「まったくおまえらはなにをやっておるんじゃ!!」
「ごめんなさい」
「へっ!!」
俺の名前はダニエル、ダンと呼んでくれ。
目の前にいる校長の様子が物語るとおりにただいま絶賛説教中だ。
原因は俺の隣にいるナギ・スプリングフィールド。
馬鹿みたいな魔力を持っているくせに、ろくに勉強もしないから呪文もろくに覚えていないというふざけたやつ。
そして学校嫌いの不良生徒だ。
いつもいつも先生たちにイタズラばかりしている困ったやつで、お隣さんで昔からいつも一緒に遊んでいた俺を必ず巻き込むという超迷惑なやつである。
今日は先生の机の引き出しいっぱいにカエルをいれた。
そして驚いた先生に奇襲をかけてぼこぼこにした。
ちなみに、俺は昨日イタズラ用のカエルを捕まえるためにナギに一日中引っ張りまわされた。
まあ、そういうわけでなぜか俺もいつも一緒に怒られる。
「ナギ、お前は立派なマギステル・マギになれる素質を持っているというのに」
「俺はそんなもんなりたくねえ」
じゃあなにしに魔法学校来てるんだよ。
まあ、魔法使いの子供はなにか事情が無い限りとりあえず魔法学校に通わされるというのが通例だからなのだろう。
俺もマギステル・マギになりたいわけでもないのに通わされてるし。
「ダン、お前は普段は真面目なのになぜこんなことをするのじゃ」
勝手に巻き込まれるんです。
馬鹿魔力で身体強化してるこいつに引っ張られたら抵抗できません。
「大体あのやろうが気に食わなかったんだ。
なにが『呪文一つろくに覚えてない屑』だ!!」
「まあまあ、ナギも落ち着いて」
「お前は悔しくないのか!
あのやろうお前のことに『なにをやらせてもそつなくこなすが、何一つ秀でたもののないつまらんやつだ。所詮は凡人』とか言いやがったんだぞ!!」
「まあ、事実だしね。それは俺が一番良くわかってるよ」
この程度でキレるとは本当に困ったやつ・・・・困ったやつなんだけど・・基本は善人だ。
今回のことも自分のことは軽く流してた。
でも、先生が張り合い甲斐の無いナギから標的をいつも一緒にいる俺へと代えて暴言を吐いたから怒ったわけだ。
結局仲間思いなんだよなぁ。
まあ、こんなやつだから巻き込まれても嫌いになれずにいるんだろう。
「確かにあの先生にも悪い点があったのも事実じゃが、お前らも悪い。
お前らはいつもイタズラばかりしておったが、今回はまずい。
先生は顔面骨折しておったしの。おそらく停学処分になるじゃろう。」
普通は退学になってもおかしくないんだけどな。
どうやら魔法学校はナギを手放したくは無いみたいだ。
まあ、こんな才能のあるやつを手放すなんてもったいないんだろう。
「じゃが、次は無いぞ。次やったら退学じゃ」
「は「はっ、こんな学校こっちから願い下げだ。今すぐ退学してやるぜ!」い?」
なに言ってんだこいつ。
「なっ!ナギ、何をいっておるんじゃ」
「おい、ダン。行こうぜ、こんな学校通う意味なんてねえよ」
俺の手を引いてドアに向かうナギ。
あれ?これって俺もこいつと一緒に退学することになってるの?
「おい!ナギ!」
俺は退学するつもりなんかねえって
せっかく停学ですむんだからさ。
「わかってるって。俺が言わなくても一緒にやめてくれるつもりだったんだろ?
お前はいつもそうだったもんな。みんなから不良扱いされてる俺についてきてくれたのはいつもお前だった」
お前がいつも無理矢理引っ張ってったんだろ、事実を脚色するな。
そしてドアを開けて、ナギとナギに引っ張られてる俺は部屋を出た。
「じゃあなじいさん」
ナギは部屋に一言だけ置き去りにした。
「まつんじゃナギ!!」とか部屋から聞こえた。
俺の名前は無い。
どうやら別に俺はいらない子らしい。
まあ、所詮はナギのおまけ、いや、おまけにすらなれない抱き合わせ商品みたいなものだし俺もそれは理解してる・・・けど悲しい。
結局俺は近くの丘まで連れて来られてようやく解放された。
ナギがつかんでた腕に痣が残ってる。
この馬鹿力め。
そして、当の本人は丘からどこか遠くを見てる。
「さて、これからどうすっかな」
とりあえず校長に謝りに行かない?
そうすれば問題ないって。
「家に帰るのはダメだな。どうせ怒られた後に校長のところに謝りに行かされるだけだ」
「もうそれでいいじゃん。それがベストだって。
な、そうしよう?校長も今なら許してくれるって」
「・・・・・・・・そうだな、旅に出るか」
そうそうそれでいい・・・旅?!
「世界を自由に見て回るのもおもしろそうだ。よし、旅に出るか!」
「ナギ!!」
なに言ってんだよこいつ。
俺ら魔法学校を卒業すらしてないガキが二人で旅とか無理だろ。
魔法犯罪者とかに出会ったら確実に殺される。
魔力ならお前のほうがそこらの魔法犯罪者なんかより圧倒的に上だろうけど、お前アンチョコみないと魔法使えないだろ。
戦闘中にアンチョコ見てるやつなんか居たら一瞬で殺されるわ。
「わかってるって。お前もついてきてくれるんだろ?
本当にお前には迷惑ばっかりかけるな」
苦笑なんか浮かべなくていいから。
俺は絶対ごめんだから。
「さあ、行こうぜ。なに、俺とお前、二人でならなんだってできるさ」
無理、無理だから!!
まず俺ら金すら無いから明日のご飯も食べれないし。
だから腕引っ張るな。
「これからもよろしくな、相棒」
ふと書いてしまった。
しかし、ナギの過去の話とか仲間との出会いはよくわからないので続きが書ける自信が無い。
紅き翼のメンバーでも未だに名前と姿くらいしか出てない詳しいことのよく分からない人とかいるし。