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No.36199の一覧
[0] ろりあね (完結)[午後12時の男](2013/03/10 12:46)
[1] ろりあね 2[午後12時の男](2013/02/18 21:08)
[2] ろりあね 3 (おしまい)[午後12時の男](2013/03/10 15:34)
[3] おまけ はじめての、なかだし[午後12時の男](2013/03/22 12:42)
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[36199] ろりあね (完結)
Name: 午後12時の男◆96f3d9c1 ID:7cf3b208 次を表示する
Date: 2013/03/10 12:46
犬小屋にて10万PV超えてますね。感謝感謝でございます。
犬小屋にてが暗くなってきたので、明るくてひたすらいちゃラブなものを、という気持ちで、某所で気分転換に書いていたものを、生存報告かねて投下させていただきます。

ただ基本、落書きというかノープランで書いていたのでグダグダな上にエロ薄になってしまいました。
本格的なエロは後半に書く予定ですが……次新しくやるやつはもっと抜きやすいよう気をつけなきゃなあ。反省。


********************************



 #1

 世間一般でイメージされているような、いわゆる「恋人らしい」ことを彼女としたい、と思ったわけではない。
 まして恋人のその先にあるもの――セックスだとか、結婚だとか、夫婦生活だとか、子育てだとか――そういったものともなると、想像すらできない。
 ただ彼女は、結崎耕平という少年にとって、大切で、大切で、掛け替えのない日常そのものだから。
 子供のうちから、結崎耕平という存在を形作ってきた世界の、最も大事な一ピースだから。
 それを失いたくない。
 要するにそれだけの理由で、耕平は神村みゆに交際を申し出たのである。
 いつものように彼女が家に遊びに来たその時に。
 いつものように、仕事で忙しい母の代わりに彼女が作ってくれたご飯を食べながら。
 不意に、「ねーちゃんにコイビトができたら、こうやってねーちゃんのご飯も食べられなくなるなぁ」だなんて思いついて。
 そんな思い付きが少しさびしくて。
 ならば、独り占めできる状況にしちゃえばいいや、だなんて考えて。
 だから、きっかけは、「告白」でもなんでもない、思い詰めてもいない、他愛ない冗談のようなものだった。
「ねーちゃん」
「んー?」
「俺たち付き合いませんか」
 向かいの席に座って、同じように牛のタタキを頬張りながら、耕平の幼馴染の「ねーちゃん」はきょとん、とした表情を浮かべた。
 長く伸ばした、艶やかな黒髪のポニーテールがさらりと揺れる。
 五歳も年上のくせに、こういう表情を浮かべると見た目通りに子供っぽくなる。
 実際、彼女はすごくちっこい。
 130㎝という実に九歳児の平均と同じ身長を有する彼女は、顔だちも見た目相応に丸っこく目が大きい。肌もつやつやたまご肌。
 丸っこい輪郭の頬などもぷにぷにすべすべマシュマロのようで、一日一回は彼女の頬をふにふにさせてもらわないと落ち着かない耕平であった。
 当然そんなだから、胸元も期待するだけ虚しいほどのまっ平ら。腕も太ももも細く、女性的な輪郭の柔らかさは見いだせない。 
 耕平の覚えている限り、彼が五歳のころからほとんど変わっていない姿である。
 どう見ても子供。
 どう見ても幼女。
 この見た目で、耕平の通う高校の元生徒会長で、通っている大学でサークル連合の代表を務めているとか、誰が想像できるだろう。
 一緒に街を連れ立って歩いていて、兄妹と間違われたことも一度や二度ではない。
 夕林町の妖怪チビねーちゃんとは何を隠そう、神村みゆそのひとのことなのだ。
 もっとも、そんな呼称でみゆを呼んでいたのは主に耕平だけであったりするのだが。
「何、こー君、ねーちゃんをそんな目で見てたんだ?」
「まあそんな」
 突然の告白に慌てることも騒ぐこともなく、いつもと変わらないフラットな返しをしてくるみゆに、しかし耕平も大してショックも受けなかった。
 むしろ、まあそんなもんだろうなー、とか思ってしまう。
 幼馴染の彼女は耕平の顔色を見て一瞬でこっちの考えていることを察することができる。思い付きで告白したのなんかバレバレだろう。
 何より、そう、幼馴染なのである。
 ご近所さん同士、家族同然姉弟同然に育ってきたわけで。今更そんな二人が交際しようと言っても、耕平自身想像しづらい。
「……まいったなー」
 だから、頬をかきながら若干照れくさそうにしているみゆをみて、むしろ耕平は少し狼狽してしまった。
「そっかー。ごめんねー気づいてあげられなくって」
「まあ好きっていうか。好きだけどさ」
「うん? ……ああ、そういう告白なのね、コレ。ねーちゃんのご飯なるべくずっと食べたいから、先に差し押さえとこう的な」
 やっぱりバレバレだったようだ。
 今更なので耕平も焦りしない。開き直って胸を張る。
「まあそんな」
 それでもみゆは怒るでもなく、こー君らしいなーと言って笑っていた。
「いいよ。付き合おうか。今日から彼氏彼女です」
 よろしく、と何故かテーブルの上にちっちゃい身体を乗り出して、握手を求めてきた。
 耕平ものんびりな気持ちで、手を差し出して、小さな手にきゅっと握手。
「どうも。ふつつかものですが」
「知ってる」
 あははは、とおおらかに笑いながら、みゆは握手した手を大きく上下に振ってくる。
 紅葉のように小さい手が、いつもより若干熱くなっていたことに、その時になって耕平は気が付いた。
 なんだかんだで、耕平の告白にドキドキしてくれていたということなのだろうか。
 なんだろう、自分から話を振っておいて、うまくからめとられたような気がする。
 しかしその相手のみゆはというと、もうその話は終わったとばかりに、ご飯を頬張り始めていた。
 まるで告白の現場にふさわしくない、その場限りの戯言のような、そんなやりとりだ。

「ところで明日のおかず、何がいい?」
「鮭のムニエル久しぶりに食べたいなあ」
「了解。あ、おかわり、いる?」
「お茶碗に半分くらいお願い」
「あいあい」

 ――と、まあ、こんな具合で。
 結崎耕平が神村みゆと付き合い始めた経緯は、そんな、色気も緊張感もなくのほほんとした感じだったのである。
 付き合い始めがそんな風だったので、恋人となっても対して特別なことをするわけでもなく、気づけば三か月が過ぎていた。
 たまに二人連れだって街に買い物に行くときなんぞも、一応「デート」などと言ってはいるが、やってることは付き合う前と何一つとして変っていない。
 ふらふらと買いものをして、気が向けば映画館などに入って、疲れたら喫茶店に入っておしゃべり。手を繋ぐことだけはみゆがねだって来るのでしているが、それも交際前からの習慣のようなものであって、付き合っているから特別しているというわけではない。
 そういえばキスも一度もしていなかったような気がする。
 それ以外の毎日も全く以前と変わらずで、毎日のように彼女は耕平の家に来て、家をあけっぱなしの両親に代わって家事全般を手伝ってくれる。
 炊事洗濯掃除を終えたら、一緒にテレビを見るか漫画を読むかゲームをするか――まあそんな毎日だ。
 それでいいのだ。
 世は全て事もなし。
 みゆの作るご飯は相変わらずおいしいし、たまに街に出てまったりするのも、一緒に部屋でいながらごろごろしてマンガ読むのも、居心地がよくって最高だ。
 こんな日がいつまでも続けばいいなあ、なんて思いつつ。
 しかし――そんな風に平和な日々に感謝していた交際三か月と四日目。
 事態は急変することになったのである。

 #2

 学校帰りに冷やかし半分で本屋に寄って、たまたま見つけた好きなマンガと小説の新刊を一冊ずつ買って帰ったところ、耕平の部屋がひっくり返されていた。
「………………えーと」
 いや、ひっくり返されていたというかなんというか。家具の配置が変わった訳ではないのだが。
 床に、本と、DVDケースが積み重ねられていた。
 そしてそのど真ん中では、いつものように、にぱっと愛らしく笑いかけてくるみゆねーちゃん。
「お、おかえりーこー君」
「ねーちゃん、なにしてるの……?」

 積み重ねられた荷物のうち、本のほうのタイトルを見てみよう。
 『魔法教えました!!』『苺とあま~いおとぎ話』『イマコシステム』etc...
 次いで、DVDケース。
 『こんでんすみるきぃ』『乱射』『女子高生の染みつきパンティー』etc...

 それは、青春であった。

 親の目を盗み、ネットの評判や友人の噂話で厳選に厳選を重ねて少ない小遣いの中で必死にやりくりし手に入れた、思春期の少年の努力の結晶。魂のコレクション。プライドと言ってもいいだろう。
 すべての作品にこだわりがある。すべての作品に対して、夜のお供としたときの思い出が詰まっている。

 エロ本と、エロビデオ。

「これ、没収ねー」
「勘弁してくれませんかマジでいやマジで」
 猫のプリント入りのエプロン姿で、部屋の真ん中でいそいそとエロマンガをビニールひもで縛りながら、にっこりと死の宣告をしたみゆに対し、恥も外聞もなく耕平は縋り付いた。
 いつかは処分しなくてはならないとはいえ、それらはまだまだ現役なのだ。
 親より部屋に入り浸っているみゆのことである、エロ本類の隠し場所も当然知っているだろうなーとは思っていたが、今まで何のお咎めもなしだったので油断していた。
「だいじょぶだいじょぶ。もったいないし売ったり捨てたりしないから」
「いやでもちょっと待って何の予告もなく没収は理不尽すぎ――ってこれいつの間にか見つからなくなってた佐々原憂樹の初単行本!? どっから見つけてきたの!?」
「ねーちゃんのこー君把握能力なめんな。じゃなくておちつけってばもう」
 ごつん、とげんこつが脳天にお見舞いされた。
 拳はかわいらしいのになかなかこれで重くて痛い。
 思わず耕平は頭を抱えてうめいた。
「きちんと後で返すし、おじさんにもおばさんにも言わないから。安心しなって」
「あててて……じゃあなんで没収なんてするのさ……」
「いやだって……ねえ?」
 そこで不意に作業をやめて、みゆは耕平のベッドに腰掛けた。
 どことなく不満そうに口をとがらせて、じっとりと耕平を見つめてくる。
「何なのさ」
「ねーちゃんとこー君、彼氏彼女だよね?」
「まあ、一応」
「ご飯食べたいって気持ちが先にあったにしろ、こー君、ねーちゃんのことが一応好きだから告白してくれたんだよね?」
「まあ、一応」
「こー君男の子なんだから、やっぱり女の子とキスとかエッチ、したいんじゃないかなあ、とか」
「いやそりゃしたいけど」
「なら、せっかく彼女がいるのに、なんでねーちゃんとしたいって言わないのかなあ、とか」
「……………」
「……………」
 なんとなく間抜けな空気のまま、二人は見詰め合う。
「ねーちゃん、性欲とかあったんだ!?」
「こー君どういう目でねーちゃんのことみてるの……っていやまて話題逸らすな逸らすな」
 さすがに呆れたような半眼でため息をつかれてしまった。
 うーん、とかわいらしく小首を傾げ、言葉を吟味しながら改めてみゆは言葉を継いでくる。
「まあ性欲あるかどうかはねーちゃんにもわかんないんだけど」
「わかんないのかよ」
「生理はさすがにもうあるんだけどねーあははは。まあとにかくさ。普通の彼氏彼女の在り方だから、とかさ。彼氏彼女だからエッチしなくちゃいけない、みたいなのでやるのはヤだけどさ。こー君がやりたいなら、心の準備はあった訳ですよ。そんな嫌でもないしね、こー君とえっちするの」
「……またそんな生々しい」
「今更じゃん。でさ、ねーちゃんとしては、こー君にその気があるのかないのかはっきり知りたかったわけ。なら発散できないようにしちゃえばどうかなあ、とか」
「………それなら始めっからそう聞けばいいじゃん、ストレートに」
 生まれてこの方の付き合いだ。お互いに恥ずかしいことなんか知り尽くしている訳で。
 今更性欲がどうとかそういう話題に気が引ける仲ではない。
「まあそうなんだけどねえ。そこはそういうのにかこつけて、こー君をいじれれば楽しいかなあ、とか。あはははは」
「ねーちゃん……」
 脱力感に耕平はがくりと肩を落とした。
 まあ確かに、みゆは基本的にはまじめな人なので、もしせっぱつまっていたり思い詰めていたら、耕平の忠告を聞くまでもなくストレートに聞いた来たはずである。
 要するに、エロ本エロビデオ没収は、嫌がらせというかじゃれあいというか、そういう意図の方がメインだったということで。
 基本的に面倒見いいわ気配りできるわで文句なしのねーちゃんなのだが、時折、こうやって気まぐれな猫のように、はた迷惑なじゃれつき方をしてくる。
 時折しかしない分、力加減が下手というかタガが外れていることも多く、正直そこに関しては勘弁願いたい耕平だった。
「あー……とりあえずエロ本エロビデオ没収しても無意味だから」
「そうなの?」
「ネットでエロサイトなんかいくらでもあるし」
「ああ、そっか。ケータイでもそういうの見れるんだね」
 ますますもって耕平の口からため息が漏れた。
 このエロコンテンツへの関心のなさがもう、子供そのものというか、性欲は自分にありませんと言ってるようなものである。
「それに、俺、ねーちゃんとそういうことして、興奮できる気がしないし」
「ぶっちゃけるなぁ」
 言いつつもみゆの顔には怒りはない。やっぱりねー、と苦笑が漏れるばかりだった。
「ねーちゃんの見た目、子供すぎるんだよなあ」
「こー君、ロリコンの気もあるかなと思ってたけど」
「ないから。全然ないから。ていうか何を根拠に」
「さっき、こー君が騒いでた、長いことなくしてたっていうえっちな漫画。ロリロリじゃんアレ」
「いや、二次ロリと三次ロリは全く別のものだし――ていうか中身読んだのかよ!?」
「実はさっき。てへ」
「ぐぉぉぉ……」
「いやあ、でも結構読めるもんだね、エロ漫画。結構面白かったよ?」
「ぐおおおおぉぉぉぉぉ……」
 耕平は居心地の悪さにのた打ち回った。
 おかずにしたエロの内容を身内にチェックされるとか、拷問以外の何物でもない。
 頭を抱えている耕平を見てみゆはおかしそうに声をあげて笑うばかり。
「あっはっはっは」
「勘弁してくださいよ……おかずねーちゃんに読まれるとか。さすがに俺にも羞恥心とかあるんだからさ」
「やだ。結構面白かったからさ、ほかにお勧めのとかあったら教えてよ」
「全力でお断りします!!」
「あっはっはっは。あー楽しい。……あ、そうだ」
 ぽむ、と手を合わせて、今日一番の無邪気で邪悪な笑みを浮かべるみゆに、もう耕平としては勘弁してくれというほかない。
「そうだよ。なんで気が付かなかったんだろ。試してみればいいじゃん」
「……何を?」
 どんよりとした視線を向ける耕平に、対してみゆは会心の愛らしい笑み。
「こー君がねーちゃんに興奮するかどうか」
 言いながら笑みを深めて、みゆは両足をベッドに上げた。
 若干M字開脚に近い感じでゆるく足を開き、エプロンとスカートのすそをつかんでゆっくりを引き上げていく。
 白い太ももの奥、布地で出来た薄暗がりに、飾り気のないショーツがわずかに見えた。
「ねーちゃん?」
「試してみようよ。こー君とねーちゃんが、えっちなこと、できるかどうか」

#3

「試してみようよ。こー君とねーちゃんが、えっちなこと、できるかどうか」
 そんなみゆのセリフを最後に、間抜けな沈黙が落ちた。
 きっかり一分間静寂は続いて、まず口を開いたのはやはり耕平の方だった。
「ねーちゃん?」
「はいな」
「正気?」
「本気じゃなくって正気を疑うんですか」
「いや、だってなぁ……?」
 悪びれることなくおおらかに笑うみゆに、さすがに耕平は呆れざるを得ない。
 いうに事欠いて「えっちしよ?」である。
 自分と自分の彼氏の貞操をなんだと思っているのだろう、このねーちゃんは。
「さすがに、だって。こういう流れからそういう話になりますか普通?」
「あたし達らしいと思うけどなあ」
 小首を傾げた仕草はかわいらしいが、言ってることはなんか、酷い。
 何がひどいって、たぶん彼女の言う通りなのが酷い。
「普通はもっと親密になってからだろーみたいなこと言いたそうな顔してるけどさ。今更だしねえ」
 まったくもってその通りなのだ。
 もっと相手のことを知ってから。
 もっと相手のことを好きになってから。
 そんな言い訳が通用するわけがない。
 ふつう、男女の幼馴染なんて、思春期が近づくくらいになれば気恥ずかしさなんかが先に立って疎遠になっていくようなものなのに、耕平とみゆに限っては、今も昔もべったりがっつり仲良こよしのお隣さんなのである。
 嫌いなはずがない。
 耕平も、みゆも、たぶん、互いのことを一番互いに分かっている。おそらく、互いの両親よりも。
 分かっているというか、分かりすぎているし、一緒にいすぎているので、こう恋人チックな一緒にいてドキドキ、みたいなのは絶望的に皆無でもあるのだが。
「そうかもしんないけどさ」
「ならいいじゃん。ほらほら。そういうわけで、れっつたっちみー」
 いまいち本気か冗談かわからないセリフを吐きながら、胸もくびれない子供ボディをくねらせて、スカートをめくりあげたりして誘惑してきた。
 どこかで習ったんじゃないかというくらい動き自体は自然なものだったが、いかんせん元の体型が子供子供しているので、どうもこう喜劇めいて見えてしまう。
 それでも顔に淫靡な微笑を浮かべたりしていれば、まだ色気のある雰囲気になったかもしれないが、みゆの子供フェイスに張り付いているのは、なんというか、餌を欲しがってお座り状態の子犬のワクワク顔。
 性的なものがどういうものかをいまいちわかっていないまま、そうやって男をおちょくると面白いから誘惑している、みたいな、なんだかそんな感じである。
 正直、ちょっとうざい。
 なんとなく、エロ本没収とか言って変に振り回された仕返しに、ちょっと懲らしめてやろうと思った。
「……よしわかった。ねーちゃんがそういうのなら仕方ない」
「仕方ないで触られるのはなんかアレだけど、フフン来なさい――ってひゃっ!? はぅ、や、ちょ、こー君どこさわってっるの!?」
「ねーちゃんの身体」
「いやそうだけど!! ちょ、まっ……あは、あはははっ! まって、脇は、脇はなしだからぁ!! せめて触るにしてももっとアダルティに、あはっ やはは、にゃはははははっ!」
 もちろんそれで、はいそうですかと止める耕平ではない。
 身もだえしながら逃げるみゆを捕まえて、思う存分彼女の体をまさぐりまくる。
 ただし、触るのは胸や太もも、股間などのきわどいところではなく、脇。
 指の動きも相手の性感を掘り起こすような優しい愛撫でなく、子供じみたわきゃわきゃとした動き。
 そう、古代より伝わりし初歩にして究極の非殺傷系高等拷問術――すなわち、くすぐりである。
 みゆはとにかく、弱いのだ。
 勉強にしても家事にしても何一つみゆに勝てない耕平が唯一彼女を確実に負かせられるのが、このくすぐりっこなのである。
「やーだね。俺だって年頃の男なのに、そういうおちょくり方するなんて許せない。よって死刑」
「やはっ、ひゅは、あはははは! やぁ、堪忍して、あはっ、べ、べつにおちょくってないし! 本気だし!」 
「なお悪いわ!」
「あははははははっ! やめっ、らめえっ あは、んにゃはははは!」
「あっはっは。可愛いなあねーちゃん。ここか? ここがええのんか?」
「やあっ、そこだけどちがうー~~~~っ!!」
 まあそんな風な感じででいじくりまわして。
 で。
 五分後。
 耕平のベッドには、あられもなく衣服が乱された状態で、くすぐりの余韻で時折ぴくんぴくんと身体を震わせているみゆの姿があった。
「ふ……勝った」
「あひ……くすぐられ死ぬぅ……」
「死なないから死なないから。でもうーん。やっぱりエロくないなねーちゃん」
「やかまひー……はひ……」
 みゆは、すごいことになっていた。
 年頃の女の子が、自分のベッドに倒れこんでいるのである。
 くすぐられて身体は紅潮しているし、目元は涙で潤んでいる。
 衣服は乱れ、肩はあらわになってブラ紐がのぞいているし、スカートも無造作にめくりあげられて下着が覗いている。
 数え役満。
 普通の女の子がこんな恰好をしていれば、大抵の男はオオカミさんになってしまうこと請け合いの状況だ。
 なのに、ちっともエロスを感じない。
 まんま小学生な子どもボディという一点がすべてを台無しにしてしまっていた。
 プロレスごっこですごい格好になった女の子、といった風にしか見えない。
 やっぱりねーちゃんに欲情するのは無理だなー、などと再確認する耕平だった。
「ねーちゃん……かわいそうな子」
「うう、うっさいー……」
「ていうかねーちゃん。いつまでもそうしてないでそろそろ服直そうよ。もう回復したでしょ」
「むー」
 悔しげに頬を膨らませつつ、これ見よがしに腰をくねくねさせて下半身を見せつけてきたりしているが、もうまったくもってノーダメージ。
 ぱんつも丸見えなのだがもうまったく全然反応だにしない。
 いい加減無駄な抵抗はやめなさいよとたしなめながら、耕平はめくれ上がったみゆのスカートの裾を直そうと手を伸ばして――ふと手が止まった。
「………ねーちゃん」
「ん? なに?」
「ごめん」
「ふえ?」
 さすがに平常モードに戻ったらしいみゆは、しかし謝罪の意味が分からず小首をかしげる。
「……えっと。その。ごめん、パンツ汚させちゃった」
「……?」
 みゆはぱちくり、と目を瞬かせた。
 まあ、くすぐりに弱い人間を延々責め続けたらそうなるのもしかたない。
 くすぐると身体が緊張したり弛緩したりで制御がきかなくなるわけで。
 状況によっては、そりゃ大人であっても少しちびったりはすることもあるわけで。
 そう。
 耕平は、ショーツの中心部にちょこんとできていたシミを見つけてしまったのだ。
 恥ずかしいところを見てしまったというのはもう今更なのでどうでもいいが、下着を汚させてしまったとなるとさすがにきまりが悪い。
「………」
 みゆは怒るでも恥ずかしがるでもなく、無造作に汚れたショーツに手を伸ばして確かめている。
「さすがに、ごめん、やりすぎたかも――って、ねーちゃん、一応いい年こいた女の子なんだからパンツ触った指の匂いかぐの止めようよ……」
「こー君」
「は、はい」
「これ、ちびってないよ?」
「………はい?」
「………」
「………」
「えっと、それ、じゃ」
「うん」
「………あいえき?」
「たぶん」
 多分かよ、という突っ込みも忘れて思わずガン見してしまった。
 きわどすぎるネタ振りをしたにもかかわらず、みゆはショーツを隠そうともしないで耕平の見られるがままになっている。
 飾り気のない白の下着。
 もう少しは色気のある下着をみゆが持っていた持っていた記憶はあるので、まあ多分、この展開も、もとから狙ったものではなく本気でその場の思い付きによるものだったのだろう。
 そんな、年齢不相応で見た目相応な小学生ぱんつ。
 脆弱な場所を覆っているクロッチ部の中心に、ほんのわずかにだが、じんわりと広がっている染み。

 ちんこ、たった。 

「あー、こー君、染みパン好きだったっけ」
「………すいません大好きです」
『女子高生の染みつきパンティー』
 没収されかけていたDVDのケースを横目に見ながらのみゆの言葉に、あっさり素直に答えてしまったのは、やはり耕平も動揺しているからなのだろう。
 そう。染みパンである。
 愛液で染みた、ショーツである。
 すなわち、男の夢。人類の宝である。
 愛液とは、男の勃起と同じく女が性的に興奮していることの何よりの証明だ。
 いや実際には刺激を受けて敏感な陰部を守るために自然に分泌されちゃったりもするのだがそれはそれとして、ともかくポルノの記号的にはそうなのだ。
 男が身勝手に気持ちよくなるのではなく、女もきちんと性感を覚えているということ。
 そしてそれが着衣状態のまま、すなわち満足な愛撫も受けない状態で興奮して分泌され、下着を汚すということ。そのギャップ。
 つまり、女が性的に興奮していること、そしてその結果として起こる着衣の汚れによって示される生々しさとはしたなさ、翻って性的興奮を覚える前の清純さ。その三つの要素を鮮烈に強烈に想像させるのが、すなわち染みパンなのだ。
 エロ的イメージファイトのオカズとしてこれほど抜けるものなどありはしない(耕平的価値観)。
 それを、みゆが穿いている。
 というより、耕平がくすぐった結果、みゆの穿いていたぱんつに染みができたのだ。
「え、でもなんで? 俺くすぐってただけなのに」
「何言ってんの。くすぐりだって立派なアイブじゃん」
 まあたしかにみゆの敏感な場所をまさぐりまくっていたわけで。
 触感に対して敏感ということは、つまり『感じやすい』場所なわけで。
(くすぐりに弱いってことは……ねーちゃん、もしかしてすごく感じやすい?)
 それはひょっとして、小っちゃいくせして、見た目小学生なくせして、実はすごくエロい身体、ということなのか。
 性的な愛撫でなくふざけ半分のくすぐりで性的に反応して、愛液で下着を汚すぐらいに。
 ごくり、とのどが鳴った。
「さわっていいよ?」
「い、いいのですか」
 すべてを見透かしたかのようなタイミングでのみゆのセリフに、耕平はさっきまでのノリで「何言ってんだバカ」と返すことができなかった。
 さっきまでどれだけあられもない姿を見せられてもピクリとも反応しなかったのに、それが突如として、実はものすごくエロいのだ、と突きつけられた様な気がして――
「いいよ」
 ん、とみゆは少し腰を動かす。
 さすがに彼女も少し恥ずかしくなってきたのだろうか。
 若干、頬が赤くなっている気がした。
「だって、ここ、こー君が触ったから濡れたんだよ。だからこー君は触っていいの」
 ほんの少し、恥ずかしげに。
 どこかしおらしい、そんなセリフ。
 いつもと違うみゆの調子に、ただただ耕平は混乱するばかり。
「え、えっと。じゃあ」
 恐る恐る指を伸ばす。
 触っていいよと言われて耕平も触る気満々になってはいるが、しかしいざとなってはどう触ればいいかなんて全く分からない。
 腫れ物に触れるような気持ちで、指先を濡れている場所にちょこんと添えてみた。
 濡れた感触がするかと思ったが、思ったより布地はさらさらしていた。汚れてはいるが、クロッチで吸収しきれないほどの量ではない、ということなのだろう。
 ただ――ひどく、温かかった。
 愛液を分泌した――少なくともその程度には興奮したみゆの秘部の熱量が、柔らかで繊細な布地越しにも、生々しく伝わってくる。
「ん……」
 ほんの少しだけ、みゆの肩がぴくんと震える。
「ねーちゃん?」
 なんだか不安になってみゆを見るが、耕平が見たのは、少し恥ずかしそうにしているにしろ、おおむね平常運転の笑顔を見せるいつもの「ねーちゃん」だった。
「あははは。まいったなー。ねーちゃん、こー君におまんこ触られちゃってるんだぁ」
「そういうことあけすけに言うなよもう……」
 肩を落としてため息をつくが、おかげで、何だか変な緊張が解けたような気がする。
 でも、指は離さない。
 なにしろ、みゆの、ねーちゃんの愛液が染みた下着なのだ。
 少し指先を動かしてみたが、抗議してくる様子もない。
 改めて耕平は、指の腹を柔らかな布地に押し付けて、上下にこするようにしてその感触を確かめることにした。
「ん……ん」
 ぴくん、とみゆが再び震える。
「なに、ねーちゃん、感じてる?」
「そうかも。なんかきもちいい……」
 どこかうっとりとした声音は、先ほどみたいな稚拙な誘惑とは段違い。
 ドキドキしている。
 なんだかちょっと悔しい気もした。
「でも喘ぎ声とか上げないのな」
「こんなゆっくり触られただけでアンアン喘ぐ訳ないって」
「そりゃそうか」
 そういいつつも、みゆの息がだんだん熱くなっている。
 もどかしげに、身体の姿勢を入れ替えるようなしぐさで身じろぎする頻度も上がってきている。
 瞳もどこか落ち着かなさそうに揺らめいていた。
「あ……」
「なに、どうしたの?」
 そして、気づく。
 じわりと。本当にわずかなものだが。指先にぬめり気がふれた。
 布地が愛液を吸いきれなくなったということなのだろう。
 改めて見れば、確かに白い布地にできた染みが随分と大きくなっている。
 粘液に濡れて指先の感覚も敏感になっているのか、下着越しに感じられるみゆの肉体の感触もより生々しくリアルになったような気がする。
 ぷりっとした割れ目とか。その上にちょこんと乗っかっている小さいお豆さんだとか。
「濡れてる……」
「まーだから、こー君はその気になってくれたわけだし」
「いやそうじゃなくって、シミ、広がってきてる……」
「………」
「……………」
「気持ちいいしね」
「開き直ってるのか素直になってるのか、なんなんですかそのコメント」
 どこまでもエロい雰囲気になりきれないのは、やはりねーちゃんだからなのだろうか。
 おかげで緊張しすぎることはないが、こうも小出しに萎えポイントを挟まれては、正直本番まではできる気がしない――
「ん……そろそろ、服、脱いだ方がいいのかな?」
「な、なんですと?」
 唐突な発言に耕平の声が裏返っても、みゆはいつもの調子でにっこり笑う。
「だって、えっちは裸でするものじゃん。結構濡れてきたみたいだし、そろそろ次かなって」
「さ、最後までする気ですかっ!?」
「ここまで来て何をいまさら」
 まあさすがに濡れぱんつ触っておいて、それでおしまいっていうのも変かもしれないが。
 てきぱきとした様子でエプロンをひっぺがし、サマーセーターに手をかけて――しかしそこでふと思いついた様子で手を止めた。
 なんとなくいやな予感がする。
 予想通りに、みゆはにまー、とこれ以上ないくらいにかわいらしくて意地悪な笑みを向けてきていた。
「こういうのは男の子が脱がすものだよね、たぶん」
「えー……いやそりゃそうかもしんないけど」
「というわけで、よろしくね」

 ベッドの上に、女の子が一人。
 ぱんつを濡らし、続きをしようと、服を脱がされるのを待っている。

 逃げ場、無し。

「お……おう」
 なんだか今までなし崩しにこんな状況になってしまっていたが。
 ここにきてようやく、耕平は腹をくくった。

#4

 緊張の面持ちでみゆの衣服に手を伸ばしかけた矢先に、脱がせろといった本人からストップがかかった。
「あ、その前に、ちゅー、しよ」
 さらなる追い討ちだった。
「いきなりこのタイミングでそういうおねだりしますか……!?」
「えーなにそのリアクション。彼氏君は嫌なの? 彼女とのちゅー」
 いちいち彼氏君などという呼び方をして来るあたり、本当に性質が悪い。
 さすがにこう、直球で来られるとやはり恥ずかしさが先に立つ。
 なんせ相手は、ねーちゃんなのである。
 彼氏彼女の関係ではあるが、それよりもやはり気分的には本当の姉と接しているような気分が先に立ってしまう。
 だけどそんな言い訳など、みゆが許してくれるはずもない。
「いいじゃん。これからえっちしよってんだから、ちゅーくらいはやってくんないと」
「うぐぐ」
「なあによもう。踏ん切りつかない子だねー」
「恥ずかしいんですよ……!」
「今更じゃん。昔だってめっちゃやってたじゃん、ちゅー」
「子供の時の無邪気なキスをカウントに入れないでくださいよ!」
 とはいえ、キラキラした瞳で期待されると、なおさら何も反抗できなくなる耕平だった。
 甘やかしすぎているのか飼い慣らされているのか。
「ああもう……やります。やりますから」
 深呼吸をして心を落ち着かせた後、耕平はみゆの肩をつかむ。
 そんな耕平に、みゆはというと、にぱ、と、愛らしいしてやったり顔。
「お、やった。やってくれるんだ」
「……いちいち茶化さないでよ……」
「あははは、ごめんごめん。でもこういう時のこー君って、ほんとチョロいよね」
「なにそれ」
「素直でかわいいってこと」
 けらけらと笑いながら、耕平を馬鹿にしてる様子は全然ない。むしろ耕平に向けられているのは、可愛い子供を慈しむ目。
 恥ずかしさを紛らわせる気持ち半分で耕平はみゆを抱き寄せた。
 サマーセーターの柔らかい生地越しに感じるみゆの体温は、ひどく熱い。
 彼女もなんだかんだでドキドキしているのか。それとも単に子供体型に合わせて体温も高めなのか。
「………えへへ」
 見詰め合う。
 みゆはみゆで何か意識をしているのか、どこか嬉しそうにはにかんで見せた。
(可愛いんだよなあ)
 改めてみゆの顔を間近で見て、つくづく耕平はそう思う。
 そう、可愛いのである。
 ぱっちりた目も、柔らかそうな顔の輪郭も、すっと伸びた眉毛も、艶やかな流れるような髪の毛も。どれをとっても一級品。
 容姿の整いすぎた美人はともすれば近寄りがたさも帯びそうなものなのに、そこに歳不相応な幼さと、「ねーちゃん」らしい、ざっくばらんで明るい笑顔が加わって、ぎゅっと抱きしめたいような愛嬌がある。
 一言でいうなら、完璧。
 まあ基本ラインがロリロリではあるのだが。
「ねーちゃんってつくづく妖怪だよな……」
「照れ隠しはいいから」
 笑いながらそんな軽口の応酬をして。軽く目を閉じて、ん、と顔を突き出された。
 薄く桃色に色づいた唇には化粧っ気のかけらもないが、それでも形がいいためか色がいいためか、ほのかに甘そうに見える。
(ねーちゃんの唇、どんな味なんだろう)
 不意にそんなことを思って。
 だから耕平が最終的にキスに踏み切ったのも、みゆに対する気持ちというより、そんな好奇心に押されてのことだった。
「……んぅ」
 一瞬だけ触れ合って、すぐに離れる。
 ぴりっと、唇がしびれた。
 舌など出していないはずなのに、なぜか、甘ったるいものを感じる。
 ふわりと胸が温かくなった。
(ねーちゃん……)
 その感触を確かめたくて。
 唇が触れ合った瞬間にみゆが漏らした吐息が、無性にいとおしくなって。
 それをもう一度確かめるため、今度はみゆへの気持ちに背中を押されて、耕平は再びみゆの唇を求めた。
「ん、んん……っ」
 わずかにびっくりしたような気配。
 唇を動かすこともなく、当然舌を入れるような高度な真似もすることなく、ただ触れ合い、互いの吐息を確認する。
 耕平が顔を離したのは、丸々一分たってからのことだった。
「えへ。えへへへへへぇ」
 至近距離で再び見詰め合って。
 みゆが見せたのは、ふにゃあ、とふやけまくった笑顔。
「やー、久しぶりにするとっていうか、彼氏彼女のちゅーだとやっぱり恥ずかしいねえ」
 そう言いつつ、ものすごく盛り上がっているらしい。
 うれしさが有り余ってか、ぎうぅぅ、と抱き付いて来たり。ゆるく握った拳でポカポカと耕平の胸を殴ってきたり。
 そんなじゃれ付き方もなんだか子供っぽくて、耕平はなんだか笑ってしまった。
 みゆもつられて笑ってくれる。
「そういえばさ、こー君の正真正銘のファーストキスの相手、ねーちゃんなんだよ?」
「? なにそれ」
「こー君が生まれてね、ねーちゃんが病院に見に行ったとき、可愛かったからちゅーしたの。したらおばさんすごく拗ねちゃってさ。
 耕平の初めてのちゅーは私のはずだったのにー! とか言って」
「そういえばねーちゃん、昔はすげーキス魔だったよね……」
「こー君に対してだけね」
 きぱっと言われてしまって、もう恥ずかしくてどうすればいいのか。
 こういう時のみゆは、ほとんど反則的に可愛いから困る。
 何が困るって、本気でドキドキしてしまいそうで――
「さ、じゃあ続き続き。脱ぎ脱ぎさせてね?」
「ほんとに最高に最悪のタイミング狙ってきますね、ねーちゃんは!」
 ちょっといい雰囲気になったかと思えば、これである。
 つくづく実感する。一生彼女には勝てる気がしない。
 いつもこうやって振り回されてばっかりだ。
 せめてもの仕返しに、あとでもう一回くすぐり倒してやろうと心に決めた耕平だった。

 後から思えば――彼女もやはり恥ずかしかったのではないだろうか。

 #5

「やーん、こー君の手つき、やらしいー☆」
「くすぐり殺しますよこん畜生」
「あはは、でもさーけっこー上手いね、こー君。誰かの服、脱がせたことあるとか?」
「馬鹿言わないで下さいよ今日の今日まで童貞ですよ。知ってるでしょうが。
 ていうかねーちゃん、あんだけはしゃいどいて俺に今まで彼女とか居てほしかったのかよ?」
「もし居てたら、ねーちゃん泣いちゃってたなあ」
 どないせえと。
「女の子は少々めんどくさいくらいの方が可愛いアピール?」
「自分で言っちゃう時点でもうダメダメだよねそれ?」
 ある意味いつも通りな会話をしつつ、みゆの服を脱がしていく。
 服を脱がす時にどうしてもみゆの肌に手が触れてしまったり、しゅるしゅるとかすかな衣擦れの音が聞こえたりで、生々しさは半端なくなっているのだが、先ほどのキスで騒ぎすぎたのか、不思議と耕平は、むやみにキョドったりすることはなかった。
 まあなんだかんだで女の子の服を脱がせているわけで、ドキドキはしているのだが。
(もしかしたらねーちゃん、これも見越してたのかなー……)
 小さいころ、耕平はねーちゃん子だった。
 お泊り会などをしたとき、耕平はずっとみゆに抱きしめられたりキスをしてもらったりして、寝付くまであやされたりしたものだ。
 そのころの記憶というか、刷り込みがまだ残っているということなのだろう。
 唇にみゆの感触が残っている。
 ぎゅっと抱きしめられた温かさがまだ胸元に残っている。
 どきどきして、ぽかぽかして、でもすっと心が落ち着くような、そんな気がする。
 いつもならばこんな状況、恥ずかしくてたまらなくって暴れているところだ。
「? なに、どしたのこー君?」
「……いや、つくづく俺ってねーちゃんの掌の上だなって」
 ふと思う。
 みゆは気づいているだろうか。
 耕平が「彼氏として」みゆに手を出そうとしなかったのは、何も彼女の容姿が子供すぎるからだけではないということに。
 すべてはみゆの掌の上。
 そんな関係自体には、実は不満はない。
 それこそが、耕平が生まれたからずっと築き上げてきた、二人の、もっとも自然なあり方だから。
 でも、「彼氏彼女」としてはどうなのか。
 さすがに自分は、みゆにリードされっぱなしではないのか。
 交際のあり方は人それぞれ――なんて言っても、さすがに限度がある気がする。
 まして、性行為となると――
「そんなことないよー?」
「そんなことあるって」
「ないない、ないって」
 笑いながら首を横に向ける。みゆの視線の先にあるのは、先ほど没収未遂にあった耕平のお気に入りエログッズ。
「だってほら、ねーちゃん、こー君が二次ロリが好きで染みパン大好きとか知らなかったし」
「せっかくこっちがえっちなことしようって乗せられて来てるのに、せめて根底から萎えさせる発言だけは止めませんか……」
 ほら、やっぱりこうなのだ。
 こちらの気持ちがうじうじしてきたのを察して、ちゃっかり茶化されてしまった。
 そんな馬鹿な会話をしながらも、どんどんみゆの肌があらわになっていく。
 ブレザーを脱がし、スカートを脱がし、ブラウスも脱がす。
 そのまま飾り気のない、子供っぽい下着上下に手をかけかけて、やっぱりそこで躊躇した。
「……最後まで行くの?」
「行っていいと思うよ?」
 さすがにここまで脱がせるとなると、どうしても緊張してしまう。
 しょっちゅうくすぐりっこをしているので触りなれた身体のはずなのに、子供そのままな細腕や、うすっぺたなくせに恐ろしく柔らかい胸元に触れると、生々しさも段違い。
「じゃ、つぎ、ぱんつねー」
 妙にリラックスしてそう言われると、気が抜けるやらちょっとむかつくやら。
「ねーちゃんは恥ずかしくないの?」
「んー、だって今更じゃん。一緒にお風呂入ってた時と変わんないでしょ、ほとんど」
 それは確かにその通りなのだが。
 かすかに色づいているだけでほとんど肌色のままの乳首だとか。
 体格に比して内臓の体積が大きいために、ちょっとポッコリした、いわゆるイカ腹だとか。
 みゆの言うとおり、もう十年以上前、一緒にお風呂に入った時に見ていた彼女の裸そのままだ。
 ではあるのだが、えっち目的で脱がしているのに、そこまで自然体で接されたら、耕平としても反応に困るというか、さすがに男として微妙な気持ちになってくる。
「でもちょっとドキドキはしてるよ?」
「ホンマかいな」
「ホンマホンマ。後で確かめたらいいよ」
「ああ、つまりあとで胸触れと」
「アイブはきちんとしないとねー」
 本当、こういうことをフラットに言ってくるからねーちゃんは困りものなのだ。
「脱がすよ」
「ん」
 わずかにみゆが腰を上げ、耕平は腰にまかれた布きれに指をかける。
 女性らしい丸み少ない体型とはいえ、やはり太ももやおしりには肉感がある。
 下着を脱がしにかかればその柔らかさをどうしても指先に感じることになるわけで。
 加えて言うなら、もう二十歳は越えているはずなのに赤ちゃんのごときすべすべ肌はもう反則なんじゃないかと耕平は思った。
「何か……」
「うん?」
「……えっちなことしてるんだなあ、俺とねーちゃん」
 なんて今更ながらに思ったりもする。
「うれしい?」
「なんか不思議な気分」
「ねーちゃんも」
 少し汚れた布地がみゆの下半身から離れる瞬間、ぺり、と何かが剥がれるような感触があった。
 愛液が乾きかけて、下着のクロッチ部とみゆの秘部が張り付いていたのだと、少し間をおいて気が付いた。
 そして間髪入れずに最高で最悪の追い打ち。
 すべての衣服を脱がされて、生まれたままの姿となった少女がそこにいる。
 ねーちゃんの裸体を思わず視界にとらえてしまって、そして耕平の顎が、かこんと落ちた。
「俺、逮捕される気がする」
「何バカなこと言ってんの」
 一糸まとわぬ姿となったみゆ。
 まずなにより注目すべきは、その股間だ。

 つるつる、だった。

 つるつる、であった。

「ねーちゃん、何歳だっけ……?」
「にじゅうにさい☆」
 ありえない。物理的にありえない。
 しかもそんな子供そのままな秘部なのに、くすぐりのせいなのかそれとも耕平に脱がせてもらって興奮でもしてたのか、絹糸一本挟み込むのがやっとという造形のすじ周辺が、じっとりと何かに濡れているように見える。

 おとなのくせにろりまんこ+愛液=なぞの異次元。

 もう何が何やらわからない。
 何が分からないって、それで耕平の下半身がしっかり反応しちゃってるのが一番訳が分からない。
「うん、やっぱり、こー君ロリコンだと思うな。さっきこー君は否定してたけど」
「いや、えっと」
「うれしいなあ、こー君、ねーちゃんの身体でこーふんしてくれてるんだぁ」
「いやこれはえっとその、これでおっきしてるのはなんというか、ねーちゃんが濡れてるとかそういうプレミア感のおかげとかそういうのじゃないかと思われますが!」
「あ、こー君、愛液も好きなんだ? パンツにしみてなくっても」
「……ええもう大好きですよ。大好きですともさ!」
 ズボンを押し上げビバーク状態になった下半身を凝視されつつそんなからかわれ方をして、もう何だか、何もかもどうでもよくなってきた耕平である。
「ていうかひとを捕まえてまたロリコンロリコンって。何を根拠に」
 ぐったりしながらぶちぶち文句を垂れると、きょとん、と心底意外そうな顔をされた。
「うん? 自分で分かってない?」
「? 何が?」
「こー君、ねーちゃんの身体、しょっちゅう見てるじゃん。それもおしりとか太ももとか、きわどいとこばっかり」
「……見るたびに、『ねーちゃんエロくねーなー』とか言ってた気がするけど」
「言ってない時も見てるし、そもそも、こー君、お笑いの天丼、やりすぎは嫌いだよね?」
 一日三回は言ってる気がするけど、などとみゆは言ってきた。
「……そうだっけ?」
「うんそう」
 言われてみればそんな頻度でみゆをからかっていた気がする。我ながら割とデリカシーないなーなどと、どうでもいいことを耕平は考えたりもしたが、それはさておき。
「だいたい、ねーちゃんの身体がエロくないっていうなら、それ確認するの、一回だけでいいよね? なのにしょっちゅう見てるし」
「……そうだっけ……?」
「うんそう」
 そんな自覚は、正直ないのだが。
「ええと、つまり……?」、
「こー君優しいから」
「……ごめん、話が飛躍しすぎてて訳がわからない」
 恐らく彼女の中で何度も何度も繰り返し考えてきたことなのだろう。えっとね、といったん息継ぎをして、しかし、すらすらとみゆは言葉をつないで来た。
「こー君、ねーちゃんとえっちなことしたいんだよ。でも、ほら、ねーちゃんってば、身体がこんなでしょ。身体が子供ってことは、そーいうことする準備もできてないってわけで」
 130㎝。実に九歳児の平均と同じ身長。
 臀部も骨盤も未発達で、出産はおろか性行為だけでも身体に大きな負担がかかるだろうことは想像に難くない。
 つまり、耕平は『ねーちゃんとえっちしたいけど滅茶苦茶にしちゃいそうだから俺はロリコンじゃねえ』と自分に嘘ついて、YESロリータノータッチの精神で見るだけモードに入っていたのではないか、というのがみゆの考えらしかった。
「ええと、つまり」
「うん」
「でもやっぱり見るだけじゃ物足りなくて、でもやっぱり見るだけにとどめるしかなくて、頻繁にねーちゃんの身体を見て、心のどこかで興奮して、でもそんな自分に対する言い訳として「ねーちゃんエロくないなー」とか言いまくってた……?」
「じゃないかなあ、とねーちゃんは思ってる」
 耕平は頭を抱えた。
 何をバカなことを、と思ったからではない。
「どうしよう、何かよくわからないけどすっごいしっくりくる……」
「あっはっは。やーい、へーんたーいさーん☆」
「俺はロリコンだったのか……」
「いや分かんないけどさ」
「え、ここまで引っ掻き回しといてそこであっさりひっくり返すのかよ!?」
「半分は願望だしねーあはははは」
 さすがに耕平は地団太を踏みたくなった。
 あくびれることなくいたずら半分で幼馴染を変質者扱いするあたり、このねーちゃんも大概である。
「だいたい一応、ねーちゃんが年上なんだから、ねーちゃんに興奮してるならシスコンだしね?」
「うん、いいから。そんな言葉遊びもうどうでもいいから……」
「あっはっは」
 いつものように気楽に笑いながら、みゆが特にどういうこともないという仕草で顔を寄せてきた。
 ちゅ、と、不意打ちの口づけ。
「ばーか」
「……ねーちゃん?」
 戸惑うばかりの耕平に向けられたのは「ねーちゃん」の表情だった。 
 大好きなおねえちゃん。
 いつもにっかりと笑いながら、いつも耕平を引っ張ってくれる――
「こー君の悪い癖だよねえ。頭は回るんだけど中途半端というか、気持ちと釣り合ってないっていうか」
 ぽんぽん、と細い手を伸ばして頭に手を載せてきた。
 困った子だなー、みたいな、そんな笑い顔。
「ねーちゃんと一緒にいたいってそんな理由でコクハクしてきたのに、『彼氏彼女』って言葉にこだわりすぎなんだよね、こー君は」
「………」
 何も言えない。
 まさかそこまで見透かされてるとは思わなかった。
「いいじゃん。今のままで。今のままでえっちしても、良いじゃん」
 そう。それが耕平が、みゆに手を出さなかった理由の一つだ。
 というより、それこそが核心と言ってもいいだろう。
 彼女が先に言った通り、みゆの身体が性行為に耐えられないほど小さいというのも確かにある。
 でもそれだけではない。耕平は確かに『彼氏彼女』という言葉にこだわっていた。
 みゆと耕平の関係は、何なのか。
 耕平はみゆのずっとそばにいたい――「ねーちゃん」と「こー君」の関係をずっと守りたくて、その言い訳として「彼氏彼女」という関係を持ち出した。
 ふたりは、「彼氏彼女」という言葉でくるみながら、でも実質的には「こー君」と「ねーちゃん」の関係のままだった。
 だから、考えてしまったのだ。
 彼女の身体に無理をさせてまで肉体関係を結ぼうとするなら、もっと、ちゃんと、自分たちの関係を考え直さないといけないのではないか。少なくともそれだけの覚悟が必要なのではないかと。
 そこをあいまいなまま先に進んでしまうのは、耕平の中で、みゆをないがしろにする行為のように思えたのだ。
 でも、みゆは言うのだ。
 今のままでいいじゃん、と。
 今のまま、「ねーちゃん」と「こー君」の関係のまま、えっちをする。
 それが何か悪いことなのか。と。
 敵わないなあ、と耕平は改めて思った。
「ねーちゃん、こー君のこと好きだからね」
「それは、その、えっち、してもいいくらいに?」
「何度もそう言ってるじゃん」
「…………じゃあ、けっこん、は?」
「調子のんなよー」
 あははは、といつもの笑い顔でぽかりと殴ってくる。
「うん。でもいいかもね。こー君と結婚するのも」
 あっさりとこう返してくるのが、神村みゆという少女なのだ。
 ほんともう、敵わない。
 だからこそ、観念して、耕平は今更ながらに悟るのだ。
 うん。やっぱり俺は、こんなねーちゃんが好きなんだ。
「ねーちゃん」
「なあに?」
「えっちしたい」
 だから耕平は、やっと自分の気持ちで、そう言うことにした。
 それが多分やっぱり、耕平の本心だ。
 だって、こんなバカ話してる間も、耕平の下半身は裸のろりねーちゃんを見て、臨戦状態のままだから。
 ねーちゃんと、えっちしたい。
 ねーちゃんのちっさい身体を舐めまわしたい。
 ねーちゃんのろりまんこを味わい尽くしたい。
 味わい尽くして味わい尽くして犯して突っ込んでずぼずぼにして、小さなおなかも、小さな体も、自分の精液で汚したい。マーキングしたい。
 ――ねーちゃんは、俺のもんだ。
 笑えてくる。
 さっきまで自分はロリコンじゃないとか言っていたのに、いざ欲求のまま、そっち方面に思考を巡らせてみると、なんだかすごい興奮する。楽しい。わくわくする。どきどきする。たまらない。

「うん、えっち、しよ」

 そして、やっぱりみゆの返事は、どこまでも明るくて、あっけらかんとしたものだった。


#6
 
 わたわたとした手つきで耕平も服を脱いで。
 まずは手始めに愛撫から、と胸元に手を伸ばしたところ、みゆは「こー君、もう我慢できなってるでしょ? そんな地道にしなくてもいいよ。挿れちゃお」などと見透かしたようなこと言ってきた。
 実際にその通りではあるのだが、しかしやはり躊躇してしまう。
 まごつく耕平に焦れたのか、みゆは股間に指を添わせてくぱぁと入り口を開きながら「ほらほら、こっちも濡れてるんだからだいじょぶだって」と愛液にまみれた処女膜を見せつけるというひどいアピールをしてきたので、もうたまったものではない。
 実を言えばみゆの秘部をじっくり触りたいという思いもあるにはあったが、もう限界。
 これからも多分、何度も触ることになるからまあいいか、などと思い直して、耕平は「本番」に踏み切ることにした。
 ちなみになんとなくもったいない気もしたので、その前に記念ということでみゆの処女膜をケータイで撮らせてもらった。
 後から考えればその場の空気に流されすぎたというか開き直りすぎたというか、かなり変態なことをしでかしてしまったのではないかと思う耕平だったが、それを引くこともなく笑いながら受け入れるねーちゃんもねーちゃんである。
 そんなこんながありつつ、いざ出陣。
 ――が、いきなり初手から躓いてしまった。
「………ねーちゃん」
「はいはい。なんでしょう」
「たいへんです。入る気がしません」
 いざいきりたったものをみゆの秘部に添えてみたところ、改めてそのサイズ差にビビる。
 繰り返そう。みゆのまんこは、ろりまんこんこなのである。
 くぱっと開かないと中身の肉色が全く見えない一本筋。
 紙一枚、絹糸一本挟むのがやっとという風にさえ見えるつつましい佇まいなのだ。
 対して、耕平のものと言えば特筆するほど大きくはないがそれでも平均ラインの大人サイズ。
 なんとなく、吸血鬼の心臓に丸太の杭打ち込む絵面を想像してしまう耕平だった。
 ねじ込んでもドリルみたいに回転させても入るようには見えない。
「入る入る。だいじょぶだって」
「何を根拠に」
「ねーちゃんがこー君とえっちしたいから」
 ここにきて精神論をいただいてしまった。
 要するにみゆも入るかどうかも分かっていない――というより自信がないということか。
 だけど、耕平に見せるのはいつもの余裕綽々な笑顔のままだ。
 その意図を理解して、耕平はさすがに長々としたため息を漏らした。
「………ねーちゃん、時々本気でひどいよな」
「そんなことないって」
 あっけらかんと言うのがまた憎々しい。
 その笑顔にあるのは、長年連れ添ってきた「弟」に対する絶対の信頼だ。
 性行為がみゆの身体に負担を強いるのは百も承知。
 でもみゆは知っている。どんなに暴走めいた行為をしていても、みゆが本当につらくなったら、耕平は絶対に止まるということを。
 だから、無理をしても大丈夫。
 本当に、ひどい。
 そんなことをしたら、そんなみゆの気持ちを知ってしまったら、是が非でも耕平は前に進まないといけない。
 とはいえ、どうすればみゆの身体を受け入れられるようになるかだなんて、経験のない耕平にはわからない。
(ローションとか用意してないし……)
 まずは何より、滑りをよくしないといけないだろうか。
 そんなことを思いついて、鈴口からすでに滲み出し始めていた先走りを指先で伸ばして、竿全体に塗り付けていく。
「あ、ねーちゃんもおてつだいするー☆」
 耕平が何をしようとしているか察したのだろう、ベッドの上で仰向けになったまま、細い腰を器用に動かして、みゆが擦り付けてきた。
 小ぶりな子供まんこが耕平の裏筋に触れる。
 燃えるように熱いスジと粘膜の感触に、耕平は危うく呻き声を漏らしかけた。
 ろりあねすまた。
「ねーちゃん……そのプレイはいきなり高度すぎませんか」
「でもこうでもしないと、こー君のおっきいし、入らなくない?」
「俺、死刑になるかもしれない」
「なにいってんだか」
 しかたがないではないか。
 馬鹿な会話でもしないと、とんでもない不意打ちに危うくイってしまいかねない。
「んー……やっぱりやりづらいや。こー君も少し腰動かして」
「お、おう」
 言われるままに、恐る恐る腰を前後させる。
 みゆの動きの邪魔をしないよう、肩の上あたりに手を置いて、まるでみゆにのしかかっているような態勢になって。
「せっくすって、こんなカッコになるんだねえ」
 けらけらと無邪気に笑うみゆ。
 が、少しその笑顔には硬さがあるような気がした。
 彼女らしくない感情の殺し方だ。いつも耕平を引っ張る立場の彼女でも、やっぱりいざ本番となると怖いのだろうか。
 でも、耕平は何も指摘しない。
 嫌だと言わないなら、躊躇はあっても彼女はその先を望んでいるということだから。
 みゆの女の子の場所はすごいことになっていた。
 熱くて柔らかい。
 耕平の大人サイズを押し付けられて、単なる一本筋だったその場所はほんの少しだけ綻んでいる。
 ぴんと愛らしく勃った乳首と同じく、わずかに薄くピンクに色づいた肉色が、裏筋の場所に押し付けられている。
 ただそれだけの接触なのに、幼女すじの奥に秘められていたみゆの女の肉が、どこか恥ずかしげにうごめいて愛液を分泌させる様子を感じることができた。
 ちゅく。ちゅ。ちゅ。
「ん……はぅ。ふ……ぁ」
 腰を動かすたびに、わずかに粘っこい水音がする。
 ほかに聞こえるのはシーツの衣擦れの音と、みゆから漏れる鼻にかかった吐息のみ。
 いつの間にかみゆは目を閉じて、心地よさそうに表情を緩ませていた。
 耕平としては、ドキドキしてそれどころではない。
 ねーちゃんのまんこと、自分のちんこが、触れ合っている。こすれ合っている。
 愛液と先走りがまじりあって、自分のちんこを汚している。
 どろどろになって。
 熱く溶け合って。
「気持ちい……ん、ぁっ」
 そんな、何気ないみゆの一言が、だからもう、反則で。
「う、あっ」
「は……ぇ?」
 まずい、と思った時にはもう遅かった。
 びゅ、びゅ、と音を立てて。
 びくんびくん、と哀れなくらいに肉竿は全体を震わせて。脈動を繰り返して。
 吐き出された先走りとは全く違う、青臭くて白いものが、みゆの身体に振り掛けられていく。
 量は、耕平のいつもからすれば大したものではない。それでもみゆの身体はそれ以上に小さくて、酷い凌辱を受けたように下腹部から胸元まで白濁まみれになってしまった。

 暴発。
 
「あー……」
 情けなさに声が漏れる。自分で思った以上に興奮で昂ぶっていたらしい。
「ごめん」
「…………」
 なんだか恥ずかしくてたまらなくなって、自分でもよくわからないまま謝罪を投げた。
 しかしみゆから返事はない。
「ねーちゃん?」
 呼びかけても、やはり無反応。
 どこかぼんやりした表情で、腹部にへばりついた精液の感触を指先で確かめている。
 指ですくって。指先でいじって。匂いを確かめたりして。 
 そして――
「……すげー」
 とだけ言った。
「す、すごい?」
「こー君、ねーちゃんのろりまんこすまたでイったんだぁ」
 ふにゃあ、とした笑顔は、つい先ほどキスの時見せたのと同じものだ。
 次いでぼんやりと緩んだ笑顔のままで、おなかと胸にかかった精液を紅葉のような掌で伸ばして全身に塗りたくっていく。
「あは……」
 ため息交じりの笑い声とともに、ぞくぞく、と小さな身体がわなないた。
 精液を暴発させたままの状態で固まって、みゆの女の子の場所に押し付けられたままだった耕平のものに、幼女まんこがひくんとうごめく様子が伝わってくる。
 かいしんのいちげき三連コンボ。
「あは。こー君、また元気になったね」
「どうもお手数おかけしまして……」
 ほわほわした笑みが、少しだけ弱まった。
 淫に中てられてはいるが、その瞳は、少しだけ真面目な色をたたえていた。
「なんか勘違いしてるみたいだけど、せーえき出しちゃったの、なんか抵抗ある?」 
「いやなんか、きちんとセックスする前に出しちゃったのはやっぱり」
 大した刺激もないまま射精までいっちゃったというのは、自分が早漏だと言っているようなものだ。
 恥ずかしいし、情けない。とっさに耕平はそう感じたのだが。
 しかし、みゆはというと、ふうん、少しだけ思案顔をしただけだった。
「こー君さ、ちょっと考えてみて」
「うん?」
「もしこー君がさ、ねーちゃんのこと、アイブでイかせまくったら、こー君は、うれしくない?」
「そりゃ。うれしくなると思うけど」
 自分の手で女の子が気持ちよくなる。あまつさえイってしまう。
 しかも相手は、ねーちゃんだ。
 うれしくなるに決まってる。
 テクニックがあると実感できるとか、そういう小癪な理屈ではない。
 自分が好きな子を満足させられること、それは多分、男として一番うれしい瞬間だ。
「ねーちゃんも同じだよ?」
「……ねーちゃん」
「ねーちゃんも、こー君にねーちゃんの身体でシャセーしてもらって、うれしい。だから、恥ずかしがるのはまあいいけど、情けなく思うことはないよ」
「………」
 そういうものなのだろうか。
 そういうものなのかもしれない。
 少なくても好きな人がイっちゃいまくるのがうれしい気持ちはわかるし――女と男がその点で変わらないというのは、言われてみれば確かにそうかもしれない。
「少なくともねーちゃんは、うれしいよ? ほかのコはどうか知らないけどね」
「そっか」
「うん。それにだいたい、まだこー君、元気だしね。なおさら問題なし」
 今度はにやにやといやらしい笑みを浮かべながら、みゆは完全復活を遂げた耕平のものを指さしてくる。
 ここまであっけらかんと、さも当たり前のようにみゆに言われると、気に病むのも馬鹿らしくなる。
 なら、ここは気にしないのが正解だ。
「それもそうか」
「やるでしょ? 続き」
「やりますよ。もちろん」
 つくづく耕平は思う。
 やっぱり俺は、ねーちゃんじゃないとダメなんだ。


#7

 幸いというか、それとも怪我の功名というべきか。
 耕平のものは、みゆの愛液、耕平の先走り、加えて先ほど吐き出した精液によってドロドロになっていた。
 だからあとはもう、物理的に入るかどうかだけの問題だ。
「いきます」
「どんと来い」
 なんとなく深呼吸をして気持ちを落ち着けて、改めてみゆのスジに自分のものをあてがう。
 今度は素股ではなく挿入の態勢だ。
 気を利かせたみゆが自分の指を股間に添えて、秘すべき聖域をくぱりと開いて迎えてくれる。
 染みひとつない白い肌の中心に花開くようにして姿を覗かせる肉色は、もうとにかくえろかっった。
 陰唇。クリトリス。尿道口。それに処女膜。
 耕平が知識の上でしか知らなかった女の子の場所が、作りこそ小ぶりではあるものの、欠くことなくすべてそろって目の前にある。
 むしゃぶりつきたくなるような、甘やかなみゆの、女の子の匂いも相まって、それだけでまた射精してしまいそうな酩酊感を覚える。
 意を決して腰を突き出すと、今まで気負いしていたのが馬鹿らしくなるくらい簡単に二人の粘膜は触れ合った。
 童貞の鈴口と、処女の膣口。
 性器同士の、淫靡なキス。
 
 ちゅく。 と音が鳴った。

「……ぁ……っ」
 熱い吐息を漏らしたのは、果たしてどちらだっただろうか。 
 先走りと愛液が、耕平の生殖器と、みゆの生殖器で混ざりあう。
「あ……は、く……っ」

 ぞくぞくぞくぞくぞくぞくっ

 最小限の粘膜の接触に、しかし疑似姉弟の二人はそろって背中を戦慄かせた。
 顔がぼおっと火照る。くらくらする。
 なんだかうれしくて、幸せ、心地よくて。知らずのうちに涙腺が緩んでぶわっと涙があふれてきた。
 訳が分からない。混乱してしまう。
 でもやっぱり幸せで。ああ、もう、何だかわからない。
「やべー」
 それはみゆも同じだったようで、照れくさそうに笑いながら、目元を掌で拭っていた。
「ねーちゃん、なんで泣いてんだろ……あははは、おかしー」
 そう言う彼女の顔は、またふにゃふにゃと緩んでいた。
 口元も蕩けて、だらしない笑みの形になっている。
 言葉をどれだけ積み重ねるより、それは彼女の思いを雄弁に語っているような気がした。
(ねーちゃん……)
 五歳も年上の少女に対する、愛おしさがはじけた。
 同時に胸の奥に滲み出してくるのは、申し訳なさだ。
 あっけらかんとした笑顔の奥で、彼女はどれだけ待ってくれていたのだろう、この朴念仁な「弟」の気持ちが自分の方を向いてくれるのを。
 あるいはみゆ自身もそれを自覚してはいなかったかもしれない。
 しかしそれでも、今、目の前の彼女が流している涙が何よりのリアルだ。
(ねーちゃん、ごめん)
 口には出さない。そんなことをしたらきっと彼女は怒ってしまうから。
 それでもみゆねーちゃんのことだ、耕平の気持ちなんかなんでもお見通しかもしれないが。
 だから、耕平はするべきことをするだけだ。
 みゆが耕平に臨んだこと。耕平自身が望んだことを。
「まだ始まってもねーぞ」
「ん。そうだったそうだった」
 また照れ笑い。
 みゆが頷くのを確認してから、耕平はもう一度気合を入れなおし、腰を前に突き出していく。
 ……が、下の口同士のキス以上にはなかなかならない。
 ぐいぐいと押し付けてみても、興奮に大きくなった先っぽの圧迫感が増すだけだ。
「やっぱ入らないなぁ」
「んー。難しいね」
 みゆは、しかし諦めていないようだった。
「身体の力できるだけ抜いてみるからさ。それに合わせてねじ込んでみて」
「ね、ねじこむとは」
「息を吐く瞬間に合わせてね」
 ここまで来たら是が非でも入れたいということなのだろう。
 耕平に向けて少し強引に念を押して、みゆはゆっくり深い深呼吸を始めた。
「……」
 視線でねだってくる。
 耕平も、彼女と気持ちは同じだ。決心はもう済んでいるので、ここはもうためらう場面ではない。
 彼女を見る。
 呼吸に合わせて上下する胸の動き。
 寝息のような愛らしい呼吸音。
 息を吸って、吐いて。息を吸って、吐いて。
 呼吸に合わせて、ゆっくり腰を押し付ける。
 強くはしない。
 呼吸合わせて、ほんの少しだけ変化するみゆの膣の柔らかさを感じながら、じっくりほぐすように中へ進んでいく気持ちで。
 息を吸って、吐いて。息を吸って、吐いて。息を吸って――
「お、おお?」
 思わず感動の声が漏れた。
 僅かずつ、本当に僅かずつではあるが、耕平の先端がみゆの中に潜り込んで行っている。
 くぷ、くぷ、と空気が抜けるような音とともに、みゆの呼吸に合わせて小さな膣口が開閉し、咀嚼するようなリズムで耕平を飲み込んで行ってくれた。
 ひとくち。ふたくち。
 ちゅく。ちゅく。ちゅぽ。
 小さな口を目いっぱいに開けて。頬張って。
 そして――
「……っ、ぁ……」

 ずちゅっ

「………ぁ……あれ?」
 亀頭のすべてを咥えこんで、そこからは間抜けなほどにスムーズだった。
 つるん、と吸い込まれるようにして耕平の腰は前へと進み、若干コリっとした固さのある最奥部に到達する。
「………」
「………」
 今まで四苦八苦していたのがウソのような、あっけない開通。
 二人して、きょとん、とした顔を突き合わせてしまった。
「ねーちゃん、痛くない?」
「あんまり。一瞬ちくっとしたけど。こんなもんなのかな、処女喪失って」
 ねーちゃん小さいし、もっと痛いって思ってたけど、とみゆもどこか戸惑っているような表情をしている。
 試しに少し腰を引いてみると、ぬめった耕平の竿に、わずかにだが赤いものがまとわりついていた。
 みゆが未通の乙女だった、そして耕平が彼女にとって初めての男となった証。
 だがなんなんだろう、このあっけなさは。
 苦労して最後まで進めたマゾゲーのラスボスが超ザコだった、みたいな。何だかそんな肩透かし感がする。
「ま、いいことだよ」
 微妙になりかけた空気に歯止めかけたのは、やはりみゆの方だった。
 さっきまでの困惑顔もどこへやら、ぱっと気持ちを切り替えて、耕平に向けてくるのはいつもの笑顔。
「あんまり痛がったらこー君だって萎えちゃってたかもしんないしね。続きするには都合がいいよね」
「前向きだなあ、ねーちゃんは」
「ねーちゃんだからね」
 もう苦笑を漏らすしかない。
 神村みゆだって、女の子なのだ。
 ヤりたい盛りの男子である耕平より、二人の関係の中ではむしろみゆの方がセックスを望んでいた。
 彼女だって人並みに女の子のように、初めての瞬間に対してはいろいろと夢を見ていたはずなのに。
 でもだからこそ、そんなみゆだからこそ、耕平は彼女が好きなのだ。
「ありがとう、ねーちゃん」
「なあに、改まって」
「俺、ねーちゃんが初めての人でよかった」
 身体は本当に子供そのもの。
 でもこれほどそばにいて安心できて、ゆったり優しく耕平を包み込んでくれるねーちゃん。
 こんなに愛らしくて、こんなに包容力のある女性と恋人同士になれて。こんな幸せなことはない。
 それは心からの言葉だったのだけど、しかしみゆは少しだけしかめっ面をして、耕平の頭をポカリと殴ってきた。
「こー君。ねーちゃんは悲しいです」
 そして、これ見よがしな悲嘆顔。
「ねーちゃん?」
「こー君はさ、ねーちゃんを『初めての人』にして、ほかの女の子ともこういうことする気なの? ねーちゃんはやだよそんなの」
「………あ」
「ねーちゃんは、こー君だけだよ。ねーちゃんの子供まんこ、好きにしていいのはこー君だけだよ?」
 甘えたようにギュッと抱き付いてくる。
 体格差はやはり大きくて、そうすると顔を突き合わせることもキスもできない。
 みゆが、焦れたように、少しだけ腰を動かした。
 ちゅくり、と粘膜がかきまぜられる音が聞こえる。
 今はセックスをしているんだぞ、とでもいうように。
「こー君は、ねーちゃんだけの男になってくれないの?」
 結婚したい、とか言ってたくせに。だなんて、そんなことをみゆは言った。
 ちゅくり。ちゅくり。
 愛液の音を大きく響かせて、そしてダメ押しに見せたのは、潤んだ上目遣い。



「ねーちゃん、もうとっくに、こー君の、こー君だけの女なんだよ」



「………~~~~~っ」

 反則だ。
 耕平は、返事を返すことすらできなかった。
 みゆはずるい。
 これだけの言葉でこんなにも耕平の気持ちをかき乱す。
 こんなにも耕平の理性を奪ってしまえる。
 逆らえるわけがない。
 裏切れるわけがない。
 愛さずには、いられない。
 気持ちが爆発しすぎて、もう何も言葉に言い表せない。
 呻き声のような、唸り声のようなそんな音がのどから漏れるばかり。
 だから。もう。
 気持ちを伝えるのは、行動で。

「あ。あっ……あは♡」
 
 突然荒れ狂ったように自分を犯し始めた耕平を愛おしそうに眺めながら、みゆは嬉しそうに嬌声を上げた。
 小さく細い身体が、白いシーツの上で、艶めかしく跳ねた。

<つづく>


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