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No.29234の一覧
[0] 【完結】どうしてこうなった・・・?(HUNTER×HUNTER二次)[とんぱ](2015/03/29 12:12)
[1] 第一話[とんぱ](2014/07/16 17:41)
[2] 第二話[とんぱ](2013/05/12 00:29)
[3] 第三話[とんぱ](2013/05/12 00:31)
[4] 第四話[とんぱ](2013/05/12 00:32)
[5] 第五話[とんぱ](2013/05/12 00:39)
[6] 第六話[とんぱ](2014/07/16 18:05)
[7] 第七話[とんぱ](2013/05/12 00:44)
[8] 第八話[とんぱ](2014/07/16 18:08)
[9] 第九話[とんぱ](2014/07/16 18:08)
[10] 第十話[とんぱ](2014/07/22 01:40)
[11] 第十一話[とんぱ](2014/07/16 18:18)
[12] 第十二話(あとがき追加)[とんぱ](2014/07/21 22:21)
[13] 第十三話[とんぱ](2014/07/21 21:56)
[14] 外伝1[とんぱ](2014/07/21 22:00)
[15] 外伝2[とんぱ](2014/07/21 22:08)
[16] 第十四話[とんぱ](2014/07/21 22:23)
[17] 第十五話[とんぱ](2014/07/21 22:29)
[18] 第十六話[とんぱ](2014/07/21 22:38)
[19] 第十七話[とんぱ](2014/07/21 22:49)
[20] 第十八話[とんぱ](2014/07/23 20:16)
[21] 第十九話[とんぱ](2014/07/23 20:24)
[22] 第二十話[とんぱ](2014/07/23 20:33)
[23] 第二十一話[とんぱ](2014/07/23 20:43)
[24] 第二十二話[とんぱ](2014/07/23 20:56)
[25] 第二十三話[とんぱ](2014/07/23 21:09)
[26] 第二十四話[とんぱ](2014/10/26 00:22)
[27] 第二十五話[とんぱ](2012/12/18 16:52)
[28] 第二十六話[とんぱ](2012/12/23 09:06)
[29] 第二十七話[とんぱ](2013/02/19 16:21)
[30] 第二十八話[とんぱ](2013/03/03 01:47)
[31] 第二十九話(クラピカ追憶編のネタバレ若干あり)[とんぱ](2013/02/21 19:32)
[32] 第三十話[とんぱ](2013/03/12 17:11)
[33] 第三十一話[とんぱ](2013/03/24 09:23)
[34] 第三十二話[とんぱ](2013/04/14 12:20)
[35] 第三十三話[とんぱ](2013/04/23 22:53)
[36] 第三十四話[とんぱ](2013/05/03 18:07)
[37] 第三十五話[とんぱ](2013/08/26 07:59)
[38] 第三十六話[とんぱ](2013/05/19 00:55)
[39] 第三十七話[とんぱ](2014/10/26 00:16)
[40] 第三十八話[とんぱ](2013/12/14 16:42)
[41] 第三十九話[とんぱ](2014/10/26 01:06)
[42] 第四十話[とんぱ](2015/04/23 19:54)
[43] 第四十一話[とんぱ](2013/07/29 22:01)
[44] 第四十二話[とんぱ](2014/07/11 15:15)
[45] 第四十三話[とんぱ](2013/10/01 22:18)
[46] 第四十四話[とんぱ](2015/04/23 21:46)
[47] 第四十五話[とんぱ](2013/11/28 20:35)
[48] 第四十六話[とんぱ](2014/07/21 22:50)
[49] 第四十七話[とんぱ](2014/07/21 22:50)
[50] 第四十八話[とんぱ](2014/07/22 02:20)
[51] 第四十九話[とんぱ](2014/07/21 22:50)
[52] 第五十話[とんぱ](2014/08/18 15:18)
[53] 第五十一話[とんぱ](2014/08/11 13:51)
[54] 第五十二話[とんぱ](2014/07/21 22:51)
[55] 第五十三話[とんぱ](2014/07/22 20:48)
[56] 第五十四話[とんぱ](2014/07/21 22:51)
[57] 第五十五話[とんぱ](2014/08/06 17:56)
[58] 第五十六話[とんぱ](2015/02/04 13:29)
[59] 第五十七話[とんぱ](2014/09/03 02:04)
[60] 第五十八話[とんぱ](2014/09/04 14:17)
[61] 第五十九話[とんぱ](2014/09/08 00:27)
[62] 第六十話[とんぱ](2014/09/17 18:21)
[63] 第六十一話[とんぱ](2014/10/12 21:02)
[64] 第六十二話[とんぱ](2015/03/12 22:47)
[65] 第六十三話[とんぱ](2015/03/16 12:33)
[66] 第六十四話[とんぱ](2015/03/19 21:43)
[67] 第六十五話[とんぱ](2015/03/19 21:44)
[68] 最終話[とんぱ](2015/04/01 03:01)
[69] 後日談その1[とんぱ](2015/03/23 21:41)
[70] 後日談その2[とんぱ](2015/06/07 09:21)
[71] 外伝3[とんぱ](2015/06/05 21:11)
[72] 後日談その3[とんぱ](2015/06/20 17:08)
[73] 後日談その4[とんぱ](2015/06/22 21:52)
[74] 後日談その5[とんぱ](2015/06/30 22:48)
[75] 後日談その6[とんぱ](2015/07/04 00:59)
[76] 後日談その7[とんぱ](2015/10/19 15:39)
[77] 後日談その8[とんぱ](2015/10/21 19:02)
[78] 外伝4[とんぱ](2015/10/28 19:31)
[79] 外伝5[とんぱ](2015/11/09 19:36)
[80] 異伝編 艦これ短編[とんぱ](2015/12/06 22:44)
[81] NARUTO 第一話[とんぱ](2015/12/09 20:55)
[82] NARUTO 第二話[とんぱ](2015/12/09 20:58)
[83] NARUTO 第三話[とんぱ](2015/12/10 02:10)
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[29234] 第五十四話
Name: とんぱ◆ea70014c ID:60672e82 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/07/21 22:51
第五十四話





「これでオレ達のカードの所有種は何種になったんだニッケス?」
「ああ、今回で94種まで集まった。あと6種だ。もうじき全てのカードが集まる。諸君! クリアも目前だ」

オレの声にアジトに集まった一同が高らかに声を上げる。だがそれは虚構の声だ。
オレの言葉とは裏腹にクリアには大きな障害があるのを皆が知っているのだ。
今回はその障害をどのように対処するかを話し合うために全員に集まってもらった。

「さて諸君。皆も知っているだろうが、我々が奪うのはツェズゲラ組の3枚と、リィーナ組の2枚だ。
 だがツェズゲラ組はガードが固く、また運もいい。我々が攻撃に出ても我々に必要な3枚を奪うことは出来なかった」

ツェズゲラ組も面倒だが“聖騎士の首飾り”で“徴収/レヴィ”以外の攻撃スペルからカードを守っている。
今までに何回か大量の“徴収/レヴィ”と“税務長の籠手”による物量作戦を敢行したが、その全てが空振りに終わっている。
手に入ったのは我々に必要のないカードばかりだ。……危険だが、“リスキーダイス”と“徴収/レヴィ”のコンボを使うことも視野に入れなければならないかもしれないな。

「だがツェズゲラ組はまだいい。いずれは“徴収/レヴィ”によってカードを奪うことが出来るだろう。
 ……問題はリィーナ組だ」

そう、クリアに向けての1番の難関がリィーナ組だ。
リィーナ組はカードの所有種数85種とクリアにはまだ遠いが、我々の作戦で何の戦果も上げられないというのが問題なのだ。
まさかスペルカードを無効化する能力を持つ能力者がいるとは思ってもいなかった。反則じゃないのかあれは?
ゲームマスター出てこい。訴えてやる。

「知っての通りリィーナ組のリーダーであるリィーナはスペルカードを無効化する能力を有していると思われる。
 しかもその実力は我々よりも遥かに上だと予測される。もし戦闘になってしまえば全員で掛かったとしても多くの犠牲者が出るだろう。
 今回集まってもらったのはこのリィーナ組にどう対処するかを話し合うためだ。全員忌憚ない意見と案を出してくれ」

オレの言葉を皮切りに全員が周囲にいる仲間たちと意見を出し合う。
だが中々話が纏まらないようだ。無理もない。今まで順調に進んでいたからな、こんな障害が出来るなんて予想外だったんだ。
そんな中、2人の仲間から意見が飛び出てきた。

「無理矢理奪うのが無理なら交渉しかねぇだろうな」
「プーハットの意見に賛成だ。それ以外に方法はあるまい」

意見を出したのはプーハットにアベンガネか。
この2人は新参だが、頭の回転はかなりのものなので信用に置ける。プーハットはアベンガネに対して少々ライバル心を持っており、負けず嫌いな点がマイナスだが。
だがアベンガネは常に冷静沈着で今までにも合理的な答えを何度も導き出している。オレ達の仲間として幾度も役に立つアドバイスをしたこともあった。
この2人が同じ意見ならそれはほぼ間違いない答えなのだろう。

「だが交渉に応じるのか? もしそこから戦闘へと発展してしまえば……」
「いや、そんな好戦的な性格じゃないと今までのリィーナ女史のプレイから推測するぜ」
「そうだな。もし好戦的な性格であれば、ニッケス達がカードを奪いに行った時に殺られているだろう。
 例え“同行/アカンパニー”で逃げた所で追い掛けることは出来るのだからな。
 それをしなかったということを考えれば、こちらから交渉を持ち出せばいきなり戦闘を仕掛けてくることはないだろう。
 もちろん、こちらが騙し討ち等をすれば話は別だろうが」

……確かにな。あの時、オレ達を殺そうと思えば1人や2人くらいは殺せただろう。
そうはしなかったし、今までのプレイでも好戦的な行動を見せたという話は聞いていない。
このグリードアイランドで好戦的な行動をしているプレイヤーの噂は非常に早く回るからな。
ボマーのように正体を隠していたとしても、そういうプレイヤーがいるという話は出回る。だがそのような話も一切ない。
……そう言えばボマーの犠牲者を最近はとんと見なくなったが、どうしたんだろうか? ……案外プレイ中に死んだのかもしれないな。

「問題は交渉するのなら、こちらの交渉材料をどうするかだが……」
「彼女たちが持っていないカードなら何でもいいんじゃないか?」
「いや、それでは難しいな。彼女たちは“一坪の海岸線”を手に入れているんだぞ?」

それだ。それが1番のネックだ。
全く、どうしてそんな高ランクのカードをあの連中が手に入れてしまったんだ。
手に入れたからには“擬態/トランスフォーム”と“複製/クローン”で限度枚数まで増やしているに決まっている。
“一坪の海岸線”のカード可限度枚数は3枚だから、いくらオレ達がスペルカードを多く所有していたとしてもそれくらいのスペルは持っていると見ていいだろう。

「ならこっちもそれに値するカードを渡さないと……」
「……つまり、同じSSランクの“ブループラネット”か――」
「――“大天使の息吹”か、だな」

……やはりそうなるか。

「そして“ブループラネット”は既に彼女たちも所持している。
 交渉材料になるのは“大天使の息吹”のみだ」

「だけどよ! “大天使の息吹”を渡すのは癪だぜ!
 アレを手に入れるのに何年掛かったと思ってるんだ!?」

「落ち着けアッサム。気持ちは分かるが、それ以外に方法はないだろう」
「そうだぜ。クリアしなくちゃ報酬もないんだ。ここは割り切るしかないさ」
「そうだ。それによく考えてみろ。例えここでリィーナ組に“大天使の息吹”が渡ったとしてもすぐにクリア出来るわけじゃない。
 リィーナ組のカードの所有種は85種だ。ここで1枚や2枚増えた所でまだクリアには程遠い」

「逆にオレ達はここで“一坪の海岸線”と“闇のヒスイ”を手に入れることが出来れば、後はツェズゲラ組が持つ3枚だけだ。
 ツェズゲラ組はリィーナ組と違って“徴収/レヴィ”の物量作戦が通用するから、リィーナ組の独占するその2種さえ手に入れることが出来れば……!」

「……後はリィーナ組がカードを集める前にツェズゲラ組からカードを奪えばいいだけ……!」
「そうなると……99種揃って!」
「クリアは目前だ!」

こうして希望的な材料を並べると先が明るくなってきたな。
No.000のカードは恐らく99種のカードが集まった時に起きるだろうイベントで手に入れることが出来るアイテムだと言われている。
つまりリィーナ組との交渉さえ上手く行けば……!

「なら“闇のヒスイ”と交換する指定ポケットカードも考えた方がいいか?」
「相手が指定してきたのでいいんじゃないか?
 リィーナ組が必要なのは“大天使の息吹”を除いてあと13種だから、その中でオレ達が持っているのを1枚でいいだろう」

「いや、奴らもオレ達に独占しているカードを取られたらどうなるかは考えているだろう。
 もしかしたら“闇のヒスイ”の交換は応じないかもしれないな」

「だったら3枚くらい渡せばいいだろ。そしたら食いついてくるんじゃないか?」
「だがそれだとクリアに近づいて――」
「でもそうじゃなきゃ――」

ふむ、話が纏まらないな。
こればかりはリィーナ組と実際に交渉してみない限りには分からないだろう。
3枚くらいなら交渉に応じてもいいが、それ以上となると流石に許容は出来ないな。
オレ達がツェズゲラ組からカードを奪う間にクリアされるかも……いや、それは……。

「落ち着け。ここは3枚くらいまでなら交渉に応じるべきだろう。
 どうせ我々から4枚のカードを手に入れた所で、リィーナ組がクリアすることはない。
 そもそもツェズゲラ組が独占するカードを手に入れることが出来ないだろうからな」

「おお」
「確かに」

あの慎重なツェズゲラのことだ。独占しているカードを交渉材料にすることはあるまい。
奴もオレ達のやり方を知っているんだ。他のプレイヤーにカードを渡してそれがオレ達に奪われると考えたらそう簡単には交渉には応じないだろう。
リィーナも自分のアドバンテージを他人に教えるような馬鹿じゃないはずだ。教えてしまえば逆に警戒されて交渉を跳ね除けられるかもしれないからな。
何せオレ達のやり方を無効化出来る唯一のプレイヤーだからな。そんなプレイヤーにカードが集まるのはツェズゲラも御免だろう。

「よし、ではリィーナ組と交渉に入る。この結論に異議のある者はいるか?」

……誰もいないな。
よし、ここからが本番だ!
上手く行けばオレ達は億万長者だ!







「我々と交渉したいと?」
『ええ、トレードの申請です。どうでしょうか?』

ゲンスルーというプレイヤーからの突然の“交信/コンタクト”を取ってみれば、会話に出たのはあのリィーナ=ロックベルトだったとはな。
リィーナ=ロックベルトがここ最近凄まじい勢いでカードを集めているのも、4人程のプレイヤーが集まって行動しているのも知っていたが、ゲンスルーがその仲間だったとはな。
ゲンスルーはかつて私と交渉した時に『爆弾魔』の話を振って来た男。話題の切り替えがやや不自然で警戒していたんだが……それが何故リィーナ=ロックベルトと行動を共にしているんだ?

「トレードと申されましてもな。一体何と何をトレードしたいと?」
『“一坪の密林”と“身代わりの鎧”、そして“浮遊石”も欲しいですね。
 こちらからは“一坪の海岸線”と“奇運アレキサンドライト”に“闇のヒスイ”を提供いたしましょう。
 ……如何ですか?』

「……少々お時間頂きたい」
『かしこまりました。それでは20分程後にまた“交信/コンタクト”にて連絡いたします』
「それには及びません。その時はこちらから連絡致しましょう」
『それはわざわざすみません。それではお言葉に甘えさせて頂くといたします。
 良い返事が聴けるよう期待しております。それでは失礼いたします』

……これはどうするべきかな。ここまで大事のトレード交渉になるとは……。

「どうするんだツェズゲラ?」
「この交渉、受ける気か?」
「……確かにこの交渉は悪くはない。
 “一坪の海岸線”をリィーナ=ロックベルトが入手したことは確認済みだ。恐らく独占もされているだろう。我々が自力で入手するには彼女からカードで奪わなければならないわけだ。
 そして“闇のヒスイ”に関しても同じだ。全てリィーナ組に独占されている。“奇運アレキサンドライト”は入手方法は知っているが、今の我々ではその条件を満たすことは困難だ」

そう、リィーナ組が独占したカードを手に入れる方法は交渉を除くとスペルによる奪取しかない。
戦闘で無理矢理奪うなんて不可能だろう。それほどの実力差が我々との間にはあるのだ。
逆に彼女が実力行使に出て来たらたまったものではない。そんな人物ではないとは思うが……。

「オレはこの交渉に賛成だぜ」
「……ゴレイヌか。理由は?」

ゴレイヌ。最近までソロで活動していたプレイヤーだ。
だがソロに限界を感じたらしくオレ達に接触してきた。有力な情報を手土産にな。
“一坪の海岸線”の入手方法とハメ組への対策法は確かに役に立った。それだけでも十分な報酬を約束してもいいくらいだ。
彼自身も優秀なプロハンターだ。グリードアイランド攻略までという条件付きで仲間に加えるのは悪くない話だった。

彼のおかげでハメ組への対策も立てることが出来た。
今我々が持っている重要なカードの殆どが“贋作/フェイク”で作った偽物だ。
本物はゴレイヌに渡してある。もちろんゴレイヌが狙われないようゴレイヌには定期的に外の世界に出てもらっている。
相談の為と重要なカードを預かってもらう為に週に一度は戻って来ているが。こうしてリィーナ=ロックベルトからの連絡があった時に居合わせたのは運が良かったのだろう。
ゴレイヌが裏切るかとも思うが、報酬を約束している以上裏切ることは少ないだろう。それに彼が裏切ったとしても単独でのクリアは難しいのだからな。
それなら我々と共にクリアを目指した方が建設的というものだ。彼なら合理的な判断を取るとオレも判断した。

「それは彼女が持っているカードをハメ組に奪われる可能性が僅かでもあるからだ」
「……だが、彼女がハメ組への対抗策を教えてくれたんだろう?」

そうなると、既に“一坪の海岸線”はハメ組にも知られていないプレイヤーが持っている可能性もあるわけだが……。

「確かにそうだ。だがさっきツェズゲラに貰った“念視/サイトビジョン”で調べてみたんだが、まだ“一坪の海岸線”をリィーナ=ロックベルト本人が持っているんだ」
「……何だと?」

それは……まずいな。万が一ハメ組の強襲を喰らえばすぐにでもカードが奪われる可能性があるということじゃないか!

「恐らくツェズゲラと交渉が上手く行った時のトレード用に所持しているのだろうが、これでハメ組に襲われでもしたら……」
「我々のクリアは遠のいてしまうな……」

それだけは阻止しなければならない。問題はリィーナ=ロックベルトが持つカードの所有数だが……。
確か前に確認した時は83種だったな。今はどうなんだ?

「ゴレイヌ、現在のリィーナ組の持つカード数は?」
「“念視/サイトビジョン”で調べた限りでは85種だ。
 チーム内の他のプレイヤーが持っていたカードはダブリのカードかスペルカードとどうでもいいカードのみだったな」

「……良し、交渉を受けよう」

私たちから手に入れるカードを合わせても88種だ。これではクリアはまだ遠いな。
例えそれ以外のカードを他の仲間が隠し持っていたとしても、“大天使の息吹”だけは持っていないはずだ。
あれはハメ組が全て独占している。それに引き換え券をリィーナ組が手に入れるのも難しいはず。
彼女たちがグリードアイランドに来てからでは全てのスペルカードを集めるのはまず不可能なはず。ハメ組のせいでスペルカード不足だったからな。

そして私たちはこれで98種になる。後は“大天使の息吹”を手に入れさえすれば……!
“大天使の息吹”の引き換え券は入手済み。ハメ組が独占している“大天使の息吹”を使用すれば、私たちの持っている引き換え券は自動的に“大天使の息吹”に変化する。
この際多少強引だが彼らの内の1人を痛めつけるという手段に出なければならんかもしれないな。
まあいいだろう。彼らもこのゲームに参加しているからには危険な目に遭う覚悟はしているはずだ。
それにあんな手段でカードを奪っているんだ。多少は痛い目に遭うのもいいだろう。

 
 
 

「お久しぶりですねツェズゲラさん」
「ええ、お元気そうで何よりです。最近はカードの集まりもいいようで、クリアも間近ですな」
「ふふ、お世辞はいいですよ。それにツェズゲラさん程ではございません。
 もうクリアも目前ではないのですか?」

「ははは。今回のトレードで95種ですな。あと5種です。
 おかげさまでクリアに近付けましたよ」

軽く嘘を言っているが、何だか普通にバレている気がする。
噂通り心を読む能力でも持っているのかもしれないな。そんな噂をあながち嘘だと言えない所が恐ろしい……。
敵には回したくない女傑だ。無駄な会話もせずに交渉を終わらそう。

「それではトレードに移るとしよう。ただ1つだけ注意が。
 “一坪の密林”は“複製/クローン”で増やした物ですので、“聖騎士の首飾り”を付けているとカードが元に戻ってしまいますから気を付けて下さいよ」

「なるほど。では首飾りは外しておきましょう。それと私たちも同じ注意を。
 私たちの“一坪の海岸線”と“奇運アレキサンドライト”も“複製/クローン”で増やしたカードでございますのでお気を付け下さい。
 もちろん“贋作/フェイク”でないことは私の名と風間流最高責任者の肩書きにかけて誓いましょう」

「信じていますよ。私たちもリィーナ殿を相手に交渉事で下手を打つつもりはありません。
 このカードが“贋作/フェイク”でないことは保証しますよ」

一言話す度に精神が削られるようだ。これでもし“贋作/フェイク”でも渡そうものなら殺されるだろうな。
藪をつついて龍を呼ぶつもりはない。こんな下らないことで死んでたまるか。
ゴレイヌがいてくれて良かったよ。独占カードもゴレイヌに渡していたからな。外にいたら回収するには時間が掛かる所だった。

「それではこれで……」
「ええ、交渉成立ですね。
 ……そうそう、ツェズゲラさんはある集団にカードを奪われたりなどされておりませんか?」

「ある集団? ああ、恐らく彼らのことでしょうな。
 確かに何度か襲われましたが、重要なカードは奪われることなくすんでおります。運が良かったですな」

「そうですか。それは良かった。
 彼らに負けないよう私たちもクリアを目指すといたしましょう。
 それではこれにて失礼いたします」

そうして何事もなくリィーナ殿は去っていった。
……ふぅ、思わずため息が漏れるな。あの人は苦手だ。私すら赤子扱いするのだからな。
あんなのからカードを奪おうとするハメ組の気が知れんよ。自殺志願者の集まりか?

「……上手くいったな」
「ああ。というか、別に普通のトレードだ。
 上手く行かない方がおかしいだろう」

「確かにな。でもあの人を見ると正直普通ってのが実感湧かなくてな。
 アレがリィーナ=ロックベルトか。お前が簡単にあしらわれたって話も頷けるな」

「その話はもういいだろう? 勘弁してくれ」

アレはオレの恥部だ。二度とあんな真似はせんぞ。

「とにかく交渉が終わったんだからゴレイヌに連絡しよう。
 後は“大天使の息吹”だけだな」

「ああ、クリアも間近だ。
 このゲーム……我々の勝ちだ!」







「こうして交渉に応じてくれて助かるよリィーナさん」
「いえ、お気になさらず。それよりも交渉とは? 無理矢理カードを奪うのが貴方がたのやり方ではありませんでしたか?」

……その話を持ち出すのは勘弁してほしい。
何をしても意味がなかったのは知っているだろう? その張本人なんだからな。

「その件は本当に申し訳なかった」

頭を深く下げて謝罪をする。こちらの方が立場は下なんだ。機嫌を損ねさせてしまうとどうなるか分からん。
出来るだけ下手に行かなければな。

「その点はもう結構でございます。私は何の被害も被っておりませんから。
 それで、交渉とやらに移りたいのですが?」

「そうだったな。
 簡潔に行こう。そちらが所持している“一坪の海岸線”と“闇のヒスイ”をトレードしてほしい」

「……なるほど。それは分かりました。
 ですが、そちらがトレードに用意されたカードは何なのでしょうか? それによってはこのトレードはお断りさせて頂きますが?」

だろうな。だが安心しろ。お前が飛びつくような材料を用意してあるからな。

「こちらが出すのは“大天使の息吹”!
 そしてさらに! そちらが所持していないカードを3枚までなら出そうじゃないか!」

「!?」

ふふ、表情が変わったぞ。喰らいついたな。
喉から手が出る程欲しがっただろうカードが一気に4枚も手に入るんだ。
悩む必要はないだろう?

「…………」
「これは破格の条件だと思っている。
 何せこちらが出すのはSSランクを1枚と、そちらの任意のカード3枚だ。
 SSランク1枚にAランク1枚との交換なら悪くない条件だと思うが?」

「……確かに」

もしやオレ達がこれでクリアするかと危惧しているのか?
……確かにその考えはあるな。ちっ、オレ達のカード入手状況をバレないようにしたのが裏目に出たのか?
ここで渋られたらカードの入手はハードモードに突入する、いや、ルナティックの方が的確だな。
勘弁してくれ。そんなの500億でもやりたくないぞ?

「分かりました。そのトレードに応じましょう」
「本当か!」

やった! ルナティック回避! いや落ち着け! ここで喜びを見せすぎたら無駄に怪しまれるかもしれないぞ!?

「んん! それじゃあそちらが欲しいカードを言ってくれ。
 そのカードをすぐに持ってこよう」

「では――」

 
 
 

「上手く行ったな!」
「ああ、これでカードは96種まで集まった!」
「後はツェズゲラ組から奪うだけだな!」
「“徴収/レヴィ”の枚数は?」
「18枚だ」
「十分だな。“税務長の籠手”は?」
「6人が装備している。その6人には指定ポケットにそれぞれ20枚ずつカードを入れてある」
「ツェズゲラのバインダーを確認したか?」
「今さっき確認したばかりだ。独占カードは両方ともツェズゲラが持っている。
 所持しているカード枚数の合計は100に満たない」

良し! 良し良し良し!
準備は万端だ! これでツェズゲラを襲ってカードを奪い取ればいい!
合計して138回の“徴収/レヴィ”による攻撃だ! 指定ポケットとフリーポケットのカード枚数を合わせても100枚以下!
つまり我々の“徴収/レヴィ”を防ぎきることは不可能!

「念の為戦闘になった場合に数でも押せるように戦闘要員全員で行くぞ。
 “同行/アカンパニー”の準備だ!」

『おお!』

ふふふ! 待っていろツェズゲラ!
このゲーム……オレ達の勝利だ!

『プレイヤーの方々にお知らせです』

……何? バインダーから声が? “交信/コンタクト”ではないぞ?
何だ? こんなことは初めてだが?

『たった今あるプレイヤーが99種の指定ポケットカードを揃えました』

……パードゥン?







「上手く行きましたね」
「これにてミッションコンプリートォ!」
「99種集まったわけか! ははは、ハメ組ざまぁ!」

テンション上がってるなゲンスルーさん。
ハメ組を出し抜けたのが嬉しいのかな?
でもこれでクリアかと思うと確かに嬉しい。

「ハメ組の方たちが自分から交渉を持ちかけて下さったのは嬉しい誤算でした。
 おかげでこちらの狙いに気付かれる心配も少なくなりましたから。
 彼らの前で演技をするのは疲れましたよ」

そう言って笑うリィーナ。結構演技が上手い気がするんだけど?
そうじゃなきゃ財閥の会長なんて出来やしないだろうし。

さて、そろそろリィーナにカードを返そうか。

「“ブック”。リィーナ、受け取ってください」
「ありがとうございますアイシャさん」

そうしてリィーナに私が持っている“聖水/ホーリーウォーター”を渡す。
するとそのカードをリィーナが持った瞬間、身に付けていた“聖騎士の首飾り”の効果で“聖水/ホーリーウォーター”が元のカードに戻った。
それは指定ポケットカードの1枚、“メイドパンダ”だ。
そうしてゴンやキルア達も次々とカードを渡していく。そのどれもが私たちの必要な指定ポケットカードへと変化していった。

これこそがゲンスルーさん発案! “擬態/トランスフォーム”による指定ポケットカードの偽装だ!
手に入れた指定ポケットカードをすぐに“擬態/トランスフォーム”によって別のカードへと変化させるのだ。
すると私たちは指定ポケットカードを手に入れていても、“念視/サイトビジョン”では別のカードを持っているようにしか見えないわけだ。
こうして所持しているカード枚数を少なく見せかけて、交渉に応じやすくしたわけだ。

そう、私たちの本当の指定ポケットカード所有種数はツェズゲラさんとハメ組との交渉前には既に92種あったわけだ。
私たちがカードを集めて行くと必ずクリア前に邪魔が入ったり、交渉が上手く行かないことが多くなるから偽装した方がいいとゲンスルーさんが考えついた作戦である。

後はツェズゲラ組とハメ組の独占カードと、ハガクシ組とトクハロネ組のゲイン待ちだけが残りのカードだった。
残念ながらハガクシ組とトクハロネ組との交渉は断られてしまったが、その分のカードはハメ組が持っていたカードを貰うことで補えた。
余分にカードを出してくれるなんて太っ腹だ。彼らにはクリアの算段がついていたのだろうが、残念ながらそれは諦めてもらおう。

「これで99種目でございます」

リィーナが99種のカードをバインダーに収めた。
さて、何が起こるのかな?

『プレイヤーの方々にお知らせです』
「!?」

おお、バインダーから声が? これは……受付の人の声かな?

『たった今あるプレイヤーが99種の指定ポケットカードを揃えました。
 それを記念しまして、今から10分後にグリードアイランド内にいるプレイヤー全員参加のクイズ大会を開始いたします。
 問題は全部で100問! 指定ポケットカードに関する問題が出題されます。
 正解率の最も高かったプレイヤーに商品としましてNo.000カード“支配者の祝福”が贈呈されます。
 皆様バインダーを開いたままでお待ち下さい』

………………こ、これは。
バインダーから流れたNo.000のカード取得条件を聞いた皆の視線がある1人に向けられる。

「…………待て、待ってくれ」
「頼んだぞゲン」
「お前に掛かってるぞゲン」
「ゲンスルーさん頼むぜ」
「お前に任せた」
「オレ達も頑張るけど、ゲンスルーさんならきっとトップを取れるよ!」
「待ってくれ! グリードアイランドにはあのツェズゲラがいるんだぞ!?
 アイツは自力獲得では恐らくダントツのトップだ! そいつを押しのけてオレがトップを取れるわけが――」

「――トップを取った暁にはクリア報酬を10%増やすことを約束いたしましょう」
「全力で臨ませて頂きます!」

素直でよろしい。
でも正直厳しいな。ツェズゲラさんを押しのけてトップを取ることが出来るかどうか……。
まあ分かっているのはハメ組の人たちにはトップを取ることは出来ないということだな。
彼らのカードの自力獲得数は低いなんてもんじゃないだろうからな。

 

そうして始まったクイズ大会。
今までに皆と色々と話していたおかげで私が取りに行っていないカードの問題についてもある程度は分かった。
だがそれでも確実に解けた問題は半分程度だろう。残りは正直うろ覚えと勘だ。
70点取れてたらいい方ではないだろうか?

『それではこれより最高得点者を発表いたします!!』

ゲンスルーさんでありますように。
これでツェズゲラさんだったらまた面倒なことに……。

『最高点は……100点中96点!!』

あ、駄目だこれ。点数聞いた時点でゲンスルーさんが絶望の表情で首を振っている。
そこまで取れた自信がないんだろう。多分最高得点者は……。

『プレイヤー名……ツェズゲラ選手です!』

「はぁ……」
「やっぱりな」
「ゲン……」
「オレか? オレだけが悪いのか?」
「残念ながら10%アップは無しですね」
「クソッタレーッ! ツェズゲラがぁ……覚えていろよぉ!」

それは逆恨みですゲンスルーさん。ツェズゲラさんは何も悪くないからね。
トップを取れなかったのは残念だけど、今はそれよりもどうやってNo.000のカードをツェズゲラさんから手に入れるかが問題だな。

 

そうして私たちが悩んでいると、その悩みの種であるツェズゲラさんから“交信/コンタクト”を受けた。

『リィーナ殿、まずは99種達成おめでとうと言わせて頂く。
 油断したよ。あの時点でそこまでカードを集めているとは思いもよりませんでしたよ。
 “大天使の息吹”だけは持っていないものと思っていたのですがね』

「それは申し訳ございません。ですが、騙し取ったつもりはございませんよ?」
『その点に関しては責めるつもりは毛頭ないですよ。
 気付かなかった私が愚かだっただけの話。
 まあ今回の“交信/コンタクト”はそのようなことを話したくてしたのではない。
 本題に移ろう。……我々と代表者5名による勝負をして頂きたい。
 勝負は1対1を5回繰り返す星取り戦。先に3勝を上げた方の勝ちだ。
 勝者には敗者が持つ好きなカードを1つ手に入れることが出来る……どうです?』

ほう、そういう交渉で来たか。これは面白い。
彼ら5人と、私たちの内の5人で勝負をして、先に3勝した方が勝ち、と。
分かりやすくていいじゃないか。
リィーナが私に向けて確認のサインを送ってきた。私は周りを見回して全員が頷いたのを確認してリィーナにサインを送り返す。

「その話、受けさせて頂きます」
『それは良かった。
 代表の5人は戦う順番を予め決めておくのはどうだろうか?
 それを戦闘前に確認してその順に戦うという方式だ。どうだろう?

「いいでしょう。それで結構です」
『ありがとう。
 日時は明日。順番などをよく考えておいてください。場所は追って説明しよう。
 ……そろそろ“交信/コンタクト”が切れるので、これにて失礼する』

そうして“交信/コンタクト”が切れた。
勝負は明日か。さて、5人の代表を選ばなくてはいけないけど、誰が出るかな?

「オレは出るぜ。ツェズゲラの顔面爆破してやる!」
「落ち着けゲンスルー。あまりやりすぎるとお仕置きを受けるぞ」
「……手を爆破するくらいで勘弁してやろう」
「まあゲンスルーさんが出るのはいいでしょう。他に出たい方はいらっしゃいますか?」
「オレも出たいね」
「オレもオレも!」
「待てよ。オレはドッジボールでずっと外野だったから殆ど何も出来ていないんだぜ?
 オレが出てもいいだろう?」

「あ、それなら私も出たいです。ドッジボールはおろか、他の試合もずっと見学しか出来ませんでしたし……」
「ツェズゲラ乙」
「……爆破は勘弁してやろう」
「これで1勝と。あと2勝で確定だな」

どういうことなの?

「それではアイシャさんとゲンスルーさん、そしてレオリオさんも確定でいいでしょう。
 他の方はジャンケンで決めてくださいな」

それでいいのかおい?
ツェズゲラさんは本気で来るだろうになぁ。







「これでいいのか?」
「これしかあるまい。全く、油断したよ。
 あの交渉の時には既にリィーナ=ロックベルトの中では必勝の確信があったのだろうな」

あの交渉が私たちを騙すためのものだったわけではない。
何せ交渉自体は嘘ではないのだからな。リィーナ=ロックベルトがカードの所持数を申告したわけでもない。
私たちが調べた結果から予測しただけなのだ。“念視/サイトビジョン”にも穴があるというのに、それを過信した私たちが愚かだったのだ。

今回のイベントは僥倖だったと言えよう。上手くNo.000のカードを手に入れることが出来たのだからな。
正確にはNo.000のカードを手に入れる為の引き換え券みたいなものだが。
……この島の支配者からの招待状か。恐らく待っているのはゲームマスターだろうな。

カードを交換した後はゴレイヌを呼び出しに行かなければな。
No.000を持っている者が直接呼びに行った方がいいだろう。ハメ組が狙って来ないとも限らん。
全く。昨日グリードアイランドから出て行ったばかりのゴレイヌを呼び戻すハメになるとはな。

「だが勝てるのか? 相手はあのリィーナ=ロックベルトだぜ?」
「だからこその星取り戦だ。例えリィーナ=ロックベルトに負けたとしても、残る4人で3勝すれば問題ない。
 問題は戦闘の順番だ。奴らは戦力を前半に固めてくるか後半に固めて来るかのどちらかだと思われる。
 なので初戦は捨て札だ。最初と最後にリィーナ=ロックベルトが出てくる可能性が高いからな」

「なら先鋒はオレがやろう。オレが最も適しているだろうしな」
「……悪いなドップル」

ドップルの能力は探知型だからな。戦力としても十分に役に立つが、我々の中で1番戦力が低いのも彼だ。
彼には捨石になってもらうが、それが勝利に繋がることになる。重要な役割だ。頼んだぞドップル!

「次鋒はオレかゴレイヌでいいだろう。
 奴の実力は確かだ。リィーナ組の実力は不明だが、それでも通用するレベルではあるはずだ」

「ああ、リィーナ組はリィーナ=ロックベルト以外のプレイヤーもかなりの者らしいが、1番厄介なのはリィーナ=ロックベルトだということに変わりはない」
「ゴレイヌが言うにはゲンスルーもやはりかなりの実力者らしい。
 一緒にいた残り2人もそれに近いレベルではあるとのことだ。
 正直分の悪い賭けになるだろう……」

「今さらだろう。オレ達はずっと一緒にハントして来たんだ。
 この程度の苦難乗り越えてやるさ」

「そうだぜ。これを乗り越えれば500億だ。やる気も増すってもんさ」
「フ、そうだな」

後の1人が完全に未知数だが、それはもう仕方ないだろう。
ここまで来たら後は実力で勝つしかない!
この数ヶ月、あの子ども達に触発されて基礎鍛錬を充実させて来たんだ。
必ず勝ってみせる!

 

そうして勝負の時がやって来た。
勝負の場所に選んだのはNo.000のカードを受け取った城下町リーメイロから少し離れた場所にある山岳地帯。
ここなら遠くから覗く者もいないだろう。能力を使用したバトルになるだろうからな。そういう点も配慮しなければならん。

そしてリィーナ組がやって来たのだが……。

「お待たせいたしましたツェズゲラさん」
「あ、ああ……いや、対して待ってはいませんよ」

……12人もいるとは思ってもいなかったよ。
隣にいるゴレイヌを見ても首を振る始末。ずっと4人でプレイしていたから、仲間がいても1人か2人くらいが精々と思っていたのだが……。
ま、まあいい。どれほど仲間がいようとも試合に出られるのは5人までだ。

「それで、試合のルールなのですが……」
「ああ、それですか。そうですね……」

そう言えば細かいルールを決めていなかったな。
ふむ、あまり命の危険がないようなルールにはしたいな。
クリアの為とは言え死にたくはない。もしリィーナ=ロックベルトと当たったら殺されるかもしれんからな。

「目突きや金的、そして相手を殺してしまった場合は反則負けというのは?」
「分かりました。こちらも殺すつもりなどございませんからね」

良かった、飲んでくれたか。
これで誰かが殺されるという最悪の事態は避けられたな。

「それではこれが私たちの代表と順番となります」
「はい。これが私たちの代表と順番だ。確認を」

お互いに作っておいた代表とその戦闘の順番を書いた紙を渡す。
さて、リィーナ=ロックベルトはどの場所に……なんだこれは?

「その、リィーナ殿に質問が……」
「はい、何でございましょう?」
「これは、その……ちゃんと考えて作ったのでしょうか?」
「いえ? ジャンケンで選んだ代表に同じくジャンケンで順番を決めただけでございますが?」

馬鹿にしてるのかおい?
ゲンスルーはいい。キルアもだ。彼は若輩ながら確かな実力を選考会で示したからな。
だがカストロとは誰だ! アイシャとはなんだ!? レオリオは治療系念能力者だろうが!
リィーナ=ロックベルトの名前はどこにも載っていない。最大戦力抜きで勝てると思っているのか!?

どうやら我々を随分侮っているようだな。いいだろう。それが愚かな選択だったと教えてやる!

 

先鋒はドップルvsゲンスルー。
ゲンスルーはその対戦表を見てチッと舌打ちをした後オレを睨みつけた。
……オレが何かしたか? 何でそんな目でオレを睨む?

まあいい。だがゲンスルーが先鋒に出てくれたのはありがたい。
敵の代表の中で最も驚異となるのがゲンスルーだろうからな。
ドップルでは勝ち目はないだろう。だがそれは当初の予定通りだ。

「それでは先鋒戦。ゲンスルーさんvsドップルさん……始め!」

リィーナ=ロックベルトが審判役を買って出たのでそれを通す。
彼女に八百長をする気など今さらないだろう。勝つことに拘わるならもっと真面目に代表を決めればいいだけなのだからな。

「うおおぉっ!」

ドップルがオーラを高めてゲンスルーに向かう。
だがどの攻撃もゲンスルーにはカスリもしない。ゲンスルーは余裕の表情で攻撃を躱している。
……やはり相当な実力者! 恐らく純粋な戦闘ではオレでも敵わんだろう。
すまんドップル。お前が先鋒に出てくれて本当に助かったぞ!

「ちっ。雑魚かよ。これじゃオレの気が収まらねぇぜ」

そんな腹立たしい台詞を吐きながらゲンスルーはドップルの首筋を手刀で叩きドップルの意識を絶った。
く、やはり駄目だったか。ドップル、よく頑張った!

「勝者ゲンスルーさん。
 それでは次鋒前へ」

「オレの番だな」
「頼んだぞゴレイヌ!」

ゴレイヌが負けたらかなり厳しい物になる。
相手はキルアか。年齢通りと思っていたら痛い目に遭う、そんなレベルの能力者だ。その能力も不明。勝てるのか?

 

「では次鋒戦。キルアさんvsゴレイヌさん……始め!」

開始の合図と同時にゴレイヌが2体の念獣を具現化する。
黒と白のゴリラ。アレがゴレイヌの能力か。

「ゴリラ? これって念獣?」
「そうだ。これがオレの能力だ。まさか卑怯とは言わないよな?」

能力の使用厳禁とはルールになかったから反則ではあるまい。
念獣で数の不利に思えるかもしれないが、使っているのはゴレイヌ本人なんだからな。

「別にそんなことは言わねーよ。
 さて、そのゴリラにどんな能力があるのかなっと」

む? キルアの身体から放電が?
髪も逆立っているようだ……これはまさか……。

「まさか、オーラを電気に変化させてんのかよ……」

ゴレイヌも気付いたか。オーラを電気に……確かに理論上は可能!
だが一朝一夕で身に付くことではない! 拷問に近い強力な電気を浴びる修行だけでも数年は必要なはず!
才能だけではない。執念のような修行があっての賜物! 恐ろしい少年だ……。

くっ、だが、これは厳しい! ゴレイヌの勝率は大幅に下がったと言ってもいいだろう。
電撃を完全に防ぐことが出来る人間などいるわけがない。攻撃を受ける度に身体が麻痺して硬直してしまうだろう。
もしゴレイヌの念獣が自動操作ではなく遠隔操作の類ならば、ゴレイヌが麻痺して操作出来なければそれだけで念獣は役に立たなくなってしまうぞ!

「お前は変化系が得意系統のようだな」
「さてね。どうでもいいじゃんそんなの。
 それじゃ……いくぜ」

――【疾風迅雷】――

「がっ!?」

は、疾い! なんだ今のは!? 動きを目で追うことが出来なかっただと!?
あの一瞬でゴレイヌとの距離を詰め、さらに複数回も攻撃したのか?
ゴレイヌがたたらを踏んでいる! しかもキルアは既に元の位置まで戻っているだと?
疾すぎる! これでは攻撃が当たるわけがない!
……駄目だ。勝てるわけがない。こんな反則的な能力者だとはな。オレでも勝てん……。

「どうしたの? ゴリラの能力は使わないの?」
「舐めんなよクソガキ!」

ぬ? ゴレイヌが具現化した黒いゴリラに向かって殴りかかっただと?
トチ狂ったのか? 一体何を――

――【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】――

な! 黒いゴリラとキルアの位置が入れ替わった!?
なるほど! これがあの黒いゴリラの能力か!
これだけ意表を突いたらいくらキルアでも――

「がっ? ぐっ!?」
「何だとっ!?」

馬鹿な! あれでも反撃が可能だというのか! 何という反射速度!
結局ゴレイヌの攻撃は一発も当たらず、逆に数発も反撃を喰らってしまった。
いかん! キルアはこのまま勝負を決めるつもりか! キルアの攻撃が止まらん!

「ぐっ、あがっ! くそ、った! れが!」

――【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】――

おお! 白いゴリラとゴレイヌの位置が入れ替わった!
なるほど。こっちのゴリラはゴレイヌとの居場所を入れ替える能力か。
中々いい能力だ。応用によっては格上すら倒せるだろう。
……だが、キルア相手にはもう無理だな。既に能力は明かされてしまった。ゴレイヌのしたことはやられる時間を延ばしただけにすぎん。

「はぁ、はぁ」
「やるじゃん。でもそれで終わりみたいだね」
「へ、へへ、そいつは、どうかな?」

ハッタリか? まだ何かが残っているように見せかけているだけか?
だがゴレイヌからはハッタリだとは思わせないような凄みを感じる。
そのせいかキルアも攻めるべきか様子を見るべきか悩んでいるようだ。

「使うつもりは……なかったんだがな。そうも言っていられない、か」
「へぇ。切り札とかあるんだ?」
「ああそうさ。オレの切り札が怖かったら今すぐ攻撃することをオススメするぜ?」

上手いな。下手な挑発に聞こえるかもしれないが、ここで攻撃を選ぶのは難しい。
攻撃されることを望んでいるようにも聞こえるからだ。攻撃がトリガーとなって発動する能力と思えば中々攻撃はしづらいだろう。
そしてキルアが挑発に乗って待つことを選択したら能力発動までの時間を稼げるというわけだ。キルアは強いとは言っても子どもだからな。ああいう挑発には弱いかもしれん。

「いいぜ。その切り札とやらを見せてみろよ」

うむ。挑発に弱かったようだ。リィーナ=ロックベルトや仲間の何人かも溜め息を吐いている。
だが挑発に乗ったはいいが、このままではジリ貧だぞ? 本当に切り札などあるのか?

「【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】! 【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】!」

なんだ? 黒と白のゴリラが横並びになった?
何をする気だ!?

「これがオレのジョーカーだ! 行くぞ! 【賢人融合/フュージョン】!!
 いでよ黄金の戦士! 森の守護賢人【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】!!」

な、なにぃ!? ご、ゴリラとゴリラが融合してゴリラが生まれただとぉ!?
白と黒が混ざって金になるとはどういうことだ? いや、そんなことはどうでもいい!
問題はあのゴリラが強いかどうかだ。アレならキルアに勝てるのか?

あとリィーナ=ロックベルトと仲間の女が驚愕しているな。ゴリラが融合したのがそんなに驚きか?
……いや、確かに驚いたがな。

「行け【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】!
 あの生意気なガキをぶっ飛ばせ!」

黄金に輝くゴリラがキルアに向かって突進する。
その動きはかなりの速さだ! オレの動きよりも速いだろう。ジョーカーだというのも頷ける。……ゴリラに負けているなど悔しくて堪らんが。
だがやはりそれでもキルアよりは――

「――ま、オレより遅いね」

そうしてキルアが一瞬で掻き消え、黄金のゴリラは幾多もの攻撃に晒され吹き飛ばされてしまった。
……やはり駄目か。

「こんなもんか。じゃ、そろそろ終わらせ……あ、あれ?」

ん? どうした? キルアの様子がおかしい……?
む!? キルアの身体を覆っていた電気のオーラが失くなっているだと?
どういうことだ!?

「あれ? まだ充電は持つはずだぞ!? どうしてオーラが電気にならないんだよ!?」
「くっくっく。【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】の能力を味わった気分はどうだ?
 今ならお前の首でも簡単に落とせそうだぜ? まるで花をつむようにな」

「お、お前……! オレにいったい何をした!?」

お、おお! ゴレイヌ! 何をしたかは分からんが勝てるかもしれん!

「教えてやるよ。オレの【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】は対象と入れ替わる能力。【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】はオレと入れ替わる能力。
 ……そして【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】はな」

ゴクリ、と全員が唾を飲み込む。
い、いったいどのような能力だというのだ。というか、能力をペラペラ教えていいのか?
まああれだけ一方的にやられていた所から逆転したのだから調子に乗っているんだろう。まだ逆転出来たわけではないだろうが。
それにあの黄金のゴリラがどんな能力を持っているかは私も気になる。ここは突っ込まずに聞いていよう。

「【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】は対象の得意系統と不得意系統を入れ替える能力を持っているのさ!」
『な、何ぃーーっ!!?』

と、得意系統と不得意系統を入れ替えるだとぉ!?
なんだそれは! ふざけているのか! そんなことをされたらまともに戦えるわけがない!
キルアは確実に変化系だろう。オーラを電気に変化させるなんて他の系統では出来るとは思えん!
つまり得意系統と不得意系統が入れ替わったキルアは現在操作系が得意になってしまったわけだ。
そして変化系は最も苦手な系統となった……。それはオーラを電気に変化出来なくなるのも当然だな。

そればかりか今までとは勝手が違うオーラのせいでまともにオーラを運用することも難しいだろうな。
身体の強化率も違う。放出するオーラ量も違う。得意な系統はほぼ使えなくなる。これで系統が入れ替わる前と同じように動けるわけがない!

「さて、反撃と行かせてもらおうか……」
「う、うう……」
「やれ【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】!
 オーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーッ!!!!」

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁ!!」

黄金のゴリラによる物凄いラッシュによってキルアが遥か彼方へと吹き飛ばされていく。
間違いなく《再起不能/リタイア》……ではなく、決着はついただろうな。

「……完全に気絶していますね。
 勝者ゴレイヌさん」

「おっしゃー!」
「やったぜゴレイヌ!」
「すげぇぜ!」
「ああ、良くやってくれた!」

皆が喜び勇んでいる。当然だ。負けたとばかり思っていたからな。
あそこから逆転出来るとは誰も思っていなかっただろう!
間違いなく今回のMVPはゴレイヌだ!

「少々よろしいでしょうかゴレイヌさん」
「あ、な、何だよ」

り、リィーナ=ロックベルトがゴレイヌに何の用なのだ?
まさか先ほどの勝負に物言いでもする気か?

「いえ、先ほどフュージョンと仰っていましたが……。
 貴方、もしかして黒の書をお持ちではございませんか?」

「あ、ああ。確かに持ってるぜ?」
「今すぐ渡すか死ぬかお選びなさい3秒だけ待ちましょう321さあ返答を」
「ふぁっ?」
「なるほど死んでも渡さないといい度胸ですよろしいではこの場で――」
「――はいストップ~。ごめんね~、怖くないからね~。すぐにこの山姥をどけるからね~」
「は、放しなさい! く、黒の書が! 先生の黒の書がここに! ここにあるんですよ!」

こ、殺される。誰もがそう思っただろう。
特に間近で殺気を浴びたゴレイヌなんか悟りを開いたような顔をしている。これはもう死を享受しているな。

「ゴレイヌさん!」
「は!? な、なんだ?」

おお、正気に戻ったかゴレイヌ。
だが今度はなんだ? リィーナ組にいた女性がゴレイヌに詰め寄って来たが……。

「どうか黒の書を譲って頂けませんか!?
 お金が必要ならゴレイヌさんが黒の書を買い取った金額の倍、いえ3倍でも出します!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。少し落ち着いて話をだな」
「譲る気がないというのならこの場で私が――」
「だぁーもう! アンタは話がややこしくなるから黙ってなさい!
 ほらアンタ達! ぼさっとしてないでリィーナを抑えるのを手伝いなさい!」 

『オッス!』

複数人掛りで抑えつけられるリィーナ=ロックベルト。……こんな女性だっただろうか?

「それで、譲ってくれるのでしょうか? それとも……駄目でしょうか?」
「う、わ、分かったよ。譲る、譲るさ」

折れたかゴレイヌ。若い女に上目使いで請われたら乗ってしまうのが男の性か……。
あとゴレイヌ。胸に目が行きすぎだ。傍目で見ても分かるぞ。

「本当ですか!? じゃあおいくらでしょうか?」
「そうだな。正直に言うとオレが買った時の値段は1億ジェニーだ。
 だがもう必要もないしな。今回はタダで――」

「ふ、ふざけないで下さいませんか!? 黒の書が1億ジェニー!? ましてやタダ!?
 私が100億、いえ1000億ジェニーで買取りむぐもごもぐぅ!?」

「何でもないからねぇ。気にしないでねぇ。馬鹿の戯言だからねぇ」
「あ、ああ。と、とにかく今は持っていないんだ。
 グリードアイランドから出たら持っていくよ。どうせリィーナさんの所に寄る予定もあったしな」

ああ、“一坪の海岸線”の情報の報酬だったか?
というか1000億ジェニー……グリードアイランドのクリア報酬の2倍か……。
こう、こんなにもあっさりとそのような金額を提示されると、我々の今までの苦労はなんだったのかと小一時間問い詰めたくなる……。
……これが終わったら黒の書を探してみようかな? 確か現在4冊の黒の書が確認されているらしいしな。ゴレイヌが持っているのを除いても後3冊だ。
上手く行けば一攫千金だ。そうでなくてもリィーナ=ロックベルトの恩を得ることが出来るだろう。

「ありがとうございます! 必ずお願いしますねゴレイヌさん!」
「もごぉ! むがむぐぅぅ!」

……なんだかどっと疲れたよ。

「あ、そうだ。ゴレイヌさん。キルアの得意系統が入れ替わったことですが、元に戻ることはないんですか?」
「ああ、安心してくれ。あの能力の効果は30分だからな。その内元に戻るさ」

最初にまずそっちを確認しろよ。キルアが哀れでならん。

 

「……少々お見苦しい所をお見せしました。申し訳ございません皆様」

しょう、しょう? ……いや、言うまい。

「では中堅戦。レオリオさんvsバリーさん……始め!」

中堅戦が始まった。ここで勝つと勝利は目前だ。頼んだぞバリー。
バリーは近接戦闘の得意な強化系だ。鋭い踏み込みと身軽なフットワークで敵に近付き自分の得意な距離で戦うのを得意としている。
相手のレオリオも恐らく強化系。あの時の選考会で見せた回復能力は強化系ならではのもの。そうでなくとも隣り合わせの系統だろう。
放出系でない場合はバリーとは戦闘距離が噛み合いやすい。そうなったら戦闘経験が上のバリーが勝つだろう。
これで放出系なら距離を潰せればバリーの勝率は大きく上がるだろう。レオリオが得意とする距離が何かによって勝率は変わってくるな。

開始の合図と同時にバリーが一気に距離を詰めようとする。
レオリオもまた距離を詰めてきた。やはり強化系の可能性が高いな。

「しっ!」
「おっとぉ!」

……これは予想以上だな。
選考会で感じたレオリオの実力は、未知数ながらもまだまだ熟練の域には遠いと思っていた。
だがバリーと戦うレオリオを見てそれは間違いだと教えられた。
攻防力移動、オーラの見極め、体術、顕在オーラ、そのどれもが1流に近いレベル!
まだ戦闘経験の差でバリーが上手に試合を進めているが、オーラ量は確実にレオリオが上!
信じられん! キルアといい、レオリオといい、この若さでこれほどまでの強さを手に入れるとは!

……いや、リィーナ=ロックベルトがいるのだ。彼女が指導したとなればそうおかしな話でもないかもしれん。
それでも何年もの修行に耐えたのだろうな。才能と努力によって身に付けた実力だ。誇ってもいいだろう。

だが! それでも勝つのはバリーだ!

「ふっ!」
「ぐぅ!?」

執拗なボディ責め。レオリオの防御力に対してバリーではろくにダメージを与えることは出来ん。
だが当てることは出来る。まだ体術という括りではバリーの方が上。ボディを細かく攻撃することで徐々にダメージを蓄積しているのだ!
腹を打たれ続けると後に響くからな。攻撃力ではレオリオが勝るから、あの距離で戦い続けるのはかなりのプレッシャーを受けているだろう。
それでも前に出て戦うバリーの健闘には頭が下がる想いだ……。頑張れバリー!

「しぃっ!」
「おらっ!」

くっ、レオリオの学習能力が思ったよりも高い! もうバリーの動きに対応しだすとは!
攻撃も殆どガードされるようになった。そればかりかバリーにもダメージが与えられている。攻撃が当たりだしたのだ。

「へへ、ここ最近修行から離れていたからな。
 ようやく調子が上がってきたぜ!」

なんと……。本調子ではなかったというのか、アレで!
これはマズイ。レオリオの言葉が本当なのか、尻上がりのタイプなのかは知らんが、それでも動きがどんどんと良くなってきているのは確か!
既にバリーの方が防戦一方となっている……。これでは先ほどとは立場が逆だ!

くっ! バリーの攻撃も効いているはずだ! 攻防力に差があろうとも極端な差はないんだ! あれだけ執拗なボディブロウを喰らえば動きが鈍ってもいいはずだ!
レオリオは回復系の能力を使用している様子もない。なのに何故だ!? 何故あんなにもスピーディに動ける!

「これで……沈みな!」
「がぁっ!?」

レオリオの鋭いアッパーカットが綺麗にバリーの顎を捉える……。あれは、無理だ。
崩れ落ちるバリー。倒れてからピクリとも動こうとはしない。気絶したようだな……。

「それまで。勝者レオリオさん」
「よっしゃ!」
「お疲れ様でしたレオリオさん」
「おうよ! どうだアイシャ? オレの勇姿はよ?」
「何が勇姿だ。滅茶苦茶苦戦してたじゃねーか。オレならあんなの10秒も掛からないぜ」
「うるせーなー。最近勉強ばっかで鈍ってたんだよ!」

……クソッ! リィーナ=ロックベルトが代表者を適当に決めたというのは、オレ達を侮っていたんわけじゃない……。
余裕の表れだったというわけか。誰が出ようとも3勝することは出来るというな!
これほど腹が立ったのも久しぶりだな。バリー! 仇は取ってやるからな!

 

「それでは最終戦、ではありませんでしたね」

最終戦だと? もう勝ったつもりか。舐めるなよ。
ここでオレが勝てば2勝2敗! そして最後にカストロという奴をロドリオットが倒すことが出来たら我々の勝利だ!
カストロの実力は未知数だが、それでもジャンケンで決めたというリィーナ=ロックベルトの言葉を信じるなら大将に相応しくない実力の可能性もある。

とにかく、今はオレが勝つことに集中すべきか。
シングルハンターの実力と意地を見せてやる!

「副将戦。アイシャさんvsツェズゲラさん……始め!」

おや? 何故アイシャの姿が逆さまに?
いやこれは!? 世界全てが逆さまになっているだと? そうか! これはアイシャの念能りょ――







「それまで。勝者アイシャさん!!」

ツェズゲラさんには申し訳ないけど勝負は早めに終わらせてもらった。
どうやらツェズゲラさんは少し興奮していたようだし、開始と同時に虚を取って縮地で距離を詰めてからの柔を叩き込んだ。
後は地面に叩きつけてから、念の為鳩尾に指を1つ入れ込んだ。そのせいでツェズゲラさんは泡を吹いて気絶している。

「ツェズゲラぁぁぁぁ!?」
「あ、大丈夫ですよ。そんなに深くは指を入れてないので、しばらくすれば意識も戻りますから」

ツェズゲラさんを心配して寄ってきた皆さんに説明しておく。
これで少しは安堵してくれるだろう。
……何だか私を見る目に恐怖の色があるけど。信じてくれるよね?

「えっと、レオリオさん。良ければ回復してもらってもいいですか?」
「いいぜ。ツェズゲラには世話になってもいるしな」

ああ、そう言えばツェズゲラさんから結構な大金を貰っていたんだったな。
能力を勝手にバラされた代償金だから、貰っても当然だとは思うけど。

「……う、こ、ここは? わ、私はいったい……?」
「おお! 目が覚めたかツェズゲラ!」

ほら、すぐ回復した。手加減してるよ? ホントだよ?

「私は…………そう、か。私は、負けたのか」
「ええ、アイシャさんの勝利でございます。
 これで私たちの3勝でございますね」

「……分かった。約束は守る。
 “ブック”。……No.000、“支配者の祝福”だ。受け取ってくれ」

これが最後の指定ポケットカード……。
ツェズゲラさんもやはりプロだな。負けを認めて素直にカードを渡してくれた。

「確かに。
 それではこれにて」

「ああ」

リィーナも余計なことは言わなかった。
すまなかった。申し訳ない。そんな慰めの言葉なんかに意味はない。
こういう時に勝者が敗者に掛ける言葉はないんだ。

「ゴレイヌさん。良ければ私たちと行動を共にいたしませんか?
 その方がゴレイヌさんに支払う予定の報酬を渡す手間も省けるのですが?」

絶対報酬なんて関係ないな。黒の書の為にゴレイヌさんを逃がさないようにする為だ。

「いや、オレはツェズゲラの仲間だからな。グリードアイランドにいる間はアンタ達と一緒に行動するのは止めとくさ。
 グリードアイランドから出たら必ず風間流かロックベルト本社に寄るから待っていてくれ。
 もちろん黒の書も持っていくぜ」

「そうですか。了解いたしました。
 それでは皆様、ご機嫌よう。……ゴレイヌさん、必ずお越し下さいね?」

「あ、ああ。絶対に行く。絶対だ」

大事なことだから2回言ったんですね分かります。
これで来なかったらゴレイヌさんはリィーナに一生狙われるだろう。
馬鹿な考えをしないことを祈る。

 
 
 

「これで全部のカードをコンプリート!」
「グリードアイランド攻略完了!」
「ひゃっはー! クリア報酬ゲットだぜー!」

これでようやくクリアとなった!
ゲンスルーさんも形は違うけど念願が叶ったようで何より。
私の念願は叶わなかったけどね!

「ゴリラに負けたゴリラに負けたゴリラに負けた無様に負けた~」
「ああもううるっせーんだよクソ兄貴! そんなにオレが負けたのが面白いか!」
「ああめっちゃ面白かった。油断しまくりじゃん。お前の悪い癖だぜ?」
「ぐぎぎぎ……!」

キルアがミルキにおちょくられてるな。
だが今回はミルキの言う通りだ。勝っていた内容の勝負なのに、油断するから足元を掬われる。
念能力者の戦いに絶対はないんだ。例え実力で勝っていようと、能力1つ戦い方1つでひっくり返ることはザラにある。
今回はこれを反省材料にすることだ。

「さて、これで100種目です。さあ、何が起こるのでしょうか?」

リィーナがバインダーの指定ポケットを全て埋めた。
これでクリアになるはずだけど?

『おめでとうございます!
 アナタは全ての指定ポケットカードを手に入れました。
 つきましては、クリア報酬について説明いたしますので、城下町リーメイロまでお越し下さい』

バインダーから声が聞こえたと思ったら、空からフクロウがカードを1枚落としていった。
どうやらこのカードが招待状となっているようだ。

「どうやらこれを持つ者のみが城への入城を許可されるみたいですね」
「じゃあリィーナさんしか行けないってことか?」
「いえ、ゴンさんがお行きなさい」
「え? オレが?」
「ええ。ゴンさんのお父上がこのゲームの製作者なのでしょう?
 ならば他のゲームマスターもお父上のお知り合いのはず。この城で待っているのは恐らくゲームマスターでしょうから。話をしたいでしょう?」

「リィーナさん……! ありがとう!」

いい子だリィーナ! 久しぶりに頭を撫でたくなってきたよ!
小さい頃は良く撫でて上げてたなぁ。技が上手に出来たのを褒めてあげるととっても喜んでいた。
懐かしいなぁ。

「ただし、クリア報酬のカードを勝手に選んではなりませんよ?
 1枚はバッテラさんに頼まれている“魔女の若返り薬”。残りの2つは私に所有権がございますから」

「お、オス!」
「ああ、アイシャさんは何か欲しい物はございませんか?
 私は黒の書の捜索の為に“失くし物宅配便”が欲しいのですが」

「え? 黒の書はゴレイヌさんが後から持って来てくれるのでは?」

今さっきの話だぞ? リィーナが忘れるはずがない。
それなのにどうしてそんなアイテムが必要になるんだ?

「……ゴレイヌさんが所持しているのは世界中に散らばっている黒の書の1つに過ぎないのです」
「……どゆこと?」

え? 何それ初耳なんですけど? いや、え? だって黒の書だよね?
私が書いた〈ブラックヒストリー〉は一冊だけだよ? なんで複数あるかのように言ってんのこの子?

「……ねえリィーナ。アンタもしかして黒の書の写本を作ったの言ってないんじゃない?」
「ああ! そうでした! 申し訳ございませんアイシャさん! 実は黒の書は私が原本を元に翻訳版を複製してしまったのです……!」

嘘だと言ってよリィーナ!?

「しかも写本の写本も出回ってるわよ。私が聞いた話を統合すると、原本も合わせて4冊の黒の書がこの世に出回っているわね」
「リィーナ。クリア報酬は何としても“失くし物宅配便”を選びなさい」
「りょ、了解いたしました!!」

なんてことをしてくれたんだ!!
あんなのが4冊も出回っているだって!? もう勘弁してくださいよホントに!
いい加減泣くぞ! 恥も外聞もなく泣くぞ!?

「あれ? でも“失くし物宅配便”って持ち主が失くした物しか宅配してくれないんでしょ?
 リュウショウ先生の私物はリィーナが遺産として賜ったから、原本とリィーナが作った写本は戻ってくるでしょうけど……」

あ、あの、何でそんな不吉そうな言い方をするのかなビスケさん?

「残りの2冊の写本は他の人が作った本だから、その2冊は宅配されないんじゃないの?」

意識が遠くなる。駄目だもうオシマイだ。グリードアイランドは魔の島だ。私の心を削ることしかしないのか?
もういっそこの島全部吹き飛ばしてやろうか? 今の私なら1年ぐらい時間を掛けたら多分出来るぞこんちくしょう。







私の精神を幾度となく消耗させたグリードアイランド。
何はともあれ私たちはクリアすることが出来た。
ゴンはゲームマスターの人達と色々と話をすることが出来たけど、やっぱりお父さんに関する情報を手に入れることは出来なかったらしい。
クリア報酬の3枚を使って何かを考えていたらしいけど、自分の勝手で報酬を好きにすることは出来ないからと断念したそうだ。

こればかりは私もリィーナにお願いすることは出来ない。
何せリィーナはバッテラさんに代わってこのゲームの出資者になっている。
私がグリードアイランドをプレイするのにもリィーナの力をかなり借りている。クリアにもリィーナの協力は不可欠だった。
その上でさらに報酬までねだるわけには行かない。ごめんねゴン。

結局クリア報酬は“魔女の若返り薬”、“失くし物宅配便”、“死者への往復葉書”の3つになった。
“魔女の若返り薬”はバッテラさんの注文。これは契約だから外すことは出来ない。
“失くし物宅配便”は黒の書の搜索の為だ。ビスケの言う通り、別の誰かが書いた黒の書の写本は宅配してくれないだろうけど、原本とリィーナ手書きの写本は手元に戻ってくるだろう。
“死者への往復葉書”は……これは、リィーナの言うことに甘えさせてもらい私が選んだ。……これならドミニクさんは母さんと……。

本当に死者から返事が来るのか分からない。でも、一度死んでこうして転生出来た私がいるんだ。可能性はある。
ドミニクさんがこの葉書を余計な物と思う可能性もある。今さら死んだ人と葉書で話を出来ても慰みにしかならないのは分かっている。
それでも、それでもこのアイテムの効果を知った時に、ドミニクさんに渡したくなったんだ。

「くっ。オレの“レインボーダイヤ”……!」
「“コネクッション”が……!」
「お前らどっちも意味ないこと分かってて言ってんだろうな?」

全くだ。ミルキもレオリオさんも何を欲しがっているのか。それってどっちも相手の意識を操作するタイプのアイテムだよね? 誰に使おうとしてたのか。
そもそもキルアの言う通り、クリア後に選べる3枚はリィーナに決定権があるから頼んでも無理だと思うよ。
リィーナに甘えている私の言うことじゃないけど。

「安心なさい。代わりの報酬はお渡しいたしますよ」
「リィーナ先生! オレ達の報酬は幾らになりましたか!?」

ゲンスルーさんは以前までは500億の内40%が報酬だったな。
あれからさらに貢献しただろうから、上がったのか気になるんだろう。

「そうですね。スペルカードによる指定ポケットカードの偽装作戦は非常に上手く行きました。
 これがクリアへの一助となったのは明白でしょう。他にも細かな点で貴方達はよく動いてくれました。
 なので、全体の60%。300億ジェニーを今回の報酬といたしましょう」

『おおお!!』

300億。かなりの大金だ。ゲンスルーさん達が狙っていた500億と比べると見劣りするのは仕方ないけど、本来なら報酬なんか何もないのが当たり前だったんだ。
0から300億まで上がったなら十分だろう。ゲンスルーさん達も大喜びしている。

「丁度切り良く1人100億で分けることも出来るでしょう。
 どのように配分するかは貴方達がお決めなさい」

「オレとサブは50億ずつでいい」
「ああ、ゲンが1番貢献したんだ。50億でも貰いすぎなくらいだ」
「何言ってやがる! オレ達のしたことに関係なく取り分は等分するって決めてただろうが。
 きっちり3等分だ。これは譲らねぇからな!」

「何という厚い友情だ」
「ここだけ見るとプレイヤーキラーとは何だったのかと言いたくなるな」

全くだ。この気持ちを他の人に少しでも向けることが出来たら良かったのにな。
でも最近のゲンスルーさん達は私たちにもそういった感情を向けてくるから、大分改善されてはいるだろう。

「リィーナ先生、ありがとうございます!」
『ありがとうございます!!』

うん。教育は順調のようだ。
まだ数ヶ月程度しか教育してないからすぐに外に放つのは不安だけど、この様子なら数年もしたら自由が得られそうだ。
何せリィーナにお礼を言う時のオーラが微動だにしていない。嘘偽りない謝礼だった。

「貴方達、これからも私に付いて精進しなさい」
『はい!!』

あ、なんかカストロさんがあの4人を見てちょっとご機嫌斜めになってる。
リィーナを取られたみたいで嫌なんだろうか?

「リィーナ殿! これからもご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします!」
「ええカストロさん。貴方が大成する日を楽しみにしておりますよ」
「ありがとうございます!」

美しい師弟愛である。

「さて、残りの報酬ですが。残り200億をアイシャさんに――」
「――ちょっと待てや」
「流石にそれはないわよねリィーナ~?」
「……冗談でございますよ?」
『嘘だ!』

これは誰もが嘘だと見抜くよ。
絶対本気だった。きっと誰も反対しなかったらそうしてただろう。

「残りの200億は残った皆さんでお分けください。
 ああ、ビスケはなしで。貴方には“ブループラネット”を諦めていただいた代わりに私から別に報酬をお渡しますから」

「すっごく欲しかったんだから、奮発してよね!」
「分かっておりますよビスケ」
「ああ、私のブループラネットちゃん……!」

宝石が好きなのは変わらないなぁ。ごめんね私の為に我慢させて。

「すいませんビスケ、私の我が儘を聞いてくれて……」
「……いいのよ。どうせ私が“ブループラネット”を欲しがっても、皆も他に欲しいアイテムがあるんだから私だけクリアアイテムを手に入れるなんて出来なかったわよ。
 アイシャなら角も立たないでしょうし、丁度良かったのよ……」

その割には納得いってない顔だよ……。
ごめんね。今度埋め合わせするからね。

「それじゃ残った報酬は等分か?」
「それだと端数が出るな」
「ああ、私は遠慮しよう。修行の名目で来ていたのでな。報酬は君たちが好きにするといいさ」
「カストロがいらないとなると残りは6人か」
「あ、私もいりませんよ。クリアアイテムまで貰っておいて、報酬まで貰うわけにはいきません」

私もカストロさんと同じく報酬を辞退だ。
というか、既に報酬を貰っている身だ。この上お金まで貰うなんて皆に悪い。

「じゃあ残りはオレ達で5等分か?」
「いいんじゃないかそれで」
「じゃあ1人40億ずつで!」
「なんか大金過ぎて金銭感覚麻痺しちゃいそうだよ」
「チョコロボ君がいくつ買えるか……」

落ち着けキルア。お前は糖尿か何かで死ぬ気か?

 

さあ、これでグリードアイランドともお別れだ。
何だかんだで楽しいひと時だった。辛いことや悲しいことはあったけど、というか滅茶苦茶辛かったけど。
それでも楽しいこともあった。皆と一緒に修行したりカードを集めたり遊んだり。
そう思うとグリードアイランドを出るのも寂しいものだ。

だが私は外の世界でしなくてはならないことがある。
その為にも、ここで足踏みしているわけにはいかないんだ!
さらばだグリードアイランド。もう来ることはないだろう。

 
 
 

「れ、レオリオさん。出来れば私を【高速飛行能力/ルーラ】で外の世界まで運んでくれませんか?」
「お安い御用だぜ」

忘れてた。私は【ボス属性】のせいで外に出ることもままならなかったんだ……。
レオリオさんが【高速飛行能力/ルーラ】を覚えていて本当に良かった!

改めて。さらばだグリードアイランド!





あとがき
【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】と【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】を融合!
新たに【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】を召喚するぜ!
……く、ゴレイヌさんの魔改造ネタが感想バレしたのがすっごい悔しい!
ちなみにバリー(ツェズゲラ組)が強化系というのは勝手な設定です。

能力詳細書いときます。

ゴレイヌ。
今回の魔改造キャラ。何故か特質系になって本作品に登場。
多分にネタが入っているため納得出来ない方がいるかと思います。
ちなみにホワイトゴレイヌとブラックゴレイヌの制約である距離20mはこのss独自の設定です。
それだけの制約入れてないとあれ強すぎでしょう。


【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】
・具現化+操作+放出
術者と念獣の位置を入れ替える能力を持つ。

〈制約〉
・術者との距離が20m以内である。

〈誓約〉
・特になし

 

【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】
・具現化+操作+放出
他人と念獣の位置を入れ替える能力を持つ。

〈制約〉
・対象との距離が20m以内である。

〈誓約〉
・特になし

 

【賢人融合/フュージョン】
・特質系能力
具現化した【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】と【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】に特定の動作を取らせることで二体の念獣を融合する能力。融合する事によりその能力は大幅に上がる。

〈制約〉
・二体の念獣を同時に遠隔操作し、特定の動作を行わなければならない。この時自動操作では効果を発揮しない。
・合体し、30分間経つと合体は解除される。

〈誓約〉
・特定の動作に失敗してしまうと念獣は消滅し、その後30分間は念能力が使用出来なくなる。
・合体解除後の30分間は念獣を具現化する事が出来なくなる。

 

【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】
・特質+具現化+操作+放出
【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】と【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】が【賢人融合・フュージョン】によって融合する事で具現化される新たな念獣。
融合したことによりその能力は融合前よりも大幅に上昇している(ぶっちゃけ身体能力は術者よりも遥かに高い)。もっとも、遠隔操作ゆえ術者の操作能力以上の動きは出来ない。
対象の系統を操作し対象の得意系統と最も苦手な系統を入れ替える能力を持つ。効果時間は30分間となる。

〈制約〉
・使用する対象が【賢人融合・フュージョン】する場面を見ていなければならない。
・使用する対象の得意系統を宣言し言い当ててから【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】で対象に触れなければならない。
・具現化後、30分経つと合体は解除され【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】は消滅する。

〈誓約〉
・得意系統を言い間違えて能力の発動条件を満たした場合、【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】は消滅し、術者の得意系統と最も苦手な系統が30分間入れ替わってしまう。

ちなみに敵対した念能力者の苦手な系統は特質系。得意系統を苦手系統に入れ替えると相手が強化系になってしまう。
特質系の能力は使えなくなるが、基礎戦闘能力が跳ね上がってしまう。




没ネタ。

「これがオレのジョーカーだ! 行くぞ!」
 
――身体はゴリラで出来ている――

ゴレイヌは静かに言葉を紡ぎ出した。それはまるで詠唱のようであった。
誰にも理解されない賢人への想いを籠めた祝詞のようでもあった。

――DNAは人で、心は賢人――
――幾たびの森林を越えて不敗――
――ただの一度も敗走はなく――
――ただの一度も理解されない――
――彼の者は常に独り森の奥でゴリラに酔う――
――故に、その生涯に意味はなく――
――その体は、きっとゴリラで出来ていた――

誰にも理解されることのなかったゴリラへの愛が詰まった詠唱が終わる。
その時……世界が変わった。

「な、なんだ、これは!」

キルアが驚愕する。
いや、キルアだけではない。ゴレイヌ以外の全てが変わりゆく風景に驚愕した。
それは清浄なる森林。人の手によって汚されていない森の聖地。
そしてそこには、森の守護神にして優しき賢者、そう、ゴリラがいた。
1匹や2匹ではない。10、20、いや、数え切れない程のゴリラが周囲を囲んでいたのだ。

「これがオレのジョーカー、【無限の賢(人)製/アンリミテッドゴリラワークス】だ。
 オレの力はゴリラを創る能力じゃない。無数のゴリラを内包した世界を創るのさ!!」

意味が分からない。
これがこの場にいるゴレイヌを除く全てのプレイヤーの気持ちだった。

「行くぞ雷小僧。電気の充電は充分か?」




これは流石に没にしました。


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