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No.41100の一覧
[0] 【H×H】雲外蒼天[ネコま](2015/04/05 03:15)
[1] 1話[ネコま](2015/04/05 06:11)
[2] 2話[ネコま](2015/04/07 14:23)
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[41100] 【H×H】雲外蒼天
Name: ネコま◆fa3bad90 ID:df3a7ba8 次を表示する
Date: 2015/04/05 03:15
予感めいたものなど、何ひとつなかったんだ。

かつての俺はまだ子供で、一人で電車にも乗れない様な気の弱い子供だった。
初めて一人での電車旅。おばあちゃんの家にまで一人だけで行くことが俺の任務だ。
人がわらわらと歩く駅のホーム。
俺は電車が来るまでずっと俯いてポケットに入った定期券をいじっていた。

ガタンゴトン、ガタンゴトン。
子供の俺の耳に凄まじい音を立ててブレーキする電車。
ごくんと唾を飲み込んで人ごみに押されるまま電車に飛び乗った。
苦しい、それが第一印象だったな。
揺れる電車に身を任せ、時々バッグにぶつかる。

「……ふぅ」

あれから16年と3ヶ月。
俺は晴れて立派なサラリーマンとなった。
会社は結構大きなIT系の企業で、主にシステムの設計や開発などの仕事をしている。

「終わらないぃぃ! ノルマが終わらないよぉぉ!!」

発狂するしかないのかな、うん。
今月分のノルマが全然達成出来ていないのだ。
それどころか先月のノルマも半分出来ずに同僚が肩代わりしてくれたのだった。
山崎さん、感謝してます。今月分のノルマも達成できそうにないです。またお世話になります。
あーこれじゃあいつクビになるかも分かりゃしない。
こんな俺でも雇ってくれてるのは仕事は遅れているが、システムの提案が結構上手くいっているからである。
豊かな発想力を持っているのは子供の時から。
ちなみに将来の夢は漫画家だった。当然無理だけどさ。

「杉村さん! 杉村さん!!」

どんどんどん。
ヤバイ、こっちも地獄だった。
ヨレヨレのTシャツを引っ張りながら「はいはい」とドアを開ける。

「……どうも、大家さん」

ダルそうに返事をすると大家さんからやっぱり「どうもじゃないわよ!!」の台詞が帰ってきた。
家賃どうしよう、四日後に仕送りくるんだよな。
それまで待って下さい、ってダメもとで頼んだらOKしてくれたのにあれは嘘だったんですか大家さん。

「早く払って下さい、先月の分!」

「……あ、やべぇ」

「忘れてたの!? 信じられない!!」

プンプンと怒る大家さん。
仕事の先月の分だけでなく家賃の先月の分もためていたとは。
俺はなんてバカなんだろう。
ああ懐かしなーなんて思っただけでDRAGON BALL全巻集めなきゃ良かった……!
でも全部中古だったんだよ? 全巻セットで6200円でお得だったんだよ。
家賃ためてるのを忘れるとか本当に俺はバカだ。

一人暮らしはやっぱりキツイ。
3年前に大分から東京に上京して一人暮らしを始めた俺。
絶対に綺麗でオシャレに過ごして東京人になってやる! なんて思っていたが、一週間で綺麗でさっぱりとした部屋は汚部屋と化した。
三食コンビニ弁当、朝はコンビニのお惣菜パン一個か二個。
昼と夜はガッツリ丼もの。そろそろ料理できないとな。

「スミマセンでした、はいどうぞ!」

「はい、キッチリ五万円。じゃあね」

そう言って去っていった大家さん。
くそ、早く仕送り送ってくれ母ちゃん!
息子のピンチです、このままではあの脂身の乗った大家さんに料理された挙句干されちゃうよー。
……テレビでもつけるか。
録画したのは何があったっけな、確かバラエティー録っといた気がしたけど。

ポチッ。

〈この春一番の暑さです__次のニュースです。パドキア動物園にうさぎリスの赤ちゃんが__〉

「うさぎリスぅ!?」

ちょっと待って何これ?
うさぎリスなんて動物聞いたことも見たこともない。
あ、何この子めっちゃ可愛い。うさぎの顔にリスの体じゃん。
なんて俺得、いやなんて可愛い動物だ。
でもいつからこんな動物いるんだろ、こんな可愛いならもうとっくにニュースにでもなってるだろうし。

……って何この文字?
いつも字幕が表示される場所に出る謎の記号。
見覚えがあり過ぎるんだが、まさかハンター文字とか……ナイナイナイナイ!!
なんだそれそんな訳がないっつーの、俺どんだけ二次元好きなんだよ。
HUNTER×HUNTERは好きだけども、ね。うん。

「なんだよこの文字……訳わかんねー放送事故?」

だとしたらネットで騒がれてるはず。
パソコンをテーブルの上に置き、起動させる。
Googleを開いたら、さっきの意味不明な記号の羅列。
悪夢だ、時代は変わったのか? 俺違うフォントに変えたっけ?
でもよく見たらナメック語にも似てるような……。
勘違い、それか夢だったと言う事にしよう。
俺の頭の中だけで、Google先生は真面目に起動してくれたが俺には文字が分からなかったので使えなかった。

♪おはようって言ってー、また夢を__。

「はいもしもし、母ちゃん?」

「俊介のケータイだよね? 母ちゃんだよ元気しちょるー?
あ、じゃ~じゃ~用件じゃけんどもう仕送りやめにするんで~ね。
うちもお父さんがお仕事やめちゃって__」

今、悪夢の単語が聞こえた気がした。
仕送りをやめる? そんな、嘘だろ?
今仕送りを止められればこのアパート追い出される。確実に。
これ以上は大家さんは待ってくれない!

「母ちゃん今月分のだけでもお願い!」

「しょうがないな、今月分のだけね。
多分3日後には届くよ、じゃーあねお仕事頑張って」

プツン。切れてしまった。
でも予定より1日早く仕送りが届きそうだ。
良かった良かった、あ……あの変な文字の事聞くの忘れた。
まぁいいか、害はないだろうし。
何かのバグだろ、そう信じるしかない。

「っとー、何見よっかなー」




3日後に無事に届けられた仕送りを大家さんに渡して追い出される危険は去った。
だがあれから3日も経っていると言うのに文字が変わらない。
トリップしたのはあり得ない、んな非現実な。
まぁもしも本当にHUNTER×HUNTERの世界にトリップしてしまったのなら嬉しくないと言えば嘘になる。
だが世界観がヤバイ。死亡フラグ真っ逆さま。
せめて学園モノが良かった、涼宮ハルヒとかさ。
もっとあったよね? まぁ24のオッサン(高校生から見れば)がどうやって絡めばいいって話だけどね。
それだと法律的にヤバくなっちゃうけど、合法だし。

後ノルマは当然の様に山崎様に肩代わりしてもらった。
いつも感謝してます、今度奢るって約束したし。
でもアイツ大食いだから金食われるな、まぁクビにされるよりはマシだけど。
そしてあの文字記号の謎、同僚の林さんから聞いたところハンター文字でしょ寝ぼけてんの? とお説教をくらってしまった。
ハンター文字だなんて、本当に俺は夢を見ているんじゃないかと思ってしまう。
これは集団ドッキリかもしれないなんて周りを警戒していたが、周りはあくまでも普通にいつも通り。
警戒していたこっちがバカだった様に。

「っと、遅刻遅刻ー」

時計がさす9の針。
ネクタイを改めてキュッと締め、カバンを持って戸締りをする。
徒歩で駅まで10分程度、駅から近い物件を選んだのは正解だったと今でも思っている。
あ、犬散歩してる。かんわいー。癒しだよね。
俺も犬とか飼いたいけどスペースもないしお金もないし第一にペット禁止だし。
ダメだよなー、なんて思いながらまた俯く。

「っと、乗ります。スミマセン、スミマセン……」

人混みをかき分けて満員電車に乗り込む。
こう言うのは女子高生が怖い、なんて普通のサラリーマンは思うと思うが出勤時刻が9時45分である俺に死角はない!
まぁ念のため両手でいつも2つのつり革に捕まっているが。



「おはようございまーす!」

「あ、オハヨウ杉村さん……」

あれ?

「おはようございます、西田さん」

「おはよう……」

んん?

「おっはようー! 山崎」

「あー、うん、おはよう杉村」

おかしい、皆が皆しらじらしい。
俺なんかしたっけ? あ、山崎にはいつも迷惑かけてたな。
でも西田さんと林さんにはなんの迷惑もかけてな……。
あ、2人で抜いてるのがばれた?
んな訳ないよな、うん。ばれてたら俺自殺するレベルだしな。

「あ、課長! おはようございます」

「……おはよう杉村くん、話があるんだが、ちょっといいかな?」

「あ、はい」

まさかクビ、だなんてないよな?
冷や汗が止まらない。脇汗がびしょ濡れだ。
スーツの裾で額に浮かぶ汗をバッと拭う。

「異動になった」

「い、異動……!?」

良かったクビじゃない! って異動かい。
この部署にも慣れてたし、皆結構いい人だったのに異動か。
美人多かったし課長や部長は優しいし、なんだかんだでいいところだったのに。残念。
それで皆の態度よそよそしかったのかぁ。

「そうですか、どこに異動ですか?」

「……さっぱりしてるな、君らしいが。君の異動場所は『ハンター系列広報部』だ」

パードゥン?
え、何その部署。ハンターって単語混じってますが?
おっかしいなー課長ってば冗談嫌いな人なのに。
……あれ、マジ?

「課長、冗談キツイっすよ」

「俺は冗談嫌いなの知ってるよな?」

「……はい」

マジらしい、真顔で怒られた。
だがそこが怖い、真顔の奥底の怒りが滲み出ちゃってます課長!
それにしてもハンターってサラリーマンもやるのか?
ハンター系列、という事はもうここがHUNTER×HUNTERの世界であると認識しなきゃな。
でも住んでる所も人の関係もそのままそっくり持ってかれてる感じ。

「ハンター系列広報部のリセさんだ、お前の同僚な」

「あ、よろしくお願いいたします。杉村 俊介です」

「よろしく、リセ=ブランケットです」

リセさん、そう名乗った彼女。
凄い美人だ。いかにも外国! な金髪の髪に青い目。
背も高いな、俺が178cmだから160後半はいってるかもしれない。
なんというか大人しそうな外人美女だ。
この人とこれから仕事するってなるとドキドキするな、俺だって男だし。
いつもの机に置いたカバンを持ち、リセさんについていく。

「あ、ちょっと杉村!」

「ん? 何」

「今日の8時半からお前のお別れパーティーするからさ、8時にこの部署に集合な」

俺は山崎からその事を聞くとオッケーと軽く言った。
お別れの挨拶とかは、そのパーティーで言えばいいか。

エレベーターに乗る。
二人だけ、他に人は乗ってこない。
ここが四階でリセさんが押した階は八階、ここは無駄に高いんだよな。

「…………」

無言が続く。
リセさん何か話題振って!
俺辛くて死にそう、彼女いない歴=年齢舐めんな!
こんな美人と密室で二人きりとか本当にヤバイ。
願っても無いシチュエーション。へへ、にやけそう。

チーン。
エレベーターの8の数字が黄色く光る。
着いたか。

「杉村さん、ここが我々ハンター系列広報部の仕事場です」

「わ、でっか……」

ウィーーン。
しかも自動ドアかよ。
前の部署は普通に開け閉めするやつだったのにな。
部長、怖くないといいな。
俺すぐクビにされそうでめっちゃ震えてる、身体には出てないけど。

「皆さん、杉村さん連れてきました!」

一斉に俺たちの方に振り向く皆。
わぉ、スッゲーカラフルな髪色、さすがHUNTER×HUNTERの世界だな。
俺はリセさんに肘でちょいちょいと突かれ、ハッとして自己紹介をする。

「開発部から来ました、杉村 俊介です。よろしくお願いします」

パチパチパチパチ。
細やかな拍手がおこる。
ニッコリした笑顔で受け入れてくれる。
なんかここでならやってけそうな気がします。

頑張るぜ母ちゃん!


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