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No.30682の一覧
[0] 我輩は触手である。名前はまだ無い。(現実⇒ネギま)【8話6月3日中更新予定】[雨男](2012/05/30 06:45)
[1] 触手生活始めました(笑)[雨男](2011/11/29 02:17)
[2] 運命を変えるのは人の意思(笑)[雨男](2011/12/07 23:30)
[3] 麻帆良学園都市考察(笑)[雨男](2011/12/07 15:36)
[4] 潜入! 魔法使いの街(笑)[雨男](2011/12/08 10:38)
[5] しかし、誰が見張りを見張るのか?(笑)[雨男](2011/12/15 23:27)
[6] 触手男と幽霊女(笑)[雨男](2011/12/15 23:15)
[7] せってき!(笑)[雨男](2011/12/22 19:05)
[8] ちう・ちう・トレイン(笑)[雨男](2012/05/04 23:22)
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[30682] せってき!(笑)
Name: 雨男◆d2ee1179 ID:3bd583cc 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/12/22 19:05
はい、皆様方こんにちわ。俺です。

さよちゃんから『存在隠蔽』スキルを得たおかげで俺の行動範囲は劇的に広がった。
いや、正確には麻帆良で四つの場所以外での行動制限がなくなったというべきだろう。

その四つとは、関東魔法協会地下本部施設、エヴァの家、麻帆良学園中等部関連施設、図書館島だ。

あえて説明することも無いだろうが、この四つの場所には俺の『存在隠蔽』スキルが効かない可能性の高い者の行動範囲だ。
学園長、高畑、アルビレオ・イマ、エヴァ、ザジ、龍宮。
俺の『野望』を果たすためにはどうしても逃れることの出来ない難敵だ。
今はまだ打ち破るどころか、相対すればDEAD END確定のチートボスだが戦略次第では攻略は不可能ではない。・・・・・・と思う

なにわともあれ。
俺はまず、原作でも圧倒的な力を誇った『あの』能力を求めて行動を開始する事にした。
















第六話 せってき!(笑)













が、行動は最初から躓いた。

「スライムさん、どこかにお出かけですか?」

時刻は夕方。
ちょうど、拠点にしているところから移動を開始しようとしたところでさよちゃんに捕まった。

ちなみに最初の魔力注入から三日ほど経っているが、今のさよちゃんは昼には学校、夜になると俺のアジトという生活を送っている。
俺の魔力の効果なのか、ネギや他の霊感の強いクラスメイトに存在を認めてもらったらしい。

一昨日はずいぶんと嬉しそうに「同性の友達が増えました!」と報告してくれた。・・・・・・いろいろ考えていたので半分聞き流していたが。

「うん、お出かけ。ちょっとそこまで」

「そうですか・・・・・・、あの、スライムさん」

ああ、これは、もしかして・・・・・・

「なにかな?」

「私もついていって、いいですか?」

・・・・・・やっぱりですか。

昼間はクラスメイトと騒ぐことで今までの寂しさを埋めているらしいのだが、クラスメイトが下校してしまえばぼっちに逆戻り。
なので最近のさよちゃんは、下校時間と共に俺のアジトに入り浸っている。

まあ友人が出来た分、余計に孤独を実感してしまったのだろう。
理解はできるけど、俺にとってはあまり歓迎できない事態だ。

なぜなら、未だにさよちゃんは俺が善良なスライム(笑)と信じ込んでいるから、彼女の前ではっちゃけて強姦や陵辱なんて出来ないのだ。
レイプの件は本当に何かの間違いだと思っているらしい。
なにそれこわい。

ともかく、いろいろと予定の詰まっている俺はさよちゃんだけにかまけている訳にはいかないのだ。

「ごめんね。ちょっと一人でしたいことがあるんだ。悪いんだけど留守番を頼めるかな?」

「そう、ですか・・・・・・。わかりました」

涙目+上目遣いで俺を落としにかかるさよちゃん。


きれいな顔してるだろ。嘘みたいだろ。死んでるんだぜ。これで


「もう一日くらい小夜ちゃんと戯れていてもいいじゃない」と俺の脳内天使が悪魔の様に囁く。


――――が、俺は出来る触手である。
この展開を予想していた俺はとある策を用意していた!
所謂、「私に良い考えがある」というやつだ。

「―――留守番のお駄賃にお菓子を用意しておいたから」

「お菓子ですか!!?」

おお、食いついた食いついた。

「うん。あと、少女漫画も仕入れといたから」

「わわわぁぁ~~~!!」

俺が無断で借りてきた少女漫画を見せると、ぱぁ~っと顔を輝かせるさよちゃん。
まじちょろい。

「あぁ、でも」

「はい?」

「漫画はともかく、お菓子はそのままじゃ食べれないかな」

先日の魔力注入の結果、さよちゃんは軽いものくらいなら動かせるようになっているが、お菓子を食べて味覚を楽しもうとするのならば更なる実体化が必要になる。
この前も、俺の出した粘液を堪能していたし、さよちゃんに味覚が無い訳ではない。

「・・・・・・・・・・・・あ、うぅ」

意味ありげな俺の言葉と視線に数秒考えた後、小夜ちゃんは顔を真っ赤に染めた。
どうやら、俺の意図が正確に伝わったらしい。

俺は触手を一本伸ばすと、触手の先に魔力を溜めてさよちゃんに問うた。








「一本イッとく?」








結局、1時間ほど経過してから、俺は移動を開始した。

ちなみに本番まではしていない。既に処女を失っているというのに、さよちゃんの中には根強い貞操観念が残っているらしい。
全身を朱に染めて淫らに発情していたのに、俺の誘惑を耐えやがった。
なんて、強情で弄び甲斐がある娘だろう。
さよちゃんマジ天使。

まあしかし、俺の用意したあの少女漫画を読めば強固な貞操観念にも皹が入ってしまうだろう。
適当に盗んできたものだが、俺も試しに読んでみた。

あれで『少女』漫画というのは詐欺だ。

あのエロさは下手な青年誌を軽く凌駕する内容である。
あんなモノが小学生でも簡単に手に入るというのだからこの世界はステキに狂っていると思う。
流石に、あの少女漫画の内容はこの世界だけだと信じたい俺がいる。




とか益体の無い事を考えているうちに今日の獲物のいる目的地に着いた。




目的地は麻帆良大学敷地内に複数存在する講堂のひとつ。
ここではちょうど大学部第三演劇部が練習を行っている真っ最中である。

























〈SIDE 村上 夏美〉

「あー。今日も一日お疲れ様でした~~」

講堂付き女子更衣室のベンチにて、妖精の衣装のまま自分自身を労う。
今、私が所属する大学部第三演劇部では学園祭にて公開する演目の練習を定期的に行っています。
脇役だが役を貰えた私としては、落選した人たちの分までがんばろうと日々奮闘しています。
もっとも、役をもらえた最大の理由は「小さいから妖精にピッタリ!」というもの。

・・・・・・・・・・・・えぇ、どうせいろいろと小さいですよ。へんっ!

ともかく、今の私は練習を終え、スポーツドリンク片手に呆けている真っ最中です。
ちなみに大学や高校の先輩達はまだ練習中です。
中学生である私には門限の設定が厳しいので途中退室というわけです。

もちろん、私のほかにも中学生で役を貰えた子はいるのですが、もう更衣室は私一人です。
少し呆けすぎたのか、他のみんなは先に帰ってしまいました。

「~~ん? あれ? 先に帰ったんだよ・・・・・・ね?」

いつもであれば一緒に帰っていたんだけど・・・・・・あれ?
なんか記憶があいまいだな、動き過ぎて脱水症状かもしれない。水分を取らねば。

ズコーー、と
ほとんど中身のなくなったスポーツドリンクを一人で啜っていた、その時



ことん



更衣室のどこからともなく、物音が響いた。
加えて言うが、今私は一人である。
改めて言うが、この更衣室には私しかいない。
いないったらいない!

「・・・・・・・・・ははは」

口からは乾いた笑いしか出てこない。
ふと、最近女子学生の間で噂の怪談について思い出した。

曰く、夜中の女子寮で這いずりまわるラヴクラフトな生き物を見たとか
曰く、金髪幼女に襲われたとか
曰く、壁の中から不気味な音を聞いたとか
曰く、コンビニの店員がスライムのような何かを見たとか
曰く、夜な夜なの吸血鬼が町を飛び回っているだとか

ここ最近、季節外れの怪談話に周りの部員は盛り上がっていた。
結構人見知りタイプであり、そもそも怪談とか痛い話が好きではない私はそういった話の輪には加わろうとしなかったが、噂というものは聴く気が無くても勝手に耳に入ってしまう。
特に、麻帆良のパパラッチと呼ばれる朝倉 和美と席が近い関係でそれはもういろいろと知りたくも無い情報を私は知っていた。
空調が効いているにもかかわらず、寒さで身震いしてしまう。

もしや、その怪物が、あらわれた?
いやいやいやいやいやいや、ない、ないし、ないって、なくなって下さい。


現実的に考えてそんなのいるはずないし。
もっと大人になろうよ私!






あ、でも、大学の先輩が舞台周りは“そういうの”が多いって―――――






ダメだ!
この思考は打ち切り!
ご愛読ありがとうございました! 夏美先生の次回作にご期待下さい!


「あうあう」


ちょっとテンパってしまった私は、衣装の上に制服を着て即行で帰ろうかと一瞬検討するが、同時に自分で却下する。
衣装は代々演劇部で使用する大切なものなので、私のわがままで汚すことは許されない。
それに、もう四月になったとはいえ、寒さの残るこの時期に汗をかいたまま外に出たくないし。

とりあえず、私は精一杯の勇気を振り絞ってベンチから立ち上がると、妖精の衣装を脱ぐことにした。





―――――と、チャックに手を伸ばしたところで私はとある異変を察知した。





「・・・・・・・・・・・・」

(なん・・・・・・だろう、視線? を感じる?)

一応、アマチュアでも舞台役者の私は視線には敏感なつもりです。
一度だけ大舞台に立った時など、あまりの視線の圧力に呼吸困難になりかけました。
視線には力があるというのは持論ですが、その視線を「誰もいない正面から」感じるのは何の悪戯ですか神様。


改めて更衣室を見回し、誰もいない事を再確認した私は、拘泥していても仕方ないので衣装を脱ぎます。


肩紐の無いワンピース状の衣装なので、ニップレスを一緒に外したらもう上半身には何も身に着けていない。
私の慎ましい胸が外気に晒されると同時に、何故か羞恥心を覚える。

(いやいや、だれもいない。だれもいないから!)

心中で念じるように繰り返しながら、脱衣を続ける。
衣装をストンと落とし、タイツを脱げば後はあとはショーツだけだ。

(・・・・・・うぅ、シャワーどうしようかなぁ)

更衣室に備え付けられているシャワー室。
いつもであればシャワーを浴びて、汗を流してから帰宅する。
しかし、寮に戻れば(いいんちょのおかげで)通常より大きめな部屋に備え付けられた風呂に入ることも出来る。

胸を隠しながら、およそ一分ほど考えた後、シャワーを浴びてから帰ることにした。
いつもの習慣とシャワー室に逃げればこの嫌な雰囲気から逃れられるのではないかという淡い期待からだ。

手早く最後に残ったショーツを脱ぐと、私はロッカーからタオルやシャンプー等を取り出し、逃げるようにシャワー室のドアを開けて中にもぐりこんだ。

ショーツを脱ぐ時、先ほどとは違い、後ろからお尻へと強い視線を感じたが気の所為ということにしておく。

扉を閉めると、やはりというか『謎の視線』は途切れた。
いや、錯覚に決まっているのだが、そんな気がしたというだけだ。

一息ついた私は、カーテンで仕切られた個室の中から手頃なのに入り、シャワーのハンドルを回した。

しゃーーーーーー、と

ほどよく暖まった温水が脳天から降り注ぐ。
先ほどまでの怪奇現象で背筋が凍りつかんばかりであった身体に熱が戻り、自身の精神がリラックスして行くのが感じられた。

「ああ、生き返る~~♪」

自分でも年寄り臭い発言と自嘲しながら、全身についた汗を落としてゆく。
演目はミュージカル調で激しく動く演目であるのと、機能美より造形美を優先された衣装の所為で全身汗まみれだ。

(私がスレンダーなのは演劇の為なんです~)

自慢の美脚を洗い終えた後、谷間の影も形もない胸部を丹念に洗いながら自分自身に言い訳をする。
「貧乳はステータス」という言葉が世にはあるらしいが、演劇の世界ではまさにソレだ。
胸の大きい者に、少年役や青年役は出来ないのだ。
私は望んで貧乳に甘んじているのだ!


・・・・・・・・・嘘です。
ちづ姉とかいいんちょとか見てて揺れる胸に憧れないはずがありません。


とか、バカなことを考えている間に身体は流し終わったので次にシャンプーを用意する。
シャワーを浴びながら、髪に直接シャンプーを振り掛ける。

しかし、頭部に感じたシャンプーの量は意に反してかなりの量だった。

(うわわわあ。これ高かったのに~~~、・・・・・・・・・てあれ? ぜんぜん減っていない?)

あわててシャンプーの残量を確認するが、使用前と比べてぜんぜん減っていないように感じだ。
しかし、髪にはべったりと必要以上にシャンプーと思われる粘液が張り付いている。

(・・・・・・?)

狐か狸に化かされた気分になりながらも、とりあえず洗髪を開始する。









異変は、直ぐに現れた。







まず頭部が、それからシャンプーが滴り落ちた肌の部分が、熱を持ち出したのだ。
かゆみに似た何かが、くすぐったいような微妙な感覚が体中を駆け巡る。
まるで、肌という肌が敏感になったような感じ。

知らず知らずのうちに、頭を洗っていた手は止まっていた。

そのかわりに両手は全身をもう一度洗いなおしていた。
先ほどまではなんとも無かったのに、肌を洗う手の刺激は明確な何かを私の脳髄に伝えてきた。

自分の意思とは無関係に動き出した手は、次第に性感帯と呼ばれる付近を攻めだす。
はじめは躊躇いがちに、徐々に大胆に

「・・・・・・・・んっ、・・・・・・・・・・・・・・・・あぅん、・・・・・・・・・ふぁ」

乳首や秘部に手が触れるたびに、口から荒い息とはしたない声が漏れる。
端に追いやられつつある理性はこの状態に危機を覚えているのだが、背筋に奔る甘い感覚が行為をやめる事を許さない。

(んん・・・・・・あれ? 甘い・・・・・・?)

だらしなく開かれた口内に侵入したシャンプーの粘液は不思議な甘さを味覚に伝えた。
いつものシャンプーは苦かったはず・・・・・・・・・・・・などと思い巡らす事も無く、私は口内に侵入した粘液を嚥下した。
なんとなく、そうしたほうが『気持ち良くなれる』気がしたからだ。


予感は、直ぐに現実に変わった。


体内に侵入した粘液は、まるで身体を駆け巡るように私の体内を蹂躙した。
もう、シャワーの水滴にさえ、私の身体は悦楽を感じていた。


「―――はぁっ、ふっ、うぅっ、ふはぁっ」


犬みたいに息が荒くなるが、そんなのはどうでもいい。


今はただ、下腹部にたまった『熱』を吐き出したくてたまらなかった。


自然と両手が秘部に伸びる。


(あ、今、わたし、オナニー、してる。だめ。止まらないっ!)

流石にこの歳になってオナニーをしたことが無いなんて初心なことは言わない。
(むしろ、初オナニーの時にちづ姉に赤飯を炊かれたのはトラウマである)

しかし、自慰でこれほど昂ぶった事は無かった。
自身の異変を明確に感じるが、熱病に罹ったかのように火照った頭では思考を深化することが出来ない。

反して、私の指先達はそれぞれ明確な目的を持って行動を続ける。
左手の人差し指と中指が秘唇に隠された敏感な淫肉をさらけ出し、右手の爪がソレを引っ掻き回すたびに脳内が真っ白に染まり、あらゆる事がどうでも良くなる。

ぐちゅぐちゅ、という粘度の高い水音はシャワーの音や自身の喘ぎ声に負けることなく耳に届いた。
あまりの快楽に、足が震えて立っていることもままならず、思わずシャワー室の壁面に背を預ける。

「んぁあああっ! くふぅっ! あっあっあぁああっ!」

壁面に押し付けられることで下腹部が安定し、秘部への攻勢が激しくなる。
もはや完全に花開いた秘唇を押さえていた左手の指はぷっくり膨らんだ淫核へと移動し、痛々しいほど真っ赤なソレを指先で転がす。

「ひぅぅぅううううううう!!!」

全身に電気でも走ったかのような快楽が駆け巡る。
壁に身体を預けていなければ、膝から崩れ落ち、タイルの上で無様に衝撃していただろう。

「あああああぁああぁっ! ふぁあぁああああぁああっ!!」

もう、ここが講堂の一角に備え付けられて更衣室であることなどお構いなく、思うままに甘い絶叫を上げる。
きっと、廊下に人がいれば何事かとシャワー室に乗り込んで来るだろう。

そして、私の痴態を目撃するのだ。



もし、それが男の人だったら、ワタシハドウナルノダロウ?


その最悪の事態を想像するだけで、ずくん、と子宮が疼いた。


「んんんッ!!!」


きっと強姦される。
有無をいうことも出来ずに犯されて、滅茶苦茶にされる。
泣いても、謝っても、許しを請おうとも、蹂躙される。

そして、私は幼稚な自慰なんて霞むような快楽に支配されるだろう。

疼きを押さえる為に秘肉を引っ掻く力を強める。
強姦される自分を想像しながら、血が滲むほどに自慰を続けるが、それでもまだ足りない。

男の人のちんぽが私の処女を散らす時、もっと凄まじい衝撃と痛みが全身を貫くだろう。

想像の中で喘いでいる少女に少しでも近づく為に、指を秘部に差込み、蜜壷を掻き回す。


「んむぅぅぅううううううう! はぁあああっ!!! うあああああああああっ!」


内股が蜜壷から掻き出された熱い愛液の存在を如実に私へと伝えてくる。
ドロリとした愛液は、次から次へと溢れ出てくる。




もう、どうにかなりそうだった。




下腹部に溜まったマグマのような塊を吐き出したくて、堪らない。


(―――――あぁっ、もう、少しっ! もう少しでっ!)


「くるっ! うあぁああああ! いくっ! いっちゃうっ!!!」


限界以上に高まったナニカを感じて、口からよだれと共に絶叫が漏れでる。
絶頂の予感に自分の腰がぴくぴくと震えているのが不思議と理解できた。


―――くる


そう感じた瞬間、私は無意識の判断で力一杯に淫核を摘み上げた。


「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」


鍛え上げた喉から、音にならない悲鳴が放たれると同時に、私は床のタイルへと崩れ落ちた。
びくんびくんと、私の意思から離れた体の各部位が絶頂に震えているが、どうでもよかった。
ただ、脳内で暴れまわる悦楽の荒波に私の意識は食い尽くされていた。










その後、長い長い絶頂を終えたあと、がくがくと震える体を何とか起こして、壁を背に座り込む。
開かれた足と足の間から見える秘部は充血し、今なおぴくぴくと震えている。

自慰の最中もずっと流しっぱなしにしていたシャワーが肌を叩く感覚だけが妙にはっきりと感じた。

「うぁあ、ああぁあ?」

すこしづつ、意識が鮮明になるにつれ、自分のした「事」を理解してゆく。

(・・・・・・・・・・・・・・・ァぁぁぁああああああああああああああ! オナニーしちゃった・・・・・・いや、それどころか、盛大に・・・・・・!!!)



と、自身の犯した過ちに震え、慌てて目撃者がいないかシャワー室に視線を巡らせたら、











それは、そこに、いた。











「え?」







ナニカ。

例えようの無い、知識に無いナニカが、M字に開かれた私の秘部を正面から眺めていた。

羞恥心と恐怖が全身を駆け巡る。

(~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!)

「き、きゃあ―――あぐへぅっ!!!!」

肺活量いっぱいいっぱいの悲鳴を挙げようと反射的に頭を振るったその時、ゴチンという鈍い音と共に後頭部に衝撃が走った。


そして、
そのまま、
私の意識は闇に飲まれていった。






〈SIDE 村上 夏美 END〉



















どうやら、リアルJCのシャワー室オナニータイムは終わってしまったらしい。
記録に残せば後世まで残る“お宝”として名を残しただろう名演であった。
記憶媒体を持ってこなかったのは痛恨の一言だ。

ちなみに、言うまでも無いと思うが夏美嬢が頭からかぶった大量の粘液はシャンプーではなく俺の粘液だ。
『初等魔法』スキルの“幻術”と『存在隠蔽』スキルで透明人間と化していた俺は、他の部員を操ってさっさと帰らせ、夏美嬢のストリップからオナニーショーまでを愉しんでいたのだ。

で、そして本日のショーのクライマックスは睡姦という訳だ。

俺はまず夏美嬢の状態を調べた。
エロい意味ではなく、タイルの壁に思いっきり強くぶつけた後頭部の容態を確認する為だ。

「出血は無し。たんこぶくらいかな?」

意識は無いが問題は無い。むしろ好都合である。
とりあえず『初等魔法』スキルの“治療”を唱えて、たんこぶも目立たないようにしておく。


「これで良し。じゃあ、いっちょ犯っときますか」

自分自身で、癒した後に傷つける。
いろいろと破綻しているとは思うが今更なので気にしない。

俺はスライム状の形態のまま、夏美嬢の下半身に覆いかぶさった。
触手を伸ばさずに、このまま正常位の様に密着した状態で犯そうという心算だ。


そんな、油断しきった俺を











ぞぶりと白刃が襲った。









普通の刃物で切られた感覚とはまるで違う、刀身が焼きごての様に俺を焦がしているような感覚。

「お・・・・・・ご!?」

突然の事態に混乱しつつも、俺は襲撃者へと視線を向けた。

そこにいたのは―――――――――!
















〈SIDE 桜咲 刹那〉



麻帆良大学女子剣道部への出稽古の後、僅かな悲鳴が私の『人より優れた』聴覚に届いた。

(・・・・・・・・・・・・女性の悲鳴。悪漢でも出たか、捨て置けんな)

ここは中等部からあまり離れていない。
万が一にもこのちゃんに累が及ぶ可能性は“物理的に”断っておきたい。

早々に発見して、殲滅せねば

公私共に、悪漢退治を肯定した私はすぐさま他の剣道部女子部員に別れを告げ、大学構内を捜索を開始した。
断続的に届く悲鳴は甘さと熱を含んでいたが、情事についての知識は無いに等しいので気には留めなかった。





そして、とある講堂の更衣室に辿りを着いた。




(これは、人払いの魔法!?)

更衣室を覆うように仕掛けられた人払いの結界を見た時、刹那の意識は“悪漢退治”から“麻帆良侵入者への迎撃”にシフトした。

(妖気や魔力の類は感じなかったが、どういうことだ? いや、そもそもこの敵はエヴァンジェリンさんを乗り越えて侵入してきたのか!)

その事実に思い至った時、背筋に冷たいものが走った。
この2年間、護衛として麻帆良にいた身として、エヴァンジェリンさんの実力は嫌というほど知っていたからである。
特に侵入者の感知に関しては格別の信頼を置いていた分、敵の技量に空恐ろしいものを感じたのだ。

しかし、ここで躊躇っている暇は無い。
先ほどまで聞こえていた少女の叫び声が、先の絶叫以降途切れてしまっている。
最悪の事態を考えれば、突入するしか無いだろう。

意を決し、細心の注意を払って更衣室のドアを開ける。

(誰もいない?)

否、奥のシャワー室から水音が聞こえる。
被害者も加害者も、恐らくあそこにいる。

しかしここまで気配を消せる存在でありながら、どういうわけか私の存在はまだ気取られていないようだ。
空気で判断するが、間違いないだろう。

(ならば、奇襲で一気に仕留める!!)

覚悟を決めた私はシャワー室に飛び込むと、一息で“夕凪”を引き抜き、敵に襲い掛かった。




〈SIDE 桜咲 刹那 END〉


















(何故、桜咲刹那がここに!? ――って、ちがう。今大事なのは安全圏までの逃走!)

『度胸』スキルのおかげで恐慌状態から抜け出すことが出来た俺は、シャワー室に設けられた排水溝に意識を向ける。
あそこから、本体の逃走は可能だ。
狭い排水溝では、また体の何割かを失うことになるが、逃げることは可能だろう。

だが、それは桜咲 刹那が俺の逃走を見逃してくれたらの話である。


(・・・・・・・・・逃げられる間合いじゃないな)


白刃から溢れる不可視のエネルギーは『気』と呼ばれるものだろう。
魔力とは違う、人体が発する力。
それが、魔に属する俺の身体を焼いている。
今は夏美嬢の身を案じて攻撃の手を止めているようだが、俺が下手な動きをすれば刹那は自身の気を叩きつけて俺を消滅させるだろう。

俺は冷静に絶体絶命の状況を認めた。






で、あるならば――――――――――――後は俺のやり方次第だ。

初めて自身の命を賭けた場に立ったが、俺の心に怯えは無かった。
それは『度胸』スキルのおかげであるかもしれないし、俺がもとから持つ資質であったのかもしれない。

俺は冷静に原作知識を駆使し、『悪巧み』スキルと組み合わせて生存の道を探した。

反撃、防御、逃走、これらは全て悪手だ。
相対してみて良く分かった。桜咲刹那は強い。
今の俺では戦闘にすらならずに一方的に殺戮されるだろう。

結局、残された手は一つしかないようだ。
古今東西、使い古された手だ。


つまり、刹那をペテンにかけるしかないようだ。



なんとも俺らしいじゃないか。



どの道、刹那で躓くようなら3年A組完全攻略など夢のまた夢だ。
ならば、この窮地を脱する為に、己の命を賭けて正々堂々真正面から騙しきってみせようではないか。





「――この刀は夕凪! 貴様、まさか桜咲刹那か!?」

「―――な!」

正体不明の妖魔が、突然しゃべった事と自身の名を当てられた事に刹那が動揺する。
良し、たたみ掛けよう。

「問いに答えてもらおうか? 貴様は京都神鳴流剣士の桜咲刹那か?」

あくまでも高圧的に、問いを重ねる。

「・・・・・・・・・その通りだ」

刹那がのってきた瞬間、俺は笑ってしまいそうになる自身を必死に抑えた。
俺の言葉に反応したという事はつまり、刹那が交渉のテーブルに着いたということだ。
勝算が見えてきた。

「ならば話は早い。私は関西呪術協会天草家から情報収集の命を受けて麻帆良に潜伏している者だ。まずはその刀を納めてもらおうか?」

「なっ、貴様が関西呪術協会の者だというのならば、私に刀を納める理由は無い!
 今の私は関東魔法協会の命を受けてお嬢様の平穏を守る身の上だ!」

このまま滅してくれる、と意気込む桜咲に俺は待ったをかけた。

「ふん。その言葉・・・・・・・・・・・・どうやら貴様は何も知らずに飼われている様だな」

「・・・・・・・・・・・・どういう、意味だ」

今の刹那は非常に大きなストレスを抱えている。
そこを上手く突けば、関東魔法協会に不信感を抱かせるのは簡単だ。

「私を見逃してくれるというのなら、私の集めた情報を教えてやろう。
 私の特殊能力である存在隠蔽を駆使して集めた情報をだ」


何故存在隠蔽スキルが突破されたのかは今もって分からないが、俺の『存在隠蔽』スキルの性能については折り紙付きだ。
多少の信を得ることは出来るだろう。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・情報次第だ」


俺を見逃すという取引内容に眉をひそめた刹那だったが、情報の誘惑には勝てなかったようだ。
俺の肉体から刀を引き抜き、苦渋に満ちた顔で俺に情報を催促する。

「いいだろう。
 ではまず、情報がどう意味を持つのかを理解してもらう為に、今現在このかお嬢様が置かれている状況から説明してやろう」

「っ!」

刹那が最も知りたいであろう木乃香の情報を餌として、釣り針をたらす。
さて、刹那は食いついてくれるだろうか?

「お嬢様は一般人として生きる為に麻帆良へと移り住んだ。それが関西呪術協会における一般認識だ。お前もそうだな?」

「・・・・・・そうだ、私は長から直接そう聞いている。」

「お嬢様ほどの資質を埋もれさせる事の是非はここでは置いておく。
 その上で、今看過できない事態が発生している事をお前は理解しているな?」

「・・・・・・・・・ネギ・スプリングフィールド」

刹那は怨敵の名の様にその名前を吐き出した。

「正解だ。
 大戦の英雄の子、英雄の卵、ネギ・スプリングフィールド。
 そんな曰く付きの魔法使いを、関東魔法協会はよりにもよってお嬢様と同室に配しやがった」

まるで、魔法の存在に気づいて欲しいとばかりに

「この状況で、誰が『お嬢様は一般人として生きる』ってお題目を信じると思う?」

「・・・・・・・・・・・・」

既に同じ事を考え、悩んでいたのだろう。
刹那の顔は苦渋に染まっている。

「豆知識として教えてやる。魔法学校を卒業した魔法使いのお子様が一般人に魔法をばらしてしまう確率は非常に高い」

立派な魔法使いを目指すガキの大半は“魔法を使って”褒められたい”と願っているからな。
オコジョの刑も学校の罰ぐらいにしか考えていない。

「更に、お前が知っているか知らんが、ネギの父である『大戦の英雄』ナギは関西呪術協会の長、近衛 詠春殿の盟友だ」

「それが・・・・・・・・・どうした」

力なく反論する刹那。
まあ、当然の反応だろう。
普通であればそんなことには何の意味も無い。・・・・・・・・・・・・普通であれば。

「英雄の卵が本物の英雄になった時、その傍にはかつての盟友の娘。―――なんとも出来た美談だと思わないか?」

「・・・・・・ぐっ」

俺の提案する未来像を思い描いたのか、刹那がうめき声を上げる。

「そして、そうなる可能性は非常に高い。
 これは私の得た情報から出た結論だが、近衛 近右衛門はどうやら本気でネギを英雄に仕立てる心算のようだ」

「ど、どういうことだ!」

食って掛かる刹那を宥めつつ、俺は毒言を述べる。

「お前が知らないだけで、世界には大きな問題が満ち溢れている。
 それを解決する為には偶発的に現れる英雄を待っている暇は無いんだよ」

「だから、強制的にネギ先生を英雄に仕立てようというのか?」

「そういうことだ。証拠のひとつとして、お前も在籍している3年A組の存在が上げられる。
 立派な魔法使いは従者と組むのが一般的だ。そして3年A組にはお前が理解している以上に、各種の素質をもつ娘が集められている。
 この意味は分かるな?」

つまり、3年A組とは英雄の卵を育てる為の生贄の群れという事だ。

「・・・・・・・・・・・・そん・・・・・・・・・な」

「あと、こちらについては証拠が無いが、関東魔法協会の背後に存在する魔法界もこの『英雄作成計画』に一枚噛んでいるのではないかと私は考えている。
 あそここそ、他の何よりも滅亡の危機に瀕しているからな」

「そんなことが、何も知らない子供の運命を捻じ曲げることが・・・・・・許されるのか?」


「それは表の世界の言葉だな。現実を見ろ、世界には『許されざる者』が溢れているだろう」


「・・・・・・っ」


諦めるように顔を伏せる刹那を俺は内心微笑みながら眺めていた。
釣り針には上手く引っかかってくれたようだ。

「ふん。今このかお嬢様が置かれている状況を再認識できたようだな。
 ではここから先が取引材料として提示する情報だ。

 桜咲刹那、お前は600万ドルの賞金首である闇の福音を知っているな」

「・・・・・・・・・エヴァンジェリンさんは現在では麻帆良防衛の主力だ。賞金首であったのは昔の事だ」

「ああその通りだ。

 ―――――では彼女が半年以上前から行っている吸血を、関東魔法協会が黙認している事実については知っているか?」

「なっ!」

刹那の身体が驚愕に震える。

「この件が公になれば、闇の福音は更生したと主張する関東魔法協会の社会的信用はがた落ちするだろうな」

「バカなっ! そんな話信じられるか!」

「ふん。ならば桜通り付近で張り込みでも行うのだな。行動パターンから考えるに、次の『狩場』はあそこだろう。
 ちなみに、一般生徒にまで吸血鬼の噂は広がっているぞ」

意図して情報を流布しているのかは知らんがね。

「・・・・・・そんな、馬鹿な」

同じ人外に属する者として尊敬の念でも抱いていたのか、刹那の落胆ぶりは凄まじい。
っていうか、俺みたいな怪しい奴の話を簡単に信じるなよ。どこまで純粋なんだよこの小娘。

「闇の福音の狙いは、十中八九ネギだろう。それ故に関東魔法協会は黙認していると見るべきだ」

「それも『英雄作成計画』の一環という訳か」

「漸く、裏の流れを理解できたようだな。
 では桜咲刹那よ、想像してみるが良い。吸血鬼が本領を発揮するのは満月が一番高いところにある時だ」



さて、その時間帯に闇の福音がネギを襲った場合、ネギはどこにいると思う?



「俺は、自室で寝ていると考える。このかお嬢様と一緒の自室でね」

「ありえないっ!」

俺もそう思う。
俺は『刹那にとっての最悪の状況』を、さもそうなる確率が高いように話しているだけである。


「関東魔法協会の長である学園長はお嬢様の祖父だ! 実の孫をそのような危険に晒すわけが無い!
 そもそも、学園長は私を半妖と知ってなお普通の人間として扱うような人徳に篤いお方だ。
 そのような下衆の謀略を企てているはずがっ「教師と生徒を併せて約200人。この数字の意味をお前は知っているか?」―――っ!」


俺はまくし立てる刹那の言葉に重ねて、致命傷となりうる問いを突きつけた。


「・・・・・・・・・・・・わからない」


刹那は俺の言う数字がどんな意味を持つのか思考を巡らせたようだが、やはり分からなかったようだ。
当然である。俺がたった今適当に思いついた数字なのだから。

「やはりな。
 ―――――答えは、麻帆良に在籍する魔法使いの数だ。
 結局、奴らにとってお前はいまだに西の犬と思われているということだ」

「っ!!!」

いや西の『鳥』か、と嘯く俺を、刹那が殺気を込めて睨む。

原作でネギと初めて魔法使いの会合に参加した刹那は、ネギの「こんなに魔法使いの人達がいたなんて・・・」という発言に対して「私も知りませんでした」と語っていた。
木乃香の危機に際して、連携が必要となるであろう魔法使いの存在を刹那が知らない。
これはつまり、関東魔法協会陣営の桜咲刹那に対する不信に他ならないのである。

刹那自身も、関東魔法協会が醸し出している『空気』をうすうすは気がついていたはずだ。

「・・・・・・。」


信じていた学園長に裏切られたと感じたのか、刹那の身体がぐらりと揺らいだ。
エヴァの件と併せてワンツーフィニッシュだ。

「そんな・・・・・・・・・嘘だ、そんな話は嘘だ!」

口では俺から与えられた情報を否定する刹那だが、その本心は真逆だろう。
今まで溜め込んでいた不信の種が、俺の与えた悪意という名の栄養で一気に芽吹いたのだ。

「・・・・・・そんな、私は何を信じれば・・・・・・このちゃん」

虚空を見つめ、存在しない心友に哀願するように助けを求める刹那の様子にゾクゾクする。
やはり、この手の芯のある娘はその軸が折れた瞬間が一番美しい。




今は準備不足なので諦めるしかないが、いつか必ず刹那を地獄の底まで堕とすと、俺は自分自身に誓った。




「さて、私からの情報は以上だ。取引は成立したかどうか。答えてもらおうか?」

俺はまだ自失から立ち直っていない刹那に、追い討ちをかけるように聞いた。
その様子だけで、結果は見えているのだが。

「・・・・・・・・・・・・情報の意義は認める。さっさと、この場を去るがいい」














刹那は、悔しそうに表情をゆがめた後、出入り口を塞いでいた身体を動かした。














どうやら、俺は賭けに勝ったらしい。
表には出さないが、心中には安堵と喜びでいっぱいだ。


刹那は嘘がつけない娘なので、油断したところをバッサリという真似は出来ない。
なので俺の勝利は確定しており。ここで何かすればそれは蛇に足を描いた馬鹿と同レベルだ。

そう、普通であればここは逃げの一択だろう。
誰だってそうだろう。
それが普通ということだ。


しかし、俺は尋常ではないクズであり、出来る触手だ。
目の前に夏美嬢という食べ残しがありながら、おめおめ逃げ帰るという選択肢は選べない。















「何を言っている? この場を去るのはお前だよ桜咲 刹那」













「―――は?」


予想外の展開に刹那が呆けるが、構わず俺は続ける。


「ああ、そうか。自己紹介が遅れたな。
 私の名は『しゅましゅ』。召喚によって呼び出された淫魔に分類される妖魔だ。特殊能力は高レベルの手練で無いと感知できない存在隠蔽能力だ」

いきなり自己紹介を開始する俺に、聞き手である刹那は理解が追いついていないようで、頭上にクエッションマークを浮かべている。

「私はあらゆる探知を掻い潜る為に召喚者から完全に独立している。つまり念話や魔力供給のラインが存在しない、召喚時の誓約に縛られているだけだ。
 その為に、情報の受け渡しは念話によってではなく、物理的な手段でやり取りしている」

「・・・・・・それがどうした」






「随分と察しが悪いな、桜咲刹那。





 ――――――――淫魔である私が、ど う や っ て 魔 力 供 給 を 行 って い る と 思 う ?」






「まさかっ!」



刹那の視線が、全裸のまま気を失っている夏美嬢に向けられる。

「そのまさかという訳だ。
 ―――さ、理解したのなら出て行ってくれないか?」

「私が、級友を見捨てると思っているのか!」

激昂する刹那に対して、俺はあくまでも冷静に利を説いた。

「それで? ここで俺を消すのか? この麻帆良において唯一の味方ともいえる私を」

「―――貴様が、味方だと!?」

虫唾が走ると言わんばかりに刀を上段に構える刹那に、俺は平静を装って続ける。










「――――あぁ、お前がお嬢様と麻帆良から脱出する時、俺は唯一無二のお前の味方となる」









「なっ!!!」

今迄で一番の驚愕を顕にする刹那。
万が一の際には、命を賭けてでも果たさんと決意していた『麻帆良からの救出』を言い当てられたからだろう。
分かり易す過ぎです。

「理解したか? 存在隠蔽能力を持つ私がお前の味方であるという事を」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くっ」

「沈黙は肯定として扱う。
 なに、心配するな。記憶は消すし、傷も癒す。もちろん、殺しもしない。
 ただ処女を失うだけだ」

「・・・・・・・・・クズめ」

「お褒め頂き光栄の限りだよ、桜咲刹那。
 ではお帰りはあちらです。忘れ物の無い様に願います」

それとも、見学して行くか?
という俺の問いには、「ギシッ」という歯軋りの音が返ってきた。

一分ほど迷った後、刹那は行動に移った。







クラスメイトである夏美嬢を残したまま、シャワー室の外へと・・・・・・。







「桜咲刹那」

「なんだ?」

もはや一刻も早くこの場を去りたいのであろう、刹那は振り返りもせず、ドアの隙間から俺の声に応えた。

「おめでとう。これでお前も『許されざる者』だ。素直になれたご褒美にプレゼントをくれてやる」

俺は自身の肉の一部を分離すると、刹那に投げつけた。
刹那は視認すらせずに、肩越しでソレを受けとる。
ナイスキャッチ。

「なんだ、この不快な物体は」

俺の身体の一部を汚物の様に扱う刹那を無視して、俺は肉片の機能について説明する。

「それは私の一部であり、常に俺と繋がっている。つまり、ソレに話しかければ私に伝わるという訳だ。せいぜい肌身離さず持ち歩け」

「・・・・・・・・・今日ほど、わが身の不運を呪ったことは無い」

「知るか。せいぜい同室の龍宮真名に気取られぬように誤魔化せよ。アレはお前が思っている以上に出来る女だ」

「・・・・・・・・・・・・」

もう俺の用事は済んだと判断したのか、今度こそ刹那はシャワー室を後にした。

















ああ、最高だ。













真剣で刺された時には死すら覚悟したが、結果は望外のものとなった。





今、桜咲刹那は裏切ったのだ。
関東魔法協会を、クラスメイトを、自分自身を、





――――――――そして恐らく、何よりも大切にしている親友を。





一度道を踏み外せば、外道となる。
外道とは光なき道を歩む者の事だ。
誰の助けもなく外道から光さす場所に戻ることは不可能だ。

これから桜咲刹那を待つ運命は無明の暗黒だ。

俺がそうする。絶対にそうする。

堕とし尽くしてやる。
穢し尽くしてやる。
愉しませてやる。
狂わせてやる。

その命の悉くを漆黒で塗りつぶされた時、あの少女はどんな顔で笑うのだろうか?









気が狂いそうなほど、楽しみで愉しみで仕方が無い。








とりあえず俺は、身体の内側から無尽に溢れ出る凶暴なモノの捌け口として、直ぐ傍に転がっている少女に目をやった。

ごめんね夏美ちゃん。
今の俺はちょっと理性の抑えが効かないから、かなり激しくなっちゃうかもしれない。

壊れないように、頑張って耐えてね。



















壊れたら壊れたで、愛でてあげるから。













 テレッテー 触手Aは「変装」スキルを覚えました。









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所有スキル一覧
・固有スキル
 ■霊的視覚    : A(隠蔽・認識阻害を無効化)
 ■生命力     : B(核が無事なら分裂して行動可能)
 ■毒       : B(催淫体液+麻痺毒)⇒ A(催淫体液(中毒効果)+麻痺毒)

・常時発動スキル
 ■強運      :確定されていない変動する状況が有利になる
 ■度胸      :危機に対しても思考能力や身体能力を十全に発揮できる
 ■火炎耐性    :火属性に対して耐性を得る。

・特殊スキル
 ■悪巧み     :悪いこと専門のひらめき
 ■声       :発声を行うことがきる。また声色は変更可能
 ■初等魔法    :魔法学校で習う程度の魔法を使うことが出来る
 ■千里眼     :半径1キロ圏内で視覚を“飛ばす”ことが出来る
 ■存在隠蔽    :ステルス効果を得ることが出来る
 ■変装(NEW)  :人や動物に変装することが出来る
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あとがき
タイトルが「刹那が敵」と「接敵」をかけたものだとはだれもおもうまいだからこのばでせつめいした。

今の刹那も十分にかわいいと前置きした上で、一番可愛い刹那は単行本四巻の刹那だと思っています(キリッ)
刹那は特に好きなキャラの一人なので、これから先は悲惨な展開が彼女を待っています。

展開の悲惨さと作者のそのキャラに対する愛情は比例します。


スキル説明
変装:魔力を消費する事で外皮を作り、人や動物に擬態することが出来る。
   元の体積からあまりにも逸脱したものにはなれないが、外皮の内側で収縮や膨張することで様々なものに変化できる。
   魔力の消費が激しい為、一日に何十回も外皮を作ることは出来ない。
   漫画登場キャラであれば変身可能。また、視認した人や動物にも変装可能。

コメント:存在隠蔽スキルとは別の次元のチート能力。


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