アリカ様の処刑の日まで二ヶ月になった。
そんなときに何をしているのかと言うと。
「詠春の住む国ではサクラと言う花を満開、もしくは散り始めに皆で眺めるそうです。
しかし、花というものは満開もしくは散る姿のみが美しいわけではありません。
まだ蕾のものや芽が出たばかりのもの、それぞれに美しさがあります。
花を咲かせようと必死に育つ姿はたとえどんな花であろうと美しいものです。
そして、その姿を眺めているうちに愛しさが湧いてくる。
そういうのも一つの花の楽しみ方です。
つまり、私が何を言いたいのかと言うと、ロリコンも立派な一つの愛の形だと言うことです」
アルによるロリコン講義だった。
既に講義開始から2時間が経過している。
「確かにな。
まだ幼い巫女さんの卵が一人前になろうと必死に努力する姿もそそるものがある」
詠春さんはなにかに納得したように頷いている。
なんで俺こんなことに巻き込まれてるんだろう。
俺はロリコンでも無ければ、詠春さんみたいに特定職ならほとんどの年齢がカバーできるわけでもない。
「いやはや、アル、いつもながらお前の講義は真理をついているよ」
「いえいえ、詠春こそ特定職における見識は私など足元にも及びません」
がっしりと握手を交わす二人。
誇らしげな顔が腹立たしい。
「おっと、そうだ。今日は巫女さん通信の発売日だったんだ」
「そういえば、私もまだ今週のロリっこ通信を4回しか読んでいないんでした」
俺が嘆息しながら部屋に戻ろうとすると、なんか大きなダンボールと手紙が届いていた。
手紙を見てみるとオスティア出版の編集さんからだった。
『先日の倉庫整理で激レアの品を発見しました。
しかし、当編集部にはその属性持ちはいませんでしたので作家の先生方にプレゼントいたします。
個人で楽しむか、知人の属性持ちの方に差し上げてください。
編集部よりの日頃からのお礼です』
属性持ちってなに?
魔法の属性のことか?
なんかよくわからんが、激レアなら悪いものじゃないんだろう。
呪いの一品じゃないといいなあっとダンボールを開封した。
『巫女さん通信 魔法世界ver』と書かれた雑誌が大量に詰め込まれていた。
俺は即座に燃やそうと思い杖を持った。
ロリ・ロリ・ロリータ「ただいま~って、ダン何やってるんだ?杖なんか持って、待て!!!!」
詠春さんが俺の前に飛び出てダンボールを抱き抱えた。
しかし俺の魔法は止まらない。
ロリッ・ロリッ、炎の一矢
炎の矢がダンボールを抱える詠春さんに当たり、詠春さんに火がついた。
「ぐぬぅぅぉおおおおお!やらせはせん!やらせはせん!やらせはせんぞぉぉ!」
自分が燃えててもダンボールを手放さず守り続ける詠春さんに引いた。
「たかが一人の非属性に巫女さん属性の栄光をやらせはせんぞ!!」
結局詠春さんはダンボールを守りきった。
一応治療はしてあげた。
どうやらこれは昔魔法世界で旧世界ブームが起こったころのものだとか。
雑誌の表紙では、魔法世界の様々な種族の様々な年齢の女性が巫女の服装をしている。
しかもこれはかなり古く、販売部数も少なかったので現存しているものが元々少なかった上に大戦のせいでさらに少なくなって、今ではこれみたいに全部数揃っているのは奇跡と言えるレベルだとか。
その筋のオークションにかければ100万ドラクマはくだらないらしい。
その筋がどの筋だかは知らないが、とりあえず貴重なものらしい。
「燃やすくらいなら俺にくれ!いや、どうか私にお譲りください!」
そう言って、恥も外聞も無く即座に日本の伝統の土下座を見せてくれた。
その姿に鬼気迫るものがあったのであげることにした。
すると、すごく感謝されて「いつか俺が巫女さんの理想郷にたどり着いたときはお前にも一人おすそ分けしてやるよ」とかいうわけのわからんことを言われた。
その後、守りぬいた雑誌を読み、鼻血を一筋流しながら恍惚の笑みを浮かべて「これはいいものだ」と言う詠春さんがいた。
詠春さんから話を聞いたアルが『ロリっこ通信 魔法世界エディション』は残っていないのかと聞いてきたので編集部に問い合わせてみた。
後日『英雄色を好むと言いますが、先生もなかなか守備範囲がお広いお方ですね』という手紙と共に届けられた。手紙は破った。
「いつか私がロリっこの(ry」
PS 最近、ラカンがまともに思えてきたから困る。
あとがき
詠春を青山に修正しました。
原作ではアリカを助ける時点で近衛になっていたけど、この作品では現時点では青山と言うことにします。
理由は詠春の趣味のおかげで結婚が遠のいたということで此処は一つお願いします。