藤田は現在とても困っていた、それというのもいつものように実験をしていた彼は実験中に事故にあってしまったのだ。実験の内容は簡単に言うと任意の異世界へ行くこと、前回の仮面ライダーの世界に偶然ではなく狙って行けたりするのかという実験だ。結論から言えばそれは可能である、一度行った世界には滞在期間にかかわらず縁が発生する、後はその縁をたどればその世界に行きつくというわけだ。でだ、発生した事故についてだが端的に言うと異世界に行ける装置が暴走して爆発した。原因は作動中にブレーカーが落ちたから、どうやら実験中に天ヶ崎が電子レンジを使ったようだ。それはともかく現在藤田がいる世界だが、
「こいつは参った」
目の前には長い階段、おそらく寺へと続いているのだろうそこには一人の女性が倒れている。その女性がただの人間ならよかったのだがその尖った耳はどう考えても人間のそれではない。
『こいつは臭ぇー! 厄介事の臭いがプンプンしやがるぜ!』
そう思いつつも放っておけないところはこの男が基本的には善人であるからか、藤田は女性を抱え階段を上っていく。聖杯戦争に宇宙人の参戦、前代未聞の聖杯戦争はこうして始まった。
宇宙忍者外伝~これは魔法ですか? いいえ魔術です~上
聖杯戦争、なんでも願いのかなう聖杯とやらを巡って7人の魔術師がサーヴァントと呼ばれる使い魔を用いて殺しあう儀式らしい。サーヴァントにはセイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、アサシン、バーサーカー、キャスターの七つのクラスが存在しそれぞれが過去や未来の英雄らしい。そういった聖杯戦争の基礎知識を助けた女性、キャスターから聞いた藤田は開口一番にこういった。
「面倒だ」
ぶっちゃけ彼には叶えたい願いはない。元の世界に帰るのもわざわざ殺人を犯す必要もないし故郷のバルタン星の復興なんかを願ったところでそれはこの世界のバルタン星が対象になるだけだろう、そもそもこの世界にバルタン星があるかどうかも不明である。従って彼はこの聖杯戦争には消極的だ。キャスターも一応一般人(だと思っている)藤田が快く承諾してくれるとは思っておらず傀儡にしてしまおうと考えた、その後のことをRPGの戦闘風にダイジェストすると、
キャスターの攻撃!
キャスターは精神操作の魔術を唱えた
スキル『高速神言』! キャスターの魔術に藤田は反応できない!
しかし藤田は宇宙人だ、精神干渉系の魔術を無効化した!
自身の魔術が破られたことにキャスターは呆然としている、藤田の反撃!
マッハチョップ、マッハスピードのチョップがキャスターを襲う! キャスターは反応できない!
クリティカルヒット! チョップはキャスターの脳天を捉えた! キャスターは悶絶している!【1more】
藤田の金縛り! キャスターは悶絶している、キャスターはかわせない!
キャスターは金縛りになった
以上である。いくら神代の魔術師とはいえその魔術は地球で生まれたものだ、地球外生命体で地球人とは異なる進化を遂げたバルタン星人には残念ながら効果がなかったらしい。そのあたりを説明した時のキャスターの顔はまあ面白かったとだけ言っておこう。その後もいろいろとあったがまあ結論を言うと藤田はキャスターのマスターとして聖杯戦争に参加することになった。理由は藤田にバッルバルにされたキャスターがあまりにも不憫だったからだ。
過程はともかく聖杯戦争に参加することになった二人が最初に行ったには陣地の作成である。キャスターというサーヴァントは殴り合いなどでは全く勝てないのでこうして陣地を築き自分に有利な場を作るのだとか、ちなみにその陣地が作られているのは初日にキャスターが倒れていた階段を上って行った先にある寺である。キャスター曰く龍脈やらなんやらがこの寺に集中しているのだとか、それをいつものように聞き流した藤田は街に出かけてパーツを買いあさっていた。金はどうしたのかというと寺の住職に少し借りて株で増やした。五千円がミルミル増えていくさまは寺の跡取りの青年曰くいっそ爽快なほどだったという。ともあれ当初の予定通りのパーツをそろえていく藤田と街の住人から魔力を集めているキャスター、そんな日々が数日続いたある日キャスターが言った。
「サーヴァントを召喚するわ」
なんでもまだすべてのサーヴァントがそろっていない今のうちに手駒をそろえておきたいキャスターは裏ワザ的だがサーヴァントを召喚しようとしているらしい。まあ召喚したサーヴァントを使って藤田に仕返ししてやろうという気も少しはあったようだが、そうして召喚されたサーヴァント、アサシンの佐々木小次郎を手駒に加えたキャスターはさっそく小次郎を藤田にけしかける。いくらなんでも無傷では済まないだろうと嗤うキャスターはしかし次に瞬間その笑みごと凍りつく、キャスターから死なない程度に痛めつけなさいと命令を受けた小次郎は丸腰の相手に切りかかることに若干躊躇しつつも斬りかかり次の瞬間見事な車田落ちを披露していた。あっさり負けた小次郎に呆然としているうちに再びバッルバルにされてしまったキャスター、単純な戦闘力も高いことが分かったようだ。
それからさらに数日、キャスターは藤田に全てのサーヴァントがそろったことを伝える、その藤田はというと、
「何それ?」
「ボトルシップだが?」
そう、藤田はボトルシップの前にいた。道具作成スキルのあるキャスターもボトルシップ作りは好きだ、しかし目の前の男の前にあるボトルの中には船が独りでに組み上がって行っている。魔術とかを使って楽してるのかと思ったキャスターだがそれにしては魔力を感じないことに首をかしげる、それに気付いた藤田は虫眼鏡を差し出す。ひしぎに思ったキャスターだが虫眼鏡を受け取り瓶の中を覗き込むと、
「……なにこれ?」
便の中には無数の生物(小さくなった分身)が船を作っていた、その手には鋸や鉋などのあらゆる工具がそろっており1から組み立てていることがわかる。混乱するキャスターに藤田は続きを促し聖杯戦争が始まったことを知る。なるべく陣地内にいるように言うキャスターに彼は、
「ちょっとおでん買ってくる」
「人の話を聞きなさい!」
怒るキャスターを華麗にスルーし寺から出ていく藤田、途中の門で小次郎におでんのリクエストを聞きコンビニを目指した。
ただおでんを買ってくる、実に簡単な目的だ。だというのに、
「■■■■■■ーーーー!!」
「どうしてこうなった?」
買い物帰り、彼はサーヴァント同士の戦い、メタルなら原作イベントに遭遇した。そしてバーサーカーに目をつけられ、
バーサーカーの攻撃! バーサーカーは殴りかかった!
ミス! 藤田はミクロ化して攻撃をかわした、ミクロ化したことにより藤田の変身が解けた。
いきなり服を残して消えた藤田にバーサーカー以外の面々は驚いている
バーサーカーの攻撃! バーサーカーは本能でミクロ化した藤田の位置を特定した!
藤田の巨大化! バーサーカーの攻撃は当たった、しかし巨大化した藤田には微々たるダメージだ!
今度は数十メートルに巨大化した藤田にバーサーカー以外の面々は困惑している!
バーサーカーの攻撃! 藤田に微々たるダメージ
藤田の反撃! 藤田はバーサーカーを蹴り飛ばした!
スキル『十二の試練』! バーサーカーは藤田の攻撃によるダメージを無効化した、しかし勢いまでは殺せない!
バーサーカーは吹っ飛ばされた
そのほかの面々は状況についていけない!
以上である。突如現れた謎のバルタン星人に困惑する面々をその場に残し服を着直し変身した藤田は悠々とその場を後にしたのだった。
あとがき
久しぶりなので今回はここまで、次はサクサク進みます。