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No.32517の一覧
[0] 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」後日談[nubewo](2012/03/29 01:22)
[1] 01: 胸を、執拗に[nubewo](2012/06/11 23:41)
[2] 02: 快楽に溶けていく[nubewo](2012/08/03 10:10)
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[32517] 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」後日談
Name: nubewo◆7cd982ae ID:f1514200 次を表示する
Date: 2012/03/29 01:22

このSSは『とある魔術の禁書目録』の二次創作で、その他板で掲載していた『吹寄「上条。その……吸って、くれない?」』のアフターストーリーになります。
伏線も何もないゆるい話なので単品でも読めるかとは思いますが、前編を読んでいただいたほうがお楽しみいただけると思います。
この話は、SS速報VIPにて執筆した後、加筆修正を施してこちらに掲載しています。
どちらの規約にも反していないと私は判断していますが、何かありましたらご連絡くださいませ。
色々とご都合主義的な点がありますが、どうぞお許しください。(特にインデックスさんの霊圧が消えている点)

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浴室を湯気で満たしながら、吹寄制理は一人、丹念に体を洗う。
肌が傷ついたり赤くなったりしないようにといつもの倍ほど気を使いながら、丁寧に泡立てたスポンジを体の上で滑らせていく。
足の指先の間だとか、膝の裏だとか、いつもなら少し気を緩めてしまいそうなポイントまで気を抜かない。
膝の裏はともかく、足の指を上条に舐められるなんて展開があったら色々と困るけれど、そういうことがないとも言い切れないし。

時間はもう夜といっていい頃。夕食はすでに摂り終えて、これから本格的に夜の時間を迎えるところだ。
改めてこの一日を振り返り、吹寄はため息をついた。
最後は嬉しい出来事で締めくくれた一日だったけれど、自分を取り巻く状況は激変したといっていい。
だって自分の彼氏、上条当麻が自分のことをはっきりと恋人だと宣言してくれたのだ。
それもクラスメイトと、さらに担任の小萌先生までいる目の前で。
嬉しくないと言えば、嘘になる。夜になった今でもあのシーンを思い出すと恥ずかしさと嬉しさで、にやけながら身もだえしそうになる。
そんなのは、全く持って吹寄制理らしくないと自覚はしているのだが。
「んっ」
しまった、と一人で恥ずかしくなる。
馬鹿な話だ。乳首を掠めたスポンジに思わず感じてしまうなんて。
上条に愛されていることを反芻しながらだったから、体がいつもと違う反応を示してしまったのだろう。
早く上がらなきゃ、と吹寄は気持ちを切り替えた。

上条は今、自分の部屋に戻っている。
ついでにそちらでシャワーを浴びてくると言っていたので、それが済み次第、戻ってくるだろう。
上条が部屋に戻ったのは、お泊りセットを持ってくるためだ。
同棲を前提になんてこれっぽっちもしていないから、吹寄の家には上条が快適に暮らすのに必要なアイテムが色々と欠けている。
それを、上条は取りに戻っているのだった。

バスルームから上がり、手早く体に付いた水をふき取る。
柔らかいバスタオルが腕や背中からさっと水玉を吸い上げていくが、髪はそうも行かない。
女子の中ではやや長いほうになる髪は濡れたままだとよく纏まる。それをぎゅっとタオルで挟み、しっかり押し当てて水をタオルに移していく。
そうして髪を傷めないように水分を取りながら、自分の裸体を映す鏡に目をやった。
相変わらず理想よりふた周りは大きい乳房に少しため息をつく。乳房の下にかいた汗に気付いてそれをふき取った。
「ドライヤーは……後でいいか」
それよりはとりあえず服を着てしまうことと、あんまり上条に見せたくないアイテム、例えば出しっぱなしの化粧水だとかクレンジングオイルだとか、ナプキンだとかを目に付かないところに仕舞う作業を先にやらないといけない。
吹寄は洗濯機の上に置いたブラを手に取り、手早く身につける。
そしてパンツに足を通そうとして、手を止めた。
「……」
足を肩幅くらいに開いて、下半身の付け根にバスタオルを這わせ、押し付けた。
いつもやっている行為だ。というか普段はもっと露骨に股を開く。
別に上条に見られているわけでもないのに、吹寄は慎みある仕草で、地肌に比べ乾きにくい毛の繁ったところを丁寧に拭いた。
何をやってるんだか、とため息をつきながらパンツを履いた。デザインは高校生として普通くらいのものだと思う。薄いピンクの、無地のヤツだ。
刺繍が入っていて大人寄りのデザインではあるけれど、布の面積は普通くらいだし、装飾も華美ではない。
どういうのが上条の好みか分からないので、無難なデザインかつ、それなりに可愛くて気に入っている下着を用意したのだった。
一応、今日のために用意したものではある。
「おかしくない……わよね」
鏡の向こうの自分に自問する。自信はないが、少しでも柔らかい表情をしようと思って、笑顔を作ってみる。見つめても、やっぱり自信は持てなかった。
手際よく風呂上りのケアを済ませ、吹寄は洗面所を後にする。少し体が火照ってはいるが、上条が来ないとも限らないので、さっさと寝間着に袖を通した。
パジャマも実は新調したヤツだ。一応何度か着たことはあるが、上条に見せたことはない。
寝間着で上条と過ごすのは恥ずかしいが、やはりこうした服でないとベッドに入ったときに落ち着かない。
辺りを見渡し、片づけを済ませる。最近は上条が入り浸っているせいでこまめに整理しているから、部屋に散らかったところはない。
あっという間に用事は済んでしまい、拍子抜けした感じと僅かな寂しさを覚えながら、吹寄はベッドに倒れこんだ。
「当麻と一緒に、寝ちゃうんだ……」
誘ったのは、上条のほうだと思う。自分も結構乗り気ではいたけれど。
今更ながらに、「お泊り」というイベントの重大性に思いを馳せる。
高校生の自分達にとって、それはきっと、幼稚園のときのお泊まり会とは意味合いが違う。
キスや、いつもしていることで止まれば、不安がなくていい。けれど。
……漠然と心配を感じているのに、どこかで期待もしているような、不安定な感じ。
吹寄は横を向いて、掛け布団を丸めて抱きしめた。
布団に頬を寄せて、目を瞑る。皮膚に伝わる感触を上条からの愛撫に見立てて、空想する。
「当麻……」
かすれる声で呟いてみた。いけない、と思う。寂しさがさらに募ってしまった。
もうそろそろ、上条は来るだろうか。
パジャマの前の、ボタンを一つ上を留めた。茹だった体が少し冷めてきたからだ。
だけどその感触で全く逆の、上条にボタンを外されるときの感触を思い出してしまった。
まあ、それはいつものことだし、きっと胸を吸うところまではやるのだろうから、それはいい。
だけど最近はシンプルに吸うだけじゃなくて、吹寄を感じさせようとあれこれと策を練ってくるから、上条に乳房をさらしている時は全く油断ならないのだ。
「嫌じゃ、ないよ」
空想の中の上条が、やめて欲しいかと優しく聞くから、そう答えた。それもまた、本音だった。
今日の夜は、自分と上条はどこまで行くのだろう。


――――コンコンコンと、吹寄の部屋の扉が、ノックされた。


チャイムは鳴らない。近隣住人にばれると色々まずい相手を連れ込むのだし。
そして鍵も閉めていなかった。不用心だが、上条が室外で待機するほうがよっぽど不用心なので、今日はこれでいい。
吹寄が歓迎するより先に、上条が、さっと室内にもぐりこんできた。
「おかえり、当麻」
「ん。ただいま、制理」
そう言いあって、二人で照れる。だって新婚みたいだから。
吹寄は上条が手にした小さなリュックサックを受け取って、上条を部屋の中へと導いていく。
「あっ」
「制理」
途中で、後ろから抱きしめられた。
「悪い。けど……すげぇドキドキしてるんだ」
「うん。あたしも、だよ」
「制理のいる場所に帰るって、いいな」
「待ってるのは少し、寂しかった」
「……」
「当麻?」
「そういう事を言う制理が、滅茶苦茶に可愛いよ」
「もう……」
「あのさ。今日これから、怖いと思わせるようなことは、しないから」
「うん」
それはもう、二度ほど聞いた言葉だ。
自分に言い聞かせるように上条はその言葉を告げる。自制するために言葉にしているのかもしれない。
それを、吹寄は信じたいと思う。不安はあるけど、信じられないとまでは思わない。
「制理。愛してる」
「うん。あたしも」
「もう電気、消しちまうのか?」
「……ちょっと。早いわよ、まだ」
今電気を消すとなると、高校生にしては健全すぎる就寝時間だ。
まあ暗くなったところですぐに寝付くわけではないのだろうけれど。
「じゃあ今から、何する?」
「えっと、とりあえずは喉乾かないかなって」
「あー、まあ風呂に急いで入って、走ってこの部屋まで来たからな」
女子寮をゆっくり歩くような自殺行為は出来ない。
汗をかくような季節ではないが、確かに少し息があがっているらしかった。
「それじゃ、お茶いれるから」
「ん。サンキュ」
「何か食べたい?」
「え? いや、さっき制理の作ってくれた晩御飯、食べたし」
「うん。……おなか壊してない?」
「大丈夫だって」
上条が笑ってこちらを見た。まあそりゃそうだ。普段から自炊だってする吹寄の手際はそこそこまともだ。
食べて腹を壊すような料理は、狙ってもなかなか作れない。
「それじゃ、お茶を入れるから待っててね。って、あ……」
棚からお茶の葉を取り出し、水を汲もうとしたところでふと思い出した。
「どうした?」
「……賞味期限切れそうなプリンがあるの、思い出しちゃって」
「一人暮らししてるとよくある話だな」
上条が苦笑した。上条も良くやらかすのだ。賞味期限切れの食品を始末することなんて。
「食べようぜ。二人で」
「うん。ありがと」
ケトルを火にかけポットにティーバッグを放り込んで、お茶の準備を終わらせる。
そして引き出しから二つスプーンを取り出して、しばし思案する。
「制理?」
「……スプーンは一つで、いいわよね」
「だな」
恋人同士が小さなカップのプリンをシェアするのに、いくつもスプーンなんていらない。
吹寄はプリンとスプーンを持って、そっと上条の隣に腰掛けた。
今日の上条は、学校のジャージの上下と、下に少しくたびれたTシャツを着ている。きっとこれが上条の寝巻きなのだろう。
「制理のその服、可愛いな」
「そう?」
「ああ。私服見ることほとんどないし、パジャマは初だろ」
いつも制服から着替えることなしに上条に裸にされてしまうので、なんだかんだで見せたことが無いのだった。
「お尻が特に」
「えっ?」
言って上条は後悔する。流石に今のは本音が駄々漏れでおじさんぽかったような気がする。
だが、柔らかなパジャマの生地は、しっかりと丸みを帯びた吹寄のヒップのラインがくっきりと浮き彫りにしていて、視線を引き寄せられるのだ。
「ちょ、ちょっと。普通のパジャマにそういう事言わないでよね」
「今のは自分でも反省した」
「もう」
「制理ってさ、パジャマのときもブラすんの?」
「……今は、してるけど」
「普段は?」
「つけるのは窮屈だから、ブラトップとかそういうの」
「ブラトップ?」
「下に着るシャツと組み合わさったようなヤツ。……もう、そういう事聞かないでよ」
「恥ずかしかったか?」
「結婚したらどうかは知らないけど、そういうところって付き合っている人でも見せるものじゃないと思うだけ」
ブラトップという商品は所帯じみている、と吹寄は思うのだ。
肩紐や背中のホックから解放されるし大きすぎる胸が寝ていても暴れないから愛用してはいるが、結局は家の中でしか使えない服だ。
不満をため息一つで伝えて、吹寄はベッドに腰掛けた上条の隣に座った。
スプーンを上条に渡して、プリンの蓋をぺりぺりとはがす。
「当麻から食べる?」
「とりあえず渡してくれ」
言われるままにカップを上条に渡す。
上条は小さくプリンを掬って、味見をするように口に含んだ。
「ん。上手い」
「普通のプリンだけどね」
「通販で買ったんじゃないのか?」
「これは違うわよ。通販でデザートを買うと、やけに高いし」
食べると脳が活性化されるとか、そういう謳い文句が好きなのだ。吹寄は。
おいしそうで写真の綺麗なスイーツというのには、実はあんまり惹かれない。
上条がもう一度プリンにスプーンを突き刺す。取ろうとしているサイズは、さっきより大きかった。
「制理」
「うん」
上条がとり分けてくれたプリンを、口をあけて待つ。
自分以外の人に口にスプーンを入れられると、ちょっと落ち着かない。
上条の口の中で温められたからだろうか、スプーンは思ったよりひんやりしていなかった。
「美味いか」
「んー、うん」
まあ、普通の味だ。増粘多糖類で固めた100円のプリンだし当然だろう。結構吹寄は好きだが。
舌の上で温めながら潰していると、上条が急にキスをした。
「んっ……」
唇を、蹂躙される。上条の唇に噛みつかれるような感じ。
二人の柔らかい肉が唾液を潤滑材にぐにぐにと変形する。
ほどなくして、吹寄の口をこじ開けて上条の舌が差し込まれた。
「ぁ、は」
上条の舌を傷つけないように、慌てて大きく口を開く。
悠々と上条の舌が忍び込んで、まだ飲み込む前のプリンに遭遇する。
もう吹寄の唾液とかなり混ざってしまったそれを、上条が吸い上げる。
「ふ、んん」
口をふさがれては、鼻で呼吸するしかない。
ゴクリと、上条が吹寄から吸い上げたプリンを嚥下する音が聞こえた。
狭い部屋に二人きりだから、その音は余計に響く。
なんてことはない、ただ上条がプリンを食べただけのはずなのに、それが自分の口元から口移しで得たものだと思うと、不思議な気持ちになる。
汚い行為なのに、嬉しい。もっとして欲しい。自分もしたい。
もっと恋人に自分を受け入れて欲しい。相手を、上条を受け入れてあげたい。
「制理のプリン、美味いよ」
「そこのスーパーで買ったものだけど」
「制理の味がした」
「もう」
吹寄は、ベッドに深く腰掛けた。
壁際に置いてあるから、そうすれば壁にもたれかかれる。
「制理も、欲しいか?」
「……うん」
「エッチだな」
「当麻が悪いんだから」
「制理がいやらしいなのが悪い」
「そんなこと、ない……わよ」
拗ねた目で見つめる吹寄を無視して、上条はプリンを掬い、自分の口に入れた。
そして、ニヤリと笑う目で吹寄を見つめる。
何をして欲しいとか、自分がどうするべきなのかとか、吹寄は上条のその視線だけで理解してしまった。
「馬鹿」
自分の完敗だ。だけど文句だけは、忘れずに言ってやった。
開いた両手を上条の肩に掛けて、吹寄は上条に口付けた。
自分からキスをするのは、何度やってもドキドキする。
キスはするよりされるほうが、穏やかな気持ちで堪能できるというのが吹寄の実感だった。
「ん……」
誘ったのは上条なのに、唇を触れ合わせてもプリンを渡してくれなかった。
精一杯の羞恥心に抗いながら、吹寄は上条の唇の間に、自分の舌を差し込む。
上条が口を開いてくれたのを感じ取り、目を瞑って上条の口の中を舌で探った。
プリンは少し形を崩しながら上条の舌の上に乗っていた。
それを、自分の舌で自分の口の中へと移していく。
「んん……んっ!」
上条がプリンの移動を舌で手伝ってくれる。そして同時に、手で吹寄の胸をまさぐった。
まだ堅くなっていなかった乳首を、きゅっと弱くつねるように、服の上から親指と人差し指で摘んだ。
背筋が海老反りになるように曲がったのを吹寄は自覚した。ピリッと体を駆け抜けた快感に、自然に反応してしまったのだ。
呼吸が乱れる。キスをしたままだから、苦しい。
プリンの甘さが溶け出した上条の唾液を、安定しない呼吸ですすり上げる。
甘いという感覚は、どうして性的な感覚と相性がいいのだろう。
ごくん、と。吹寄は自分の喉が鳴ったのを体で感じ取った。上条を見上げる姿勢でとろとろになったプリンを飲み込んだからだろう。
その音がひどくはしたなく思えて、吹寄は興奮を募らせる。
「乳首、立ってきたな。ブラの上から触ってるのに、わかる」
「嘘……」
「嘘じゃねえよ。制理だって、触られてて分かるだろ?」
「知らない」
「知らないって、これでも?」
上条が親指を上から下へと滑らせる。
ギターの弦でも弾くようなその指使いは乳首のところで確かに引っかかり、ぴん、と吹寄の乳首を優しく引っかいた。
「はぁん!」
見つめあいながらそういうことをされると、快感が倍くらいになってしまう。
上条に、もうこういうときの自分の感じ方は把握されてしまったみたいで、こちらを覗き込む目に、完全に見透かされているような気がしてしまうのだ。
「胸も良いけど、とりあえずプリン完食しないとな」
上条がまた、プリンを口に入れた。今度はすぐさまキス渡しされた。
「ん」
「少し潰したら、ちょっとだけ食べてまた返してくれ」
言われたとおりに吹寄は舌でプリンを潰し、上条に返す。そして残ったプリンをまとめて、こくんと飲み込む。
それを見届けた上条が、すぐさまプリンを返してきた。
そうやって少しずつ食べながら、プリンの口渡しを繰り返す。
初めのうちは冷たかったプリンが、段々とぬるくなって、とろけていく。上条の唾液と自分の唾液をどろどろに混ぜ合わせながら。
気がついたら、体の力が抜けて、上条に寄りかかっていた。
気付くとキスのたびに顔を近づけるのをやめて、ずっとキスしっぱなしになり、プリンと唾液だけが移動するようになっていた。
全部、上条のせいだ。キスだけでもぼうっとしてしまうのに、服の上からやわやわと胸を揉まれると、もっと何も考えられなくなる。
「これで最後だな。口、開けてくれ」
「うん」
成すがままに、吹寄はそれを受け入れた。
上条が机に置いたプリンのカップには、カラメルがそのまま残されていた。
勿体無いし、食べないわけはないと思うけれど。一体、どうやって食べる気なのだろう。
「潰さないで、口の中で温めて」
「ん」
「抱きしめたいから、こっち来てくれ」
プリンを口に溜めたまま、吹寄は上条に抱かれに行く。
壁にもたれかかって座った上条に、お姫様抱っこをされるような姿勢になった。
「可愛いよ、制理」
「……」
上を向いたその姿勢では、何も喋ることが出来ない。
視線を逸らすくらいしか意思表示できなかった。
もちろん、嫌って意味じゃない。素直に嬉しく思ってしまう自分が、恥ずかしいのだった。
「口、開けてくれ」
「ん」
「もっと」
「んー……?」
言われたとおりに開いたら、上条が頭を支えてくれているのとは反対の手の人差し指を、吹寄の口の中に差し込んだ。
「んっ!」
舌を絡めるのとは、違う触感だった。
舌みたいにぐにゃぐにゃとしていない。指紋のざらつきがこそばゆい。短いけれど、硬い爪の感触もする。
そして舌より細長くて、繊細な動きをする。
「ん、ん! ん!」
不思議な感覚だった。
上条の指が、吹寄の舌の上に乗ったプリンを潰そうと、何度も舌に押し付けられる。
「えほっ……」
「ごめん。入れすぎた」
「んん」
少しえずいてしまった吹寄に、上条が謝る。
それを許す意図を目で伝えて、吹寄は上条が押しつぶしやすいように、プリンを舌の真ん中に集めた。
「指、舐めてくれよ」
「ん……」
開いていた口を、上条の指を咥えたままピッタリ閉じる。
そしてその指に口の中の唾液とプリンを纏わせた。舌で、すこししょっぱい上条の指を撫で上げる。
小刻みに上条も指の間接を動かしているせいで、不規則な感触が吹寄を感じさせる。
指を舐めているだけなのに、体を走り抜けるような快感は感じていないのに、こんなに体が昂ぶってしまうのは何故だろう。
「半分、くれよ」
「んっ」
もう形がなくなってしまったプリンを、ずず、と音を立てながら上条が吸い上げた。
これで、最後の一口も仲良く分け合えたことになる。
「指も綺麗にしてくれ」
「うん」
上条に、抗う気が全く起きない。
言われたとおりに吹寄は上条の指を舐める。何度も唾液で口の中を洗い流し、プリンの甘みを飲み込んでいく。
そして綺麗になった唾液を口の中に溜め、ちゅくちゅくと舌で上条の指を拭い、プリンの味を消していく。
「こんなもんかな」
お疲れ様と労うように、上条が軽いキスをしてくれた。
それが嬉しくて、つい吹寄は素直な笑みを浮かべてしまった。
「……プリンでこういうことするのも、悪くないな」
「当麻の思い付きって、変態だと思う」
「ノリノリだったのを棚に上げるなよ」
「あ、あたしは……」
「嫌だったか?」
そう言われて、制理は返す言葉を失った。
「もう、やりたくないか?」
「そんなことは、言ってないわよ」
「ほら。制理も変態だな」
「馬鹿」
見上げた自分の目に、全然怒りが篭もっていないことを吹寄も認めざるをえなかった。
「当麻」
「ん?」
「そのカラメル、どうするの?」
吹寄は、カップに残ったそれが気になって、つい問いただした。
その意味を、上条はどのように受け取ったのだろうか。ニッと、意味ありげに笑った。
「垂らして舐めようかと思って」
「垂らす……?」
「俺のしたいこと、わかるか?」
吹寄は思案する。垂らすといって、それは何処にだろうか。
机にではあるまい。手のひらにでも、別に面白みはないだろう。
そこまで考えて、上条が、自分を嬲る時の目をしていることに気付く。
「まさか、嘘」
吹寄は思わず、胸を隠すように腕を動かした。
それは正解だったのだろう。上条が笑みを深くした。
「制理も分かってるんだな」
「し、知らない」
「制理の胸に垂らして、舐めようかなと」
「っ……」
絶対に自分の彼氏は変態だと、吹寄は思った。
出づらくなったとはいえ、母乳の出る自分の胸に、まさかカラメルソースを垂らそうとするなんて。
だが吹寄はそれに引いてしまう自分を感じながらも、自分の心の半分以上が、それを受け入れている事を薄々感じていた。
さんざんプリンの口移しで遊んだからかもしれない。
そうやって食べ物と自分の胸を合わせて弄ばれることに、興奮を覚えている自分が、確かにいた。
「やめろって言われたら、やらない」
「……」
「して欲しいか?」
「そこまでは思ってない……」
「へえ」
揶揄するような上条の笑いに、吹寄は太ももをこすり合わせた。
本当に、して欲しいとまでは思ってはいなかったはずなのに。
なぜだか、それも嘘になっていくような感覚に囚われてしまいそうだった。
「ボタン、外すぞ」
「……」
「いいな?」
「……ぅん」
はっきりとは、肯定の意志を示せなかった。
だけど上条が満足げに胸元のボタンをプツプツと外すのを、吹寄は黙って見つめた。
「ブラも外さないとな」
フロントホックのそれを、慣れた手つきで上条が外す。
ぷるんと、支えを失った吹寄の乳房が震えた。
それでいて瑞々しい張りを保つその胸は、綺麗な流線型を描いたまま安定する。
「舐めてください、は?」
「……言えない、わよ」
「そんなことないだろ?」
上条は、首を振る吹寄に優しく微笑みかける。
そして唇を触れ合わせるキスをする。
「舐めてください、って」
「……」
もう一押し、という感じだった。
髪を撫で、黙って見つめる。次の行動権を強引に吹寄に渡す。
そして何も言わずにもう一度、キスをする。
「……」
「制理。言ってくれよ」
切なそうに、吹寄が上条を見上げる。
それは既に降参してしまったことを示すサインだと、上条は分かっていた。
「ほら」
もう一度キスをして、促す。
「……舐めて、下さい」
「何処を?」
「馬鹿。馬鹿ぁ……」
「何処を舐めて欲しい?」
もう、頭の中が滅茶苦茶だった。
全てを投げ出して、上条に全て服従してしまいたいような、そんな気持ちになる。
もう一度キスをしてきた上条の表情が優しすぎて、また、吹寄は理性を消し飛ばされてしまった。
恥ずかしい言葉を言わされるのは、どうしてこんなに、恥ずかしくて、気持ちいいんだろう。
「胸を……舐めて、ください」
「制理はエッチだな」
「ちが、う」
「違わないだろ」
念を押すようにさらに上条にキスをされた。
そして上条が、机の上のカップを手にした。
はだけられた吹寄の乳房の上にそのカップをかざし、僅かに傾ける。
「それじゃ、垂らすぞ」
とろりとしたカラメルがカップからゆっくり自分の胸へ落ちてくるのを、吹寄は息を呑んで見つめた。



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