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No.4438の一覧
[0] 色欲のルルーシュ(CodeGeass ※壊れ)[鈴木 可翔式](2009/12/05 21:19)
[1] 色欲のルルーシュ~プロローグ~ 『バカ が 生まれた 日』[鈴木 可翔式](2008/10/14 20:35)
[2] 色欲のルルーシュ Return01『覚醒 の 白き 魔女』[鈴木 可翔式](2008/10/16 18:10)
[3] 色欲のルルーシュ Return02『弟子入り の クラスメイト』[鈴木 可翔式](2008/10/16 18:12)
[4] 色欲のルルーシュ Return03『ライフ は ゼロ』[鈴木 可翔式](2008/10/22 19:04)
[5] 色欲のルルーシュ Return04『皇女 と 痴女』[鈴木 可翔式](2008/10/22 19:10)
[6] 色欲のルルーシュ Return05『新たなる 仮面』[鈴木 可翔式](2008/11/02 20:59)
[7] 色欲のルルーシュ Return06『ギルフォード を 撃て』[鈴木 可翔式](2008/11/19 22:03)
[8] 色欲のルルーシュ Return07『黒 の 既視感』[鈴木 可翔式](2008/11/23 20:54)
[9] 色欲のルルーシュ Return08『リゲイン』[鈴木 可翔式](2008/12/05 22:28)
[10] 色欲のルルーシュ Return08.5『仮面 の 新事実』[鈴木 可翔式](2009/01/06 10:37)
[11] 色欲のルルーシュ Return09『モニカ 来る』[鈴木 可翔式](2009/12/05 21:21)
[12] 色欲のルルーシュ Return???『FLUKE REBELLION ~1~』[鈴木 可翔式](2010/05/29 19:33)
[13] 色欲のルルーシュ Return10『ナリタ 逃亡戦』 加筆分追加[鈴木 可翔式](2010/05/30 10:21)
[14] アーニャのブログ1[鈴木 可翔式](2011/03/21 21:54)
[15] アーニャのブログ2[鈴木 可翔式](2011/03/21 21:56)
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[4438] 色欲のルルーシュ Return06『ギルフォード を 撃て』
Name: 鈴木 可翔式◆ecc40991 ID:11fd1fa6 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/11/19 22:03


 私は生まれが貧しかった。
ブリタニアと言う、世界最大の富と権勢を誇る国に生まれながら、―――いや、だからこそなのだろう。
巨大国家故に、より顕著に生じる格差社会の最底辺で、皇族、貴族と呼ばれる者達の華やかな暮らしぶりを羨みながら私は育った。

 国是と掲げられた『弱肉強食』が、貧しさを助長する。
力無き者には死を。皇帝陛下が語るその言葉通りに同じ生まれの者たちが、次々に命を失っていく。
地獄にも似た飢餓と貧困の中で、どうにか死なない様にと、その思いだけで生きる日々。
そんな毎日の暮らしが、私の胸の内に形作ったのは、強く歪つな上昇思考だった。
生まれや、『弱肉強食』と言う掟が、私を、家族を苦しめると言うのなら、逆にそれを利用してやれば良い。
力を得て、力無き者を淘汰する側にさえ成れたなら、この苦しみからも解放される。
そうしていつか、幼い頃羨みながら見やるしか出来なかった、貴族と呼ばれる者達の位へと上り詰めるのだ。
騎士候などと、所詮は一代限りしか位の保証されない地位ではなく、家格を世襲する事の許される本当の貴族位へ、と。

 その想いだけで軍へと入り、武功と言う手っ取り早い昇進の糸口を一つずつ手繰り寄せながら、やっとの思いで掴んだ肩書き。
それが、純血派所属の騎士候、ヴィレッタ・ヌゥと言う今の地位だった。

 そう、この地位は何年もかけてようやく掴んだ貴族への足掛かり。
これからだったのだ。私の貴族へと成り上がる道は…。

 けれど、その地位が今、足場から崩れさろうとしている。
始まりは、クロヴィス殿下が殺害されたシンジュク事変の折、記憶の欠落と共にKMFを奪われたあの日から。
若手将校であり、軍でも有望株と目されていたジェレミア卿について、エリア11の代理執政の一端を担う立場になったのも束の間、突如現れたゼロと名乗る仮面の男のせいで、純血派は失脚。その後起こった純血派内での抗争。
貴族への足掛かりになる筈だった組織と仲間は、私を含め皆、瀬戸際に立たされている。
全てがただ一人のテロリストによって狂わされてしまった。


 このままでは終われない。
新しくエリア11の総督へ就任されたコーネリア皇女殿下指揮の下、サイタマ・ゲットーを壊滅する為に敷かれた布陣の一角で、私は心を決める。

 シンジュクと似たこの状況。
当事者たちの記憶の欠落でリンクするジェレミア卿のオレンジ疑惑とシンジュク事変。
ならば、シンジュクで私からKMFを奪ったのも間違いなくゼロだ。
故に、シンジュクと同じ状況を作ったサイタマ・ゲットーにもヤツは来る。
いや、来い。

 幸い、副総督となられたユーフェミア皇女殿下の取り成しにより、純血派が完全なる閑職に追い込まれる事は防がれた。
程度は今まで以下とは言え、行動を許可されているのならば、ゼロを討つ機会も必ず回ってくる。


 私には、今までに得た地位も名誉も失って、また幼い頃に味わった地獄へと叩き落とされるなど、容認できない。
この窮地を脱っし、必ずや今以上の地位へとのし上がって見せる。
その為にはゼロを、あの全ての原因となった仮面の男を、必ずやこの手で仕留めて見せる!


 だから早く、早く姿を現せ、ゼロ!








色欲のルルーシュReturn06 『ギルフォード を 撃て』






 クロヴィス国葬日4ページ目

 どうするべきだ?
目の前には咲世子。
相対するのは、仮面を被ったままの私服な俺。
このままでは、あまりに沈黙が痛い。

 いま巷を騒がすテロリストの仮面を被ってバカ笑いしていたのを見られたのは確実。
俺=ゼロと判断される情報が、咲世子を通じてナナリーやアッシュフォードに流れたら、現時点では非常にマズイ。
ともかく、無理でもなんでも誤魔化すしかないだろう。
なに、俺の頭脳があれば乗りきれる筈だ!

そうと決まれば、まずは第一の策。
『ルルーシュ・ランペルージなど知らぬ存ぜぬ!俺は偶々ここにいたテロリスト!』GO!
私の名は、ゼr「ルルーシュ様?」………失敗。当然か。
仕方なく仮面を脱ぐ。
あぁ、解っていたさ、無理がありすぎることぐらい!しかし天然な咲世子ならどうにかなると信じたかったのに…!

 えぇい、策はまだある!第二策、『経緯は省くが、今流行の仮面を拾ったんで、思わず童心に還ってしまったんですよ。ははは、でも見られてしまうなんて。恥ずかしいんでこの事は誰にも言わないで下さいね』GO!
咲世子さん、実h「わかっています、ルルーシュ様」え、咲世子さん、なんですか?そのイイ笑顔?わかってるって何が?
「貴方は疲れていらっしるんです」って、まぁ、ゼロと学生の二重生活に、C.C.達の相手で、確かに疲労はあるが。
「未だ学生の身で、ナナリー様とお二人での生活は、さぞ苦労も多かったことでしょう」って、いや、ナナリーとの生活に俺が感じるのは苦労でなく至福―――「そのせいで心が…」、…は?

 もう耐えきれないとばかりに、ハンカチを取りだし目尻を拭う咲世子。
「なんて、お痛わしい」とか、待て!
只でさえ、心を患った可哀想な子扱いは我慢ならないと言うのに、なんか『労しい』のニュアンスまで違っただろ、いまッ!?
咲世子!それなりに長い間を共に暮らして来たと言うのに、お前というヤツは、俺の人間性をどんな風に認識しているんだ!?
クソッ!咲世子の天然が、これ程とは!
このままじゃ、ナナリーにゼロの正体が知られるよりもっと最悪な話を吹き込まれかねない!
おい、天然メイド!いつまでも泣いているんじゃない!泣きたいのはコッチだッ!!

 何?「今日はもうお休みになって下さい。明日然るべき病院に…」とか、こ、この!
いいかッ、よく聞け!俺は………!




 クロヴィス国葬日5ページ目

 …やってしまった。
この後悔は一体何度目だろうか。
やり直してからこっち、以前より性欲を強固に感じる様になったのは自覚しているが、それに付随して感情にも蓋がしにくくなってきている気がする。

 が、自重せねば、と思っても今回は既に後の祭りだ。
喋ってしまったのだ。
俺の本当の経歴。今まで味わった辛酸。父への隔意。ナナリーへの愛。その結果としてあるゼロとしての立志。
だから俺はブリタニアをぶっ壊す!わかったか!!と、締め括ったところで我に返ったが、もう遅すぎる。
やり直し云々はいくら激昂していても、口から飛び出なかったのが、せめてもの救いか…。

 ちらりと咲世子を伺ってみれば、えらく驚いた様子。
まぁ、そうだろうな。さて、ここまで来ると誤魔化すも何もないが咲世子はどうでるか?
この時点で俺がこんな事言っても協力者となってくれるかは―――あれ、拍手?
………ひ、跪いて、どうしたんですか、咲世子さん?
えっと、「その志、感服いたしました。この篠崎咲世子。メイドとして、忍として、お許し頂けるならば、これよりルルーシュ様個人にお仕えしたく思います」って、コレはどうとればいいのか?
前回、ジェレミアと並んで忠臣の筆頭だった咲世子だが、もしかして、この時点でも結構好感度的なものが高かったのだろうか?

 些か考えていたリアクションとは異なる事に動揺しながら、かろうじて、許す。と応えた。
俺の返答を受け、咲世子は立ち上がり笑顔。
まぁ、誤魔化せはしなかったが、良い方に事が進んだのだから喜ぶべきか。
そう思い直し一息。
く、これでナナリーに有らぬ誤解を受ける事がなくなったと思う安堵で涙腺が…。

 人前で涙など屈辱だ!
急ぎ手で顔を隠し、咲世子へ背を向け―――ようとしたところで、頭を胸に抱き込まれた。
何故だ?と思う前に聞こえてきたのは、「お泣き下さい」と言う柔らかな声。
続いて、「貴方はそんなにも辛い決意を抱え込んでいたのですね?」とか言われたが、ん?涙の理由を勘違いされている様な。
しかし、なんだ?この心の落ち着きは?
俺の究極の女性像はナナリーなのだから、俺は歳下好みの筈。
なのに、咲世子の胸といい、この前の井上との通信といい、非常に癒される。
やはり歳上も良いなぁ。
追い打ちで、「これからは少しでも私をお頼り下さい」とか、優しげに頭を撫でられては、もう辛抱堪らない。
胸に抱かれたままの形で見上げれば、魅力的なお姉さんスマイルな咲世子の顔があって、―――さ、咲世子さんッ!!


 ………また自重出来なかったが、俺は悪くない。
咲世子との行為途中、最初可哀想な子扱いした事のお仕置きと称して色々調子に乗りすぎたかとは思った。
が、咲世子だって「い、いけません、ご主人様!」とか、ノリノリだったし。
うん、俺は悪くない。
と言うか、最高だメイド。

 事の後、今回はまだ咲世子にギアス未使用なのを思い出したが、まぁ、それも結果オーライというやつだろう。
寧ろ、考えれば考える程に反逆序盤での咲世子仲間入りは旨味が増す。
変装術を駆使した影武者としてサポートを任せられるし、反則的な体術はナナリーを護って貰うに、相応しい。
そして、歳上でくの一なハイスペックメイドの参入は、夢の4Pへの条件すら全てクリアしたも同然!

 く、クハハハ!これだ!これでこそやり直した意味があると言うもの!
待っていろ、ブリタニア皇帝!
お前の野望を打ち崩す日に、俺はまた一歩近づいたッ!




 クロヴィス国葬日6ページ目

 と言う訳で、深夜俺の部屋に集まり、俺達の新しい仲間、咲世子をC.C.とシャーリーに紹介。
因みに咲世子だが、俺達の関係をなんとなく察していたそうだ。
既にC.C.とは食卓で何度か顔を合わせていた上、毎日毎日シーツ等が洗濯に出されていては、それも当然だと、己の迂濶さに気付く。
咲世子が主人のプライバシーを吹聴してまわる様なメイドで無いことは信じているが、何の拍子にナナリーに話が流れるか解らないのだから、本当に危なかった。
そうなる前に咲世子が仲間になってくれて、良かったと安堵。

 そんな俺の隣で、二人に頭を垂れ挨拶する咲世子。
C.C.は「そうか。よろしくな、咲世子」とピザを食べながら返事を返し、シャーリーも、咲世子に返事を…、って、あれ?な、何故そんな涙目で俺を睨むんだシャーリー。
「ルル、まさか咲世子さんにも手をだしたの?」って、あぁ、…その、だ、駄目か?

 返答は、速やかに飛んできた顔面へのピザだった。
どうやら、手近にあったモノを咄嗟に投げてしまった様で、「あぁッ!私のピザぁ」なんて魔女の声が聞こえて来たが、はっきり言ってそれどころじゃない!チーズが!熱したチーズが顔にッ!
漸くカレンに殴られた頬がマシになって来たと言うのに、今度はピザで火傷とか、呪われているのか、俺の顔面!?
それに魔女!だからベッドの上でピザを食べるなとあれ程…!た、助けて咲世子ッ!ち、チーズを、チーズを取ってくれ!はやくっ!!

 迅速に対処してくれる咲世子に感謝しつつ、聞こえてくる声に意識を向ける。
「ルルのスケベ!もしかしてこれからも増やす気なの!?」とか、「そんなコトよりシャーリー!よくも私のピザを!」とか。
4Pまでの道程が遠退くのをまざまざと実感させられて、溜め息。

 ………どこで見誤まったと言うんだ、俺。






 作戦準備期間1ページ目

 あれから二日。
学園の廊下を目的地へと歩きながら回想する。

 咲世子が仲間に加わった日、達成は困難かと危ぶまれた4Pは、なんとその日の内に叶えられた。
ピザの報復と称し、シャーリーに襲い掛かったC.C.に、流石我が共犯者!と便乗する形で、俺と咲世子も乱入。
混戦にもつれ込んだ中での、俺の性技ある、いや、誠意ある説得が実を結び、シャーリーからの許しを貰えたのである。
C.C.から「今からそんな風に嫉妬していては、これからが大変だぞ?」なんて諭されて、「でも私、やっぱりルルの一番になりたい」とか、切ない声で呟いたシャーリーを前にしては、俺も理性のリミッターを外さざるを得なかった。

 そんな訳で、都合三人もの美女を相手にハッスルすれば、一夜の天国を味わう代償として、その後襲ってくるであろう腰痛などの地獄も覚悟していたのだが、そこには嬉しい誤算。咲世子の持つスキルの一つ、名を房中術。
スーパーくの一の名は伊達ではなく、文献などでしか知らなかったそのスキルを惜しみ無く駆使してくれたお陰で、三人を相手取った後にも俺は気力充実。
爽やかな朝を迎えられた時の感動は筆舌に尽くし難かった。

 メイドとして奉仕のエキスパートでありながら、くの一としても色事のスペシャリストな咲世子。
仲間としてと同時、良き夜の好敵手としても認めざるを得ない逸材だ。
その咲世子の的確な処置のお陰で、ピザによる火傷も極々軽度なもので済んだしな。


 ―――む、思い返しながら歩いている内に、目的地に着いたようだ。
歩を止めた場所は、アッシュフォード学園の理事長室前。
この部屋に赴く理由は、理事長から直々に呼び出しを受けたからだ。
しかし、前回はこの時期に呼び出しなど受けた記憶がない。
今日は、一部機能不全が発覚し修理に出した新・ゼロ仮面を引き取りに行く予定なんだが、いったい何の用件だ?




 作戦準備期間2ページ目

 入室を許可され入った理事長室には、部屋の主であるルーベン・アッシュフォード。
アッシュフォードの理事長であり、会長―――ミレイ・アッシュフォードの祖父。
かつては、ブリタニアの公爵であり、ヴィ家の後見を務めていた老人。
母マリアンヌの死を切っ掛けに爵位を奪われ本国を追われた身の上でありながら、今でもこうして俺とナナリーを学園に匿ってくれている恩人でもある。
そんな恩義ある彼の呼び出しだからこそ、俺も素直に応じた訳だが…。

 本当に何の用件だろうか?
目の前に座すルーベンは、ミレイとの血の繋がりを強く思わせるいつもの好々爺然とした態度ではなく、凋落したとは言え元大貴族の当主であるに相応しい威厳を湛えて、俺を見据えている。
こんなルーベンを見るのは久しぶりだ。まさかとは思うが、俺の行動を察知されているのか?
それならば、ギアスをかけるしかない…、と思考を巡らせていると、ルーベンが重々しく口を開いた。

 「…殿下」―――耳を疑う。そう呼ぶと言うことは、今ルーベンは俺を一学生のルルーシュ・ランペルージではなく、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとして、話をしようと言うことだ。
理由は分からねど、益々警戒を強める俺に、ルーベンは質問してきた。

 「篠崎咲世子を召し抱えたと御聞きしましたが、誠でしょうか?」と。って、は?
咲世子?いや、召し抱えたと言われれば、そうなのだろうが、理事長、アナタはそれを誰に?
「篠崎本人から話をされました。殿下自身の口から、元皇族である事もお話されたとか」って、なぜ咲世子はそんな黙っていれば済むような事をルーベンに話したんだッ!?
おいルーベン!「殿下も再び他人を信頼できる様になられたのですね?」とか、嬉しそうに頷いてないで、その事を詳しく話てくれ!
咲世子が余計な事まで話していたら一大事だ!


 ………なんと言うべきか。
ルーベンから聞くに、経緯はこうだ。
俺に忠誠を誓ってくれた翌日、咲世子は元々の雇用先の主であるルーベンに、律儀にも俺に仕えるようになった事を報告しにきたらしい。
なんでも、ルーベンは俺とナナリーがどう暮らしているのかを密かに気にしてくれていたらしく、雇われていた咲世子には、俺とナナリーの暮らしぶりについて報告を頼んでいたそうだ。
もちろん、俺達に何か異常があれば、直ぐ様対処できる様に、と言う意味も込めて。
が、俺個人に仕える事になった以上、おいそれとルーベンに報告を続けるのは、俺への背信と判断し、ルーベンにその旨を伝えたとの事。

慌てたのはルーベンだ。
俺個人に仕えるようになった理由を咲世子は黙して語らなかったらしく、いくら優秀で信用の篤いメイドとは言え、名誉ブリタニア人、しかもイレブンである咲世子が俺達の素性を知ればどうなる事か、と。
しかし、焦りつつも問い詰めた咲世子の口からでたのは、俺本人から本来の素性を聞いた、と言う言葉で。
それを知った上で俺に仕えると言う咲世子の言にも虚偽を見つける事は出来ず、それ以上に日本に送られて以来、頑なに他人に心を開かなかった俺が、誰かに信頼をおいた事に喜び、ルーベンは咲世子の話を受け入れた、と言う。
今日俺が呼ばれたのは、一応の確認の為だったそうで、裏付けが取れたルーベンは、さっきから「良かった。良かった」と、相好を崩している。

 俺はと言えば、咲世子が反逆の事まで洩らしていないか冷や汗モノだった。
話を聞き終えた後は、いくら天然に過ぎる咲世子とは言え、そこまでは無いかと一安心。
もっと咲世子を信じてやらねば。と思いながら、用は済んだであろうルーベンに一礼し背を向ける。
では、理事長。俺はコr「そう言えば、もう一つお訊ねしたいのですが…」―――まだ、何かあるのか?

 訝しく思い振り向けば、会長が悪巧みを思い付いた時そっくりの顔をしたルーベンがいて。
「二人程、女性を囲っているそうですな、殿下?」って、ブフゥっ!
るる、る、ルーベン!誰からそんな馬鹿げた話を!?
笑みを深くしたルーベンから返ったのは、「いえ、これも篠崎から耳にしまして。毎晩お励みのようですな」と言う解答。


 咲 世 子 !!


 信じた俺がバカだった!と言うか、頼むよ忠臣!

 恥じ入る俺を見て「いやお若い」とか、「殿下も年頃の男だったと言う事ですなぁ」なんて、それはそれは楽しげに呟いているルーベンだが。
き、気まず過ぎる!擁護を受けてる立場で毎晩女を取っ替えひっ替えって、客観的にみたら最低じゃないか!
くっ、二人いると知れているから、恋人です!なんて主張も通じないだろうし………。
と、とにかく何か言い訳するしかないだろう、と口を開く。

 違うんです、理事長!これには深い訳が―――「良ろしければ、ミレイも加えてやってくれて構いませんぞ」、…ん?ミレイ、会長?
…。
……。
………い、良いのか?
いや、将来的にはもちろんそのつもりだが、ルーベン、それは…。
「アレも、隠してはいますが殿下を慕っておる様ですし、私も、親に決められた望まぬ婚姻に悲しむ孫娘はみたくない」って、理事長、アナタと言う人は、なんて孫想いな!

 そうか、やはりミレイは俺を慕ってくれていたのか!
そうとわかれば遠慮はいらないな!ルーベンから婚約をブチ壊す大義名分も与えられた事だし、近く控えた作戦が終わり次第、あのおっぱい、―――いや、ミレイに想いを伝えるとしよう!
「おや、殿下も乗り気になって下さいましたか?」って、当然ですとも!
ミレイは必ず俺が幸せにしてみせます、理事長、いや、義祖父さん!!

 ニヤリと笑うルーベンに、同じくニヤリと笑いを返し、俺は今度こそ理事長室を後にした。






 作戦準備期間3ページ目

 ルーベンの呼び出しから更に数日後。
前回の記憶から予測される作戦決行日を前日に控え、俺が足を運んだのはサイタマ・ゲットー。
この日までに完成が間に合ったゲフィオンディスターバーの設置を、扇達の協力の下進める為だ。
最初は、現地のヤマト同盟に協力を依頼しようかとも思ったが、僅かばかりの信頼も築けてない彼らを頼って、作戦を破綻させるのも癪だ。
そんな判断から、扇グループに連絡を入れたところ、二つ返事で色好い返答を貰い今に至る。

 指示通りに快く働いてくれる扇達。
やはり前回よりも心象は良い様子。
まぁ、幾度か行った通信からそれなりに好印象を得ていると察してはいたが、前準備だけでなく、当日も作戦に協力したいとまで言ってくれた時には流石に驚いた。
騎士団結成の為のメンバーを不測の事態で欠いてしまうリスクを考え、その提案は断らせて貰ったが、信頼はされているに越した事はないだろう。

 しかし、現地に集まった扇グループの面子に玉城がいるのはどういう事だ?
アイツ、この前瀕死の重症を負ったばかりの筈。
大方、仲間外れが嫌で付いてきたという感じだろうが、全身ギブスでもそれを成す根性には素直に感心する。
結局、ただ喚いているだけで役立たずなのは変わらないが、―――ヤツの評価を少し改めるべきかも知れん。

 それともう一人、当然の如くいるカレン。
俺個人としては今回人手も足りていたし、彼女には学園で生徒会メンバーと親交を深めて貰う方が優先と考えた為、通信で不参加でも構わないとそれとなく打診したのだが、やはり反ブリタニア活動の方が大事という事か。
当然と言えば当然なんだろうが、出席日数を気にしてくれる程度には、早く学園がカレンにとっても大切に思える場所の一つになって欲しいとも思う。

 因みに、同じく此処にいる俺はと言えば、さっそく影武者咲世子の力を借りている。
彼女がメイドとしての仕事と、俺の影武者としての任を両立してくれているお陰で、ここ数日はいつもなら学園にいた時間を反逆準備に回す事が可能になった。
そうやって作った残りの時間も、ナナリーや他の女達へのアプローチに費やせて、とても助かっている訳だ。

 唯一あったのは、俺となった咲世子が無駄なフラグ乱立能力を発揮して、俺の意中の女以外にも大量にイベントを発生させてしまう懸念だが、それも事情を知るシャーリーが良い具合にストッパーになってくれている様だし。
端から見れば、一番苦労している筈の咲世子が影武者学園生活を楽しんでいるのだから、特に問題もない。


 ん?なんだ井上。すまない、考え事をしていた。………設置が完了したのか?
「そうじゃないんだけど…」って、何か言いにくい事でも、………いや、みなまで云うな。
その潤んだ目、上気した頬。
こんな時の女がナニを求めているか察せる位には、俺も成長している。
他のメンバーを働かせてと言うのは心苦しいが、新・ゼロ仮面の機能テストも兼ねて、コチラから相手願いたいくらいだったのだから!
さぁ、場所はそこら辺の廃墟しか無くて悪いが、早速いたそうじゃないか井上!


 数時間後、ゲフィオンディスターバーの設置は完了し、動作も良好。
明日への布石も万全となり、解散と相成った。
ただ一つ、キスをせがむ井上に押し切られ仮面を脱がされた為、仮面の機能テストを行えなかったのが、残念でならないかったが。

 ………まぁ、目隠しプレイという新たな境地を拓けただけ良しとするか。







 サイタマ・ゲットー壊滅作戦当日1ページ目

 義姉上との最初の戦いの時が来た。
やはり前回と同じく、ゼロを誘うかの様に流された情報を確認し、俺はサイタマへの出立の準備を整える。

 よし!では行ってくるぞC.C.!
意気込む俺に返ってきたのは、どうでも良さそうなC.C.の返事。
………おい、魔女。お前の共犯者がこれから戦場に赴くと言うのにその態度はどうなんだ?
「心配して欲しいのか、坊や?」って、そ、そうではないが、前回はお前、俺を止めたじゃないか。
いや、「止めれば行かないのか?」とか言われると逆に困るんだが、何か納得いかないというかだな。

 ふん、まぁ良い。とにかく行ってくるぞ!
何?「いつワイアードの介入があるかも知れないから、油断だけはするなよ」って、何だそのワイアードというのは?
ふむ、「ワイアード(繋がりし者)だ。まぁやり直してるヤツがみんなCの世界でお前とヤった女と言う仮定が正しければ、便宜上そう呼んでも差し支えないだろう」だと?
む、確かに、性行為=繋がる。だし、ワイアードと呼称してもおかしくはないか。
すると、今のところシャーリーやユフィがワイアードな訳だな?
まぁ、中々のネーミングセンスだと褒めてはやるが、C.C.、それなら余計に俺が心配だったりは―――「私は今回は助けに行かん」って、くッ!勝手にしろ!
大体、ワイアードとやらの介入なんてそうそうある筈がない!お前などいなくても、俺は事を成してみせるさ!
それに俺にはこの作戦が終わったらミレイに想いを伝えると決めているんだ!何かあってなど堪るものか!
そうだ、何人たりともこの俺の邪魔などさせない!ふハ、フハハハハッ!

 と言うことで、俺はサイタマに行く!
じゃあな、C.C.!


 部屋を出る直前、「お、おい、ルルーシュッ!それは死亡フラグだ!」なんて魔女の声が聞こえたが、俺は意に介さず扉を閉めた。
最初から心配してくれるなら可愛げもあると言うのに、今さら焦ったところで遅いんだよ、C.C.!




 サイタマ・ゲットー壊滅作戦当日2ページ目

 到着したサイタマ・ゲットーは、やはりシンジュクと同じ布陣が敷かれていた。
ブリタニア兵に問答無用に殺戮されていくゲットーの住人達。
自らも撃たれる覚悟を持つ故の冷酷さなのだろうが、コーネリア義姉上も相変わらずだな。
もしやユフィが阻止してはくれまいか、とも期待したが、恐らくは作戦自体聞かされていないのだろう。

 ヤマト同盟には、前もって匿名で今日ブリタニアが行う作戦を示唆してはおいたものの、それもあまり意味はなさなかった様だ。
名も知れぬ誰かの言葉など、聞くに値しないと取られでもしたか。
かと言って、前日からゼロの名で危険性を聞かせて回るリスクを負う訳にも行かず、俺としても苦肉の策だったのだが…。

 やり直しているからこそ、出ると知っている犠牲を見過ごす事への罪悪がある。
しかし全てを救けられるという考えなど、自惚れも良いところだ。
殺害されていく人々を目に写しながらも、改めて大事な人との未来の為に、己がエゴを貫く覚悟を決める。


 軍服を来た俺の背後にKMFが降り立った。
さぁ、始めようか。
まずは寄越せ、お前のKMFをッ!




 サイタマ・ゲットー壊滅作戦当日3ページ目

 作戦は、計画通りに推移している。
ゼロとしてヤマト同盟へ連絡を取り指揮下へと入れ、ブリタニア軍をそれなりに撃破。
シンジュクと同じ展開に、ゼロの存在を感じ取ったであろう義姉上がゲットー外苑まで軍を退かせるのも、前回通り。

 俺はと言えば、退いていくKMFには混ざらずに、幾つか設置しておいたゲフィオンディスターバーの近くに位置取り、時を待つ。
やがて、引いた軍に代わる形でゲットーに進撃してきた、ギルフォード機を含む三体のグロースターを確認し、自機の識別信号を回復させる。
案の定、こちらに向かってくるギルフォード達を見て、俺は勝利を確信した。

 ククク、義姉上。残念ながら今回俺は貴女の事を撃とうなどと思ってはいない。
キングであるこの俺を狙う貴女と、端からナイトであるギルフォードを目的としていた俺。
まして、俺は最初から流れを知っているのだから、ゲームにすらならないのも当然の事!


 目前に迫ったグロースターを視認しゲフィオンディスターバーを起動する。
『な、なんだ、これは!?』などと、ギルフォードの驚愕声がオープンチャンネルで木霊した。
流石に第7世代機であるランスロットを動かせなくするには、まだ出力不足は否めないが、グロースター程度ならこの通りだ。

 こうなってしまえば、機体性能も操縦技術も関係ない。
機能停止に追い込まれたグロースターに照準し、銃撃。使いものに出来なくする。
それなりの怪我は負ったろうが、死んではいまい。
さて、後は速やかにギルフォードを拘束し、既に確保してある退路を使い、この場から撤退するだけだ。
ギルフォードの処遇は、同じく撤退させるヤマト同盟を介してキョウト六家にでも献上しよう。
ギルフォードとて、帝国の先槍とまで呼ばれた男。キョウト六家―――ひいては、神楽耶との関係構築の良い架け橋となってくれる筈だ!

 フハハハッ、すまないなギルフォード!前回お前にはフレイヤの爆発から逃がして貰った恩があるが、だからと言って義姉上攻略の最大の障害を見逃す訳にはいかないんだよ!
今まで卿が義姉上に建てたであろうフラグは、この俺が全てヘシ折らせて貰う!!

 フッ、しかしC.C.め。ワイアードだのなんだの不安を煽ってくれたが、結局何も無かったじゃないか。何が死亡フラグだ。
こんなところに何時までもいても仕方がない。さっさとギルフォードを回収して―――ッ!

 グロースターに近づいた直後、俺のサザーランドの前に、ハーケンが突き刺さる。
ハーケンだと!?何処から!
索敵するまでも無く、現れたのは、数機のサザーランド。
クソッ、事ここに至って邪魔をするとは、どこのどいつだッ!?

 いや、今は所属などどうでm『ゼロォオーーーッ!!』って、まさかこの声は!?『うるさいぞ、オレンジ!』………やはり、そうか。
現れたサザーランドは全機、ショルダーアーマーを紅くした純血派仕様の機体。
この時点で純血派が動く許可を与えられているだと?誰の差し金………って、考えるまでもなくユフィか、ハァ。
しかし、ジェレミア。俺のせいとは言え、部下にまでオレンジ扱いとは、お前というヤツは本当に―――って、違う!いま俺が考えねばならないのは、どうやってこいつらを退けるかだ!

 ―――まぁ、策を考える以前に包囲されいる訳だが………えぇい!いいだろう相手してやる!
機体性能にさして差がないのなら、数がいると言っても所詮は純血派の噛ませ犬!
一応はダモクレスの最終決戦まで戦い抜いた俺が、負ける訳がない!たぶん!

 ヤマト同盟、ゲフィオンディスターバー、使える全てを駆使して、この俺が直々に退けてくれる!!




 サイタマ・ゲットー壊滅作戦当日4ページ目

駄目だった。
今日の教訓、純血派ナメるべからず。
俺が最終決戦まで戦えたのは、やはり搭乗していたKMFの性能のお陰だったらしい。

 ゲフィオンディスターバーは破壊され、ヤマト同盟もやられた。
純血派の機体も幾つかは撃破したが、エース級は未だ健在。

 と言うか、前回はあっさり脱落してくれたんで軽く見ていたが、純血派とはこんなにも厄介だったのか!?
ジェレミアのあの強さも、てっきり改造人間化後のモノかと考えていたが、生身状態でも相当の動きを披露している。
良い動きをしている機体で撃破できたのは、ヴィレッタの駆るサザーランドくらいだ。

 そんな状況故、万策尽きて必死にサザーランドで逃亡する俺を追撃する二機の機体。
後ろからオープンスピーカーで『ゼロ!このジェレミアと闘え!』とか『黙れ、オレンジ!ゼロはこのキューエルが!』とか、聞こえる通り、デヴァイサーはジェレミアとキューエルの二人。
何故いまの時点で俺=ゼロと判断しているかは解らないが、どうせ残った最後の一機だからとか、そんな理由だろう。
ジェレミアは個人的な情から、キューエルはヤツの妹に恨まれる恐れから相手し辛い。

 どうにか上手くやり過ごす手は―――と、考えている内に、とうとうランドスピナーを破壊された。
それを好機と、叫びながら突撃してくるジェレミアとキューエル。
クッ、俺はナナリーと結婚するまで死ぬ訳にはッ!

 愛の為、目前に迫る死にどうにか抗おうと頭をフル回転させるが、この状況では!
『いたぞ!ゼロだッ!』―――と、半ば死を覚悟した俺の耳に飛び込んで来た通信に、一時忘我する。

 はっ、として見回せば、廃墟の屋上に立つにゼロの影。
ゼロを見た途端、俺に興味をなくしゼロへ突撃する純血派の面々。
最大級の危機は、前回同様にゼロの登場により救われた。

 ―――C.C.!お前ってヤツは!
なんだかんだで来てくれたC.C.に胸が熱くなる。

 俺は、胸に溢れる想いのまま、魔女に感謝を捧げる為、ゼロの方にもう一度視線を向け、―――そこに展開されている光景に絶句した。




 サイタマ・ゲットー壊滅作戦当日5ページ目

 現れたゼロは規格外すぎた。
数機のKMFを相手に一歩も退かずに応戦しているのだから、その出鱈目さは嫌でも理解させられる。
それと同じく中身がC.C.でないのも理解した。
何せ、目前で跳ね回るゼロはと言えば、弾は避けるわ、苦無は飛ばすわ、と八面六臂の大活躍。

 今も迫り来る弾丸を凄まじい跳躍で回避し、空中に躍り出たところを狙って射たれたハーケンすらも足場として飛翔。
天高く舞い上がった上で回転し、無数の苦無を撒き散らす。
もちろん、苦無程度ではKMFの装甲を傷付ける事はできないが、攻撃が意味を成さないのはジェレミア達も同じ。
つまりは互角だ。
純血派の面々から『ゼロは化物か!?』なんて、恐慌に陥ったかの如き叫びが放たれているが、それには俺も強く同意を示す。

 スザクにも何度か抱いた感想だが、―――咲世子、お前は本当に人類なのか?
救けに来てくれたのは嬉しいが、どう見てもやりすぎだ!これを機に、『ゼロをKMFと同等の脅威として対処』などとなったら、本来のゼロな俺は命がいくつあっても足りないじゃないか!?

 しかもアレだ。咲世子の戦いぶりからするに、投げつけてる武器が苦無じゃなく、例えば棍棒型手榴弾(ポテトスマッシャー)とかだったら、明らかにKMFから勝ちを拾える気がするんだが………って、感心して眺めている場合じゃないだろう、俺!

 咲世子が時間を稼いでくれている内に、一刻も早く離脱せねばッ!!




 サイタマ・ゲットー壊滅作戦当日6ページ目

 咲世子の暴れっぷりのお陰か、割りとすんなりと確保していた退路である下水路に辿り着き、同じく煙玉で追跡を逃れたと言う咲世子と合流。
煙玉って、ファクトスフィアのセンサーまで誤魔化せる物なのか?と疑問に思わないでもないが、それはさて置き礼を言う。
頭を下げる俺に、「いえ、私もつい童心にかえってしまいました」なんて微笑む咲世子には、軽く引いてしまったが、引き気味になりながらも、俺を救出に来てくれた経緯を訊ねれば、やはりと言うかなんと言うか、咲世子をここに派遣してくれたのはC.C.だそうだ。
「アイツの死亡フラグを叩き折ってくれ」と頼まれたからこその今回のゼロ咲世子だったらく、これは魔女にも感謝しなければならないだろう。

 そうして、取り敢えずはお互いに無事で良かったと労い合い帰路に着こうとしたところで、―――頬を銃弾が掠めた。
咄嗟、咲世子は俺を庇い前に出る。
驚きながらも、咲世子が睨み付けている方を見ればそこにいたのはヴィレッタ。

 先ほどKMFを撃墜されたヴィレッタは、満身創痍なれど、「これで上手くすれば私も貴族に…」なんて目をギラつかせて俺達に銃を向けている。
流石に前回独力でゼロの正体に辿り着いた女。非常に怖い。
が、その執念には感嘆すれど、大人しく捕まってやるつもりもなく、直ぐ様、咲世子に無力化の命令を下し、呆気ない程簡単に返り討ちとした。
打撃により気を失ったヴィレッタを見下ろし、「どうします?」なんて訊いてくる咲世子に、顔を見られ、ギアスも使用済みな女の為に、一緒に連れて来てくれと指示をだし、下水路を後にする。



 今回の作戦、ギルフォードを確保出来なかったのは痛手だ。
ゲフィオンディスターバーをこの時点で晒してまで得た戦果がこれでは目もあてられない。
まぁ、ナリタにはギルフォードを出てこれない様にできただけ良しとしよう、と考え気を落ち着けようとした矢先に、ヴィレッタなんて爆弾まで抱え込む始末。


 前回よりも前途多難な結末に頭が痛くなってきた。
どうにかヴィレッタを懐柔できれば良いんだが………。






 色欲のルルーシュ Return06『ギルフォード を 撃て』おわり






 あとがき

 ずっと咲世子さんのターン!
また随分と間を開けてしまいすいません、鈴木です。
生まれて初めて食中毒と言うものになりました。
まさか、あそこまで苦しいものだとは…。
皆さんもナマモノの賞味期限にはくれぐれもご注意を。

 さて、言い訳はここまでにして、今回も感想を下さった方々に感謝を。
毎回、感謝を表明できることを嬉しく思います。
続きを催促してくれる書き込みは、書いてる人間として幸福を感じました。
仮面も笑ってもらえたようで何よりです。
あと、一番衝撃だったのは、「ラグナレクの理由こうすれば?」とご意見下さった方。
何故思いつかなかった!と頭抱えました、はい。

 で、今回の投稿。
後の展開を気にすれば気にする程、文が説明臭くなったり、長くなったりで、どうにも。
もしかしたら、書き直すかもしれません。
キャラも魅力的に書けてるか不安なんで、やはり、指摘下さった方がいたReturn5.65みたいな形で、余裕が出来ればやろうかな、とも考え中。
と、言っても時系列間的なことを調べてもどうにも不明瞭。
先月でたコンプリート本みたいなのにそういうの載ってるんだろうか?とか。

 最後に、数日前にテスト板の方にギアスの短編投稿しましたんで、良ければそっちも見てやって下さい。
長々とあとがきましたが、今回はこの辺で。
では、また。





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