流石に3ヶ月の間毎日使っているとライトセーバーのオーラが切れるので、一週間ほどオーラを溜める事に集中する事にした俺は一度じっちゃんに会いに寺に戻る事にした。
じっちゃんにお土産のゾルディック饅頭を渡しつつ現状を説明するとなにやら安心した様子。なんでも怪しげな執事服の連中が寺の周りでうろちょろして俺の事を尋ねて周っていたらしい。
なんというか調査の時ぐらいスーツ脱げよゾルディック家執事よ!
そして俺の素性はすでにバレバレだったのか。わざわざフードを被ったままゼノさんとの戦いに挑み「声という情報を与えたくないのでとりあえず黙っておくキリ」とか言ってた俺が恥ずかしいわ!
その後ゆっくりと寺での滞在を終えゾルディック家に帰ってきた俺は久々に敷地の一線の門に遊びに(修行に)行く事にした。
するとカナリアちゃんは珍しく一人で待ち構えながら相変わらず嫌そうな顔で見つめてきた…が俺のフォースは彼女からどこかか拗ねたような俺との再会を喜んでいるような感情を感じ取った。
あれ?ひょっとしてこいつチョロインじゃね?と思いなんとなくフォースを集中させ、ひらりと掌をかざしながら
「俺はそこを通ってもいい。」
と言うと
「あなたはここを通ってもいい。」
カナリアちゃんはそう復唱して、俺に道を譲るかのように一歩脇にどいた。「かのように」と言うか完全に道を譲ってるけどな!
ち、ちょろい。ちょろ過ぎるよカナリアちゃん!これでいいのかゾルディック家!
【マインド・トリック】
・操作系能力
相手に自分の考えを植えつける事が出来る。
相手が強固な意志を持っていると通用しない。
つまりちょろい奴や対象にとって重要でない事でないと操作できない。
また操作系能力者には効きにくい。
さて、道を譲ってもらったのはいいが、俺にはゼノさんの言いつけを破ってまで、この一線を越える理由が無いので
「カナリアちゃんはもの凄い勢いでぐるぐるステッキを100回したくなる」
「私はもの凄い勢いでぐるぐるステッキを100回したくなる」
そして俺はぶっ倒れた彼女を膝枕で介抱してあげたのだ。至福!
あ、ゲロるのはやめて!
ゼノさんの【龍頭戯画】のドラゴンランスをライトセイバーで防ぎつつ次の一手を考える。
だが思考のプロセスが混じるだけで反応が遅れてしまう。考えるな、感じるんだ。フォースの直観力に全てを乗せ、思考を消していく。
これは昔やった座禅でライトセーバーの形だけをイメージする作業に似ているな。
ライトセーバーで防いでいたドラゴンが光刃に噛み付き火花のような干渉現象と共にライトセーバーを捻じり取ろうとするが、ライトセーバーのスイッチを切る事でそれをすかす。それにより一瞬ドラゴンの挙動が止まるので、その隙にゼノさんに詰め寄ろうとしたところ、ドラゴンの胴体部分がうねり弧を描きながらこちらに向かってきた。俺のオーラに対する脆弱性は会って2回目の戦いの際に看破されてしまっている。
胴体をライトセーバーで防ごうとすると、後ろからドラゴンの顔がこちらに向かってくるのを察知、作戦を変更し防ぐのでなくしゃがむことで回避する。
これにより胴体が壁となってドラゴンの顔の進行を妨げる。さらに前に進みゼノさんに攻撃を仕掛けようとするが、ゼノさんは【龍頭戯画】を解除し手にオーラを集中、念弾でなくあえて収束しない形でオーラを放射してくる。これはライトセーバーで防げないので、後ろにとって下がる…というのが今までのパターンだったが、2年も同じことをやってれば対策ぐらい思いつく。
半身になり左手に凝でフォースを集めオーラを振り払い多少のダメージを覚悟しながらライトセーバーを振り下ろす、
がその時にはすでにゼノさんの左手には信じがたい量のオーラが集まりなんなくライトセーバーを受け止めていた。
まぁ何度も素手で受け止められてるのでそこまで驚かないがやはり攻撃が当たらないなぁ。
結論。ゼノさんの流の速さが半端なさす。
俺は流を鍛える意味が皆無なので後回しにしているが、とっさに攻撃を体で受けざるを得なくなった場合流があると命拾いするかもしれない。
こんな具合に
「ぐふっ」
「ふむ、ここまでじゃな」
俺は吐血してしまった。
俺は振り払ったとは言え、ゼノさんのオーラの放射をモロでうけたので結構きついダメージを負ってしまっていたのだ。
一応凝でオーラが直撃する部分にフォースを集めておいたので重症とまではいかない。
「相変わらずおぬしのオーラに対する惰弱性はひど過ぎる。わしの牽制でそれだけ食らっとるようじゃいつか命取りになるじゃろう」
「俺も色々考えてはいるんですけどね」
一応ヨーダよろしく相手のオーラを掌握したり、受け流したりしようとしているのだが、そもそもオーラに対する干渉力の低さが問題なので
どうしようもないのだ。
防御の際だけフォースをオーラに戻す、という試みも行っているのだが全く上手くいかない。
ライトセーバーは純粋なオーラで構成されているので出来ない事もないはずなのだが、出来るイメージも全く沸かないため今のところ断念している。
「とは言えわしを相手にまともに戦えるのなら余程の相手で無い限り死ぬ事もないじゃろ。とりあえず合格じゃな」
「ありがとうございました!」
今日はゼノさんによる卒業(?)試験(?)の日だ。
家事による念動力の操作性向上、試しの門による念動力と筋力の増強、
ゴトーさんのコイン弾幕とカナリアとの戦闘による目に頼らない戦闘の完熟訓練、たまにやってくるゼノさんという格上との色々アドバイスを受けながら組み手をしながら
そんなこんなで2年も滞在する事になってしまった。
流石にそろそろ飽きてきたし念動力で5の門64tまで、纏の状態の素手でも余裕で7の門256tまで開けられる様になったので、そろそろいいかなぁと思ったのだ。
腕試しを兼ねてハンター試験を受けようと思うのだが、金が無く路銭も装備も整えられないのでとりあえず本格的にバイトでもしようかと思い悩んでいたところゼノさんに天空闘技場を教えてもらう。
そういえば近くにそんなのあったなと俺は天空闘技場に行く事にしたのだが、ゼノさんがそれなら最後にわしと本気で戦えと、要求(脅迫)された訳だ。
結果は引き分け。ほとんど負けたようなものだが、それはゼノさんからの餞別がわりなんだろう。
ゼノさんは暗殺者だ。人を殺し金を貰う薄汚い家業。
だがゼノさんのオーラからは欲望や殺意で濁ったオーラを感じる事が無く、逆にそのオーラは常に落ち着いていて俺はどうしても嫌いになる事が出来なかった。
暗殺者なんて絶対にダークサイドのはずなのになんでなんだろうな?
そんなこんなでゾルディック家を発つ日がやってきた。
寂しそうなカナリアちゃん、いまだに俺に対して敵意むんむんのゴトーさん、そして2年間寝食を共にしたゼブロさん、シークアントさんに別れを告げ、最後にゼノさんから名刺を貰い試しの門を開ける。
俺は背後で試しの門が重厚な音を立て閉まるのを感じながらゾルディック家を後にした。
さて妙な形の飛行船にのりやってきました天空闘技場!ぶっちゃけ雰囲気はラスベガスみたいだ(行った事無かったけど)
歓楽街の中、空高くつき上がった塔の前にむさ苦しい男共がずらずらと長蛇の列を成している。
金を稼ぎたいもの、フロアマスターを目指すもの、己の武がどこまで通用するのか試しに来たもの、そんな欲望、夢、戦意がフォースにより
ひしひしと伝わってくる。
そんな君達にお兄さんから一つ質問。『体を洗う』という概念がこの世には存在してるんだけど知ってるかな?
寺の修行僧達だって夜には必ず風呂に入ってたのに、これだからヨーロピアン系のやつらは!
しかもここの男達はせめて香水で体臭を隠すというエチケットすら行っていない。
俺のフォースは嗅覚も強化するんだよ!鼻の部分だけ器用に絶をする事は可能だが、五感全てで奴らの汚さが分かるので気分が悪い。
俺はそんな悪臭の列に並ぶのがだるくなり、ついつい掌をかざしずる込みしてしまったのだが、だれをそれが責められようか!
なんだよ4時間待ちって、地獄か。
一階は参加者のレベルの判断の意味合いが大きいため、1つのフロアに16のリング、試合時間も3分と流れ作業のように試合が進んでいく。
受付を済ませ、番号札を貰い待つ事30分。俺の天空闘技場初戦の時がやってた。
相手はその巨躯につめこめるだけ筋肉を搭載したようなダルマ男。身長は2mを軽く超えるだろう。俺よりも40cm近くでかい。
会場は満場一致で俺の負けを予想しているようで、俺に対する暴言がひどい。それに対して普段ならプンスカしてしまうお茶目な俺だが、
それよりも奴の悪臭がひどすぎて全く気にならない。見るからに風呂に入っていなそうな垢まみれの体にもじゃもじゃで食べかす、よだれだらけの髭、そして蝋でコーティングしたようにテカついている髪の毛。
うん…さっさと片付けるに限るな。そう思い開始の合図とともに会場の誰もが感知不能な速度で相手の背に回りこんだその瞬間、
「実も出ただろ!」というほど凄まじい音でなされた屁を身長差によりでダイレクトに顔面で受けた俺は余りの臭さに失神してしまった。
「勝者!バクテリアン!」
後書き
天空闘技場の一階で負けたオリ主は多分世界初。
プロットに無かった念能力を習得してしまいました汗
なんかカナリアちゃんには使えそうだったし!
まぁシリアスな場面での使い道が無いので良いのですが…
普通の念能力者は「こういう念能力にしよう」と思って作ろうとしても「こんなの出来るわけが無い」という疑念が入ると作れなかったりすると思うのですが、アキンの場合…