ようやく今回の目的地についた。
今回の目的地は研究所。
なんか悪の魔法使いたちが極悪非道な人体実験をしているとかで潰しにやってきたのだ。
人体実験に使われているのは攫われて連れて来られた子供たちらしい。
久しぶりに俺も料理以外のことをしないといけなくなった。
戦闘は嫌いなんだけどなぁ。
と、思っていた。
実際俺の出番は全く無かった。
まず、油断しているのか研究所から出てきてタバコを吸う魔法使いを発見。
ガトウさんが「この研究所も禁煙なのか、喫煙者に厳しい世の中になったもんだ」とか言いながら一瞬で魔法使いを気絶させて連れてくる。
アルがイノチノシヘンでそいつをコピー。
ラカンと言いアルと言い、こいつらは素で十分強いくせにアーティファクトも反則レベルだと思う。
ちなみに俺はナギと契約してない。
いや、だってあれって強制召喚みたいな昨日とかついてるんだぜ?
あんなのあったらナギから逃げられない。
そして、魔法使いの記憶をコピーしたアルが研究所に侵入。
捕まっていた子供たちをこっそりと連れ出す。
全員連れ出したところで、ラカンが「スーパーラカンビーム」とか叫んで目からビーム出して研究所を破壊。
あとは、生き残った半死半生の魔法使い達を「ラカン適当にラッシュ」とか言ってボコボコにして終了。
最後は、俺たちにこのことを依頼してきた魔法協会の人達が来たので報告と悪の魔法使いたちの引渡しと、子供たちを預けて終了。
いや、今回も俺の出番なし。
というか、戦闘に俺が直接参加することのほうが少ないんだけどな。
普段は避難する人の誘導とか怪我人の治療に当たっている。
おかげで治療魔法は経験値マックス。
でも、今の俺はその魔法がほとんど使えない。
無詠唱の練習もしているがなかなか上手くいかない。
未だ氣もろくに扱えないので戦闘力はただでさえ弱かった以前よりかなり落ちている。
戦闘なくてよかった。
「ダン~!!」
「ナギ、なんかあったのか?」
「これ飲め!!」
ナギはなんか怪しい緑色の液体の入った小瓶を差し出してきた。
「いやだ」
なんでも、この研究所で研究されていたのは魔眼で、研究所跡から見つけた資料によると小瓶の中の液体を飲めば、右目が際限無く魔力を溜め込めて好きに引き出せるという魔眼になるらしい。なんという卑怯臭い。
それならお前たちが飲んで無双やってろと言ったんだが「俺たちは元々最強だからこんなのいらねえ」ということらしい。
「いいから飲めって!」
「ちょっ!おま、やめろ!腕離せって、そんな悪の魔法使いが作ってた怪しいものいらねえよ」
「これでお前も強くなって一緒に戦えるぜ!!」
「やめろ!」
ぐいっと俺はそれを飲まされた。
超まずかった。
ドブの味と言ってもドブ水を飲んだことは無いが恐らくこんな味なのだろう。
「いってええええええ!」
突如右目に焼け付くような痛みが走った。
蹲る俺を見てナギが「パワーアップの前兆か、お約束だな」とか言ってる。
いつか殺す。
そして、痛みが引いたとき俺の右目は魔眼になったらしい。
らしいと言うのは見た目は変わっていないからだ。
しかし、現実としてなにかが変わったというのを感じる。
こうして俺は魔眼持ちになった。
PS 後でアルとゼクトさんが魔眼を使うなと言ってきた。
なぜかと聞くと、資料をじっくりと読んだところ魔眼は未完成の失敗作だったらしい。
確かに魔力も無尽蔵に溜め込めて好きな量を引き出せるのだが、なんか一度引き出すと右目がぷちゅっと潰れるらしい。
しかも、専門用語ばっかりで理由はよくわからなかったが、この魔眼が潰れると魔法でも再生できないとか。
なにそれ、これ魔眼(笑)だったのか。
ナギが「ドンマイドンマイ、次あるって」とか言ってきた。
現実の厳しさに俺は泣いた。
ガトウさんと詠春さんがすごくかわいそうなものを見るような目で見てきた。
ラカンは大爆笑だった。
こうして俺は魔眼(笑)持ちになった。
あとがき
そういえばゼクトは最後に敵っぽくなってましたね。
俺的にはあれは創造主が取り付いたと解釈してます。
流石にダンはラスボスにはなりませんって。
ちなみにどうでもいいことですが、俺は成長したテオドラがツボりました。