「ここが最近できた喫茶店アルか」
なんかエセ中国人な女の子が来た。
中国人って本当にアルとか言うんだな。
でも、アルってなんか嫌なやつ思い出すからやめてほしい。
「なかなか店の雰囲気は良しっと」
あの、なんで店のチェックを始めてるの?
「おお、そうだたネ。自己紹介が遅れたョ。
私は超鈴音と言う者ネ。
実は私も友人と料理店を開いているものだから、新しく店ができたとあっては敵情視察に行かないわけには行かないアル」
なに、同業者だと。
中華料理店か。
中華料理店と喫茶店って張り合うジャンルが違わないか?
「ふっ、そんな甘い考えだとこの学園では生き残れないネ。
料理の世界も弱肉強食アル」
ぬ・・・お前、できるな。
「お褒めに預かり光栄ネ」
でも、俺の喫茶店は負けないぞ。
本場イギリスの紅茶が飲めるんだ。
客もガンガン来るはずだ。
「しかし、イギリスの料理は世界一まずいと言うヨ。
そんな料理では中国四千年の歴史に勝てるはずが無いネ」
四千年の歴史だかなんだかは知らないが、結論を出すのはこの紅茶とケーキを食べてからにしてもらおうか。
代金はいらないぞ。
「その挑戦受けて立つヨ」
パクッ
「こ、これは!」
もぐもぐゴクッ
「・・・・・・なかなかやるアルネ」
イギリスの力をなめるなよ。
俺たちは戦場でもティータイムをかかさないんだ。
紅茶とケーキにかけては右にでるものなど居ない。
「なるほど、これは確かに認識を改めざるをえないネ。
喫茶ダニエル、なかなかの強敵のようアル」
わかってもらえてなによりだ。
「今度は私の店に来るといいネ。
中国四千年の料理で敗北の味を教えてあげるヨ」
ほう、それは楽しみだ。
ぜひとも今度行かせてもらおう。
「それにしても、この店客が来ないアルネ」
開店したばっかりだから仕方ないんだよ!
これから知名度が上がっていくはずだ!
「まあ、それもそうカ。
紅茶とケーキの礼、それと好敵手出現の祝いということでクラスメイトに話をしておいてあげるヨ」
マジか。
いいやつだな中華。
「中華じゃなくて超鈴音ネ。中華だとキャラが被るのがクラスに居るヨ」
お前のクラス留学生が二人もいるのか。
珍しいクラスだな。
「他にもいろいろと変なのがいるヨ。
本当に騒がしいクラスアル」
まあ、あまり静かなのもあれだけどな。
学校ではバカ騒ぎして遊んでるくらいで丁度いいんじゃないか?
もちろん勉強とかはしないといけないけどな。
「勉強のことなら心配は要らないネ、私に限っては。
クラスのバカレンジャーあたりはもはや手遅れアルが」
なにそのバカレンジャーって。
学園の平和を守ってるのか?
学園の平和を乱すやつらは俺たちが許さないってやつか。
すごく頼りなさそうな名前だけどな。
「ただのクラスで最も馬鹿な連中の呼称ネ」
この学園ではそんな呼び名をつけられるのか。
明日菜ちゃんは勉強できてるのかな。
まあ、アスナちゃんは頭よかったから大丈夫だろう。
「それじゃあ、そろそろお暇させていただくヨ」
おう、じゃあみんなにちゃんと広めておいてね。
「・・・・・・マスター、一つ聞いてもいいカ?」
うん?
なに?
「もし、もしもどうしても認めたくない、許せない、変えたい、辛い辛い過去、事件があったとして。
自分がその時に戻れるとしたらマスターならどうするカ?」
どうするんだろうな~。
場合によっては過去を変えるためにがんばるかもな。
「過去を変えることがいけないことだとは思わないアルカ?」
まあ、抵抗感が無いと言えば嘘になるけど。
それでも変えたいものっていうのもきっとあるだろ。
だから、俺はもちろん事情にもよるけど、過去を変えようとする人を完全否定することはできないと思う。
悲しい事件をなかったことにするように過去を変えられるかもしれない。
そんな力を持った人がいれば、その人は過去を変えないと、それに巻き込まれた人達を見捨てたかのような罪悪感を抱くことになるのかもしれない。
過去を変えなかった罪悪感か、過去を変えた罪悪感か、どちらを選ぶかはそれぞれだよ。
「そうアルカ・・・」
ん、もういいのか?
「ああ、貴重な意見を聞かせてもらったネ」
何を悩ん出るんだかは知らないけど、後悔が無いようにしろよ。
大切な問題から逃げると後でずっと後悔し続けるからな。
「謝謝」
「紅き翼のダニエル・・・・なんとかこちらに引き込めないものカ。
・・・・私は、絶対に後悔はしないアル。
やらないと、変えないと私は絶対に後悔するネ。
あんなこと、絶対に私は認めないヨ」
あとがき
次はついに脱げ女と思っていたが、やっぱりアルになった。
脱げはその次。
そろそろ千雨が登場する。