彼、広瀬康一にとってその日の行動は、特に変わらない習慣だった。
定期的に病院に行き、検査を受ける。
そして三ヶ月に一度は《学園都市》を訪れ、身体検査(システムスキャン)を受ける。
康一が《学園都市》を出てからも、義務付けられている行いだ。
《学園都市》という場所に良い思い出は無い。いや、あるのかもしれないが、それ以上の苦い記憶が上塗りしていた。
超能力というヒエラルキーに支えられた《学園都市》で、低能力者(レベル1)に属されていた彼に、能力においての恩恵は無い。
ましてや『音声複写(エコーズ)』などという、携帯に付属されているボイスレコーダー以下の能力では何の役にも立たず、無能力者(レベル0)と同じだった。
小さな体躯と気弱な性格が災いし、イジメのターゲットにされたのが中学一年生の頃。大きめでダブダブの制服が初々しい時だ。
最初はクラスの男子達に一緒に帰ろうと誘われただけだった。だが、康一の性格を把握したのか、徐々にその扱いは酷くなっていった。
体のいい荷物持ちから、コンビニへの使い端、そして財布代わりへと。康一の持つ財布にある金は、暴力により容易く奪われる。
康一とて反抗しようとしたが、そこには絶対の〝壁〟があった。
超能力。
この《学園都市》の根幹であり、康一の大嫌いな存在だった。
康一をイジメていたリーダー格の男子は、中一でレベル3という強能力者だった。空中の水分を凍らせ、氷の針を打ち出す彼の能力は、証拠の残らない凶器に等しい。精神の未熟な中学生が拳銃を持ち歩いてる様なものだ。
未熟な精神は引き金を軽くさせる。
イジメへの抵抗を見せた人間に対しては、リーダー格の男子の制裁が行なわれた。
「ギャァァァァ!」
目の前で、同級生の手の平に氷の針が打ち込まれる光景は目に焼きついていた。次は自分かと思い、歯の根が合わない程震えていたのも思い出す。
康一は逃げたかった。
だが、学園都市を囲む《壁》は分厚く、高い。
それでも彼は《壁》の外へ出たかったのだ。
駄目元での外部への転校申請。壁の中ならまだしも、壁の外への許可など降りるはずが無いと分かりながら。
本来、能力開発を受けた人間の都市外への外出には、厳しい制限が設けられている。
なにせ世界中の人間が興味を持つ、超能力のサンプルである。
技術流出という観点から見ても、本人の安全のためにも、この《壁》は必要不可欠なのだ。
数日の外出にしても、体内へマイクロチップが埋め込まれ、常時GPSによる監視が入る。
康一の様な転校申請も、年間数千に渡り提出されている。その様なありきたりな要求に、都市側が一々答えるわけなど無い。
簡素な定型文で、やんわりと拒否されるのが落ちのはずであった。
だが――。
「出れるんですか? 僕が、《学園都市》から……」
校長室へ呼び出された康一は、驚きを隠せないまま校長へ問う。
「うむ、異例だがね。理事会からの承認がしっかりと記載されている」
薄っぺらい紙が一枚、康一へ渡された。康一はマジマジと用紙を見た。
「ふん、うまくやったな広瀬君。おめでとう」
皮肉混じりの言葉に、康一はどこか罪悪感を持つ。果たして本当に出て行っていいのだろうか。
一人、タブーとなる逃避方法を得た康一の脳裏に、自分以外のイジメられっ子を思い出す。
それでも、一度動き出した事態は止まらない。
諸所の手続きはスムーズに進み、たった二週間で転校と相成った。
転校先は《麻帆良学園》。
この時の康一は何故〝自分だけが転校を許可されたのか〟。その意味をじっくり考える事はしなかった。
◆
『康一の保護のため』という名目の元、康一が《学園都市》に在籍していた半年ばかりの証拠は徹底的に抹消された。
小学生の時の同級生すら、康一が学園都市に行った事を忘れていた。
様々な書類の改竄もされた。
『保護プログラム』という名を康一は教えられる。綺麗な大人の女性が康一の元に尋ねに来て、懇切丁寧に説明された。
超能力者の存在がどれだけ重要で、どれだけの機密に値するのか。被害はもしかしたら親類や友人に及ぶかもしれない。女性が話す〝もしかしたら〟の事態に康一は怯え、過度に見える『保護プラグラム』の内容も納得した。
プログラムは徹底されていた。
都内にあり、密かに《学園都市》と関係のある病院への定期的な通院を義務付けられる。偽名のIDカードも渡された。
《学園都市》内の研究所で行なわれる、定期的な身体検査(システムスキャン)もそうだった。
もはや都市内のデータベースにも広瀬康一の名は無く、あるのは件の研究所ぐらいだ。
三ヶ月に一度、偽名IDで《学園都市》の観光ツアーに紛れて入り、身体検査(システムスキャン)をして帰る。
なにかスパイの様だと、最初は緊張したものだが、それは日常に変わっていく。
そして三年が経ち、康一は高校一年生になっていた。
◆
「やぁ、広瀬君」
研究所のロビーで、咥えタバコをしている女医が手を上げながら快活に挨拶をする。
ちなみタバコに火は付いていない。
「あ、どうも先生」
康一はペコリと頭を下げる。もう三年の付き合いであり、どこか気楽なものだった。
女医はこの《学園都市》の中で数少ない、『広瀬康一』を『広瀬康一』だと知っている人物である。
また、康一の身体検査(システムスキャン)を担当しているのが彼女だ。
「どれ、さっさと済ませてしまおうか。おっと、あと帰りにお願いがあるんだ」
「お願い、ですか?」
火の付いてないタバコをかみ締めながら、キシシと笑う女医。
「うん、お願い。まぁ、君にとっても悪くないと思うがね」
「はぁ」
康一は気の無い返事する。どうせ碌でも無い事なのだろうと、予測はついていた。
ほんの一時間もすれば身体検査(システムスキャン)は全て終わった。
やるのは簡単な身長体重の検査と、能力開発の程度を見るくらいだ。〝いつも通りの〟機械に座り、三十分も目を閉じてれば終了である。
(いつもながら、クラクラするなこれは)
どうにも身体検査(システムスキャン)を受けると頭がぼやける。体にもドっとした疲れが襲い、帰りの電車で寝入ってしまったのは一度や二度では無い。
ふらつく体をどうにか支えながら、研究所のロビーまで戻ってきた。
そこでは件の女医が手を振っていた。
(そういえば、お願いがどうとか言っていたな――)
女医が手招くのに、嫌な予感がしつつもとりあえず応じる。
「お疲れさん。なんか飲むかい?」
「いえ、こちらこそありがとうございました。それと飲み物は遠慮します。それで〝お願い〟って言うのは……」
「ふむ、せっかちだな君は。まぁ、いいか。おーい、湾内君」
女医の合図にあわせて、一人の女子生徒が歩いてくる。
思わぬ登場に康一はドキッとし、ぼやけた脳が一気に目覚めていく。
肩口まで伸びた栗色の髪は、緩やかなウェーブを描きながら揺れていた。顔はどこか幼いながらも、柔らかな印象を与える。肌は小麦色という程ではないが健康的に焼けていた。
(あの制服、確か常盤台中学? 僕より年下か)
『湾内』と呼ばれた少女は美少女と言っても差し支えなく、自分に自身の持てない康一は気後れした。
少女が近づくにつれ、彼女の身長が康一より大きいことに気付いた。なにせ康一ときたら、クラスでも一番背が低いのだ。勉強が優秀というわけでも無く、運動も苦手だ。
(――僕よりも身長高いや。情けないなぁ。あれ? それに)
少女の二の腕に包帯が見えた。あの位置の包帯は、康一にも覚えがあった。
(そう、〝外〟へ出るときのマイクロチップを埋める場所だ)
康一の二の腕にも、未だに三年前に埋め込まれたマイクロチップがある。
「ほれ、湾内君。こっちだ」
「は、はい」
少し戸惑いつつも、少女は女医に押され康一の正面に立たされる。
康一は少しだけ見上げるような状態で、彼女を見つめた。
「広瀬君、こちら湾内絹保君。中一だ。どうだ、美少女だろ~」
「せ、先生!」
絹保が顔を赤らめながら、女医に迫る。
「はははは、照れるな照れるな。それでこっちが広瀬康一君。先日話した様に、彼はちょっと〝特殊〟でね。あまり都市内では名前を呼ばない様に。それ以外は特に平凡な、人畜無害な男だ。私が保証しよう」
「せ、先生。話しちゃってもいいんですか――」
康一は周囲をキョロキョロと見回すも、研究所のロビーはいつも通り人気が無い。
「なぁに、この施設内で話す分には大丈夫さ。それに彼女には簡単な経緯は話してある。それで君へのお願いってのは、湾内君を麻帆良まで送ってほしいんだ」
「麻帆良まで?」
康一は訝しげな表情を浮かべる。
「あぁ。彼女はね、所謂交換留学生という奴だ。どうにも《学園都市》と《麻帆良》はずっと疎遠でね。最近になり、ちょっと親交を深くしようという動きがあるのさ。彼女はそのモデルケース。半年間限定で麻帆良に遊びにいくというわけだ」
「はぁ……」
「彼女は本日ウチの研究所で身体検査(システムスキャン)をし、マイクロチップを埋め込み、外へ出る準備万端なわけだが……。近いと言っても地理に不慣れだろうし、ガイドを付けてやろうと思ってね」
事情は察することが出来た。確かに《学園都市》の北口ゲートの周辺は、東側よりも閑散としており、交通も不便なのだ。
康一自身は知らなかったが、そういう何気ない不便さにも、都市間の対立というものがある。
「彼女は知っての通り常盤台のお嬢様だ。男性にも余り免疫が無い。そこで君に白羽の矢が立ったというわけだ。年上で一応男、だが人畜無害は保証済み。例え襲われたとて、広瀬君ぐらいならすぐに返り討ちできるだろうからね。ついでに土地勘もあるし、帰り道のついでにエスコートして貰うと思ったワケだ」
「酷いッ!」
康一は泣きそうになるが、女医はハハハと笑うばかりだ。絹保は後ろで申し訳無さそうに苦笑いしている。
「で、でも。僕はその、保護プログラムがありますし……」
「一応その心配についても上に許可は取ってある。それにこれから麻帆良との交流も進めば、保護プログラムといっても意味は無くなるだろう。現在、君においての問題は『学園都市に来る理由』だけだ。君が超能力者であった事や、その他諸々の経歴はほぼ抹消済みだ。必要なのは能力開発後のケアだけだからな」
今、市井に紛れてしまえば、康一が超能力者だったとバレる事はほぼ無いだろう。それは彼の家族や友人が危機にさらされる事が無いという事だ。
ただ、能力開発は一度受けてしまうと元に戻す事は出来ない。都市内でしか能力のケアができなく、康一は仕方無しに《学園都市》との繋がりが切れないのだ。
だが、麻帆良との交流が進めば、麻帆良の学生である康一が《学園都市》に通う理由が作れるかもしれない。そういう意味で女医は言っていた。
「あの、やっぱりご迷惑なんじゃ」
絹保がおずおずと尋ねる。
「あ、いや、その。全然ッ! 全然そんな事ないよ、うん」
「ありがとうございます、広瀬先輩」
ニコリと笑う絹保に、康一は更にドギマギした。
(――って僕は。相手は三歳も年下だぞ。なのにっ)
だが、実際一般の人が見れば、絹保の方が年上に見られるだろう事が、康一の悲しい所だった。
「広瀬君の承諾も得られたようだし、早速向かったらどうかね。確か夕方までに入寮するんだろう。今から行けば麻帆良でデートも出来るだろう」
「デ、デートって!」
「……」
女医のからかいに、二人は顔を紅くしながら慌てる。
「ほらほら、急ぎたまえ。うまく乗り合わせれば、ここから二時間もかかるまい」
康一と絹保は、女医に背中を押されながら研究所から放り出された。
研究所の自動ドア越しに、バイバイと言わんばかりに女医が手を振っていた。
二人はそれを見た後、示し合わせた様に苦笑いを浮かべる。
「えーと、湾内さんだったよね。遅れたけど僕は広瀬康一。こう見えても一応高校一年生。頼りないだろうけど、麻帆良まで送るよ」
「よろしくお願いします先輩。私は湾内絹保。常盤台中学の一年生です」
◆
女医はギシリと椅子の背もたれに体重をかけた。
口に咥えたままだったタバコに火を点ける。紫煙が部屋に広がった。
ドアのノックと共に入ってきたのは、男性の研究者だった。
「先輩、さっきのって良いんですか?」
「あぁ、構わんよ。どうせもうすぐ使い道は無くなる」
女医が冷たい声で返す。
端末を操作し、広瀬康一のカルテデータを呼び出す。とは言っても、内容は康一自身の健康状態などの記載はほぼ無い。
広瀬康一は〝目〟だった。
三年前、お互いの不干渉が暗黙の了解であった《学園都市》と《麻帆良》。
だからと言って、お互いが素直に境界線を守るはずが無い。水面下での情報戦は遥か昔から始まっているのだ。
そんな時、学園都市内で記憶のサルベージやデジタルデータ化のメカニズムが出来上がった。
後に天井亜雄が学習装置(テスタメント)として扱う技術の原型。人工皮膚(ライタイト)とは程遠い、粗悪なものだった。
されど、人間の記憶の表層を読み取れる、その技術は様々な使い道を求められた。
その一つが人間カメラ、無自覚のスパイ活動。
広瀬康一は、学園都市側から言っても無用な人間だった。そんな彼の有用な使い道こそが、潜在的な麻帆良への情報端末である。
彼自身がレベル1の能力者、というのも都合が良かった。定期的に《学園都市》に戻らせる口実にもなるし、家族や友人も枷にすれば離れる事も出来なくなる。
康一が受けている身体検査(システムスキャン)も、実際は彼の記憶を読み取り、《麻帆良》の情報源にしているに他ならなかった。
だが、三年経つものの芳しい成果は上げられていない。
潮時か、というのが《学園都市》側の見解だ。
最近は都市間での緊張も高まり、水面下での攻防も余り意味を無くしている。
康一の存在や使い道そのものが無くなってきた。
「有用なデータは皆無。使えん〝目〟だ。せいぜい麻帆良側をかく乱してくれたら御の字だな」
絹保が麻帆良側から調査を受けるのは自明の理だ。ならば、その時に広瀬康一という本来接点が無い男子高校生が出てきたらどうだろう。
もしかしたら、彼が《学園都市》に通っているという所まで、辿り着くかもしれない。そうすれば麻帆良側も彼女達を注視するだろう。まったくの無意味な事に。
「人畜無害も美点だが、益も無いのは罪だよ、広瀬君」
◆
康一達は順調に交通網を乗り継ぎ、麻帆良行きの電車に揺られていた。
最初こそぎこちなかった二人だが、康一は年上という自負と、絹保の話しやすい性格に後押しされ、普段より積極的に話しかけた。
絹保も、男性は苦手という程でも無いが、普段は話す機会も無い。
だが、康一の小柄な容姿に実家の弟を思い出す。どこか親近感を覚える。
変な下心が無い所も安心できた。
二人は談笑しながら麻帆良までの時を過ごした。
「へ~、麻帆良祭ってそんなのすごいんですか」
「うん、僕としては《学園都市》の一端覧祭にも負けていないと思ってるよ。とは言っても、僕自身は一端覧祭を体験する前に転校しちゃったんだけどね」
ハハハ、と苦笑いをする。なぜそんな時期に、とは絹保は聞かなかったし、康一も言わなかった。
年下に『イジメられたから転校しました』などと言えるはずも無く、情けない気持ちが少し滲んだ。
「あ、そういえばそろそろ麻帆良祭の時期でね。もうすぐ準備期間に入るんだったかな。今年はきっと湾内さんも参加できるよ」
「はい。楽しみですわ」
康一も、ほんの数時間だが自分を頼ってくれている絹保に、妹の様な感覚を持ち始めていた。
車内アナウンスが麻帆良の名前が流れた。
「そろそろだね、ほら見てごらん」
康一は車内から麻帆良の方向を指差す。まだ山間に隠れて見えないが、直に〝ソレ〟が見えた。
「うわぁ……」
絹保は驚きとも、喜びとも分からない声を上げる。
目前に広がるのは巨大な世界樹。そして世界樹を中心にヨーロッパ風の街並みが作られた麻帆良だった。
まるで魔法の国に来たみたい。絹保のそんな思いも、あながち間違ってはいない。
世界樹の向こう側には巨大な湖があり、その中心には図書館島と言われる島が浮かんでいる。
近未来的な《学園都市》とは対極の風景に、絹保の心は躍り上がった。
「すごい、すごいです!」
絹保の喜び様に、自分の物でも無いのにどこか鼻高々となる康一であった。
元々麻帆良の情報は余り公開されて折らず、都心に近いにも関わらず観光者も少ない。
予備知識の少ない人間が来て、麻帆良の光景に驚くのは通例となっていた。
「そ、そうだ。入寮は夕方で良いんだよね。お昼時だからちょっと食事していこうか。せっかくだし奢るよ」
女医の『デート』という言葉が頭を掠めたが、どうにか振り払う。
「え、よろしいんですか?」
「うん、まぁちょっとした収入もあったしね」
康一は身体検査(システムスキャン)に行く度に、交通費という名目で少し多めにお金を貰っていた。
『検査データの対価だ、内緒だぞ』と笑って渡してくれる女医に感謝する。お陰で少し高めの食事でも行けそうだった。
「次の駅で降りてから、路面電車で移動しようか。すぐ繁華街に着くよ」
「わぁ、路面電車ですか。私乗った事無いんですよ」
先程まで大人びてたのに、どこか年相応にウキウキしている絹保を見てると、康一も自然と笑顔になるのだった。
◆
食事を終えた二人は、絹保の希望によって簡単な麻帆良の観光をしていた。
図書館島を遠くから見たり、雰囲気のある繁華街を散策したり、麻帆良工学部の実験トラブルに驚いたり。
麻帆良に来た人間が浴びる洗礼を、しっかりとこなして行く。
「それにしてもすごいですね。どこか学舎の園を思い出しちゃいましたけど、それよりももっと大きい!」
学舎の園、とは学園都市内にある区画だ。お嬢様学校が幾つか共同して作った区画で、関係者以外は出入りが制限されている男子生徒憧れの場所である。
「確かあそこもヨーロッパ風の街並みなんだっけ」
「はい。あちらも素敵でしたけど、麻帆良も素晴らしいです!」
絹保は本当に嬉しそうに笑顔を零した。
電車で聞いた話では、留学の打診があった当初、絹保はかなり悩んだらしい。
だが、部活の顧問の言葉が決め手になった様だ。
絹保は水泳部に所属しているらしく、部活の顧問が麻帆良の運動部が強い事から勧めたらしい。
なんでも去年、麻帆良女子水泳部の女子中学生が、一年生ながら県大会で優勝したとか。
大河内がどうちゃらと、絹保は熱弁を振るっていた。
留学の間に、麻帆良の水泳部に入部して様々な事を学び取るとの事。
そんな絹保には、留学するか悩んだ時の影は無い。
(彼女も、麻帆良できっと楽しく過ごせるよな)
そんな事を思いつつ二人で並んで歩いていたが、康一は遠くに見知った人影を見つける。
(うげ、あの二人は)
知り合いに見つかると、よからぬ噂を流されるかも知れず、背に冷や汗が伝った。
「どうしました?」
固まった康一の目線を、絹保は追った。
「あれは……不良?」
今日は土曜で休みだと言うのに、リーゼントに学ランという目立つ二人組が歩いていた。
「いや、悪い人達じゃないんだよ、うん。だけどねぇ、見つかったら冷やかされそう、かな」
乾いた笑いを浮かべながら、康一は絹保に説明する。
「悪いんだけど、ちょっと物陰に隠れていいかな」
「は、はい」
康一に説明されても、絹保は昔の漫画に出てくるような不良ルックの二人に半信半疑だ。
「つーかよぉ、今日も康一の奴いないんだよ。あいつ土日の付き合い悪いよなぁ~。女でもいるんじゃないかと俺は思ってるんだが、薫はどう思う?」
「名前で呼ぶなって言ってるだろ仗助。まぁ康一は良い奴だからなぁ、彼女の一人くらい作れそうだよな……身長さえあれば。作ったら作ったで冷やかしてやる!」
学ラン姿の二人を物陰でやり過ごした康一だが、表情は堅い。
「やっぱりか……」
「ははははは、で、でも確かに悪い人達じゃないみたいですね」
絹保がフォローした。
ふと空を見ると日が傾き出していた。時間も丁度良かったので、康一は絹保を女子寮近くまで送る事にした。
だが、あの二人と鉢合わせするのが嫌で、人気の少ない道を選んでいたりする。
人通りがまばらな並木道を歩きつつ、都合が良いと思い、康一は絹保に超能力について聞いてみた。
「そういえばさ、聞きそびれちゃったんだけど、湾内さんってレベル幾つなの?」
「私ですか? とりあえずギリギリでレベル3という所ですわ」
「レベル3……やっぱり常盤台はすごいなぁ」
自分より遥か上の存在に、康一はため息を漏らす。超能力というヒエラルキー社会から逃げ出したはずだが、未だ体に残る能力の残滓が尾を引いていた。
「いえ、常盤台ではまだ私よりもすごい人が沢山います」
「ちなみに能力の種類なんかも聞いていいかな?」
「えぇ。私の能力は『水流操作』。液体に干渉し、ある程度なら操作が出来ますよ。ほら」
手に持ったペットボトルの中で紅茶の残りが球体を作っていた。
「わ、すごい!」
「本当は壁の外ではあまり使うなと言われてるんで、内緒ですよ」
絹保はチロリと舌を出した。
「それで、あの先輩は……」
「あぁ、うん気にしないでいいよ。僕はレベル1、能力は『音声複写(エコーズ)』って言うんだ」
「『音声複写(エコーズ)』、ですか?」
聞きなれない能力名に、絹保は首を傾げた。
「珍しいらしいけど、能力自体は大した事ないよ。ほらこんなの」
康一は、自分の手の平を絹保の目の前に突き出した。
「えっと、なんですか?」
「『えっと、なんですか?』」
自分と同じ声が返ってきて、絹保はビクっと驚く。
「ははは、ちょっと驚いてくれたかな。これが僕の能力『音声複写(エコーズ)』だよ。周囲の音を皮膚の上で録音し、再生する。それだけの能力なんだ」
「で、でもすごいじゃないですか」
「すごい、って言ってもねぇ~」
康一はボリボリと頭をかく。
「録音できる時間は二秒程度。しかも録音中も、音を保持している間も息を止めてないといけないんだ。一回でも呼吸しちゃうと録音データはパー。携帯に付属してるボイスレコーダー以下だよ」
予想以上の使えなさに、絹保はフォローの言葉が見つからず、戸惑った。
「あの、その……あう」
「ははは、だから気にしないで。僕はさ、もうこの能力と見切りをつける事が出来たんだ」
そう口では言いつつも、どこかに昔持っていた憧れがある。
「麻帆良のおかげかな。いや、クラスメイトにも恵まれたんだろうね。まだ見つかっていないけど、僕は超能力じゃない何か自分が打ち込める事を探したいんだ。でも運動も苦手だし、勉強もできないし、本当に見つかるかわからないけど……」
情けない先輩の愚痴を聞かせちゃってゴメン、という康一の言葉に絹保は首を振る。
「先輩ならきっと見つかります。だって麻帆良ってすごいじゃないですか。大学では巨大なロボットが動いてたり、おっきな図書館があったり。こんなに沢山の物があるんです、先輩の打ち込めるものも見つかりますよ」
絹保の言葉に、どこか希望を感じた。
そして、ちょっとだけ頑張ってみようかと、康一は思った。
(そうだな、頑張ろう。せめて、湾内さんに胸張って先輩だ、と言い張れるくらいに)
お互いの能力を明かした。
康一にとって超能力にかんして話せる同世代はここ三年いなかった。それ故口が軽くなり、お互いが秘密を共有した。
しかし、それは〝二人〟だけだった時だけだ。
ここは人通りが少ないだけで、人が居ないわけでは無い。
並木道に立つ一本の木の陰に、一人立つ人間がいた。
「ほぅ、あれが『超能力者』か」
人影はニタリと笑い、懐から鈍く光る何かを取り出した。
それは弓矢の矢の先に付く《鏃(やじり)》と呼ばれる物。
矢は半ばで折れ、短い棒に《鏃》が付いているだけの《矢》であった。
◆
それは女子寮が近づき、周囲に人影が居なくなった時だった。
康一にとっても、絹保にとっても唐突であり、何の予兆も無かった。
「それじゃ、ここらへんでいいかな。あんまり女子寮まで近づくと不審者だと思われちゃうし、それに湾内さんに余計な噂たっちゃうのも、ね」
「ふふふ、私は別に構いませんよ」
「ええ~」
驚く康一を絹保は笑顔で見つめる。
絹保も康一の他意の無い性格に、半日しか経っていなかったが信頼をよせていた。
「今日はありがとうございました。私まだこちらに知り合いがいないので、またよろしかったら付き合ってくださいね」
「う、うん。その時にはメールでもしてよ」
康一と絹保は、先程の並木道でアドレスを交換していた。
「はい、では失礼しま――」
ズプリ、と《矢》が胸を貫いた。
「え――」
絹保が目を見開く。血が噴水の様に弾け、彼女の顔を汚す。
「げ、ぷ……」
喉元から血が溢れ、呼吸が出来ない。まるで溺れたかの様に手をかざす。
《矢》は〝康一の胸元〟から突き出していた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
絹保の悲鳴が木霊した。
康一の体は力無く、地面に倒れる。絹保は急いで康一に近づいた。
傷口からは血がどんどん溢れていった。
「あっ、あっ、あっ」
絹保は今まで見た事の無い血の量に、パニックに陥る。
自分が何をすべきかすら分からず、康一の手を握るばかりだ。
無理も無い、彼女はただの中学生に過ぎず、まだ子供だった。
それでも、康一の手から感じる震えに、絹保は何をすべきか悟る。
「そうだ、傷。傷を止めないと」
霧散しそうになる演算をどうにか食い止めつつ、絹保は自らの能力を発動した。
康一の胸元に直接手を当て、血そのものを操作する。
血管から血が溢れない様に、必死で血流を操作する。本来レベル3が行なえないぐらいの、正確な能力操作をしていた。
おかげで、康一の傷口からそれ以上血が漏れる事は無く、また口から血が溢れる事も無かった。
「はっはっはっはっ」
絹保の呼吸が、緊張により荒くなる。霧散しそうになる演算を必死で掴んだ。
今、能力が消えたら康一は――。
(駄目、駄目! そんな事を考えてはッ!)
康一はおぼろげな意識の中で、血みどろになりながら必死に傷口を押さえる絹保を見ていた。
寒気が酷い。
霞む視界の中に、〝ナニか〟が浮き出てきた。
絹保の背後に人影がある。人影? あれを人影と言えるのだろうか。
人の形はしている、手があり足があり頭がある。だが、顔はどこか猫を思わせ、筋肉質の体は裸に見えるが、鎧を着ているようでもある。桃色の肌が全身を覆い、腰にはベルトを巻いていた。
康一は超能力に近い何かをを〝ソレ〟に感じた。
(あれは、いけない。あれ、からは、逃げ、ないと)
喉に残った血を吐きながら、必死に絹保に警告する。
「う、うし、ろ。うしろ、に」
「しゃ、喋っちゃ駄目です! え、後ろ?」
絹保は能力を維持しつつ、キョロキョロと周囲を見た。確かにすぐそこの後ろにいるはずなのに、絹保は〝見えていない〟かの様に、その存在に気付かない。
(そうか、見えて、いないのか)
康一は何故か自分だけが〝ソレ〟を見えているのだと理解する。
「へぇ、私の『Queen(クイーン)』が見えているのか」
■の声が聞こえた。
ピンク色の〝ソレ〟が手をヌッっと伸ばす。掴んだのは康一の胸元に突き刺さる《矢》だ。
乱雑に抜き出された。
「キャァァァァァ!」
〝ソレ〟が見えていない絹保からすれば、傷口を押さえていた手の隙間から、《矢》が一人でに浮かんだ様に見える。
パニックにより一瞬能力が消え、血が溢れる。絹保は慌てて能力を再構築した。
〝ソレ〟は《矢》を持ったまま、木陰から出てきた■の元へ移動する。■は手に〝ソレ〟から渡された《矢》をしっかりと握っていた。
「超能力者、というからどんな風に違うのかとも思ったが、《矢》への適性は変わらないみたいだね。でも、少年は面白そうだ。このまま死ななければ、スタンド使いになれるかもしれない」
■の呟きが耳に残った。
(スタンド、使い?)
唐突に現れた■に、絹保は助けを求める。
「あの! 助けてください! 先輩が、血が止まらないんです! 救急車を!」
■は絹保の言葉も意に介さず、康一に近づく。
康一は■の背後にある〝ソレ〟を目で追った。
「ふむ、どうやらしっかりと私のスタンド『Queen』は見えているようだね」
(……『Queen』?)
どうやらソレは『Queen』と言うらしい。
「私は君、いや君達に興味がある。そうだ、『ゲーム』をしよう」
■は余裕の笑みを崩さずに言い放つ。
「なに簡単さ。私はね、私の《日常》を崩されるのが嫌なのさ。だから君らに顔を覚えられるのもゴメンだ。でも、君達に私の《日常》を与えよう」
(何を、言っているんだ)
康一の死は刻一刻と近づいていた。絹保は涙を流しながら、必死に何かを叫んでいる。
「私の名前は■■■■。住所は■■市■■町■■■■番だ。趣味は……」
男は自分の事をつらつらと語り始める。男の奇行に、絹保はパニックになりながらも恐怖を抱いた。
「さぁ、聞いたね。それじゃ『ゲーム』を決めようか」
ズン、と康一の臓腑に押しかかるものが出来た。カチカチと何か、そう時計の針の音が聞こえた気がする
(な――)
「まず少年。君には私の『日常』に対して対価を貰おう。そうだな先程聞かせた事を含め、『私の名前や性別、外見などを忘れる』でどうだろう。そしてゲームの目的は『私の事を誰にも話さずに見つける』だ。いいかい、私を探してる事を、君自身が他人に漏らしちゃいけない。そうすればゲームオーバーだ」
康一の体に透明な鎖が巻かれた。目の前にいる■■の顔がおぼろげになり、記憶が黒く塗りつぶされていく。男性なのか、女性なのかすら思い出せなくなっていく。
「ゲームオーバーになった瞬間、君の胸にある爆弾はドカン、だ」
死に体の康一の胸を、■■がコツンと指で突く。
「次は君かな」
■■は絹保を見た。絹保は■の顔を見て、歯をカタカタ震わせている。それでも、彼女は能力を維持し続けた。
「そうだな、君には寝てもらおうか。王子様が眠れるお姫様を助ける、王道だね。『君はずっと眠り続ける』。おっと、超能力や魔法なんかで無理やり起こしてもルール違反だからね、気をつけたまえ」
「ま、魔法?」
絹保は■■の言葉を問い返すも、無視される。
「それでゲームの目的だが『少年が私を倒す』にしようか。まぁ無理だろうけどね」
絹保の体も、見えない鎖で縛られる。
それは対等なゲームでは無かった。
■から一方的に強制されるだけであり、ルールは■が納得できればそれでよく、対等かどうかの物差しも■の価値観しだいだ。
■が対価として差し出したという『日常』、ただそれに見合う範囲で行なわれる。だが、■にとって『日常』は何よりも大切であった。故に、能力の範囲は莫大だ。
「さぁ、始めようか。目的を達すれば爆弾は消えるよ。私が離れて三分後にスタートとしようか。おっとそういえば救急車だったね」
■は康一のポケットから、手袋を付けた手で携帯を取り出す。119番を押してから、絹保に放り投げた。
「せいぜい頑張ってくれよ。それじゃ『ザ・ゲーム』」
康一の耳で、時計の針の音が強くなる。
体の重みが増した気がする。
■■はゆっくりと康一達から離れていった。
絹保は能力を維持しながら、必死に携帯電話をいじる。
一体何分たったのだろう、遠くからサイレンの音が聞こえた。
目の前で絹保が必死に睡魔と戦っている。
(あぁ……)
痛みと寒気と重圧と。様々なものが康一の精神に圧し掛かり、薄暗い闇にズブズブと沈んでいった。
◆
「――っ!」
康一は目覚めるなり勢い良く体を起こした。
鼓動は速くなり、体は汗をかいている。
多少ふらつくが、体に穴が開いてるとは思えない。
(なんだ、夢か)
胸元を触るが、傷などは無い。ほっと息をついた。
部屋の片隅にはデジタル時計があり、日付は一日後を示している。
そこで康一は周囲の違和感に気付いた。自分の部屋では無い事に。
「ここは、病室?」
外から朝日が差した。
部屋の一面は白く、隣にある茶色い木目調のサイドテーブルだけが色を放っている。
康一は自分が患者服を着せられている事にも気付く。
胸元をはだけさせると――。
「え?」
傷痕があった。まるで〝穴でも開いていた〟かの様な傷痕が。
その中央に小さなコットンがほんの僅かに乗っていた。
背に冷や汗が流れる。
嫌な予感が一度落ち着いた鼓動を再び速めた。
ギュっと手を握ると、手の平には卵の様なものがあった。
市販の卵と同じサイズで、形も同じだ。
だが、表面はゴツゴツと歪な凹凸があり、灰色のくすんだ色をしている。
「コレは、何だ」
夢の中で見た〝アレ〟と似たような気配を感じた。
その時、病室のドアが唐突に開かれ、看護婦が入ってきた。
「あ、広瀬君。目覚めたんだね」
看護婦がほっとした様に笑顔で言う。
「あの、一体何が?」
「えーと、覚えていないのかな」
看護婦は一連の出来事を簡単に説明した。
少女からの連絡により、現場へ急行した救急車は、そこで血溜まりに沈む康一と眠るように気絶する絹保を見つけたらしい。
二人は急いで搬送されるも、康一の傷は救急隊員が驚くほど軽症だったのだ。
胸元に大きめの古い傷痕は見つかれど、重なる様に存在していた小さい傷しか見つからなかったらしい。
道に残っていた出血量とまったく合わず、破れた服とも一致しない。体を調べたものの、それ以外の傷は見つからず。
病院に運ばれた折に行なわれた処置は、輸血のみであった。
康一はこの時まだ知らなかったが、彼の傷を処置したのは《麻帆良》に所属する魔法使いの一人であった。
絹保の悲鳴を聞きつけ、急いで駆けつけたのだ。魔法で一応の対処後、康一達を救急隊にまかせ、犯人を追う事にした。されとて犯人は未だ見つかっていない。
康一は看護婦の言葉の一つ一つに、嫌な確信を深めていく。
「あ、あの看護婦さん。僕、〝コレ〟を握っていたんですが……」
康一はおずおずと手の平の〝卵の様なモノ〟を見せた。
「えっと、コレって何かな? 何も無いみたいだけど」
看護婦は不思議そうに問い返す。
(やっぱり、見えていないッ!)
悪寒が体中に走る。卵をギュっと握った。
「あの! 湾内さんは、湾内さんはどうしました!」
康一は看護婦に詰め寄った。体がすこし揺らぐ。
「わ、湾内さんって、広瀬君と一緒に倒れていた彼女よね。彼女は外傷が無くて気絶してるだけなんだけど、大事をとって入院してるわ。起きたら一応検査する予定だけど、すぐに退院でしょうね」
康一の顔が歪む。『起きたら』という言葉に含まれる真実を、康一だけが知っていた。
「ど、何処にいるんです? 湾内さんは何処に!」
「とりあえず隣の個室に――」
看護婦が言い終えるのを待たず、康一はベッドから飛び出した。
「あ、ちょっと! 広瀬君、今先生を呼ぶから!」
康一は這うようにして隣の病室へ向かう。
スライドドアを開け、見えたのは薄暗い病室だった。
「あぁ……」
絹保は規則正しい呼吸をしながら〝寝ていた〟。
カーテンの隙間から差し込む朝日が、白いベッドに陰影を付けている。
絹保の栗色の髪が、光の残滓を浴びてキラキラと光っていた。
どこか神聖な絵画を思わせる光景であった。
これが御伽噺なら、少女は王子のキスで目覚めるのだろう。
だが、ここに王子は居ない。
康一は昨日の事が唐突に思い出された。
絹保は自分が意識を失うまで必死に能力を使い、自分を助けてくれた事を。
「――」
目の前の少女には、外傷が無いらしい。
健康的な肌はそのままに、確かに今にも起きてきそうだ。
だが、彼女はこのままじゃ決して目覚めない。
康一だけがそれを知っていた。
情け無く、悔しかった。
それなのに歯を食いしばる事すら無く、馬鹿みたいに口を開けて涙を流す。
ただ、病室は無音だった。全ての音が消えていた。
康一の握る〝卵〟だけがプルプルと振るえるばかりで、外の小鳥の鳴き声でさえ消えている。
そんな空間で、康一は誰にも聞かれること無く、音無き声を上げた。
「――――――!」
学園祭準備期間を二週間程前に控えた日の事だった。
千雨の世界 第32話「声は響かず……」
●広瀬康一
・超能力名『音声複写(エコーズ)』 レベル1低能力
音を皮膚で録音し、再生する能力。
ただし録音時間は最大で二秒。
更に録音時と録音した音を保持している間、能力者は息を止めていないといけない。
・スタンド名『エコーズ』
卵の形をした音響爆弾。
卵型の本体を中心に、能力者任意の空間の音を吸収する。
吸収されている間、その空間は無音となる。
空間の大きさの上限は現在の所不明。
そして音を吸収した後、本体を投げたりする事で割る事により、爆弾として発動する。
周囲に甲高い爆音と衝撃波を発生させる。
ただし爆音による聴覚障害を能力者自身は受けない。衝撃波はもちろん能力者も効果範囲に入れば浴びる。
また、本体が許容量以上の音を吸収すると破裂する。その際には爆発させた時と同じ効果が起きる。
●■良■■
・スタンド名『Queen(クイーン)』
第一の能力『■■■■■■■』
■■■■■■■■■■■■■
第二の能力『ザ・ゲーム』
条件付爆弾。
能力者本体がリスクを背負い、相手にルールを強制する爆弾。
ルールに従わねば爆弾が発動する。
またそれらの条件は、あくまで能力者本人の価値観により対等であり、決してフェアでは無い。
第一章において、音石明を殺した能力である。
第三の能力『■■■■■■■■』
■■■■■■■
つづく。
(2011/12/12 あとがき削除)