

 康一はその行列を追いかけていくと、数十メートル程歩いてやっと列の先頭が視界に入る。

「あ……」

 行列の先頭は2-Aと書かれた教室へと吸い込まれていく。そここそ、まさに康一の目的の場所だった。







 第42話「邂逅」







 康一は長い行列に並び、ひたすら順番を待つ。
 2-Aは喫茶店をやっていると聞いてはいたが、康一はまさかこんなに男性客に人気だとは思わなかった。
 待つことニ十分程、やっと教室の中へと入る事が出来た。

「やっとか」

 気付けばもうお昼だった。せっかくなのでこの喫茶店で昼食を取ってしまおうと決める。

「いらっしゃいませー」

 康一が教室に入るやいなや、少女特有の甲高い声で出迎えられた。
 メイド服姿の少女たちの視線が、一斉に康一に突き刺さる。

「うっ」

 多少怯む康一だったが。

「あっ! 康一さーん!」

 パタパタと寄ってきたのは、柿崎美砂だ。

「約束通り来てくれたんですか」
「あぁ、うん。まぁね」

 康一は多少美砂を見上げる形で頷く。
 美砂よりも康一の方が身長が低い、そのため美砂が年上に見れる。だが、実際はもちろん康一の方が年上だ。
 高校生、しいてはモデルにすら見られるビジュアルを持つ美砂と、親しく話をしている康一の姿は、店内にいた男性客からも視線を集めた。

「ささっ、どうぞどうぞ。お客様一名入りまーす」

 そう言いながら美砂は康一の手を掴み、ぐいぐいと引っ張っていく。
 店内の一つのテーブルに康一を座らせ、美砂は対面に腰を下ろした。

「あ、私休憩入りまーす。あとよろしくー!」

 康一との時間を作るために、美砂は無理やり休みを入れようとしているようだ。
 そんな美砂の頭にゲンコツが落とされる。

「あほ! あんたはさっきお父さんが来た時に散々休んだでしょ! あと一時間で交代なんだから頑張りなさい!」

 美砂の背後に釘宮円が立っていた。

「痛いよ~。冷たいなぁ、円は」

 ぶ~、と口を尖らせて美砂は文句を言う。
 そこへ、お冷を持った千雨が近づいてきた。千雨は午前中はアキラと二人で学園内を見回り、先程クラスへと戻ってきたばかりだ。メイド服を着ているが、相変わらず伊達メガネは付けたままである。
 千雨はテーブルにお冷を置く。

「ご注文は何にしましょうか」
「うーんと、それじゃアイスティーとこのサンドイッチでお願いします」

 テーブルに置いてあったメニューをチラ見して、適当に指を差して注文した。

「はい、承りました。ご注文を確認させて頂きますと、アイスティーが一つ、ミックスサンドが一つでよろしいですね」
「はい」

 さすがにここ一週間の間、超の屋台でバイトしていただけあって、千雨の接客もこなれたものだった。接客をしながら、千雨は康一の顔を確認する。

「申し訳ありませんが……えーと、広瀬先輩ですよね」
「え、あ、うん」

 いきなり千雨に問いかけられ、どぎまぎとする康一。対して美砂と円は接点の無さそうな二人を怪訝に見つめている。

「あ、わたしは長谷川って言います。承太郎さんから色々話を聞いています」
「承太郎さんから?」

 ピクリと康一の眉が動いた。康一もここ数ヶ月の麻帆良の状況を、おおまかにだが承太郎から聞いていた。そして、そこに長谷川千雨という少女がいた事も。

「あ、じゃあ君が、承太郎さんが言ってた例の」

 どの例なのかは分からなかったが、千雨は頬をポリポリと掻きながら「はい、それです」と答える。
 そんな二人を美砂はジト目で見つめ、円は会話に付いて行けず疑問符を浮かべていた。

「ちょっと、ちょっと! 何千雨ちゃんも康一さんと知り合いなわけ?」
「あ、柿崎。いや、初対面だよ。ただ顔合わせっつーか……」

 美砂の剣幕に、千雨もたじろぐ。

「と、とりあえずそんな訳で。じゃあ何かあったら連絡ください」

 千雨はそう言い残しつつ、そそくさと逃げ出した。

「わかったよ」

 返事を待たずに逃げ出したため、聞こえたか分からないものの、康一は一応返事をしておく。康一はバックスペースに消える千雨の後ろ姿を見つめていた。
 美砂はそれを面白くないと感じ、急に話を振る。

「そういえば康一さん! 午後の『学園全体鬼ごっこ』参加しますか?」
「『学園全体鬼ごっこ』って、あの無茶な企画か。三時からだっけ?」

 初日の目玉イベントとして、午後三時から『学園全体鬼ごっこ』なるものが開催される予定だ。
 有志千名の鬼役と、逃げ役五千名の総勢六千名による学園全体を使った、壮絶なる鬼ごっこの企画だ。
 南北に麻帆良を貫き、北端が世界樹へと繋がる大通りを鬼ごっこのエリアとし、巨大なモニターなどでその有様を中継するのだとか。
 鬼役やら逃げ役には、あらかじめ麻帆良でも有名な人間を起用し、注目選手として中継するとか。確か朝に配られた麻帆良祭のガイド冊子にも『注目選手紹介』なるコーナーがあった。
 当日の来場者枠も多く取ってあり、今日も朝から参加者を募っていたはずだ。

「で、ですね。もし参加しないんであれば、私と――」
「あ、ごめん。その時間には用事があるんだ」

 午後三時、確か図書館島に近い広場で、格闘技大会があったはずだ。康一は友人の東方仗助と豪徳寺薫が出場するらしく、ぜひ応援してくれと言っていた。

(でも、出場理由がなぁ……)

 その格闘大会の優勝賞金はなんと十万円。大学のどこぞの格闘サークルが企画したらしいイベントだが、いかんせん『学園全体鬼ごっこ』と被ってしまっているのだ。参加人数は恐らく少ない。
 しかし、そこで目を着けたのが仗助だった。
 「これだったら俺でも優勝できるんじゃね」といった感じで、人数が少ないのを見越しつつ、賞金に目が眩んで参加を決意。更に薫も「仗助が出るなら俺も出る」といった様子で参加を決定した。
 二人に絶対応援に行くよ、などと言った手前、さすがに行かないのは気が引ける。
 康一は事のあらましを伝えると、美砂は口元を膨らませて不満を示した。

「う~、せっかく康一さんと色々見ようと思ったのに~」
「あんた何ワガママばっかり言ってるのよ。それにしても、賞金十万円ってけっこうすごいですね。やっぱり午後三時となると客足鈍るんでしょうか」

 美砂をたしなめつつ、円がそう言った。

「うちの喫茶店も三時に閑古鳥が鳴かない様に、イベントを行なうんですよ」
「へー、そうなんだ」

 康一はお冷を一口含みながら答える。

「そうなんですよ! でも私その時間はパパと麻帆良を回ろうかなー、とか思ってたりして」
「美砂ちゃん、お父さん来てるんだ」
「はい! 今日も午前中にここへ遊び来てくれてたんです」

 その話に及ぶと、円がいたたまれないと言う感じの視線を、康一へと送った。

「パパに康一さんの話したら、すごく喜んじゃって! ぜひ、会いたいって言ってたんですよ~」
「え、美砂ちゃんのお父さんが……」

 康一とて、露骨な美砂の好意を感じていないわけでは無い。それでも康一には今美砂をどうこうする様な状況で無く、それを先送りしていた。
 美砂が好意を持っている、そんな男に対して父親がどういう感情を持つだろう。

(うぅ、嫌な予感がする)

 美砂は女子中等部に通っており、箱入りとも言える。そんな娘に、高校生の男が近寄ってきている。正直要点だけ抜け出せば、好意など感じ様が無いかもしれない。
 康一はタラタラと冷や汗をかいた。そして、その時に美砂の友人の円の視線に気付いた。
 美砂は嬉しそうに父親の事を語っている。康一は目線で円に父親について伺いを立てると、円は目を伏せながら残念そうに首を振った。

(えーと、釘宮さんだっけ。あの子のリアクションを見る限り、なんかヤバそうだぞ)

 中学生を毒牙にかける風聞の悪い高校生、とでも思われてるのだろうか。

「あー、でもほら。せっかくの親子で会うのに、僕がいたら邪魔でしょ」
「そんな事無いですよ! パパもきっと喜びますって! 明日とかどうですか? パパも三日間いるって言ってたし、明日時間に都合合わせて一緒に会いましょうよ~」

 美砂はキラキラとした瞳を康一に向ける。この視線を受けると、どうにも断りづらい。

「う、あ、その……。う、それじゃ――」
「ほら美砂。いい加減戻るわよ。すいません康一さん、長い間お邪魔しちゃって」
「うぇ、何するのよ円ったら~」

 康一が了承の言葉を吐きそうになる前に、円がうまく横槍を入れてくれた。美砂は円に襟首を掴まれながら、ズルズルとバックスペースに戻されていく。
 それに代わるかの如く、バックスペースから康一の注文の品を持ったメイドが現れた。長身にポニーテール姿をしているその少女は大河内アキラだ。
 大きめのトレイを持ちながらも、一切のブレが無く、スムーズに品を運んでいる。

「失礼します。ご注文の品をお持ちしました」

 アイスティーにミックスサンドがテーブルに並べられる。

「ご注文はお揃いでしょうか?」
「大丈夫です」
「はい。それでは失礼します」

 ニコリと笑顔を返すアキラに、康一はドキリとしてしまう。美砂にしろ、このクラスの生徒はどうにも大人びて見え、康一は年上なはずなのに、すぐにドキドキしてしまう。
 なんとなく情けなくなりつつ、アイスティーを一口飲む。

「あ、美味しい……」

 紅茶自体がそんなに好きでは無いが、喉越しが爽やかなそれは康一の舌にもしっかり合った。
 空腹を思い出した康一は、更にミックスサンドをがっつく。その美味しさに、お代わりまでしてしまうのだった。



     ◆



 古菲は軽く肩を回す。次に肘、そして手首。
 異常が無い事を確認したら、今度は脚の関節を確かめる。
 更には軽くストレッチをし、体全体の違和感を見極めた。

「うむ。大丈夫アル!」

 どうやら午前中のダメージは残っていない様だ。
 古は麻帆良祭の初日の午前中から、早速宣言通りに格闘大会を二つ制覇していた。
 とは言っても、両方とも小さいサークルのイベントなため、賞金も参加人数も微々たるものだった。
 だがおかげで午前中という限られた時間で、二つもの大会を制す事が出来たとも言える。
 片方はある大学のボクシングサークルが行なった、ボクシング大会だ。ボクシングのルールは馴染み無いので、おおよその禁止事項を部員に直接聞いた後、ほとんどぶっつけで出場した。
 一回戦はそこそこの強者にあたり、ルールへの無理解もあって多少苦戦したが、それい以降は順当に勝ち進み優勝。見事に三万円のクオカードを手中に収めたのだった。
 続いて出場したのは、高校のアームレスリング部主催の腕相撲大会だ。大学生の屈強な運動部員達が参加する中、古の姿は否が応にも目立つ。それでも、古は中国武術研究会部長として知られているので、一部の参加者は戦慄していた。
 単純な膂力という意味では、古のそれはズバ抜けていない。しかし、だからと言って腕相撲で負ける理由にはならないのだ。
 それこそが理合。弱者が持つからこその武術である。
 古は冷静に相手の呼吸を感じながら、腕にかける力の強弱をコントロールした。それにより、時に一気に、時にじわじわと相手を追い詰め、勝利をもぎ取っていく。
 またもや腕相撲大会に勝利し、古は学食の共通食券を手に入れるのだった。
 古はその後昼食を取り、午後に行なわれる格闘大会の会場へと向かっている。大会にエントリーするためだ。
 確か二時まで受付が行なわれているはず。場所は図書館島方面の広場。湖に近かった気がする。
 古菲は意気揚々とその場所へ向かう。今日の格好はお得意のチャイナドレスに、下は七部丈のスパッツを履いている。
 屋台や露天が立ち並び、人でごった返す街並みを歩く。途中にあったクレープ屋台で一つ買い込み、食べながらも歩き続けた。

「うむ、美味アル」

 古の目的は何も格闘大会の全てに勝つ事ではない。彼女の目的は師である烈海王と戦い、そして勝つ事だ。
 ただ戦うだけなら鍛錬の場でも出来るだろう。だが、それでは駄目なのだ。
 実戦とも言える場でこそ立ち合い、戦うからこそ価値がある。

(おそらく今のワタシじゃ烈老師には敵わないアル。それでも――)

 それでこそ燃えるものがあった。常勝の相手に立ち向かい、何の意味があるのだろう。武とは格上の相手を打倒するからこそ、意味を見出せるのだ。明確な言葉には出来ないものの、古菲は漠然とそう感じている。
 そして、師である烈海王が自らとの戦いを誘った。それはきっと意味がある。
 古の心はこれからの戦いを想像し、愉悦を感じた。

「お、あそこアルカ」

 喧騒より少し離れた場所に、その広場はあった。近くには湖があり、湖に浮かぶ図書館島もよく見える。
 広場の中央にはズデンとリングが設置され、周囲にはパイプ椅子が整然と並んでいた。収容客数は多くて五百といった所か。
 戦いの匂いを感じ、自然と体が浮ついた。軽くジャンプして体をほぐすのは、無意識の所作だ。
 リングより少し離れた場所に、運営サークルのものと思われるテントが見えた。
 その場所へ向かおうとすると、ゾクリと古の背筋に戦慄が走る。
 背中を力強い指でなぞられた感触。強者、よく知っている強者の気配。
 知らず口が弧を作っていた。

「早くも当りを引いてしまったアルネ、烈老師」

 古の視界が狭まる。見つめるべきは、会場の片隅に立つ一人の男。
 中国拳法の世界に産まれた異端児にして天才。その男は若くして称号たる海王の名を受けた。
 烈海王、その人が立っていた。

「よく来たな古よ」

 男もまた武人。成長著しい愛弟子との戦いを楽しみにしていた。



     ◆



 康一は仗助達を応援するために、格闘大会の開催場所へと足を運んでいた。
 そこで意外な人物と出会う。

「あ、承太郎さん」
「康一君か」

 そこにいたのは空条承太郎だった。
 リングが設置された場所の近くに、いつもの白いコートに白帽子の様相で、承太郎は佇んでいる。

「承太郎さん、どうしたんですか?」
「あぁ、仗助に呼ばれてな」
「あ、承太郎さんもですか。僕も応援に呼ばれてたんですよ」

 そう言いながら二人は飲み物を買い、連れ立って客席のパイプ椅子に座った。
 そこへレスリングのユニフォームを着たガタイの良い男性が通りがかり、承太郎に挨拶した。

「空条先生ちわーっス、って。あれ? 先生も参加ですか」
「いや、今回はただの応援だ。お前こそ参加か」
「はい! なんたって賞金十万円ですからね。しっかりもぎとってきますよ、見ててくださいね!」
「あぁ、頑張れよ。それと、レポート忘れるなよ」
「あは、あははは。了解ッス」

 男性は大学生らしく、ペコリとお辞儀をしてそのままイベント受付の方へ走っていった。

「そういえば、承太郎さんは大学で講師やってたんですよね」
「臨時だがな。一応海洋生物学が専門だ」

 先程の男性は、承太郎の講義に参加している生徒の様だ。
 二人がそんな話をしていると、暑苦しい格好の二人組みが近づいてきた。
 二人ともリーゼントに学ランという、時代遅れの不良という印象である。東方仗助と豪徳寺薫だ。

「おう康一、来てくれたのか。それに承太郎さん」
「はじめましてッス、空条先生。仗助から話は聞いてます。豪徳寺薫って言います」

 気軽に手を上げて挨拶する仗助とは対照的に、薫は初対面の承太郎に対しキッチリとお辞儀をした。

「俺も仗助から話を聞いてるよ、豪徳寺君。せわしない奴だが、よろしく頼む」
「うぃッス。がんばります」

 二人のやり取りが、なんとなく自分を貶してる様で、余り面白くない仗助がいた。

「そういえば二人とも、その格好で出場するの? てっきり柔道着とか運動着かと思ってたよ」
「はッ! 何言ってやがる康一! 男だったらこの格好しかないだろ。ビシっと勝ってくるから、見ててくれよなぁ!」

 ワハハ、と余裕の笑い声を上げながら、仗助は受付に向かった。

「俺もこの格好に問題はあるとは思うんだがな。やはり、この格好が一番しっくりくるんだわ。優勝は出来ないまでも、力の限りやってみるさ」

 薫はいささか自信無さ気だ。康一は薫がかなり強いらしい事を聞いている。『遠当て』なる技を使えるとか何とか。
 最近まで超能力以外の存在を知らなかった自分なら信じなかっただろうが、今の康一ならそれも納得できた。
 なのに、何故薫は自信が無いのだろう。逆に仗助が自信有り過ぎな気もするが。

「薫君、どうして優勝できないの?」
「いや、どうしったってなぁ~」

 薫がチラリと視線を横に向けた。そこには一人の少女が軽くジャンプをしたり、手首を回したりしている。
 褐色の肌に、色素の薄い髪。顔もどこか幼く、康一は中学生くらいかと思う。
 肩までの髪にお団子を二つ付けて、チャイナドレスを着ている姿は、中華レストランの給仕にも見えた。

「あの子がどうかしたの?」
「おいおい康一。お前彼女を知らないなんて、何年麻帆良に通ってるんだよ」

 薫が呆れたとばかりに言う。

「あの人は古菲さんだよ。去年の秋にあったろ『ウルティマホラ』って。あれの優勝者だ」

 『ウルティマホラ』とは、秋に麻帆良で行なわれる格闘大会だ。中学、高校、大学と様々な学校から格闘サークルの人間が集まり、トップを決めるというイベントである。

「えぇ! 優勝って、あの大会って男女別に分かれてなかったよね」
「当たり前だ。古菲さんは大の男も含めて、みんなノシて優勝してるんだよ。それに中武研の部長でもある。言わば格闘の天才ってヤツだ」
「へぇ~」

 思い出せば、確かに去年「中学の女子が優勝した」だの、なんか話題になってた気がする。だが、格闘技に興味が無かった康一は、優勝者の名前やら詳細まで耳から素通りしていた。

「まぁ、優勝は出来ないだろう。それでも、全力でぶつかっていくぜ。今の俺がどこまで出来るか、それが楽しみだ。最初は暇つぶし程度に思ってたが、この大会、かなりのもんだぜ」

 薫の瞳には闘志があった。ぐるりと見渡せば、狭い会場にポツリポツリと人が集まって来ている。
 出場者と思われる人間は姿格好で分かるが、そのどれもが一癖も二癖もありそうだ。

「あいつは山下か。過疎ってる大会なんて嘘ッパチだな。これはウルティマホラよりヤバクなりそうだ」

 ニヤリと笑う薫の表情が固まった。
 康一は不思議に思い、その視線を追いかけた。
 視線は先程の少女――古菲の背中を見つめていた。いや、違う。古菲のその先、彼女が対峙しているある人物に注がれていた。
 古菲と同じ浅黒い肌をした屈強な男性だ。康一が想像する『中国拳法家』が実在したら、こんな格好だろうという姿だ。
 黒い髪は後ろでピッチリ纏まっており、後頭部から先が三つ編みが施され、尻尾の様になびいている。

「はは、なんだあの人。すげぇ……」
 薫がその男性に見とれている様だった。
「――烈海王」

 康一と薫のやり取りをおとなしく聞いていた承太郎が呟いた。

「え、知ってるんですか承太郎さん」
「あぁ、有名な御仁だよ。中国拳法の大家だ」

 視線の先では古菲と烈海王が何か会話をしていた。しかし、さすがに声までは聞こえない。
 薫は笑みを浮かべながら、意気揚々と受付に向かった。
 ちなみに後でこの事を知った仗助は、薫とは対照的にひどく落ち込んだ。

「ちくしょう。十万円、手堅かったはずなのに……」



     ◆



 お昼を境にクラスの喫茶店業務に参加した千雨とアキラだったが、途中で夕映も喫茶店に合流した。
 三人はあくせくと働きつつも、祭りの空気を楽しんでいた。

「ふーん、やっぱトリエラさん来たのか」
「はい。なんかすごくはしゃいでたデス」

 夕映の話では、午前中夕映が行なっていた図書館島のガイドツアーにトリエラが来たらしい。はしゃいでたとの事だが、妹を溺愛するあの人ならしょうがないだろう、と千雨は思う。
 現在バックスペースで、千雨はノートパソコンを弄っていた。
 三時から例のヴァーチャル空間ショウを行なうらしく、その調整やらチェックやらを頼まれたのだ。超は何故か不在、葉加瀬は屋台の方もあるらしく、今はそっちに出張っている。
 パソコンに詳しい存在となると、必然千雨にお鉢が回ってくるのだ。
 千雨は椅子に座りつつ、だらしなく脚を組んでキーボードをポチポチ叩いている。
 背後では夕映が立ってモニターを覗き込んでいる。そうしながら二人で雑談をしていたのだ。
 並列思考を持つ千雨は、会話をしながら作業するなど容易い。
 そうやって十五分ほどかけて、千雨は一応のチェックを終了した。

「よし、こんなもんだろ」
「どれどれ、せっかくだから私も見てあげるです~」

 そう言いながらアサクラが夕映の頭から飛び降り、ノートパソコンの前に立った。
 パソコンに直接触れながら、データの確認をしているらしい。

「うぅ、さすが千雨様ですぅ。バグの一つも無いなんて……」

 アサクラは活躍の場が無い事に残念らしい。

「まぁ、バグが無いって言っても、ヒューマンエラーは往々にしてあるからな」

 落ち込むアサクラの頭をぐいぐい撫でながら言う千雨。
 そこへ、アキラが少し急ぎ足でやって来た。

「千雨ちゃん、ちょっと窓の外見てよ」
「窓の外、ってうわ~」

 窓から世界樹の方を見れば、かなりの人数の人が集まっていた。
 まだどんどん増えている様子だ。

「なんだこれ」
「『学園全体鬼ごっこ』でしょうね、おそらく」

 夕映がひょっこりと窓の隙間から覗く。

「うぇ、あの五千人だかが参加するってヤツか。でもこれ五千人所じゃないだろ」

 正確には分からないものの、現在見えるだけでも一万人程人がいそうだ。

「確か開始が三時で、二時からエントリーなはずです」
「マスター、報告するですぅ。今、麻帆良祭運営委員会のサイトを確認した所、参加者枠を五千から一万へと拡大するとの事。それにより景品なども変更されるらしいです」

 夕映の頭に乗ったアサクラが報告する。自らの本体たる記憶媒体を使い、ネットへとアクセスしたらしい。

「だ、そうですよ」
「うぇ、一万人の鬼ごっこって、怪我人続出するんじゃねーか」

 千雨が面倒くさそうな顔をする。

「千雨ちゃん、千雨ちゃん」
「ん?」

 アキラが千雨の肩をとんとんと叩く。

「寮に戻るんなら早く戻った方がいいんじゃないかな」
「あ……」

 千雨はウフコックに貰った銃を自室に忘れてしまい、それを時間が出来た時に取りに帰る予定だったのだ。
 午前中はアイス食べたり、アキラと遊びまわったり、数学研に参加してたりしてて忘れてしまっていた。
 急げば三十分程度で戻ってこれるはずだ。
 午後三時にもなって今更取りに戻るのも変な話だが、ウフコックに渡された物だからこそ、千雨は取りに帰りたかった。

「時刻は二時過ぎか。ちょっと行って来るか」

 千雨はあやかにイベント用のプログラムに問題が無い事を述べつつ、所用で少し外出する旨を伝えた。あやかもそれを承諾する。
 アキラもあやかに三十分ほどの休憩を貰った。サボったり、客と仕事関係なく騒いだりするクラスメイトが多い中、アキラは厨房と接客、両方で八面六臂の活躍を二時間していたのだ。
 あやかとしても三十分程度の休憩を上げるは、やぶさかでは無かった。
 千雨達は午前中に目立った事を反省し、手早く制服に着替える。

「夕映とあちゃくら、悪いけどもしわたしがイベントに間に合わなかったら、ソッチの管理任せられるか」

 ソッチと言いながら千雨はノートパソコンを指差す。

「分かりました。きっちりあちゃくらにやらせます」
「私がしっかりやるですぅ。安心して遅刻してください、千雨様!」

 アサクラがプリプリと腰を振りながら答える。
 千雨はアサクラの頭にポンと手を置き、「よろしくな」と言う。
 そのまま千雨とアキラは教室を抜け出し、校舎の玄関口まで来ていた。

「なぁ、あーちゃん。別にいいんだぜ、寮まで付き合わなくても」

 千雨としても自分の忘れ物程度に、アキラは付き合わせるのが申し訳なかった。

「うん、でも……」

 アキラは心配そうに千雨を見る。

「大丈夫だって。パッと行って、すぐ戻ってくるよ」

 ニカリと千雨は笑う。

「うん、そっか。じゃあ私もちょっと行きたい所あるから、そっち覗いてくるよ」
「了解。んじゃ、あとでなー」

 千雨とアキラは校門で別れ、各々別の方向へ向かう。千雨は中等部から東の方にある女子寮へ。対してアキラが向かうのは北西、図書館島のある方向だった。

(うん、聞いてみよう)

 昨日よりはマシだが、それでも千雨はまだふとした瞬間に不安そうな表情になる。

(私が何が出来るか分からない。それでも――)

 アキラは千雨の事が知りたい。そして少しでも手伝ってあげたかった。
 そうなると、彼女の行ける場所は一つしか無かった。
 いつも行く時には千雨か夕映がいた。あの場所――図書館島の地下へ一人で行くのは初めてだ。
 アキラは小さな決意をしつつ、図書館島へと向かった。



     ◆



「ふぅ……つ、疲れた」

 千雨はくたくたになりながら自室へと入る。
 普段だったら大して時間も掛からずに着くのだが、『鬼ごっこ』参加者の大群に巻き込まれ、なかなか寮に行き着けなかったのだ。

「一応、それも見越してたんだけどなぁ」

 往復三十分を考えていたが、行きに三十分以上掛かってしまった。
 千雨は部屋に入るやいなや、冷蔵庫から飲み物を一口飲む。そしてベッドに倒れこんだ。

「あぁ~、癒される~」

 静かな自室。されども窓から喧騒が聞こえた。
 外はあれほど騒がしいのに、この部屋の中はいつも通りの日常だ。どこかそれがおかしく、千雨は笑みを作ってしまう。

「こんな時間がずっと続けばいいのに……」

 アキラがいて、夕映がいて、ドクターがいて、クラスメイトがいて――そしてウフコックがいる。
 千雨には今の日々が、奇跡の様に感じられる。
 本来、両親を失った千雨は親戚か施設に引き取られるはずだった。それがどんな運命か、彼女が運び込まれたのは《学園都市》。
 そこで起こった事は楽しい事ばかりじゃない。それでもズタズタに傷ついた千雨を、歪な家族ごっこで癒してくれたのは、間違いなくウフコックとドクターだ。
 千雨にとって一匹と一人はかけがいの無い存在になっていた。

「うっ……」

 千雨の中にさみしさが込み上げてきた。
 今はアキラも夕映も、ましてやウフコックもいず、一人で部屋にいる。
 寮の中はしんと静まり返り、人気がほとんど無い。
 そんな空気が、千雨も孤独感をゆさぶり起こしたのだ。
 そして想起するのは不安。嫌な未来。不安定な自分、ウフコックの体。冷たい予感が背筋を這う。
 千雨は必死にそんな気持ちを振り払おうとする。

「大丈夫だ。先生はきっと助かる……助けてみせる」

 ベッドに寝転がりながら、息を大きく吐いた。

「大丈夫。ドクターもいる、先生も助かる、あーちゃんも夕映も……」

 おまじないの様に呟き続けた。千雨の想像が、まるで絶対に正しい揺ぎ無い真実の様に。
 気付けば十分ほど寝転がってた様だ。

「やばい。は、はやく帰らないと」

 ベッドから起き上がり、千雨は銃を取るために自分の机の引き出しを開けた。
 そこにあったのはウフコックから貰った『千雨の銃』、そして何発かの弾丸だ。
 千雨はそれをホルダーごと太ももに装着した。

「よし、これで大丈夫」

 チラリと時計を見れば三時に近い。

「うわ、喫茶のイベントには間に合わないか……」

――《turning-point》

 脳内に垣間見えたノイズ。一瞬視界がクラリとしたが、すぐに持ち直す。

「ん?」

 ふと、何かが脳裏を過ぎった気がしたが、泡の様に霧散してしまう。
 自室の外を覗けば、遠くに見える『鬼ごっこ』の集団の賑わいも一段と増していた。
 スピーカーでの呼びかけが必死に行なわれている。おそらく運営側が大量に増えた参加者を、どうにか捌こうとしているのだろう。
 もうすぐ三時になる。そんな時に千雨は奇妙な気配を感じた。

「な、なんだこれ……」

 本来視覚では見えない。されど独特の知覚領域を持つ千雨は〝ソレ〟をしっかりと確認した。
 世界樹を中心に空間に広がる波。不可視の波が周囲の建物、人、そして千雨自身までをも通り過ぎた。
 そう、波は体をすり抜けただけなのだ。

「な、なんだあの波は……」

 異常な感覚。心に警鐘が鳴り響いた。
 千雨はまったく事態が飲み込めず、混乱した。
 外の街並みに今の所変わりは無い。
 なのに、千雨だけはその異常を察知した。
 ふらつく体に活を入れ、千雨は立ち上がり、異常をアキラ達に知らせようとする。
 しかし、その時声が聞こえた。

『『ゲーム』を始めよう』

 始まりの鐘は万人に届かず、鳴らされた。



     ◆



 午後三時。
 長谷川千雨は寮の自室にいた。
 大河内アキラは図書館島からの帰り道をトボトボと歩いていた。
 綾瀬夕映は2-Aの教室でイベントに参加していた。
 広瀬康一は空条承太郎と共に、格闘大会の応援に参加していた。
 高畑・T・タカミチは『学園全体鬼ごっこ」』を運営委員と共に見守っていた。
 近衛近右衛門は学園長室で座っていた。
 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは自宅でくつろいでいた。
 トリエラは男性と別れ、一人街を歩いていた。
 そして、超鈴音は――。
 かくて、短く長い戦いの幕は上がる。



 つづく。



●千雨の世界 42話時点でのサブ資料
http:/
/nao-sko.sakura.ne.jp/novel/c-sub042.html





(2011/10/30 あとがき削除)


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