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No.34688の一覧
[0] 二週目人生【GPM二次】[鶏ガラ](2012/08/18 19:05)
[1] 一話[鶏ガラ](2013/01/03 22:43)
[2] 二話[鶏ガラ](2013/01/03 22:43)
[3] 三話【エロ有】[鶏ガラ](2013/01/03 22:44)
[4] 四話【エロ有】[鶏ガラ](2013/01/03 22:44)
[5] 五話[鶏ガラ](2013/01/03 22:44)
[6] 六話[鶏ガラ](2013/04/14 21:22)
[7] 七話[鶏ガラ](2013/07/06 01:11)
[8] 八話【エロ有】[鶏ガラ](2013/06/09 18:07)
[9] 九話[鶏ガラ](2013/07/06 01:11)
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[34688] 三話【エロ有】
Name: 鶏ガラ◆f61e2f27 ID:af55ab2f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/01/03 22:44
1992年――大陸の陥落と幻獣の日本侵攻が近づいている中、俺はこれといった変化のない日々を過ごし小学五年生となっていた。
日々平穏……と、云っていいのだろうか。少なくとも後四年で確実に大陸は落ちるわけで。
着々と戦場に立つ時期が近付いてきているものの、今の俺に出来ることなんて勉強、トレーニング……そんなものだった。

焦りを感じないこともないが、焦って何かをしたところで変わるものがあるわけでもなし。
世界全体の流れからして、一人の人間でしかない俺という存在はあまりにもちっぽけだった。
まぁ、だからと云って何をしても無意味、と悲観したりはしないけれども。
流石に人生経験はそれなりの量を積んでいるんだ。一人の人間としての分をわきまえてはいる。
泣き喚いてそれで世界が救われるならそうするが、何も起きないのならする必要はない。そんな理屈。
だったら焦ったりする分無駄なのだから、その日がくるまで好きなように過ごすさ――というのが、俺の考えだった。
人によっては諦観に満ちていると取られるかもしれない考えだが、これでも一応、個人的には随分と前向きなつもりなんだけどなぁ。

なんてことをつらつら考えていると、軽いインターフォンの音が鳴り響いた。
はいはい、と自室を後にし玄関にたどり着くと、ドアを開く。
訪ねてきたのは萌だった。俺たちは基本的に彼女の家で遊ぶのだが、今日は珍しく、彼女が俺の部屋で遊びたいと言い出したのだ。

「いらっしゃい。無事に着けた?」

こくり、と首肯。
ゆるくウェーブのかかった髪が、ふわりと揺れる。

ちょっと待ってて、と彼女を待たせると、俺はリビングへと向かい準備していたお茶請けを手に持ち、再び彼女の元へと戻る。
今日は町内会の集まり――という名の主婦仲間の集まりに母さんが出ているため、家にいるのは俺だけだった。
なのでお茶請けなりなんなりを自分で準備する羽目になったのだが――まぁ別にこんなのは労力の内に入らない。

萌はあまり炭酸系が好きじゃないようなので、飲み物のチョイスは午後ティー。
俺も別に紅茶は嫌いじゃないので構わない。どちらかと云えばコーヒー党ではあるのだけれど、缶コーヒーも缶紅茶も、味にこだわるような代物じゃないしな。

「そういえば萌ってさ」

「……うん」

「好きな飲み物ってなんなの?」

「……砂糖がいっぱい入った紅茶が、好き。
 けど、ジュースも好きよ。
 ……牛乳は、大嫌い」

「ああ、牛乳は俺も嫌い。
 あれ、すげぇ不味いからな」

「……あり得ないぐらい、不味いわ」

第六世代の骨格は強化プラスチックで出来ており、それを成長させるためにはプラスチックが混入したクソ不味い牛乳を飲むしかないのだ。
いやもう本当、前世のまともな牛乳を知っている分、シャレにならないレベルで不味く感じるんだけど、それでも背を伸ばすためには仕方がないので毎日飲んでる。
その甲斐あってか、ようやく俺の身長は萌のそれに近づき始めた。
とは云ってもまだ十センチ近く足りないのだけれど。彼女の身長は160㎝だ。上の学校に上がれば、その内追い抜けると思う。

「さ、行こうか」

お盆を手に持って、トントンと階段を上がる。
そうして初めて俺の部屋に萌を上げたわけなんだが――

「初めて男の子の部屋に上がった感想は?」

「……想像していたより、綺麗」

さいですか。

「もっとゴミゴミしてると思った?」

「……ええ。
 でも……あなたの部屋、綺麗というより、物が少ないって方が正しいかも」

それはあるかもしれない。
本棚はあるものの、そこに入っているのは参考書やら使い終わった学校の教科書やらばかりだ。
コミックスはあまり集めていない。小学生の少ない小遣いでコミックスとか買ったら買い食いも外出も何もできなくなってしまうし。
まぁ、小学生の癖に買い食いやら外出やらでお金を使うって発想自体が珍しいんだろうけど。

他に部屋にあるものと云えば机にベッド、タンス。あとはテレビか。
ゲームも一応あるにはあるけど、クラスメイトたちとの話題作りに買ったものばかりで、ソフトの本数は両手で数えられるほどしかない。

学校から持ち帰った、もう二度と使わないであろう教材やプリントなんかは、一切のためらいもなく捨てている。
工作で作ったものなんかは、母さんが勿体ないと玄関に飾ったりしているが。
思うに、汚い部屋というのは不必要な物が多いから雑多に見えるせいじゃないだろうか。

「確かに、萌の部屋と比べたら全然華やかさがないとは思うけどさ」

別にこれは嫌味じゃない。
萌の部屋は雑多ではあるものの、コレクターの部屋として非常に華やかだし、清潔だ。
まぁその華やかさは常人の感性から微妙に外れているけれど。

「……じゃあ今度ここにくるとき、タペストリーを持ってくるわ。
 絵柄、何が……良い?
 セフィロト、ヘキサグラム……ハーケンクロイツとか、どうかしら?」

「最後のは何か違くねぇ!?
 っていうかこの部屋にいきなり劇薬じみたインテリアを飾ったら、カオスになるわ!」

「……残念」

まぁ、冗談だっていうのは分かっているけど。
萌と知り合ってから、もう一年が経とうとしている。
流石にそれだけ付き合っていれば、冗談の一つも云い合えるようにもなる。
たとえ彼女が口べたなのだとしても、だ。

「それで、何して遊ぶ?
 対戦ゲームがあるけど、どうする?」

「……私、あまりゲームやったことないの」

「大丈夫。教えてあげるって。
 このゲームぐらいなら見たことあるだろ?」

云いながら、ゲームのケースを萌に見せる。
他にも格闘ゲームがあるにはあるけど、萌には向かない気がする。

「……そのパズルゲームなら、知ってる。やったことはないけど。
 他にどんなゲームが……ある、の?」

「んー、他はそうだな。格闘ゲームが一つと、RPGが三つ。あとアクション」

「……RPG?」

「うん、対戦車ミサイルのことだな」

「……」

「ごめん嘘。いや、嘘じゃないけど。
 RPGはロールプレイングゲームの略だよ。
 主人公になりきって、冒険して……って感じの内容」

このまま前世と同じ調子でゲームが発売され続けたら、その内なりきりでプレイじゃなくて、プレイヤーが操作しながらストーリーを追うスタイルが主流になる気がするけど、それより先に幻獣の日本上陸が始まるからなぁ。
まぁ蛇足か。

「やってみたい?」

こくり、と首肯。
んー、二人でプレイできるようなRPGは持ってないからなぁ。

まぁ、ものは試しか。
せっかく俺の家にきたのだし、萌の部屋ではできないことをやった方が、彼女としても楽しいはずだ。

テレビの電源を入れると、少し迷いながらもゲームをチョイスする。
RPG初心者でも遊べる、システムがシンプルなのを選んだ。

じょーん、とハードのロゴが表示されたあと、ディスクの読み込みが始まる。
するとゲームのOPアニメが始まって、萌はちょっと驚いたように目を瞬いた。

「……これ、アニメ?」

「OPをアニメで作るゲームも珍しくはないんだよ」

作中にアニメーションを使うゲームもあるにはあるけど……まぁ、当たりを引く確率はお察しくださいって感じ。
物珍しそうにOPアニメを見終わると、萌は遠慮がちにコントローラーのボタンをポチポチと押し始めた。
そしてプロローグが始まる。まぁプロローグで詰まるってことはないだろうし、好きにやらせてみよう。

……しっかし、萌がゲームを始めてしまったとなると、俺は何をして過ごそうか。
適当に本棚からプログラミングに関する本を抜き出すと、視線を落とす。
本を流し読みしながら、萌が困っていそうだと思ったら横から口を出して。
やっぱりゲームにあまり触れたことがなかったからなのか、萌は真剣な表情を画面に向けながらボタンを押している。
ゲーム機ごと貸してあげるのも悪くないかもしれない――と思っていると、不意に電話の着信音が鳴り響いた。

「ごめん、ちょっと電話に出てくる」

「……うん」

画面に顔を向けたまま返事をした萌を尻目に、俺を急いで階段を下りた。
いちいち一階まで降りるのが嫌だから子機が欲しいと云うのだけれど、両親は別になくても良い、と云って買ってくれない。
まぁ確かに普段は基本的に専業主婦の母さんが一階にいるから、不便ってことはないだろうけど……二階で過ごしている俺が電話に出るとなると、途端に面倒くさくなるのだ。

「はい、もしもし」

『もしもし、蒼葉? お母さんよ』

「何?」

『今日はちょっと帰るのが遅くなりそうだから、そのことを伝えようと思ってね。
 晩ご飯、外食で良いかしら』

「良いんじゃないかな。俺は構わないけど」

さては主婦仲間との会話が弾んで、買い物行くのが面倒になったな。
その後、二、三受け答えをして電話を切ると、トイレで用を足す。
そして更に飲み物のおかわりでも持って行こうとキッチンに行き、二階へと戻ろうとする。

その時、ふと悪戯心が沸いてしまった。
萌が今やっているRPGの難易度はそれほど高くないのだが、オープニングボスに限っては弱点攻撃を行わないと、よっぽどレベル上げをしておかない限り倒せないようになっている。
そして、RPGに慣れてない萌では、きっと苦戦しているだろう。
右往左往している様子を見てみたい――と思って、俺は足音を殺しながら階段を上り始めた。

我が家はそれほど古い家じゃないため、少し乱暴に登りでもしない限り階段が軋みを上げたりはしない。
加えて、俺の体は子供のそれだ。足音らしい足音は立っていないはず。
そっと二階に上がり、ゆっくりと自分の部屋へ。
慎重にドアノブを回して部屋の中をのぞき込むと――

……んん?

いつの間にやら萌はゲームをやめていたようだ。テレビにはゲームオーバーの文字が浮かんでいる。
俺の予想は当たったようだが、くるのが遅かったか。
ちょっと残念――なんてことを思いつつ萌を見ると、俺は思わず眉根を寄せた。

彼女は何かの本を床に広げているようだった。
隙間からのぞき込んでいるため角度が悪く、本の内容は分からない。
何を見ているのだろう。

「ただいまー」

「…………ッ!?」

ドアを開けてみると、萌は驚いたようにバタバタと本を隠してしまった。
咄嗟のことに慌てたのだろう。閉じたりせずに本をお尻の下敷きにしてしまっている。

「何を読んでたの?」

「……何も、読んでない……わ」

云いながら、顔を真っ赤にする萌。
またまたご冗談を。そんな見え透いた嘘なんざバレバレなんだって。

「じゃあそのお尻の下に隠している本は何さ。
 っていうか変な風に折り目がつくからやめなさい」

「……あっち、向いてて」

「なんで?」

「……向いてて」

「りょーかい」

持っていたジュースの追加を床に置くと、俺は両手を挙げて背中を向ける。
けど残念。そんなあっさりと見逃してやるはずがない!

バッ、と振り向くと、萌がお尻の下敷きにした本を閉じようとしているところだった。

「……保健体育の教科書?」

「……な……ッ!」

閉じられる寸前、なんとかギリギリ彼女が見ていたページがどこなのか気付く。
そこは全裸の男女がイラストとして書かれているページだった。
まぁ、あれだ。小学生であればこっ恥ずかしくてなかなか直視できないであろうページだ。

なんでわざわざ教科書を、とも思ったが、そういえば萌は保健体育に関することをあまり知らないのかもしれない。
普通の教科に関して、彼女が自宅で学習していることを知っている。
が、保健体育となると話はまた別なのか――

「み、見ないでって云ったのに……!」

「あー、いや、その……ごめん」

「……うぅ……っ!」

頬に朱が差す、なんてレベルじゃない。
顔を真っ赤にして汗さえ浮かべ、瞳には涙をにじませて、萌は黙り込んでしまった。
なんて声をかけるべきか。そんなことを考えている内に、息をのむような声――萌は嗚咽を堪え始め、鼻を鳴らす。
……やばい、泣かせた。

慌てて萌に近付くと、背中をゆっくりなで上げながら声をかけた。

「え、えっと、泣くことないって!
 別に悪いことしたわけじゃないんだから!」

まぁ案の定というか、そんな声をかけて萌が泣き止んだりはしなかった。
大声で泣き叫んではいないものの、これは彼女なりのマジ泣きに違いない。
こうなったらもう泣き止むまで付き合うしかないだろう。
ハンドタオルで涙を拭ったり、背中を撫でたりしつつ何度も謝って。
そうして十分ほど経った頃だろうか。ようやく泣き止んだ。

「……別に、悪いことじゃないし、気にしなくて良いって」

じっと俺のことを見る萌。
涙の浮かぶ透き通るような瞳。見つめられることに居心地の悪さを覚えながらも、ここで目を逸らしちゃ駄目だと思い、視線を絡ませた。

『……後ろ向いててって云ったのに』

「ごめんって」

『嘘つき』

「ごめんってば! この通り!」

ぽつりぽつりと萌は言葉を紡ぎ出す。
言葉ではなくチャットでの会話であるのは、やはり恥ずかしさがあるからなのか。

両手を合わせて拝むように頭を下げる。
それで少しは溜飲が下がったのか、萌は指先で目尻を拭った。

『……別に、良い』

これは完全にへそを曲げてしまったか。
どうやって機嫌を取ろう。何か萌の好きなお菓子でもパシってくれば良いのだろうか。

そんなことを考えていると、ちらちらと萌が俺を見ていることに気付いた。

「……何?」

「……う……あ……」

言葉になっていない。
さっきまでの赤面とはまた方向が違い、今度はどこかよそよそしささえ感じる。
一体なんのつもりなんだろう。

俺は萌を安心されるように微笑み、首を傾げた。

「えっと、どうしたの?」

「……その……」

「大丈夫。萌が何を云ったって変な風に思ったりしないよ」

俺の言葉に対する反応は、言葉ではなく、視線として返された。
本当に? いじめない? そんな声が聞こえてくるような。
……ああもう、この子は。

もう俺と出会ってから一年経つんだ。だっていうのにまだ信用してくれないのか。
いくら俺だって、そりゃちょっと傷つくぞ。

「親友だろ、俺たち。
 そりゃ、冗談を云われたら笑うさ。
 けど萌が真面目な話をするんだったら、それを馬鹿にしたりなんて、しないよ。
 なんなら賭けても良い。嘘ついたら針千本、だ」

云いつつ、俺はそっと小指を持ち上げた。
さっきまでの不安はどこへ行ったのか、萌は差し出された指と俺の顔を交互に見る。

「……親友」

くすぐったそうに、小さく、彼女は笑った。
そして俺と同じように手を持ち上げると、小指を突き出す。

歳相応の俺の指と、彼女の大きな指が重ねられた。
夏でもないのに萌の指が汗ばんでいて、彼女の緊張を伝えてくる。

「……指切りげんまん」

「嘘ついたら針千本のーます」

「「指きった」」

何をしてるんだか、という気がしないでもない。
友達かどうかなんてわざわざ確認するようなことでもない気がする。
けれどそれはあくまで俺の基準であって、きっと萌からすれば、こうした約束として友達という関係を確立することが必要だったのだろう。
でなければきっと、自分がどう思われているのか分からず不安で仕方がなかったのかもしれない。
もしかしたら、俺の知らないところで彼女は俺との関係に悩んでいたりしたんだろうか――なんてことを、考えてしまう。

けれどそんな悩みも、今日で終わってくれると良い。

「……ありが、と」

ともすれば聞き逃してしまいそうな声色で、彼女は呟いた。
恥ずかしかっただろうに、それでもチャットではなく言葉で俺に気持ちを伝えてくれたところに、彼女の優しさを感じる。

……本当、良い子だよなぁ。
繊細故の純粋さに、優しさ。そういった心を持っている人間は、意外と希有だ。
それなりに神経が図太くないと生きてゆけないように、社会はできているし。

萌の長所とも云える部分がずっと残って欲しい――なんて考えていると、いつの間にか話を脱線してたことに気付いた。

「で、さ」

「……何?」

「さっきは何を云おうとしてたの?」

そもそも萌が何かを云いたくても言えないといった様子を見せていたから、あんなこっ恥ずかしい約束を改めてすることになったわけで。
なら彼女が何を云いたかったのかくらい、聞いておきたい。

「……その」

「うん」

「えっと……」

「うんうん」

『……私、えっちじゃないから』

「……ん?」

何故そういう話になったし。
なんでそんなことを? と聞こうと思っても、またまた萌は頬を真っ赤にしてしまっている。
はてさてなんで彼女はそんなことを言い出したのか――ああ、そういうことか。
深く考えなくてもすぐ分かった。というかなんだかんだで、年齢固定型と云ったところで萌もそういう年頃だもんな。

「……くっく」

「……笑わないって、云った」

「や、ごめんごめん。
 でも気にすることないよ。
 っていうか別に、えっちであることは悪いわけじゃないと俺は思ってるしさ。
 それなのに気にしてる萌が、なんだか可愛くて」

「……むー」

可愛いなんて云っても騙されません。
そんな風にジト目を向けられるも、俺は軽く視線を受け流した。

「や、本当にさ。嘘でも冗談でもなくて……そうだな。せっかくだし、ちょっと真面目に話そうか。
 萌はさ……こう、好きな人と手を繋いだりとか、したいと思う?」

「……思う」

「そうだね。気になる人に近付きたい。側にいたい。触れ合いたい。
 すべてをさらけ出したいし、さらけ出して欲しい。
 出来ることなら一つになって融けあってしまいたい。
 そういう欲求は、全然不思議な気持ちでもなんでもない。
 まぁあくまで俺の主観で云うものだから、全部を鵜呑みにしちゃいけないけどね。
 俺とはまた違った考え方をする人だっているだろうし、それを否定するつもりは俺にはないから。
 それで、どう? 萌は俺と同じ、もしくは似た考え方をしてる?」

こくり、と頷き一つ。

「なら、難しい話でもなんでもないよ。
 好きな人と触れ合いたい……けど、その方法が分からない。分からないのなら、学べばいい。学びたい。
 だから萌は保健体育の教科書を見たんだよね?
 まぁ、そこまで切羽詰まった理由じゃなくて、単純な好奇心なのかもしれないけど」

萌にとって性的なものは、気になっても関わることの出来ないもの、という代物だったのかもしれない。
2000年より前の時代と云ったら、家庭にPCが置いてある方が珍しい時期だ。
インターネットでエロ知識を学ぶにしたって、そもそもネット環境がないので話にならない。
実際、萌も俺の家にもPCは置いてないし。俺がプログラムの作成をしているのだって、学校のマシンを使わせてもらっているからだ。

じゃあどこからエロ知識を手に入れるかと云ったら……例えば俺の前世だったら、父親が隠し持っていたエロ本とか、不法投棄された青年雑誌とか。
ちょっと濡れ場の濃い洋画だったりとか。人によっては仲の良い先輩からのお下がりとか。そういったものを仲間内で共有していた気がする。
そしてそれは、この世界でも変わらない。同じクラスの男連中の中にも、子供らしい娯楽よりエロの方へ興味を向け出した連中はいる。

性に関する正しい知識は学校で学んで、あとは勝手に……といった具合に性的な知識は増えてゆくものだった。

だが萌のように学校に行く機会がないとなると、なかなか難しいはずだ。
まさか萌の方から母親に性教育の教材が欲しい、なんて言えるはずがないだろうし。
そして漫画なんかを通して知るにしても――萌の部屋に置いてあったものは、俺の知る限りそこまで過激じゃない――流石に少女漫画だけあって直接的な描写は避けるだろうから、肝心な部分を知ることはできないだろう。

「……変なことじゃ、ない?」

「ん……? ああ、えっちなことに興味を持つことが?
 うん、全然当たり前のことだよ」

「……そう、なのね」

うんうん、と萌は頷いた。
そしてまるで当たり前なことのように、

「じゃあ、見せて」

こちらの頭が一瞬で凍り付くよな一言を、放った。

「……ごめん、聞こえなかった」

「……教科書のイラストじゃ、よく分からなかった……の。
 だから、その……男の子のを、見せて欲しい……わ」

「いきなり何を言い出すのさ!?」

「……駄目なの?」

「え、あ、いや、そう云われると……」

性的なことに興味を持つのは普通のことで、まったく悪いことじゃない――って云ったのは俺だからなぁ。
すごい。ここまで見事な言葉のブーメランを体験したのは初めてだよ、ハハハハハ……。

なんて若干現実逃避気味に考えてみるものの、萌は興味津々とった風に視線を向けてくる。

「お、俺をいじめて楽しいか……?」

「……私は真面目よ」

「なお悪い!」

ああもう、と頭をガシガシかきむしり、しゃーない、と諦めた。
萌にとってこういうことを頼めるのは、きっと俺しかいないだろうし。断るのは可愛そうだ。
だからと云って、萌が興味津々なものを見せることに抵抗がないわけじゃないのですが。というか抵抗ありまくりなのですが。どんな羞恥プレイだよ!

……ふぅ。オーケー、落ち着け。
こういう時こそクールになるべきだ。

まず状況を整理しよう。
さっきまでのやりとりで、萌は俺に嫌われることはないと思うようになった。
だからこんなえっちぃというかなんというか不思議な展開になっているわけだが……そうだ。ひらめいたぞ。

「俺ばっかり見せるのは嫌だから、萌も見せてよ」

これだ……! 逆転ホームラン……ッ!

「……え?」

咄嗟に考えた言葉に、萌は首を傾げた。

「俺ばっかり見せるのは嫌だよ。恥ずかしいし。
 けど萌が見せてくれるなら、良いよ」

「……分かった、わ。
 私も見せて……あげ、る」

「そうか。なら仕方ない。
 まぁどうしても男女の営みが知りたいって云うなら、ちょっとえっちなビデオでも貸して……あ……げ……?」

「……貸してくれるなら、見るわ」

え、ちょっと待って。
この子、今なんて云った?
貸して云々じゃなくて、その前――

半ば頭がフリーズしかける俺。
だがすぐ様に再びフル稼働を開始することとなる。
その原因は、萌がおもむろに着ていたシャツのボタンを外し始めたからだ。

思わず目を瞬くと、

「……脱がない……の?
 ……あなただけ、ずるい、わ」

不思議そうな声が返ってきた。
……ああ、もうなんていうか、後手後手に回って酷いことになってる。
思わず天を仰ぎ、ため息を一つ。

……まぁ、良いか。
萌はどうやら男の裸に興味津々みたいだし。
まぁ減るもんじゃないんだ。うん。なんていうか、子供状態の裸をみられるのはすごく抵抗があるんだけどさ。
これがまた、母親とかの大人に見られるんだったら別に良い。
悲しい上に空しいけれど、完全に子供扱いされて異性の裸とすら思われないから、こっちだって気にしない。

けどこれから晒そうとしているのは同年代の女の子なわけで。
彼女は俺の裸を異性のそれとして見ようとしている。俺からしたらずっと年下の子が、だ。
そのアンバランスさというかミスマッチ加減が、どうにも俺を変な気分にさせる。

けど気にするな。気にせず過ごせば良いんだ。
もぞもぞと服を脱いで畳むとベッドの上へ。続いて肌着も。
一気に脱いでボクサーパンツだけになると、俺は萌へと視線を向ける。

いきなり俺が服を脱いだせいなのか、彼女は急いでボタンを外そうとしていた。
けれど緊張しているのか、大きな手は上手くボタンを外せていない。

俺はベッドに腰掛けながら、彼女が脱ぎ終わるのを待つ。
すでに外れているボタンは、首もとからお腹まで。開いた胸元からはブラが見えていた。
あまり意識したことはなかったけれど、萌はそれなりに胸がある。俺と同年代、と思いがちだが、それはあくまで心や精神といった面であり、年齢固定型クローンなだけあって体は高校生ほどに発育している。
だからブラをしていても別に不思議じゃないわけだ。

「あ、あまり見ない……で……」

「早く早くー」

注意されつつも俺はガン見を決してやめない。
ぎこちないストリップというのもまた乙なものだ。

ここにきて、羞恥や罪悪感みたいなものは薄れてきた。
変なスイッチ――というかエロいことするスイッチが入ってしまったから。
今までずっと眠っていたんだけどなぁ。

萌は耳まで顔を真っ赤にしながらスカートに手をかける。
ホックを外すと同時に、シャツとは違ってスムーズに外れた。
ストン、と床に落ちたそれとシャツを畳むと、下着姿になった萌は、腕で自分の体を抱きしめた。

「……恥ずかしい」

「俺も恥ずかしい」

「……絶対嘘だ、わ」

「本当だってば」

余裕ぶっこいて色々考えごとしてリビドー抑えているだけで。
そもそもこの子は、どうして俺がベッドに座り、若干前のめりの姿勢になっているのかきっと分かっていない。

「……筋肉、すごい」

「そんなことない」

萌の視線がまず向けられたのは、筋肉のようだった。
珍しいものを見るようにまじまじとした視線が向けられる。

「……触って良い、かしら」

「良いよ」

萌はベッドに座っている俺に近づくと、その場に膝をついた。
ブラをしているっていうのに片手で胸元を隠しながら、すっと立てた人差し指を俺の腹に添える。

「……んっ」

思わず声が出た。鳥肌が立つのに似た感覚が、ぞわりと背筋を駆け上がる。

「……固い、わ」

人差し指が腹筋を上から下まで横断すると、今度は手の平でぺたぺたと触れられた。
そうして触れている内に好奇心が恥じらいを上回ったのか、胸を隠していた手が二の腕へと延びてくる。

「……すごく固い」

上腕二頭筋のあたりをぐにぐに揉まれ、今度は比べるように自分の腕をぷにぷにと。
見ているだけで柔らかそうだと分かる。日に全く焼けていない白磁のような肌。そこに指が沈み込むのを見ていると、俺も触れたくなってきてしまった。

――ぞくっ。

「うあ……!」

萌の二の腕を凝視していたせいで注意がそれていた。
いつの間にか腹筋をいじっていた手がふとももに動いていて、不意打ちをくらった俺はついつい声を上げてしまった。

「……くすぐったかった?」

してやったり、と笑う萌の顔はやっぱり赤い。
けれど興奮してきたからなのか、羞恥の色はどんどん薄れてるようだ。

けれどそう思った次の瞬間、萌の表情は固まった。

「……これを、テントが張ってるって云うの……ね」

「そうだよ。
 萌の裸を見て興奮したから。綺麗だし」

云うと、萌は度を超えた羞恥心のせいか泣きそうな顔になった。
それでも彼女は俺の体に触れる手を止めたりはしない。
すりすりペタペタ。腹筋からふとももへ。そしておずおずと、こちらの様子を伺いって、パンツの上から俺の性器に触れた。

ぞわ、と背筋が震える。それは興奮と、他人に敏感な部分を触れられたから。
自分で自分の体に触れても快感が走ったりはしない。まぁ、性器を直接擦れば別だけど。
しかし他人の手によって触れられると、くすぐったさと同時に快感を覚えてしまう。

「……固い、のね」

「ん……」

特に意味もなく頷くと、ずっとされるがままになっていた俺は手を持ち上げて、萌の頬に触れた。
ビク、と小さな震え。
他人との触れ合いに慣れてなかったであろうことは、簡単に察することができた。

頬から首筋へ。手のひらで、指先で、手を返した爪でなぞりながら。
くすぐったいのか萌の体は時々震えた。
けれども俺の性器を弄る手は止めず、むしろ大胆になってゆく。

指先で触れていただけだったのに、今では掌全体ででふにふにと感触を確かめている。
徐々に興奮が溜まってきて、思わず俺は熱のこもった溜息を吐いた。

「……ベッドに上がって。
 下着も脱ごう」

「……わ、分かった……わ」

俺は微かなためらいと共にベッドから立ち上がると、下着を脱いだ。
ずっと閉じ込められていたチンポが、ようやく外に出られ背伸びをするように震える。

「……ッ」

ずっと布越しに触っていたものを目にして、萌は息を呑んだ。
それもそうだろう。体の他の部分と比べて、人間の性器は少し異質な形をしているし。

自分の股間に目を落とす。
皮が完全にむけたそれは、ビクビクと脈動をしながら何かを待ち望んでいるように見えた。
サイズは、まぁ、年相応。決して大きくないものの、それは仕方がない。
皮がむけているのは、自分でしたからだ。
亀頭から皮をはがす作業は痛みを伴ったものの、元大人の見栄というか、まぁ男としてガキのチンポのままでは微妙な気分だから、ついやってしまった。

「触ってみる?」

「――……っ!」

完全にフリーズしていた萌は、俺のかけた言葉で我に返ったようだった。
けれども、いざ触ってみるとなるとなかなか勇気が必要なものだろう、これは。

けれどもベッドに座った萌は、まるで誘われるように近付いてくると、おっかなびっくりといった様子で、手を伸ばしてくる。
亀頭に触れて、なぞるように下へ降りるとカリ首を――瞬間、息が詰まるほどに強烈な感覚が襲ってきて、思わず体が震えた。

「だ、大丈夫?
 痛かった……の?」

「い、いや、気持ちよくて」

思った以上の衝撃に、思わずそう口にした。
本当にビックリだ。けど、当たり前の話かもしれない。
まだ快感に全然慣れていないこの体にとって、直接性器を触られる快感は強すぎる。

前世でのことがあるから快感だろうと分かりはするものの、そうでなければこの感じがなんなのか分からなかっただろう。

「気持ちいい……の?」

「うん。ただ、そこは敏感すぎるから、乾いたまま触ると痛いんだ。
 竿の方を触って、上下してみて」

「……分かった、わ。
 こうで、良いの?」

萌の大きな手によって、今度はチンポの竿が包まれた。
ぎこちなく上下し、手のひらの端がカリを刺激する。
ぶわ、と汗が吹き出す。萌への性教育だということが一気に頭から吹っ飛んで、快楽に頭が沸騰した。
それでも一応正気でいられたのは、いわゆる男の見栄――こんな簡単に射精してたまるか、と思ったからに過ぎない。

「……も、萌。射精って、分かる?」

「……精子を、出すこと……?」

「当たり。もうすぐ、出そうだから、離して」

鼻の頭にぶわっと汗が浮かぶ。
快感に耐えながらそう云ったものの、萌は興味津々といった様子で、チンポを擦り上げる手を止めなかった。

「ちょ、萌、本当に限界だから、やめろって……!」

あまり刺激の受けたことのない部分への集中的に行われる手淫に、限界がやってくる。
それでも萌は決して手を止めようとはしなかった。
そして俺も、力尽くで彼女を振りほどいたりしなかった。

萌が大きめに手をスライドさせると、手のはしがカリ首に今までで一番の刺激を送り込む。

びゅくびゅくびゅく!

そんな音が聞こえた気がしたような錯覚と共に、尿道をザーメンが勢いよく駆け抜ける。
吐き出されたそれは、チンポいじりに熱中していつの間にか顔を近づけていた萌の顔を直撃した。

「ふぇ……!?」

想像していた以上に勢いがよかったからなのか、白濁で顔を汚した萌は、普段の様子からは考えられないほど大きな声を出して驚いた。
べっとりと頬を汚したそれを指に絡め、感触を確かめるようにネトネトと広げている。
性的なことをしているというのにその様が幼く見え、ギャップに吐精したばかりのチンポに再び力がこもった。

「……これが、射精で……精子、なのね」

どこか惚けている萌を尻目に、俺はウェットティッシュを二枚ほど手に取ると、彼女の顔についたザーメンを拭った。

顔を拭いて次は手を――を思った途端、不意に萌が手に着いたザーメンを口に運ぶ。

「……苦いのね」

「ちょ、汚いからやめなって」

「……どうして?」

「そりゃ、だって……」

不思議そうにされると、逆にこっちがおかしいのかと思ってしまう。
萌の言葉に答えないまま、俺は彼女の汚れた手もふき取った。

そうして、溜息を一つ吐く。

チンポは更なる刺激を期待して脈打ってるし、今ので俺のリビドーも更に勢いを増しているものの……まぁ、ここまでで良いだろう。
賢者タイムと一緒に押し寄せてくる忘れていた罪悪感で、なんとも微妙な気分になってしまった――というのに、だ。

またもや彼女は俺の考えと真逆の行動を起こす。
もそもそと背中に手をやると、ブラのホックを外した。
そしてパンツに手をかけて、するりと脱ぎ去る。

服を脱いだときの羞恥心は、さっきまでの俺と同じように麻痺してしまっているのかもしれない。

「……今度は、私の番……」

止めるとか、諭すとか、そういった考えはその一言で頭の中から吹き飛んでしまった。

まったく日に焼けてない、真っ白で華奢な体。その中にある桃色のアクセントを目にして、ずっとされるがままだった体が動く。

ふと、ベッドサイドにある鏡が目に入った。
そういえばこれは性教育だったか――口の端がつり上がったのに気づきながらも、俺は止めようだなんて思わず、それをベッドの上に置く。
そして萌の背後に回ると、彼女を抱きしめた。

鏡は、彼女の目の前にくるよう置いてある。

「……萌は、自分の体を鏡とかで見たことはある?」

「……ある、わ」

「へぇ、そうなんだ」

云いながら、俺は後ろから回した手を萌の体に這わせた。
わき腹をくすぐるように触れて、そのまま胸へ。
ボリュームはそれほどでもないが、女性としての柔らかさはちゃんとあるそれを、乳首に触れないようにしつつ下から揉み上げる。

「脱衣所の鏡とか?」

「……そう、よ。
 ね、ねぇ、蒼葉……」

「ん?」

「……私の体。
 変なところ、ない、かしら……」

遠慮がちに、しかしどうしても気になるといったニュアンスが言葉にはこもっていた。
ああ、なるほど。
手のこともあって、おそらくは、自分の体でおかしいところがないかどうか気になるのだろう。

もし俺が年相応の人間であったなら、そんなことは分からなかったはずだ。
何せ、比較対象を知らないのだから。母親やエロ雑誌を見たことがあったとしても、それだって見ることの出来ない部分はどうしてもある。
いや、一部のマセた子供ならまた話は違うのだろうけど、それは置いておこう。

「どうだろね。確かめようか」

嗜虐心がうずうずと次の行動を急かす。
それを宥めながら、ゆっくりと萌の胸を揉み続けた。

「ほら、鏡を見て。
 萌のおっぱい、白くて綺麗だ。
 ここは全然変じゃないよ。
 でも、なんだか桜色になってる場所があるね。
 ここがなんだか知ってる?」

手のひらで胸をこねながら、指先で乳輪をコシコシと擦った。
ぞく、と萌の体に鳥肌が浮かぶ。

「……ちく、び?」

「正解。敏感なところだ。
 気持ち良い?」

乳輪から今度は乳首の表面をくすぐるように指先でいじる。
んぅ、と艶っぽい声を上げ、彼女は身じろいだ。

「……分からない」

「そう。じゃあしばらくこうしてようか。
 鏡を見なくても良いよ。
 目を閉じて、気持ちのいい感じを探ってみて」

云いながら、俺は萌の首筋に舌を這わせる。耳の裏へ、耳たぶへ。彼女の体を抱きしめながら、腕を交差させておっぱいを揉み続けつつ。

徐々に萌の息が上がってゆく。俺も一緒に。
動かし続けていた指を、彼女の口へと運んだ。
舐めて、と一言呟くと、萌は素直に舌で指先を愛撫する。

人差し指をチンポに見立てて、俺は萌の口腔をねぶる。
舌を追いかけて、歯茎を擦り、頬の裏を弱く引っかいて。

どんどん萌の体温が上がってゆくのが、密着した肌から伝わってきた。
もう良いか――

「萌、目を開けて」

「……ん?」

「今度はこっち」

左手で乳首をいじり続けながら、俺はふとももに手を置いた。
ぐっと力を込めて脚を開かせようとするが、当たり前というか、軽く抵抗される。

「ここも見せてくれないと、変かどうかなんて分からないよ。
 見なくても良いの?」

「……それ、は」

「恥ずかしいのは分かるけど――」

「でもっ」

当たり前と云えば当たり前だ。
誰だって自分の、それも小さい頃から常識として隠すべき場所と教えられてきた部分を、他人に見せるのは抵抗がある。

「……汚い、わ」

けれど萌が気にしていたのは、俺の予想と若干違ったらしい。
思い上がっていいのならば――気になる男の子に、汚い場所を見せたくないと。

なんだこの可愛い子は!

「汚くないよ。萌だってさっき、俺のチンポを触ってくれただろ?
 今度は俺の番、ってだけ。
 俺はみたいな。萌のおまんこ」

「――……っ!」

直接的な単語のせいか、萌の体温が一気に上がる。
このまま爆発してしまうんじゃないかと錯覚してしまうほどに、首筋は真っ赤になった。
見れば、鏡の向こうで彼女の表情は泣きそうになってる。
けれどその表情が、ブレーキの壊れた嗜虐心に更なる燃料を投下したと、この子は気づいていない。

腕に力を込めて、少し強引に彼女の股を開かせた。
抵抗はさっきと比べて弱い。ゆっくりと、けれど決して脚を閉じさせず、萌の秘部を暴く。

果たして、ようやく萌のそこが鏡に映された。
体毛が薄かったから予想はしていたが、彼女のそこはあまり陰毛が生えていなかった。
性器の形も慎ましく、大陰唇といえるものは存在しない。陰裂という言葉そのままのように、白い肌の中で亀裂のようにピンクの肉が花咲いていた。

腕から力を抜いても、萌は脚を閉じたりしなかった。
俺はふとももから性器へ手を移し、手の表面のみで優しく萌の性器に触れる。

「……ほら、萌。ちゃんと鏡を見て」

「……いや」

「そう。なら、仕方がないかな」

そう、仕方がない。
ゆっくりと、俺は萌のそこに触れる。
全体を手のひらで覆うようにして、ゆっくりと、擦るとすらいえない速度でゆっくり手を動かした。
下からゆっくり上へ。膣口はすでにたっぷりと蜜で濡れていたものの、敢えて指摘しなかった。
窪みから蜜をすくい上げて尿道に触れ、そしてクリトリスへ。
愛液をまぶすと、俺は慎重にそれを指先でいじる。
ビクリ、と萌の体が震えた。
胸をいじっていた時よりも激しく息を弾ませている。

「ここはクリトリスって云うんだ。
 男でいうところのチンポ。女の子の一番敏感な部分。
 気持ちいいかな?」

「……ピリピリする、わ」

さっきの俺と同じだ。
俺はそれを快楽だと分かったものの、それは前世でのことがあったから。
彼女はきっと、これが気持ちのいいことかすらよく分かっていない。
なら俺がそれを教えてあげよう。

くるくると円を描くように外周に触れ、刺激に少しだけ慣れた萌が体から力を抜いた瞬間、上から少しクリトリスを押す。
大して力を込めていないのに、再び萌はビクリと。

潤滑油が足りなくなればまた膣口から蜜をすくい上げてまぶし、クリトリスを執拗にいじめる。
ぴくりぴくりと体を震わせる萌の様子を肴に、淡々と、しかし単調にならないよう愛撫を続けた。
どれぐらいそうしていただろうか。
萌の吐息はどんどん強くなっていって、これ以上荒くなったりはしない――そう思えるほどになった瞬間、

ぐちゅ、と俺は蜜のたっぷりついた指で、萌のクリトリスを弾いた。

「――……~~~っ!?」

びくびくと萌の体が俺の腕の中で震える。
手は握りしめられて、ずっと開いていた股は、俺の手を逃がさないとでも云うように閉じられた。

「……イッた?」

「……え?」

何がなんだか、と目を白黒させている萌の耳元で囁く。

「俺が気持ちよくなって射精したみたいに、萌も気持ちいいのが限界にくると、そうなるんだ。
 気持ちよかったろ?」

「…………っ」

男の手で初めての絶頂に至った女の気持ちがどんなものかは分からないが、萌はとんでもなく恥ずかしかったようだ。
そっぽを向いてしまうと、知らない、とでも云うように鼻を鳴らした。

……可愛いなぁ。

もう萌は鏡を見たりしてくれないだろうし、手コキをしてくれたこととこれでおあいこ――でも、もう俺はここで止まろうなんて思えなかった。

もし萌が少しでも嫌がったら、そこで止めよう。
本気で抵抗されたら、謝ってそれで終わり。

そんな決まりを勝手に自分の中に作り上げて、俺は鏡を床に落とすと、萌の背後から正面に回る。
ベッドに横たわった萌は、息を荒げながら身をシーツに投げ出していた。
体が桜色に染まった彼女の姿は妖艶で、雄を誘う色香に満ちている。

ドクドクと心臓の鼓動が聞こえる。
なんだかんだで俺の興奮もとっくに限界を超えているんだ。
もう性教育のごっこ遊びは終わりで良い。

「……あお、ば?」

不安げな声がかけられるも、俺は無視して萌の両膝に手をかける。
力の抜けた彼女の股を開くのは簡単で、さっきまで鏡に映っていた秘部が目の前に現れた。

桜色の秘裂。絶頂に至ったことで膣口からはいっそう愛液が溢れていた。涎のように垂れたそれは、アナルの方にまで伝っている。
けれど俺の興味が向いているのはそっちじゃない。

萌の太股を外側から両腕で抱きかかえると、俺は誘われるように彼女の秘部へと口を付けた。

「……な!? あ、あおば!?」

何やら萌が云っているが、耳に入らない。
鼻にまず届いたのは汗の臭いだった。次いで、石鹸の香り。遊びに来る前にシャワーでも浴びたのかもしれない。

話に聞く子供特有の手入れを怠ったような臭いや、商売女のすえたようなものではない。
なんの抵抗もなく、俺は舌を伸ばして萌のまんこに口を付けた。

挨拶のように舌で膣口を舐めあげると、そのまま中に舌を侵入させる。
一方で鼻はクリトリスを刺激して、貪るように愛液を啜り、舌で膣を刺激し続けた。

「くふっ、はぁ、んぅ……!」

ビクリ、とまた萌の体が震える。
またイッたのかもしれない。そう思うと更に興奮が加速した。
女が感じている姿に俺は興奮する性癖がある。
そのせいでもっと萌が乱れる姿が見たいという欲求が加速した。
奉仕している立場であるというのに、嗜虐的な欲求が満たされ、満たされた端から次から次へとリビドーが沸き上がってくる。

「くひ、ひっ、うぅぅ……!」

もう無理矢理に開いていた足に力はこもっていない。
脚に回していた右腕を解くと、人差し指と中指で膣口を撫でる。
その最中、俺は舌をそのままなめ上げて、クリトリスをべろりと刺激した。

「ひぅ、ふ、ふぅう……!」

鼻を押しつけることで得られていた単調な刺激とはまた違う快楽に、萌の腰がびくびくと震える。
それだけではなく、膣口をいじっている指にも、ねっとりとした感触が絡みついた。

「あっ、うっ、くひっ……!」

ちらりと視線を流せば、萌は手で口元を抑えながら快感に翻弄されている。
恥じらい、乱れることを悪いことと思っているような――けれども両足は俺と快楽を受け入れるように開かれている。
この矛盾した感じが、たまらない。

「はぅ、くふ、ふぅ……!」

人差し指の第一関節までを、膣口で出し入れする。たっぷりと愛液に濡れたそこは、チュッチュと音を立てる。
その擬音と共に、俺はわざと音を立てながらクリトリスを短く吸った。
とは云っても、上がった音の大きさほど強くはなく、むしろ弱く。

「あっ……!」

それでも萌はギクリと体を一瞬だけ強ばらせ、

「ヒッ――くふぅぅぅううっ!?」

腰を跳ね上げ、ビクリビクリと震える。押し殺した声が響いた。
肩で息をし、忙しなく胸を上下させる。

可愛い。もっと悦ばせたい。
どれくらい興奮させたら、口を押さえる手を自分から解いて乱れるのだろう。
そんなことを考えながら、再び俺はクンニを再開させた。

そうして集中的に萌のおまんこを苛めてから出してから、三十分か四十分ほど経った頃だろうか。
いくら身体を鍛えているとは云っても、いかんせん普段使わない筋肉は鍛えようがない。
顎と舌が思うように動かなくなったため、俺はクンニを中断した。
まんこを弄る手はそのままに、体を起こす。
気付けば、萌の全身はじっとりと汗に濡れていた。汗に濡れた髪の毛はベッドに広がっている。
身体は桜色に上気して、快楽の余韻に震えていた。
ふと、俺の視線に気付いたのか、手で覆われていた萌と目が合う。

「……終わった、の?」

「……ああ。気持ちよかった?」

「……………………」

プイッ、と視線を外されてしまうが、小さな頷きは返してくれた。
……もう充分、かもしれない。ここまでで良いかもしれない。区切りとしては丁度良い。
そんな言葉が脳裏に浮かんでくる。
萌の望んだ性教育。それになんだかんだと理由をつけてここまでやっちまったが、流石にこれ以上は――

そう、頭では思っている。
けれども、萌の痴態に興奮しきってチンポは限界まで張り詰め、鈴口からはだらだらと涎を垂らしている。
とてもじゃないが一度や二度のオナニーでこれを沈めることはできない。
俺の性癖である快楽責め。それを思う存分試せた上に、萌にも満足してもらえたという結果に、俺の興奮は臨界に達している。
多少なりとも冷静に考えごとができるのは、理性が最後の一線――表面張力のように張り詰めているからだ。
もし少しでも背中を押すようなことがあったら――もう、今度は俺が満足するまで止まらないだろう。

愛液に濡れた口元を、左手で拭う。
そして溜息と共に身体へと充満した熱を吐き出して、ゆっくりと萌の隣に寝そべった。
彼女の髪の毛を下敷きにしないよう気を付けながら。

いきなり横に倒れてきたから不思議に思ったのだろう。
彼女は顔を覆っていた手をどけて、未だに艶の残った瞳で視線を向けてくる。

俺は彼女の手を取ると、そのまま指を絡める。
空いた方の手で、髪の毛先を弄った。

「今更だけど……こうやってお互いの身体を触り合うのが、ペッティングって云うんだ」

「……男の人が、女の人に、触ること……を?」

「あー……まぁ、今のは8:2ぐらいで俺ばっかりが触っていたけど……。
 まぁ、カップル毎に差はあるだろうし……平均的なところなら、やってくれたら返す、って感じかな。
 俺はほら。萌の可愛い仕草が好きだから、つい頑張っちゃっただけだ」

「……じゃあ、私、も」

「良いんだよ。別にやったらやり返すのが決まりってわけじゃないんだ」

身を起こそうとした萌にそう云ってみるものの、彼女はふるふると頭を振った。

「……して、あげたい、の。
 だって、蒼葉の……」

ちら、と萌は視線を投げる。
徐々に朱色が抜けてきた頬は、それで再び赤くなった。
彼女の視線の先には、まぁ、未だにチンポがあるわけで。しかもギンギンの。

「……ありがと。
 気持ちだけ――」

受け取っておくよ、と云おうとしたら、チンポに萌の手が再び伸ばされた。
だが手コキをしてくれた時のとは違い、今度はどこか咎めるようにぎゅっと握りしめてくる。

「……して、あげたい、の」

「……気持ちは嬉しいし、本心ではやって欲しいって思ってるんだ。
 けど……なんていうかな。多分、そろそろ我慢できなくなるんだ」

何が我慢できなくなるのか――それは勿論、決まってる。
あえてぼかした言い方をしたのに、萌は理解したようだった。
戸惑うようにチンポを握る手から力が抜ける。
ただしそれは一瞬だけだった。

「……いい、わ。
 蒼葉がしたいのなら、しても、いい」

「……あのさ、萌。
 こういうのは、好きな――」

「私は、蒼葉が好き……よ?」

心外な、とばかりに萌はすぐ反論してきた。
そこにきてようやく、嗚呼――なんつうか酷い馬鹿だな俺は、と自分のアホさ加減に頭が痛くなってくる思いになる。
こういう状況になったのは、多分偶然なのだろう。性教育云々も知的好奇心が半分ぐらいはあったと思う。
それでもお互いの性器を弄くり回すなんてことを彼女が許してくれたのは、性への興味なんかではなく、俺への好意があったから。
あー、なんだろう。ちょっと自分が汚れた大人だったってことを思い出した気分だ。

別に好きじゃない人とだって身体を重ねることは出来る。
つまりセックスは好きな人とだけやる行為というわけじゃない。
別に特別な行為というわけじゃない。

知っているようでいて、分かっているようでいて、痛感してしまうと割とショックを受ける事実。というか若かりし頃の俺がショックを受けたってだけだが。
だっていうのにいつの間にかその考え方が普通に思えてきて、こうして萌のようなまっすぐな好意を向けられてしまうと、どうにも胸が痛くなる。

……ごめん。

胸中でそう呟くと、俺は絡ませていた指を解き、そのまま萌の頬に手を添える。
パチパチと目を瞬く萌。彼女の様子を尻目に、俺はそっと彼女の唇に口吻をした。

ディープキスとかではない、ただの触れるだけなキス。
至近距離まで顔を近付けている状態で、舌でそっと唇を舐める。
何か味がするわけでもないと分かっているはずなのに、味わうように。

そしてもう一度、俺は萌にキスをした。

顔を離す。至近距離で見つめ合う。
萌は頬を朱に染め、驚きを表情に浮かべていた。

「……前言撤回。
 俺と萌は親友とかじゃない。
 恋人……で、良いよな?」

「あ……うん……!」

喜びを示すように、萌の両手が背中に回され、ぎゅっと抱きしめられる。彼女らしからぬ強い力で。
ベッドに寝そべっている状態でそんなことをされれば、自然と俺が彼女を下にする形になってしまう。
そのため肘を立ててみるも、それで生じる隙間が萌には面白くないようだった。
なので、力を抜いてみる。
案の定俺の体重はそのまま萌へとのし掛かってしまった。微かに重そうな声がもれる。
それでも彼女は嬉しそうに、このまま一つになれば良いと云わんばかりに、抱きしめる腕に力を込めた。

お返しをするように、俺も萌の身体を抱きしめる。
少しでも腕に力を込めたら折れるのではないかと錯覚する、華奢な身体。
今までは保護欲が掻き立てられた弱々しさが、今は愛おしい。

そして再び唇を重ね合わせる。

「んぅっ……ちゅ、はっ……キス、気持ちいい……の、ね。
 身体、あつい……くちゅ」

唇を重ねるだけの軽いキスを数度繰り返し、俺は舌で萌の唇をちろりと舐めた。
彼女はされるがままだ。舌同士を絡めるとか、唇で甘噛みするとか、そういった行動には出てこない。
単純にそういう知識がないせいなのだろう。
さっきまでのペッティングと同じように、俺がリードしよう。

「んぅ……んっ!? し、舌、しはを……ちゅくっ……ちゅっ、はふっ」

舌を入れた瞬間、怯えたように縮こまった萌の舌をほじり起こす。

「んっ、んんっ……ちゅぷ、ちゅっ、らめ、やっ……ちゅっ!
 吸っちゃ、や……ぢゅぅぅっ!」

萌の苦情もお構いなしに、俺は彼女のよだれを吸い上げる。
わざと喉ならして飲み込めば、戸惑うように舌の動きがまた止まった。

「やっ、ちゅりゅっ、ふっ、ちゅっ……!」

キスを続けていると、一度は沈静化した萌の火照りに、再び火が点いたことに気付く。
背中に回していた手を萌のおまんこに回せば、なめ回した俺の唾液ではなく、萌の愛液によって再びびしょびしょになっていた。
そろそろ良いかな。というか俺が我慢できない。

頭をひと撫でしてキスを中断すると、俺は萌の瞳と視線を合わせた。

「萌、そろそろ良いかな」

俺のいわんとしていることを理解し、萌はコクリと頷いた。
許可を得ることができた。
俺は萌の両足を割って入ると、彼女の両膝に手を置きながら、萌を見下ろす。
無防備に身体を開いている萌。顔を僅かに背けて、手を口元に置き表情を無意識のうちに隠そうとしているようだった。
彼女はちらちらと俺に――正確には、萌の脚の間で自己主張している俺のチンポに視線を送る。
萌のまんこを前にして、俺のは限界まで勃起していた。

亀頭を膣口に触れさせると、ぬるりと愛液がまとわりつく。
手でチンポの根本を固定しつつ、俺はそのまま腰を進めた。

「くっ、ひ……!」

亀頭が少しずつ埋まるごとに、萌は身じろぎをする。
散々クンニをしたせいか、萌の中はそれほどの抵抗を感じない。
それでも全く使われていない肉チューブは、きゅうきゅうと俺のチンポを締め付けてきた。

「萌、痛いか?」

「……思ったほどじゃ、ない。
 一気にして、欲しい」

「良いの?」

「……そっちの方が痛くないって」

どうやら思ったよりも萌は耳年増だったようだ。
けど今そんなことをわざわざ指摘して雰囲気をぶち壊しにする必要もないだろう。
それじゃあ、と俺は萌の両膝を肩で抱えると、彼女の腰をベッドから少しだけ浮かせる。
そして腰をしっかり入れると、ズブリ、と奥まで萌のまんこを貫いた。

「ひっ、くあ、っあぁぁぁぁ――――!」

ペチと玉袋が萌の尻を叩く。それと同時にチンポは根本まで、彼女の中に埋没した。
痛みによる震えが、びくびくとチンポを締め付ける。
今すぐにでもザーメンを吐き出しそうになりながらも、唇を咬んでなんとか我慢した。
猛烈なまでの射精感に耐えることができたのは、一重に萌のいじらしい姿が俺の胸を打ったからだ。
彼女が痛みに耐えているのに俺ばかりが気持ちよくなるのはどうなんだ――そんな男の意地とでもいうような。

ペニスを根本まで打ち込んだまま、俺は浮いている腰をベッドに置いた。
そして萌の背中に手を回し、抱き起こす。
膣中に痛みが走ったのか、彼女は微かに顔をしかめる。それでも痛いと云わないのは、彼女なりの優しさなのだろう。

胡座をかいて、その中に萌のお尻が落ちるように。
対面座位の格好になると、急な体位変更に戸惑う萌にキスをした。

「ちゅ、ちゅく……ん、これ……」

「萌の中が俺のに慣れるまで、この格好でいよう」

「んっ……私、この格好、なんだか好き……。
 ひっついてられて、良い……わ……」

良いながら、萌はまた俺を抱きしめる。そしてキスを。
まだ身長は彼女の方が上であるせいで、俺が見上げる格好になってしまう。
萌の首が疲れたりしないか――そんな風に思うものの、彼女はまるで飽きというものを知らないように、抱擁とキスを繰り返した。

唇を吸い、舌を絡めて、汗ばむお互いの身体を抱きしめ合う。
時間を忘れて二人で身体を温め続けていると、不意に萌が言葉を零した。

「……そろそろ、大丈夫だと、思う」

「分かった」

何が、とは云わない。
おそらく萌は、俺の我慢が限界に近付いていることに気付いたのだろう。
抱きしめ合ってキスを続ける。それだけでも満足はしていたつもりだったけれど、反面、チンポは時間が経つ毎に固く張り詰めていった。
ともすれば勝手に腰が動き出してしまうんじゃないかと思うほど、下半身と頭で動きが違う。
いや――萌とずっと抱きしめ合っていたいと思う反面、やっぱり腰を振りたくりたいという強烈な欲求が確かにある、か。
それでも素直にその行動に移らなかったのは、萌とずっとこうしていたいと思ったから。

精液を早く吐き出したいのに、吐き出せばそこでセックスが終わってしまうから、ザーメンを噴き出さないよう堪える。
酷い矛盾だ。けれどその矛盾も、萌の好意によって終わろうとしている。

ぐち、ぐちゅ……。

腰をゆっくりと前後させる。萌の顔を見ても痛みに耐えているような様子はない。良かった。
そんな風に萌の身を案じるのはこれが限界だった。
痺れるような快感がチンポを通して腰を震わせ、脱力してしまうそうになる。
それでもこの快楽を逃してたまるかと、腰の動きを止めたりはしない。

「き、気持ちいい……」

「……うれしい、わ。
 もっと気持ちよくなって……あお、ば」

ついつい漏れた声に、蕩けたような声色で返事がくる。
耳朶を打つ音色に脳を犯された気分だった。
許可が降りた、と思った瞬間、理性という理性が引きちぎれた。

「ふっ、う、んっ……!
 私、も、きもちい……の……はっあ!
 もっと、私を……求めて……!
 もっと、もっと……!」

ギシギシとベッドが悲鳴を上げ、肌がぶつかり合う音が響く。
すっかりぬかるんだ萌のおまんこは愛液をだらだらと流しつつも、きゅうきゅうと処女特有の締め付けでちんぽを離さない。
興奮する。
萌の両足を肩に担いだまま、身体を前に倒す。
萌を折りたたみ、押し潰すような姿勢。
チンポは更に萌の奥をえぐり、彼女の熱をより近くに感じる。

「くひっ! ひっ、あっ! ああっ……!
 固いの、ごりごり、あうっ……!
 あぁっ、んっ、ひぅっ……はぁっ!!」

限界まで勃起したチンポで、萌の中を掘削し続ける。
雪原を汚らしく踏みならす満足感、独占欲。それらが情欲を更に加速させる。

「こすって、る……ひっ、あっ、あっ、あっ……!
 こすって、ごりって、私の中、きてるぅ……!
 ふっ、あっ、奥まで、入って……! あひっ!」

身体が燃えるように熱い。そしてもう、限界が近かった。
よく保ったと自分で自分を褒めたいほどだ。ともすれば萌のまんこに突っ込んだ時点で射精しててもおかしくないほど興奮していたから。

「ひ、くひっ、ひぅ、ひぃっ、くっ……!
 つよ、つよい、つよいぃ……!」

カリがぶわっと広がり、一層萌の中をゴリゴリと蹂躙し尽くす。
俺の轍を萌の中に残そうとするように。

ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と粘液を撹拌し、肉を叩きつける音が強くなる。
ビクビクと、チンポだけではなく全身が震え出す。
快感に慣れていない身体が、脳に叩きつけられる刺激に耐えられなくなったからなのか。
けれども俺は、腰の動きを止めたりしなかった。

「つよいっ、つよひっ……!
 らめ、あおば、もっと、つよくしてっ、あおばっ!
 あお、ばっ……!
 きもちいいっ、から! あおばも気持ちよくなって、あおばっ!
 ひっ、ひん、くひ、あっ、あぁっ!
 あっ、ひっ、あぁぁぁぁっ……!」

ドビュッ! ビュブッルルルル――!

一際高く萌の声が上がると同時、俺はザーメンを萌の子宮へとぶちまけていた。 
腰から一気に力が抜け、視界が一瞬暗転したような錯覚を抱く。
気付けば、俺は壊れたエンジンのような息を上げていた。
ゼィゼィと熱っぽい空気を胸に取り込みながら、額に浮かんだ汗をポトポトと萌の肌に落とす。

萌も同じように汗だくになっていた。
俺の視線に気付くと、彼女はすっと手を伸ばしてくる。
後頭部に回された手。それが何を求めてなのかにすぐ気付くと、俺は萌とキスをする。

「ちゅっ、んちゅ、ちゅっ……。
 ……気持ちよかった、わ……」

照れくさそうに萌はそう云った。
今まで萌の表情をいくつも見てきたというのに、今の彼女はそのどれよりも艶めかしくて、美しい。
今度は俺からキスをすると、そのまま舌を絡め合って――

「……あ、ら?
 蒼葉、なんだか、私の中で、また……」

半笑いで萌がそんなことを云ってくる。
苦笑とも違うか。どこか怯えているような感じがあるかもしれない。

けれども残念。あれだけの興奮が、一回の射精で消えるなんてあり得ない。

「ひう、ひっ、あお、ば……!?」

半起ちのペニスを動かすと、さっきまでのピストンとはまた違った刺激に背筋が泡だった。
それでも歯を食いしばって強引に動かす。更なる快感に腰が止まりそうになる。
ほどよい快感は情欲を加速させるが、強烈すぎるそれは人を止めるものだ。
特に、性的快感にまったく慣れていないこの身体では、セックスなんて強烈すぎるだろう。

けれど肉体が悲鳴を上げているにも関わらず、俺の心というか魂は、もっともっとと叫んでいる。
強引に急かされて、幼い肉体は再び萌の身体を俺専用に躾けるべく動き出した。

「……もう、仕方ない、わね」

くす、と仕方がないといった風に微笑み、再び萌にも情欲のスイッチが入ったようだ。

「んっ、おっきくなって、るっ、ふっ、また、あおばの、おっきく、ゴリって……!
 あん、きもち、いいっ」

「俺も、俺も気持ちいい」

「いっしょ、いっしょっ。
 ちゅっ、くちゅ、んっ、ちゅっちゅっ、んんっ、わたしも、きもちいいからっ、あおば……!
 すきっ、だいすき、あおばっ……!」

「俺も、ぐっ、好きだからな……!」

「ひっ、くひっ、あっ、ありが、と……ひん、くひっ、ひぅ、あぅぅっ……!
 もっと、こすって……! 白いの、ザーメン、だしてっ!
 きもちよくなって、いいの、よっ、あおば……!」

キスをし、告白を重ね、さっきと同じかそれ以上にヒートアップしてゆく。
俺はずっと倒していた上体を上げると、今度は萌の腰を鷲掴みにする。
肉付きの薄い、けれどもしっとりとした肌に指が埋まる。いや、埋まるほど強く掴んでいるのだ。力の加減を忘れるほど。
手を離せば鬱血しているだろう。もし普段ならばすぐに離して謝るだろうが、今は違う。
俺の痕跡を萌の身体に残すこことに、この上ない興奮を覚える。

「ひっ、くっ、あぁぁぁぁあ…………ッ!」

限界までチンポを引き抜き、力の限りに叩きつける。
このまま一つになってしまえといわんばかりに、腰を押しつけた。
すると、だ。さっきまでは触れることのなかった何かが、チンポの先端をくすぐり出す。
鈴口に押しつけられる何か。ここにきて現れた新たな刺激に、俺は夢中になった。

「ううっ、ひっ、らめ、あおばっ、そこっ、おくっ……!
 奥っ、おくをコンコン、らめっ、ひっ、くひっ……!」

思いっきりチンポを叩きつけると、そのままグリグリと腰を押しつけ続ける。
ざわざわと膣襞がまとわりつき、押し潰すようにきゅうきゅうと押し寄せる感触に腰が震える。

「ぐりぐりって、だめ、だめよ、あおばっ……!
 こんな、きもちいっ、ひっ、くひっ、はぅ……!
 ゴリゴリ、グリグリ、らめらからぁ……!」

押し付けた股間を動かすと同時に、萌のクリトリスも擦られる。
俺のチンポと同じように勃起しきった萌のクリトリス。まんこへの刺激に加えて敏感な豆が擦られることで、ぐっ、と息の詰まったような声を萌は上げた。

「んひっ、ぐっ、ひっ……だめ、だめよっ!
 グリグリと一緒に、それ、らめっ!
 だめ、あおば、だめっ!」

顔を見られたくないのか、萌は手で表情を隠そうとした。
俺は咄嗟に彼女の両手をそれぞれの手でベッドに押さえつける。
腰は尚も執拗に萌のまんこを広げ続けながら、彼女の羞恥心を煽る。

「や、やだっ、みないで、あ! ひっ、やだ、やだぁっ!」

「なんで? もっと可愛い顔、俺に見せてよ」

「ひくっ、ひっ、いじわる、いじわるぅ……!
 すきって云ったのに、いじわる、しないで……!
 ひっ、やっ、やらっ……!」

「好きだから、萌の顔が見たいんだろ?
 全部見せて。萌の感じてる顔」

「でもっ、やっ、やあっ! ひくっ、ひぅ、ひっ!
 ばか、ばかっ、ひどいっ、ひっ、あぅ……!」

「気持ちよくない?」

「きもち、ひっ、ひぅ、いいっ、からぁ……!
 だから、もう、やめて……!」

「仕方ないなぁ、分かったよ」

そう云って、俺は萌の両手を解放する。
彼女はすぐに両手で顔を覆おうとしたが、俺はそれを許さない。
顔を近付け一気に唇を奪うと、彼女の背中に腕を回して拘束し、猛烈なピストンを行う。

「ちゅ、んぢゅ、ぢゅうううう!?
 ちゅっ、んぱっ、ひどい、あおば、ばかっ、ばかぁっ……!
 ひっ、ちゅっ、あっ、あぁっ……!
 や、らめっ、ざわざわ、きてる……!
 また、イクっ、らめっ、あおば……!」

ガツガツと腰を叩きつけていると、萌の身体が小刻みに震えだした。
初めてでイクのか……とも思ったけれど、多分クリトリスへの刺激だろう。絶頂へのスイッチとなったのは。
腰の動きにクリトリスへの刺激を意識して、ガツガツと掘削を続ける。

「ひ、あ! あぁっ、ひぃぃい!」

彷徨っていた萌の両手が俺の背中に回される。
踊っていた脚は逃すまいとでも云うように、腰をがっちり掴んだ。
僅かにピストンがし辛くなったものの、より萌の身体を強く抱きしめると、脚を解くように強引な動きでガツガツと萌を貪る。

「イク、イクッまたイクッ!
 あおば、あおばっ、あおばぁっ!」

「俺も出す、出すから!」

ビュブ、ビューッ、ビュブブブブ――!

「ひ、あっ! くひぃっ! あっ! あぁぁぁぁぁぁあぁああ……!」

もう何度目かの射精だというのに、チンポを熱い精液が駆け巡る。
がっつりと萌の膣内に押し込んだそれは、彼女の子宮へとザーメンをぶちまけた。
それがスイッチとなったのか、萌の身体がビクン、と大きく震えた。

……もう完全に燃え尽きた。
今まで興奮しまくっていた反動か、とてつもない脱力感と賢者タイムが襲ってくる。
このまま眠りに落ちてしまいたい気分になりながらも、俺は身体を起こして、下敷きになってしまっている萌を見た。

瞳は虚ろで、身体は力なく投げ出されている。
絶頂の余韻に浸っているのか、桜色に染まった身体は、ひくひくと痙攣していた。

ずっとハメたままだったチンポを、萌のまんこから引き抜いてみる。
萎え始めているそれを外に出そうとするものの、萌の膣襞は名残惜しそうに、ぞりぞりとチンポのカリ首を刺激してきた。
ちゅぽ、とチンポが抜けると同時、膣口からはドロリと精液が流れ落ちてきた。
こんなに自分が出したのかと、驚くほどの量だ。
精液の色は若干ピンクがかっていた。おそらく、破瓜の血がシェイクされたからなのだろう。
シーツにはあまり血の跡が残っていない辺り、萌はあまり派手に血が出ない体質だったか――もしくは感じてくれたから、出血が少なく済んだのだろう。
後者だったら良いな、と思いつつ、俺はティッシュを手にとって汚れた萌の身体を拭き始めた。







†††







やっちまった――。

萌を家に送り届けて自宅に戻り、緊張のせいなのか泥のように眠って起床。
寝起きの俺を襲ったのは、自己嫌悪というかなんというか、とてつもないやっちまった感だった。

いやお前だって、いくらそういう雰囲気になったとしても相手は何歳年下だと思ってるのよええまぁ今の俺の年齢を基準に考えたら別にそう年の差はないというかむしろ年齢固定型であることを考えたらむしろ向こうの方が年上なのかもしれないけどそれはあんまり関係ないっていうかそもそもあそこは手を出すんじゃなくて彼女に恥をかかせないようにしつつやんわりと宥めるのが大人の対応ってやつじゃなかったのかうあああああああああ!

「ぐあああああ!」

頭を抱えてベッドの上をゴロゴロするも、ふと、昨日の行為の残り香が鼻に届いたような気がして、微妙な気分になる。
ただまぁその微妙な気分っていうのは、決して悪い意味ではない。
……自分の気持ちに正直になるなら、だ。
別に萌とああいう関係になれたことを後悔しているかどうかと聞かれたら、全然、と答えるだろう。
可愛いは正義。萌の可愛さは反則的なほどであり、そういうキュートな子とエッチができたのは男としてすげぇ嬉しい。
そして彼女から向けられた好意も嬉しい。引っ込み思案な彼女がどれほどの勇気が必要だったのか――そんなにまで俺に告白したいと思ってくれたと考えると、際限なく頬が緩む。
けれど、なんだかこう、素直に喜べないのはなんでだろう。
いや、自分の気持ちのことだ。思い当たる節がないわけじゃない。

萌は俺に依存している部分がある。大きな二つのコンプレックスが奇異の視線を引き付けてしまい、そのせいで彼女の引っ込み思案が強くなる。
結果、萌は孤立してしまって、友達と云える者はいない。
そんな中で唯一仲良く遊ぶことができる異性の友達――そんな状況であれば、誰だって意識してしまうだろう。
ましてや、彼女は思春期の女の子だ。
恋に恋するような年頃なのだから、勘違いの一つでも――そう、彼女の気持ちは熱病じみた勘違いなんじゃないか、とどうしても思ってしまう。

……だからなんだ、って気もするけどな。
勘違いだからどうだって話。そもそも、他人の気持ちにケチつけることができるほど偉い人間になった覚えはない。
うん、そうだ。
始まりは彼女の方からだったんだ。そして俺は彼女の気持ちを受け入れた。
ならばたとえこれが熱病じみた一過性の恋であったとしても、その時は俺があの子を振り向かせて見せる。
それが勇気を振り絞って想いを伝えてくれた彼女に対する礼儀ってやつだろう。

「……それでもまだ気恥ずかしくはあるけどな」

それは何故か。今度は単純な話で、いい歳した大人が年下の子のケツ追っかける宣言とかどうなんだ、っていう自意識が邪魔をしてるのさ。ああもう、我ながら面倒くさい。

ため息を一つ吐いて、取りあえず萌にメールでも送ってみようと思い立つ。
多目的結晶のメーラーを起動。おはよー、という一文だけのメールを萌に送る。

そうして時間が経つこと十分ほど。おはよー、と俺と内容が一緒のメールが返ってきた。
この十分という時間の間に萌がどんな風にメールを返信しようか慌てた末に困り果てて結局同じ内容を返すことしかできなかった様子を幻視して萌えてみる。萌に萌える。ギャグにすらならん。

よいしょ、とベッドから起き上がると、俺はそのまま一階に降りて朝食を取った。
昨日の夕食は外食の予定だったはずなのに俺が寝ていたせいで流れてしまった、とわざとらしく嘆く父さんに、申し訳ないやら何やらで何も云えなかった。

その後、昨日風呂に入り損ねてしまったためシャワーを浴びて登校準備。
髪を乾かしてワックスで髪型を整えると――髪形をいじっているせいか近所のおばさま方に俺はマセガキ扱いされている――鞄を持って玄関を出ようとする。
その際、下駄箱の上に置いてある郵便物の中に、俺が頼んでいた書類があったことに気付く。

俺が取り寄せた書類。それは、この世界で上手いこと生き抜くために考えついたベターな手段の一つ。
それは――自衛軍整備学校の入学案内だった。







■■■■■

あとがき的なもの。
この作品が初めて書いたエロシーンになります。ちゃんと使えるものに仕上がったのかどうなのか超不安。
なんで今更ガンパレと云われると非常に返答に困るのですが、まぁ、あれだ。オーケストラを全部限定版で予約して購入→出来があの様→更に事件で傷心→最近になってアナプリを読み忘れていた情熱復活、みたいな流れです。

ここから先の展開はどうしましょ。一応おおまかな流れは決定しているのですが、幼少期の話をどこまで引っ張るか。

1.さっさと次の章へ。
2.もっと萌とセックス。
3.同級生たちとエロいことしてみる。

みたいな。
感想で意見を頂けると幸いです。
設定が見過ごせないレベルでおかしい、と思った方にも指摘して頂けると幸いです。
それでは、読んでいただきありがとうございました。




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