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No.4438の一覧
[0] 色欲のルルーシュ(CodeGeass ※壊れ)[鈴木 可翔式](2009/12/05 21:19)
[1] 色欲のルルーシュ~プロローグ~ 『バカ が 生まれた 日』[鈴木 可翔式](2008/10/14 20:35)
[2] 色欲のルルーシュ Return01『覚醒 の 白き 魔女』[鈴木 可翔式](2008/10/16 18:10)
[3] 色欲のルルーシュ Return02『弟子入り の クラスメイト』[鈴木 可翔式](2008/10/16 18:12)
[4] 色欲のルルーシュ Return03『ライフ は ゼロ』[鈴木 可翔式](2008/10/22 19:04)
[5] 色欲のルルーシュ Return04『皇女 と 痴女』[鈴木 可翔式](2008/10/22 19:10)
[6] 色欲のルルーシュ Return05『新たなる 仮面』[鈴木 可翔式](2008/11/02 20:59)
[7] 色欲のルルーシュ Return06『ギルフォード を 撃て』[鈴木 可翔式](2008/11/19 22:03)
[8] 色欲のルルーシュ Return07『黒 の 既視感』[鈴木 可翔式](2008/11/23 20:54)
[9] 色欲のルルーシュ Return08『リゲイン』[鈴木 可翔式](2008/12/05 22:28)
[10] 色欲のルルーシュ Return08.5『仮面 の 新事実』[鈴木 可翔式](2009/01/06 10:37)
[11] 色欲のルルーシュ Return09『モニカ 来る』[鈴木 可翔式](2009/12/05 21:21)
[12] 色欲のルルーシュ Return???『FLUKE REBELLION ~1~』[鈴木 可翔式](2010/05/29 19:33)
[13] 色欲のルルーシュ Return10『ナリタ 逃亡戦』 加筆分追加[鈴木 可翔式](2010/05/30 10:21)
[14] アーニャのブログ1[鈴木 可翔式](2011/03/21 21:54)
[15] アーニャのブログ2[鈴木 可翔式](2011/03/21 21:56)
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[4438] 色欲のルルーシュ Return???『FLUKE REBELLION ~1~』
Name: 鈴木 可翔式◆ecc40991 ID:6a07a562 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/29 19:33
 ※ なるべく巻き舌で脳内再生願います。





 近頃、妻の様子がおかしい。
妻の名はマリアンヌ。我が最愛の女であり、計画遂行の為、共に心血を注いできた同志でもある女。
とうの昔に肉体は滅び、現在はアーニャ・アールストレイムと言う娘の中に精神だけが宿っている状態のそのマリアンヌが、どうにもおかしいのである。

 兆候が見え始めたのは、エリア11にてクロヴィス崩御の報せがあった頃。
「やっぱり、私でも子供に殺したい程まで憎まれるのは辛かったのよねぇ」とか、「放任が過ぎた所為であんなに捻くれちゃったのかしら……」とか、ぶつぶつと一人何かを呟きながら黄昏の間で時間を潰す様になり。
それが三日程続いたところで、「C.C.と連絡が取れなくなったわ」などと、さも大した事ではないかの様に告げてきた。

 慌てたのはこちらだ。
C.C.。かの女の持つコードは、兄さんのコードやアーカーシャの剣と共に計画の要となるモノ。
そのコード持ちのC.C.を側に置かず好きにさせていたのは、マリアンヌとC.C.の間にCの世界を介した繋がりがあり、計画が最終段階に入れば、いつでもC.C.を確保できる算段があればこそだった。

 その繋がりが断たれたと言う事は、つまりC.C.を見失ったと言う事。
流石に些事などとは捨て置けず、直ぐ様部下にC.C.捜索の命を下そうとした、……のだが、それにもマリアンヌから待ったがかかってしまう。
何故だ!? と問い質す儂の前に差し出されたのは、アーニャ・アールストレイムの携帯。
見ろ、とばかりに提示された液晶の文面に目をやれば、そこに―――



 『マリアンヌ、シャルル、私は現在契約中のお前達の息子との愛に生きる事にした。

  だから、ラグナレクとか困るんで、悪いがお前達の計画はぶっ潰す。

  私のコードが欲しいなら、そちらの準備が出来た頃にでも、コチラから雌雄を決しに出向いてやるんで、それまで待っていろ。
                                                     
                                                                   未来の義娘より』



 ―――なんて内容が。

 ……なぁ、マリアンヌ。これ、何ぞ?








 色欲のルルーシュ Return???『FLUKE REBELLION ~1~』







 ある皇帝の手記 1ページ目

 で、現在黄昏の間にてマリアンヌと件のメールについて、語らい合うているのだが。

 ……いや、マリアンヌ本当にこれ何ぞ?
いや、「C.C.ったら、アーニャとメル友らしいのよねぇ」とか訊いておらんから。
と言うか、これC.C.? メル友? マリアンヌ、お主は何故そんなに落ち着いて……、いやいや、その前に息子って?
儂、娶る女娶る女大抵孕ませとるから息子大量生産しとるけど、しかしあの死にたがりの魔女をオトせる様な子息にはとんと心当たりが……。

 む、わかったぞ、マリアンヌ! さてはこのメール自体がお前一流の冗句、悪戯か!?
ヌハハ、こやつm「お前“達”の“息子”って言うからには、一人しかいないわよねぇ」……ルルーシュですね、わかります。

 しかし、そうか。ルルーシュか。
かの地にて生き抜いておったのだな。
ならば、シンジュクでのクロヴィスの件もあやつの仕業、という事になるのであろうな。
それなら、Cの世界を介してもクロヴィスと交信できぬ理由も得心がゆくと言うもの。
死んでおらとあらば、それも当然。
半分とは言え血の繋がった兄を殺すのを躊躇ったと見える。甘いものよ。

 何? 「そう言うところは貴方に似たのね」だと?
ふんっ、片腹痛いわ! 形だけでも皇族殺しなどと言う反逆の狼煙をぶち挙げておきながら、情に流されるなど、なんと半端な覚悟かぁ!
 儂なら己が利になるかわからぬ輩なぞ、その時点で葬っておるわ!
そう考えれば自ずとルルーシュの器も知れる。例えC.C.からギアスを与えられたところで、儂の前に立ち塞がる事などできよう筈もなかろう。
ぬ? 「でも、このメール見る限りC.C.、あの子に完全協力体制よ? あのC.C.に『愛に生きる』とか言わせてるのよ? これって凄い事じゃない?」だと?

 ……ふんっ、それがあやつの危険性の証明になどなるものか。もし万が一、いや、億が一立ち塞がったとしても、その時はその時よ。
父の偉大さをたっぷりと叩き込んでくれようとも。


 しかし、うむ。
お前の様子がおかしいので大事かと思ったが、そう言う事ならば問題あるまい。
C.C.が向こうからコードを持ってやって来てくれるならば、殊更に是非もない。
良かろう。あの愚息は捨て置く事としようではないか。

 む? 「それはあの子の好きにさせるって事かしら?」とな?
ぬぅ、確かにそう言う事になろうが、それはただ単に歯牙に掛ける必要も感じぬだけの事。
儂は、決して、反逆を目論む愚息に与える温情などを持ち合わせておる訳ではないからなっ!
ぐ、マリアンヌ、何を笑うておる!? 「素直じゃないわねぇ」などと変な事を申すでないわ!

 ……まぁ良い。兎も角決定は下した。
問題があるようならば、その度対策を講じれば良いだけの事。

 これでこの話は終わりよ、とに背を向けた儂に、「私は私で動いても構わないかしら?」と訊ねてくるマリアンヌ。
それに、好きにせい。とだけ返し、黄昏の間を後にする。



 そうして自身の宮に帰る道すがら、考えるのは先のマリアンヌとの会話の内容。
そうか、あのルルーシュが儂らの計画をぶっ潰すと言っておるのか。

 ヌハハ! あやつめ、グレおったわァ!
……などと本心から笑い飛ばせればどんなに心が楽であろうか。
恨まれているのだろうな。

 が、それも当然よ。
兄さんから遠ざける為に已む無くとは言え、儂はあやつとナナリーを人身御供として差し出しただけでなく、その地に戦争仕掛けたしのぅ。
儂だってそんな親ぶっ殺す、と言うか、実際叔父とかは殺しとるし。

 しかし、如何に理想の為とは言え、ルルーシュと戦わねばならぬ可能性を考えるのは、やはり辛い。
自身の子供を量産してる儂ではあるが、真実愛した女との結晶として産まれたあの二人は、それこそ数いる息子、娘達の中でも一等に愛しいと言い切れる。
そんなルルーシュを、もちろんナナリーも、可愛く思わない筈がない。
しかも、ルルーシュはあのC.C.を陥落せしめる程の男に育っとる様子。
儂とマリアンヌの息子と言う事からしても、幼少時の容姿からしても、将来はテライケメンになるのは確定的だったとは言え、まさかそれ程までとは思わなんだ。
ギアスを手に入れ、C.C.をパートナーにしたとは言えど、なんの後ろ楯がある訳でもなかろうに、大国ブリタニアの君臨者たる儂に牙を剥く気概も見るべきところがある。
よもや、本当に儂の前に立ち塞がるかもしれん。と考えるのは親の贔屓目が過ぎようが、もしそれを成し遂げる器を持つ男に育っておれば、……ブリタニア皇帝たる真の証。一子相伝ブリタニアン性術を継承するに相応し―――


 ―――ふっ、止すべきだな。詮なき夢よ。
シャルル・ジ・ブリタニアともあろう儂が何を考えておる。
息子と相対したくはないと考えた矢先にこれとはな。

 第一、ブリタニアン性術の継承とは、つまるところブリタニア皇族が抱える業の継承に他ならぬ。
儂自身、ブリタニア性術を修めたての頃に、つい調子に乗ってブイブイ言わせてしまった所為で、いつの間にやら嫁が108人。
いくら絶倫な儂とて、寄る年波や腰痛には逆らえぬ訳で、近頃は皇妃による壮絶な寵愛争いを、俗事とスルーするしかないのが現状だ。

 あの愛憎渦巻く皇族間での殺し殺されは非常に胃にもクる。
絶対者としての鉄面皮で誤魔化してはいるものの、いつまで儂の腰と胃が保つもののやら。
マリアンヌも怖いし、はっきり言えば早いトコどうにかしたい。
そんな首の回らぬ事態を再び引き起こし兼ねない宿業を、可愛い息子にまで受け継がせるなど以ての他だ。

 ……ふ。そう、そうよな。
今更に悩まずとも、わかりきったことであったわ。

 兄さんやマリアンヌとの誓いの為に。
若かりし頃の儂自身の軽挙をリセットする為に。
やはり愛する息子と言えどラグナレクの接続を阻止せんとするならば、叩き潰す覚悟を決めるしかあるまい。

 接続さえなれば、どの道全ては集合無意識へと統合される。
そこに至る為に、今日まで心を鬼にして進んできたのだ。
その道程を今更個人の感傷で損なう訳にはいかぬ。

 赦せ、ルルーシュよ。
儂は割り切らせて貰う事とする。

 ブリタニアに楯突くがどれだけの至難かを悟り、儂を止めるのを諦めるならばそれで良し。
それでも反逆を続け、我が大望の妨げとなるのであらば! 
もしも儂の前に障害として現れたならば!
このシャルル、容赦はせぬ!!


 そうと決めたなら、アーカーシャの構築と各地の遺跡掌握を急がせるのが最善であろう。
接続の準備さえ整ってしまえば、後は兄さんのコードの力でC.C.を拐ってくれば事は済む。
C.C.が完全に離反した事を現時点で兄さんに気付かれても面倒になりかねぬし、そうなる前に速やかに事を進めるとするか。




 ……そう言えば、マリアンヌの後見のアシュフォードだったかは、爵位を返上した後、エリア11に渡ったのではなかったか?
当主のルーベンは元公爵、儂とも旧知であった。
 うむ! ルーベンが元気か知りたいし、期を見てちょいと秘密裏に昔馴染みに連絡してみるも良かろう。
あくまで、あくまでそのついでに、ルルーシュとナナリーの事を知っとったら、うむ、……まぁ、アレだ。




 ある皇帝の手記 2ページ目

 計画を早期に推し進めようと決意したにも関わらず、中々にそれが儘ならぬのも大国の皇帝、いや、妻が108人もいる我が身の不甲斐なさと言えよう。

 事はクロヴィス殺害の一報を受け、その母であるガブリエッラが精神状態を持ち崩した事に始まる。
皇帝の業務の一つである謁見に訪れる貴族が急に増加したと思えば、宣う事は皆が皆クロヴィスの死を悼んだ後で、「どうかウォリック宮へガブリエッラ様をお見舞い下さい」と来たものだ。

 なにせガブリエッラは只でさえ位の高い皇妃である上に、その広い社交性からカリーヌの母やその後見貴族を初め、様々な宮廷内権力にも強い結びつきがある女。
ラ家の長子が死に皇位継承の目が限りなく少なくなったとは言え、それでも尚ガブリエッラに利を見い出す皇族、貴族は多い。

 それ故に、ガブリエッラを放置し過ぎれば、危ういバランスで保たれている宮廷内の秩序を乱す可能性も少なくはない。
計画が最終段階にあればそれですら俗事と済ませてしまうところだが、残念ながら未だその前段階である現状、ともすれば権力争いの肥大に通じる芽を、全てが全て俗事と切り捨てる訳にもいかぬ。

 だからこそ、思惑通りに計画を速められぬ歯痒さを感じつつもウォリック宮へと見舞い、少しずつでもガブリエッラに落ち着きを取り戻させる事に時間を割いたと言うのに!

 その甲斐あって、仕立てあげられたであろう犯人が処刑されるとの報が入った時には、ガブリエッラも上辺だけとは言え平静を取り戻しておったと言うのに!

 処刑当日、ゼロと名乗った真犯人が全て台無しくれおったわ!

 何故そこで空気を読んでくれぬのだ!? 我が息子ルルーシュぅ!!

 お前が自分が殺りましたと宣言した上に、今まで犯人と目されていた男まで掻っ攫ってくれた所為で、またガブリエッラが乱心してしまったのだぞ!
しかも、「陛下! はやくっ、はやくあの仮面の変態を殺して下さいましぃ!!」などと半狂乱で懇願されて、ビビッて慌てふためいた挙げ句にエリア18の平定を終えたコーネリアに、エリア11鎮圧のゴーサインまで出してしまったではないくぁッ!!

 折角! この儂が! もしもの時は撃つと覚悟を決めながらも! なるべくならば事を荒立てぬ様に、荒立てぬ様にと気遣っておると言うのに! その親心が何故わからぬと言うのかぁっ!?

 そも、相手があのコーネリアでは、如何にギアス持ちのルルーシュとて太刀打ちできまい。
何せあの娘の下には優秀なる騎士と将兵が余る程におり、コーネリア自身もそれらを十全に用いる将器を持っておる。
どう考えても、ルルーシュに勝ちの目があるとは思えぬわ。

 く、ゼロの仮面、衣装。一目見ただけで儂との血の繋がりを確信できたその洗練されたセンス。
儂のヘアースタイルにも通ずるあの完璧なる造形美には、心の奥底で、それでこそ儂とマリアンヌの息子よ! と秘かに賞賛すらしておったのに。
その直後、儂自らに『ルルーシュ終了のお知らせ』を下させてしまうとは!

 ………ルルーシュよ、この愚か者がぁ!!




 ある皇帝の手記 3ページ目

 と、ガブリエッラの狂乱に巻き込まれる形でパニックを起こしておった儂だが、日数を置いて考えてみれば、コーネリアとその実妹ユーフェミアは、ヴィ兄妹と仲が好かったのではないか? と思い出す。
ならば殺される可能性は低いだろうし、コーネリアがルルーシュを叱りつけて反逆など止めさせてくれれば万々歳と思い至り、なんとか儂も落ち着いた。

 ガブリエッラやその一派も、ブリタニアの魔女の派遣と、クロヴィスの盛大な国葬を儂自らが執り行うと決めた事で、静かになってくれた様だし、後は国葬にて民衆への演説をかましてやれば、漸く一段落。
計画遂行の為に本腰を入れられると言うものだ。

 実は死んでおらぬのに儀式的に葬られてしまうクロヴィスは憐れな事だが、圧倒的な戦力差があったに関わらず義弟に不覚をとった己を悔やんで貰う事としよう。
今更儂が、クロヴィスは生きておる。と言っても話をややこしくするだけであろうし、何よりも面倒よ。

 なに、筆と画板さえ持たせておけば幸せそうな顔をしていたヤツの事。
ガブリエッラに強制されたり、抱え込んだ部下達が下手に優秀だったりした所為で、継承権争いに身を投じてはおったが、そこから解放された今の方が、案外楽しんで筆でも振るっておるだろうよ。うむ、おそらく。

 さぁて、そんな感じで儂自身の気持ちの整理も一先ずはついた事だし、ここは一つ、何処かで観ているであろうルルーシュにも父の雄々しさが理解できる様、ブリタニア皇帝らしく国葬を執り行ってやるとしようではないか!
ルルーシュよ、大衆へのパフォーマンスとは如何なるものか。儂の演説を観て度肝を抜かすが良いわ! ぬゥあっはははははッ!!




 ある皇帝の手記 4ページ目

 ルルーシュでは、コーネリアには敵わない。
そう考えていた儂は、どうやらルルーシュを過小評価しておったようだ。


 国葬も終わり、コーネリアもエリア11に着任を終えて数日。
計画を進める傍ら、ゼロ捕縛の報がいつ飛び込んでくるものやらと待っていたところに届いたのは、『帝国の先槍ギルフォード・G・P・ギルバート卿、ゼロと交戦の後、負傷』といったものであった。

 最初こそ、帝国の先槍て誰ぞ? と思いはしたが、よくよく記憶を思い返してみればコーネリアの筆頭騎士のメガネだったと思い当たり、驚愕。
確かヤツはコーネリアの騎士にならずとも、ラウンズ入りの候補に見込まれる程の手練れではなかったか?

 その騎士に負傷を負わせたのがゼロ、つまりはルルーシュだと言うのだ。
しかも、それだけでは飽き足らず、KMF数騎と互する乱闘を繰り広げた後、戦場から逃げ仰せたと言うおまけ付き。
コーネリア側に慢心があったと考えても、そうは無い戦果であろう。
ルルーシュめ、まさかそれ程までの男に育っておるとは、このシャルル、見誤ったわ!


 ……と感慨に耽る間こそあれ、あれよあれよという内に、黒の騎士団などと言う組織を立ち上げ、それからも次々にゼロの情報は舞い込んでくる。


 曰く、正義の味方、黒の騎士団総帥。

 曰く、神策鬼謀の魔王。

 曰く、不死身のピザ屋ハンター。

 曰く、生身でKMFを破壊する武神。

 曰く、NINJA。


 ―――倅はおかしくなってしまったのであろうか?

 正義の味方なのに、魔王とか呼ばれてるのはまぁ百歩譲って良いとしても、その他あまりの息子の無双っぷり、いや無法っぷりが心配になってきてしまう。

 いやいや、自身で諜報を動かしている訳でもないのだから、話半分に見ておくべきなのであろうが、それにしても、だ。
この情報から判断できる事など、確実にC.C.は息子と一緒にいるという事くらいであろう。

 ……兎も角、コーネリアには及ばぬなど、とんでもない間違いではあったようだ。
それどころかコーネリアの斜め上を突き抜け過ぎて、息子の将器を計る前に、息子の正気を疑う事態である。

 いかん、コトがコトだけに封印した筈の親心が疼きよるわ。

 エリア11に送って数年、息子の身に一体何があったというのか?
もしや、息子は既に正気を失っているのではあるまいか?
大体、NINJAとは言うが、それはIGAなのか? KOUGAなのか? それともバイクなのか?

 ぬぅ、独りで悩んでいても埒があかんか。
ここは一つ、マリアンヌにも相談してみる事としよう。




 ある皇帝の手記 5ページ目

 黄昏の間にて、息子の行状を相談してみたところの妻の反応は、「いいんじゃないかしら」と軽いものだった。

 うむ、軽すぎて儂びっくり。
何故にそんなに軽いのか? と訊いても「息子が強く育っているのに、何がそんなに問題なの?」と、質問を返される始末。

 何がって、余りに強くなられ過ぎると、いずれ儂に直接ケンカ売ってきそうじゃし……。
いやいや、もしそれでも儂らの息子が稀代のカリスマとして反逆してくるならば、口では、この賢しき愚か者がぁッ! とか罵倒しつつも、秘かに立派に育ちよって。とか思えるかも知れんよ?

 けど、いまの息子ってば、“稀代のカリスマ”と言うよりは、“エリア11で僕と握手”的なナニカになっとような気がするんよ。
そんなんにケンカ売られても、儂凄く困る。
それに、これ下手すると息子のギアスは、『身体能力はKMFを圧倒できる程に上がるが、代わりに頭はお花畑』てな感じのヤツで、最悪、既に暴走しているとかも考えられる様な……。

 む、「それはないわ」って、マリアンヌよ、何故そんなに自信満々に。
ぬ? ルルーシュのギアスは絶対遵守とな?
はて? 儂そんな話聞いとったっけ? は? 言い忘れてた?

 ……いやいやいやいや! 待て、マリアンヌ! 
その前に何故ルルーシュのギアス能力を知っておる!?
は? 「C.C.が最後の更新の時に教えくれた」だと?

 そ、そんな大事な話を忘れるんでないわッ!!
それにC.C.は、もうルルーシュの味方なんだから、嘘かも知れんであろうが!
そもそも、現にゼロは生身でKMF撃破なんて離れ業成し遂げとるのだぞ!?
絶対遵守とやらでそんな事ができるとは思えんし、もう一人のゼロ役と思われるC.C.にそれが出来ぬのはマリアンヌ、お前だってわかっておる事だろうが!

 ルルーシュのやつにしてもそうであろう。
例えばお前の身体能力を引き継いでおったのなら、それも可能かも知れん。
しかし、あやつの中身は明らかに儂よりの頭脳派だった筈!
ギアスに頼らずこんな真似が出来るとはとても……って、何? 「なんでゼロがもう一人いるとは考えないのかしら?」だと?


 むぅ。た、確かにそう考えるのが一番自然なのであろう……か?
し、しかし、その推測からすると―――


 〈伝え聞くゼロの情報-ルルーシュとC.C.がゼロを演じていたと予測できる情報=謎の三人目の情報〉


 ―――と、なる訳であるからして、ぬ、要はピザと不死身と神策鬼謀と、まぁ、正義の味方だの魔王だのも抽象的すぎるから除外。
と言うことは、つまり―――


 〈謎の三人目=生身でKMFを破壊する武神、NINJA!〉


 ―――倅の仲間におかしいのがおる。


 ……マ、マリアンヌよ。息子の頭が大丈夫そうな事はわかったが、逆に別の不安が!

 ルルーシュがこの三人目を仲間として扱っとるのか、ギアスの支配下に置いとるのかは判断できん。
が、あのコーネリアの軍に手傷を負わせるまでの策士となったルルーシュが、C.C.とNINJA、この二人を主軸にエリア11の抵抗勢力をとり纏めれば!

 「えぇ、遠くない未来、見過ごせない脅威になると思うわ」……ッ、やはりお前もそう思うか。
うぅむ、これは実に厄介な事になってきおったわ。
適当な相手を宛がって無力化し、儂のギアスで記憶を書き換えた後は、計画成就の時まで大人しくさせておくが無難と思っとったと言うのに。
それを成せるであろうと予測していたコーネリアが、ルルーシュのヤツを御しきれるかわからなくなってきた以上、あやつを押し込める為に何かもう一手打つ必要性も考慮に入れなくてはならなくなってきてしまった。

 だが、傍目にはたかが一エリアへの派兵。
いま赴いているコーネリアでさえ過剰な戦力に見えるコトだろう。
だと言うのに、ここから更に増援を送り注目度を上げてしまえば、まず間違いなく兄さんがルルーシュの存在に気付いてしまう。

 それは、いかん。
儂が心を鬼にしてルルーシュ達をエリア11に追いやった意味がなくなる。
確実に生きとるとわかったならば、その想いは尚更だ。

 なれば、極秘裏にラウンズの誰かを送るか?
いやいや、それも人選を誤ればルルーシュが死んでしまうかも知れん。

 ……匙加減が難しいのう。とんだジレンマよ。

 なぁ、マリアンヌ。お前はどう思う? って、そういやお主さっきから何故にそんな終始にこにこと。
儂らの息子の先行きにてついて真剣に悩んどる最中なのだぞ?
もう少しこu「ラウンズの派遣、良いんじゃない?」、ぬ? 今なんと?

 「だから、ラウンズよ、ラウンズ」って、マリアンヌぅ!?
いや、待て! 「じゃ、さっそく……」ではないわッ!
確かに案の一つとして出してはみたが、下手するとルルーシュが死んでしまうかもしんのだぞ!?
それ故に儂だって苦心して、って、何? 「死んだなら所詮その程度だったと言うことよ」? 「それに私たちの息子なのよ?きっと乗り越えてみせるわ!」?

 ………。

 ……………。

 …………………。

 ……む、ぐ!なんと言うスパルタにして、親バカよ。
余りに無根拠な自信に、最愛の妻の発言と言えど、儂ちょっと固まっちゃったんだぜ?


 まぁ、それは置いて仕切り直すがな、マリアンヌ? 
その自信を信じてラウンズを派遣するのは良いとしてもだ。
もし万が一、それすら兄さんにバレてしまったらどうする?

 目的の為には、儂ら以上に手段を選ばぬ兄さんの事。
気付かれてしまえば、必ずやお前の時の様にルルーシュを害s「なら先にV.V.を消しましょう」…………なぬ?
 



今度こそ儂は固まった。




 ある皇帝の手記 6ページ目

 マリアンヌの『兄さんをぶっ殺そう』発言をうけて数日。
儂は何一つと手に着かず、ただ玉座に身を沈め、黙考に耽る。

 考えるのは、「私、C.C.との連絡が途絶えてから色々と考えてみたんだけど……」などと始まったマリアンヌの提案について。
提案を聞いたままに思い起こせば以下の通りとなる。




 あのね、シャルル。
私たちは計画の為とは言え、ルルーシュとナナリーを捨てたわよね?
計画さえ成就すれば死んでいようが、いまいが究極的には関係ない。
だからこそ、あの子達よりも計画の実行を優先した。

 だと言うのに、実際はV.V.から逃がす為にエリア11送りにしたり、今反逆を始めたルルーシュに思い悩んだり、切り捨てた子供への執着を捨てきれずにいる。
元から親として褒められたものじゃないって自覚はしていたけれど、これって酷い矛盾、いえ、傲慢よね。
あの子たちの立場から見るまでもなく、本当に最低な親だと思うもの。

 でも、そんな傲慢で最低な親でも、C.C.が惹かれる様な男に育った息子を今更ながらに嬉しく、誇らしく思っている事も事実だわ。
計画が完成されて皆が個を失えば、決して見る事の叶わない我が子の将来を夢想している。


 ………いいえ、アナタ。そんな顔をしないで頂戴。
わかっているわ。私たちにとって計画は絶対。
今頃になって親子の情を少し理解した気になったくらいで、中止を唱える気はもちろん無い。

 ただ、思うのよ。
少しだけ考え方を変えてみるのはどうかしら? ってね。

 ねぇ、シャルル。
計画遂行と子供への愛の間でジレンマを抱えるのではなくて、計画は計画。子供への愛は子供への愛。って、傲慢なら傲慢なりに、いっそ開き直ってしまいましょう。
そうして最低の親なりのやり方で、子供達を愛するの。

 私たちは子供達より計画が大事。だから邪魔ならば叩く。
子供達には乗りきれるかはわからない位の困難な試練を与えて、それに叩き潰されてしまえば、やっぱりそれまでの事。

 けれど、その試練と言う名の私たちの愛を乗り越え、もしも私たちを打倒するまでにあの子達が成長してきた時は、私たちの敗け。
潔く子供達の勝利を祝福してあげるの。




 そんなマリアンヌの提案聞いた時、儂は確かに揺れた。
要は考え方を変えるだけの話。詭弁に近いものがある。

 なれど、大事なものを切り捨てて歩んで来た我が道の、これからの過程、結末が、ただ重く遠いものとは違ったものになるのを感じたのもまた事実なのだ。


 ………もし、もし本当にそこまでにルルーシュが成長し、そうして儂を破るとするならば、誠に天晴れと言わざるを得ぬ。
さすれば、儂のこの盲執にも近い想いにも諦めが着くかもしれん。との期待も芽生える。

 が、それを兄さん承諾する筈がないのもまた現実。
儂らがそれで納得したとしても、兄さんは決して諦めない。
故にマリアンヌは、兄さんを消そうなどと言ったのであろうが、儂はただ一人の兄をそう簡単に切り捨てたくはない。

 だからこそ、揺れ動く心の裡に悩む。


 いや、まぁ、悩む理由として、マリアンヌがその後にも、

 『待っていなさいルルーシュ! 母の愛(刺客)があなたを更に強くする! これも教育よ!』とか。

 『そうして次々と与えられる厳しい試練を超え、見るも逞しく育った私の息子と夫が、世界の未来を賭けて激突! あぁ、素敵!』とか。

 『シャルルが勝てば、ラグナレクで予定調和。敗けても精強なる次代皇帝ルルーシュの母! つまり国母ッ! ……ふふっ、完璧だわ!』とか。


 色々はっちゃけてた所為もあるのだが。
……うむ、儂聞いとらん、何も聞いとらんよ?

 と、兎も角。
マリアンヌの話は中々に魅力的だ。
なんとか兄さんの抹殺ではなく、説得と言う形でマリアンヌが折り合いをつけてくれる様ならば、乗ってみるのも悪くはない。

 ……どれ、一つ頼みこむ事とするか。



 で、ブリタニア皇帝にして、夫でもある儂が頭を下げたと言うのに、「イヤよ」の一言で切って捨てられました。
しかも、駄目。ではなく、嫌。

 いや、「考えてみたら私一回殺されてるんだし、私も一回は殺して良いんだったわ」とか言われてもだな。ほら、兄さん幼いし。マリアンヌも精神は生きとるし。

 いやいや、「私が決めたんだから決定よ!」とかそんな無体な。
む? 「大体、もしルルーシュが勝利した時には、腹の一つでも割っ捌いて詫びなきゃ、貴方くびり殺されるわよ」? 「その場合、孫見れないけど良いの?」? 

 ……よ、良くは、無い!
「ならコード奪っとかなきゃ」と言う理屈もわかる!
しかし! しかし、たった一人の兄さんなのだ! マリアンヌ、頼むぅッ!

 せめて、せめて判断はルルーシュが実際に儂を脅かす存在になってからとしてくれまいかッ!?


 結局、兄さんの事は一先ず保留と言う事でマリアンヌは落ち着いてくれた。

 ………幾つか条件をつけられたが、な。




 ある皇帝の手記 7ページ目

 今は兄さんを見逃すからと、マリアンヌが出した条件は三つ。


 一つ目は、ルルーシュに送る刺客の人事権。

 これは良い。
なんだかんだ、マリアンヌはルルーシュを強く育てたくて堪らない様子。
ならばこそ、送る刺客もきちんと段階を踏んだ強さの者とするだろう。
儂が心持ちを僅かに転換したと言うのに、直後あまりの強敵にルルーシュ終了。では、色々と切なすぎる。
その点において、マリアンヌならば上手くやる事であろう。

 二つ目は、アーニャ・アールストレイムのラウンズ昇進。

 これも良いだろう。
実力的には謂わずもがなであるし、そも、まだラウンズでもないと言うのに、ラウンズ詰所のイルバル宮に近頃良く顔を出しておるらしく、ビスマルクのヤツが困っておった。
が、ラウンズにしてしまえばそれも解決。
むしろ、渡りに舟と言うやつよ。


 故に、問題があるとすれば三つ目の提案。

 『V.V.の所に、ロロって男の子がいるから、その子を連れて来て頂戴。あっ、その子、絶対停止のギアス持ってる筈だから、V.V.にそう言えばわかるわ』

 だそうで。

 まぁ、何故そんな事知っとるのかは、Cの世界通信かなんかであろう、と納得しよう。マリアンヌ怖いし。
しかし、何故そのロロとやらを名指しなのか、今一わからん。
マリアンヌは『もし私たちが敗けてしまった時の保険その1』とかなんとか言っておったが、うぅむ。


 考えておる内に兄さんが来た。
さて、嘘は吐きたくないが、どうやってマリアンヌの事を伏せたまま、ロロと言う能力者を借り受けたものか。

 兄さん、実はですね……。




 ある皇帝の手記 8ページ目

 借り受け自体は、案外簡単に出来た。
ちょっと人が要るんで、こういう感じのギアス能力者いたら貸して欲しいのですが、と頼んだところ。
あっさりと「あぁ、ならロロがいるね。今は使ってないし良いよ」と置いて行ってくれた……のだが。


 「あ、あの、それで僕は何をすれば……」と、兄さんに何か言われたのか戦々恐々と儂を見上げてくる、どこかナナリーを彷彿とさせる容姿のこの子供。


 一人称は僕、とか言ってますが、どう見ても少女です。本当にありがとうございました。……とか言っとる場合ではなく。


 いかんな。
ロロと言う名前と、ギアス能力の一致で完全に安心しとったが、まさか性別が違うとは。
マリアンヌの出した条件は男。
兄さんにも今更なんといって交換を頼めば良いか皆目検討もつかんし。

 ……と、とりあえずロロ違いとは言え、マリアンヌのトコに連れて行ってみるしかあるまい。うむ!



 と言うことでマリアンヌさん、ご希望のロロ一丁お届けにあがりましたぁー!
しかしスマン! 女であったわ!
でもあの、名前ロロだし、絶対停止使えるみたいなんで、どうか兄さんの命だけわぁ!!
と、素早く土下座。


 そうして頭を下げたまま十秒程待ってみるも無言。
駄目か! と思いながら恐る恐る顔を上げてみると、予想に反し瞳を輝かした妻がおり、次の瞬間、


 「ナナリーの対抗馬ktkr!!」


 とか叫んでおりましたとさ。

 ……ぬ? 儂、と言うか兄さん助かった?
バン、バン、と儂の肩を叩き、「GJよ! なんでTSしてるのかわからないけど、むしろこっちでOK! シャルル、GJ!!」と興奮しているマリアンヌを見るに、首が繋がったようではある。

 アーニャ・アールストレイムの影響か、あまり意味のわからぬ言葉を遣うのはいただけんが、指摘して機嫌を損ねては元も子もない。
マリアンヌの返答が変わらぬ内に、撤退させて貰うとしよう。

 後ろからは、「ロロ、今から私を母と呼びなさい」とか、「これから私が、貴女をナナリーにも劣らぬ妹へと教育してみせる!」とか自称母のトチ狂った決意表明に困惑する少女ロロの悲鳴が聞こえたが、やはり儂も我が身は可愛いのだ。許して欲しい。

 後、今更ながら、あまりのマリアンヌ出現率に、アーニャ・アールストレイムがどうなっとるのかが気になるわ。
ギアスで誤魔化すの儂なんだし、少し自重してくれんもんかのぅ。




 ある皇帝の手記 9ページ目

 黄昏の間よりロロと言う子羊を生け贄として脱出してから数日。
事態は更なる風雲急を告げた。


 コーネリアがエリア11にて最大の抵抗勢力壊滅に乗り出すというから、ほぼ間違いなくルルーシュのヤツも動くと推測。
ヌゥハハ! ルルゥーシュよぉ、見事コーネリアを降し、まずは一歩、この父に近付いてみるが良いわぁッ! とか玉座でふんぞり反っとったら、それは来た。

 鬼気迫る形相で、「陛下、私にエリア11行きの御許可を!」と詰め寄って来た女騎士の名は、モニカ・クルシェフスキー。
ラウンズの十二席を与えた儂の騎士で、即ち、帝国最強の一人。

 そんなのを今コーネリアを相手取るのにいっぱいいっぱいになっとる筈のルルーシュのところに送ったら、折角息子の成長も楽しもうと決めた矢先に、ゲームオーバーな可能性大である。

 だから儂は言った。ならん、と。
けど、聞いとらんのよ、この娘。

 何故かは知らんが「ゼロを殺すのは私です!」とか本気で息巻くクルシェフスキー。
こんな性格ではなかった筈だが、今や目が爛々と輝き、奥底に渦巻く情念が透けて見える。

 はっきり言って怖い。
け、気圧されるぅ? 儂ゃ、皇帝陛下の筈なのにぃ!? とか心の中でチビる位に怖い。

 怖い、が、もう『殺す』とか単語言っとる時点で儂的にアウトなんで、頑張った。
お前にはロイヤルガード任せておるのに、そんな事言うのは職務怠慢であろうが! とか叱りつけた。


 しかし、まぁ、それでも駄目であった。


 何故かって?
だってクルシェフスキーのヤツがこう言いおったんよ。「奥様の許しは得ております!」って。


 『条件その一:刺客の人事はマリアンヌに一任』


 ふっ、そうと知れた時点で白旗を挙げるしかなかったわ。
成る程、イルバル宮に頻繁に出入りしとったのは、この仕込みであった訳だ。
仕方無し、と、クルシェフスキー単身でと言う条件付きで許可を出さざるを得なかった。

 こんな父を赦せ、ルルーシュよ。
お前なら、きっとどうにかはなると信じておる。



 ……にしても、わからぬのはマリアンヌよ。
初っぱなの刺客からあんなにも、ルル狩るマジ狩る、な強敵を据えるとは、どう考えったって成長を促す前に殺りにいっとるとしか思えん。

 例えば、同じラウンズでもヴァインベルグとかならば、儂もここまで渋りはせんかった。
返り討ちにされて「本気だしときゃ良かった」と負け惜しみ言っとるところも割と想像がつくしなぁ。

 ふぅむ、やはり一人目からクルシェフスキーは、ちとスパルタが過ぎようと言うもの。
両親の教育方針の齟齬は、子供の成長にも悪影響を及ぼす場合があると聞く。
ルルーシュは今回ので駄目かもしれんが、残るナナリーの為にも、そこら辺の不和は解消しておくべきであろう。


 そう決意し、あれ以来マリアンヌが籠りっぱなしである黄昏の間に訪れてはみたのだが―――


 『え、えっと。……にい、さん?』

 『ダメよ、全くなっていない! そんな事でルルーシュを陥落させられると思って!?』

 『ひッ…! ご、ごめんなさぃ』

 『……ッ! そう、それ! その媚びが重要なのよ、ロロ!』


 ―――取り込み中の様なので、またの機会としよう。

 ぶるぁ。妻がわからぬ。




 ある皇帝の手記 10ページ目

 後日、エリア11より届いたのは『モニカ・クルシェフスキー卿、M.I.A』の報せ。
兄さん、妻のスパルタでも、息子はなんら問題なく育つ事が証明されてしまいました。

 それを受けたマリアンヌも「まだよ! 例えモニカが敗れようとも、第二、第三の刺客が……!」とノリノリです。

 もう、放っておこうと思います。







  色欲のルルーシュ Return???『FLUKE REBELLION ~1~』 おわり







 あとがき

 陛下、誕生日おめでとう。
今日、新シリーズが告知されたとか、されないとか、よくわかりませんがホントなら嬉しい限り。お久しぶりです。どうも鈴木です。
久しぶりなのに、期待してくれていたかも知れないモニカの修羅場でなくてごめんなさい。エロくなくてごめんなさい。
まずは、ここまで遅れたにも関わらず感想下さった方、読んで下さった方に感謝を。

 で、今回。
更新しなかった間に設定を少し練り直したからこその、明日の為のその1、と言うことで今回の話如何でしたでしょう?
前回の更新時に頂いた感想で、『原作の設定をちゃんと考えてる』的なお言葉が非常に嬉しく、心に残ったんですが、さっそく設定を考えずの内容になった事、お詫びします。
それでも良きゃ、見てやって下さい。
タイトルは良いのが浮かばなかったんでスルーの方向で。

 あと先に、もしかしたら反応があるんじゃないかと思っている二つだけ。
マリアンヌ→戻って来てるが別に近親行為に及んではいない。
TS→もうこれ以上はない。
マリアンヌ逆行とロロTSの理由につきましては、(大したタネもないですが)これからの物語上で明かしていきたいと思ってますので、どぞヨロシクです。
それでも反応が恐くて仕方無いところではありますが、忌憚無きご意見お待ちしています。
もちろんその他、皇帝の口調だとか、もっと単純に設定、文章だとか、気になるところビシバシご指摘頂けると嬉しいです。

 で、次。
長期更新停止の理由を簡潔に。

 私は、携帯のmdをデータとか入れるのに活用してるんですが、書いてるモノもそこに入れてました。これが失敗。
この前(今回もですが)ネカフェで更新。→更新後、飲む。→携帯失くす。(記憶も失くす。)→翌日気付く。→探す。→無い。→どこをどう探しても本当に無い。→事ここに至り、中に入ってたエロデータとかも携帯のアドレスを通じて仲間内(特に職場)に広められたらどうしよう? とか、しなくても良い心配をしだす。→鬱だ、ちのうorz →試合終了。

 まぁ、結局特に何もなく、見つからないまま時が過ぎ、その間にDTB2始まったり、村正が蜘蛛カワイかったり、劇場版の青バジュラとグレイスおっぱいが素晴らしかったりで、心の傷も癒えたんで再開します。

 んじゃ、毎度のことで長くなりましたが、最後にもう一度、感謝を。
読んで下さった方、感想下さった方、ありがとうございました。
特に感想! 凄い救われました。
これからもよろしくお願いします。

 では、次回こそナリタの続き!
そんな遅くならない内に、また。












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