すまない、とまずは集まった生徒たちに頭を下げた。
そして、どういうことなのかわかっていない生徒たちに事情を説明した。
一つ一つ丁寧に、自分たちが置かれた状況が正確に理解できるように。
「つまり、もはや選択することはできないということですか」
うん。
君たちには魔法を覚えてもらわないといけないことになった。
あれだけ関わるなと言っておいてと思うだろうけど、どうか協力してもらいたい。
正直な話、そうしないと君たちにまで戦力を割かないといけなくなって、他のところが手薄になるんだ。
脅しになるみたいだけど、君たちのクラスメイトが危険な目に合う確率があがるというのが真実だ。
「・・・本当に選択の余地は無いようですね」
「それは、お嬢様も含めて魔法を学ばせるということでしょうか」
ああ、木乃香ちゃんもだ。
もう学ぶとか、学ばせないとか言っていられる段階じゃないんだ。
「・・・そうですか」
すまない。
君たちにはいくら謝っても足りない。
「そ、そんなふうに謝らないでよ、おじさん。
結局は、私たちが勝手に首を突っ込んだせいでもあるんだからさ」
「そのとおりだな。貴様が謝るようなことではない。
魔法の世界をよく知りもせず、興味本位で覚悟も無く首を突っ込んだ結果だ」
「だからさ、私たちも流石に死にたくはないから、魔法、教えてよ」
ああ、そうだね。
俺にできることはせめてそれくらいだから。
君たちが生き残るために、俺の持つ生きる方法を出来る限り教えるよ。
これが君たちの杖だ。
まあ練習用のだけど、しばらくはこれでも十分だ。
「魔法の杖・・・・・。
これ一振りで、誰かを傷つけることも、殺すこともできてしまう。
少し前までは、あんなに憧れていたのに・・・今は」
できる事なら、その気持ちを忘れないで欲しい。
魔法は簡単に誰かを傷つけることができる。
一番簡単な攻撃魔法の魔法の射手でも、一般人なら簡単に殺せてしまう。
「魔法は、人殺しの道具ですか」
一昔前の戦争時代はそう言ってもよかったかもしれないね。
でも、魔法は上手く使えば誰かを助けることもできる。
その人の使い方次第でその色をがらりと変える道具だよ。
ただ、今の君達に必要なのは誰かを傷つける力でも誰かを助ける力でも無い。
自分を守る力を手にいれることが目標だ。
防ぐことと、逃げること。
その二つが基本になる。
なに、俺は逃げることに関しては定評があるからね。
君たちにも逃げ方を教えるよ。
「それはわかったけど。
おじさんがここにいる全員に魔法を教えるの?」
いや、実は俺は誰かに教えるということの経験が殆どないからね。
君たちはしばらくはガンドルフィーニ先生に教えてもらうことになる。
まずは自分の魔力を認識することから。
そこから魔法の練習が始まる。
俺が教え始めるのは魔法の練習がある程度終わって、みんなが実践訓練とかをするようになってからかな。
ただ、木乃香ちゃんは別だ。
元々木乃香ちゃんのことは詠春さんから頼まれているからね。
木乃香ちゃんには実践訓練と並行して俺が治療魔法を教えることになる。
「うちが?」
「近衛木乃香、貴様の適正はどう考えても治療魔法にある。
治療魔法は専門にしている者が少ないため、教えられる人間がほとんどいない。
教えられる人間が少ないということが治療魔法を学ぶ者を減らしている一因で、悪循環の原因だ。
だが、ダニエルは本来治療魔法が専門だ。
こいつほどの経験を持つ治療魔法使いはそうはいないだろう。
こいつから学べ。
そうすればおそらく貴様は稀代の治療魔法使いになれるだろう」
まあ、誰が教えてもこの子くらいの才能があれば1級品になるだろうけどね。
出来る限り俺の持つ技術を伝えさせてもらうよ。
「わかった。ほな、よろしくお願いします」
「ダニエル殿」
うん?
「古菲や明日菜さんは魔法より氣のほうを教えた方がいいと思うんですが」
ああ、そのことに関しては話をつけてきたよ。
刀子先生が、警備の担当が終わった後に時間を割いて訓練を見てくれる。
刹那ちゃんにも神鳴流の特訓をつけてくれるらしいよ。
刀子先生がいない間は、刹那ちゃんが二人の訓練を見ていてくれるかな。
あと、殿って言うのやめて。
「はい、特訓に関してはわかりました」
やっぱりやめてくれないのか・・・。
「あの、ダニエルさん・・・僕は」
ネギ、お前はエヴァと修行を続けているんだ。
お前ももっと力をつけないといけない。
相手の狙いがお前にある以上はな。
生徒たちのことは俺たちに任せておけ。
「・・・はい」
「話は終わりましたか?」
あ、ガンドルフィーニ先生に高音さん。
今丁度終わったところです。
「そうですか。
なら、早速始めましょうか。
今この状況下では時間は1秒たりとも無駄にできません」
そうですね。
みんな、がんばってね。
じゃあ高音さんは俺と修行だね。
「はい!この学園を守る一人として私ももっと力をつけないといけませんわ」
じゃあ、とりあえずは戦い方を見てみないといけないからあっちの方で模擬戦ね。
「坊やも私と修行だ」
「はい!」
「さて、何をするにもまずは準備運動からだな。
全員10キロランニング!」
あの、ガンドルフィーニ先生。
いきなりそれはキツすぎるんじゃないでしょうか。
そのころの詠春さん
「お客様、ポイントのほうが貯まりましたので、好きな巫女と写真を撮ることができます」
「キターーーーー!!!
これも、忙しい中時間を割いて最低でも週5で通うようにした成果か。
カメラの方も準備はオッケー。
1台数十万した一眼レフ、ついに出番がきたな。
パーフェクトだ・・・・・・」
「では、巫女をお選びください」
「ど・の・み・こ・さ・ん・に・し・よ・う・か・なーっと」
「ああ、詠春様。
すでに協会を抜けた私を心配して、何度も足を運んでいただけるなんて」
物陰から詠春を見る彼女。
「・・・・・くそっ!!
選べない、俺には無理だ。
どの巫女さんにもそれぞれ良さがあって、巫女さんと言うのはそれだけで素晴らしいものだ。
だから、俺にはこんな巫女さんを一人だけ選ぶようなことはできない・・・。
俺は巫女さん全員が好きなんだ!!」
詠春は椅子から立ち上がり天に向かって叫んだ。
「お、お客様?」
パチパチと店のあちこちから拍手の音が聞こえてくる。
ガタガタっと店内に居る客が立ち上がり、詠春を見て拍手をしながらいい笑顔で涙を流している。
「あんた、漢だよ」
「・・・そうだよな。
巫女さんは、どの巫女さんでも素晴らしい。
そこに差なんてつけようも無いし、一人を選ぶなんてできっこない。
俺たちはどうやら大切なことを忘れていたようだ」
「なあ、あんたの名前を聞かせてくれないか」
詠春、近衛詠春。
人呼んで巫女さんマスター。
詠春はそう答えた。
その日、関西巫女さん協会が発足した。
後に関東ロリっ子協会と覇権を争うことになる、漢たちの組織の誕生だった。
あとがき
チラリズムとはスバラシイと思う。
まあ、要するに高音は脱げない。
おそらく永遠に。
さよならヌギステル・マギ。
>それとハルヒは是非ともやってほしいなwww
俺のハルヒ知識が少ない上に、ダンが行ってもマジでやることなさそうだから実現しないと思う。
>できれば、ARIAも書いていただけませんか?
ARIAは次を書くとしたらダンとアリシアさんがくっつきそうだからなぁ。
ARIA的にそういった場面の話はどうだろうかと思って書くのをやめていた。
書くとしても、結婚後か、結婚式の話になると思う。
>ここはぜひともIFのテオドラエンドを
テオドラは書くとしても完結した後になると思う。
過去編では幼女だから、ロのつかないことに定評のある俺では書く気がおきない。
成長したテオドラはテンションが上がってくる。
登場の時のあの服は反則だと思うんだ。
>もし出来たらですが、『今日の~さん』とか『そのころの~さん』って感じで
何かしらのギャグを作ってもらえないでしょうか?
ちょっとやってみた
>それとかナギとダンの幼少期のどたばたとかもどうだろう?
ありだと思う。
ただ、ダンがかわいそうになることは必然だな。