※ 1の続きです。読んでいない方は1からどうぞ。
ヽ月ー日
今日もイルバル宮でお茶を飲む。
ラウンズって実は暇人の集まりなんじゃ……? とか思ってたら、陛下からの呼び出しを受けた。
急いで御前に伺えば、本国を空けているモニカの代理としてロイヤルガードを一時執り仕切れと命じられる。
なんでも、モニカは単身エリア11にコーネリア皇女殿下の助勢に赴いたらしい。
ネットなんかで『ゼロパねぇwww』とかよく見るし、実際コーネリア皇女殿下も梃子摺られている様だけど、まさかラウンズまで投入とは……。
今度こそゼロオワタ\(^o^)/
それにしてもわからないのが今回の人事。
エリア11に向かわせるラウンズがロイヤルガード責任者であるモニカというのも謎だし、その穴埋めが昇進を果たして間もない私というのも理解できない。
代理と言うのなら、まずモニカの副官をそれに充てるのが道理の筈。
まさか、陛下は本当に私を狙って……?
ヾ月ゞ日
今日から陛下付き。
微かではあるが貞操の危機を感じたので、ヴァルトシュタイン卿にそれとなく辞退を申し出たが、とりあって貰えないどころか太鼓判を捺された。
代理とは言え、若輩の私がロイヤルガードに抜擢された事に他のラウンズから反対意見でもあれば、と期待もしたが残念な事にそれもない。
それどころか私との闘いの後から妙に卑屈な態度をとる様になったブラッドリー卿から「姐さん、おめでとうございます!」とか盛大に祝われた。
嬉しくない。
腹立たしかったので、カフェオレ買って来いよ、と言ったら本当に買ってきて絶句。
仕方がないので覚悟を決めて任務にあたろうと思う。
〃月仝日
色々と緊張していた割に職務の方は拍子抜けだった。
部下もいる為、私一人が四六時中陛下に張り付いていると言う事もなく、かと言って一番怖れていた陛下が色目を使ってくる事態もない。
と言うか逆に陛下が私に気を遣っている気が……。
妙に優しいし、実は良い人なのかも知れない。
〆月<日
ショックな事があった。
モニカがエリア11で生死不明だとの報告。
生き死には軍人の常だとは言うけれど、まさかラウンズであるモニカが一エリアのテロリストに後れを取るなんて誰が予測出来ただろう。
それもブリタニアの魔女と呼ばれるコーネリア皇女殿下の指揮下にありながらである。
もしかしたらピザ大好きっ子さんの言った通り、本当に失恋の痛手を引き摺っていたのかも知れない。
本国の貴族達はラウンズの撃破と言う事態にもブリタニアの強大さを盲信し、何一つ脅威を感じてはいない様子だけれど、軍内部ではいよいよゼロに対する見方が少しずつ変わってきている。
特に、モニカやコーネリア皇女殿下の実力を最もよく知る内の一人であろうノネットはそれが顕著。
私自信も、同僚であり友人であるモニカの凶報に沸々とした怒りを感じる。
とにかく今は出来る事をやろう。
モニカの生還を信じ、モニカが帰ってくるまでロイヤルガードを務めあげるのが、私の責任だと思う。
絶対に忘れない様に記録。
\月″日
決意して職務に励む日々の傍ら、自分を鍛え上げようと思い立つ。
モニカの生存は信じてるけど、もしもの時は仇を討ちたい。
けど、今の私がモニカを退けた相手に勝てるとも思わない。
もしゼロと会い見える事が出来た時の為に、決して負けない位の力が必要。
私自身の秘めたる力の解放でも何でも良いから、もっと強くならなければ。
……そう思って色々と鍛練方法について悩んでいたら、自宅の本棚に見覚えのない本を発見。
またも記憶にない事が、とヘコみながら開いてみたその本のタイトルは『双剣の書~私はこうして皇妃になった~』。
バカみたいなタイトルとは裏腹に、その書物の膨大で密度の高い情報量に不思議と目を奪われる。
奪われたついでにと、本の通りに双剣を試したところ、こちらも不思議と体に馴染む。
これしかない。そう確信。
∥月…日
双剣を振る、振る、振る。
最近、私自身何かに取り憑かれたのかと思えてしまう程、暇を見つけては剣を振り回している。
‥月]日
双剣使いも少しは様になってきた気がするので、ジノと腕試し。
五回やって五回勝つ。
一回勝負が終わる度に「本気出しとけば良かった。次からは私も本気を出す!」とか言ってたけど、結局最後までジノの本気は見れなかった。
あと、私達の試合を見たブラッドリー卿がガクブルし始めたので記録。
Å月¢日
今日は久し振りにピザ大好きっ子さんからメールが来た。
何でも最近忙しかったらしい。
モニカの凶報以来下降線を辿っていた気分が、久々に良くなる。
メールには近況報告と、ブリッター始めましたの文字。
早速覗いてみたら、『修羅場なう』とか呟かれていて驚愕。
然り気無く壮絶な人生を送っているピザ大好きっ子さんマジリスペクト。
~月㎡日
職務中、偶然部下のひそひそ話を聞いてしまった。
内容。
「ハァハァ、アーニャたんテラカワユス」
「馬鹿、リアルではアールストレイム卿って呼べ! 不敬にあたるぞッ!」
とか、どこのスレの住人か一瞬でわかる会話だった。
まさか部下にいるとは……。
とは言え、最近は鍛錬にかまけて覗いていなかったのを思い出し少し見てみたところ、
【ナイトオブシックス】アールストレイム卿を応援するスレ47【リアルヴァンパイアハンター】
凄い伸びてた。
どうやら、ラウンズ昇進→ブリタニアの吸血鬼血祭り→ロイヤルガード就任のコンボで連日祭りだった模様。
相変わらずの電波扱いと、お通夜状態のモニカスレ住人との諍いが残念だったけど、応援されるのは悪い気分じゃない。
頑張ろうと改めて思ったので記録。
¶月§日
何故かヴァルトシュタイン卿と闘う事になった。
私が双剣を使うのを見て興味を持ったとのこと。
いざ始まって見れば、恐ろしい程に強かったけど、必死に鍛えた甲斐もあり途中までは善戦出来ていた……筈。
けど、「この力、マリアンヌ様以外に使うことになろうとはな!」とか叫んで、隻眼と思われていたヴァルトシュタイン卿が両目を開眼してからは、一気に劣勢に立たされた。
こちらの攻撃をまるで予知しているかの様に捌かれてしまい、後は膂力の差で押し切られそうになる。
どうやら、自ら片目を封印して普段は実力を隠すとか〇×△(不敬にあたるので検閲)な事をしていたらしい。
さすがはナイト・オブ・ワン。厨二っぷりも帝国最強。
そう思い素直に負けを受け入れようとした時、今度は私の厨二も爆発した……らしい。
らしいと言うのは、また記憶を失ったから。
意識が戻った時には、引き分けという結果と、清々しい顔のヴァルトシュタイン卿と、観戦者の中に泡を吹き気を失ったブラッドリー卿の姿が見えた。
闘いの後、ジノが健闘を称えてくれたけど、明らかに腰が退けていた様に思う。
少し泣いた。
。月ф日
先日のヴァルトシュタイン卿との一騎打ち以来、やたらと“閃光の再来”と持て囃される様になった。
前々から言われてはいたし、引き合い出される事は多かったけど、双剣を使い始めてからは、それが今までの比じゃない。
あまりにも言われるんで、私自身少し気になって来たので調べてみたら、こんなのが出てきた。
↓
全盛期のマリアンヌ様伝説
・3分間に5KILLは当たり前、3分8KILLも
・敵拠点壊滅を頻発
・マリアンヌ様にとっての敵拠点壊滅は、敵軍全滅のしそこない
・単騎での敵本拠地壊滅も日常茶飯事
・戦力比1:100、味方全員負傷の状況から一人で勝利
・一回の斬撃で剣が三本に見える
・生身でKMF撃破
・戦線に立つだけで敵指揮官が泣いて謝った、心臓発作をおこす将兵も
・勝ち戦でも気分が乗らなければ敵指揮官を殺らずに帰ってきた
・あまりに強過ぎるから上官からも腫れ物扱い
・その上官も凹
・敵KMFを一睨みしただけでコックピットブロックが空高く飛んでいく
・軍務のない休日でも2KILL
・剣を使わず手刀で斬ったことも
・敵の銃弾を素手でキャッチして、指弾で打ち返す
・勲章授与なんてザラ、勲章がダブることも
・味方全軍で攻めるより彼女一人でやらせた方が早かった
・自軍の最後衛に居ながら敵指揮官を倒した
・彼女の鼻っ柱を叩き折ろうとした前帝時代のナイト・オブ・ワン、それに加勢したツー、スリー、フォーのラウンズともども全員土下座させた
・陛下のプロポーズに応えながら敵軍殲滅
・グッとガッツポーズしただけで敵が5人くらい死んだ
・剣の一振りで山が割れたことはあまりに有名
・血の紋章事件が終わった原因はマリアンヌ様のオーバーキル
・皇妃になってからもアリエス宮を狙った刺客は自ら処理していた
・G‐1ベースを楽々スクラップにしていた
・自らKMFに飛び乗って他皇妃の宮に突撃するというデモンストレーション
・全盛期のマリアンヌ様が撃破したKMFのコックピットブロックがちょうど敵指揮官機の傍に落下したんだが、すでにそのコックピットブロックに殺害予告が刻んであって驚いたそうだ
…………なにこれこわい。
㍍月㌣日
よくよく調べれば、マリアンヌ様が活躍していた時代はKMF全盛には程遠いそうなので、あの伝説のほとんどはデマっぽいとわかり安心。
けど、あんな伝説が実しやかに流れる様な人の後継と見られるのはやっぱり有り得ない。
双剣使うのを自粛しようか考え中。
№月ヶ日
今日は嬉しい事が一つ。
モニカが生きて帰ってきた。
ラウンズ一同、喜びと共に迎え入れる。
とても嬉しいので記録。
とは言え、これからが大変。
聞いた話では、ナリタ周辺にて保護されたモニカは、エリア11派兵時辺りの記憶が不自然なまでにごっそりと抜け落ちているらしい。
ラウンズに席を置きながら敗北した事も含め、その責を厳しく追及されるとの事。
降格も有り得るらしい。
よく記憶を失くす身としてはモニカの事は他人事とは思えず、何と声をかけて良いのか悩む。
けどモニカは本人は、エリア11に赴く前と比べれば、憑き物の落ちた様なさっぱりとした顔をしていたのが印象的だった。
とにかく今はモニカの帰還を喜びたいと思う。
本当に良かった。
≦月×日
今日は少し前に話に出ていた第7世代KMFの開発現場にお邪魔した。
と言うか陛下が連れてきてくれた。やはり良い人。
視察したのは、エリア11で活躍中のランスロットとは別に開発が進められていたKMF、名をガウェインというらしい。
従来のKMFとは一線を隔すデザインのその黒いKMFはコウモリ耳がラブリーだった。
しかも飛ぶ。
しかもビームもでる。
ガウェイン凄い。
なんでも私のKMF開発チームにお願いした“高火力砲撃型”と言うリクエストに応える為には、ガウェインのビーム兵器―――正確にはハドロン砲と言うそうだ―――の完成が必要不可欠であるとか。
てっきり私のKMFは実弾山盛りの弾薬庫KMFになるかと思っていたら、まさかビームとは………。
早期の完成を願ってガウェインを記録。
▼月〒日
モニカ生還に次いで、帝国の吉報が続く。
クロヴィス殿下ご生還。
元々遺体も確認されず、忽然と姿を消した殿下だけに、ネットでは死亡説を疑う声も多かったし、果てはゼロこそがクロヴィス殿下本人だなどと言う失笑ものの噂もあった中で、当の御本人は身柄を抑えていたゼロの目を盗み、中華連邦へと身を寄せる事に成功。
どうにか本国への渡りを付け無事舞い戻る事が出来たようだ。
それにしても、クロヴィス殿下がエリア11にて敗北を喫しブリタニアの威信を貶めたのは紛れもない事実と言う声も少なからず挙がる中、陛下の「良い、咎めは無しだ」の一言で皇族復帰が叶ってしまうなんて、私の母国は割とアバウトな気がする。
もちろん、私の預かり知らない政治的な事情は沢山あるのだろうけれど。
とは言え、陛下良い人説を信じる私は、今回のクロヴィス殿下皇族復帰の件を受け、非常に甘ったれた事を陛下にお願いしてみる事にした。
そのお願いの内容はずばり、クロヴィス殿下お咎め無しならモニカも降格しなくて良くない? と言う内容を小難しくした感じので。
それに対して陛下も「うん、いいよー」と言う内容を小難しい言葉で返してくれた。
陛下やはり良い人、私の見立ては正しかった。
そして私GJ。
なにより専制君主国家万歳。
……ただ、陛下がその後胃の辺りを擦っていたのが、少し気になる。
追記
モニカの件で舞い上がり書き忘れたけど、クロヴィス殿下が生還された事でゼロが一つ嘘を吐いていた事が判明した。
これが仮面のカリスマにどう影響を与えるのかもこれから興味津々。
㌘月★日
モニカのラウンズ続投が決まり、私のロイヤルガード生活も終わりを告げた。
問題なく引き継ぎも終えて、一度イルバル宮に引き返そうとした私に陛下からのお声がかかる。
新たな任務と思いきや、暇な時にある人物の相手をして欲しいとの事。
KMF開発現場視察やモニカの件で陛下株急上昇中の私に断る理由は何もなかった。
快く引き受け、陛下の案内で宮殿の奥の部屋に通される。
そこで顔を会わせたのは、しばらく前に宮中で私を母親呼ばわりした同年代の少女。
やはり隠し子? と疑問に思う中で、陛下が説明を始める。
その説明によると、少女の名前はロロ。
陛下の隠し子では断じてないが、場合によっては義理の娘と言えなくもないと思わないでもないとかなんとか。
とある事情により宮殿の奥に匿い住ませてはいるが、来たる未来、陛下の最大の敵になるかも知れない相手への最高の切り札になるかも知れなくもないかもしれない秘中の秘。対妹萌え用最終決戦兵器なのだそうだ。
うん、私の記憶が定かなら彼女の名前以外何一つわからない説明だったが、そこで、陛下頭大丈夫ですか? と訊くのは不敬にも程があるので、黙って頷いておく。
とにかく、諸事情ある中でも宮殿の奥に一人置いておくのはあまりに不憫と言う事で、歳の近い私が話相手など仰せつかった、と言う解釈で良いのだろう。
その後、陛下が退室して暫く、親睦を深めようと色々と話してみる。
控え目な感じはするが、感情豊かとはお世辞にも言えない私としてもペース的には似通ったものを感じ好印象。
暇があれば、これからも出来るだけ会いに来ようと思う。
同年代の友達GET記念ツーショットを記録。
Ы月≠日
たまに記憶と記録の齟齬を感じるけれど、最近は嬉しい事が続くので気分もあまり落ち込まない。
今日は特にお務めもなかったので、丸一日ロロと過ごして、夜はピザ大好きっ子さんとメール。
メールの中で、ロロという友達が出来た喜びを伝えたくて、先日撮ったロロとのツーショットを送ってみる。
陛下が秘中の秘と言っていたので、もしかしたらマズいかもと思いつつ、他人に見せないで欲しいと一文添えて送信。
返信には、おめでとうの言葉と、今度ピザ大好きっ子さんの彼氏の写真も送るという報告が……。楽しみ。
最後に、修羅場平気だった? と訊いてみる。
返信は「Here come the new challenger!」なんて文。
とりあえず前の戦いには勝ったらしい。
恋は戦いと言う言葉を実践し過ぎなピザ大好きっ子さんに乾杯。
ζ月%日
暇なのでロロと遊ぶ。
その最中、ロロの動きが洗練され過ぎている事に気付き指摘。
ロロが話すには、暗殺術を少々嗜むとか。
そこから渋るロロを説得、腕試しをしてみたんだけれど………。
次の瞬間、私は地面に叩き伏せられていた。
正に、あ、ありのまま今おk(AA略 なポルナ○フ状態。
催眠術だとか超スピードだとかじゃ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗をリアルで味わってしまった。
上には上がいる事を実感。
マリアンヌ様の再来なんて煽てられて知らず知らず増長していたのかも。
冗談半分の腕試しとは言え、悔しかったので私も更なる高みを目指そうと思う。
Э月Ξ日
遂にピザ大好きっ子さんから、彼氏の姿がメールに添付されてきた。
しかも動画。
うきうきしながら開いてみると、題名は『俺の義弟がこんなに可愛いわけがない!と悩むバカ』。
意味は良くわからないけど再生してみる。
動画の中では、『あ、あいつが……女……だと? し、しかも可わ……クッ、おのれブリタニアぁぁぁッ!!』とか荒れ狂う黒髪の少年。
何がそこまで彼を狂乱させるのかは知らないけど、酷く歪んだその顔からも整ったその容貌が確認でき……?
何か引っ掛かるものを感じてもう一度動画を注視。
それから、自分の携帯のフォルダの奥深くに眠る一枚の写真を開きこちらも良く見てみる。
………見比べてみてわかった。
私の持つ写真の男の子と、動画の中のピザ大好きっ子さんの彼氏は似通い過ぎていた。
恐らくは同一人物。
……と言う事は、私は過去にこの人に逢った事があ……る?
おわり
あとがきと言うか見苦しい言い訳
ごめんなさい。来月中には本編上げます。
まだ見捨てずに覗いて下さっている方がもしいましたら、もう暫くお待ち下さい。
今はこれでお茶を濁しておきますので、クロヴィスとかモニカとか、なんでこうなってるとかツッコミながら本編が上がった時にでも見に来て頂ければ幸いです。
後、取り敢えず生きてます。
毎度の事ですが、読んで下さった方、感想書いて下さった方、本当にありがとうございます。
しかも今回は大量の誤字指摘して頂けて非常に助かります。
次の更新時に折を見て直そうと思います。本当にありがとうございました。
では、今度こそ近い内に。