・ベッドと俺とその温度
スタスタと足早に進んでいく姐御に引っ張られていく事しばし
溜まり場よりも少し奥まった場所の、何も無い通路でその歩みは終わりを遂げた
あれ、もしかして道間違えたのかな? なんて思っていると
何かに意識を集中させていた姐御がその繊細そうに見える指をパチンと鳴らす
それと同時に、寸前まで普通の石壁だった所に扉が現れた
おおっ、こんな所に隠し扉があったのかっ!
さっきまで暗闇さえ見通すデビルアイでも何も見えなかったのに……魔法的な何かで隠していたんだろうか
前に持ってった絨毯をどこで使っているのか疑問だったけど、こんな所に隠れ家を持っていたなんて知らなかった、流石は姐御だ
「フフ……驚いたかしら?
ま、普段は霧になって通気口から出入りしているから、誰にも気づかれる事はなかったでしょうね」
己の魔法が感心されているのが嬉しいのか、少し小ぶりな胸を張って自慢げな姐御
意外な子供っぽさが見えて、ちょっと可愛らしい
「ここへ他者を招くのは随分久しぶりね……サ、いらっしゃいな」
姐御みたいに綺麗な女性に部屋へ招かれるなんて、本来なら最高なんだろうけども……
どうしても前後の状況があるから、気分はイソギンチャクに絡め取られる小魚です、タスケテー
おずおずと中へ入り、高級ホテルのようにも見える豪華な造りの部屋の中をぐるりと見回す
あ、絨毯はここに使われてるんだなー、どこから手に入れたのか大きなベッドまである、棺桶じゃないんですね
入ってきたのとは別の扉もあるけれど……物置にでも繋がっているんだろうか
「喜びなさい? 本当は貴方を下僕にしてしまっても良い所だけど
吸血によるライン構築では知識の共有なんて出来ないから、今は対等の条件で勘弁してあげるわ」
出入り口の扉に再び魔法を掛けて塞いでいた姐御が、こちらへと向き直ってそんな事を言ってくる
「ええと……対等の条件ですか?」
「そうよ、この試みが上手くいったら、ラインを通じて貴方の使いたがっていた攻撃魔法の知識を流してあげる」
ボゥッと小さな火球を生み出して、姐御はベッド脇の棚に置かれた燭台へと明かりを灯した
ロウに何か香料を混ぜてあるものなのか、仄かに甘い香りが漂ってくる
攻撃魔法が使えるようになるのは歓迎ですけども……というか、もうこっちに拒否権ないですよね! 逃げ道も塞いじゃってるし!
……あぁ、拒否権が無いのは最初からでしたか、そうですか
いやまぁ姐御とにゃんにゃんするのは嫌じゃないんですが、もうちょっと、何と言うかですね
男女の、行為へ持ち込むまでのシチュエーションをあれこれ考えている俺をよそに
姐御は「ギブ&テイク、良い言葉よね」なんて言いながら、あっさりとローブを脱ぎはじめる
そうして、静かに流れる部屋の空気の中へ余す所なくそのスラリとした素肌を晒した姐御
ちらちらと揺れるロウソクの炎に照らされた、少し血色の悪い姐御の姿は……妖しくて、とても綺麗だった
「ホラ、術式を打つにはスる必要があるんでしょう? 貴方もさっさと服を脱ぎなさい」
――ああ、少し見惚れていたかも、声を掛けられるまでぼうっと姐御を見つめていた
淫魔の体のはずなのに普通にドキドキしてくるのは何故だろうか、思わずごくりと生唾を飲み込む
そう言えば……神官ちゃんは可愛くて興奮したけれど、どこかしら捕食対象として見ている部分があったように思う
先輩は、何とか逃げ延びていて今だにヤられては無いけど……同族、家族みたいな感じだし
敵対種族でもなく、同族というほど近くも無い――今現在、純粋に異性として見れる相手は姐御だけなのかな
こうして関係を持つのも利益関係じゃなくて、普通の異性として持ちたかったかも、ううん残念
なーんて思いながらもローブを脱いで晒した股間は天を仰いでいたりする、いや、だって姐御美人だし……
「フフフ……準備はOKみたいね。 さぁ、そこへ横になりなさい……始めるわよ」
そうして腕を取られて、ベッドへと誘われていく……あ、触れ合った姐御の肌がひんやりする、吸血鬼って体温低いんだ
……◇……◆……◇……
キシリと微かな音を立てるベッドへと仰向けに横たわり見上げる俺――その腰の上へと姐御が跨って、位置を合わせて、そのまま……
ちょ、ちょっと早くないですか? まだナニもしてませんよ!
慌てて魔法を使い、俺自身から潤滑油となるように液体を分泌させておく
「……クっ、ふぅぅ……」
神官ちゃんの初めてを奪った時と同じような感触と共に姐御の奥深くへと到達した
二人の結合部からは赤いモノが……ええっ、ここまでリードしておいて、はぢめてなんですかっ?!
「そんな訳がないじゃない、ただ再生能力のお陰で……ね」
どうせ血が出るし、あらかじめ濡らしておく必要もないわ、なんて事を少し顔をしかめながら言う姐御
なんでも行為の時にはいつでも痛みを伴っているのだとか
いやいやいやいや……それはいかんですよ、エロを司る悪魔としては、断固として! 許す事の出来ない事態だと言わざるを得ない!
しかし、どうした物かな……神官ちゃんの時のように回復薬を使うのも元々再生するから関係ないし
大きく動く度に破る痛みを与えてしまう、そうでなくても傷口を抉りつづけるようなものだろう、それじゃただの拷問だよ
となると、うーん……快感を弱めちゃうけど、弱めのマヒや睡眠薬、というか麻酔?で内部の痛みを和らげつつ
他の敏感な所へと沢山刺激を与えて気持ち良くなってもらうのがいいかな……よし、それでいこう
「……? なにをしているのかしら」
力の流れを感じたのだろうか、突き立てている内側からスキルを使用していると
腰の上でこちらを見下ろしている姐御からそんな声がかかった
「あぁ特に害は無いですよ、術式の補助みたいなものです」
作用する場所が魂……つまり心である為、術式を通す時には繋がっている部分で"心"からお互いを求め合った方が
ラインの構築が容易になる、そしてその行為にのめり込み、気持ち良くなればなるほど効果が強力になる筈だと説明する
「だから、姐御もしっかり愉しんで下さいね」
と続けて、少しだけ敏感になる効果を持たせた液体を尻尾の先端から垂らして手に取り
ゆっくりとした上下運動を開始している姐御の肢体へと、サンオイルのように満遍なく塗りこんでいく
とろみのある液体に覆われて、てらてらと光を反射している肉体の曲線がなんとも艶めかしい
「これは……」
痛み止めが効いてきたのだろうか、痛みに強張った表情をしていた姐御へと少しずつ余裕が戻ってきたようである
「ンふ、中々いいわ……流石は淫魔といった所かしら」
妖艶な仕草で舌なめずりをする姐御の視線にゾクリとさせられる、ボク喰べられちゃいそう……いや喰べられてるけど!
「フフフ……でも、これなら……」
含み笑いを零した姐御の腰が妖しくくねり、深く咥えこまれた俺自身を激しくすり上げ始めた
うわっ?! 急に強められた刺激に思わず漏れそうになる声を奥歯をかみ締めて堪える
一方的に責められているのも淫魔としてアレなので、こちらからもお返しをしていこう
先ほど塗りこんだ液体によりヌメりを帯びた姐御の肉体、その腰へと添えていた両手を動かして
上下する動きを利用するように触れさせながら、くびれのある腹部を……薄く骨の浮いているわき腹を
そして慎ましやかなふくらみを、肢体の形をなぞるようにぬるぬると這い回らせて、接触による快感を跡に残していく
「っ……貴方の手……それにもココも、とても、熱いわ」
引き締まったスリムな腰を上下させて、ふっ、ふっと吐息を吐きながらそう呟く姐御
そう告げる姐御の肉体は、確かに快感を帯びてきているというのにひんやりと冷たいままだった
これは吸血鬼という種族的な特徴なのかなぁ、ほぼ人間と同じ温度の淫魔からすると何とも不思議な感触だ
そんな事をぼんやりと考えながら、こちらの熱を移し与えるように、揺れるその肉体へと執拗に愛撫を継続する
「ふッ……く、はぁ……」
どれだけの間そうして行為を続けていただろうか
俺の腰の上ではぁはぁと呼吸を乱した姐御がその肉体を大きくくねらせて、包み込まれた俺自身を追い込むように責めたてる
「……っ! いいわ……私、そろそろ…………」
少し声を上ずらせた姐御へと、こちらも腰の動きを合わせて、お互いの快感を掘り出していく
止まる事なく何度も繰り返される律動に、ちゅぷちゅぷと淫靡な音を立てて二人の体液が混ざり合う
その時は、もうすぐそこまで来ていた
……◇……◆……◇……
「ア、くるわ…………さぁ、貴方も……」
程なくして姐御が切なげな声を発し、限界が訪れる事を伝える
姐御に行為を主導されながら、創りだす事に集中していた術式も既に完成していた
こちらの肉体も結合部から止め処なく送られた刺激を受けて熱く滾り、淫魔でなければとっくに果ててしまっているような状態である
「……あ……はぁ……っ! イ……くっ…………ッ!」
最後に湿った茂みを強くこちらへ擦りつけるようにして、姐御はその腰の動きを静止させた
ついに迎えた絶頂に震えながらも、それに負けじと俺自身を強く締め付けてくる内部
――その……そこだけは熱をもっていた胎内へ、念入りに組み上げた術式を一気に解き放つ!
「っ! 貴方が、入ってくる……」
そりゃ今まさに奥へと放出してますから、姐御の中……よかったです、素敵でしたよ
え、そういう意味じゃない? でも、こういった術式だって伝えてあったでしょう
「こんな…………こんな、ああ……」
びゅく、びゅく、と肉体の奥を欲望に満たされていく感覚に戸惑っているような様子で瞳を閉じ
肉体の内側を走る術式に意識を向けている姐御へと
捕食時のように一方的なものではない、双方向にアクセス可能なラインを丁寧に構築していく……
……◇……◆……◇……
むぅ、姐御はしっかりと術式を受け入れているのに、ラインの浸透が思うように進まないなぁ
やっぱり人間と吸血鬼だと魂の抵抗力……というか構造みたいなものが違うんだろうか
一回だけだと、姐御の存在がほんのりと感じられる程度の効果しかないみたいだ
「あ……あなたって余程自我が強いのね、こんな術式を使って平気だなんて」
打ち込まれた術式の効果を確認していると、目を開いた姐御がそんな事を言ってきた
むひ? 確かに対象とした相手が近くに感じられるようになるけれど、自我に影響あるようなものでもないような
「これって相互アクセスにしてますから、その辺の効果としては悪魔の基本セット的な魂の契約魔法に近いんじゃないですか?」
元はそれを弄ったものですし――そう返すと、姐御は「バカね」なんて零しながら人差し指を立てて
「あれはこんなに深いものじゃないわ
それこそ紙に書いて取り交わす商談のようなものよ。 無論、契約による強制力はあるけどね」
なんて説明を加えてくれた
それから少し顔を赤らめて、視線を逸らしながら
「だから、こんな……魂に貴方の体温が感じられるみたいな契約なんて普通ありえないの」
……あー、姐御? その事なんですが
「どうも魂の構造的な問題なのか、術式の入りがまだ浅いみたいなんですよね」
なので、もっとねっぷりたっぷりと何回か打ち込んで、より強固にラインを作らないといけない、と伝えてみれば
「えっ? これ以上に強く結びつけるの?! それは……私……」
口元に手をやって軽く目を見開いて驚いてから、言葉を濁している姐御
思ったような効果がまだ得られていないから、姐御も成功するか心配なのかな?
それに対して「まだお互いの知識の"交感"も出来てませんしねー」なんて気軽にしている俺
一応細くてもラインが出来てる感触はあるし、後は2度3度と続けて太くしていくだけだから簡単なのになー
「さぁ、ここで止まってても意味無いですし、続けてシていきますよ?」
……◇……◆……◇……
交わりは解いていたけれど、未だに俺の上へ跨ったままだった姐御を下からがばりと押し倒す
きしむベッドの上で目の前にやってきた……仰向けになってツンと上を仰いだその慎ましやかな胸元へ、ゾロリと舌を這わせる
「ヒゃ、少しまって! ……ま、待ちなさいってば!」
そんな事言われても……精子は急に止まれないって昔のエロい人も言ってましたよ
姐御だってやっと肉体がほぐれてきて、これからが本番みたいなものじゃないですか、ふふ
本気なら俺を吹き飛ばす力を出せる姐御が、そうしないって事は……"そう"なんですよね?
くりくりと、ふくらみの先端を転がすように舌を使っていると、こちらの頭を腕で軽く押しのけるようにしてくる姐御
その細い腕を捕らえて……ぐっと体重をかけてシーツへ押し付けて、すらりとした裸身を逃げられないよう完全に組み敷いてしまう
「い、今はちょっとまだ術式が……だから」
あぁ……何故だろう、動揺して無防備になっている姐御が可愛くて、ちょっと虐めたくなってくる
でもこれ、絶対に後で復讐されるよね……うん、後の事は後で考えよう! 気持ち良くなってしまえば忘れちゃうかも知れないし
「ええ、確かにまだ術式が不安定ですよね……だから、もっとシないと」
両手を押さえられ、膝の間へと俺の肉体に入り込まれた姐御は、その身を捻ってどうにか抜け出そうと抵抗している
そんな姐御の首筋へと吸い付き、吸血鬼の真似をするように軽く甘噛みして、耳元で囁く
「大丈夫ですって、こっちは本職ですから
姐御は身も心もリラックスして、どーんと受け入れてくれれば良いんですよ」
そのまま姐御の耳たぶへと舌を這わせて、その感触を味わって
さっきまでの情事の跡が色濃く残るひんやりとした肉体の、唯一熱を帯びたその場所へ、ずぶずぶと再び俺自身を沈めていく……
「ちょっと……あ、まっ……ッ!」
体勢が体勢だからか、それともまだ術式によって新たに作られた魂のラインに混乱しているのか
抵抗するのをやめて深く進入していく俺自身をふるふると受け入れている姐御
ふふふ、こんな姐御も可愛いなぁ、もっと、もっと欲しくなってきちゃうよ
「あ、貴方…………んふ」
どうしてか、じっとこちらを見てきた姐御へと唇を合わせ、その口内へと舌を差し入れてぴちゃぴちゅと唾液を混ぜ合わせる
根元まで納まった俺自身を、ぐりぐりと震える最奥へと押し付けるようにしてあげれば
うっすらと感じられる姐御とのラインからも、確かに悦びの感覚が流れてきていた
「んんっ……ぁふ……はぁ……っ……」
あぁ、嬉しいな……食欲や種族的な欲望によるものではない、素敵な女性と交わりたいという純粋な性欲、それが満たされていく
……◇……◆……◇……
「はぁ…はぁ…はぁ…あぁ…はぁ……」
俺の下で息を乱している姐御へと、無心に自分の腰を打ち付けてその冷たい肉体を暖めていく
いつの間にかお互いの手のひらを……指と指を絡ませて握りあっていた両手
内部で動く度に、ぐっぐっと力が入りこちらを掴む様子から姐御の悦びが伝わってくる
「ふふ……姐御、綺麗ですよ」
少しだけ頬が赤く染まった姐御へと顔を寄せ、唇と唇がやわやわと触れ合うようなキスを繰り返す
「あ…そんな、くぅ……はぁ…あぁぅ……」
もしかして、こういったお互いを高め合うような行為はした事がなかったんだろうか
こちらの愛撫を受けて、最初の妖艶さがウソだったみたいに初々しい反応を見せる姐御が愛らしい
「ほら、繋がりを感じるでしょう? 姐御の奥、すごく熱くなっていますよ」
姐御はツンと澄ましたいつもの様子を失ってしまい、肉体の奥深くから伝わる快楽と熱にのぼせたような表情を見せ始めていた
「はぁ…はぁ……はっ…く、ンっ! あぁ、はぁ…あぁあ……」
うん、もうそろそろ頃合かな
しばらくの間、その熱を持ちつつある肉体をほぐすように続けられていた愛撫によって
姐御との結合部からは、動きに伴いちゅっ、ちゅぷ、と水音が耳につくほど大きく聞こえるようになってきている
こちらへと濡れた瞳を向けてきている姐御、その揺らめいている細いくびれへと両手を添えて
突き入れた俺自身へと感じられるその最奥の壁を、とんとんとノックするように刺激を加えていく
「あっ! や……それ、ん…うっ! あぁ…駄目っ……!」
今までの優しい交わりからの変化に、姐御はその肉体をビクリと反応させた
しかしそんな言葉とは裏腹に、充分にほぐされていた吸血鬼の肉体は
深まっていく快感を歓迎するかのように妖しくくねり、突き入れられた雄をくっくっと包みこんでいる
「やめっ……んッ! あッ! ああ……あぁぅ、あふ……はぁう」
離された両手が寂しいのか、無意識の内にこちらへとすがり付いてきている姐御
答えるようにこちらも身を寄せて肉体を密着させると、固く充血したふくらみの先端が二人の間で転がるのが感じられる
快楽に震えるその肉体は、ひんやりとしていた最初の頃とは異なり確かな熱を帯びてきていた
ふふふ……姐御も準備万端みたいだ
快楽の高みへと追い立てるように腰を使い、姐御の肉体をガクガクと揺さぶるように貫いていく
「は、クっ…あぁ……ま、まちなさ……あッ! 私、これ以上…んんっ!」
こちらの変化から終わりが近い事を感じたのだろうか、二度目を始めた時のように静止の声を上げる姐御を振り切って
こみ上げる欲望のままに、その細い裸身を突き上げ続ける
「あっ、ひぁ…アっあっ! うンっ、ぅあぁ……あぁ!」
長い間緩やかに蓄積されてきた快感が、急激な刺激によって一気に高まっていく、そして……
「くゥ……んぁっ…あッふ、ぅあっ! あぁあ! ぁく…うぅゥ、ンんんんっ……ッ!! 」
姐御はその高みへと達すると同時に、こちらの肩へガブリと歯をたてて――って! 痛っ、痛いです姐御!!
─ 6のダメージを受けた ─
そんな痛みに耐えながらも何とか維持していた術式を篭めて
ビクビクと締め付けてくる姐御の最奥へと押し付けた俺自身から、再び白く濁った欲望を射ち出す!
どぷ…どぷ…と姐御の胎内を白く染め上げながら、その魂とのラインをじわじわと丁寧に強化していく……
─ 再生…6ポイント ─
「はー……はー……はー……はー……」
もしかして術式に副作用でもあったんだろうか、姐御は放心したように宙を見つめて荒く息をついている
あ痛た……そんな姐御の状態を確認しつつ噛み付かれた肩を触って確かめてみれば
特に血は流れなかったようで、今はもう少し赤くなっているだけだった
うーん、姐御が牙を伸ばしてなかったから良かったけど、術式への集中を乱されそうなのは危ないなぁ、ちょっと考えないと
……◇……◆……◇……
さて、これで二度術式を打ち込んだ訳だけど……ふむん、ラインの構築度合いはこれで七割半といった所かなぁ
一度目より進んでいるのは、魂の構造の違いを把握していたのと
ふふ……後は姐御の心が、最初より深く受け入れてくれていたのが大きいみたいだね
このペースなら後一回でほぼ確実に姐御とのラインを構築できるだろう
さて、それじゃあ……姐御の顔が近くにある体位だと吸血鬼の本能なのか噛み付いちゃうかもしれないし、うん
二度の絶頂を迎えてじっとりと汗ばんだ姐御の片足を肩に抱え上げ、身体全体を横向きに寝かせる
それからもう一方の足に跨るような体勢をとって、大きく開かれた足の間、付け根の奥深くへと腰を埋めていく
「う……ぁ、ああぁ……」
これまでの、お互いの肉体が向かい合った状態での交わりとは異なる方向から突き入れられて
新たなポイントを刺激された姐御の肉体がぐうっとのけ反る
ゆっくりと前後運動を開始させると、抱えた片足がくんっくんっと妖しく揺らめいた
「あぁ……あ、あふ…んっ ぅん……あ、あぁ…」
そんな姐御の反応を確かめてから、雫を垂らしてひくひくと震えるその内部を存分に味わう為に腰を使っていった
「あッ、ぁあっ……あクっ! ぁう…あっ、あぁっ……」
次第に甘さの混じってきた姐御の声を耳にしながら、抱えている足を根元からじわじわと撫で上げていき
空いた片手でふにふにと、そのふくらみをさするように愛撫する
「ンっ! はぁ…あふ、あぁ…こんな……んっ! んうっ」
姐御は堪えきれないように顔の側面をシーツへと押し当てて、そんな声を漏らす
あぁ……くちゅくちゅと包み込んでくる内部が何とも心地良い、突き入れた俺自身もその熱で蕩けてしまいそうだ
それに、快楽に崩れた姐御の姿が何とも言えない達成感を与えてくれる
……でも、まだ足りない
もっと、もっと俺の存在で、目の前の女を満たしてやりたいという欲求に駆られる
より強く、より深く……その欲求に命じられるままに
担ぎ上げた片足の付け根と、反対側の腰とを両手で押さえ、何度も繰り返し、飽きる事無く姐御の胎内を突き上げていく
ロウソクによってぼんやりと照らされた室内で、艶めかしく揺れる肉体が何とも淫猥な影絵を作り出している
「あッ、はっ! アっ! ぅあ…んっ! あついっ! あぁっ!」
こちらと同じように、姐御もまたその時が近づいてきているみたいだ
汗の流れる片足をしっかりと抱え、そこを軸にして体勢を整えてから、ダイナミックに腰をグラインドさせる
淫らな熱を帯びた姐御の肉体は、少々不安定な体勢ながらも送られる快楽を貪欲に飲み込んでしまう
「ふあ、あッ! あぁ! ぅあぁっ! アあぁあっ!」
切羽詰ったように高ぶった声と、熱く濡れて妖しく蠢くその奥底の震えを感じながら、姐御が絶頂へと昇りつめていくのを確認し
互いの距離を一息に埋めるように、潤いの深みへ、グっと押し込んだ俺自身から勢いよく術式を放つ!
「あ、ヒっ……く! ――あぁ、あぁアあああっ…………ッ!!」
それがトドメとなった姐御も、がくがくとその身を震わせ、こちらを強く絞り上げてくる
望む所だ、こちらも強く腰を押し付けながら、びゅく…びゅく…と、残りの欲望を注ぎ込んでいく
姐御の胎内へと全ての欲望を吐き出した所で術式を確認しようとすると
ふと、何かに到達したかのような感覚が伝わってくる――そして……
― 火球の魔法(弱)の術式を記憶しました ―
― 雷撃の魔法(弱)の術式を記憶しました ―
― 氷刃の魔法(弱)の術式を記憶しました ―
― 簡易結界の術式を記憶しました ―
― 筋力増強の術式を記憶しました ―
― 眷属召喚の術式を…………
― 浮遊の…………
― …………
―
おわぁ!? 術式取得のシステム表示がえらい勢いで流れてきましたよ、システムさんログ流し自重して!
……何か攻撃以外の魔法に関する知識も次々に流入しているみたいだけど、これは姐御のサービス……というよりは
「あっ……あ……ああっ……」
何か呆然と目を見開いてピクピクしちゃってる、この状態の姐御が完成したラインの制御を出来てないんじゃないだろうか
大丈夫なのかな、コレ……繋がったままのアソコもきゅっきゅっと締め付けてきているから何気に気持ち良いけど、うむむ
――あ、ヤバ……そんな姐御を眺めていたら、またシたくなってきちゃった
術式の流入は済んでいる筈だから、本来の用事はこれで終わりだけど……と、未だに忘我の淵にある姐御を見下ろす
……うん、エロい
あーえー……そ、そうだなー、ねんにはねんをいれて、もういっかいくらいシておいたほうがいいかなー
……◇……◆……◇……
横向きに寝そべっている姐御から身体を一度離して、うつ伏せにしてからお尻を持ち上げる
膝を立ててお尻を上へと突き出した所へと後ろから覆い被さり、汗に濡れた背中を下から上へとゆっくり舐め上げていき
最後に羽交い絞めのような体勢で肩を押さえて、再度充血した俺自身を姐御の泉へとあてがう
そうして準備を整えておいて、自分がイヤラシイ体勢を取らされている事が解っているのかいないのか
未だに時折ピクリと震える姐御へ、ズズズズ……と、こすれる感触を味わいながら改めて挿入していく
「――ッ、あぁっ!? ……ぁく……うぁ……」
流石にこの刺激は意識へと届いたようで、ふるりとその身を震わせた姐御からそんな反応がかえってくる
復帰した姐御の意識を確かめるように、何回か焦らすように腰を動かして
それから次第にペースを上げて、こみ上げる肉欲を示すように行為を強くしていく
3度もの行為によって上気し、薄く桜色に染まっていた姐御の肉体は、その荒々しい衝動をしっかりと受け入れて妖しく揺れ動いていた
「あっ、アっあッ! ああっ! ぁあ、はあぁ!」
肘を突いて、皺のよったシーツを握りしめながら嬌声を放っている姐御へと、ぱんぱんと音をたてて腰を打ち付ける
お尻を突き出した姐御の背中がしなり、がくがくとその肉体が揺れる
二人のモノが混ざり合った液体が、結合部から内股を伝って流れベッドを濡らしていく
「あぁ! アぁ! あぁあ! あク! ぅアっ!」
本能に基づいた純粋なセックス、とでも言うんだろうか
既に二人の間には言葉は無く、ただただ獣のような声を上げてお互いの肉体を貪り合っていた
繋がった肉体と繋がった心……その両方から、びりびりと脳髄が痺れるような快感が流れ込む
「はぁぅ! あぁっ! あぁン! んあっ! ぁあぅ!」
密閉された部屋の中へ響く姐御の声が、次第に鼻にかかるような色を見せ始め
こちらの雄を深く咥えこんだ熱いヌメりに溢れるその内部には、不規則な震えが混じるようになっていく
男の根源からせり上がってくる欲望を受けて、濡れた柔肉の中を往復する俺自身がより大きく充血する
「くアっ! あアぁ! アあぁッ! あアッ! あぁあアっ!」
そうして、二人で自然と重なるように高ぶっていった快感は、視界が白く染まるかのように感じられるほど強くなり……
――ついにその限界に達し、激しく迸る!!
「ああ!! ぁあアっ、あァああぁーーーーーッ!!!」
ガクガクと全身を震わせて絶頂を迎えた姐御……その肉体を内側から塗り替えるかのように
どきゅ…どきゅ…と今までにない程大量の欲望を吐き出して、熱く爛れた胎内を満たしていく……
……◇……◆……◇……
ハァ…ハァ…はぁ、ふー……ふぅ、激しくしたからかなり疲れた……でも、凄く良かった
「姐御……姐御?」
あら、姐御は時折ぴくりと震えるものの、突っ伏したまま気を失っちゃってるみたいだ
そのままだと苦しいだろうから、仰向けに寝かせ直してあげて……と
むむ、何度も愉しんだ行為のお陰でベッドが汚れちゃってる部分があるなぁ
広いベッドでよかった……姐御を抱え直して、濡れていない部分へと移動する
これでよし……そう一息付いた所で心地よい疲労感が身体に感じられてきた
ベッドがあるのなんて久しぶりだ、折角だから姐御が目覚めるまで一緒に休ませてもらおう
……◇……◆……◇……
……ん、姐御が起きたかな、隣で身じろぎする気配を感じて意識が戻ってくる
「暖かい……」
一連の行為を終えて、ベットの上でこちらへと寄り添うように横たわっていた姐御は
身を起こすとそう呟いて、自らを抱くように腕を回して自分の肉体を確かめている
そりゃ二人であんな激しい運動したんですから、普段は血色の悪い姐御だって火照って当然でしょう
「バカッ! そういう意味じゃないの」
今度はこちらの肉体へと手を伸ばし、自分との違いを計っているようだ……うん姐御の手、温かいですね
「この温もり、まるで人間のような……」
こちらからも手を伸ばしてさわさわと触ってみれば、最初とは異なり、落ち着いた今でも普通に温度のある姐御の肉体……!?
――人間という言葉にギクリとする俺、もしかしてアレですか……光と闇が合わさり最強に見える、みたいな?
「すみません姐御、ちょっと失礼しますよ」
まさぐっていたのを良いことに、あぐらをかいて座った状態の所へひょいとお姫様だっこで姐御を持ち上げて、じっと見てみる
― 吸血鬼亜種♀を手に入れた ―
おうふ……なんか普通の吸血鬼と微妙に違う種族になってる?! これ、やっぱり俺のせい?
[ 人間の魂+悪魔の肉体=悪魔亜種 ]だったし、[ 吸血鬼の肉体+俺の魂の一部=吸血鬼亜種 ]なのかっ
「ア……な、なにかしら」
気が付くと顔を覗き込んでいた姐御がちょっと赤くなっていた、誰ですかこの可愛い人
「いえ、術式の効果を触れて確認してました、ありがとうございます
それで魂を使ったライン形成に関する知識はしっかり流れていきましたか?」
何食わぬ顔で姐御をそっと降ろして、本来の目的について聞いてみる
ちょっと残念そうにしていた姐御は軽く首を振り、それからしばらく瞑目して、追加された知識を調べているようだ
「そうね……知識そのものは受け取れている様だわ
ただ、女の私じゃ精液は無いから、血を介して行う術式になりそうね」
それに……と再び目を閉じて考えながら続ける
「今まで見たこともない構成……ふぅん? ずいぶん荒削りだけど、効率的で……ン、出来は悪くないわね」
軽く誉められてちょっと嬉しくなる
なるほど、姐御が魔法を誉められて誇らしげにしていたのもこんな気分だったんですね、確かにいいものです
――そうだ! せっかくだから、これまで出来そうで出来なかった術式を試してみよう
火……つまり熱に関わる効果を覚えた今なら成功する筈さ!
「あ、水で濡らして良いような場所ってここにありますか?」
勢いこんで尋ねてみた所、この部屋から奥へと続く通路を使って良いようだ
ここから奥へは少し進むと通路が崩れて埋まってしまっていて、それによって一区画がまるごと他の通路から隔離された空間となっており
そこへ至る唯一の出入り口となったこの部屋を拠点として塞いだ姐御は
奥にあるいくつかの部屋を倉庫や実験室……魔法の試し打ちの場として使っているのだそうな
ううむ、ただ種族的に強いってだけじゃなく、色々な努力と試行錯誤の末に今の姐御があるんだなぁ、流石です
まぁそれはそうとして新魔法である、それは……
「考えたじゃない、良いわね、これ」
そこでは、魔法によってザーーーと雨が降っているような音と湯気の立ち上る空間が作り出されていた
本邦初公開! この位の消耗であればいつまでも供給される真っ黒なナニカを
次々にお湯へと変換して垂れ流すという何とも贅沢な温水シャワー魔法である、ただし魔法は尻尾から出ます
「お湯が気持ち良い……でも、先に使わせてもらって良かったの?」
いえいえ……ほら、最初の時に水薬使って肉体を汚しちゃったじゃないですか、だからそのお詫びですよ、汗もかいてましたし
石鹸っぽい成分も出しながら姐御の肉体をぬるぬると擦って綺麗にしていく
「あっ、コラ……そこは」
……うん、純粋な好意で綺麗にしてるんですよ? ほんとうだよ?
さっき得られた知識から、姐御の強さが悪魔と同程度に強い肉体をさらに魔法で強化していたからと知って
こうやって強化の術式へと集中をさせなければイタズラしたい放題だー、なんて考えてナイヨ?
「ン……もう、いいかげんにっ」
「おヴぁっ!」
― 108ダメージを受けた ―
――なんて調子に乗った結果がこれだよ!
そこに残されたのは壁にもたれかかりダラダラと血を流す俺と、その辺の岩を手に息を荒らげ顔を真っ赤にしている姐御だった
なんてことだ、魔法がダメなら人類の英知――道具を使ってくるとは、やりますね姐御!
体液を操作して血を止め、そのまま流れ出た分を回復薬へと変換してすぐさま傷を癒す
― 回復…108ポイント ―
あれ、こんな事今まで出来なかったけど……これも姐御から受け取った魔法の知識の影響かな?
「貴方、液体をそんな風に操作できるのなら、身体の汚れも操作して落とせなかったの?
……もしかして、さっきのアレがしたくて温水魔法を私に使わせたんじゃないわよね」
イイ笑顔でコブシを握りながらそう聞いてくる姐御
「ちょ、ちょっと待ってください、こんな事ができるって判ったのは、たった今なんですよっ!?」
あんな事やっといて何ですけども信じてくださいー! なんて言いながら素っ裸で隠れ家の中を逃げ惑う俺だった