今日はテオドラに頼まれて、戦争中の経験を活かして救助部隊に指導をしてくれと言われた。
給料良かったし詠唱をする必要もなさそうなので快く引き受けた
のだが、なんか部隊の人たちが俺を見てこそこそ話してる
「あれが『英雄の右腕』『戦場の料理人』『紅蓮の瞳(故)』・・・etcと異名をとる人か」
「ああ、パッと見では弱そうに見えるところが恐ろしいな」
「でもなんで救助がメインで行動してるんだろ」
「俺が聞いた話によると力が強すぎて逃げ遅れた人も巻き込んで殺しちゃうかららしいぞ」
「そうなのか!?ちなみに俺が聞いた話によると『戦場の料理人』っていうのは、戦場で料理をするかのごとく相手を殺すからだって聞いたぞ」
「そういえば、あの人が書いた料理本には竜の丸焼きとか載ってたしな」
「そのときの竜って古龍一歩手前くらいの強さだったらしいけど、あの人が無傷で仕留めたらしいぞ」
「もはや次元が違うな」
「しかし、守るために闇の力を身に宿すなんて俺たちには真似できないよな。力に耐え切れなかったら死ぬらしいし」
「ああ、それができるから英雄なんだろうよ」
なんだろう、この状況。
アニメや映画のせいで俺がラカンみたいな人外になってしまっている。
まさかここまでになっているとは。
結局その後ちゃんと指導は終えたのだが、サインをねだられたりしてびっくりした。
そして、今はテオドラとのんびりと話している。
「なんか俺のことが誤解されてた」
「当然じゃ。妾が広めたからな」
おまえか!!
無い胸を張るな!
「よいではないか、損するわけでもないのじゃから」
「ただでさえファンクラブとかできて困惑してるのに」
「それも妾が作ったのじゃ」
こっちもおまえか!!
なんでも他のメンバーにはあるのに俺のだけないから作ってやったとのこと。
できて一ヶ月ほどだが、既に会員は1000人を超えているらしい。
自己犠牲の精神とか、あえて闇の力を身に宿す心の強さとか、映画でダニエル(笑)が時折見せる憂いを帯びた瞳とかが人気らしい。
いい迷惑です、本当にありがとうございました。
「ちなみに、まほネットでスレ立てして自作自演で盛り上げたりしてるのも妾だったりするのじゃ」
氣で強化した腕で角をへし折ることにした。
「いたたた、痛いのじゃ~」
じたばたするものの、腕力なら流石に負けない。
魔力で強化とかされると負けるけどな。
しばらくがんばってみたものの、どうやら予想異常に頑丈なようで折れなかった。
「うう~このロリコンドSめ」
ワンモアセッ!!
「痛いのじゃ~」
「それで、まだナギのやつは動く様子はないのか?」
しばらくたってようやく本題に入ることができた。
もともとこっちの話が本来の用事で、指導はついでらしい。
「まったくあやつも何を迷っておるのじゃ」
ぶつぶつと愚痴を言われる。
みんな俺をナギのマネージャーかなにかと思っているんじゃないだろうか。
「タイムリミットは迫っておるということは忘れてはいかんぞ」
「わかってる」
いざとなればケツひっぱたかないといけないんだろうな。
まあ、ぎりぎりまでは放っておくさ。
「そういえばお腹空いたのじゃ~」
「はいはい、オムライスでいいんだろ?おとなしく待ってろよ」
近くにいたメイドに厨房の場所を案内してもらうことにした。
ここにアルがいたらメイドについて語りだすんだろうな。
しかし、ここのメイドは美人さんばかりなのはなぜなのだろうか。
失敗ばっかりしてる人や、転んでばっかの人もいれば、完璧な人もいる。
やはりメイドは美人しかなれない職種で、うっかり失敗したり転んだりするのも全然ありありなのだ、とアルが力説していたのは本当だったのかもしれない。
帰ったらアルに聞いてみよう。
「のじゃ~」
後ろから情けないテオドラの声が聞こえてきた。
あいつは本当に皇女なのだろうか。
PS 帰ってアルに聞いてみると、10時間に及ぶ萌えメイド講座を受けさせられた。
しかも、萌えメイド講座が終わったら詠春さんによる巫女講座が始まった。
詠春さんが、いつか巫女ばかりの楽園を築いてみせると言っていた。
なんか本当にやりそうで怖かった。
講座の最後の方は「なんで俺の実家は神社の隣じゃないんだ!!これじゃあ巫女さんが幼なじみにならないじゃないか!!しかもその巫女さんが姉妹だったりすればなお良し!!」とか叫んでいた。