OTHER'S SIDE サイド・ブラボーパーティー「しっかし居ないねー、ご同胞。どうなってんだろ」「“同胞狩り”の一件があったからな。向こうも警戒しているのだろう」 カミトさんのぼやき混じりのつぶやきに、ブラボーさんが応える。 黙って二人について行くわたし。 カミトさんは、格好は男の子なんだけど、中身は女の人みたいで、女の子口調。 黙っていれば美少年なのに、口を開けばみんなが遠ざかってしまう。 たぶん、誰も彼がハンターだなんて思っていないと思う。 ブラボーさんは、もう“ブラボー”としか言えない。漫画の登場人物そのままの、キャプテン・ブラボー。とっても頼りになるんだけど、ちょっと馬鹿。 二人とはハンター試験で出会った。 ハンター試験を受けたのは、グリードアイランドを手に入れるのに、それが近道だと思ったから。 わたしのキャラクター、“ミコ”は一応良家のお嬢様だったけど、あのむちゃくちゃ高いゲームが手に入れられるほどじゃない。 だから、とりあえずライセンスがほしかった。 結局わたしは合格できなかったけど、二人に会えたのは大収穫だった。 おかげで、元の世界に戻る、具体的な方法とかが分かってきた。 わたしも“ミコ”も、世間知らずなおかげで、二人の助けにはなれないけど、足だけは引っ張らないようにしなくちゃいけない。 わたしの“ハヤテのごとく(シークレットサーバント) ”は、遠くまで飛ばせるタイプの念能力なので、探索には向いている。 いまも、わたし達の上を鳥に化けて飛んでいる。 その目が、ちょうどこっちを伺っている念能力者の姿を捉えた。「ブラボーさん。こちらを伺っている方がいるようですけれども」「それはブラボーだ。ぜひ話し合ってみよう!」「使える奴だといいけどね」 お二人のテンションは、まるで違うけど、変に息が合っていて面白い。「そうですわね。ユウさん位の使い手ですとよろしいのですが」 ユウさんはわたし達の仲間で、すごい使い手で、わたしの命の恩人でもあるひとだ。 女の人なのに、男の子の言葉を使ってる、たぶん本当は男の人。「ミコはユウちゃんLoveねえ」「な!? そのようなこと」 何を言い出すのかこの人は。「わ、わたしはただ相応の使い手としてあの方の名を挙げただけでそのようなことは―――」「はいはいそう言う事にしときましょう。とりあえずユウちゃんはおいといて、仲間を物色しますか」「うむ。今は大事を優先しよう」 人の話を聞かないカミトさんに、ブラボーさんはマイペースに同意する。 まったく。ユウさんはそんなんじゃないというか命の恩人で女の人で、でも本当は男だと思うけど女の人かもしれないし年上だし……いや、それはさておいて、こちらを伺ってる人もいることだし、今は仲間探し優先だ。 元の世界に帰るためにも、こんなところでぐずぐずして居られないのだ。 吸い込まれるような深い青色の空。それをながめながら、思う。 数ヶ月、この世界を歩き回ってみた。 一年前に、この世界に突然現れた、三百人近い念能力者達。だが、何も変わらない。 俺たちが来て、俺たちが関わって、元の世界とは変わっているはずだけど、結局、なんら変わらない。 ただ、ゆっくりと。俺たちの変えてしまったはずの流れは、本来の大きな流れに飲み込まれていくだけ。 それを、実感する。 マフィアンコミュニティーの十老頭に、幻影旅団と関わる危険を忠告した者が居た。 もちろん、まともに受け取ってもらえなかったようだ。 キメラアントについて、その危険性を示唆するレポートを学会に提出した者がいた。 一笑に付されて終わったらしい。人間大のキメラアントの発生を想定すること自体ナンセンスだ、と。 公にNGLを非難した者は、名誉毀損で訴えられたあげく、正体不明の者に命を狙われているらしい。 何か大きな力が歴史を変える行為を妨げているかのように、何も変わらない。 歴史だけでない。主人公達の周りでも、そんな事が起こっている。 たとえば、ゾルディック家の掃除係をやっていた奴は、“同胞狩り”に殺された。 クラピカに近づこうとして緋の目を手に入れた人物も、第三者に殺されてしまった。 旅団に近づいた者は……言うまでもない。 あの“ツェール”も、結局ヨークシン編が始まる前に死んだ。 歴史は原作から外れない。少なくとも、それに抗う力がなくては、運命は変えられない。 グリードアイランドもそうなのかも知れない。ブラボー達の見通しが甘いと言うのではない。より以上に、この世界が俺たちに厳しいだけなのだ。 それに関して、シュウは言う。 別に、世界が俺達の動きを抑制してるわけじゃないだろうさ。 単に俺達が流れに逆らって進もうとしているだけ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)なんだろうよ。 世界に、時流に指向性があるなら、別のベクトルに向かえば向かうほど進んでいくのが困難になるだけだろう。 無理に逆らって行けば、あるいは、無理に加速すれば、力のない奴は、そりゃあ淘汰されるだろうよ。 主人公回りに関しても同じ。あいつらは、いわば“英雄候補”で、“流れ”そのものと言ってもいい存在だからな。関わって、影響を与えるほどの要素になることが、どれだけ困難か。想像に難くない。 だから、なるべく主人公回りに関わるのはやめておけ。少なくとも、考えに影響を与えるような近しい存在になるな。 シュウの物の見方は独特だったが、大筋で俺の意見と間違っていない。 ただ、何をやっても抑制力のようなものが働くわけではない、と、シュウはそう言いたかったようだ。 だから、怯えるな、と。胸を張って進め、と。 きっと、シュウは戦う。激越な意思で、己を通し抜く事を、あきらめはしない。 だから俺も、戦うことだけは、きっとあきらめない。何があっても、最後の目標からは、目をそらさない。 それが、この世界を巡って得た、俺の結論だ。 「――何がみえんの?」 いきなり、声をかけられた。 声の主を求め、振り返ると、そこに少年が立っていた。 銀髪の少年。10代前半。猫科の猛獣を思わせるしなやかな挙措。 その特徴の主を、俺は知っている。キルア・ゾルディック、主人公の一人だ。「別に。見てたのは空」 あまり関わりたくない。それゆえに、不愛想に応えた。 だが、その答えを不思議に思ったのか、キルアは俺の横に陣取ってしゃがみこむ。「なんで空なんて見てんの?」「いや……」 訪ねられて、一瞬答えに詰まる。「見ていたのは空じゃない。自分だな」 しばらく考えて、出した答えはそれだった。「わけわかんねえ」 キルアはそう言って、立ち去るのかと思えば、顔をこちらに近づけてくる。「あんた、同業者なんだろ? なんでそんな無駄なことすんの?」「“元”同業者だ。今は一般人」「なんだ、モトか」 キルアはがっかりした様子で完全に腰を落とした。「あーあ、賞金首なら路銀の足しにしようと思ってたのになー」 こいつ、そんなこと考えてやがったか。だが、あいにく俺は賞金首になるほど大した“仕事”はしていないのだ。「で、暗殺者のキミは、なんで路銀に困ってるんだ」「それがさー、オレも“モト”なんだよ。家が代々の暗殺者でオレも教育されてきたんだけどさ、いやんなって家出してきたんだ」「……金がいるのか? いくらだ」 とりあえずとっとと何処かへ行ってほしくて、そう言ってみた。「くれんの? マジで? じゃあとりあえず2、3万でいいや」 財布から3万取り出して渡す。「サンキュ。ハンターになってオヤジ達の賞金もらったら返しに来る」 そう言うと、キルアは喜び勇んで駆けて行った。 もしかして、受験料すら持ってなかったんだろうか。 まあキルアならどうにかして調達したんだろうけど。通りすがりのごろつきでもぶっ殺したりして。 とりあえず死なずに済んだ、顔も知らない人の無事を祝っておいた。“俺たち”の行動を抑制する力が働いている。 俺は、そう考えていた。だが、まさか自分が同胞達の邪魔をする羽目になるとは。 キルアに遭った後、シュウから連絡があった。 シュウとは携帯やネットで、わりと密に連絡を取り合っているので、それ自体は変わった事ではない。 度肝を抜かれたのはその内容。 俺にハンター試験の試験官をやってほしい。そんな連絡が審査委員会からあったらしい。 今年のハンター試験といえば、主人公達が受験する大切な試験だ。 その試験官に俺が選ばれた、その意味。 ――おそらく今年は去年より、同胞の受験者が多い。 試験の内容から回答まで、全部知っているわけなのだから、確実に合格を狙うなら、俺でもそうする。 同胞の中でライセンスを持っていないのが3割ほどと仮定すれば、100人弱ほども受験する可能性があるということ。 きっと、試験は収拾がつかないくらい混乱するんじゃないだろうか。 それを跳ね除けるために、俺が選ばれたということか。 いやな役どころだが、同時に好機。 今まで捉まらなかった仲間を物色する絶好の機会なのだ。 現状、俺達の準備は、かなりのところまで来ている。 シュウの怪我が治ってグリードアイランドに入ったことで、下準備は着々と進み、すでに数人のゲームから出られないプレイヤーと交渉し、15人分の空きスロットまでもう少しという所。 ブラボーの方も仲間を数人見つけ、あと少しでグリードアイランド攻略に乗り出すつもりらしい。 俺の方も、試験が終わったら攻略に加わる事を約して、シュウとの通信を終えた。 向かうはザバン市。ハンター試験会場だ。 ザバン市ツバシ町2-5-10 外観はどう見ても定食屋。その地下こそ、ハンター試験会場なのだ。この冗談みたいな会場は、あの会長の趣味に違いない。 地下に下り、試験官の控え室で、一次試験の試験官だったサトツさんと2、3相談をして、待つこと半日ほど。 予定の時間になったので、控え室を出る。 受験者の人数は、手元に回された資料では461人。主人公達が最後の方で、400何番かだったと思うから、50人近くの同胞達が受験している計算だ。 ベルを鳴らす。 一同の目が、一斉にこちらに向けられた。「このときを以て受付を終了。これよりハンター試験を開始する」「え」「そんな」 疑問の声を上げたのは、たぶん同胞達。 そんな声を尻目に、一団の先頭に向かい、歩いていく。 地面に一直線に引かれた、白線。その線上に立つと、受験生達に向き直った。「知っての通り、ハンターと言うのは強くなければ勤まらない職業だ。キミ達がどんなハンターを目指すのかは知らないが、“強さ”はハンターにとって最低条件だ」 言いながら、あたりを見渡す。 去年の受験生達は、俺の顔くらい知っているだろう。途中、キルアと目があったので、目だけで挨拶しておいた。「この中でも知っている者も多いと思うが、俺も去年はそちら側に立っていた。ライセンスをとって一年にならない新米ハンターだ」 念能力者の数は、およそ30人ほどか。ただし、“纏”を行っていない者の中に、力強いオーラを持つものが混じっている。それも、おそらく同胞だろう。「1対1。俺に拳を叩きこめた者は、合格にしてやる」「へっ、なら俺が一番に合格してやるぜ!」 言いながら出てきたのは、一般の受験生。 襲いかかってきた受験生の拳を、真正面から押してやる。 伸び切った状態の腕を押された受験生は、一瞬宙に浮き、そのまま膝を折って蹲る。。 利き腕の関節は肩からはずれ、受験生は気絶している。これでも、充分手加減しているのだけど。「―――もちろん、この条件では厳しすぎる。だから試験内容を変えさせてもらった。この線を抜けて向こう側に行った者は、合格者としてそのまま二次試験を受けてもらう」 線を足で指し、続ける。「こちらに残った者は戦って合格すれば、三次試験に進んでもらう。もちろん失敗すれば不合格だ。5分以内に選べ」 わたしの言葉に、半数以上の人間が線を超えて歩いていく。 その中には、キルアやギタラクルの姿もあった。手を抜いたとはいえ戦闘に身をおいたのだ。さすがに俺の技量を正確に読み取ったらしい。ギタラクルのほうは、間違いなく俺以上の使い手だが、おそらくキルアを見守る事を優先したのだろう。「ゴン。何を考えている!? 敵うわけないだろう!?」「でも、やってもいないのに試験から逃げるなんてできないよ!」 何やらもめている主人公達。「なら、試してみるか? 3人までは特別サービスだ。二次試験も受けさせてやろう」「やるよ!」 俺が声をかけてみると、ゴンが元気よく答えた。「待て、オレが先だ」 自信たっぷりにゴンの前に出たのは、念能力者の青年。銀髪紅眼の特徴を鑑みるに、同胞だろう。こんな見分け方もどうかと思うけど。「えー!? ずるい!」「心配しなくても3人目は君にしておく。まあその気も失せるかも知れないがな」 言って、男と対峙する。 男は屈み込むような低い体勢から宙に舞い、頭上から攻撃してきた。 それに合わせるように、掌底。 念能力者だから死ぬ心配はないだろうと、かなり強めに打ち込む。男は天井に打ちつけられ、弾かれるように地面でまたバウンド。ピクリとも動かなくなった。「ま、こいつ以下の実力ならやめておいたほうが無難だけどな」 この惨状を見て、ほとんどの人間が線の向こうに逃げていく。「ゴン、やめておけ。とても敵う相手ではない!」「そうだぜ! ヘタすりゃ死ぬぜ!?」 二人の言葉にも揺るがず、ゴンは前に出て来る。「行くぞ!」 ゴンは先の男と同じように思いきりジャンプし、宙から釣竿を投げてきた。 それを紙一重で躱し、迎撃体勢を崩さない。 ゴンは、もう一度釣竿で攻撃。それを躱したところに、浮きが壁に当たって跳ね返ってきた。 それを手で捌く一瞬。図ったかのようにゴンは竿を倒し、釣り糸で俺の体を拘束する。 そこを狙って、後ろに回りこんでのパンチ。攻撃のセンスはいいが、絶対的に身体能力が足りない。 優々とパンチを受ける。「はい、キミも不合格」「ええー!? なんで!?」「線を超えたら無条件で不合格って言っただろう?」 そう、後ろに回りこんだゴンの足は、線を超えていたのだ。 「ううー」「はい、とっとと線の向こうに行く」 悔しがるゴンの頭を叩いてやる。 クラピカとレオリオも、ゴンについて線を渡っていく。 残ったのは、ほとんど全てが念能力者。 その中に、ヒソカや、何処かで見たことあるような顔が2、3残っているのが気になるけど、まあほぼ予想通り。「じゃあ一次試験、本番を始めよう」 言葉と同時に、押さえていたオーラを解放する。 念を使える受験者達が、青ざめる。 みたところ、ここにいる同胞達は、俺はおろかレット氏にも、はるか及ばない。それでも“良い”オーラをしているのは4人ほど。3人はすでに線の向こう、残った1人は、冷静にこちらを伺っている。 腹が立ってきた。こいつらこの一年、何をしていたんだ。「死にたくなかったら線の向こうに行ったほうがいいぞ。“使える”者には加減しない」 俺の、言葉というより無言の威圧に、ぞろぞろと受験者達は線を渡っていく。 残ったのはヒソカと、同胞一人と、数人の一般受験生だけ。 彼らを尻目に、線を渡った受験者達に告げる。「後から渡った奴。キミ達は不合格だ。とっとと去れ」「なんで!?」 「うそだろ!?」 俺の言葉に、非難の声。「言ったろ? ここに残った者は戦って合格するか、不合格になるかのどちらかだ、と。試験開始を宣言してから線を渡った者は、どのような理由があろうとも不合格だ」「でも、それはあなたが言ったんじゃない!?」「ああ、言ったよ。死にたくなかったら線を渡れ、と。死なれちゃさすがに寝覚めが悪いからな。その前に自分から不合格になったほうがいいと言ったんだ」 その言葉が、受験者達に伝わるまで、一息。「キミ達は俺の実力を見誤った。これがひとつの失点。キミ達は試験官の言葉から試験の意図を推察しなかった。これが二つ目の失点。二回続けての失敗というのは現実ならば致命傷だ。さらに言わせてもらうなら、ちょっと困難にぶつかったくらいで自分の意思を貫けず、心折られるようじゃあハンターを目指す資格すらない。お前らは何のためにハンターになりたいんだ!」 眼力にオーラを込めて、辺りを睥睨する。 圧倒されたように後じさる受験生たち。どの道この程度の奴らじゃあハンター試験をかき回す程度しか出来ないだろうし、それを未然に防げたのだからこれでいい。 試験の目的は、こんな中途半端に実力があるくせに判断力に欠ける、厄介なヤツを弾くこと。これはもともと戦う試験でなく、判断力の試験なのだ。 適正に実力差を読みきり、挑戦を放棄するか、あるいは逆に実力を知らされても、敢然と立ち向かうか。それが、合格条件。 うなだれる彼らをしり目に、今度は残った者達に向き直る。「線を超えなかった者達。おめでとう、君達は合格だ。“次”を求めず今、この瞬間に挑む姿勢。機会を薄めず、あくまで挑戦しつづける姿勢。それこそハンターに必要な資質だ」 言って、合格者達を祝福する。 サトツさんの行う二次試験の方に回った同胞は3人ほど。予想より削れ過ぎている気がするが、まあ良しとしておこう。 ヒソカが入っているのがかなり気になったが、よく考えたらこんな試験にした時点で残ってくるのは確実で、つまるところ完全な俺のミスだ。 その後、試験合格者達をチャーターしておいた小型の飛行船で、二次試験会場まで運ぶ。 その最中、じっとこちらに向けられる視線ひとつ。 いや、それが誰のものかわかってるけどね。何か、現実逃避もしたくなる。「くっくっく ♥」 もう完膚なきまでに、ヒソカにロックオンされていた。 殺気自体は無いし、今すぐどうこうとか言うわけじゃなさそうだけど、精神衛生上、非常によろしくない。 だいたい、全身を舐めまわすような視線が気色悪いんだよ。 と言っても変に刺激するわけにもいかないし、極力惚けた振りして誤魔化すことにした。ネテロ会長がやってたあんな感じ。 そう、自分に言い聞かせていたが、だめだ、どうにも耐えがたい。 ヒソカがサトツさんの試験を受けなかったことが、どんな影響を与えるか。気になったが、無理だ。向こうに着くまでの精神的苦痛で胃に穴が開きそうだ。 途中、通りすがった街の、高層ビルの屋上に人がいるのを見つけると、渡りに綱と“背後の悪魔(ハイドインハイド) ”をつかい、とっとと退散させてもらった。 「さ、て、ちょっと試験は気になるけど、試験終わってから天空闘技場行ったらヒソカと出会っちゃいそうだし……」 圧迫感から解放され、軽く伸びをしながら、つぶやく。背後で、びっくりしてる人がいたが、まあ気にしない。「行きますか。グリードアイランド攻略」 自分を奮い起こすように、声に出して言った。