纏で受けていれば確実に手のひらを貫いていた一発は、ポンズが使った練の応用技の一つの『圭(ケイ)』で防御していた。
任意の場所のみ練を行う『圭(ケイ)』は、流や硬へとつながる応用技の一つで、防御だけでなく攻撃にも使える。
言葉で誘導して気づくように仕向けたけど、本当に気づいてくれてよかった……貫いたらどうしようかと、心臓がバックンバックンいっていました。
今の攻防でポンズが自信をつけたのか、ガンガン前に出てくるようになった。
さてと、もうワンステップ上がってもらいましょうか!!
「痛っ!!」
堅と凝を使いポンズの攻撃を受け止める。
さっきまでの纏での凝とは違い、練での凝なので防御は段違いに上がっている。
今のポンズでは、この堅を破ることはできないだろう。
堅を保ったままでいると、ポンズからオーラ切れを起こすわよと言われたので、2時間は余裕で維持できるから大丈夫!と親指を立てて言うと、ポンズの顔が引きつった。
練のまま維持する事=応用技の一つって気づくかな?
ポンズがなにかに気づいた顔をした後、両手を『圭(ケイ)』で強化し、殴りかかってきた。
どうやら凝を使って防いだ時、周りのオーラが薄くる事に気がついたようだ…連続で流はできないと思っているのかな?
俺はポンズの一発目を防御した後、高速で流を行い二発目もガードした。
ポンズに流は本来、練の状態で何度も素早く行うのが普通だと教えてやる。
…ある程度応用技も見せたし、そろそろ発を使って終わらせよう。
「それじゃあそろそろ発使ってあげる。殺されないようにしっかりと防げよ!!」
そう言って俺はポンズの周囲に罠を展開した。
SIDE ポンズ
シュウが発を使うと宣言したので、私はすぐさま凝を行った。
しかし、特に何もしてこない上に、口に手を当てて笑っているシュウを見て、また騙されたと思い凝を解除しシュウに殴りかかった。
しかし二歩くらい進んだところで、両足が地面から離れなくなってしまった。
しまったと思い私はもう一度凝をすると、私を中心に1㎡ほど地面がオーラで光っていた。
コレがシュウの発なのだろうか、私は急いでその場所から脱出しようとするも、全く抜け出せそうにない。
シュウが前からゆっくりと歩いてきた。
私は焦って腕を振り回し攻撃しようとするものの、シュウが私の間合いの外にいるため空振りしてばっかりだ。
シュウはコレが最後だ、とダーツの矢を取り出し私めがけて投げた。
私は『圭(ケイ)』でガードをしようとしたが、今までよりはるかに威力があり、ダメージを殺しきれなかったので後ろに倒れた。
「ポンズ…そのまま寝ていろ」
「クリーンヒット&ダウン!!3ポイントシュウ!!!6-0」
シュウは私に向かって右手を伸ばした状態だ。
私は立ち上がろうとしたが、今度は体全体が地面からくっついて動かない。
審判が早く立ってといっていたが、私が何かをされて立ち上がれないと分かったのだろう、10カウントを数えだした。
私は力を振り絞り、体を動かすが全く起き上がることが出来ない。
無常にもカウントがどんどんと数えられ、10カウントたってしまい私の敗北が言い渡された。
その瞬間地面と私をくっつけていた何かがなくなり体を起こすことが出来た。
負けたことと、何も出来なかった自分にショックを受けて俯いていると、シュウが近寄ってきて私に手を差し出した。
「驚かせてごめんね。立てる?それと試合お疲れ様、よくがんばったな。」
いつものシュウがそこにいた。
安心したせいか涙が出て止まらなかった。
こうして私とシュウの試合は幕を閉じた。
――――――数時間後
「あれが修行で実際は殺す気なんてカケラもなかったですって!!」
シュウに今日の試合のことについて聞くと、そのようなことを言ってきた。
試合のVTRを見ながら解説をしてくれたが、確かに最初の一発以外致命打になる攻撃はシュウからしかけていないし、その一発にしたって簡単に避けられる場所を狙っていた。
まさかシュウの手の平の上で遊ばれていたなんて考えもしなかった。
修行と言われれば確かに今日の試合は、かなり自分がステップアップしたことが自覚できるくらいだったので、効果的だったのは納得する。
しかし、くやしいものはくやしいのです!!
……そうだお仕置きをしようではないか。
私は、本当に怖かったんだからねと涙をすすり、顔を隠しシュウに心配させることにする。
シュウはすぐさま土下座で謝ってきたが、私はそれを無視して泣きまねを続けた。
これくらいしたってバチは当たらないでしょ
…お姉ちゃんをここまで怖がらせた罰だ。
もう二度とこんな事をやらせないためにしっかりとシュウに反省させた。
SIDE シュウ
いや、まいったまいったポンズに土下座をして3時間、やっと許しを得た。
まさかここまで怒るとは思ってなかったなぁ~。
今俺は、自分の部屋でポンズに今日の試合のVTRを見せながら試合の復習をやらせている所だ。
今日ポンズが一番印象強かったものは、やはり『圭(ケイ)』だったらしい。
俺は『圭(ケイ)』の説明を行い、この応用技を経て流に至ることを教えた(硬にも至るがポンズが知らないので教えない)。
ヒソカとの試合を通して、ポンズが知らない応用技は周と硬になった。
これは今回みたいにいつか自分で気づいてもらおう。
「裏試験合格したけどまだまだ知らないこといっぱいあるのね。」
「修行に終わりはないですよ?」
ポンズの裏試験合格は、試合前日に言い渡してあった。
明日からはポンズの系統別の修行をやり始め、それと平行して能力開発を行うことを告げると、今すぐにやろうと言ってきた。
俺はそんなポンズをドウドウと落ち着かせ、今日は試合でオーラを酷使したから明日からだと説得した。
不満たらたらの表情だったが、一応納得したのだろう今日も寝る前に残りのオーラを練で全部消費してもらい、眠ってもらうことにする。
毎日少しずつこつこつと、オーラの総量を上げてもらいます。
ポンズが部屋に帰ったので俺も寝るまでの間練ですごし、オーラを使いきります。
ベッドでゴロンとしながら雑誌を読んでいると、電話が鳴り、はいはいどちら様?と受話器を取った。
……ウイングさん?どしたの珍しい。
へぇ…俺はウイングさんの提案に乗ることにした。