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赤松健SS投稿掲示板


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No.20551の一覧
[0] ネギくんといっしょ(女オリ主)[みかんアイス](2010/08/03 19:20)
[1] プロローグ 予定外の覚悟[みかんアイス](2010/07/27 13:43)
[2] 第一話 マリアとネギ[みかんアイス](2010/07/27 13:45)
[3] 第二話 我が親愛なる兄上様[みかんアイス](2010/07/27 18:29)
[4] 第三話 アルカ・スプリングフィールド[みかんアイス](2010/07/27 13:49)
[5] 第四話 来たるべき日の為に[みかんアイス](2010/10/25 22:51)
[6] 第五話 一方通行[みかんアイス](2010/07/27 13:51)
[7] 第六話 卒業[みかんアイス](2010/07/27 13:53)
[8] 第七話 晩餐[みかんアイス](2010/07/27 13:54)
[9] 第八話 日本[みかんアイス](2010/07/27 13:56)
[10] 第九話 それぞれの修行[みかんアイス](2010/07/27 13:59)
[11] 第十話 新生活の第一歩[みかんアイス](2010/07/28 09:19)
[12] 第十一話 見習い先生[みかんアイス](2010/07/29 07:40)
[13] 第十二話 魔法使いの小さな魔法[みかんアイス](2010/07/30 07:36)
[14] 第十三話 それぞれの一日[みかんアイス](2010/07/31 21:50)
[15] 第十四話 マリアと二年A組[みかんアイス](2010/08/01 23:09)
[16] 第十五話 試練[みかんアイス](2010/08/03 20:14)
[17] 第十六話 図書館島の冒険(上)[みかんアイス](2010/08/05 19:05)
[18] 第十七話 図書館島の冒険(中)[みかんアイス](2010/08/06 23:16)
[19] 第十八話 図書館島の冒険(下)[みかんアイス](2010/08/07 23:40)
[20] 第十九話 来襲[みかんアイス](2010/08/24 14:06)
[21] 第二十話 裏事情[みかんアイス](2010/08/24 14:09)
[22] 第二十一話 マリアの一日[みかんアイス](2010/10/25 22:48)
[23] 第二十二話 マスコットには、なり得ない[みかんアイス](2011/01/01 10:09)
[24] 第二十三話 暗躍[みかんアイス](2010/10/30 17:00)
[25] 第二十四話 大停電の夜[みかんアイス](2011/01/01 22:39)
[26] 第二十五話 麻帆良動乱[みかんアイス](2011/05/11 18:09)
[27] 第二十六話 京都修学旅行~起~[みかんアイス](2011/07/31 13:47)
[28] 第二十七話 京都修学旅行~承~[みかんアイス](2011/10/15 13:39)
[29] 第二十八話 京都修学旅行~転~[みかんアイス](2012/03/14 17:48)
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[20551] 第十話 新生活の第一歩
Name: みかんアイス◆25318ac2 ID:68c9a700 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/28 09:19


 ネギは頭上を見上げて、しずなに聞く。

「あのー、しずな先生。これは、引っかかった方が良いんでしょうか?」

「え?いえ、別にわざわざ引っかからなくても良いんですよ?」

「あ、そうなんですか。コミュニケーションを円滑に進めるために、引っかかった方が良いのかと思ったんですが」

 しずなは困ったように微笑む。

「そんな事しなくても、円滑に進めますよ」

「そうですか? では」

 ガラッ。

「あ」

 黒板消しが落ちてきた。

「えい!」

 それをネギはクラス名簿で打ち上げ、それは水の入ったバケツに当たり、そのまま転がったバケツに玩具の矢が張り付いた。


「「「「「お、おお~!」」」」」


 その様子を見たクラス中の人間が神業に唸り、拍手する。

 そんな中、ネギは教壇の前に立ち、言う。

「こんにちは。今日からこの学校で英語を教えることになりましたネギ・スプリングフィールドです。三学期の間だけですけど、よろしくお願いします」

 一瞬の沈黙の後…。

「「「「「キャアァッ! か、かわいい~!!」」」」」

 歓声が教室に響いた。



   第十話 新生活の第一歩



 次々に生徒達が席を立ち、ネギは女子中学生という名の津波に飲まれた。

「何歳なの~?」

「えっ!? その、十歳で…」

「どっから来たの!? 何人!?」

「ウェ、ウェールズの山奥の」

「ウェールズってどこ?」

「今どこに住んでるの!?」

 パワフルな生徒達の勢いに、ネギは押され気味だ。

 その向こうでは、生徒がしずなに確認を取っている。

「…マジなんですか?」

「ええ、マジなんですよ」

 その質問に、しずなは微笑んで肯定した。

「ホントにこの子が今日から担任なんですかー!?」

「こんなカワイイ子もらっちゃっていいの~!?」

 どんどん騒ぎが大きくなっていく中、ネギは声を張り上げる。

「あ、あの! 質問なら順番に聞きますから、席に座って下さい!」


「「「「「は~い」」」」」


 ほぼ全員が声をそろえて返事をした。
 ノリの良いクラスである。

「ええと、では、質問のある方は手を挙げて下さい」

「はい!」

 勢いよく手を挙げたのは、出席番号三番の朝倉和美だ。

「ええと、では、朝倉さん」

「おお!」

「出たな、麻帆良のパパラッチ!」

はやし立てる声に、どーもどーも、と朝倉は手を振りながら立ち上がる。

「では、まず最初に、先生は十歳ということですが、学力の方はどれくらいなんですか?」

「大学卒業程度の語学力はあります」

「「「「「おお~」」」」」

 全員が感心したような声を上げる。

「オックスフォードを出たという噂がありますが、それは本当ですか?」

「ええ、一応は…」

 表向きは、そうなっている。

「では、最後に、皆が気になってることだと思うんですが…」

「はい?」


「「「「「好きな子はいますか~?」」」」」


 お約束の中のお約束。
 ほぼ全員が声を揃えて聞いてきた。

「へ? 好きな子?」

 思い浮かべるのは、ただ一人。


 ボッ!


「「「「「いるんだ~!!」」」」」


 一瞬で真っ赤になったネギに、クラスは大騒ぎだ。

「誰? その子、どんな子~!?」

「その子の名前は!?」

「可愛いの!?」

「その子との関係は!?」

「その子も外国人!?」

「あうあう…」

 一気に騒がしくなった生徒に、ネギは顔を真っ赤にしてうろたえる。

「いいちょ、止めなくていいの~?」

「いいんです。これは大切な事なんです! どこの女狐がネギ先生に色目を使ったのか知らなくては!!」

「女狐…」

「色目って…」

「ショタちょー…」

 暴走する生徒達に、ネギは涙目だ。

 この暴走は、一先ずはしずなが治めたものの、マリアはアスナ達の部屋にネギと共に居候する事が決定している。ネギの『好きな子』が知れるのは、最早時間の問題である。

 興味津々の生徒達の視線を背中に感じ、頭を抱えたくなるのを堪えながら、ネギは授業を始めたのであった。



   *   *



「……よし、居ないな」

 アルカ・スプリングフィールドは、現在逃亡中であった。

「はぁ……」

 繁みの中、アルカは溜息を吐いた。


 まさか、こんな事になろうとは……。


 あの店長との鬼ごっこを始め、既に一時間は経っている。
 この数年間、欠かさず鍛錬に勤しみ、鍛えてきた筈なのに、逃げ切れないとはどういう事か。

「あの店長、まさか忍者とかじゃないだろうな…」

 アルカがそう思うのも無理は無い。
 東堂店長は思わぬ所から現れるのだ。

 逃げた先の木の上から降ってきたり。
 逃げた先の天井に張り付いていたり。
 逃げた先の三階の窓に張り付いていたり。


 いつの間にか、後ろにいたり。


 バッ!


 アルカは思わず後ろを振り向くが、誰も居ない。

 再びアルカは、疲れたように溜息を吐く。
 あの店長との鬼ごっこは、既にホラーの域に達していた。

 アルカは徐に懐から小袋を取り出して、それを撫でる。

 この小袋の中には、アルカの師であった式神の紙が入っていた。

 アルカの師であるアースとライラは、数ヶ月前にその役目を終えた。
 もちろんアルカは悲しかったが、彼等は言ったのだ。これは、死では無いと。
 ただ単に、今のアルカでは、この二人を実体化させられる実力が無いのだ。
 それでも、今まで実体化させられていたのは、アルカの願いの結果である。

 だから、早く強くなって我々をまた呼んでくれ。

 そう言って、彼等は紙に戻ったのだ。

 彼等ほどの式神を使役出来るようになるのは、一体何時になるのかは分からない。
 けれど、可能性はゼロじゃない。

 アルカは誓いを胸に、再び小袋を撫でた。

 そして、小袋を懐に戻した瞬間……。

「見~つけたぁぁぁ!」

「ぎゃああぁぁぁぁ!?」

 東堂店長が血走った目で繁みに飛び込んできたのだ。

「さあ! 可愛くなるんだぁぁぁぁぁ!!」

「嫌だっつってんだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 アルカのホラー鬼ごっこは終わらない。



   *   *



「いや~。本当にごめんねぇ、マリアちゃん」

「いえ、良いんですよ。気にしないで下さい」

 のほほん、という空気を撒き散らすのは、『フラワーショップ・スズモト』の店長、鈴本陽一だ。
 鈴本が謝っているのは、マリアの住まいの事である。
 前々から鈴本の家の離れを貸すという約束をしていたのに、それを守れなかったのだ。

「あの謎の爆発さえ起きなければねぇ~」

 その爆発があったのは、つい二日前の事であった。

 夜中に人の話し声がしたと思ったら、次の瞬間聞こえたのは爆発音。

 何事かと思って様子を見に行けば、そこには誰も居らず、一部が崩れた離れが在るのみだった。

「爆発物なんて置いてなかったんだけどねぇ? やっぱり悪戯なのかなぁ?」

 物騒だよねぇ、とやっぱりのほほんと言う店長に、マリアは苦笑いを浮かべる。

 それは、絶対に魔法使いの仕業だろう。
 だって、学園長の口元が引き攣っていたし、それに…。

「まあ、学園長が見舞金を出してくれたし、良い業者さんを紹介してくるらしいし、予定よりは早く直るみたいだから、安心だねぇ」

 そう。学園長が見舞金を出し、業者の手配までしたのだ。

「学園長って、良い人だねぇ。この学園都市の代表なだけはあるねぇ」

 のほほん、と笑うこの店長は魔法使いの事を知らない一般人だ。
 それもあって、学園長は店長に気を使ったのだろう。まあ、当然といえば当然なのだろうが。

「あ、マリアちゃん。あそこがうちの店だよ」

 鈴本店長が指したのは、商店街の中にある小さな花屋だ。

「これからよろしくね、マリアちゃん」

「はい、店長」

 にっこり笑いあう二人は、のほほん、とした空気を撒き散らし、お互いの存在に和んだのであった。








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