夢を見た。 遠い日の夢。
まだ家族が四人全員そろっていた日。人間からは石もて追い立てられ、魔族からは追いかけられた。けれど、彼女は絶望していなかった。父が、母が、妹がいたから。
やがて父が死に、母が倒れ、逃げるうちに妹ともはぐれてしまった。
食べ物を得る術もなく、木々の微量な魔力をすすって、隠れながら泣き暮らしていた。
ある日低級な魔族が、彼女を魔力の補充源、あるいは慰み物とするつもりだったのだろうか、とにかくそんな存在が彼女を襲った。
そこから彼女を救い出してくれたのは一人の魔族。
彼は彼女を抱き上げてこう言った。
「ハーフデーモン…なのか?ならお前が彼女の…そうか。
辛かったな。今日から私がお前の―――」
そこでアルドラは目が覚めた。
「ふん。いやな夢を見た。…あの時、奴は何て言ってたっけ…」
頭を振って考えをはらい、陣幕を出て全軍に行軍の準備を急がせるべく起き上がった。
「なるほど。つまり、俺の能力を使えばそこを侵入経路として使えるわけだな?」
「ああ。女王軍のやつらもあそこには気付いていないはずだ。」
アレイン達が出発して2日後、今メローナとイルマが話しているのはシェルダンス内の庁舎への侵入手段についてである。
偵察によってクローデットたちの監禁場所は庁舎内だという目星が今日ついたのだが、事は秘を要する。気付かれずに侵入する手がなかったのだが、ここにきて算段がたった。
侵入は出来ないが脱出経路はあったのである。中から閂を外せば脱出できるというもので、その隙間はシェイプシフターならば抜けることが出来、侵入することが出来る大きさだということだ。さらに侵入したメローナが閂を外せば他の者も続いてそこから進入可能だ。
「さすがはエキドナの弟子、前もってそういうものを準備していたってわけだ。」
「貴女が居なければ脱出用にしか用を成さなかったわけだからあまり褒められたものではないがな。
…本当にあの人の元を離れてからこそ痛感するよ、私は最高の師から良い教えを受けていた。おかげで今も生き残ることが出来ている。」
牙の暗殺団がエキドナの手を離れて大分経ったそうだが、その間に牙の教えは大分変ってしまったらしい。元々「何があっても生き残れ」がエキドナの掲げた理念だったらしいが最近は任務を命より重視する流れになっていたそうだ。
それでもエキドナのその教えは一部のものに引き継がれ、そいつらが今俺達の心強い味方になってくれている。
最近では珍しく、エキドナが直弟子に取っていたイルマもそれを受け継いでいたようだ。
「それじゃあ、ヴァンス伯とクローデットの救出作戦に向かうのは、俺とイルマと、あと―」
「私も行かせて。」
「―レイナ、と―」
「陽動が必要だろ?それはあたしがやるぜ。その手の仕事はまかせときな。」
「―リスティ。あまり大人数で行くものでもないしな。これで決定だ。」
ユーミルと舞、ノワには留守を任せることにする。鋼鉄山にも魔女が手を伸ばさないとは言い切れない。
「とにかく決行は、今夜だ。」
「あれ?おい、ノワがいねーぞ?」
「今夜あたり、来るかしら?」
「タイミングを考えるなら、今夜ぐらいだろうね。そろそろって頃合だ。」
「何の話だい?カトレア、エキドナさん。」
急に変なことを言い出した二人に、ニクスは料理をする手を止めて訊ねる。すると、ベッドの上に起座してクリュンヌに乳を与えていたエキドナが応えた。
「ガイノスに居るらしいアナリスタが仕掛けてくる時期の話さ。
一旦戦闘が始まっちまったらアルドラはそう簡単にガイノスに戻っては来れない。アルドラがシェルダンスに到着するのが3~4日後、ガイノスでの騒ぎが前線にまで伝わるのがちょうどそのくらい…あたしが魔女で、戦いを泥沼化するのが目的なら、クローデットを捕まえてヴァンスの戦力を削いだら、次は女王軍の戦力か士気を削ぐ。
そのためには…ってことさ。ついでに、敵対してる何かと目障りな奴らの掃除も今のうちにやっておきたくなるかもね。」
カトレアは、ラナをその腕に抱きしめた。
「お母さん?」
「ううん、なんでもないわ。…ラナ、あなたは男の子なんだから、いざというときはあなたがクリュンヌを守るのよ。」
「?うん。」
シェルダンス北と、シェルダンス、そして帝都ガイノス。
この日美闘士たちが関わった3つの戦いのうち、最初に火蓋が切られたのはシェルダンス北、エルフ軍の陣の中だった。
「見えてきましたね、アレインさん。」
「ああ、規模からすると、おそらく森に戦闘要員はほとんど残っていないだろう。なんという危険なことを…一体何があったというんだ?」
アレインといろはは兵士に声をかけ、取次ぎを頼もうとする。
「止まれ!何者か…アレイン戦士長!」
「役目ご苦労。マザー・エルダーへ取り次いでもらえるか?」
いろはを見て若干いやな顔をされるが、とにかくマザー・エルダーのところへ通されることとなった。
マザー・エルダーはいつも通り、泰然自若とした表情をアレインに向ける。陣幕の中には彼女ら以外誰もおらず、いつもの事ながら無用心にすぎるとアレインは歯痒く思う。
「お久しぶりです、マザー・エルダー。任務の途中ではありますが、お伝えしたい話があり、参上いたしました。」
「うむ。何か?」
「まず、先だってのノワの襲撃、あれはノワによるものではありません。」
「ほう。」
眉一つ動かさずに淡々とマザー・エルダーは返事する。
「それと、今回の出兵、いかなる目的のために起こしたものですか?いずれにせよ、またも魔女がよからぬ事を企んでいる様子、森を手薄にすることは避けた方がよろしいかと思います。どうか森へお戻りくださいますよう。」
「ふむ、魔女か。だがそれについての私の考えは異なる。」
「それは、どういう――」
アレインが真意を問いただそうとしたとき、陣幕に駆け込んでくるものがいた。棍棒や剣、弓を持ったゴブリンたちである。
「あれは!キメラでしょうか?」
「マザー・エルダー!お下がり下さい!」
いろはとアレインは得物を構え、背にマザー・エルダーをかばうように立った。
「くっくっ。こうも上手くいくといささか拍子抜けだな。」
突然マザー・エルダーが意味不明なことを口走ったかと思うと、その手から蔦が縦横に伸び、背を向けているアレインといろはを拘束した。
「マザー・エルダー!?一体何を!?」
先程までの無表情から一変して、マザー・エルダーは邪悪な笑みを二人に向ける。
「まだ気付かんか。私もキメラだよ。そこにいる木偶人形どもとはつくりが違うがな。」
アレインの目が驚愕に見開かれる。
「何だと!では、まさか!」
「ああ、多分貴様らの想像通りだ。ノワに化けてこいつを襲ったのも私、その後こいつに成りすましたのも私さ。」
「意思を持つキメラだなんて…」
アレインがはっとした表情になる。
「貴様…マザー・エルダーはどうした?」
くっくっとマザー・エルダー…改良型キメラは笑う。
「殺したあと適当に森に埋めたよ。ろくに抵抗も出来なかったようだったな。まあ、愛する森の養分になることが出来たんだ、幸せだったんじゃないのか?」
「貴様ぁ!」
「では、そろそろお前達にも死んでもらおうか。」
身をよじり、何とか蔦を抜けようとするが、敵わない。
いろはが鶴に変身して逃れようとするが、絡むようにまとわりつく蔦の隙間から出ることは出来なかった。
「きぃいいい!」
鶴のか細いからだを締め上げられ、いろはの口から鶴の悲鳴が漏れる。
「ははは、無駄だよ。ついでに言えば、人払いをしている上に音声を封じる結界を張ってあるのでな、助けは来ない。こんな結界を所持していた辺り、マザー・エルダーとやらも相当に後ろ暗いところがあったようだな。
それにしても、エルフという奴らは気持ち悪いくらいに言うことを聞いてくれたよ。全く自分で考えようとしない。そこの下等なキメラと何ら変わらん。生きているだけの操り人形だな、全く。」
「そんなことはないぞ!」
びりり、と陣幕を引き裂いて、飛び込んでくる影があった。
「来ていたのか、ノワ!」
遠巻きに様子をうかがっていたところ、音声の阻害の対象外である鶴の声で助けを求める叫びが聞こえたため、突入に踏み切ったのだった。動物と会話の出来るノワがそばにいたゆえの僥倖といえる。
「あたしだけじゃない!」
ノワに続き、数人のエルフの兵士が突入してくる。皆、アレインの部下であり、その教えを受けた者だった。彼女らが放ったスリングと短弓が偽者マザー・エルダーの手元を狙い撃ち、蔦の制御を失わせる。
「彼女達があたしをこの近くまで招き入れてくれたんだ。エルフだって、自分の意思で動くんだ!操り人形なんかじゃないぞ!」
「形成逆転だな、覚悟しろ!」
アレインと鶴―いろはが開放される。
「くそっ!キメラども、やつらを、」
「やって、ルーッ!」「ウキャー!」
ノワの掛け声とともにルーが改良型キメラの顔に飛びつく。
「ふぐっ、ぐぐぐっ!」
「マザー・エルダーのかたき!」「貴様だけは許さん!」
ノワとアレインの戦杖が喉と鳩尾を正確に貫き、改良型キメラの身体を吹き飛ばした。確認するまでもなく、死亡したことがわかる。
「聞き出せなかったが、おそらく軍を動かした目的は女王とヴァンスの戦闘に介入することだったのだろうな。未然に止めることは出来たが。」
指示を受け損なったキメラはそれ以上動こうともしない。木偶人形の悲しさをアレインはそこに見た。
「これで、私はマザー・エルダー殺しとなったわけか。こうなっては逃げるしかあるまいな。」
「戦士長、我らも連れて行ってください。」
エルフの兵士たちが同道を申し出る。
「いや、罪は私が背負う。お前達は残って――」
ドスドス、と偽マザー・エルダーの身体に矢が突き立つ。この状態の死体が発見されればアレインの単独犯に見せることはもう出来ない。
「なっ!お前達!」
「これで私たちも反逆者です。」「私たちも戦士長やノワとともに行きます!」
「戦士長!みんな気持ちは一緒です!あたしも、彼女達も!新しい世界を、誰も虐げられない世界をつくるんでしょ?」
アレインの顔に朱が差す。
「なっ!?ノワ、お前、あの時のあれを聞いて、」
「いいからみんなで早く行きましょう、ね?」「キー!」
それ以上の問答をしている暇はなく、アレインとノワ、幾人かのエルフたちは逃走を開始した。
「よーし、未来へ向かって逃っげろー!」
エルフの中に芽生えた新しい風と共に、彼女達は逃げてゆく。
そして夜。第二の舞台で幕が上がった。
「――来たみたいだね。」
エキドナがそう言うが早いか、剣戟の音が表から聞こえてくる。控えさせておいた「牙」の戦士たちが迎撃を開始したのだ。すたっ、いう音を立てて、武器屋カトレアの店兼住居内に一人の「牙」が降り立つ。
「エキドナ様!敵が来ました!」
「思ったより多いか…寝ているわけにはいかないね。」
「駄目よ。私が出るわ。」
巨人殺しとジャベリンを手に取り、カトレアが立つ。
「屋内では私は存分に力を発揮できない。ニクスもそうね。だから、家の中は貴方達に頼むわね。」
「はっ。」
「あたしも出るよ!おら、行くぞフニクラ!」
武器屋カトレアを囲む、ワーウルフやトロールといった様々なキメラと骸骨剣士たちを率いるのは、やはりアナリスタだった。
「けっ。相変わらず数は多いね。」
「城のほうに火の手が上がったのが見えるわね…念のためトモエとシズカに向こうへ行ってもらったのは正解だったけど、ボスのアンデッドが来たのがこっちとはね。」
「あちゃあ。そんじゃ、あのアンデッドはあたしが炎でなんとかしなきゃいけないのか。
――燃えろっ!」
ニクスが放った火球を合図に、カトレアが突っ込む。
「おおおおおおっ!」
カトレアの丸みを帯びた女性らしかった体に、一瞬で丸太のような筋肉が盛り上がる。
右手に巨人殺し、左手にジャベリンを持って当たるを幸いになぎ倒し進んでいく。その姿はまるで重戦車のようだった。
「ふんっ!」
ワーウルフが押し斬られ、
「たぁっ!」
リザードマンが叩き斬られ、
「おおおりゃああああ!」
骸骨剣士が一まとめに吹き飛ばされる。
「ライノセラス、突っ込め!」
鉄板の甲冑を着込んだようなクリーチャーがカトレアに向かって突進する。
カトレアは近くのワータイガーにジャベリンを投げて突き刺すと、左手と巨人殺しを持つ右手をその巨体に押し当て、突進を受け止めた。
後ろにはエキドナたちの居る家がある。避けることも退くこともできない。
ごがががが、と石畳に轍をつくりながらカトレアは押され、そして止まった。
「ふんッ!…ああああああっ!」
掛け声とともにカトレアはそのライノセラスの巨体を持ち上げてしまった。そのままほかのキメラや骸骨たちに向けてぶん投げられる。
「は、はは…すっげえ。」
近寄ろうとするキメラを火球で撃ちながら、ニクスは大陸四強の凄まじさに半ば感心し、半ばあきれた。
「ぐっ…。」
突然、カトレアがしゃがみこむ。
「やっぱり。…毒ね。」
「ご名答。使い捨て可能なキメラはこういう有効活用をしてこそ、だ。」
さっきの突進のときである。
「くそっ!汚ねえ真似を!」
前線を支えていたカトレアのパワーダウンは全体に響いた。ニクスが一人、気を吐くも次第に押され気味となっていく。
「ははっ、やっぱり寝てるわけにはいかないね。」
その声とともに、今まさに武器屋カトレアの建物を破壊しようとしていたキメラたちの額に、次々とダガーが突き立った。
「エキドナ!駄目よ無理をしては!」
「そうも言ってられないだ、ろっ!」
明らかに血の気が足りていない顔色で、蛇剣をふるいキメラの命を刈り取っていく。
その奮戦に士気も上がり、押し返すかに見えたが、
突如、だがぁん、という音が屋内から響いた。
「なっ!?そんな、地面から?ラナ…クリュンヌ!」
騒然となる建物の中から飛び出したのは、クリュンヌを抱きかかえるラナだった。
「ラナ!逃げるのよ!早く!」
位置的にラナはエキドナたちからキメラを挟んで向こう側にあり、助けることができない。ラナは逃げるしかなかった。
「行け!早く!殺されちまうぞ!」
「うっ…うっうっ…恐いよぉ…」「ほぎゃあ、ああ、」
泣きながらラナはクリュンヌを抱えて逃げた。こけそうになるがここで倒れたらクリュンヌは殺されてしまう。
「よし!私はあのガキを捕らえて人質にする!」
アナリスタの横にいたホブゴブリンが突然アナリスタにそう告げ、戦列を離れた。
「な!?キメラが喋った!?」
「早くあいつを止めないと、ラナたちが捕まってしまう!」
「ちくしょう、どけ、どけよ!クリュンヌ――!」
懸命に子供達を救出に向かおうとするが、キメラの壁に阻まれて先へ進めない。
懸命に逃げるラナの後ろからホブゴブリンが追いかける。
「ふぐっ…うっうっ…お、お母さん…」
「ぐはははは!捕まえたぞ!」
その手がラナにかかろうとしたそのとき――
「ホ――リィ――ダ―――イブ!!」ぐしゃっ!!
前方から超スピードで突っ込んできた物体に一瞬でホブゴブリンは吹き飛ばされ、壁に激突して肉片になった。
「あたしの庭で随分と勝手なことしてくれるじゃない!いいこと、この地上の美男子、美少年、美青年から美丈夫、ロマンスグレーのおじさままで、いい男はみ――んなあたしのもの!将来いい男になりそうな子供もそれに準じるわ!それに手を出そうなんて、この大天使ナナエル様が許さない!」
ばーん、と言い放ってラナを、ついでにクリュンヌを抱き上げる。
「ナ、ナナエルお姉ちゃん…」
「ふふん、どう、恐れ入った?感謝するなら10年後くらいにあたしに返しに来なさい!」
「うええええん!」
限界が来て、声を上げて泣き出したラナの背中をポンポンと叩いてやる。
「ああ、よしよし、頑張ったね。さすが男の子。」
「ナナエル!助かったよ!恩に着る!」
「ああ、ラナ、良かった!」
突然降って湧いた救援に、母親達は胸を撫で下ろす。
「くそっ!止むを得ん、ひとまず退かなければ、」
「どこへ退くというのです?」
「なっ、何!?」
「「ヒノモト式両断蹴り!!」」
「ぐはぁ!」
アナリスタにトモエとシズカの蹴りが左右から決まった。
「天魔…覆滅!」
トモエの刀が閃き、アナリスタの身体が袈裟懸けに斬られ、ずり落ちて事切れた。
「ああ良かった、ラナ、ラナ…トモエ、向こうは片付いたの?」
ナナエルからラナを受け取り、抱きしめる。カトレアの目の端に涙が光った。
「ええ、あちらを襲撃した者達は私たちと「牙」で倒しました。どうやら向こうはあくまで混乱を起こすことが主目的で、こちらが本命だったようですね。ですが、不可解なことがあります。」
「ああ、そうみたいだね。」
アナリスタの死体を見て、トモエは断定した。
「この者、アンデッドの類ではありません。」
「それに、キメラの中に明らかな知性を感じさせるものが混じっていた。なら、こいつもアナリスタを装うキメラだったってことか。今回の魔女の舞台装置はこいつらか。」
「やっかいね。じゃあ、メローナとほとんど変わらないってことじゃないの。…でも、メローナみたいに変身はしなかったわね。出来ないのか、時間がかかるのか?どっちにしても、密偵や工作員としてこれほど恐ろしい相手もいないわ。」
「メローナさまはこいつに気付いていらっしゃるだろうか?心配だな。誰かに伝えてもらわないと。」
一同がナナエルを見る。
「え?え?なによあんたたち。言っとくけどあたしはやんないわよ。メスザルの使いっぱしりなんて高貴なる天使の仕事じゃないわ。ごめんだからね。」
「ナナエルさん、ナナエルさん、こっちこっち。」
シズカの声にナナエルが振り向くと、そこには涙目の上目遣いでナナエルを見つめるラナが居た。
「ナナエルお姉ちゃん、お願い…だめ?」
「うっ。」
「だめ?」
「……しょうがないわね、わかったわよ!シェルダンスまでひとっ飛び行ってくればいいんでしょ!」
言うなり、ナナエルはシェルダンスに向かい羽ばたいていった。
「シ、シズカお姉ちゃん、これでよかったの?」
「ん~、上出来上出来♪」
「よっしゃ、ラナお手柄!そんじゃ、あたしたちは休むとしますか、って、あれ…」
「エキドナ!」
緊張が切れ、限界に来ていたエキドナが倒れそうになるのをカトレアが支える。
「もう、無理しすぎよ。」
「あんたこそ、解毒を急ぎなよ。はは、メローナたちは大丈夫かねえ…」
第2部クライマックスに向けて動き始めました。
自ら濡れ衣を着てエルフと決別するアレイン、それについて行くことを決めるエルフ達というのは第1部から書きたかったシーンです。
マザー・エルダーという人物は決して悪人ではなく、為政者としても無能ではないのですが、この話では古き時代の象徴としてこういう死に方をすることになってしまいました。
エルフについては、第3部でのアレインやノワの話でも触れたいと思っています。
いつの間にかPVが150000を超えていました。やはり閲覧数と感想が続きを書くエネルギーです。これからも精進していきますので皆様今後ともよろしくお願いいたします。