今日から喫茶店の開店だ。
流石は麻帆良学園と言うべきか、喫茶店に必要なものは数日で揃えられていた。
カランカラン
おっ、早速客だ。
いらっしゃいませ~
「ほう、本当にお前がマスターをやっているのだな」
ぶっ、エヴァ!
なんでお前がここに。
あと、この前のロボットまで。
「タカミチから話を聞いてな。
ああ、こいつは私の従者の茶々丸だ。
見ての通りロボットだ」
タカミチのやつ、なんか俺に恨みでもあんのかよ。
あと、ロボットが従者って魔法史上初じゃないか?
「それでは記念すべき客第一号としてもてなしてもらおうか」
はいはい。
それではご注文は?
「新鮮な血液、もちろんナチュラルテイスト製法でな」
・・・・・・トマトジュースで手を打たないか?
結局紅茶で手を打ってもらえた。
「それにしても、まさか貴様が京都にいるとは思わなかった」
俺も京都があんなことになっているとは思わなかった。
ちょっと詠春さんに挨拶しに行っただけなのに。
それにしてもなんでお前学園の外に出れたんだ?
「なに、ちょっとじじいに頑張らせただけだ。
しかし、なぜ貴様はこの学園に留まることにしたんだ?」
いや、まあいろいろと事情があって。
簡単に言うと無理矢理就職させられた。
「わけがわからん」
だろうな。
まあ、詠春さんからの頼みごともあるしね。
「あいつから、となると近衛木乃香か」
うん。
なんか今回のことをきっかけに魔法に関わるようになるんじゃないかって心配しててさ。
ボディガードも兼ねていろいろと面倒を押し付けられた。
「まあ、確かにあいつはおよそ争いごとには向いていないな。
魔法を学ぶ以上戦いは必然とも言ってもいい」
まあ、魔法に関わらせるかの最終的な判断は俺に任されたわけなんだけど。
関わることを決めた場合、俺が魔法を教えてやれって言われてさ。
「なるほどな。
確かにあの時のことを考えるとあいつの適正は治療魔法にあるだろう。
となると、貴様が適任か。
関西呪術協会の秘蔵っ子を指導するとなると責任重大だな」
そんなにプレッシャーをかけないでくれ。
俺としては誰かに代わってもらいたいんだけどな。
「無理だろうな。
ここには治療魔法に特化した者はいない」
それは残念だ。
そういや、結局あの呪いは解けないのか?
「ああ、口惜しいがな。
私は治療や呪いの解除といった魔法は苦手だから手のつけようも無い」
まあ、不死だから治療とか必要ないしね。
まずエヴァに呪いをかけることのできるやつを探す方が難しいだろうし。
「それにしても、あの馬鹿げた魔力の持ち主がお前の技術を学ぶか。
一体どんな怪物が誕生するのやら」
そういや、あの子の魔力には驚いたな。
意識を失う瞬間に感じただけでもナギと同等かそれ以上あるだろ。
もしかすると、あの子がきちんと魔法使いとして成長すればナギの呪いをおんなじ力技で破ったりできるんじゃないか?
「・・・・・おい、あれを一流止まりなどにしたら貴様を殺すからな」
教育に命がかかった!
「教育とは命がけでやるものだ」
俺みたいに明確に命がかかっているやつはいないと思うぞ。
そういえばさ、ネギってどうなの?
「む、まあ教師としてはやはり子供ということでいろいろと考えの及ばないこともあるようだが、一応努力をしてそれなりにやっているぞ。
魔法使いとしてはまだまだ甘ったれの小僧だがな」
よかった、教師はなんとかなっているんだな。
魔法の方は仕方ないだろ、才能があるとはいってもまだあいつは子供だぞ?
ナギと一緒にしちゃかわいそうだ。
「心の方の問題だ。
覚悟ができていないとでも言うべきか、現実が見えていないと言うべきか、あれもまだまだ戦う者ではないな」
まあ、そのへんはおいおいなんとかするだろ。
大戦期じゃないんだ、今回みたいな危険なことに巻き込まれる方がおかしい。
あいつはまだ子供なんだから時間はたっぷりあるさ。
「子供だからと言うのは・・・ん?茶々丸、お前さっきから何を考えているんだ」
「実は、喫茶店の店主は一般的にマスターと呼ばれますが、私は既にマスターのことをマスターと呼んでいますので、なんとお呼びすればいいのかと」
「なんだそんなことか。
こいつのことは木偶の坊とでも呼んでやればいい」
いや、流石にそれはやめてくれ。
茶々丸ちゃんだったよね。
普通に名前で呼んでくれればいいから。
「はい、わかりました。では、ダニエルさんと呼ばせていただきます」
「ちっ、こいつなんぞ木偶の坊で十分なものを。
ちなみに一応聞いておくが、貴様はナギに関する情報を持っているか」
いや、ネギと同じくらいしか無い。
エヴァだったらどうせネギからは生きているって聞いてるんだろ?
「ああ。
その話を聞いたせいで、最近私に呪いをかけられた時の夢をみることが多くなった」
ああ、あの時の夢ね。
確かにあれは悲惨だったな。
俺もあのときは穴ほったり、にんにくとか買いに行くの大変だった。
「・・・・待て、あの穴をほったのも、にんにくを買いに行ったのも貴様だったのか」
・・・・まさか知らなかったの?
いっいや、でも、穴も俺は手伝わされただけだし、にんにくなんかもお使いみたいなものであって。
「おい、追加注文だ。やはり新鮮な血液が欲しくなった」
そっそれは・・。
すぐに病院に行って輸血パックもらってくるから!
「そんなの待てんし、なにより新鮮じゃない。
ちょうど目の前に血液タンクがあるんだ。
そこから勝手にいただくことにするから心配するな」
よせ。
よせって。
お、俺に近寄るなー!!
アーーーーーッ!!
そのころの明日菜と木乃香の会話
「う~~ん」
「どしたん?なんや最近悩んどることが多いみたいやけど」
「いや、京都にいたダニエルさんとかいう人の事なんだけどね」
「ああ、あの人か~。
でも、あの人がどうかしたん?
好みのタイプだったとか?」
「いや、渋さが足りなかったからそれはないわ。
でさ、あの人ってこの学園にいたこととか無いわよね」
「う~ん、うちは見たことあらへんな~」
「じゃあやっぱり気のせいだったのかも。
いやね、あの人を見たときなんだけど。
なんでか、どこか懐かしい感じがしたのよね」
あとがき
次かその次あたりで脱げ女が脱げ無しで登場。
脱げの無い脱げ女、乞うご期待。
いつかガンドルフィーニ先生とか刀子先生も来る予定。
木乃香は方言が難しいのであまり出したくない。